◇ 36年ぶりの13日連騰を達成 = ダウ平均株価は7月10日から26日にかけて、実に13営業日の連騰という記録を成し遂げた。この記録は1987年2月に並ぶもの。あと1日上げれば14連騰となり、なんと126年ぶりに過去最長記録と並ぶという解説もあった。しかし126年前のダウ平均は12銘柄で構成されており、現在のそれとは性格が違う。36年ぶりのタイ記録達成と考えた方がいいだろう。ところで36年前の10月には、‟ブラック・マンデー”と呼ばれる株価の大暴落が起きている。
パウエルFRB議長は利上げ決定後の記者会見で「景気後退は予測していない」と明言した。市場はこの発言によって「アメリカ経済は‟軟着陸”あるいは‟無着陸”の実現性が高まった」と確信。高値圏で利益確定売りが出るのは仕方がないが、あと怖いものは一切なしの心境。だから36年前の‟ブラック・マンデー”のことなど、思い出す人はいない状態だ。
実体経済を表わす最近の指標は、好悪まちまち。たとえば4-6月期のGDP成長率は2.4%で、予想を大きく上回った。しかし7月の景況感は、5か月ぶりの低水準。サービス業も落ち込んでいる。ところが市場は好材料には素直に喜び、悪材料にも金融引き締め政策が緩むと歓迎。だから怖いものがない。きわめて楽天的だ。
市場が楽天的になる大きな理由の1つは、企業の業績が予想外に好調なこと。半導体を中心とするハイテク業界も、AIブームでよみがえった。ただし株価が上昇したので、PER(株価収益率)も急上昇。たとえばSP500の予想PERは20倍にも達している。これは過去のバブル時を大きく上回る。一般に株価バブルの定義はないし、バブルかどうかは事後的に判定されることが多い。したがって現在のニューヨーク株価がバブルかどうかは判断できないが、全体的にみて「かなりバブル的だ」と言うことはできそうだ。
≪31日の日経平均 = 上げ +412.99円≫
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パウエルFRB議長は利上げ決定後の記者会見で「景気後退は予測していない」と明言した。市場はこの発言によって「アメリカ経済は‟軟着陸”あるいは‟無着陸”の実現性が高まった」と確信。高値圏で利益確定売りが出るのは仕方がないが、あと怖いものは一切なしの心境。だから36年前の‟ブラック・マンデー”のことなど、思い出す人はいない状態だ。
実体経済を表わす最近の指標は、好悪まちまち。たとえば4-6月期のGDP成長率は2.4%で、予想を大きく上回った。しかし7月の景況感は、5か月ぶりの低水準。サービス業も落ち込んでいる。ところが市場は好材料には素直に喜び、悪材料にも金融引き締め政策が緩むと歓迎。だから怖いものがない。きわめて楽天的だ。
市場が楽天的になる大きな理由の1つは、企業の業績が予想外に好調なこと。半導体を中心とするハイテク業界も、AIブームでよみがえった。ただし株価が上昇したので、PER(株価収益率)も急上昇。たとえばSP500の予想PERは20倍にも達している。これは過去のバブル時を大きく上回る。一般に株価バブルの定義はないし、バブルかどうかは事後的に判定されることが多い。したがって現在のニューヨーク株価がバブルかどうかは判断できないが、全体的にみて「かなりバブル的だ」と言うことはできそうだ。
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◇ 「1002円」をその第1歩にしよう = 中央最低賃金審議会は先週28日、23年度の最低賃金の目安を全国平均で時給1002円とすることを決めた。現在の961円から41円、率にして4.3%の引き上げとなる。この引き上げ幅は過去最大。各都道府県の審議会がこれを目安に実額を決定、10月ごろから順次適用される。中央審議会では労働者側が47円、使用者側は20円の引き上げを主張していた。
最低賃金引き上げの目安は、地域によって引き上げ額が①東京・大阪など6都府県は41円②北海道・京都など28道府県は40円③青森・沖縄など13県は39円--となっている。すでに東京・大阪・神奈川の最低賃金は1000円を超えているが、今回の引き上げで東京・神奈川は1100円を超す。また新たに埼玉・千葉・愛知・京都・兵庫の5府県が1000円を超えることになる見込み。
大幅な引き上げとなったのは、言うまでもなく物価高。大企業の賃上げ率が3.58%だったこと。それに岸田首相が強力に「1000円」を推奨したことも影響した。決められた最低賃金の額は、あらゆる形態の労働者すべてに適用される。そして押し上げ効果も含めて実際に賃金が上がる労働者の数は2500万人にのぼると試算されているから、その影響はきわめて大きい。
ところが、これで実質賃金は上昇するかと言えば、必ずしもそうとは言えない。たとえば6月の消費者物価上昇率3.3%と比べれば、賃金が物価を上回った。しかし昨年10月-ことし6月のインフレ率と比べれば、ほぼ同じ。こんな状態だから、来年度以降も物価を上回る最低賃金の引き上げが絶対に必要だ。政府は1000円を超えたからと言って安心せず、物価高を上回る賃金引き上げの仕組みを考えるべきだろう。
(続きは明日)
≪1日の日経平均 = 上げ +304.36円≫
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最低賃金引き上げの目安は、地域によって引き上げ額が①東京・大阪など6都府県は41円②北海道・京都など28道府県は40円③青森・沖縄など13県は39円--となっている。すでに東京・大阪・神奈川の最低賃金は1000円を超えているが、今回の引き上げで東京・神奈川は1100円を超す。また新たに埼玉・千葉・愛知・京都・兵庫の5府県が1000円を超えることになる見込み。
大幅な引き上げとなったのは、言うまでもなく物価高。大企業の賃上げ率が3.58%だったこと。それに岸田首相が強力に「1000円」を推奨したことも影響した。決められた最低賃金の額は、あらゆる形態の労働者すべてに適用される。そして押し上げ効果も含めて実際に賃金が上がる労働者の数は2500万人にのぼると試算されているから、その影響はきわめて大きい。
ところが、これで実質賃金は上昇するかと言えば、必ずしもそうとは言えない。たとえば6月の消費者物価上昇率3.3%と比べれば、賃金が物価を上回った。しかし昨年10月-ことし6月のインフレ率と比べれば、ほぼ同じ。こんな状態だから、来年度以降も物価を上回る最低賃金の引き上げが絶対に必要だ。政府は1000円を超えたからと言って安心せず、物価高を上回る賃金引き上げの仕組みを考えるべきだろう。
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◇ 低賃金国に成り下がったニッポン = 最低賃金が時給1000円を超えたからといって、安心している場合ではない。これでも日本は、まだまだ低賃金国だからだ。たとえばイギリスの最低賃金は時給1700円。ドイツは1749円、フランスは1678円、アメリカのカリフォルニア州は2200円といったぐあい。韓国も先月19日、24年の最低賃金を時給1080円にすることを決めた。東南アジアの若者たちにとって日本は「望ましい出稼ぎ先」ではなく、優秀な人はみな日本を敬遠してしまう。
国内では‟年収のカベ”問題が解決されていない。これは年収が106万円あるいは130万円に達すると税金や社会保険料を支払う負担が発生、手取りが減ってしまう問題。最低賃金を引き上げれば、このカベにぶつかる人が多くなる。時給は上がっても、労働時間を短くして負担増を回避しようとする人が増えるだろう。しかし政府は、まだ解決策を見出せずにいる。
さらに最大の問題は、中小・零細企業の経営。人件費が上がると、経営が苦しくなる企業も少なくない。政府は「賃上げ分は転嫁を」などとのんきなことを言っているが、実際はかなり難しい。補助金説もあるが、それではまた‟ゾンビ企業”を増やすだけ。この際は政府が主導し自治体と金融機関が協力して、中小・零細企業の大々的な生産性向上運動を展開すべきだ。
岸田首相が強調した「時給1000円」は達成された。だが来年も再来年も時給を上げて行かなければ、日本は低賃金国から抜け出せない。それには‟年収のカベ”や中小・零細企業の経営問題にも、真剣に取り組む必要がある。しかし政府部内には、そんな意気込みは感じられない。岸田首相は「1000円以降」について、語るべきである。
≪2日の日経平均 = 下げ -768.89円≫
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国内では‟年収のカベ”問題が解決されていない。これは年収が106万円あるいは130万円に達すると税金や社会保険料を支払う負担が発生、手取りが減ってしまう問題。最低賃金を引き上げれば、このカベにぶつかる人が多くなる。時給は上がっても、労働時間を短くして負担増を回避しようとする人が増えるだろう。しかし政府は、まだ解決策を見出せずにいる。
さらに最大の問題は、中小・零細企業の経営。人件費が上がると、経営が苦しくなる企業も少なくない。政府は「賃上げ分は転嫁を」などとのんきなことを言っているが、実際はかなり難しい。補助金説もあるが、それではまた‟ゾンビ企業”を増やすだけ。この際は政府が主導し自治体と金融機関が協力して、中小・零細企業の大々的な生産性向上運動を展開すべきだ。
岸田首相が強調した「時給1000円」は達成された。だが来年も再来年も時給を上げて行かなければ、日本は低賃金国から抜け出せない。それには‟年収のカベ”や中小・零細企業の経営問題にも、真剣に取り組む必要がある。しかし政府部内には、そんな意気込みは感じられない。岸田首相は「1000円以降」について、語るべきである。
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◇ 東京は大阪より5割も高い矛盾 = 高浜原発(福井県)1号機が7月28日、再稼働を始めた。東日本大震災のあと再稼働した原発は、これで11基に。同じ高浜原発の2号機も、9月には再稼働する予定。もしそうなれば、関西電力が所有する7基の原発がすべて稼働することになる。このため関西電力は、ことし値上げの申請をしなかった。にもかかわらず同社は、ことし4-6月期に1931億円の黒字を計上した。火力発電に比べてコストが安い原発のおかげである。
原子力規制委員会はことし5月、柏崎刈羽原発(新潟県)に対する運転禁止命令を解除しないと決めた。テロ対策がいぜん不十分だと判断したためで、早期の再稼働は困難になったとみられている。東京電力は大事故を起こした福島原発を除けば、所有する原発はこの柏崎刈羽原発の7基。それが1基も動いていない。ほとんどの発電を火力に頼っているが、輸入燃料が高騰したため値上げを申請した。
この値上げが認められたため、東京電力の標準家庭向け電気料金は月9510円に。料金を据え置いた関西電力の7056円に比べると、約35%高くなった。ただこの計算には政府による負担軽減策が含まれているので、その分を考慮すると約5割高くなる。輸入燃料価格の上昇や原発の稼働状況からみると、この差はさらに広がるかもしれない。東京電力管内の家庭にとっては、頭の痛い話である。
この問題の責任は、どこにあるのだろう。テロ対策が、きちんとできない東京電力? 厳しすぎる規制委員会? 両者のギスギスした関係を修復できない経済産業省? それとも無関心な政治家? 岸田さんが一声かければ、すぐに解決しそうにも思えるのだが。やっぱり、東京圏に住む庶民は「運が悪い」とあきらめるしかないのだろうか。
≪3日の日経平均 = 下げ -548.41円≫
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原子力規制委員会はことし5月、柏崎刈羽原発(新潟県)に対する運転禁止命令を解除しないと決めた。テロ対策がいぜん不十分だと判断したためで、早期の再稼働は困難になったとみられている。東京電力は大事故を起こした福島原発を除けば、所有する原発はこの柏崎刈羽原発の7基。それが1基も動いていない。ほとんどの発電を火力に頼っているが、輸入燃料が高騰したため値上げを申請した。
この値上げが認められたため、東京電力の標準家庭向け電気料金は月9510円に。料金を据え置いた関西電力の7056円に比べると、約35%高くなった。ただこの計算には政府による負担軽減策が含まれているので、その分を考慮すると約5割高くなる。輸入燃料価格の上昇や原発の稼働状況からみると、この差はさらに広がるかもしれない。東京電力管内の家庭にとっては、頭の痛い話である。
この問題の責任は、どこにあるのだろう。テロ対策が、きちんとできない東京電力? 厳しすぎる規制委員会? 両者のギスギスした関係を修復できない経済産業省? それとも無関心な政治家? 岸田さんが一声かければ、すぐに解決しそうにも思えるのだが。やっぱり、東京圏に住む庶民は「運が悪い」とあきらめるしかないのだろうか。
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◇ 1リットル=200円の可能性も = 資源エネルギー庁の集計によると、7月31日時点のレギュラー・ガソリン店頭価格は全国平均で1リットル=176.7円だった。これで11週連続の値上がり。価格水準は15年ぶりの高値となっている。原因は政府の補助金が縮小していることに加えて、原油の国際価格が上昇、それに円安が重なった。10月には200円になる可能性も出始めている。
政府はガソリン価格の急騰を抑えるため、昨年1月から石油元売り会社に補助金を出している。この政策はことし9月いっぱいで終了する予定。それに備えて、ことし6月からは補助金の額を段階的に縮小している。この縮小分が、店頭価格の引き上げにつながった。すでに補助金の累計は6兆円にも達しており、政府は10月以降の対策をまだ決めていない。
そこへ7月からは、原油の国際価格上昇が重なった。1バレル=70ドル近辺で安定していたニューヨーク市場のWTI(テキサス産軽質油)先物相場は、7月に入るとじりじり上がり始めた。産油国が減産を強化するといった明確な原因はなく、急騰はしていない。おそらくアメリカの景気が意外に堅調なこと、世界の在庫がやや減少したことなど、いくつかの原因が相場を押し上げているものと考えられる。さらに円安が加わって、輸入価格が上昇した。
国際価格の上昇と円安は、近いうちに反転しそうもない。したがって10月以降に補助金がなくなれば、ガソリンの小売り価格は1バレル=200円に達する可能性さえ出てきた。ただ補助金はガソリンの消費を促す形となり、温暖化抑制にも逆行する。むしろ政府はガソリンの消費を抑制するため、たとえばEV(電気自動車)の普及などに補助金を使ってほしい。
≪4日の日経平均 = 上げ +33.47円≫
【今週の日経平均予想 = 4勝1敗】
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政府はガソリン価格の急騰を抑えるため、昨年1月から石油元売り会社に補助金を出している。この政策はことし9月いっぱいで終了する予定。それに備えて、ことし6月からは補助金の額を段階的に縮小している。この縮小分が、店頭価格の引き上げにつながった。すでに補助金の累計は6兆円にも達しており、政府は10月以降の対策をまだ決めていない。
そこへ7月からは、原油の国際価格上昇が重なった。1バレル=70ドル近辺で安定していたニューヨーク市場のWTI(テキサス産軽質油)先物相場は、7月に入るとじりじり上がり始めた。産油国が減産を強化するといった明確な原因はなく、急騰はしていない。おそらくアメリカの景気が意外に堅調なこと、世界の在庫がやや減少したことなど、いくつかの原因が相場を押し上げているものと考えられる。さらに円安が加わって、輸入価格が上昇した。
国際価格の上昇と円安は、近いうちに反転しそうもない。したがって10月以降に補助金がなくなれば、ガソリンの小売り価格は1バレル=200円に達する可能性さえ出てきた。ただ補助金はガソリンの消費を促す形となり、温暖化抑制にも逆行する。むしろ政府はガソリンの消費を抑制するため、たとえばEV(電気自動車)の普及などに補助金を使ってほしい。
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◇ 他の格付け会社が追随する? = ダウ平均は先週394ドルの値下がり。FRBの利上げを無事に通過し、楽観的な空気に包まれていた市場のムードは、週央に一変した。突如として、フィッチ社がアメリカ国債の格付けを引き下げたからである。このショックはアジアからヨーロッパにも伝染、各国の株価は一斉に下落した。ところがおひざ元のニューヨークの株安がいちばん軽微で、ダウ平均の終り値も3万5000ドル台にとどまった。
日経平均は先週566円の値下がり。格付け引き下げのショックは、ニューヨークよりもかなり大きかった。発表があった2日は769円の下げ。ことし最大の下落となっている。あくる3日も続落、この2日間で1300円以上の値下がりとなった。日経平均は年初来27%の上昇で、ダウ平均の7%上昇を大きく上回っていた。この差がリスク回避の差となって現われたものと考えられる。
フィッチ社によるアメリカ国債の格下げショックは、ほぼ沈静したと考えられる。ただしアメリカの長期金利は4.2%近くまで上昇しており、市場に広がっていた「景気は軟着陸の公算」という楽観的な空気に、冷水を浴びせたことは事実だろう。また国債の増発など財政の悪化を示すニュースが飛び出せば、他の格付け会社が追随して国債の格付けを引き下げる公算はきわめて大きい。この意味では、この先も警戒が必要だ。
今週は7日に、6月の消費動向指数。8日に、6月の毎月勤労統計、家計調査、7月の景気ウオッチャー調査。10日に、7月の企業物価。アメリカでは8日に、6月の貿易統計。10日に、7月の消費者物価。11日に、7月の生産者物価、8月のミシガン大学・消費者信頼感指数。また中国が8日に、7月の貿易統計。9日に、7月の消費者物価と生産者物価を発表する。
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日経平均は先週566円の値下がり。格付け引き下げのショックは、ニューヨークよりもかなり大きかった。発表があった2日は769円の下げ。ことし最大の下落となっている。あくる3日も続落、この2日間で1300円以上の値下がりとなった。日経平均は年初来27%の上昇で、ダウ平均の7%上昇を大きく上回っていた。この差がリスク回避の差となって現われたものと考えられる。
フィッチ社によるアメリカ国債の格下げショックは、ほぼ沈静したと考えられる。ただしアメリカの長期金利は4.2%近くまで上昇しており、市場に広がっていた「景気は軟着陸の公算」という楽観的な空気に、冷水を浴びせたことは事実だろう。また国債の増発など財政の悪化を示すニュースが飛び出せば、他の格付け会社が追随して国債の格付けを引き下げる公算はきわめて大きい。この意味では、この先も警戒が必要だ。
今週は7日に、6月の消費動向指数。8日に、6月の毎月勤労統計、家計調査、7月の景気ウオッチャー調査。10日に、7月の企業物価。アメリカでは8日に、6月の貿易統計。10日に、7月の消費者物価。11日に、7月の生産者物価、8月のミシガン大学・消費者信頼感指数。また中国が8日に、7月の貿易統計。9日に、7月の消費者物価と生産者物価を発表する。
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◇ 狙われるタネはいくつも = 世界で最も安全な資産といわれるアメリカの国債が格下げされて、市場が動揺した。フィンチ・レーティングズ社は先週1日、突如として「アメリカ国債を最上級のAAAから1段階引き下げてAAとする」と発表。理由は「今後3年間に予想される財政悪化と、政府の債務上限問題を巡る政治的混乱」だと説明した。このため市場では金利が上昇、株価は下落。ショックは世界中の市場に波及し、日経平均も2日間で1300円の値下がりとなった。
一見すると、この騒ぎはすでに収まったかのようにみえる。しかし再び炎上する火種は、まだ残っているようだ。というのも今回はフィンチ社に出し抜かれた形の格付け会社スタンダード・プーア社とムーディーズ社が、追随するチャンスを虎視眈々と狙っているからだ。たとえば国債の増発など財政の悪化が進むようなニュースが出ると、アメリカ国債はまた格下げされる危険が大きい。
こんどは日本国債を狙ってくる可能性も十分にある。ムーディーズ社は15年9月、日本国債の格下げを発表。理由は安倍内閣が予定していた消費税の引き上げを延期したことにあった。フィンチ社とスタンダード・プーア社もこれに追随。市場ではやはり金利が上昇、株価は下落した。ショックが収まるまでには、数週間を要している。
いま日本の財政状態は、きわめて悪い。したがって国債を格下げする理由については、こと欠かない。国債の増発、金利上昇による国債利払い費の膨張。たとえば日銀が長期金利の変動幅をさらに拡大すると、金利が上がって国債費が増大する。これも格下げの十分な理由になるだろう。ただ国債の格下げは、市場の受け止め方しだい。いまから冷静に受け止める用意をしておこう。
≪7日の日経平均 = 上げ +61.81円≫
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一見すると、この騒ぎはすでに収まったかのようにみえる。しかし再び炎上する火種は、まだ残っているようだ。というのも今回はフィンチ社に出し抜かれた形の格付け会社スタンダード・プーア社とムーディーズ社が、追随するチャンスを虎視眈々と狙っているからだ。たとえば国債の増発など財政の悪化が進むようなニュースが出ると、アメリカ国債はまた格下げされる危険が大きい。
こんどは日本国債を狙ってくる可能性も十分にある。ムーディーズ社は15年9月、日本国債の格下げを発表。理由は安倍内閣が予定していた消費税の引き上げを延期したことにあった。フィンチ社とスタンダード・プーア社もこれに追随。市場ではやはり金利が上昇、株価は下落した。ショックが収まるまでには、数週間を要している。
いま日本の財政状態は、きわめて悪い。したがって国債を格下げする理由については、こと欠かない。国債の増発、金利上昇による国債利払い費の膨張。たとえば日銀が長期金利の変動幅をさらに拡大すると、金利が上がって国債費が増大する。これも格下げの十分な理由になるだろう。ただ国債の格下げは、市場の受け止め方しだい。いまから冷静に受け止める用意をしておこう。
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◇ 実質賃金は15か月連続で減少 = 物価の高騰が人々の生活を圧迫していることを如実に示す2つの統計が8日、同時に発表された。その1つは、厚生労働省が発表した6月の毎月勤労統計。それによると、1人当たりの平均賃金は46万2040円で、前年比2.3%の増加だった。ところが物価が上昇したため、実質賃金は前年比1.6%の減少となっている。これで実質賃金は昨年4月から15か月連続のマイナスを記録した。賃上げが物価高に及ばなかったことを示している。
もう1つは、総務省が発表した6月の家計調査。それによると、2人以上世帯の平均消費支出は27万5545円で、前年比0.5%の減少だった。これも物価高を調整した実質値では4.2%の減少となる。昨年11月からことしの2月を除き、ずっとマイナスだ。特に食料品は3.9%の減少で9か月連続のマイナス。家具や家事用品への支出を17.6%も減らして、なんとかやりくりしている様子がうかがえる。
ことしの後半に、こうした状況が改善する可能性は小さい。というのも、原油の国際価格がじりじり上昇しているほか、最低賃金の引上げなどによって人件費も物価の押し上げ要因になるとみられるからだ。すでにガソリンの店頭価格は15年ぶりの高さになっているが、まだ上がりそう。電気・ガス料金も、秋には再び引き上げられる可能性が大きい。
政府はこれまで、補助金を出すことによって物価の高騰を抑制してきた。しかしガソリンに対する補助金、電気・ガス料金に対する補助金は、ともに9月いっぱいで終了する予定。政府・与党内では「継続せざるをえない」という声が強い。だが、それではバラマキの繰り返し。何の進歩もない。もっと根本的な対応策は、だれも考えていないのだろうか。
≪8日の日経平均 = 上げ +122.73円≫
≪9日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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もう1つは、総務省が発表した6月の家計調査。それによると、2人以上世帯の平均消費支出は27万5545円で、前年比0.5%の減少だった。これも物価高を調整した実質値では4.2%の減少となる。昨年11月からことしの2月を除き、ずっとマイナスだ。特に食料品は3.9%の減少で9か月連続のマイナス。家具や家事用品への支出を17.6%も減らして、なんとかやりくりしている様子がうかがえる。
ことしの後半に、こうした状況が改善する可能性は小さい。というのも、原油の国際価格がじりじり上昇しているほか、最低賃金の引上げなどによって人件費も物価の押し上げ要因になるとみられるからだ。すでにガソリンの店頭価格は15年ぶりの高さになっているが、まだ上がりそう。電気・ガス料金も、秋には再び引き上げられる可能性が大きい。
政府はこれまで、補助金を出すことによって物価の高騰を抑制してきた。しかしガソリンに対する補助金、電気・ガス料金に対する補助金は、ともに9月いっぱいで終了する予定。政府・与党内では「継続せざるをえない」という声が強い。だが、それではバラマキの繰り返し。何の進歩もない。もっと根本的な対応策は、だれも考えていないのだろうか。
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◇ 全都道府県で増加した外国人 = 総務省が発表した人口動態調査によると、日本の総人口はことし1月1日時点で1億2541万6877人。前年比では51万1025人の減少だった。このうち日本人は1億2242万3038人で80万0523人の減少。その一方、外国人は299万3839人で28万9498人の増加。全人口に対する比率は2.39%となっている。日本人の人口は全都道府県で減少したが、外国人は全都道府県で増加した。
都道府県別にみて、最も外国人が多いのは東京都の58万1112人。続いて愛知県、大阪府の順となっている。逆に少ないのは秋田県の4512人。続いて鳥取県、高知県の順。東京都で外国人が全人口に占める比率は4.20%、秋田県は0.48%にすぎない。また市町村別にみると、外国人の居住者がいちばん多いのは群馬県大泉町の8215人だった。
日本に居住する外国人は、ほとんどが留学生か出稼ぎ労働者。日本側からみれば、人手不足を軽減する役割を担っている。その観点からすると、重要なのは生産年齢人口の動向だ。生産年齢人口というのは15歳―64歳の人口で、経済活動に携われる年齢層。日本の生産年齢人口は09年をピークに減少、ことし1月1日時点では7479万6041人に減っている。
このうち日本人は7226万2175人。1995年に比べると1439万人も減少した。一方、外国人の生産年齢人口はことし1月1日時点で253万3886人。この10年間で86万5000人も増えた。こうしてみると仮に外国人労働者がいなかったら、日本経済は人手不足で行き詰まっているに違いない。だから最低賃金の引き上げなど、外国人が働きやすい環境を整ることが大切になってくる。
≪10日の日経平均 = 上げ +269.32円≫
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都道府県別にみて、最も外国人が多いのは東京都の58万1112人。続いて愛知県、大阪府の順となっている。逆に少ないのは秋田県の4512人。続いて鳥取県、高知県の順。東京都で外国人が全人口に占める比率は4.20%、秋田県は0.48%にすぎない。また市町村別にみると、外国人の居住者がいちばん多いのは群馬県大泉町の8215人だった。
日本に居住する外国人は、ほとんどが留学生か出稼ぎ労働者。日本側からみれば、人手不足を軽減する役割を担っている。その観点からすると、重要なのは生産年齢人口の動向だ。生産年齢人口というのは15歳―64歳の人口で、経済活動に携われる年齢層。日本の生産年齢人口は09年をピークに減少、ことし1月1日時点では7479万6041人に減っている。
このうち日本人は7226万2175人。1995年に比べると1439万人も減少した。一方、外国人の生産年齢人口はことし1月1日時点で253万3886人。この10年間で86万5000人も増えた。こうしてみると仮に外国人労働者がいなかったら、日本経済は人手不足で行き詰まっているに違いない。だから最低賃金の引き上げなど、外国人が働きやすい環境を整ることが大切になってくる。
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◇ 決断を迫られる政府・大阪府・市 = 25年大阪・関西万博の準備が進まない。「いのち輝く未来社会のデザイン」をテーマに153の国と地域が参加、約60か国が独自のパビリオンを開設する予定。だが、その多くが建設申請をまだ大阪市に提出しておらず、建築業者を選定できたのは6件だけ。関係者によると、全体の進捗状況は「すでに予想より半年遅れ」となっている。
理由は建設コストの高騰。鋼材やセメントは、3年前に比べると5割以上も値上がりした。また人件費もじり高歩調となっている。このため各国の予算では、建築業者が受注できない。といって予算の増額は難しく、なかにはパビリオンの縮小や参加の辞退まで考える国もあるという。日本政府も焦り始め、岸田首相は関係閣僚にハッパをかけたが、効果は上がっていないのが現状。
こうした状況下で、いろんな方面から「万博延期論」の煙が上がり始めた。その根拠の1つに、前回ドバイ万博の延期がある。このドバイ万博は当初、20年の開催が予定されていた。しかしコロナ禍で、ほぼ1年延期、。22年3月に終了した。つまり前回の万博が終わってから、まだ1年半も経っていない。このため各国には‟万博疲れ”の風潮さえみえる。だから大阪万博も1年延期した方がよいという意見で、なかなか説得力もある。
1年延期すれば、多くの国が予算を増額できるだろう。いまのまま強行して、貧弱な内容の万博になるよりは賢明ではないか。各国も歓迎するのでは。ただ延期するのにも、早い決断が必要だ。決断が遅れると、混乱が大きくなる。いずれにしても、政府・大阪府・市は決断を迫られている。その勇気があるのかどうか。いま試されている。
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理由は建設コストの高騰。鋼材やセメントは、3年前に比べると5割以上も値上がりした。また人件費もじり高歩調となっている。このため各国の予算では、建築業者が受注できない。といって予算の増額は難しく、なかにはパビリオンの縮小や参加の辞退まで考える国もあるという。日本政府も焦り始め、岸田首相は関係閣僚にハッパをかけたが、効果は上がっていないのが現状。
こうした状況下で、いろんな方面から「万博延期論」の煙が上がり始めた。その根拠の1つに、前回ドバイ万博の延期がある。このドバイ万博は当初、20年の開催が予定されていた。しかしコロナ禍で、ほぼ1年延期、。22年3月に終了した。つまり前回の万博が終わってから、まだ1年半も経っていない。このため各国には‟万博疲れ”の風潮さえみえる。だから大阪万博も1年延期した方がよいという意見で、なかなか説得力もある。
1年延期すれば、多くの国が予算を増額できるだろう。いまのまま強行して、貧弱な内容の万博になるよりは賢明ではないか。各国も歓迎するのでは。ただ延期するのにも、早い決断が必要だ。決断が遅れると、混乱が大きくなる。いずれにしても、政府・大阪府・市は決断を迫られている。その勇気があるのかどうか。いま試されている。
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◇ 高値警戒で小幅な上昇 = ダウ平均は先週216ドルの値上がり。ムーディーズ社による地銀など10行の格下げ、消費者物価の反騰、長期金利の上昇、中国やEUの景気低迷など、市場にとっては好ましくない材料が続出した。さらに高値警戒で確定売りも増えている。しかしアメリカ経済の‟軟着陸”に対する期待は大きく、株価は小幅ながら上昇して終わった。
日経平均は先週281円の値上がり。アメリカの金利上昇で、円相場が144円台にまで下落。ニューヨーク市場の神経質な動きにも影響を受けた。中国の景気低迷で、中国関連銘柄が下げている。ただ中国政府が日本向け団体旅行の規制を解除したことは、想定外の朗報。いち早く旅行・宿泊関連や小売り関連の銘柄が買われた。
ニューヨーク市場の重荷は2つ。まず7月の消費者物価が13か月ぶりに反騰したため、FRBによる9月の利上げが可能性を増したこと。このためもあって、高値警戒感がいっそう強まったことである。じっさいSP500の予想PERは19倍という高さ。企業業績の先行き見通しがやや悪化していることもあって、株価は上昇しにくくなってきた。東京市場では、円安がどこまで進むかに注目が集まりそう。
今週は15日に、4-6月期のGDP速報。16日に、7月の訪日外国人客数。17日に、7月の貿易統計、6月の機械受注、第3次産業活動指数。18日に、7月の消費者物価。アメリカでは15日に、7月の小売り売上高、8月のNAHB住宅市場指数。16日に、工業生産、住宅着工戸数。また中国が15日に、7月の鉱工業生産、小売り売上高、固定資産投資額を発表する。
≪14日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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日経平均は先週281円の値上がり。アメリカの金利上昇で、円相場が144円台にまで下落。ニューヨーク市場の神経質な動きにも影響を受けた。中国の景気低迷で、中国関連銘柄が下げている。ただ中国政府が日本向け団体旅行の規制を解除したことは、想定外の朗報。いち早く旅行・宿泊関連や小売り関連の銘柄が買われた。
ニューヨーク市場の重荷は2つ。まず7月の消費者物価が13か月ぶりに反騰したため、FRBによる9月の利上げが可能性を増したこと。このためもあって、高値警戒感がいっそう強まったことである。じっさいSP500の予想PERは19倍という高さ。企業業績の先行き見通しがやや悪化していることもあって、株価は上昇しにくくなってきた。東京市場では、円安がどこまで進むかに注目が集まりそう。
今週は15日に、4-6月期のGDP速報。16日に、7月の訪日外国人客数。17日に、7月の貿易統計、6月の機械受注、第3次産業活動指数。18日に、7月の消費者物価。アメリカでは15日に、7月の小売り売上高、8月のNAHB住宅市場指数。16日に、工業生産、住宅着工戸数。また中国が15日に、7月の鉱工業生産、小売り売上高、固定資産投資額を発表する。
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◇ サービス価格の上昇は続く = 米労働省の発表によると、7月の消費者物価は前年比3.2%の上昇だった。6月の3.0%上昇より、やや上昇率が拡大している。アメリカの物価は昨年6月の9.1%上昇から順調に鈍化してきたが、13か月ぶりに上昇率が広がった。ただ市場では「この小さな反騰は一時的なもの。インフレは克服された」という見方がいぜん大勢を占めている。しかし「インフレ圧力はまだ強い。インフレ克服説は時期尚早」という慎重論も少なくない。
慎重論の根拠の1つは、エネルギーと食料品を除いたコア指数が4.7%上昇とまだ高いこと。ガソリン価格は大幅に下がったが、それを除くと物価はまだ高水準。さらに人手不足から人件費が高騰しており、特にサービス価格は今後も上昇が続く。要するに現在の状況は、コロナ禍やウクライナ戦争による当初の衝撃から回復しただけだ。したがってインフレ対策はまだ必要だし、これが9月の利上げ説にもつながってくる。
ヨーロッパでは、もっと状況がはっきりしている。EU統計局の発表によると、ユーロ圏の7月の消費者物価は前年比5.3%の上昇だった。ここでも物価の上昇率は順調に縮小しているが、それでもECB(ヨーロッパ中央銀行)は9回目の利上げに踏み切った。コア指数は5.5%上昇と高く、アメリカのような「インフレ克服説」は全く聞かれない。
さて、日本の場合はどうか。総務省の発表によると、6月の生鮮食品を除いた消費者物価は前年比3.3%の上昇だった。数字の上からみる限り、日本の物価の方がアメリカよりも高くなっている。ところが不思議なことに、日本ではインフレ警戒感が全くない。経済全体がデフレ体質から抜け出せないためなのだろう。しかし日本でも人手不足から人件費は上がる方向。これに原油価格の高騰が加わったら、インフレ問題が一気に噴き出すのではないか。
≪14日の日経平均 = 下げ -413.74円≫
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慎重論の根拠の1つは、エネルギーと食料品を除いたコア指数が4.7%上昇とまだ高いこと。ガソリン価格は大幅に下がったが、それを除くと物価はまだ高水準。さらに人手不足から人件費が高騰しており、特にサービス価格は今後も上昇が続く。要するに現在の状況は、コロナ禍やウクライナ戦争による当初の衝撃から回復しただけだ。したがってインフレ対策はまだ必要だし、これが9月の利上げ説にもつながってくる。
ヨーロッパでは、もっと状況がはっきりしている。EU統計局の発表によると、ユーロ圏の7月の消費者物価は前年比5.3%の上昇だった。ここでも物価の上昇率は順調に縮小しているが、それでもECB(ヨーロッパ中央銀行)は9回目の利上げに踏み切った。コア指数は5.5%上昇と高く、アメリカのような「インフレ克服説」は全く聞かれない。
さて、日本の場合はどうか。総務省の発表によると、6月の生鮮食品を除いた消費者物価は前年比3.3%の上昇だった。数字の上からみる限り、日本の物価の方がアメリカよりも高くなっている。ところが不思議なことに、日本ではインフレ警戒感が全くない。経済全体がデフレ体質から抜け出せないためなのだろう。しかし日本でも人手不足から人件費は上がる方向。これに原油価格の高騰が加わったら、インフレ問題が一気に噴き出すのではないか。
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◇ 物価高で伸び悩む個人消費 = 内閣府は15日、ことし4-6月期のGDP速報を発表した。それによると、年率換算した実質成長率は6.0%で、事前の予測を大きく上回った。四半期の成長率が6%に達したのは、20年10-12月期以来のこと。ただ内容をみると、外需の貢献度が7.2%だったのに対して、内需はマイナス1.2%と振るわなかった。このため7-9月期以降もプラス成長を持続できるかどうか、疑問視する専門家も少なくない。
GDPの構成項目をみると、いずれも年率換算で個人消費は2.2%の減少。住宅投資は7.7%の増加、企業の設備投資は0.1%の増加、輸出は13.6%の増加、輸入は16.2%の減少だった。コロナの5類移行で経済の正常化が進んだのに消費が減少したのは、物価高の影響が大きい。また輸入が大幅に減少したのは、原油の国際価格が下がったため。このように燃料の輸入価格が減ると、成長率は上向く。このことは銘記しておく必要があるだろう。
ことし4-6月期の実質成長率はアメリカが2.4%、ユーロ圏が1.1%、中国が3.2%だった。したがって日本の6.0%成長は断トツに高い。だが今後もその優位を持続できるかというと、かなり覚束ない。というのも物価高で実質所得が伸びず、消費の委縮は続きそう。加えて原油の国際価格が上昇し始めたから、輸入の減少も期待できないからだ。
高い成長率を持続するためには、まず物価を下げて消費の回復を計ること。次いで輸入燃料を減らうようなエネルギー政策を推進することが肝要だ。しかし政府・日銀は、それと反対の方向に動いている。補助金をいくら出しても、物価上昇の原因には触れない。ゼロ金利政策に固執して円安を放置、輸入価格を引き上げている。だから企業も安心して設備投資を増やせない。
≪15日の日経平均 = 上げ +178.98円≫
≪16日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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GDPの構成項目をみると、いずれも年率換算で個人消費は2.2%の減少。住宅投資は7.7%の増加、企業の設備投資は0.1%の増加、輸出は13.6%の増加、輸入は16.2%の減少だった。コロナの5類移行で経済の正常化が進んだのに消費が減少したのは、物価高の影響が大きい。また輸入が大幅に減少したのは、原油の国際価格が下がったため。このように燃料の輸入価格が減ると、成長率は上向く。このことは銘記しておく必要があるだろう。
ことし4-6月期の実質成長率はアメリカが2.4%、ユーロ圏が1.1%、中国が3.2%だった。したがって日本の6.0%成長は断トツに高い。だが今後もその優位を持続できるかというと、かなり覚束ない。というのも物価高で実質所得が伸びず、消費の委縮は続きそう。加えて原油の国際価格が上昇し始めたから、輸入の減少も期待できないからだ。
高い成長率を持続するためには、まず物価を下げて消費の回復を計ること。次いで輸入燃料を減らうようなエネルギー政策を推進することが肝要だ。しかし政府・日銀は、それと反対の方向に動いている。補助金をいくら出しても、物価上昇の原因には触れない。ゼロ金利政策に固執して円安を放置、輸入価格を引き上げている。だから企業も安心して設備投資を増やせない。
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◇ 主要な経済指標がいっせいに悪化 = 中国統計局は15日、7月の主要経済指標を発表した。それによると、鉱工業生産は前年比3.7%の増加で、6月の4.4%増加から悪化。小売り売上高は2.5%の増加で、6月の3.1%増加から悪化。固定資産投資額も1-7月は3.4%増加で、1-6月の3.8%増加から悪化。また失業率も5.3%で、前月より0.1ポイント悪化した。こうした経済の不振は、想像を絶する不動産不況が主たる原因。たとえば不動産の投資額は17か月連続で、販売額は25か月連続で減少した。
とにかくマンションなど住宅が売れず、価格がどんどん下落している。統計局の発表によると、新築住宅の販売面積は22年中に26.8%減少したあと、ことし1-6月も2.8%減少した。この結果、7月の新築住宅の販売価格は主要70都市のうち49都市で下落した。特に地方の中小都市では売れず、なかにはマンションの1戸を買ったら、もう1戸がおまけという例まであるという。「住宅価格は上がり続ける」という神話は、完全に崩壊してしまった。
日本のテレビ・ニュースでも、高層マンションが林立しながら無人の街となった地方都市の風景がよく映し出された。そこで思い出されるのが、経営不振に陥った不動産最大手の恒大集団だ。その恒大が発表したところによると、22-23年の2年間で最終赤字は5800億元(約11兆2000億円)になる見通し。加えてやはり最大手の不動産会社である碧桂園が、ことし1-6月に500億元の赤字を出したと発表した。
不動産会社の従業員は、昨年だけで10万人が解雇された。そして住宅の売れ行きが悪くなると、自動車や家具、家電などの消費も減退する。それがいま生産や小売り売上高、雇用などの経済統計を、いっせいに悪化させる結果となって現われているわけだ。しかも不動産不況は地方政府の財政を圧迫、財政面からの対策を打ち出す余裕すらなくなってしまった。事態はきわめて深刻である。
(続きは明日)
≪16日の日経平均 = 下げ -472.07円≫
≪17日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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とにかくマンションなど住宅が売れず、価格がどんどん下落している。統計局の発表によると、新築住宅の販売面積は22年中に26.8%減少したあと、ことし1-6月も2.8%減少した。この結果、7月の新築住宅の販売価格は主要70都市のうち49都市で下落した。特に地方の中小都市では売れず、なかにはマンションの1戸を買ったら、もう1戸がおまけという例まであるという。「住宅価格は上がり続ける」という神話は、完全に崩壊してしまった。
日本のテレビ・ニュースでも、高層マンションが林立しながら無人の街となった地方都市の風景がよく映し出された。そこで思い出されるのが、経営不振に陥った不動産最大手の恒大集団だ。その恒大が発表したところによると、22-23年の2年間で最終赤字は5800億元(約11兆2000億円)になる見通し。加えてやはり最大手の不動産会社である碧桂園が、ことし1-6月に500億元の赤字を出したと発表した。
不動産会社の従業員は、昨年だけで10万人が解雇された。そして住宅の売れ行きが悪くなると、自動車や家具、家電などの消費も減退する。それがいま生産や小売り売上高、雇用などの経済統計を、いっせいに悪化させる結果となって現われているわけだ。しかも不動産不況は地方政府の財政を圧迫、財政面からの対策を打ち出す余裕すらなくなってしまった。事態はきわめて深刻である。
(続きは明日)
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◇ 融資平台の債務は1300兆円に = 融資平台とは聞きなれない名前かもしれないが、中国の地方政府が設立した一種の投資会社だ。中国の地方政府は法律によって債券発行以外、資金の調達が出来ない。そこで‟抜け穴”となるのが、この融資平台である。まず金融機関からの借り入れ。後ろに地方政府がついているから、いくらでも借りられた。また土地の使用権を業者に売って、資金を調達する。土地はすべて国が所有しているから、原資は無限だ。
北京政府の指示のもと、これまで地方政府はこうして調達した資金を使って、不動産の開発を推進してきた。それが高度成長を生み出す源泉ともなってきたわけだ。ところがバブルが崩壊、土地の買い手が見付からない。IMF(国際通貨基金)の推計によると、金融機関からの借り入れも累計1300兆円に達したという。これ以上は借りられない。
要するに資金不足。だから景気が悪くなってきても、財政面からの対策が打てない。仕方がないので、いまは人民銀行の金利引き下げに頼っている状態だ。しかし金利が下がったからと言って、住宅を買う人は限られる。一方、売りに出されているのはみな投機目的で購入された物件だから、金利とは関係なく早く売ってしまいたい。利下げの効果は、どうしても限定的にならざるをえない。
中国共産党は7月下旬に開いた中央政治局会議で「不動産の需給関係に重大な変化が生じた」と認めた。しかし習近平政権はまだ「ことし5%成長」という目標を降ろしていない。近く大規模な景気対策を打ち出すという推測も出ているが、真偽のほどは全く不明。仮に中国の成長率がゼロに近付けば、世界経済への影響もきわめて大きい。バイデン米大統領は「中国経済は時限爆弾、いまの成長率は2%程度」と述べている。
≪17日の日経平均 = 下げ -140.82円≫
≪18日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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北京政府の指示のもと、これまで地方政府はこうして調達した資金を使って、不動産の開発を推進してきた。それが高度成長を生み出す源泉ともなってきたわけだ。ところがバブルが崩壊、土地の買い手が見付からない。IMF(国際通貨基金)の推計によると、金融機関からの借り入れも累計1300兆円に達したという。これ以上は借りられない。
要するに資金不足。だから景気が悪くなってきても、財政面からの対策が打てない。仕方がないので、いまは人民銀行の金利引き下げに頼っている状態だ。しかし金利が下がったからと言って、住宅を買う人は限られる。一方、売りに出されているのはみな投機目的で購入された物件だから、金利とは関係なく早く売ってしまいたい。利下げの効果は、どうしても限定的にならざるをえない。
中国共産党は7月下旬に開いた中央政治局会議で「不動産の需給関係に重大な変化が生じた」と認めた。しかし習近平政権はまだ「ことし5%成長」という目標を降ろしていない。近く大規模な景気対策を打ち出すという推測も出ているが、真偽のほどは全く不明。仮に中国の成長率がゼロに近付けば、世界経済への影響もきわめて大きい。バイデン米大統領は「中国経済は時限爆弾、いまの成長率は2%程度」と述べている。
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◇ 選挙があるから延長するしかない = ガソリンを1リットル=200円で売る給油所も現れた。資源エネルギー庁によると、14日時点のレギュラー・ガソリン全国平均価格は1リットル=181.9円だった。過去15週間連続の値上がりで、15年ぶりの高値。長野県など一部の山間部では200円を超している。高騰の原因は、①原油の国際価格が上昇②政府による補助金の縮小③円安の進行--の3つ。このうち補助金は9月で終了の予定だから、もし延長されなければ10月には全国平均が200円に接近することになりそうだ。
政府は物価の高騰を抑制するため、電気と都市ガスにも補助金を出している。たとえば電気の場合は、平均的な家庭で月1820円。ガスの場合は月900円をメーカーに支払い、その分だけ料金が安くなるようにしている。だが、この補助金も9月には半額に減り、10月には終了する予定。だから延長されなければ、10月からはその分だけ料金が上がることになる。
自民・公明党の内部では、すでに延長を求める声が湧き上がっている。「補正予算では間に合わないから、予備費を使え」という主張も強い。何に間に合わないのか。もちろん、選挙である。選挙を前に物価が高騰したら、戦えない。このため政府も、補助金の延長はせざるをえない。ただし、その規模と期間をどうするか。いま秘かに検討している最中だろう。
補助金の延長には、反対論も少なくない。ガソリン・電気・ガスの料金を引き下げることは、その消費を促進することにつながる。燃料の輸入を増大させ、脱炭素にも逆行する。そんな政策に5兆―10兆円の税金を使っていいのか。また補助金はすべて一時しのぎの膏薬貼り。もっと根本的なエネルギー構造の改革に、資金を使うべきだ。こうした意見は正論に違いないが、選挙を前にしては影が薄い。
≪18日の日経平均 = 下げ -175.24円≫
【今週の日経平均予想 = 4勝1敗】
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政府は物価の高騰を抑制するため、電気と都市ガスにも補助金を出している。たとえば電気の場合は、平均的な家庭で月1820円。ガスの場合は月900円をメーカーに支払い、その分だけ料金が安くなるようにしている。だが、この補助金も9月には半額に減り、10月には終了する予定。だから延長されなければ、10月からはその分だけ料金が上がることになる。
自民・公明党の内部では、すでに延長を求める声が湧き上がっている。「補正予算では間に合わないから、予備費を使え」という主張も強い。何に間に合わないのか。もちろん、選挙である。選挙を前に物価が高騰したら、戦えない。このため政府も、補助金の延長はせざるをえない。ただし、その規模と期間をどうするか。いま秘かに検討している最中だろう。
補助金の延長には、反対論も少なくない。ガソリン・電気・ガスの料金を引き下げることは、その消費を促進することにつながる。燃料の輸入を増大させ、脱炭素にも逆行する。そんな政策に5兆―10兆円の税金を使っていいのか。また補助金はすべて一時しのぎの膏薬貼り。もっと根本的なエネルギー構造の改革に、資金を使うべきだ。こうした意見は正論に違いないが、選挙を前にしては影が薄い。
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◇ 中国経済の不調が最大の不安材料 = ダウ平均は先週781ドルの値下がり。終り値は3万4501ドルで、ちょうど1か月前の水準に逆戻りした。格付け会社フィッチが70行以上の銀行を格下げすると発表して、金融株が軒並み安。また7月の小売り売上高が予想より伸びて、FRBによる金融引き締めが長引くという予測が強まった。市場ではまだ‟軟着陸”への期待が大勢を占めているが、その勢いはやや弱まってきている。
日経平均は先週1023円の大幅な値下がり。終り値は3万1451円で、6月1日の水準に逆戻りした。3月期決算の見通しが6%の増益となるなど好材料も発表されたが、株価は反応せず。というのも、その先の展望がにわかに暗くなってきたからだ。具体的には、FRBによる利上げがまだ続きそうなこと。さらに大きいのは、中国経済の不調が予想以上に厳しいこと。市場には弱気ムードが急速に広がっている。
ニューヨーク市場の場合は、FRBによる利上げ継続見通しが最大の不安要因。それに中国経済が加わった感じ。これに対して東京市場の場合は、中国が最大の不安要因。これにFRBの利上げが加わった感じ。したがって、日経平均は今後も中国経済の動向に影響される度合いが大きい。もう1つ、円安が進んだが株価は上がらなくなった。その原因を究明することも重要だろう。
今週は25日に、8月の東京都区部・消費者物価、7月の企業向けサービス価格。アメリカでは22日に、7月の中古住宅販売。23日に、7月の新築住宅販売が発表される。
≪21日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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日経平均は先週1023円の大幅な値下がり。終り値は3万1451円で、6月1日の水準に逆戻りした。3月期決算の見通しが6%の増益となるなど好材料も発表されたが、株価は反応せず。というのも、その先の展望がにわかに暗くなってきたからだ。具体的には、FRBによる利上げがまだ続きそうなこと。さらに大きいのは、中国経済の不調が予想以上に厳しいこと。市場には弱気ムードが急速に広がっている。
ニューヨーク市場の場合は、FRBによる利上げ継続見通しが最大の不安要因。それに中国経済が加わった感じ。これに対して東京市場の場合は、中国が最大の不安要因。これにFRBの利上げが加わった感じ。したがって、日経平均は今後も中国経済の動向に影響される度合いが大きい。もう1つ、円安が進んだが株価は上がらなくなった。その原因を究明することも重要だろう。
今週は25日に、8月の東京都区部・消費者物価、7月の企業向けサービス価格。アメリカでは22日に、7月の中古住宅販売。23日に、7月の新築住宅販売が発表される。
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◇ 物価上昇が消費を抑制 = 外国為替市場では先週17日、円の対ドル相場が一時146.5円まで下落した。この水準は昨年9月、政府が介入したときの145.9円を下回っている。このため投機筋も介入を警戒して、やや円売りをためらっているのが現状だ。しかし最近の円相場の水準は、コロナ前に比べると45円も安い。しかも米ドル以外の通貨に対しても値を下げており、日本の輸入物価を高騰させている。
円安が進行した原因は明らか。アメリカでは消費者物価が13か月ぶりに反騰、小売り売上高も予想以上に堅調だった。このためFRBによる利上げが長引くと予想され、長期金利が4.3%程度にまで上昇。これに対して日銀は長期金利の上限を1%まで許容することに姿勢を修正したが、実際には0.65%程度に抑え込んでいる。その結果、日米間の金利差はむしろ拡大、これが円安を進行させることになった。
円安は輸入物価の上昇を招き、物価高の大きな原因となる。たとえば7月の消費者物価は、食料品とエネルギーを除いても前年比4.3%の上昇だった。これが平均的な賃上げ率を上回ったため、実質所得は減少。家計の消費支出を減退させる結果となっている。そして1つの重大な変化が現われた。これまでは円安が株高をもたらしてきたが、最近は円安は株安に。企業が物価高による消費の減退を心配するようになったからである。
要するに、円安の副作用が許容できる範囲を超えてきたと言えるだろう。にもかかわらず、日銀は相変わらず超金融緩和に固執し続ける。いったい何のためのゼロ金利政策なのか。日銀は弁明すべきだろう。日銀が円安の進行を助長する政策を続けながら、政府は「介入も辞さない」と言う。こんな変てこな政策を見て、世界中が笑っている。
≪21日の日経平均 = 上げ +114.88円≫
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円安が進行した原因は明らか。アメリカでは消費者物価が13か月ぶりに反騰、小売り売上高も予想以上に堅調だった。このためFRBによる利上げが長引くと予想され、長期金利が4.3%程度にまで上昇。これに対して日銀は長期金利の上限を1%まで許容することに姿勢を修正したが、実際には0.65%程度に抑え込んでいる。その結果、日米間の金利差はむしろ拡大、これが円安を進行させることになった。
円安は輸入物価の上昇を招き、物価高の大きな原因となる。たとえば7月の消費者物価は、食料品とエネルギーを除いても前年比4.3%の上昇だった。これが平均的な賃上げ率を上回ったため、実質所得は減少。家計の消費支出を減退させる結果となっている。そして1つの重大な変化が現われた。これまでは円安が株高をもたらしてきたが、最近は円安は株安に。企業が物価高による消費の減退を心配するようになったからである。
要するに、円安の副作用が許容できる範囲を超えてきたと言えるだろう。にもかかわらず、日銀は相変わらず超金融緩和に固執し続ける。いったい何のためのゼロ金利政策なのか。日銀は弁明すべきだろう。日銀が円安の進行を助長する政策を続けながら、政府は「介入も辞さない」と言う。こんな変てこな政策を見て、世界中が笑っている。
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◇ それでも株価が軟調な理由 = 上場企業の決算発表がほぼ出揃った。日経新聞が発表を終えた1167社の決算を集計したところによると、4-6月期の純利益は前年比50.4%の増加だった。このうち製造業は12.0%の増益。半導体の供給回復、値上げ、円安が利益を押し上げた。また非製造業は2.2倍の増益。コロナ規制の解除による経済の正常化と値上げが大きく貢献している。利益の金額は過去最大を更新。全体として、企業の業績は絶好調だ。
売り上げをみると、製造業は8.7%の増加。非製造業も6.6%の増加だった。家計調査によると、4-6月期は全世帯の名目消費支出は1.0%減少している。したがって売り上げ増加分は、ほとんどが値上げによるものだったと考えられる。その一方で原材料やエネルギーの値上がりが落ち着いたため、利益が大幅に増大した。
ところが株価は、このところ下がり気味。日経平均は先週1000円を超す大幅な値下がりだった。これは市場が、その先の見通しについて警戒感を持ち始めたためだろう。たとえば中国経済の不調。その兆候は4-6月期の決算にも表れてきている。製造業のなかで中国への依存度が高い化学は27.5%の減益、非鉄金属も58.1%の減益だった。
さらに値上げは企業の利益を増加させたが、消費者の節約志向を強める結果ももたらした。賃金上昇が物価高に追い付かないため、消費者の実質所得は減少しつつある。この傾向が続けば、企業は値引き競争に追い込まれるかもしれない。いまは絶好調だが、この明るさはどこまで続くのか。株式市場は、それを心配しているようだ。
≪22日の日経平均 = 上げ +291.07円≫
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売り上げをみると、製造業は8.7%の増加。非製造業も6.6%の増加だった。家計調査によると、4-6月期は全世帯の名目消費支出は1.0%減少している。したがって売り上げ増加分は、ほとんどが値上げによるものだったと考えられる。その一方で原材料やエネルギーの値上がりが落ち着いたため、利益が大幅に増大した。
ところが株価は、このところ下がり気味。日経平均は先週1000円を超す大幅な値下がりだった。これは市場が、その先の見通しについて警戒感を持ち始めたためだろう。たとえば中国経済の不調。その兆候は4-6月期の決算にも表れてきている。製造業のなかで中国への依存度が高い化学は27.5%の減益、非鉄金属も58.1%の減益だった。
さらに値上げは企業の利益を増加させたが、消費者の節約志向を強める結果ももたらした。賃金上昇が物価高に追い付かないため、消費者の実質所得は減少しつつある。この傾向が続けば、企業は値引き競争に追い込まれるかもしれない。いまは絶好調だが、この明るさはどこまで続くのか。株式市場は、それを心配しているようだ。
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◇ 給与の引き上げだけでは難しい = 人事院は国会と内閣に対して「国家公務員の給与を大幅に引き上げるよう」勧告した。月給やボーナスのほか初任給も引き上げ、今年度の平均所得を3.3%増額するよう求めている。また選択的週休3日制の導入など、働き方改革の推進についても要請した。実現すれば年間給与は平均10万5000円増え、過去5年の平均に比べて約10倍のベースアップになるという。
基本的には、民間の賃上げが大幅だったことに対応した措置。だが根底には、若者の‟官僚離れ”をなんとか是正したいという危機感が流れているようだ。たとえば、ことしの総合職試験。申込者は1万4372人で過去2番目に少なかった。この結果、合格率は7.1倍で過去最低。さらに総合職の入省5年未満の退職率は、16年度の採用者で10%に達している。
政府も早期退職者を減らすため、いろいろ対策は講じてきた。その1つが、選択的週休3日制の拡大。育児や介護のほか、フレックスタイムを利用する職員が総勤務時間は減らさずに月-金のうちの1日を休めるようにすることを検討中だ。しかし‟官僚離れ”の傾向はなかなか止まりそうにない。東大卒の若手官僚も、めっきり減った。
そうしたなかで最近、大きな話題となっているのが世に言う「国会待機」の問題。与野党議員が国会で質問する内容を受け取り、その答弁作りを深夜まで行う作業だ。働き方改革を妨げるばかりか、きわめて不経済な結果を生んでいる。これも若者が官僚を敬遠する原因だと指摘されているのだが、因果関係はそんなに単純なものではない。問題の本質は、もっと深いところにあるのではないか。
(続きは明日)
≪23日の日経平均 = 上げ +153.55円≫
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基本的には、民間の賃上げが大幅だったことに対応した措置。だが根底には、若者の‟官僚離れ”をなんとか是正したいという危機感が流れているようだ。たとえば、ことしの総合職試験。申込者は1万4372人で過去2番目に少なかった。この結果、合格率は7.1倍で過去最低。さらに総合職の入省5年未満の退職率は、16年度の採用者で10%に達している。
政府も早期退職者を減らすため、いろいろ対策は講じてきた。その1つが、選択的週休3日制の拡大。育児や介護のほか、フレックスタイムを利用する職員が総勤務時間は減らさずに月-金のうちの1日を休めるようにすることを検討中だ。しかし‟官僚離れ”の傾向はなかなか止まりそうにない。東大卒の若手官僚も、めっきり減った。
そうしたなかで最近、大きな話題となっているのが世に言う「国会待機」の問題。与野党議員が国会で質問する内容を受け取り、その答弁作りを深夜まで行う作業だ。働き方改革を妨げるばかりか、きわめて不経済な結果を生んでいる。これも若者が官僚を敬遠する原因だと指摘されているのだが、因果関係はそんなに単純なものではない。問題の本質は、もっと深いところにあるのではないか。
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◇ ‟国家用務員”に成り下がった官僚たち = 午前2時。東京・霞が関を通ると、各官庁ビルが煌々と輝いている。そして裏玄関には、タクシーが長蛇の列。国会開会中にだけ見られる光景だ。ビルのなかではたくさんの官僚が、与野党議員がその日に国会で行う予定の質問に対する政府側の答弁を作成中。あるいは質問内容が届くのを待っている。これが、いわゆる‟国会待機”と呼ばれる現象だ。こんなに不経済な慣行は、あまり例をみない。
与野党側もその不合理さに気付き、ことし6月「速やかな通告に努める」ことで合意した。その結果、先の通常国会では官僚がすべての答弁案を作成し終えた時刻は、昨年の臨時国会より1時間14分早まっている。だが、それでも終了時刻は平均で午前1時42分という状態。働き方改革と言うには、ほど遠い。いま‟官僚離れ”の一因だと指摘されている。
しかし‟国会待機”は、1950年代から始まった現象。それでも‟官僚離れ”は起きなかった。当時の若い官僚はこの待機時間を利用して、政策論議を戦わせていたように思う。そこで新しい政策ビジョンがまとまると、幹部を経て大臣へ。重大な政策や法律改正が実現することも多かった。大臣に国会で読ませる答弁書に、こんな新政策論を織り込ませる技術も横行したようだ。
当時の若手官僚は、自分たちが日本を動かし、日本の将来を決めるのだという気概を持っていた。だが、いまはそれがない。大きな原因は首相官邸が大きな権限を持ち、重要な政策を決定するようになったからだ。そこで決まった政策が各官庁へ降ろされ、細かい肉付けがされる。つまり各官庁の官僚は、官邸の下請けになってしまった。このことが、いいか悪いかは判定が難しい。しかし、いま若者が官僚を敬遠する大きな原因となっていることは否めない。ある若手官僚は「われわれは国家用務員に成り下がった」と嘆いていた。
≪24日の日経平均 = 上げ +276.95円≫
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与野党側もその不合理さに気付き、ことし6月「速やかな通告に努める」ことで合意した。その結果、先の通常国会では官僚がすべての答弁案を作成し終えた時刻は、昨年の臨時国会より1時間14分早まっている。だが、それでも終了時刻は平均で午前1時42分という状態。働き方改革と言うには、ほど遠い。いま‟官僚離れ”の一因だと指摘されている。
しかし‟国会待機”は、1950年代から始まった現象。それでも‟官僚離れ”は起きなかった。当時の若い官僚はこの待機時間を利用して、政策論議を戦わせていたように思う。そこで新しい政策ビジョンがまとまると、幹部を経て大臣へ。重大な政策や法律改正が実現することも多かった。大臣に国会で読ませる答弁書に、こんな新政策論を織り込ませる技術も横行したようだ。
当時の若手官僚は、自分たちが日本を動かし、日本の将来を決めるのだという気概を持っていた。だが、いまはそれがない。大きな原因は首相官邸が大きな権限を持ち、重要な政策を決定するようになったからだ。そこで決まった政策が各官庁へ降ろされ、細かい肉付けがされる。つまり各官庁の官僚は、官邸の下請けになってしまった。このことが、いいか悪いかは判定が難しい。しかし、いま若者が官僚を敬遠する大きな原因となっていることは否めない。ある若手官僚は「われわれは国家用務員に成り下がった」と嘆いていた。
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◇ 新しい変異株も出現した = CDC(米疾病対策センター)は「アメリカでコロナ・ウイルスの新しい変異株が流行し始めた」と発表した。オミクロン型から派生した「エリス」と呼ばれる新種で、感染力が非常に強い。8月5日までの1週間で、入院患者は約1万人、前週より14%増加した。CDCでは「コロナ感染者の2割がエリスによるもの」と推定している。
日本でも、コロナ感染者が急増している。厚生労働省の発表によると、7月31日-8月6日の1週間に全国5000の医療機関から報告された感染者数は7万7937人。政府がコロナ感染症の扱いを5類に引き下げた5月上旬に比べると、ほぼ6倍に増加している。この増加スピードは、第7波や第8波のときと変わらない。第9波が進行していることは確実で、お盆休みによって流行が加速する恐れもある。
政府はコロナ感染症を5類に格下げしたのに伴い、全国の医療機関から即日集計する全数把握を止めてしまった。現在は5000の医療機関を指定し、そこからの報告だけを集計する定点把握に変えている。したがって実際の感染者数は、発表される数字よりもかなり多いはずだ。そのうえ集計は2週間遅れ。だから現時点での状況は、全く判らない。
5類というのは、季節性インフルエンザ並みの扱い。季節性インフルエンザは定点把握しかしていない。だからコロナ感染症も、全数・即日把握を止めてしまった。このため、たとえば新しい変異株が入ってきても、2週間後でなければ判明しない。こんなことで、いいのだろうか。この点については、専門家も何も言わない。無責任だと思う。
≪25日の日経平均 = 下げ -662.93円≫
【今週の日経平均予想 = 4勝1敗】
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日本でも、コロナ感染者が急増している。厚生労働省の発表によると、7月31日-8月6日の1週間に全国5000の医療機関から報告された感染者数は7万7937人。政府がコロナ感染症の扱いを5類に引き下げた5月上旬に比べると、ほぼ6倍に増加している。この増加スピードは、第7波や第8波のときと変わらない。第9波が進行していることは確実で、お盆休みによって流行が加速する恐れもある。
政府はコロナ感染症を5類に格下げしたのに伴い、全国の医療機関から即日集計する全数把握を止めてしまった。現在は5000の医療機関を指定し、そこからの報告だけを集計する定点把握に変えている。したがって実際の感染者数は、発表される数字よりもかなり多いはずだ。そのうえ集計は2週間遅れ。だから現時点での状況は、全く判らない。
5類というのは、季節性インフルエンザ並みの扱い。季節性インフルエンザは定点把握しかしていない。だからコロナ感染症も、全数・即日把握を止めてしまった。このため、たとえば新しい変異株が入ってきても、2週間後でなければ判明しない。こんなことで、いいのだろうか。この点については、専門家も何も言わない。無責任だと思う。
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◇ 金融政策の先行きは不透明 = ダウ平均は先週154ドルの値下がり。3万4000ドル台前半を行ったり来たりした。市場の関心は、ジャクソンホールで週末に行なわれたパウエルFRB議長の講演に集中。その予想を巡って一喜一憂した。ところがパウエル議長は「必要なら利上げを続ける」「景気動向にも配慮する」と、のらりくらり。政策の先行きについては、手がかりさえも与えなかった。このため市場では「やっぱり9月も利上げかな」といった空気に傾きつつあるようだ。
日経平均は先週174円の値上がり。ニューヨーク市場の軟調にもかかわらず週初から連騰、押し目買いの勢いを見せつけた。しかし金曜日には大きく反落している。アメリカの長期金利が一時4.35%と15年9か月ぶりの高さに上昇したため、ドル高・円安がさらに進んだ。また長期金利も押し上げられ、一時0.675%にまで上昇した。日銀は0.7%を上限にしようと、国債を買い支えているようだ。
ニューヨーク市場では今週、改めてパウエル演説の評価が噴出するだろう。その結果は「9月は利上げ」説が有力になるかもしれない。株価がそれを織り込むまでには少し時間がかかりそうだ。一方、東京市場はニューヨークしだい。中国経済は重荷になっているが、それでも下値を拾う買い物はチャンスを狙っている。ただ円相場と長期金利の動向には、注意が必要だ。
今週は29日に、7月の労働力調査。30日に、8月の消費動向調査。31日に、7月の鉱工業生産、商業動態統計、住宅着工戸数。1日に、4-6月期の法人企業統計、8月の新車販売。アメリカでは29日に、6月のFHFA住宅価格。30日に、4-6月期のGDP改定値、7月の中古住宅販売。1日に、8月の雇用統計、ISM製造業景況指数。また中国が31日に、8月の製造業と非製造業のPMIを発表する。
≪28日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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日経平均は先週174円の値上がり。ニューヨーク市場の軟調にもかかわらず週初から連騰、押し目買いの勢いを見せつけた。しかし金曜日には大きく反落している。アメリカの長期金利が一時4.35%と15年9か月ぶりの高さに上昇したため、ドル高・円安がさらに進んだ。また長期金利も押し上げられ、一時0.675%にまで上昇した。日銀は0.7%を上限にしようと、国債を買い支えているようだ。
ニューヨーク市場では今週、改めてパウエル演説の評価が噴出するだろう。その結果は「9月は利上げ」説が有力になるかもしれない。株価がそれを織り込むまでには少し時間がかかりそうだ。一方、東京市場はニューヨークしだい。中国経済は重荷になっているが、それでも下値を拾う買い物はチャンスを狙っている。ただ円相場と長期金利の動向には、注意が必要だ。
今週は29日に、7月の労働力調査。30日に、8月の消費動向調査。31日に、7月の鉱工業生産、商業動態統計、住宅着工戸数。1日に、4-6月期の法人企業統計、8月の新車販売。アメリカでは29日に、6月のFHFA住宅価格。30日に、4-6月期のGDP改定値、7月の中古住宅販売。1日に、8月の雇用統計、ISM製造業景況指数。また中国が31日に、8月の製造業と非製造業のPMIを発表する。
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◇ 少なくとも9月は利上げする? = 「パウエルFRB議長は、いったい何を言いたかったのだろうか」--ニューヨーク市場では、まだ頭をひねっている人たちが多い。別に金融技術用語を並べ立てて、難解だったわけではない。逆に平易な言葉で常識的すぎる説明をしたために、真意が汲み取りにくくなってしまった。パウエル議長は「適切ならば、さらに利上げする用意がある」と述べる一方で「景気動向も慎重に見極めて行く」とも言明した。金融引き締めを継続するのか、それとも早めの解除を考えているのか。
ジャクソンホールで25日に行なったパウエル議長の講演。内容が伝えられたとき、ダウ平均株価は大きく値を下げた。しかし株価はすぐに反発。終り値では250ドル近く上昇した。これは市場が最初は「引き締めの継続」と受け取り、そのあとは「そうでもない」と解釈したことを示している。だが、その迷いは今週になっても続いているようだ。
パウエル議長は「インフレ率はいぜんとして高すぎる」「引き締め的な金融政策が、ますます重要な役割を演ずる」とも述べている。こうした発言からみれば、やはり引き締めの継続を市場に伝えたかったのではないか。すると少なくとも9月の利上げは避けられない。年内の利下げは完全に消滅した。こうした見方が、市場では強まって行きそうだ。
このため当面は、株価も調整色を強める。あるいはすぐに織り込んで、再び上昇軌道に乗る。そのどちらが優勢になるかは、物価と雇用の動向、企業の業績が決めることになるだろう。ジャクソンホール会議でECB(ヨーロッパ中央銀行)のラガルド総裁は「まだインフレに勝てていない」と言い切った。パウエル議長もそう言いたかったが、優しくオブラートに包んで表現したと解釈しておきたい。
≪28日の日経平均 = 上げ +545.71円≫
≪29日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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ジャクソンホールで25日に行なったパウエル議長の講演。内容が伝えられたとき、ダウ平均株価は大きく値を下げた。しかし株価はすぐに反発。終り値では250ドル近く上昇した。これは市場が最初は「引き締めの継続」と受け取り、そのあとは「そうでもない」と解釈したことを示している。だが、その迷いは今週になっても続いているようだ。
パウエル議長は「インフレ率はいぜんとして高すぎる」「引き締め的な金融政策が、ますます重要な役割を演ずる」とも述べている。こうした発言からみれば、やはり引き締めの継続を市場に伝えたかったのではないか。すると少なくとも9月の利上げは避けられない。年内の利下げは完全に消滅した。こうした見方が、市場では強まって行きそうだ。
このため当面は、株価も調整色を強める。あるいはすぐに織り込んで、再び上昇軌道に乗る。そのどちらが優勢になるかは、物価と雇用の動向、企業の業績が決めることになるだろう。ジャクソンホール会議でECB(ヨーロッパ中央銀行)のラガルド総裁は「まだインフレに勝てていない」と言い切った。パウエル議長もそう言いたかったが、優しくオブラートに包んで表現したと解釈しておきたい。
≪28日の日経平均 = 上げ +545.71円≫
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◇ 異様な日本のゼロ金利政策 = 世界中の中央銀行がインフレと闘うため、次々と政策金利を引き上げている。世界はまさしく高金利時代。なかでも突出しているのが、南米のアルゼンチンだ。この14日にも中央銀行は、通貨ペソの2割切り下げと政策金利を118%に引き上げると発表した。物価上昇率が100%を超え、手が付けられなくなったからだ。このほかトルコの政策金利は25%、ブラジルが13.25%など。新興国の金利が総じて非常に高い。
先進国の金利も上昇を続けている。アメリカの政策金利は現在5.25%だが、FRBは9月も5.5%に引き上げるという見方が強い。このため10年もの国債の利回りは先週4.35%と、15年9か月ぶりの高さに上昇した。また物価騰貴が収まらないユーロ圏も、現在の政策金利4.5%をさらに引き上げる公算が大きい。イギリスの政策金利は5.25%、カナダは5.00%だが、アメリカやユーロ圏が利上げすれば追随することになりそうだ。
こうしたなかで、ひとり異彩を放っているのが日本。長期金利は日銀が1%までの上昇を容認したため、現在は0.7%に近付いている。しかし短期金利を対象とする政策金利は、なんとマイナス0.1%のまま。要するに世界のなかで、日本だけが‟金利のない国”となっている。日銀はこの‟ゼロ金利政策”を見直す考えを、全く持っていない。
世界は高金利、日本はゼロ金利。おカネは金利の高い方に流れるから、日本円は各国の通貨に対して安くなる。円の対ドル相場は先週146円後半にまで下落した。仮に日銀が金利を上げて円相場を117円に上昇させたとすると、輸入物価は2割ほど安くなる。そうせずに、政府はガソリンや電気・ガス料金の値上がりを抑えるために、何兆円もの税金を使う。どう考えても、おかしい。日銀は説明する責任があるだろう。
≪29日の日経平均 = 上げ +56.98円≫
≪30日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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先進国の金利も上昇を続けている。アメリカの政策金利は現在5.25%だが、FRBは9月も5.5%に引き上げるという見方が強い。このため10年もの国債の利回りは先週4.35%と、15年9か月ぶりの高さに上昇した。また物価騰貴が収まらないユーロ圏も、現在の政策金利4.5%をさらに引き上げる公算が大きい。イギリスの政策金利は5.25%、カナダは5.00%だが、アメリカやユーロ圏が利上げすれば追随することになりそうだ。
こうしたなかで、ひとり異彩を放っているのが日本。長期金利は日銀が1%までの上昇を容認したため、現在は0.7%に近付いている。しかし短期金利を対象とする政策金利は、なんとマイナス0.1%のまま。要するに世界のなかで、日本だけが‟金利のない国”となっている。日銀はこの‟ゼロ金利政策”を見直す考えを、全く持っていない。
世界は高金利、日本はゼロ金利。おカネは金利の高い方に流れるから、日本円は各国の通貨に対して安くなる。円の対ドル相場は先週146円後半にまで下落した。仮に日銀が金利を上げて円相場を117円に上昇させたとすると、輸入物価は2割ほど安くなる。そうせずに、政府はガソリンや電気・ガス料金の値上がりを抑えるために、何兆円もの税金を使う。どう考えても、おかしい。日銀は説明する責任があるだろう。
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◇ インフレ・円安・国際緊張で = 金(きん)の国内取り引き価格が、初めて10000円を超えた。田中貴金属によると、29日の小売り価格は前日より28円上がって1グラム=10001円に。買い取り価格も9886円で、過去最高となった。日本が金の輸入を解禁したのは1973年、そのときの小売り価格は825円だった。その後の50年間で、12倍に値上がりしたことになる。
金の価格は基本的に、ニューヨーク市場で取り引きされる先物相場が基準となる。この相場もこの10年間に、2倍を超えて上昇した。その値上がりの原因は、インフレと国際緊張の2つ。インフレで通貨の価値が下がると、金の価格は相対的に上がる。だから人々はインフレが進行すると思えば、金を買う。また金は最終的な安全資産と考えられているから、ウクライナ戦争や台湾有事など国際緊張が高まるときも、金が買われる。
世界的にみて、いま金の需要はそれほど強くない。たとえば4-6月期でみると、産業用は前年比10%減、宝飾用は前年並みだった。ただ中央銀行と国際機関による買い入れが大きく、また個人の需要も根強かった。このため金の国際価格は、このところじり高基調を維持している。中央銀行の場合はインフレ、国際機関の場合は国際緊張を重視したためかもしれない。
日本の小売り価格は、金の輸入価格に消費税と手数料を加えて算出される。したがって日本の場合は、インフレと国際緊張のほか、円の対ドル相場が値上がりの要因となるわけだ。この3つの要因は、少なくとも今後6か月程度は弱まりそうにない。したがって専門家は「金価格の上昇はまだしばらく続く」と予測している。
≪30日の日経平均 = 上げ +106.49円≫
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金の価格は基本的に、ニューヨーク市場で取り引きされる先物相場が基準となる。この相場もこの10年間に、2倍を超えて上昇した。その値上がりの原因は、インフレと国際緊張の2つ。インフレで通貨の価値が下がると、金の価格は相対的に上がる。だから人々はインフレが進行すると思えば、金を買う。また金は最終的な安全資産と考えられているから、ウクライナ戦争や台湾有事など国際緊張が高まるときも、金が買われる。
世界的にみて、いま金の需要はそれほど強くない。たとえば4-6月期でみると、産業用は前年比10%減、宝飾用は前年並みだった。ただ中央銀行と国際機関による買い入れが大きく、また個人の需要も根強かった。このため金の国際価格は、このところじり高基調を維持している。中央銀行の場合はインフレ、国際機関の場合は国際緊張を重視したためかもしれない。
日本の小売り価格は、金の輸入価格に消費税と手数料を加えて算出される。したがって日本の場合は、インフレと国際緊張のほか、円の対ドル相場が値上がりの要因となるわけだ。この3つの要因は、少なくとも今後6か月程度は弱まりそうにない。したがって専門家は「金価格の上昇はまだしばらく続く」と予測している。
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