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経済に関する話題なんでも。ニュースの分析・批評・解説など。大胆な予想や提言も。ご意見、ご批判は大歓迎です。
経済なんでも研究会
死者が語る コロナ肺炎の危険度 (132)
2022-10-01-Sat  CATEGORY: 政治・経済
◇ 死亡者数が最も重要な指標に = 世界の感染者は累計6億1663万人、この1週間で317万人増加した。この増加数は前週より6万2000人多い。死亡者は654万1862人で、週間1万0713人増加した。この増加数は前週より447人少ない。全体としては、ほぼ横ばいの状態が続いている。WHO(世界保健機関)のテドロス事務局長やバイデン大統領が「コロナの流行は終息に近づいた」と発言したが、数字の上ではまだ裏付けられない。

国別の死亡者数をみると、アメリカは累計105万8506人。この1週間で3310人増加した。前週よりやや拡大している。次いでブラジルが68万人台、インドが52万人台、ロシアが37万人台、メキシコが33万人台。さらにイギリスが20万人台、イタリアが17万人台、インドネシアとフランスが15万人台、ドイツが14万人台となっている。全体として趨勢に変化はないが、メキシコが33万人台に乗せた。

日本の感染者は累計2126万6435人、この1週間で32万8553人増加した。この増加数は前週より10万人少ない。死亡者は4万4826人で、週間612人の増加だった。この増加数は前週より220人少ない。全体として、改善の方向にある。そこで政府は11月11日から、水際対策をほぼ解除することになった。それでも改善の傾向が続くかどうかが、最大の注目点となる。

政府はまた医療機関の負担を軽減するため、患者の全数把握を見直すことになった。感染者の総数は把握するが、おそらく統計的には計上漏れが発生するだろう。そうなるとコロナの状況をみるためには、死亡者数の傾向がいちばん確実になってくる。その意味で言うと、週間の死亡者数が100人以下になると「コロナはインフルエンザ並み」と断定できる。先週の場合、その条件を満たしたのはメキシコだけ。100人台はインドとインドネシアとイギリスということになる。

        ≪30日の日経平均 = 下げ -484.84円≫

        【今週の日経平均予想 = 4勝1敗】     


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  「経済なんでも研究会」は、きょうから17年目に入ります。ここまで続けられたのも、読者の皆さまのご支援・ご協力によるものです。厚く御礼申し上げます。今後とも、よろしくお願いします。

   日経平均予想は過去16年間2767勝1169敗。勝率は7割3厘でした。やっと大きなカベになっていた7割を確実に上回るようになりました。

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今週のポイント
2022-10-03-Mon  CATEGORY: 政治・経済
景気後退に怯える株式市場 = ダウ平均は先週865ドルの値下がり。3週連続の下落で、終り値は2万9000ドルを割り込んだ。2万8000ドル台は20年11月以来の水準。年初に比べると7600ドルの値下がりとなっている。FRB理事のタカ派的な発言、長期金利の上昇、英ポンドの急落、ドル高などが売り材料となった。下値を拾う動きもみられたが、売り物の多さに押しつぶされた。

日経平均は先週1217円の値下がり。こちらも3週連続の下落で、終り値は3か月ぶりに2万6000円を割り込んだ。年初に比べると2850円の値下がりとなっている。ダウに比べると、下げ幅はかなり小さい。ことし前半の上昇が鈍かったことと、現在はインバウンドの復活に対する期待が高まっているためだ。個人の逆張りも目立つが、やはり大勢には抗し切れない。

いくつかの悪材料が出て、株価の下落が止まらない。しかし結局は、景気の先行きに対する警戒感が投資家の心理を冷やしていると言える。しかもFRBはインフレの抑制を最優先する姿勢を鮮明に打ち出しているから、景気後退の長さや深さを推測することが出来ない。したがって株価の底についても、予測が不可能だ。市場は当分の間、環境の変化を待つしかなくなっている。

今週は3日に、9月の日銀短観、新車販売。4日に、9月の東京都区部・消費者物価。7日に、8月の家計調査、毎月勤労統計、景気動向指数。アメリカでは3日に、9月のISM製造業景況指数。5日に、8月の貿易統計、9月のISM非製造業景況指数。7日に、9月の雇用統計が発表される。

        ≪3日の日経平均は? 予想 = 上げ


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将来が見えない 所信表明演説
2022-10-04-Tue  CATEGORY: 政治・経済
◇ 問題点の羅列に終始 = 岸田首相は3日に召集された臨時国会の冒頭、恒例の所信表明演説を行なった。世界経済がインフレと不況に向かうなか、どのような対策を講じるのか。国民は大きな関心を持って聴き入ったが、具体的な施策はほとんどなし。問題点の羅列に終わった感じが強い。まるで各省庁の予算要求項目を並べ立てたようだった。そして肝心な具体策は、これから専門家が検討するというのだから、はなはだ心許ない。

物価高と円安、賃上げと持続的成長など、経済問題で取り上げた項目は多岐にわたった。だが、そのなかで具体的な施策の内容に触れたのは、インバウンド観光で年間5兆円の収入を目指すこと。それに人への投資としてリスキリング(学び直し)に5年で1兆円を投じることの2点だけ。高騰する電気料金については「前例のない対策を講じる」と述べるにとどまった。

物価高と円安についての対策は、年末までに「総合経済対策」をまとめる。エネルギー安定供給についても、専門家が年末までに結論を出す。持続的な成長戦略や食料の安定的な確保については、どうするのか。言及はなかった。要するに、みなこれからの検討を待つというわけだ。だから今回の所信表明演説では、日本の将来像は全く見えてこない。

奇しくもきょう4日で、岸田内閣は2年目に入る。この1年、ウクライナ戦争や物価騰貴など、日本を取り巻く環境はずっと厳しかった。それなのに、なぜもっと早く対策を検討しなかったのか。さらに国民がいちばん関心を持っている「所得倍増計画」や「新しい資本主義」は、どこへ行ってしまったのだろう。これでは内閣の支持率は上がらない。

        ≪3日の日経平均 = 上げ +278.58円≫

        ≪4日の日経平均は? 予想 = 上げ


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女性新首相が投げた 新型爆弾 / イギリス
2022-10-05-Wed  CATEGORY: 政治・経済
◇ 国債増発で超大型減税の危うさ = 9月6日に就任したばかりの女性首相が、世界経済を揺るがしている。イギリスのメアリー・トラス首相(47)が、その人だ。コトの発端は、新首相が9月23日に発表した新経済政策。その内容は、エネルギー高騰対策に半年で600億ポンド(9兆3000億円)、法人税や所得税を5年間で1610億ポンド(25兆円)減税するなど。財政の大盤振る舞いだった。しかも財源はすべて国債の増発で賄うという、大胆きわまる計画。

これには世界中が驚いた。インフレの火に油を注ぐようなものだし、国債価格も暴落する。さっそく金利は急上昇、ポンドは売られた。これまでインフレ対策で金融を引き締めてきたイングランド銀行は、逆に利上げと国債の買い入れを余儀なくされている。ヨーロッパ市場の株価は急落、影響はアメリカにも飛び火して金利の上昇と株価の下落を招いている。

IMF(国際通貨基金)も「この政策は危険であり、撤回するように」と、異例の警告を発した。このためトラス首相は、所得税の最高税率引き下げだけは撤回した。しかし、こうした財政の大盤振る舞いは彼女の選挙公約であり、あとは撤回しない姿勢。こうして世界中がインフレ対策を強化しているなか、イギリスだけが反対方向の政策を進めようとしている。

イギリスはいまでも金融大国だ。そんな国が不協和音を発すれば、世界の金融システムは動揺する。リーマン・ショックのような金融不安が、どこで起こるか判らない。トラス首相の経済政策はポピュリズムの典型。これまでは左派系の政権が、そして最近は右派系の政権がよくスローガンに掲げてきた。それがイギリスにまで広がったことは、やはりショックである。

        ≪4日の日経平均 = 上げ +776.42円≫

        ≪5日の日経平均は? 予想 = 上げ


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ついに 世界同時不況へ!! (上)
2022-10-06-Thu  CATEGORY: 政治・経済
◇ 市場はいま織り込み中 = ダウ平均株価は9月末、2年ぶりに2万9000ドルを割り込んだ。4-9月の下落率は17%に及んでいる。アメリカだけでなく、世界中の株価が低落。世界の株式時価総額は4-9月中に24兆ドルも減少した。この減少額は、リーマン時を超えている。こうした株価の低迷は、現在の経済情勢を反映したものではない。これからやってくる世界同時不況に備えるための株価調整だと考えた方がいい。

警戒感は商品市場にも広がっている。鉄鋼や非鉄金属などの市況も値下がりしているが、典型的なのは原油市場だ。ニューヨークのWTI(テキサス産軽質油)先物価格は、産油国が減産したにもかかわらず1バレル=80ドル前後に落ち込んだ。ウクライナ戦争が続いても、世界の原油需要は減退するだろうと市場は考えている。

国際機関が発表した経済予測をみると、みな成長率の見通しを引き下げている。たとえばOECD(経済協力開発機構)が9月に発表した予測では、22年の実質成長率がアメリカは1.5%、ユーロ圏は3.1%、中国は3.3%、日本は1.6%となっている。6月時点の予測に比べると、ユーロ圏を除いてみな引き下げられた。

この予測では、まだマイナス成長に陥る地域はない。しかしウクライナ戦争は、長期化する見通しが強まっている。このため成長率の低下傾向は、なお続くと考えなければならない。すると23年の上半期には、多くの地域で成長率がマイナスになる可能性がきわめて大きい。金融・商品市場や多くの企業経営者は、こうした考え方に傾いている。

                        (続きは明日)

        ≪5日の日経平均 = 上げ +128.32円≫

        ≪6日の日経平均は? 予想 = 下げ


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ついに 世界同時不況へ!! (下)
2022-10-07-Fri  CATEGORY: 政治・経済
◇ 次の焦点は不況の長さと深さ = 世界経済は下り坂にさしかかったが、景気を押し上げるプラス要因もないではない。それはコロナが終息の兆しを見せていること。コロナによる移動制限のため人々はおカネを使えず、意図せざる貯金が増えた。このコロナ貯金は、日米欧で503兆円。そのうちアメリカは310兆円、日本は55兆円にのぼると試算されている。経済の正常化でこの貯金が消費に回れば、世界同時不況は回避できるかもしれない。

だが、じっさいに消費がどのくらい増えるかは予測が難しい。物価が上がる前にモノを買っておこうと考える人。インフレや不況に備えて、貯金は使わずにおこうと考える人。多くの人の考えがどちらに振れるかによって、結果は大きく変わってくる。岸田首相も所信表明演説で「年間5兆円のインバウンド収入を目指す」と強調したが、やってみないと判らない。

ところがウクライナ戦争の長期化については、残念ながら確実性がずっと高い。したがってエネルギー・資源・食料の価格高騰は、今後も続きそうだ。これに対してFRBをはじめ各国の中央銀行(日本を除く)は、いつまで金融引き締めを続けるのか。長引けば長引くほど、経済の状態は悪化する。それがどのくらい続き、どのくらいの深さになるか。関心はそこへ移って行く。

モノの売れ行きが悪くなり、在庫が増える。生産を調整するから不況になる。在庫が減れば、景気は回復する。従来の景気循環は、こう説明できた。しかし今回は戦争が原因であり、予測が出来ない。これが大きな特徴の1つ。もう1つはアメリカ、ヨーロッパ、中国の3大経済圏がそろって不況になりそうなこと。じっさいに世界同時不況の到来を予想する企業経営者・投資家は日を追って増えているようだ。

        ≪6日の日経平均 = 上げ +190.77円≫

        ≪7日の日経平均は? 予想 = 下げ


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死者が語る コロナ肺炎の危険度 (133)
2022-10-08-Sat  CATEGORY: 政治・経済
◇ 死亡者の減り方が遅い日本 = 世界の感染者は累計6億1930万人、この1週間で317万人増加した。この増加数は前週とほぼ同じ。死亡者は655万2289人で、週間1万0427人の増加だった。この増加数は前週より300人ほど少ない。全体として高水準での横ばいが続いている。悪化はしていないが、改善も微々たるもの。コロナは終息しつつあるとは言えない状態だ。

例によって国別の死亡者数をみると、アメリカは累計106万1490人。この1週間で2984人増加した。この増加数は前週より約300人少ない。次いでブラジルが68万人台、インドが52万人台、ロシアが38万人台、メキシコが33万人台。さらにイギリスが20万人台、イタリアが17万人台、インドネシア・フランス・ドイツが15万人台となっている。アメリカが106万人台、ロシアが38万人台、メキシコが33万人台、ドイツが15万人台に乗せた。

日本の感染者は累計2149万6595人。この1週間で23万0160人増加した。この増加数は前週より9万8000人少ない。死亡者は4万5369人で、週間543人増加した。この増加数は前週より69人少ない。新規の感染者は8月のピーク時に比べると、半分以下となった。規制をほぼ解除したにもかかわらず、感染者は順調に減ってきている。ただ死亡者の増加数は9月上旬と同じで、死亡者の減り方はきわめて鈍い。

国際的にみても、週間の死亡者数が500人を超えているのはアメリカ(2984人)、ロシア(714人)、ブラジル(646人)、イギリス(534人)だけ。日本はまだこのグループに入っている。感染者が減少している割に、死亡者が減らないのはなぜか。基礎疾患のある人が多いのか、医療の体制に問題があるのか。冬に向かって厚生労働省は、この問題を真剣に検討すべきではないか。

        ≪7日の日経平均 = 下げ -195.19円≫

        【今週の日経平均予想 = 4勝1敗】     


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今週のポイント
2022-10-10-Mon  CATEGORY: 政治・経済
◇ 強気のあと一転して弱気に = ダウ平均は先週571ドルの値上がり。月-火曜日で1590ドル上げたが、水-金曜日で1020ドル下げた。前半の上げは前週までに大幅下落した反動。それにオーストラリアの利上げが0.25%にとどまったことから、FRBも利上げ幅を縮小するのではないかという期待が高まったため。後半の下げはその反動に、堅調な9月の雇用統計が加わった。これでFRBの手加減期待は吹っ飛んでしまった。

日経平均は先週1179円の値上がり。この上げ幅は昨年4月以来の大きさ。こちらは月-木曜日で1374円上げ、金曜日に195円下げただけだった。前半の上げは前週に下げた反動と、ニューヨークへの追随。金曜日はさすがに買い疲れた感じ。全体としては、自律反発を予想した買い物に支えられた。

ニューヨーク市場では、今週も先週後半の弱気ムードが続くだろう。さらに景気後退→企業業績の悪化に対する警戒感も強まりそうだ。FRBによる量的金融引き締めも、そろそろ効果を表わし始める。株価にとっての環境は、あまりよくない。日経平均の場合は先週上げ過ぎたこともあって、もっと厳しい。岸田内閣が素晴らしい経済政策を打ち出せば別だが・・・。

今週は11日に、9月の景気ウオッチャー調査。12日に、8月の機械受注。13日に、9月の企業物価。アメリカでは12日に、9月の生産者物価。13日に、9月の消費者物価。14日に、9月の小売り売上高、10月のミシガン大学・消費者信頼感指数。また中国が14日に、9月の消費者物価、生産者物価、貿易統計を発表する。なお11日から外国人の個人旅行解禁、全国旅行支援が開始される。

        ≪11日の日経平均は? 予想 = 下げ


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‟最後の晩餐”だった? 先週の株高
2022-10-12-Wed  CATEGORY: 政治・経済
◇ 景気・株価予想の下方修正が続出 = 半ソデのあくる日はマフラー姿。秋の気温は激変する。先週のニューヨーク株式市場は、そんな気象状態を連想させる動きだった。初めの2日は、FRBが引き締めの手綱を緩めるという思惑から1600ドル上昇。後の3日は、堅調な雇用統計が発表されて1000ドル下落した。それでも週間では600ドルの値上がりとなっている。この先、株価はどう動くのか。

気になるのは、景気や株価の先行き予測が次々と下方修正されていること。たとえばIMF(国際通貨基金)は「世界経済の3分の1が来年、景気後退に陥る」と予測、初めて景気後退の可能性に言及した。また民間でもバンク・オブ・アメリカが212人のファンド・マネジャーに聞いたところ「72%がアメリカは来年、景気後退になると予想していた」という調査結果を発表した。

そのバンク・オブ・アメリカは株価についても、現在3640前後のSP500指数が「年末には3020まで下落する」と予測を下方修正。またゴールドマン・サックス証券は、投資判断を「弱気」に変更した。いずれも経済成長率が低下する一方で、企業コストの上昇は避けられないと考えている。著名なエコノミストのなかでも、景気の下降と株価の下落を予想する人は少なくない。

もちろん「年末にかけて株価はまだ上がる」と予想する強気派も健在だ。しかしアメリカの物価は沈静に時間がかかり、FRBが11月も0.75%の利上げを続ける可能性はきわめて高い。そうしたなかで、年末の株高はありうるのか。乱高下を繰り返しながら、季節は確実に冬に向かう。株価も同様なのではないか。だとすると、先週の株高は‟最後の晩餐”だったのかもしれない。

        ≪11日の日経平均 = 下げ -714.86円≫

        ≪12日の日経平均は? 予想 = 上げ


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またまた100ドルへ : 原油価格 (上)
2022-10-13-Thu  CATEGORY: 政治・経済
◇ 減産の味を知った産油国連合 = 原油の国際価格が大きく上昇した。ニューヨーク商品取引所のWTI(テキサス産軽質油)先物価格は、9月下旬の1バレル=76ドル台から、今週初めには92ドル台に高騰している。さらに100ドルに迫る勢い。OPEC(石油輸出国機構)とロシアなどが組む産油国連合が5日の会合で、11月は日量200万バレル減産することで合意したためだ。この減産量は、世界の総需要量の2%に相当する。

WTI先物価格はロシアがウクライナに侵攻した直後の3月、1バレル=130ドル台にまで高騰した。しかし、その後はコロナ禍やインフレの進行で世界的に景気が低迷。需要が減退するという予想が強まって、価格は下落した。このため産油国側の収入が伸び悩んだことから、今回の大幅減産に踏み切ったもの。過去には減産に反対する国もあったが、今回はすんなりと合意したようだ。

原油価格の高騰は、先進国に多大な影響を及ぼす。特にロシアからの天然ガス供給に不安が生じているヨーロッパ諸国は、冬を迎えてエネルギーの確保をどうするか。深刻な事態に陥った。日本も事情は同じ。物価高は続くし、景気にも下降の圧力が増す。また中間選挙を間近に控え、アメリカのバイデン大統領にも大きな打撃。ガソリン価格が上がれば、支持率はさらに下がってしまう。

そのバイデン大統領は6月、わざわざサウジアラビアを訪問して、原油の増産を頼み込んだ。だが、その願いは今回の大幅減産で完全に無視された形。産油国連合は「価格を上げるためには減産に限る」という手法に、味を占めてしまったようだ。今後は産油国連合の出方ひとつで、先進国の経済がコントロールされる危険性さえ生じたと言えるかもしれない。OPECプラスによる今回の減産決定は、これまでの減産とは違う重大な意味を持っている。

                       (続きは明日)

        ≪12日の日経平均 = 下げ -4.42円≫
 
        ≪13日の日経平均は? 予想 = 上げ


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またまた100ドルへ : 原油価格 (下)
2022-10-14-Fri  CATEGORY: 政治・経済
◇ 日本の補助金政策は破綻する = 原油価格が上がれば、LNG(液化天然ガス)や石炭などの価格も上昇する。エネルギーの大半を輸入に頼る日本にとっては、それだけ負担が増大するわけだ。貿易統計によると、最近の日本は鉱物性燃料の輸入に年間20兆円を支払っている。これらの価格が1割上がると、支出は約2兆円増大してしまう。日本人の購買力がそれだけ海外に流出するから、景気も足を引っ張られる。

政府はガソリンや灯油の高騰を抑えるため、石油元売り会社に補助金を支給している。ことし1月から実施しているが、年末までに補助金の総額は3兆円を超える見込み。原油価格が上昇しているから、来年も続けざるをえないだろう。さらに岸田首相は所信表明演説で「電気料金の負担増を緩和する新制度を作る」と約束した。その詳細はまだ不明だが、これも電力会社に補助金を支給する模様。その額はやはり兆円単位のものになるだろう。

冬の電力不足に対処するため、政府は企業や家庭が節電するとポイントを付与する制度を導入した。これも一種の補助金政策である。また効率の悪い旧式な火力発電所を稼働させるため、電力会社に補助金を出すことも検討中。そして小麦にも補助金。このように政府の対策は、補助金一辺倒だ。だが財源をどうするのか。何年も続けることは不可能だろう。

原油高騰の影響を少しでも軽減するには、輸入依存度を下げること。それには原発の稼働を増やし、再生可能エネルギーを拡張するしかない。しかし政府は「年末までに方針を決める」という超のんびり・ムード。とにかく遅すぎる。しかも原発については新型原子炉の開発についても議論しているというから、話はますます混乱してしまう。「岸田さんは決める能力がない」--これが支持率が低下する最大の原因である。

        ≪13日の日経平均 = 下げ -159.41円≫

        ≪14日の日経平均は? 予想 = 上げ
  

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死者が語る コロナ肺炎の危険度 (134)
2022-10-15-Sat  CATEGORY: 政治・経済
◇ 日本の感染者数は世界で9番目に多い = 世界の感染者は累計6億2300万人、この1週間で320万人増加した。この増加数は前週より3万人多い。死亡者は656万人で、週間7711人の増加。1週間の増加数が1万人を割るのは、6月以来のこと。全体として大きな変化はなく、いぜん高水準での横ばいが続いている。中国以外はほぼ行動規制を解除したが、コロナが増勢に転じないことを喜ぶべきなのだろうか。

国別の死亡者数をみると、最も多いアメリカは累計106万4058人。この1週間で2568人増加した。この増加数は前週より416人少ない。続いてブラジルが68万人台、インドが52万人台、ロシアが38万人台、メキシコが33万人台。さらにイギリスが20万人台、イタリアが17万人台、インドネシア・フランス・ドイツが15万人台となっている。大きな変化はみられないが、ヨーロッパ大陸では増加幅がやや拡大した。

日本の感染者は累計2169万2838人、この1週間で19万6243人増加した。20万人を割ったのは7月上旬以来のこと。死亡者は4万5793人で、週間424人の増加だった。この増加数は7月下旬以来の少なさ。感染者も死亡者も増加数は縮小する傾向にあるが、11日からは水際対策がほぼ解除されたうえに、全国旅行支援も始まった。その影響に注目したい。

世界のなかで、日本はどんな位置にあるのだろうか。まず感染者の累計はアメリカ・インド・フランス・ブラジル・ドイツ・韓国・イギリス・イタリアに次いで9番目に多い。また死亡者はカナダとほぼ同じで、16番目となっている。ただ、この順位は感染者と死亡者の総数を比較しただけ。人口を加味すると、順位はまた変わってくる。

        ≪14日の日経平均 = 上げ +853.34円≫

        【今週の日経平均予想 = 2勝2敗】     


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今週のポイント
2022-10-17-Mon  CATEGORY: 政治・経済
◇ 理解しがたい13日の急反発 = ダウ平均は先週358ドルの値上がり。それでも終り値は3万ドルを割り込んだ。理解しがたいのは、木曜日に800ドル以上も反発したこと。9月の消費者物価が予想を上回る上昇だったため、朝方は550ドルも下落していた。それが午後には1500ドルも上昇している。きっかけはイギリスのトラス政権が法人税の減税を撤回したというニュース。だが、これでは急反発の理由には全くならない。

日経平均は先週25円の値下がり。終り値はかろうじて2万7000円台を維持した。それも金曜日に850円も上昇したため。インバウンド期待の買い物もあったが、完全にニューヨークの流れを汲んだ反発だった。したがって東京市場の乱高下も、理由はよく判らないということになる。円安が進み、政府は無言のままで介入したようだ。しかし株式市場には、ほとんど影響しなかった。

理由が不明な先週の急反発を、市場はどう消化するのだろう。おそらくは「上昇は誤作動だった」と判断して、今週は下げるだろう。特に金曜日に上げっ放しとなった日経平均は、反落で始まる公算が大きい。やはり今後はニューヨークも東京も、景気の先行き・企業業績の見通しを軸に動いて行くに違いない。

今週は17日に、8月の第3次産業活動指数。20日に、9月の貿易統計。21日に、9月の消費者物価。アメリカでは18日に、9月の工業生産、10月のNAHB住宅市場指数。19日に、9月の住宅着工戸数。20日に、9月の中古住宅販売。また中国が18日に、7-9月期のGDP速報、9月の鉱工業生産、小売り売上高、固定資産投資額を発表する。

        ≪17日の日経平均は? 予想 = 下げ


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投機マネーは まだ健在? / アメリカ  
2022-10-18-Tue  CATEGORY: 政治・経済
◇ 一般の金融はかなり逼迫してきた = FRBの強力な引き締め政策は、かなり効果を挙げてきたようだ。ゴールドマン・サックス社の金融環境指数によると、金融市場の逼迫度は09年以来の強さとなった。金融機関が資金を調達する金利は上昇。一般の企業や個人にとっても、資金調達はしだいに困難さを増している。金利の上昇で、住宅販売は12年ぶりの低水準に落ち込む見通し。実体経済面では、明らかにマネーの収縮が始まった。

ところが、投機マネーはまだ健在らしい。先週13日の株価が、それを証明した。この日は朝方に予想を上回る9月の消費者物価が発表され、ダウ平均は550ドルも下落。しかし午後は1500ドルも上昇した。そのきっかけは、イギリスのトラス首相が法人税の減税を撤回したというだけ。これではとても急反発の説明にはならない。

最近の株価は大幅安のあと、ある程度は反発することが多い。この日も、これを見込んだ買い物が殺到したと考えられる。つまり投機ファンドなどの資金はまだ豊富で、稼ぎどころとみればドッと出てくる。一般的に金融はかなり逼迫してきたが、投機マネーまだ健在。短期取引で稼ごうという意欲は、まだまだ強い。

実体面での金融逼迫が進み、巨額の不良債権が顕在化すると、投機マネーも減退する。リーマン・ショックのときがそうであり、株価はさらに低落する。今回はそこまで行くかどうかが、大問題。そこまで行かないうちに物価の上昇が止まって、FRBの手綱が緩むのか。いまはまだ判定が困難だ。

        ≪17日の日経平均 = 下げ -314.97円≫
   
        ≪18日の日経平均は? 予想 = 上げ


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異変! 経済指標を公表せず / 中国
2022-10-19-Wed  CATEGORY: 政治・経済
◇ 習近平主席に対する‟忖度”なのか = 中国統計局は18日、7-9月期のGDP速報と9月の鉱工業生産・小売り売上高・固定資産投資額を発表する予定だった。ところが発表はなく、統計局の予定表には「延期」の二文字。延期の理由も説明されなかった。これには発表を待っていた北京の外国人記者たちもびっくり。「異常な事態だ」というような解説記事を送るしかなかった。

予兆はあった。統計局は14日にも、予定していた9月の貿易統計を発表しなかった。このときは「延期」の表示もいっさいなし。関係者は「アメリカ向けの輸出が急減して、収支が赤字になったのでは」とか「ロシアからの原油輸入が多すぎた」など、発表できなかった理由をいろいろ取りざたした。しかし18日は、最も重要なGDP統計まで延期してしまった。なぜなのだろう。

中国のGDP成長率は21年の8.1%から急減、ことしは3.2%程度に下がると予測されている。しかしゼロ・コロナ政策の影響は大きく、7-9月期の成長率はもっと下がったのかもしれない。仮にそうだとすると、秘かに広がっている「経済をダメにした習近平のゼロ・コロナ政策は誤り」という批判がさらに強まる可能性は否定できない。

いま北京では共産党大会が開かれ、習近平氏は長期政権を目指して奮闘中だ。そんなときに、たとえばゼロに近い成長率や赤字の貿易収支は発表できない。統計局を監督する要人が、こう判断したのではないか。どう考えても、これ以外の理由は思いつかない。だが共産党大会が終わって、そんな統計が発表されたら、こんどは日本がショックを受ける。

        ≪18日の日経平均 = 上げ +380.35円≫

        ≪19日の日経平均は? 予想 = 上げ


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インフレは 衰えない! (上)
2022-10-20-Thu  CATEGORY: 政治・経済
◇ 絡み合う複雑な原因 = アメリカ労働省が発表した9月の消費者物価は、前年比8.2%の上昇だった。8月の8.3%上昇からわずかに鈍化したものの、いぜんとして高い伸び。特に食品とエネルギーを除いたコア指数は前年比6.6%と、実に40年ぶりの上昇率となった。このため来月1-2日に開くFRBの政策決定会合では、0.75%の利上げを決めることが確実となっている。

費目別にみると、食品・住居費・医療費の値上がりが大きかった。このうち家賃は消費者物価の3割以上を占めるが、9月は7.2%も上昇した。人手不足と材料費の高騰で新築住宅の価格が上がり、これが家賃の上昇につながったとみられている。専門家によると、住居費と医療費はいったん上昇すると下がりにくい。そういう意味では「タチの悪いインフレ」だという。

経済学の教科書によると、インフレの原因は①需要が供給を上回る②コストが上昇する③構造的あるいは心理的な圧力が増大する--など。アメリカの場合は、コロナの鎮静化で経済の正常化ガ進み需要が増大した。その一方でウクライナ戦争やコロナの後遺症で、供給が不足。さらに原材料やエネルギー価格の高騰が、コストを引き上げている。

そのうえ人手不足により賃金が急上昇し、企業の人件費コストを押し上げている。たとえば労働者の平均時給は、このところ前年比5%を超える上昇がずっと続いている。専門家によると、人手不足の最大の原因は、コロナ禍に対処するため政府が支給した各種の補助金。人々の懐がうるおい、慌てて職を探さなくなった人が多いためだというから驚きだ。

このようにインフレの原因は、複雑多岐にわたっている。しかもウクライナ戦争が長期化、金利も上昇を続ける見通し。これが心理的にも、インフレを助長する。多くの人々が「物価は下がらない」と感じること自体が、インフレ要因の一つとなっている。FRBによる金融引き締めだけでインフレを退治できるのか、こんな疑問さえ持ち上がってきた。だからインフレの勢いは、なかなか衰えない。

                         (続きは明日)

        ≪19日の日経平均 = 上げ +101.24円≫

        ≪20日の日経平均は? 予想 = 下げ


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インフレは 衰えない! (下)
2022-10-21-Fri  CATEGORY: 政治・経済
◇ 日本のインフレは特異な構造 = 日銀が発表した9月の企業物価は、前年比9.7%の上昇だった。企業物価というのは、企業間で取引されるモノの値段。19か月連続の上昇で、ここからみる限りは立派なインフレだ。電力・都市ガス・水道、鉱産物、鉄鋼などの値上がりが目立つ。ウクライナ戦争やコロナの影響でエネルギーや資源の国際価格が高騰、それに円安の効果が加わった。

ところが総務省が発表した8月の消費者物価は、前年比3.0%の上昇にとどまっている。卸売り段階はインフレなのに、小売り段階はまだインフレとは言えない。ここで企業物価の上昇は、ほとんどが輸入コストの高騰に起因している。しかし消費者の段階では需要が弱く、インフレになりにくい。値上げをすると、売れなくなる恐れが大きいからだ。このため卸売り段階と小売り段階で、物価の上昇率に差がついてしまう。欧米諸国にはみられない、日本独特の現象である。

もう1つ、企業物価にはサービス価格が含まれないが、消費者物価には含まれている。日本のサービス価格は、たとえば飲食業や宿泊業など、コロナ禍の影響で上がらなかった。これも卸売り段階と小売り段階の差となって表われる。それでも小売り業者は、値上げをしないと儲けが出ない。そこで少しづつ値上げしているのが、いまの値上げラッシュというわけだ。

輸入物価の上昇は、その56%が円安の影響による。その円安は、日銀がゼロ金利にしがみついているために起きる。中央銀行の最大の使命は、通貨価値を維持するために物価の安定を図ることにある。その日銀がインフレを助長しているわけだから、なんとも奇妙だ。これも日本独特のインフレ要因と言えるだろう。

一方、岸田政権の対策は補助金の支給に終始している。ガソリン・灯油・小麦から始まって、来年からは電力・ガスに至るまで。要するに、ほとんどが傷口に膏薬を貼るだけだ。日本経済の体力を強くする政策がないから、経済が成長しない。このため賃金が伸びず、需要が拡大しない。需要インフレは起きにくくなっている。しかし輸入インフレは続くから、値上げラッシュは続く。

        ≪20日の日経平均 = 下げ -250.42円≫

        ≪21日の日経平均は? 予想 = 下げ


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死者が語る コロナ肺炎の危険度 (135)
2022-10-22-Sat  CATEGORY: 政治・経済
◇ 多くの専門家が‟第8波”の襲来を警戒 = 世界の感染者は累計6億3049万人、この1週間で749万人増加した。この増加数は前週より429万人多く、ことし4月中旬以来の大きさ。死亡者は658万0690人で、前週より2万0690人増加した。1週間の増加数が2万人を超えたのは4月上旬以来のこと。感染者、死亡者ともに上向いている。最大の原因は、北半球が冬に入ったことだと考えられる。これから増え続けるかどうかが注目点だ。

国別の死亡者数をみると、アメリカは累計106万6584人。この1週間で2526人増加した。増加数は前週より、わずかに減少している。次いでブラジルが68万人台、インドが52万人台、ロシアが38万人台、メキシコが33万人台。さらにイギリスが20万人台、イタリアが17万人台、インドネシア・フランス・ドイツが15万人台となっている。イギリス、イタリア、フランス、ドイツの増加数がやや拡大した。

日本の感染者は累計2193万1271人。この1週間で23万8433人増加した。この増加数は前週より4万2190人多い。死亡者は4万6204人で、週間411人の増加だった。この増加数は前週より13人少ない。これまで縮小傾向だった感染者の増加数が急増したのは、水際対策をはじめ各種の規制がほぼ解除されたこと。全国旅行支援の開始、それに寒さの到来が原因だと考えられる。

こうした傾向を見て、多くの専門家は早くも「第8波が襲来する可能性が高い」と警戒している。だが、ここで気になるのはアメリカやヨーロッパ諸国では、日本の第7波のような急激な感染増加がみられなかったこと。なぜ日本だけが8月に第6波を上回るピークに襲われたのか。今後の動向を予想するうえでも重要なデータになると思うが、その分析はまだ行われていないようだ。

        ≪21日の日経平均 = 下げ -116.38円≫

        【今週の日経平均予想 = 5勝0敗】     


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今週のポイント
2022-10-24-Mon  CATEGORY: 政治・経済
◇ 業績見通し悪化でも株価は上がる = ダウ平均は先週1448ドルの値上がり。終り値は1か月ぶりに3万1000ドル台を回復した。ここ3週間の連騰で、この間の上げ幅は2380ドルに達した。特に金曜日には、749ドルと大きく上げている。これはウオールストリート・ジャーナル紙が「FRBは12月の政策決定会合で、引き締めの緩和を検討する可能性」と報じたため。ファンドからの超短期取り引きが急増した。

日経平均は先週200円の値下がり。ニューヨークの活況に乗り切れなかった。終り値は2万7000円を割っている。このところ2万6000円台の半ばでは買い、2万7000円台の前半で売るというパターンが定着してきたようだ。円相場は政府の介入もあって大きく上下したが、株価にはそれほど響かなかった。市場の関心は、今週末に政府が発表する総合経済対策に移りそうだ。

企業の7-9月期決算発表が本格化している。アメリカでは金融機関がほぼ減益。IT関連もアップルを除いて、軒並み業績が悪化した。それでも先週は、株価が上げた。そうしたなかで来週2日には、FRBが0.75%の利上げを発表する見込み。市場はすでに織り込んでいるが、どうにも動きにくい。今週はニューヨークも東京も金利や為替相場を眺めながら、ひと休みとなるのではないか。

今週は26日に、9月の企業向けサービス価格。28日に、9月の労働力調査。アメリカでは24日に、8月のFHFA住宅価格指数、10月のカンファレンス・ボード消費者信頼感指数。26日に、9月の新築住宅販売。27日に、7-9月期のGDP速報。28日に、9月の中古住宅販売が発表される。

        ≪24日の日経平均は? 予想 = 上げ


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「物価は沈静へ」の予測が 心配
2022-10-25-Tue  CATEGORY: 政治・経済
◇ 来年4-6月期には1%台に下がる? = 総務省は先週21日、9月の消費者物価を発表した。それによると、生鮮食品を除いた指数は前年比3.0%の上昇だった。この上昇率は消費増税時を除くと、91年8月以来31年ぶりの高さ。522品目が上昇、91品目が下落している。また生鮮食品を含む指数も、前年比は3.0%の上昇だった。

品目別にみると、生鮮食品を除く食料品が前年比4.6%の上昇。これは41年ぶりの高さ。またエネルギーは16.9%の上昇だった。エネルギーのうち都市ガスは25.5%、電気代は21.5%、ガソリンは補助金の効果もあって7.0%の上昇。さらに洗濯機やエアコンなど家庭用耐久財も、前年比11.3%の上昇だった。食品や電気代など生活に欠かせないモノやサービスに限定した基礎的支出でみると、前年比4.5%の上昇となっている。

注目されることは、こうした物価高は間もなく沈静するという予測。たとえば日経センターが36人のエコノミストに聞いたところ、予測の平均値は10-12月期が2.84%。さらに来年1-3月期は2.47%、4-6月期は1%台になるという。欧米諸国はインフレを抑制するため、いま懸命に金融を引き締めている。日本は超金融緩和政策を続けているのに、物価が下がるというから奇妙だ。

物価が沈静に向かうという予測の根拠の1つは、資源高が収まるという見通し。しかしウクライナ戦争は長期化しそうだし、世界経済が回復に転じれば、資源や食料の奪い合いが始まるかもしれない。もっと大きなもう1つの予測の根拠は、日本がデフレ状態から抜け出せないという見通し。こちらの方が実現性は高そうだから、いまから心配になってしまう。

        ≪24日の日経平均 = 上げ +84.32円≫

        ≪25日の日経平均は? 予想 = 上げ


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どう考えても 愚策 : 為替介入 (上)
2022-10-26-Wed  CATEGORY: 政治・経済
◇ 世界が笑う矛盾に満ちた政策 = 政府・日銀は先週21日、ニューヨーク為替市場で円買い・ドル売りの為替介入を実施した。円の対ドル相場が152円に接近したためで、介入により相場は7円ほど急騰した。ニューヨーク連銀に介入を委託するという異例の形式。だがアメリカ政府・FRBは全く無関係で、やっぱり単独介入ということになる。ECB(ヨーロッパ中央銀行)などは、わざわざ「介入していない」と声明を出した。

政府・日銀は9月22日にも、円買い・ドル売りの介入を実施した。しかし1か月後に、相場はその時点よりも下落。効果はきわめて一時的だった。今回も相場はすぐに148円台まで下がっており、専門家の多くが「効果は期待できない」とみている。前回は財源に2兆8382億円相当の外貨準備を使ったが、今回の規模はもっと大きかった模様。効果がなければ、大事な外貨準備の使い捨てということになりかねない。

内外の専門家が、日本政府・日銀の為替介入を冷ややかな目で見る大きな理由の一つは「これが政策的に矛盾している」こと。介入は行き過ぎた円安を抑制するためだが、その一方で日銀は超金融緩和・ゼロ金利政策に固執している。欧米先進国がみなインフレ退治のため金融引き締めに乗り出した。そんななかでゼロ金利を続ければ内外の金利差が広がり、円相場は下落するに決まっている。

要するに日本政府・日銀は、アクセルとブレーキを同時に踏んでいる状態。危なくて見ていられないというのが、正直な感想だろう。じっさい、来週2日にはFRBがまた0.75%の利上げを決定する公算が大きい。日米の金利差はさらに拡大するから、円の対ドル相場は再び150円を超える危険性がある。それでも日本政府・日銀は、効果の薄い介入を実施し続けるのだろうか。

                        (続きは明日)

       ≪25日の日経平均 = 上げ +275.38円≫

       ≪26日の日経平均は? 予想 = 上げ


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どう考えても 愚策 : 為替介入 (下)
2022-10-27-Thu  CATEGORY: 政治・経済
◇ 弱い国の通貨は弱い = 財務省が発表した4-9月期の貿易統計によると、輸出額から輸入額を差し引いた貿易収支は11兆円の赤字だった。これは輸入が前年比44.5%も伸びたため。特に原油・LNG(液化天然ガス)は、前年の2.2倍に増大した。価格の高騰に円安の効果が加わったことによる。この11兆円の大半はドルで支払われるから、それだけでもドル高・円安の大きな圧力になるわけだ。

この巨額の貿易赤字は、エネルギーや食料の輸入依存度が高すぎるという日本の弱点を浮き彫りにした。また円安にもかかわらず、日本の輸出が大幅には伸びないことも実証している。半年で11兆円という赤字は、それだけ国内の購買力が海外に流出したことを意味する。輸出がそれほど伸びないことは、競争力の低下を意味する。要するに、日本は経済的に弱い国。弱い国の通貨は弱いはず。投機筋はこう考えて、円を売ってくる。

日銀のゼロ金利政策は日米間の金利差を拡大し、円売り・ドル買いのきっかけとなった。さらに金融の超緩和政策は、本来ならば淘汰されるはずのゾンビ企業を生き残らせた。このため人や資源が非効率な部門に滞留し、経済全体の競争力を低下させている。そのうえ政府も明確な成長戦略を示さないから、企業も個人も守りに入ってしまう。

そんな状況下で、小手先の為替介入をやっても意味がない。政府・日銀がやるべきことは2つ。まず日銀のゼロ金利政策についての徹底検証。プラス面とマイナス面の大きさを比較すること。もう1つは、政府が明確な成長戦略を提示すること。それによって将来展望が見えてくれば、投資も消費も上向くだろう。そのとき円相場は、ひとりでに上昇する。

        ≪26日の日経平均 = 上げ +181.56円≫

        ≪27日の日経平均は? 予想 = 下げ


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ドイツとの 大きな差 : 原発政策
2022-10-28-Fri  CATEGORY: 政治・経済
◇ 緊急対策は岸田首相が決断を = ドイツ政府は国内に現存する原発3基を「来年4月まで稼働できる状態にする」ことを決めた。東日本大震災を受けて、ドイツは11年に「原発を22年中に無くす」方針を決定したが、これを修正する。ロシアからの天然ガス輸入が不安定さを増し、この冬の電力供給に不安が出たための緊急措置。原発ゼロを公約に掲げる緑の党も反対しなかった。

片や日本。経産省はいま専門家を集めた審議会で「原発の活用を進めるため」の議論を始めた。その内容は明らかでないが、再稼働する原発を増やす。原発の新増設や建て替え、最長60年という規制の見直し、さらに次世代型の開発までが議題となっているようだ。だが、これでは緊急対策と将来計画がごっちゃ混ぜ。この冬のピンチに間に合うのだろうか。

原発を将来どうするかは大問題。いまの計画では30年に25基程度の稼働を目標としている。しかし地元の同意が得られるかは、全く不明。新増設や建て替え、次世代型の開発については、放射性廃棄物の最終処理問題を含めてじっくりと検討する必要がある。その一方で、すでに地元の同意を得ている14基の原発を再稼働させることは、緊急を要する問題だ。

いま現在、日本の原発は4基しか動いていない。これを14基動かせば、発電量は940万㌔㍗増える。実現できれば、冬の電力不足はなくなるだろう。また原油の輸入量もその分だけ減るから、光熱費の上昇もいくぶんは抑えられる。政府は緊急対策と将来計画を分離し、岸田首相は「原発14基を24年春まで稼働させる」緊急措置を自ら決断し、号令すべきである。

        ≪27日の日経平均 = 下げ -86.60円≫

        ≪28日の日経平均は? 予想 = 下げ


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死者が語る コロナ肺炎の危険度 (136)
2022-10-29-Sat  CATEGORY: 政治・経済
◇ コロナの現状は落ち着いている = 世界の感染者は累計6億3309万人、この1週間で260万人増加した。死亡者は659万1353人、週間1万0663人の増加だった。感染者、死亡者ともに増加数は前週より縮小している。まだ高水準の横ばい状態だが、北半球が冬に向かっても拡大する兆しは見えない。このままの落ち着いた状態が続くのだろうか。

国別の死亡者数をみると、アメリカは累計106万9449人。この1週間で2865人増加した。この増加数は前週よりやや拡大している。次いでブラジルが68万人台、インドが52万人台、ロシアが38万人台、メキシコが33万人台。さらにイギリスが20万人台、イタリアが17万人台、インドネシア・フランス・ドイツが15万人台となっている。各国ともに大きな変動はない。そうしたなかで一時は大流行したインド、メキシコの増加数が100人を切っている。

日本の感染者は累計2218万5337人、この1週間で25万4066人増加した。前週より1万5633人多い。死亡者は4万6568人で、週間364人の増加だった。この増加数は前週より47人少ない。増加数は8週連続で縮小している。今月11日からは水際対策がほぼ撤廃され、旅行支援も始まった。その影響で感染者はやや増加しているが、死亡者は減っている。

世界の感染者増加数は7月のピークに比べると、36%に縮小した。死亡者も32%に落ちている。日本の場合は感染者が第7波のピークに比べて16%に。死亡者も18%に縮小した。改善の度合いは、世界平均より大きい。しかし専門家の多くは、第8波の到来を警告している。その予想が当たるかどうかは、あと2-3週間のうちに判明するだろう。

        ≪28日の日経平均 = 下げ -240.04円≫

        【今週の日経平均予想 = 5勝0敗】     


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今週のポイント
2022-10-31-Mon  CATEGORY: 政治・経済
◇ 市場の典型的な口実づくりで急騰 = ダウ平均は先週1779ドルの値上がり。10月に入ってからは4週間の連騰で、この間の上げ幅は4156ドルに達した。特に金曜日は829ドルも上げている。理由はアップルの7-9月期決算が予想を上回ったこと。他の大手IT企業は減益だったが、予想ほど悪くなかったこと。これで「景気の先行きも、それほど落ち込まないかもしれない」という楽観的な見方が市場に広がった。

日経平均は先週215円の値上がり。終り値はかろうじて2万7000円を維持している。ニューヨークに乗り切れず、2万7000円を上回ると売られる展開が続いているようだ。驚いたのは、岸田内閣が事業規模71兆6000億円の超大型対策を発表した28日に240円も下げたこと。たしかに対策の中身には問題もあるが、それにしても冷ややかすぎる反応だった。

景気の落ち込みが小さいと予想されれば、FRBは強力な金融引き締めの手を緩めない。だから株は売りというのが、ニューヨーク市場の論理だった。それがここへきて全く反転、大きな買い材料となっている。株式市場独特の‟口実づくり”と言ってしまえばそれまでだが、やっぱりまだ投資資金が豊富なことの証明でもある。日経平均は今週ニューヨークを追って、上げで始まる。だがニューヨークの方は、反落してしまう公算が大きい。

今週は31日に、9月の鉱工業生産、商業動態統計、住宅着工戸数。1日に、10月の新車販売。アメリカでは1日に、10月のISM製造業景況指数。3日に、9月の貿易統計、10月のISM非製造業景況指数。4日に、10月の雇用統計。またEUが31日に、7-9月期のGDP速報。中国が31日に、10月のPMI製造業・非製造業景況指数を発表する。なお2日には、FRBが0.75%の利上げを決定する見込み。

        ≪31日の日経平均は? 予想 = 上げ

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