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経済に関する話題なんでも。ニュースの分析・批評・解説など。大胆な予想や提言も。ご意見、ご批判は大歓迎です。
経済なんでも研究会
「金利のある世界」へ 半歩
2023-11-07-Tue  CATEGORY: 政治・経済
◇ 定期預金の利息が100倍に = 大手銀行が続々と定期預金の金利を引き上げる。たとえば三菱UFJ銀行は、今週から10年定期預金の金利を年0.2%に引き上げた。これまでの金利は0.002%だったから、100倍になる計算だ。三井住友信託銀行も、7年定期預金の金利を0.1%に引き上げた。今後も多くの銀行が同調するとみられている。きっかけは日銀が長期金利政策を修正、10年もの国債の利回りが1%を超えることを容認したこと。

預金者にとっては喜ばしい話だが、何ともまだ物足りない。たとえば金利が100倍になったと言っても、100万円を預けて年2000円の利子が付くだけだ。ただし、これまで10年間にわたって続いてきた「金利のない世界」に風穴があき、「金利のある世界」に半歩ではあるが足を踏み入れたことは確か。今後は確実に、金利は上昇するだろう。

その行程表は、次のようになると考えられる。まず債券市場で10年もの国債の利回りが上昇、1%を超える。さらに1.5%にまで近づくと、日銀は短期金利についてもゼロ金利からの脱出を考え始める。ここまでくれば、市中銀行の定期預金も2-3%の金利が見えてくる。仮に3%まで上昇すれば、100万円の預金で年3万円の利子が付くことになる。

試算によると、家計の利子所得は91年に38兆円もあった。それが21年には6兆円を割り込んでいる。この面でも家計は強く圧迫されたわけで、消費が伸び悩んだ大きな原因ともなったと考えられる。とにかく「100万円の預金で利子が20円」なんていう世界は、異常中の異常。そこから脱出できることは正常化への道、きわめて喜ぶべき動きだと言えるだろう。

        ≪6日の日経平均 = 上げ +758.59円≫

        ≪7日の日経平均は? 予想 = 下げ

  
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P.S, 筆者、病気のため入院。経済ブログは休載します。ご諒承ください。
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今週のポイント
2023-11-06-Mon  CATEGORY: 政治・経済
◇ 「金利据え置き」で秋晴れのNY市場 = ダウ平均は先週1644ドルの大幅な値上がり。昨年10月以来の上げ幅で、終り値は3万4000ドルを回復した。FRBが31日に決定した「政策金利の据え置き」が、株高の主たる原因。週初から「据え置くだろう」の予想で上げ、実際に「据え置いた」ことでさらに値を上げた。週末には予想を下回る雇用統計が発表されて、市場の空気は爽やかな秋晴れとなっている。

日経平均も先週は958円の値上がり。終り値は3万2000円に接近した。日銀が31日に「長期金利政策の修正」を発表、市場は好感して輸出関連株や金融株が買われている。日経平均は10月中998円の下落だったが、これを先週だけで取り戻した形。やはり堅調なニューヨーク市場の影響が大きく、岸田内閣の新経済対策などはあまり響いていない。

ニューヨーク市場では「FRBによる利上げはもうない」という見方が、急速に広まっている。こうした風潮を土台に、しばらくは強気相場が続くのか。それともガザ戦争などの外部要因、あるいは再び浮上しそうな政府の予算切れ問題などが、クローズアップされるのか。加えて本格化する企業の決算発表に、どんな評価が下されるのか。今週の見どころである。

今週は7日に、9月の家計調査、毎月勤労統計。8日に、9月の景気動向指数。9日に、10月の景気ウオッチャー調査。アメリカでは7日に、9月の貿易統計。10日に、11月のミシガン大学・消費者信頼感指数。また中国が7日に、10月の貿易統計。8日に、10月の消費者物価と生産者物価を発表する。

        ≪6日の日経平均は? 予想 = 上げ

 
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1人当たりGDPは 世界32位
2023-11-04-Sat  CATEGORY: 政治・経済
◇ 大きい対外資産で、かろうじて‟経済大国” = IMF(国際通貨基金)が発表した最新の推計によると、ことしの日本の名目GDPは633兆円。ドル換算では4兆2308億ドルとなる見込み。ドイツは4兆4298億ドルとなり、日本はドイツに抜かれ世界第4位に転落する。第1位はアメリカで20兆9496億ドル、第2位は中国で17兆7009億ドル。名目GDPをドル換算すると、円安や物価高の影響で日本は小さく出やすい。たとえば物価上昇率はドイツの方が、日本よりずっと高かった。

しかし長期的にみても、日本の成長率は伸び悩んでいる。たとえばコロナ前の19年と23年の推計値を比べると、アメリカは26%の増加、中国は23%の増加、ドイツは14%の増加だった。これに対して、日本は17%の減少となっている。これでは抜かれて順位を落とすのは当然だ。第一生命経済研究所は、この調子だと26年にはインドにも抜かれると予測している。

GDPというのは、一国の経済活動の大きさを表す指標。だから人口が多い方が、大きくなりやすい。これに対してGDPを人口で割った1人当たりGDPは、国民の平均的な経済力の高さを示している。ところがIMFの推計をみると、日本はなんと世界第32位。先進国のなかではどん尻だし、ブルネイやサウジアラビアにも抜かれている。いま日本国民の不満がここに集中していることを、岸田首相はご存知ない。

対外資産という指標がある。政府・企業・個人が外国で所有する資産から負債を差し引いた数値だ。これは日本がまだ世界第1位。その金額は3兆1654億ドル。このおかげで、日本はかろうじて‟経済大国”の面目を保っていると言えるだろう。高度成長期に貯め込んだ‟お宝”である。だが第2位のドイツは2兆9329億ドル、ここでも日本の背中に迫ってきている。

       

  
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最低になった 内閣支持率
2023-11-02-Thu  CATEGORY: 政治・経済
◇ 減税の評判が悪いのは、なぜ? = マスコミ各社の世論調査で、岸田内閣の支持率がガタ落ちとなった。トップを切った日経新聞の調査では、支持率が33%で政権発足以来の最低。またNHKの調査では36%だったが、テレビ朝日の調査では26.9%にまで落ち込んでいる。与党内では「これでは解散はムリ」の声も出始める始末。岸田首相は「減税までやるというのに、どうしてなんだろう」と、頭を抱えているに違いない。

調査によると、その減税の評判が悪い。たとえば日経新聞の調査だと、減税について「適切と思う」という回答は24%だったのに対して「適切と思わない」回答は65%にのぼっている。その理由は「いま減税があっても、1-2年後には増税ラッシュがやってくる」「財政の健全化に使うべきだ」「結局は選挙のためのバラマキではないか」・・・。

岸田首相は、こう説明する。減税で国民の手取り賃金を増やし、物価高を上回る賃金上昇を実現する。それによって経済の好循環が生まれれば、日本経済はデフレ状態を脱出できる。いまが、その最後のチャンスだ。さいわい景気が上向いたため、税収が当初の予想を上回った。これを国民に還元する形で、減税をしたい。

残念ながら、この岸田首相の考え方を国民は理解できなかった。過去30年にわたって脱出できなかったデフレ経済、それが数兆円の減税で変わるのだろうか。それよりもっと将来を見据えた政策を打ち出してもらいたい。これが国民の受け取り方だったと思う。たしかに「減税で経済の好循環を」という岸田さんの構想は、論理構築の点でかなり甘い。この点を認識しないと、内閣支持率の回復は難しそうだ。

        ≪2日の日経平均 = 上げ +348.24円≫

        【今週の日経平均予想 = 4勝0敗】   

   
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金融引き締めへの第1歩 : 日銀
2023-11-01-Wed  CATEGORY: 政治・経済
◇ 次の焦点はゼロ金利の解除 = 日銀は31日に開いた金融政策決定会合で「長期金利が1%を超えて上昇すること」を容認した。これまでは上限としてきた1%をメドに改め、一定限度なら超えてもいいというように修正している。ただ短期金利をゼロに抑える政策やETF(上場投資信託)の買い入れなど、金融緩和の姿勢は崩さない。このように形としては政策のわずかな修正に過ぎないが、これが金融引き締め政策への第1歩となる可能性は決して小さくない。

日銀はことし7月にも、長期金利政策を修正。容認する上限を0.5%から1%に引き上げている。アメリカの急激な金利上昇に引きずられ、日本の長期金利も0.5%に抑えられなくなったためだ。今回も同様の力が加わって、31日午前の長期金利は0.955%と10年ぶりの高さに上昇していた。こういう状況で金利を1%以内に抑え込もうとすると、日銀は大量の国債を購入しなければならなくなる。また円安がさらに進み、輸入物価が高騰してしまう。

アメリカの高金利は、来年になっても続く公算が大きい。またウクライナ戦争に加えて、中東ガザでも戦争が勃発。エネルギーや資源、食料の国際価格は高止まりしそうだ。物価には、上昇圧力が加わり続ける。このため150円以上の円安は、絶対に回避したい。こういう状況だから、日本の長期金利が1.5%程度まで上昇してもおかしくない。

仮にそこまで行くと、こんどは短期金利との格差が大きな問題になってくる。したがって次の焦点は、短期金利の引き上げ。つまりゼロ金利からの脱出ということになる。日銀はそこまでを覚悟したわけではなさそうだ。しかし大きな流れは、動き出した。あとから考えてみると、きのうの日銀の決定が金融引き締めへの第1歩だったということになる可能性が、きわめて大きい。

        ≪31日の日経平均 = 上げ +161.89円≫

        ≪1日の日経平均は? 予想 = 上げ

   
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効かない 金融引き締め / アメリカ
2023-10-31-Tue  CATEGORY: 政治・経済
◇ 量的引き締めはまだ1兆ドル = パウエルFRB議長が「経済は金利の影響を受けにくくなっているのかもしれない」と嘆き節。珍しいことである。FRBは昨年3月からインフレ退治のために金融政策を引き締めに転換、政策金利をゼロから5.25%まで引き上げた。しかしアメリカ経済は堅調を維持し、物価はなかなか下がらない。パウエル議長の嘆きは、まだまだ続きそうである。

金利がこれだけ上昇すると、ふつう経済には強いブレーキがかかる。だが7-9月期のGDP速報は年率4.9%の成長、9月の小売り売上高は前月比0.7%の増加。ともに予想を大きく上回った。そして9月の消費者物価も前年比3.7%の上昇と、勢いが収まらない。もちろん高金利の影響で、住宅や自動車の販売は下向きに。また中小企業や低所得者の一部が、苦境に陥っていることも確かだ。

ところが多くの企業や個人は、低金利時代に借金をしてしまった。だから高金利時代がきても、あまり影響を受けないのではないか。また自己資金を貯め込み、借金に頼らない企業や個人も増えている。パウエル議長が「金利の影響を受けにくくなった」と述べたのは、こういう理由からだと考えられる。そこで、こんな状態がずっと続くのか。それとも時間が経てば、高金利の効果が出てくるのか。そこが大問題となってくる。

金利は上がったが、量的引き締めは進まない。FRBは昨年3月時点で8兆6000億ドルの現金を市場に放出していた。そこから国債や株式などを売り戻して資金を回収しているが、これまでの回収額は1兆ドル程度。だから資金はまだ市中に大量に残っている。このため引き締めの効果が出にくいという見方も有力だ。もっと大量に売り戻せば、国債や株式の価格が下がり過ぎてしまう。FRBはそれを警戒して量的引き締めを急がないとすれば、ある意味では自業自得と言えるだろう。

        ≪30日の日経平均 = 下げ -294.73円≫

        ≪31日の日経平均は? 予想 = 上げ


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今週のポイント
2023-10-30-Mon  CATEGORY: 政治・経済
◇ あさって1日のパウエル会見待ち = ダウ平均は先週710ドルの値下がり。2週間の続落で、この間の下げ幅は1200ドルを超えた。長期金利の上昇、中東情勢の緊迫、それに長引く自動車ストなど、株式市場には次々と逆風が吹き込む。7-9月期の実質GDP成長率が4.9%と予想をはるかに上回ったことも、金融引き締めを止められない原因になるという理由で悪材料視された。いまはあさって1日に行なわれる、パウエルFRB議長の記者会見を待つばかり。

日経平均は先週268円の値下がり。2週間の続落で、この間の下げ幅は1300円を超えた。アメリカに引きずられて、日本の長期金利も0.88%と10年3か月ぶりの高さに。それでも日米間の金利差はさらに広がり、円相場は150円台にまで下落した。臨時国会が開かれ、減税を含む政府の経済対策が議論のマトに。しかし市場は、ほとんど無視している。

FRBが31-1日の会議で「利上げせず、金利を据え置く」ことは、ほぼ確実。だが「引き締めは来年にかけても続く」という推測が大勢を占めている。このため金利が上昇、特にハイテク株が大きく値下がりした。この傾向はパウエル会見が終わっても、変わりそうにない。一方、日銀は30-31日に政策決定会合を開くが、多少の修正を打ち出せるかどうか。

今週は31日に、9月の労働力調査、鉱工業生産、商業動態統計、住宅着工戸数、10月の消費動向調査。1日に、10月の新車販売。アメリカでは31日に、10月のカンファレンス・ボード消費者信頼感指数。1日に、10月のISM製造業景況指数。3日に、10月の雇用統計、ISM非製造業景況指数。またEUが31日に、7-9月期のGDP速報。中国が31日に、10月の製造業と非製造業のPMIを発表する。なお31日に、日銀総裁の記者会見。1日に、FRB議長の記者会見。

        ≪30日の日経平均は? 予想 = 下げ


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‟危ない金融商品”の 季節
2023-10-28-Sat  CATEGORY: 政治・経済
◇ 高利回りにはリスクが伴う = アメリカの長期金利が16年ぶりの高さに上昇している。10年もの国債の利回りは先週5%台に乗せた。雇用や物価などが予想以上に堅調で、FRBの引き締め政策が長続きするという見方。政府の財政支出増加で、国債発行額が急増。そして議会が空転し予算成立のメドが立たないことが、長期金利を引き上げる原因となっている。最も信用度が高い国債でさえ、年5%の金利が付かないと売れない。その他の公共債や社債の利回りが、もっと高くなるのは当然だ。この高金利時代が、‟危ない金融商品”を生み出すことになる。

企業が売り出す社債の場合、その企業の経営状態が苦しいほど高い金利を付けないと売れない。なかには10%を超える金利の社債も発行される。こうした企業がデフォルト(債務不履行)や倒産する危険性は大きいから、その社債は代表的な‟危ない金融商品”と言えるだろう。こうした高金利の債券を集めて売り出した証券が、リーマン・ショックでは紙切れになった。

アメリカでは、大銀行が定期預金に高い利子を付けている。このため最近は、日本の銀行がドル建ての定期預金を高金利で売り出し始めた。たとえば三井住友銀行は年5.3%、SBI新生銀行は6%の商品を開発している。日本の定期預金なら、年0.01%の利子しか付かない。比較してみれば、きわめて魅力的。しかもデフォルトの危険は全くない。しかし1つだけ、落し穴がある。

それは為替相場。たとえば年7%の金利が付いていても、もし円相場が10%上昇すれば、損失の方が大きくなってしまう。7%の利息が受け取れるのは1年後、そのとき円相場がどうなっているかは神のみぞ知る世界。だから銀行はその危険性をよく説明してから売るはずだ。しかし経営不振の社債とは全く異なるが、これも一種の‟危ない商品”には違いない。

        ≪27日の日経平均 = 上げ +389.91円≫

        【今週の日経平均予想 = 5勝0敗】     

    
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