◇ 中国の影が急速に拡大 = ダウ平均は先週834ドルの値下がり。5週間の続落で、終り値は3万3000ドルを割り込んだ。FRBによる金融引き締め政策の決定が、いよいよ4日に近づいてきた。アマゾンが1-3月期に赤字となったことが象徴するように、景気の先行きが心配される。株価が下がると次の日には安値拾いの買い物も入ったが、株価を押し上げるほどの力はなかった。
日経平均は先週257円の値下がり。円の対ドル相場が28日、一時20年ぶりに131円台まで下落した。しかし輸出株などが買われて、この日の株価は上昇している。おかげで週間の下落は、小幅にとどまった。FRBが0.5%の利上げを発表すると、円相場はもっと下がる可能性が大きい。そのとき日経平均は、どういう動きをみせるのだろうか。
ニューヨーク市場では、これまで金融引き締めの景気に及ぼす悪影響が心配されてきた。ところがハイテク企業の業績が頭打ちになったことをみても判るように、中国からの供給不安が急激に強まっている。このため市場は金融引き締めと供給網の混乱の両面から、景気の先行きを心配しなければならなくなった。したがって4日のFRB発表で「一区切りが付いた」という感じは出にくくなっている。
今週は2日に、4月の消費動向調査、新車販売。アメリカでは2日に、4月のISM製造業景況指数。4日に、3月の貿易統計、4月のISM非製造業景況指数。6日に、4月の雇用統計。なお4日に、パウエルFRB議長が会見「利上げ0.5%と量的金融引き締めの開始」を発表する予定。
≪2日の日経平均 = 下げ -29.37円≫
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日経平均は先週257円の値下がり。円の対ドル相場が28日、一時20年ぶりに131円台まで下落した。しかし輸出株などが買われて、この日の株価は上昇している。おかげで週間の下落は、小幅にとどまった。FRBが0.5%の利上げを発表すると、円相場はもっと下がる可能性が大きい。そのとき日経平均は、どういう動きをみせるのだろうか。
ニューヨーク市場では、これまで金融引き締めの景気に及ぼす悪影響が心配されてきた。ところがハイテク企業の業績が頭打ちになったことをみても判るように、中国からの供給不安が急激に強まっている。このため市場は金融引き締めと供給網の混乱の両面から、景気の先行きを心配しなければならなくなった。したがって4日のFRB発表で「一区切りが付いた」という感じは出にくくなっている。
今週は2日に、4月の消費動向調査、新車販売。アメリカでは2日に、4月のISM製造業景況指数。4日に、3月の貿易統計、4月のISM非製造業景況指数。6日に、4月の雇用統計。なお4日に、パウエルFRB議長が会見「利上げ0.5%と量的金融引き締めの開始」を発表する予定。
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◇ 大きな打撃でもルーブルは回復 = 西側諸国の制裁措置によって、ロシア経済は大きな打撃を受けている。たとえば製造工業の生産水準は3月、前年比で0.3%減少した。2月の6.3%増加から、大幅に落ち込んでいる。特に自動車の生産は45.5%も減少した。外国資本の撤退や西側の輸出禁止で、部品が不足したためである。外資の撤退は、活動の縮小まで含めると750社以上にのぼると推計されている。ただ石油や天然ガスの生産は、前年比7.8%増加した。
消費の減退も始まっている。3月の新車販売台数は前年比13%の減少。その一方でインフレも進行、4月の消費者物価は前年比17.6%も上昇している。ロシア中央銀行は「企業は生産や価格の面で、相当な困難に直面している」と認め、政策金利を2度にわたって引き下げた。しかし景気の後退は避けられず、世界銀行はことしのGDP成長率がマイナス11.2%になると推計している。
こうしたなかで注目されるのが、ルーブルの為替レート。3月上旬には1ドル=160ルーブルと史上最低に落ち込んでいたが、最近は急速に回復して74ルーブルとウクライナ侵攻前の水準を回復した。これはロシア政府が輸出企業に対して外貨をすべてルーブルに交換するよう強制。また市場でのルーブル売却を禁止したためである。この結果、ルーブル安による物価上昇の圧力がなくなり、中央銀行が景気対策としての利下げを実施することが可能になった。
ウクライナ戦争が長引けば、ロシア経済の苦境はますます深まるに違いない。しかし、その耐久力も予想を上回る強さだと感じられる。不況と物価高にもかかわらず、プーチン大統領の支持率はなお70%を超えている。西側諸国の常識では考えられない。その源泉が独裁国家のプロパガンダにあることは否定できないが、忍耐強いというロシアの国民性も寄与しているように思われる。
(続きは明日)
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消費の減退も始まっている。3月の新車販売台数は前年比13%の減少。その一方でインフレも進行、4月の消費者物価は前年比17.6%も上昇している。ロシア中央銀行は「企業は生産や価格の面で、相当な困難に直面している」と認め、政策金利を2度にわたって引き下げた。しかし景気の後退は避けられず、世界銀行はことしのGDP成長率がマイナス11.2%になると推計している。
こうしたなかで注目されるのが、ルーブルの為替レート。3月上旬には1ドル=160ルーブルと史上最低に落ち込んでいたが、最近は急速に回復して74ルーブルとウクライナ侵攻前の水準を回復した。これはロシア政府が輸出企業に対して外貨をすべてルーブルに交換するよう強制。また市場でのルーブル売却を禁止したためである。この結果、ルーブル安による物価上昇の圧力がなくなり、中央銀行が景気対策としての利下げを実施することが可能になった。
ウクライナ戦争が長引けば、ロシア経済の苦境はますます深まるに違いない。しかし、その耐久力も予想を上回る強さだと感じられる。不況と物価高にもかかわらず、プーチン大統領の支持率はなお70%を超えている。西側諸国の常識では考えられない。その源泉が独裁国家のプロパガンダにあることは否定できないが、忍耐強いというロシアの国民性も寄与しているように思われる。
(続きは明日)
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◇ 大きな‟抜け穴”が2つ = 西側諸国の経済制裁にもかかわらず、まだロシア経済はしたたかに機能している。それにはロシアという国の特殊性も関与しているが、制裁に大きな‟抜け穴”が存在することも確かだ。その1つは、EUや日本がロシア産のエネルギー輸入をいぜん続けていること。石炭については段階的に停止することを決めたが、原油に関しては検討中の段階。天然ガスの禁輸は、検討もされていない。このためロシアはエネルギーの輸出で、まだ1日あたり11億ドルの収入を維持している。
もう1つの大きな‟抜け穴”は、中国とインド。中国の対ロシア貿易額は、ことしになってから急速に増加した。たとえば3月、ロシアからの輸入額は78億ドルで前年比26%も増加している。その大部分が原油・天然ガスであり、ロシアのエネルギー収入を減らさないことに貢献しているわけだ。またインドはロシアの値引き提案に飛びつき、原油の輸入を大幅に増加。アメリカ政府が警告する騒ぎとなっている。
仮にロシアの輸出がゼロになれば、どうなるか。日本経済研究センターの試算によれば、ロシアのGDPは約30%も縮小するという。そうなればロシア経済は完全に崩壊し、戦費の調達も出来なくなる。ロシアに対する経済制裁に踏み切ったとき、アメリカをはじめ西側諸国は、ロシアがこれに近い状態に陥ると想定していた。だが現実は、そうなっていない。
今回のウクライナ戦争は、いくつもの誤算を生じている。プーチン大統領は、ウクライナがこれほどの抵抗力を示すとは考えていなかったろう。西側諸国の結束も、想定外だったのではないか。また西側も、ロシア経済の耐久力を見誤った。こうした誤算が重なり合った結果、戦争は長期化することになったと言えるだろう。
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もう1つの大きな‟抜け穴”は、中国とインド。中国の対ロシア貿易額は、ことしになってから急速に増加した。たとえば3月、ロシアからの輸入額は78億ドルで前年比26%も増加している。その大部分が原油・天然ガスであり、ロシアのエネルギー収入を減らさないことに貢献しているわけだ。またインドはロシアの値引き提案に飛びつき、原油の輸入を大幅に増加。アメリカ政府が警告する騒ぎとなっている。
仮にロシアの輸出がゼロになれば、どうなるか。日本経済研究センターの試算によれば、ロシアのGDPは約30%も縮小するという。そうなればロシア経済は完全に崩壊し、戦費の調達も出来なくなる。ロシアに対する経済制裁に踏み切ったとき、アメリカをはじめ西側諸国は、ロシアがこれに近い状態に陥ると想定していた。だが現実は、そうなっていない。
今回のウクライナ戦争は、いくつもの誤算を生じている。プーチン大統領は、ウクライナがこれほどの抵抗力を示すとは考えていなかったろう。西側諸国の結束も、想定外だったのではないか。また西側も、ロシア経済の耐久力を見誤った。こうした誤算が重なり合った結果、戦争は長期化することになったと言えるだろう。
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◇ FRBが量的引き締めも決定 = FRBは4日、政策金利の0.5%引き上げと量的金融引き締め開始を決定した。これにより政策金利は年0.75%に上昇、また来月から月間950億ドルを限度に国債と住宅ローン証券が市場へ売り戻される。いよいよ本格的な金融引き締めが始まったという感じが強い。しかし経済界は冷静に受け止め、この日のダウ平均株価は932ドルも上昇した。
市場の一部では「0.75%の利上げ」も観測されていたが、それはなかった。またパウエル議長が会見で「アメリカ経済の状態はきわめて強い」と、何度も強調した。次の政策決定会議は6月15日になるから、それまでは資金の収縮がない。--利上げにもかかわらず株価が大幅に反発した理由として、市場ではこう説明された。だが要するに‟織り込み済み”ということだろう。
だが安心してばかりはいられない。金融引き締めには、必ず副作用が伴うからである。まず景気を悪化させないかどうか。この点はGDPなどマクロ的な指標を待たなくても、いち早く企業の業績見通しとなって表われてくる。次は借金をしている部門の負担が増大すること。具体的には新興国、信用度の低い企業、個人に分けられる。
すでに多くの新興国が資金の流出を抑えるため、金利の引き上げに踏み切った。スリランカでは通貨の切り下げにまで追い込まれている。信用度が低い企業が発行した社債は、アメリカだけで160兆円にのぼる。これら社債の金利は7-8%にも上昇しており、借り換えがうまく出来るか疑わしい物件も少なくない。住宅ローン金利も上昇しており、住宅産業には影が差してきた。市場はこうした副作用にも気づいて、5日には大幅に下げている。
≪6日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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市場の一部では「0.75%の利上げ」も観測されていたが、それはなかった。またパウエル議長が会見で「アメリカ経済の状態はきわめて強い」と、何度も強調した。次の政策決定会議は6月15日になるから、それまでは資金の収縮がない。--利上げにもかかわらず株価が大幅に反発した理由として、市場ではこう説明された。だが要するに‟織り込み済み”ということだろう。
だが安心してばかりはいられない。金融引き締めには、必ず副作用が伴うからである。まず景気を悪化させないかどうか。この点はGDPなどマクロ的な指標を待たなくても、いち早く企業の業績見通しとなって表われてくる。次は借金をしている部門の負担が増大すること。具体的には新興国、信用度の低い企業、個人に分けられる。
すでに多くの新興国が資金の流出を抑えるため、金利の引き上げに踏み切った。スリランカでは通貨の切り下げにまで追い込まれている。信用度が低い企業が発行した社債は、アメリカだけで160兆円にのぼる。これら社債の金利は7-8%にも上昇しており、借り換えがうまく出来るか疑わしい物件も少なくない。住宅ローン金利も上昇しており、住宅産業には影が差してきた。市場はこうした副作用にも気づいて、5日には大幅に下げている。
≪6日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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◇ エピデミックに近づいたらしい = 世界の感染者は累計5億1560万人、この1週間で385万人増加した。週間の増加数は7週連続で縮小、7週間前の4分の1になっている。死亡者は624万4913人で、週間1万6291人増加した。この増加数は昨年初以来の最少となっている。全体としてコロナのパンデミック(世界的大流行)は終わりに近づき、エピデミック(インフルエンザのように特定の地域で感染が広がる状態)に移行しつつあるとみていいのではないか。
国別の死亡者数をみても、そうした傾向が見て取れる。アメリカの死亡者は累計99万6705人、この1週間で3965人増加した。次いでブラジルは66万人台、インドは52万人台、ロシアは36万人台、メキシコは32万人台。さらにイギリスが17万人台、イタリアが16万人台、インドネシアが15万人台、フランスとイランが14万人台となっている。アメリカの死亡者数が前週をやや上回ったほかは、すべての国で増加数が縮小した。
米CDC(疾病対策センター)の推計によると、アメリカでは全人口の57.7%がコロナに感染したという。自治体が確認した感染者数に、本人も自覚しないまま感染した人数を加えた推計値である。その合計は公表された感染者数の約2.7倍。人口の6割に近い人が感染し、いわゆる‟集団免疫”が出来たのかもしれない。たとえば中国はゼロ・コロナを推進してきたから感染者が少なく、いまコロナの蔓延に手を焼いているとも考えられる。
日本の感染者は累計800万7414人。この1週間で18万5727人増加した。この増加数は1月上旬以来の最少。死亡者は2万9728人で、週間216人の増加。1月下旬以来の最少だった。改善の傾向は続いているが、まだ安心はできない。というのもCDC流に計算してみると、日本の感染者数はまだ全人口の20%に満たない。集団免疫にはほど遠いからである。
≪6日の日経平均 = 上げ +185.03円≫
【今週の日経平均予想 = 1勝1敗】
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国別の死亡者数をみても、そうした傾向が見て取れる。アメリカの死亡者は累計99万6705人、この1週間で3965人増加した。次いでブラジルは66万人台、インドは52万人台、ロシアは36万人台、メキシコは32万人台。さらにイギリスが17万人台、イタリアが16万人台、インドネシアが15万人台、フランスとイランが14万人台となっている。アメリカの死亡者数が前週をやや上回ったほかは、すべての国で増加数が縮小した。
米CDC(疾病対策センター)の推計によると、アメリカでは全人口の57.7%がコロナに感染したという。自治体が確認した感染者数に、本人も自覚しないまま感染した人数を加えた推計値である。その合計は公表された感染者数の約2.7倍。人口の6割に近い人が感染し、いわゆる‟集団免疫”が出来たのかもしれない。たとえば中国はゼロ・コロナを推進してきたから感染者が少なく、いまコロナの蔓延に手を焼いているとも考えられる。
日本の感染者は累計800万7414人。この1週間で18万5727人増加した。この増加数は1月上旬以来の最少。死亡者は2万9728人で、週間216人の増加。1月下旬以来の最少だった。改善の傾向は続いているが、まだ安心はできない。というのもCDC流に計算してみると、日本の感染者数はまだ全人口の20%に満たない。集団免疫にはほど遠いからである。
≪6日の日経平均 = 上げ +185.03円≫
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◇ FRBに対する不信感が噴き出す = ダウ平均は先週78ドルの値下がり。週の半ばにジェットコースターのような上下動を演じたあと、結局は小幅な下げに落ち着いた。まずFRBが0.5%の利上げと量的引き締めの開始を発表した4日、株価は982ドルとことし最大の上げ。ところが、あくる5日には1063ドルも下落した。この下げ幅は20年6月以来2年ぶりの大きさ。なにが株価の大揺れをもたらしたのか。
パウエルFRB議長が「0.75%の利上げは考えなかった」と明かしたことで、市場は一安心。これで4日の株価は急上昇した。ところが、よく考えてみると「0.5%の利上げでも影響は大きい」ことに気が付く。長期金利も3.1%台に跳ね上がった。パウエル議長は6月も0.5%の利上げを実施すると言うが、これで景気が悪化することはないのだろうか。要するに「FRBは景気後退を招かずに、インフレを抑えられるのか」という不信感が噴出。5日の株価は大きく下げた。
日経平均は先週156円の値上がり。ダウ平均が1000ドル下げたにもかかわらず、6日は200円近く上昇した。こんなことは、きわめて珍しい。ニューヨークで売った投資家が、東京の出遅れ株を狙ったという解説も出ている。たしかに3月決算の発表をみると、エネルギーや資源高が業績にプラスとなった企業と、マイナスになった企業の二極化が明瞭になっている。物色には適した環境になっているのかもしれない。
今週は9日に、3月の毎月勤労統計。10日に、3月の家計調査。11日に、3月の景気動向指数。12日に、4月の景気ウオッチャー調査。アメリカでは11日に、4月の消費者物価。12日に、4月の生産者物価。13日に、5月のミシガン大学・消費者信頼感指数。また中国が9日に、4月の貿易統計。11日に、4月の消費者物価と生産者物価を発表する。
≪9日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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パウエルFRB議長が「0.75%の利上げは考えなかった」と明かしたことで、市場は一安心。これで4日の株価は急上昇した。ところが、よく考えてみると「0.5%の利上げでも影響は大きい」ことに気が付く。長期金利も3.1%台に跳ね上がった。パウエル議長は6月も0.5%の利上げを実施すると言うが、これで景気が悪化することはないのだろうか。要するに「FRBは景気後退を招かずに、インフレを抑えられるのか」という不信感が噴出。5日の株価は大きく下げた。
日経平均は先週156円の値上がり。ダウ平均が1000ドル下げたにもかかわらず、6日は200円近く上昇した。こんなことは、きわめて珍しい。ニューヨークで売った投資家が、東京の出遅れ株を狙ったという解説も出ている。たしかに3月決算の発表をみると、エネルギーや資源高が業績にプラスとなった企業と、マイナスになった企業の二極化が明瞭になっている。物色には適した環境になっているのかもしれない。
今週は9日に、3月の毎月勤労統計。10日に、3月の家計調査。11日に、3月の景気動向指数。12日に、4月の景気ウオッチャー調査。アメリカでは11日に、4月の消費者物価。12日に、4月の生産者物価。13日に、5月のミシガン大学・消費者信頼感指数。また中国が9日に、4月の貿易統計。11日に、4月の消費者物価と生産者物価を発表する。
≪9日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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◇ 日本は参院選まで動かない? = アメリカ・EU・日本などのG7(先進7か国)首脳は8日、オンラインで会談し「ロシア産原油の輸入禁止に取り組む」という共同声明を発表した。すでにアメリカは、バイデン大統領が「ロシア産の原油・天然ガス・石炭の輸入を全面的に禁止する」大統領令に署名。またイギリスも「原油の輸入を段階的に停止する」方針を公表している。岸田首相は「日本も原則禁止の措置をとる」と表明した。
日本の原油輸入に占めるロシア産の比率は3.6%で、そんなに大きくはない。しかし欧米諸国が輸入を禁止することで、国際価格はさらに上昇するだろう。現状でさえ日本のエネルギー事情は、窮迫している。電気料金やガソリン代が急騰、貿易収支は赤字に陥った。もしロシア産の原油を禁輸すれば、その分を何かで補わなければ、この夏には大停電が起こる危険性もなくはない。
この非常時を乗り切るためには、原発を動かすしかないことは明かだ。いま原発は全国で10基が稼働中。ほかに規制委員会の安全審査で合格した原発が7基あるが、地元住民の反対やテロ対策の不備で動いていない。政府は自衛隊の活用など、あらゆる対策を講じて原発の再稼働を進めるべきだ。だが政府は、エネルギー対策の基本姿勢さえ確立できずにいる。
たとえば、原発は35年には全廃する。しかし現在の非常事態を乗り切るために、安全な7基の原発を再稼働する。こうした政策を明確に打ち出すべきときではないか。だが参院選を前に、票を失う可能性がある原発問題には触りたくない。その心情は、岸田首相の「ロシア産原油の輸入停止時期は、実態を踏まえて検討して行く」という発言によく表われている。
≪9日の日経平均 = 下げ -684.22円≫
≪10日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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日本の原油輸入に占めるロシア産の比率は3.6%で、そんなに大きくはない。しかし欧米諸国が輸入を禁止することで、国際価格はさらに上昇するだろう。現状でさえ日本のエネルギー事情は、窮迫している。電気料金やガソリン代が急騰、貿易収支は赤字に陥った。もしロシア産の原油を禁輸すれば、その分を何かで補わなければ、この夏には大停電が起こる危険性もなくはない。
この非常時を乗り切るためには、原発を動かすしかないことは明かだ。いま原発は全国で10基が稼働中。ほかに規制委員会の安全審査で合格した原発が7基あるが、地元住民の反対やテロ対策の不備で動いていない。政府は自衛隊の活用など、あらゆる対策を講じて原発の再稼働を進めるべきだ。だが政府は、エネルギー対策の基本姿勢さえ確立できずにいる。
たとえば、原発は35年には全廃する。しかし現在の非常事態を乗り切るために、安全な7基の原発を再稼働する。こうした政策を明確に打ち出すべきときではないか。だが参院選を前に、票を失う可能性がある原発問題には触りたくない。その心情は、岸田首相の「ロシア産原油の輸入停止時期は、実態を踏まえて検討して行く」という発言によく表われている。
≪9日の日経平均 = 下げ -684.22円≫
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◇ 中国人と韓国人の来日は期待薄 = 外国人観光客の受け入れが、再開されそうだ。新聞各紙の報道によると、政府は6月から外国人観光客の入国を認める方向で検討中だという。コロナの感染状況が落ち着いてきたため、政府は3月からビジネス目的の外国人には入国を認めてきた。これを6月からは観光客についても、段階的に解禁する。もちろん観光業や小売り業からは、大歓迎の声が挙がっている。
日本にやってきた外国人観光客は、コロナ前の19年には3188万人に達した。これがコロナのために急減、21年にはわずか24万人に縮小している。消費金額も4兆8135億円から、ほとんどゼロに落ち込んだ。いわゆるインバウンド景気が消滅したわけである。その再開は日本経済にとっても好ましく、政府が参院選を前に解禁することは十分にありうることだろう。
ただ大きな問題がある。19年の実績では中国からの観光客が959万人で最大。次いで韓国、台湾、香港の順だった。ところが、こうした国・地域からの観光客は入国が難しくなりそう。というのも、これらの国・地域ではコロナの感染が下火になっていないからだ。日経新聞によると、政府はファイザーもしくはモデルナのワクチンを3回接種し、検査で陰性だった人に限って入国を認めるという。
中国では、ほとんどの人が中国製のワクチンを射っている。だから来日できる人は、まずいない。台湾などについても、適格者はかなり制限されるだろう。つまり過去の実績からみた上客ほど、来日が難しい。したがってインバウンド景気の急回復は、あまり期待できないのではないか。それでもナイよりはマシと考えるべきなのか。
≪10日の日経平均 = 下げ -152.24円≫
≪11日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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日本にやってきた外国人観光客は、コロナ前の19年には3188万人に達した。これがコロナのために急減、21年にはわずか24万人に縮小している。消費金額も4兆8135億円から、ほとんどゼロに落ち込んだ。いわゆるインバウンド景気が消滅したわけである。その再開は日本経済にとっても好ましく、政府が参院選を前に解禁することは十分にありうることだろう。
ただ大きな問題がある。19年の実績では中国からの観光客が959万人で最大。次いで韓国、台湾、香港の順だった。ところが、こうした国・地域からの観光客は入国が難しくなりそう。というのも、これらの国・地域ではコロナの感染が下火になっていないからだ。日経新聞によると、政府はファイザーもしくはモデルナのワクチンを3回接種し、検査で陰性だった人に限って入国を認めるという。
中国では、ほとんどの人が中国製のワクチンを射っている。だから来日できる人は、まずいない。台湾などについても、適格者はかなり制限されるだろう。つまり過去の実績からみた上客ほど、来日が難しい。したがってインバウンド景気の急回復は、あまり期待できないのではないか。それでもナイよりはマシと考えるべきなのか。
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◇ 国債価格をめぐって長期戦の様相 = 円の対ドル相場が、一時は131円台にまで下落した。アメリカのFRBは、政策金利を0.5%引き上げて0.75%に。一方の日銀は指し値オペまで繰り出して、ゼロ金利の防衛に必死。このため日米間の金利差がいっそう拡大し、ドルが買われ円が売られた。
国債は売られて価格が下がると、利回りが増大する。日銀は10年もの国債の利回りが0.25%に上昇すると、すべての国債を買い取って金利がそれ以上にならないようにしてしまう。これが指し値オペだ。なにがなんでもゼロ金利を守り抜くという姿勢であり、いわば「寄らば切るぞ」の構えと言えるだろう。じっさい4月21-26日だけでも、2兆0767億円を買い入れた。
日銀がこれだけ買ったということは、それだけ売り物があったことを意味する。その大部分は、海外の投機ファンド。3月だけで2兆円を売り越している。いずれは日銀が政策を転換、国債の価格が大きく下げれば、空売りを買い戻して巨額の利益を得ることが出来ると目論んでいるわけだ。やっぱり「中央銀行の方が強いだろう」と考えるのは、大きな間違い。
数多くの投機ファンドが参入してくると、その資金量は数十兆円にも達する。かつては、あのイングランド銀行も白旗を上げたことがある。つい最近、昨年10月にはオーストラリア中央銀行が負けて、政策の転換を余儀なくされた。だから日銀としても、うかうかしてはいられない。では、どうして投機ファンドは勝算ありと考えるのだろうか。
(続きは明日)
≪11日の日経平均 = 上げ +46.54円≫
≪12日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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国債は売られて価格が下がると、利回りが増大する。日銀は10年もの国債の利回りが0.25%に上昇すると、すべての国債を買い取って金利がそれ以上にならないようにしてしまう。これが指し値オペだ。なにがなんでもゼロ金利を守り抜くという姿勢であり、いわば「寄らば切るぞ」の構えと言えるだろう。じっさい4月21-26日だけでも、2兆0767億円を買い入れた。
日銀がこれだけ買ったということは、それだけ売り物があったことを意味する。その大部分は、海外の投機ファンド。3月だけで2兆円を売り越している。いずれは日銀が政策を転換、国債の価格が大きく下げれば、空売りを買い戻して巨額の利益を得ることが出来ると目論んでいるわけだ。やっぱり「中央銀行の方が強いだろう」と考えるのは、大きな間違い。
数多くの投機ファンドが参入してくると、その資金量は数十兆円にも達する。かつては、あのイングランド銀行も白旗を上げたことがある。つい最近、昨年10月にはオーストラリア中央銀行が負けて、政策の転換を余儀なくされた。だから日銀としても、うかうかしてはいられない。では、どうして投機ファンドは勝算ありと考えるのだろうか。
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◇ 日銀総裁の論理的な弱さ = 投機ファンドが「勝てる」と考える最大の理由は、円安のマイナス効果が増大して行くこと。ウクライナ戦争や中国の供給網破たんに円安が加わり、すでに輸入物価は大幅に高騰している。電気やガス料金、ガソリンや食料品の値上がりで、企業や家計の負担は目に見えて大きくなってきた。国民の不満がさらに増大すれば、日銀はゼロ金利政策を維持できず、政策転換を余儀なくされるだろう。これが投機筋の思惑だ。
日銀の黒田総裁は「円安は日本経済にとってプラスだ」と言い続けている。たしかに輸出関連企業は、円に換算した利益が膨らむ。原油や資源の高騰で、石油会社や商社は過去最大の利益を計上した。しかし一方では多くの企業や一般家庭が、物価の上昇に苦しみ始めた。全体としてみれば、すでに円安のマイナス効果がプラス効果を上回っており、この傾向は時間とともに強くなる。これが投機筋の読みである。
問題の物価高について、黒田総裁は「そう長くは続かない」と強調する。だが、その根拠については説明なし。いまの物価高がウクライナ戦争によることは、誰にも否定できない。すると黒田総裁は「ウクライナ戦争が早期に終わる」と考えているのだろうか。こういう常識的ではないことを言い続けると、信用度が低下する。ここが日銀総裁の弱点だ。
投機筋は、政府による為替市場への介入もないとみている。介入はアメリカ政府の同調がなければ、効果が出ない。しかしアメリカはいまインフレ対策に懸命で、ドル安は受け入れられないからだ。こうして市場では、円安はまだ進む。135円は必至で、145円もありうるという予想まで飛び始めた。投機筋vs日銀の暗闘、まだ勝負の行く末は判らない。
≪12日の日経平均 = 下げ -464.92円≫
≪13日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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日銀の黒田総裁は「円安は日本経済にとってプラスだ」と言い続けている。たしかに輸出関連企業は、円に換算した利益が膨らむ。原油や資源の高騰で、石油会社や商社は過去最大の利益を計上した。しかし一方では多くの企業や一般家庭が、物価の上昇に苦しみ始めた。全体としてみれば、すでに円安のマイナス効果がプラス効果を上回っており、この傾向は時間とともに強くなる。これが投機筋の読みである。
問題の物価高について、黒田総裁は「そう長くは続かない」と強調する。だが、その根拠については説明なし。いまの物価高がウクライナ戦争によることは、誰にも否定できない。すると黒田総裁は「ウクライナ戦争が早期に終わる」と考えているのだろうか。こういう常識的ではないことを言い続けると、信用度が低下する。ここが日銀総裁の弱点だ。
投機筋は、政府による為替市場への介入もないとみている。介入はアメリカ政府の同調がなければ、効果が出ない。しかしアメリカはいまインフレ対策に懸命で、ドル安は受け入れられないからだ。こうして市場では、円安はまだ進む。135円は必至で、145円もありうるという予想まで飛び始めた。投機筋vs日銀の暗闘、まだ勝負の行く末は判らない。
≪12日の日経平均 = 下げ -464.92円≫
≪13日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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◇ 北朝鮮がオミクロン蔓延を初めて認める = 世界の感染者は累計5億1948万人、この1週間で389万人増加した。この増加数は前週よりわずかに多い。死亡者は625万8388人で、週間1万3475人の増加。この増加数は、前週より3000人近く減っている。全体として、高水準のまま横ばいが続く。中国では懸命のゼロ・コロナ対策にもかかわらず、まだ終息の兆しが見えない。そうしたなかで、北朝鮮が初めてオミクロン株の蔓延を公式に認めた。
国別の死亡者数をみると、アメリカは累計99万8997人、この1週間で2292人増加した。来週は100万人を突破する。続いてブラジルが66万人台、インドが52万人台、ロシアが36万人台、メキシコが32万人台。さらにイギリスが17万人台、イタリアが16万人台、インドネシアが15万人台、フランスとイランが14万人台となっている。このうちインドは週間206人、メキシコは131人の増加にとどまっているが、その理由は明かでない。
中国の感染者は累計112万2948人、この1週間で6万8845人増加した。死亡者は5203人で、週間62人の増加。まだ終息の気配はない。一方、北朝鮮が初めてオミクロン株の蔓延を発表、全土に都市封鎖を指令した。中国が支援を申し出たが、中国製のワクチンはオミクロンにあまり有効ではないといわれる。西側は人道的見地から、ワクチンを供給するのだろうか。
日本の感染者は累計826万9156人、この1週間で26万1742人増加した。前週より7万6000人ほど増えている。死亡者は2万9975人で、週間247人の増加。前週より31人増えた。増加数が拡大したのは10週間ぶり。大型連休の影響だと思われるが、この程度のリバウンドで済むのかどうか。参院選を前に、気の抜けない状況が続く。
≪13日の日経平均 = 上げ +678.93円≫
【今週の日経平均予想 = 5勝0敗】
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国別の死亡者数をみると、アメリカは累計99万8997人、この1週間で2292人増加した。来週は100万人を突破する。続いてブラジルが66万人台、インドが52万人台、ロシアが36万人台、メキシコが32万人台。さらにイギリスが17万人台、イタリアが16万人台、インドネシアが15万人台、フランスとイランが14万人台となっている。このうちインドは週間206人、メキシコは131人の増加にとどまっているが、その理由は明かでない。
中国の感染者は累計112万2948人、この1週間で6万8845人増加した。死亡者は5203人で、週間62人の増加。まだ終息の気配はない。一方、北朝鮮が初めてオミクロン株の蔓延を発表、全土に都市封鎖を指令した。中国が支援を申し出たが、中国製のワクチンはオミクロンにあまり有効ではないといわれる。西側は人道的見地から、ワクチンを供給するのだろうか。
日本の感染者は累計826万9156人、この1週間で26万1742人増加した。前週より7万6000人ほど増えている。死亡者は2万9975人で、週間247人の増加。前週より31人増えた。増加数が拡大したのは10週間ぶり。大型連休の影響だと思われるが、この程度のリバウンドで済むのかどうか。参院選を前に、気の抜けない状況が続く。
≪13日の日経平均 = 上げ +678.93円≫
【今週の日経平均予想 = 5勝0敗】
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◇ どっちを向いても赤信号 = ダウ平均は先週703ドルの値下がり。7週間の続落で、終り値は3万2000ドルをやっと維持した。この7週間の下げ幅は2600ドルを超えている。週初は金利の上昇で下げたが、あと金利が下がっても株価は回復しなかった。平均時給が4月は5.5%も上昇、賃金インフレの恐れが強まったためである。加えて中国では都市封鎖が続き、部品などの供給が滞っていることも警戒された。
日経平均は先週576円の値下がり。こちらも、なんとか2万6000円台を維持している。この7週間の下げ幅は1600円あまりで、ダウ平均より下げ方は鈍い。3月期決算の発表が進み、利益が過去最大になったことが明らかになった。その結果、下げ過ぎている銘柄が多いと認識され、出遅れ株への買いが入っている。下値は固まってきたようにみえるが、上昇力は弱い。
ニューヨーク市場では、2方面への警戒感が高まっている。1つはインフレ警戒。FRBがどこまで金融を引き締めれば、物価は沈静するのか。もう1つは金融引き締めで、景気が後退局面に入らないか。投資家は、どっちを警戒するべきか、大いに迷いだした。逆に言うと、どっちにも赤信号が灯っている状態だ。ニューヨーク市場の混迷は、まだ続きそうである。
今週は16日に、4月の企業物価。18日に、1-3月期のGDP速報。19日に、4月の貿易統計、3月の機械受注。20日に、4月の消費者物価。アメリカでは17日に、4月の小売り売上高、工業生産、5月のNAHB住宅市場指数。18日に、4月の住宅着工。19日に、4月の中古住宅販売。また中国が16日に、4月の小売り売上高、鉱工業生産、固定資産投資額を発表する。
≪16日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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日経平均は先週576円の値下がり。こちらも、なんとか2万6000円台を維持している。この7週間の下げ幅は1600円あまりで、ダウ平均より下げ方は鈍い。3月期決算の発表が進み、利益が過去最大になったことが明らかになった。その結果、下げ過ぎている銘柄が多いと認識され、出遅れ株への買いが入っている。下値は固まってきたようにみえるが、上昇力は弱い。
ニューヨーク市場では、2方面への警戒感が高まっている。1つはインフレ警戒。FRBがどこまで金融を引き締めれば、物価は沈静するのか。もう1つは金融引き締めで、景気が後退局面に入らないか。投資家は、どっちを警戒するべきか、大いに迷いだした。逆に言うと、どっちにも赤信号が灯っている状態だ。ニューヨーク市場の混迷は、まだ続きそうである。
今週は16日に、4月の企業物価。18日に、1-3月期のGDP速報。19日に、4月の貿易統計、3月の機械受注。20日に、4月の消費者物価。アメリカでは17日に、4月の小売り売上高、工業生産、5月のNAHB住宅市場指数。18日に、4月の住宅着工。19日に、4月の中古住宅販売。また中国が16日に、4月の小売り売上高、鉱工業生産、固定資産投資額を発表する。
≪16日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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◇ 最高益から急減速する見込み = 企業の決算発表がピークを超えた。日経新聞が東証プライム上場の1100社について集計したところ、22年3月期の純利益は36%の増益。4年ぶりに最高益を更新した。コロナによる行動規制が解除されこと、加えて資源の大幅高、円安の進行が貢献している。商社・鉄鋼・海運・自動車・電機などが最高益を出す一方、小売り・電力・空運・観光などは大苦戦。2極化ガ鮮明となっている。
ところが23年3月期の見通しは、一転して急降下。製造業の純利益は7%の減益、非製造業は15%の増益となる。全体としても3%の増益に急減速する見込み。ここでは①相変わらず絶好調が続く②一転して業績が悪化する③いぜんとして不調が続く--の3極化が進みそうだ。このうち製造業を中心に②となる業種が多く、全体の利益を大きく押し下げる。
その代表例がトヨタ自動車だ。22年3月期の営業利益は2兆9956億円で、36.3%の増益。6年ぶりに最高益を更新した。このうち円安の効果は6100億円にのぼっている。しかし23年3月期の見通しは、営業利益が20%の減益と見込む。主たる原因は原材料価格の高騰で、円安によるプラス効果をはるかに上回るマイナス効果になるという。
日銀はまだ「円安は日本経済にとってプラスだ」と言い続けている。しかし企業業績の見通しからも明らかなように、経営者は誰もそんなことを考えていない。おそらく日銀も判ってはいるのだろうが、メンツがあって主張を変えられないのだろう。だが間違ったことを言い続けていると、日銀に対する信頼度はどんどん薄れて行く。それで、いいのだろうか。
≪16日の日経平均 = 上げ +119.40円≫
≪17日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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ところが23年3月期の見通しは、一転して急降下。製造業の純利益は7%の減益、非製造業は15%の増益となる。全体としても3%の増益に急減速する見込み。ここでは①相変わらず絶好調が続く②一転して業績が悪化する③いぜんとして不調が続く--の3極化が進みそうだ。このうち製造業を中心に②となる業種が多く、全体の利益を大きく押し下げる。
その代表例がトヨタ自動車だ。22年3月期の営業利益は2兆9956億円で、36.3%の増益。6年ぶりに最高益を更新した。このうち円安の効果は6100億円にのぼっている。しかし23年3月期の見通しは、営業利益が20%の減益と見込む。主たる原因は原材料価格の高騰で、円安によるプラス効果をはるかに上回るマイナス効果になるという。
日銀はまだ「円安は日本経済にとってプラスだ」と言い続けている。しかし企業業績の見通しからも明らかなように、経営者は誰もそんなことを考えていない。おそらく日銀も判ってはいるのだろうが、メンツがあって主張を変えられないのだろう。だが間違ったことを言い続けていると、日銀に対する信頼度はどんどん薄れて行く。それで、いいのだろうか。
≪16日の日経平均 = 上げ +119.40円≫
≪17日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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◇ 都市封鎖で景気後退の状態に = 中国経済の状況が、予想以上に悪化した。国家統計局が16日発表した4月の主要経済指標をみると、生産・消費・投資のすべてが大幅に落ち込んでいる。ゼロ・コロナ政策で、上海市など主要な都市に厳重な都市封鎖が断行された結果だ。上海市当局は「6月には段階的に封鎖を解除する方針」と言明しているが、少なくとも4-5月は「中国経済が一時的にせよ、景気後退の状態に陥った」と言えるだろう。
発表によると、4月の小売り売上高は前年比11.1%の減少だった。3月の3.5%減少から、大きく悪化している。特に飲食業は22.7%も減少した。また鉱工業生産は2.9%の減少、これも3月の5.0%増から大きく悪化した。生産が減少したのは2年10か月ぶりのこと。さらに固定資産投資額も、1-4月で6.8%の増加にとどまった。やはり1-3月の9.3%増から悪化した。1-4月の不動産販売額は、前年比20.9%も減少している。
習近平政権は、ことしの成長目標を5.5%と公約している。だが1-6月間は、下手をするとゼロ成長にもなりかねない。したがって大型の景気対策を求める声も高まっているが、都市封鎖で人やモノが動けない。財政支出をしても、使えないことになる。そこで金融面から預金準備率を引き下げるしか方策がない。利下げも検討されているようだが、人民元の切り下げにつながるため踏み切れない。結局はゼロ・コロナに全力を集中することになる。
その結果、ことし夏以降は経済が正常化する公算も大きい。だが、そうなると過大な回復需要が発生し、エネルギーや資源の価格高騰を招く可能性も少なくない。要するに中国から、ことし前半は不況風、後半はインフレ風が世界に吹き付ける。いずれにしても、かく乱要因となることは間違いなさそうだ。
(続きは明日)
≪17日の日経平均 = 上げ +112.70円≫
≪18日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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発表によると、4月の小売り売上高は前年比11.1%の減少だった。3月の3.5%減少から、大きく悪化している。特に飲食業は22.7%も減少した。また鉱工業生産は2.9%の減少、これも3月の5.0%増から大きく悪化した。生産が減少したのは2年10か月ぶりのこと。さらに固定資産投資額も、1-4月で6.8%の増加にとどまった。やはり1-3月の9.3%増から悪化した。1-4月の不動産販売額は、前年比20.9%も減少している。
習近平政権は、ことしの成長目標を5.5%と公約している。だが1-6月間は、下手をするとゼロ成長にもなりかねない。したがって大型の景気対策を求める声も高まっているが、都市封鎖で人やモノが動けない。財政支出をしても、使えないことになる。そこで金融面から預金準備率を引き下げるしか方策がない。利下げも検討されているようだが、人民元の切り下げにつながるため踏み切れない。結局はゼロ・コロナに全力を集中することになる。
その結果、ことし夏以降は経済が正常化する公算も大きい。だが、そうなると過大な回復需要が発生し、エネルギーや資源の価格高騰を招く可能性も少なくない。要するに中国から、ことし前半は不況風、後半はインフレ風が世界に吹き付ける。いずれにしても、かく乱要因となることは間違いなさそうだ。
(続きは明日)
≪17日の日経平均 = 上げ +112.70円≫
≪18日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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◇ 翻弄される日米の企業群 = 中国発の不況風は、いくつかの経路をたどって世界各国に吹き付ける。まず中国の国内需要が減退するから、各国の中国向け輸出が伸び悩む。中国側の貿易統計でみると、原油を除く輸入額は3月が前年比3%、4月が7%の減少だった。半導体から化粧品まで幅広い分野で、輸入が減っている。各国の景気にとっては、その分だけマイナス要因となる。
もっと大きな影響は、中国側の輸出統計に表れる。4月の輸出額は前年比3.9%の増加、3月の14.7%増から急減した。パソコンやスマホなど半導体関連の製品や部品の輸出が、大幅に減っている。工場団地の閉鎖や港湾作業の渋滞が原因。この結果、アップルは4-6月で1兆円の収入源となる見込み。
日本企業も打撃を受けている。たとえば三菱自動車・ホンダなどは、中国から部品が届かないため国内工場の操業を停止。またソニー・東芝・味の素などは、上海工場が閉鎖された。さらに良品計画、ファミリーマートなどは、上海市の店舗が休業に追い込まれている。中国政府のゼロ・コロナ政策が解除されない限り、こうした状況は改善されないだろう。
ゼロ・コロナ政策は、いつ解除されるのだろう。上海市当局は「6月から段階的に」と言明しているから、7月以降は正常化が進むかもしれない。ところが、そうなると抑制されていた需要が反動的に噴出する。するとエネルギーや資源価格に強い上昇圧力がかかるだろう。中国発の不況風は、一転してインフレ風に変わる。そのタイミングを見誤らないようにしないと、企業の打撃はもっと大きくなってしまう。
≪18日の日経平均 = 上げ +251.45円≫
≪19日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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もっと大きな影響は、中国側の輸出統計に表れる。4月の輸出額は前年比3.9%の増加、3月の14.7%増から急減した。パソコンやスマホなど半導体関連の製品や部品の輸出が、大幅に減っている。工場団地の閉鎖や港湾作業の渋滞が原因。この結果、アップルは4-6月で1兆円の収入源となる見込み。
日本企業も打撃を受けている。たとえば三菱自動車・ホンダなどは、中国から部品が届かないため国内工場の操業を停止。またソニー・東芝・味の素などは、上海工場が閉鎖された。さらに良品計画、ファミリーマートなどは、上海市の店舗が休業に追い込まれている。中国政府のゼロ・コロナ政策が解除されない限り、こうした状況は改善されないだろう。
ゼロ・コロナ政策は、いつ解除されるのだろう。上海市当局は「6月から段階的に」と言明しているから、7月以降は正常化が進むかもしれない。ところが、そうなると抑制されていた需要が反動的に噴出する。するとエネルギーや資源価格に強い上昇圧力がかかるだろう。中国発の不況風は、一転してインフレ風に変わる。そのタイミングを見誤らないようにしないと、企業の打撃はもっと大きくなってしまう。
≪18日の日経平均 = 上げ +251.45円≫
≪19日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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◇ 21世紀は年平均0.5%の超低成長 = 内閣府は18日、ことし1-3月期のGDP速報を発表した。それによると、年率換算した実質成長率はマイナス1.0%。このところ1四半期ごとに、マイナス成長となっている。内訳をみると、いずれも年率換算で個人消費が0.2%の減少、企業の設備投資が1.9%の増加、住宅投資は4.3%の減少だった。また輸出が4.7%伸びた一方、輸入は14.1%と大幅に増大している。
個人消費の停滞は、コロナ対策で「まん延防止措置」が実施された影響。また輸入の増大は、原油などの価格が急騰したためで、成長率のマイナス要因となった。さらに補正予算の編成で財政支出が拡大したにもかかわらず、公共投資が13.6%減少したこともGDPの縮小につながった。コロナ規制が解除された4-6月期は、またプラス成長に戻ると考えられる。
同時に発表された21年度の実質成長率は、プラス2.1%だった。3年ぶりのプラス成長で、実質GDPの金額は537兆円となっている。ただ2000年度の実額は485兆6000億円だったから、日本経済の実質GDPは21世紀になってから51兆4000億円しか増えていない。これを年平均の増加率にすると、わずか0.5%ということになる。日本は超低成長国になったと言うしかない。
なぜ、こんな国になってしまったのか。政府・与党はもっと真剣にその原因を究明する必要がある。たとえば財政支出の内容がコロナ対策のような‟対症療法”に使われ過ぎて、将来の成長に向けた投資に使われていないこと。またエネルギー対策が確立できず、原油などの輸入依存度を少しも下げられないこと。「新しい資本主義」などという言葉の遊びは止めて、基本から見つめ直さないと日本経済は浮き上がれないのではないか。
≪19日の日経平均 = 下げ -508.36円≫
≪20日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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個人消費の停滞は、コロナ対策で「まん延防止措置」が実施された影響。また輸入の増大は、原油などの価格が急騰したためで、成長率のマイナス要因となった。さらに補正予算の編成で財政支出が拡大したにもかかわらず、公共投資が13.6%減少したこともGDPの縮小につながった。コロナ規制が解除された4-6月期は、またプラス成長に戻ると考えられる。
同時に発表された21年度の実質成長率は、プラス2.1%だった。3年ぶりのプラス成長で、実質GDPの金額は537兆円となっている。ただ2000年度の実額は485兆6000億円だったから、日本経済の実質GDPは21世紀になってから51兆4000億円しか増えていない。これを年平均の増加率にすると、わずか0.5%ということになる。日本は超低成長国になったと言うしかない。
なぜ、こんな国になってしまったのか。政府・与党はもっと真剣にその原因を究明する必要がある。たとえば財政支出の内容がコロナ対策のような‟対症療法”に使われ過ぎて、将来の成長に向けた投資に使われていないこと。またエネルギー対策が確立できず、原油などの輸入依存度を少しも下げられないこと。「新しい資本主義」などという言葉の遊びは止めて、基本から見つめ直さないと日本経済は浮き上がれないのではないか。
≪19日の日経平均 = 下げ -508.36円≫
≪20日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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◇ 北朝鮮が絶好の実験台になるかも = 世界の感染者は累計5億2538万人、この1週間で590万人増加した。この増加数は前週より200万人多い。死亡者は628万3587人、週間2万5199人の増加だった。前週より1万1700人拡大している。全体としてやや悪化しているが、その主な原因はイギリスに。この1週間で感染者は200万人、死亡者は1万2700人増えている。統計方法が変わったのか、理由は不明である。
国別に死亡者数をみると、アメリカは累計100万1269人。この1週間で2272人増加し、100万人を超えた。次いでブラジルが66万人台、インドが52万人台、ロシアが37万人台、メキシコが32万人台。さらにイギリスが19万人台、イタリアが16万人台、インドネシアが15万人台、フランスとイランが14万人台となっている。週間の増加数でインドは122人、ブラジルは466人にまで縮小した。
非常事態に陥ったのは北朝鮮。感染者は一気に230万人に達し、死亡者は63人と発表されている。ワクチン接種が行われなかったところへ、オミクロン株がどっと侵入した。中国式の都市封鎖で対応しているが、人口が2500万人と少なく、国家の強制力がきわめて強い。都市封鎖の効果がどのくらいなのか。また導入した中国製ワクチンの効力が、どのくらいあるのか。政府が正確な数字を公表するとすれば、有益なデータが判明するに違いない。
日本の感染者は累計852万3658人、この1週間で25万4602人増加した。前週の増加数より7240人減っている。死亡者は3万0216人、この1週間で241人増加した。前週より6人減ったが、3万人を超えている。連休による人出の増加、大幅な規制の解除。その一方で3回目のワクチン接種者が人口の56.8%に達した。その綱引きの結果だと考えられる。
≪20日の日経平均 = 上げ +336.19円≫
【今週の日経平均予想 = 4勝1敗】
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国別に死亡者数をみると、アメリカは累計100万1269人。この1週間で2272人増加し、100万人を超えた。次いでブラジルが66万人台、インドが52万人台、ロシアが37万人台、メキシコが32万人台。さらにイギリスが19万人台、イタリアが16万人台、インドネシアが15万人台、フランスとイランが14万人台となっている。週間の増加数でインドは122人、ブラジルは466人にまで縮小した。
非常事態に陥ったのは北朝鮮。感染者は一気に230万人に達し、死亡者は63人と発表されている。ワクチン接種が行われなかったところへ、オミクロン株がどっと侵入した。中国式の都市封鎖で対応しているが、人口が2500万人と少なく、国家の強制力がきわめて強い。都市封鎖の効果がどのくらいなのか。また導入した中国製ワクチンの効力が、どのくらいあるのか。政府が正確な数字を公表するとすれば、有益なデータが判明するに違いない。
日本の感染者は累計852万3658人、この1週間で25万4602人増加した。前週の増加数より7240人減っている。死亡者は3万0216人、この1週間で241人増加した。前週より6人減ったが、3万人を超えている。連休による人出の増加、大幅な規制の解除。その一方で3回目のワクチン接種者が人口の56.8%に達した。その綱引きの結果だと考えられる。
≪20日の日経平均 = 上げ +336.19円≫
【今週の日経平均予想 = 4勝1敗】
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◇ 8週連続下げは大恐慌以来90年ぶり = ダウ平均は先週935ドルの値下がり。特に水曜日には1165ドル、2年ぶりの大幅な下落となった。終り値は3万1200ドル台にまで沈んでいる。これで8週間の続落、1932年の世界大恐慌以来の記録となった。この間の下げ幅は3600ドルに達している。エネルギー関連と不動産の一部を除いて、全面安の状況となっている。
市場が弱気に転じたきっかけは、大型小売り企業の決算が予想を下回ったこと。物価高でコストが上昇したためで、こうした傾向が幅広い業種に広がるのではないかという懸念が強まった。言い換えると「インフレ抑止のためには景気後退が避けられない」という見方である。FRBは軟着陸できないという予想が高まったとも言えるだろう。
日経平均は先週311円の値上がり。ニューヨークが大幅に下げた割には、底堅く推移した。出遅れ株を求めて、ニューヨークから東京へ資金が流れたとみられる。3月期決算の発表が進むにつれ、内容が予想を上回ったことも好感された。ただニューヨーク市場が反発に転じなければ、上値は追えないだろう。焦点はやはりアメリカの物価動向に集中してきた。
今週は26日に、4月の企業向けサービス価格。27日に、5月の東京都区部・消費者物価。アメリカでは24日に、4月の新築住宅販売。25日に、1-3月期のGDP改定値、4月の中古住宅販売。なお23日に、日米首脳会談。
≪23日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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市場が弱気に転じたきっかけは、大型小売り企業の決算が予想を下回ったこと。物価高でコストが上昇したためで、こうした傾向が幅広い業種に広がるのではないかという懸念が強まった。言い換えると「インフレ抑止のためには景気後退が避けられない」という見方である。FRBは軟着陸できないという予想が高まったとも言えるだろう。
日経平均は先週311円の値上がり。ニューヨークが大幅に下げた割には、底堅く推移した。出遅れ株を求めて、ニューヨークから東京へ資金が流れたとみられる。3月期決算の発表が進むにつれ、内容が予想を上回ったことも好感された。ただニューヨーク市場が反発に転じなければ、上値は追えないだろう。焦点はやはりアメリカの物価動向に集中してきた。
今週は26日に、4月の企業向けサービス価格。27日に、5月の東京都区部・消費者物価。アメリカでは24日に、4月の新築住宅販売。25日に、1-3月期のGDP改定値、4月の中古住宅販売。なお23日に、日米首脳会談。
≪23日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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◇ 今週も下げれば史上最長の下落に = ダウ平均株価は先週935ドルの値下がり。これで8週間連続の下落となった。これまで8週間の続落は、世界大恐慌の1932年と1940年にあったのみ。したがって、もし今週も下落すれば、有難くない9週連続という史上最長記録を作ることになってしまう。市場では、なんとか反発しないかと気をもんでいる。
ニューヨーク市場の株価をSP500指数でみると、年初から先週末までの下落率は18%だった。同じ期間で調べてみると、1932年は下落率が33%、40年は20%だったから、今回の方が下落のスピードは遅い。また今回の下げは、企業の決算発表内容が予想を下回ったことで加速した。しかし3月決算の発表はほぼ終わったから、この面から悪材料が出ることはない。反発を期待する投資家の声である。
株価が下落した最大の原因は、アメリカの景気先行きに不安が生じたことだ。特に先週は長期金利が反落して3%を切ったにもかかわらず、株価は上昇しなかった。これは景気の見通しが悪化した結果、金利が下がったと考えられたためである。現在のインフレを抑制するためには、金融引き締めが不可欠。すると景気の後退は避けられない。とにかく格言通り「5月は売り」だ。悲観派の声である。
「明けない夜はない」の言葉通り、そろそろ明るくなってもいいのでは。感覚的に言えば、今週は反発する可能性が大きそうだ。しかし、これだけ長期間にわたって株価が下落したのには、もっと大きな意味があるのかもしれない。たとえば金融バブルの崩壊、第2次冷戦の始まりとか。すると株価はいったん反発しても、まだ少し調整すると覚悟しておいた方がいいかもしれない。
≪23日の日経平均 = 上げ +262.49円≫
≪24日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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ニューヨーク市場の株価をSP500指数でみると、年初から先週末までの下落率は18%だった。同じ期間で調べてみると、1932年は下落率が33%、40年は20%だったから、今回の方が下落のスピードは遅い。また今回の下げは、企業の決算発表内容が予想を下回ったことで加速した。しかし3月決算の発表はほぼ終わったから、この面から悪材料が出ることはない。反発を期待する投資家の声である。
株価が下落した最大の原因は、アメリカの景気先行きに不安が生じたことだ。特に先週は長期金利が反落して3%を切ったにもかかわらず、株価は上昇しなかった。これは景気の見通しが悪化した結果、金利が下がったと考えられたためである。現在のインフレを抑制するためには、金融引き締めが不可欠。すると景気の後退は避けられない。とにかく格言通り「5月は売り」だ。悲観派の声である。
「明けない夜はない」の言葉通り、そろそろ明るくなってもいいのでは。感覚的に言えば、今週は反発する可能性が大きそうだ。しかし、これだけ長期間にわたって株価が下落したのには、もっと大きな意味があるのかもしれない。たとえば金融バブルの崩壊、第2次冷戦の始まりとか。すると株価はいったん反発しても、まだ少し調整すると覚悟しておいた方がいいかもしれない。
≪23日の日経平均 = 上げ +262.49円≫
≪24日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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◇ 価格転嫁が進まない日本 = 総務省が20日発表した4月の消費者物価は、前年比2.1%の上昇だった。上昇幅が2%を上回ったのは、消費税が8%に引き上げられた15年7月以来7年10か月ぶりのこと。生鮮食品を除く552品目中351品目が上昇した。特にエネルギーと食料品の値上がりが目立つ。たとえば電気料金は21.0%、ガソリンは15.7%、食用油は31.5%の上昇だった。
日銀が16日発表した4月の企業物価は、前年比10.0%の上昇だった。2ケタの上昇は41年ぶりのこと。ウクライナ戦争の影響で、エネルギーと資源の価格が大幅に上昇した。たとえば石油・石炭は前年比30.9%、鉄鋼は25.0%、木材・木製品は56.4%、飲食料品は3.7%上昇している。744品目中533品目が値上がりした。企業物価というのは、企業間で取引されるモノの値段。企業段階でみる限り、インフレ状態だと言っていい。
この2つの物価統計をみてすぐ判るのは、両者の上昇率が大きくかけ離れていること。この上昇率の差を、物価ギャップと呼んでいる。本来なら企業段階で物価が上がれば、小売り段階の物価も上がる。ところが3月の物価ギャップは8.5ポイント、4月も7.9ポイントと広がったまま。これは小売り段階での需要が弱く、いわゆる価格転嫁がなかなか進まないことを表している。
欧米諸国の場合は、価格転嫁が順調に進んでいる。たとえばアメリカをみると、4月の生産者物価は11.0%の上昇、消費者物価は8.3%の上昇で、物価ギャップは2.7ポイントだった。日本で価格転嫁が進まないのは、景気が悪いために他ならない。専門家は今後も消費者物価は2%台の上昇にとどまると予測しているが、これは景気が良くならないと言っているのと同じである。
(続きは明日)
≪24日の日経平均 = 下げ -253.38円≫
≪25日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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日銀が16日発表した4月の企業物価は、前年比10.0%の上昇だった。2ケタの上昇は41年ぶりのこと。ウクライナ戦争の影響で、エネルギーと資源の価格が大幅に上昇した。たとえば石油・石炭は前年比30.9%、鉄鋼は25.0%、木材・木製品は56.4%、飲食料品は3.7%上昇している。744品目中533品目が値上がりした。企業物価というのは、企業間で取引されるモノの値段。企業段階でみる限り、インフレ状態だと言っていい。
この2つの物価統計をみてすぐ判るのは、両者の上昇率が大きくかけ離れていること。この上昇率の差を、物価ギャップと呼んでいる。本来なら企業段階で物価が上がれば、小売り段階の物価も上がる。ところが3月の物価ギャップは8.5ポイント、4月も7.9ポイントと広がったまま。これは小売り段階での需要が弱く、いわゆる価格転嫁がなかなか進まないことを表している。
欧米諸国の場合は、価格転嫁が順調に進んでいる。たとえばアメリカをみると、4月の生産者物価は11.0%の上昇、消費者物価は8.3%の上昇で、物価ギャップは2.7ポイントだった。日本で価格転嫁が進まないのは、景気が悪いために他ならない。専門家は今後も消費者物価は2%台の上昇にとどまると予測しているが、これは景気が良くならないと言っているのと同じである。
(続きは明日)
≪24日の日経平均 = 下げ -253.38円≫
≪25日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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◇ 実感は2%どころじゃない物価高 = 景気が悪いから、日本の消費者物価は2%程度の上昇にとどまっている。しかし企業物価は10%も上昇した。これはウクライナ戦争や中国の都市封鎖で、エネルギー・資源・食料品の国際価格が急騰したためである。それに円安の影響が加わった。4月の輸入価格をみると、円ベースの価格は前年比44.6%の上昇。契約通貨ベースでは29.7%の上昇だったから、円安で輸入価格は15%ほど余計に上昇したことになる。
この弊害を避けるためには、日銀がゼロ金利政策を止めて金利を引き上げるしかない。ところが金利を上げれば景気はもっと悪化しかねないから、日銀は動けない。黒田総裁は「全体としてみれば円安はプラスだ」とか「物価の上昇は一時的だ」とか、苦しい言い訳に終始している。政府も金利が上がれば国債の利子負担が増加するので、静かに見守るだけ。
いちばん大きな問題は、2%という物価上昇率が、消費者の実感と大きくかけ離れていることだろう。電気料金やガソリン代はもとより、スーパーへ行っても値上がりしていない商品を探す方が難しい。なぜ物価統計と実感が、こんなに相違するのだろうか。その1つの原因は、購入頻度の問題。食料品や生活用品は毎日のように買うが、自動車や冷蔵庫は数年に1度しか購入しない。
そこで専門家が「2か月に1回以上購入する品目」だけの物価上昇率を試算したところ、5.9%上昇という結果が出た。こうした購入頻度の高い品目は、若者よりも高齢者によって買われる割合が大きい。したがって高齢者が感じる物価上昇率は、もっと高いとも言えそうだ。つまり消費者物価の平均上昇率は2%であっても、多くの人にとっての上昇率は6%以上である公算が大きい。この意味では、すでに消費者の段階でもインフレなのだ。
≪25日の日経平均 = 下げ -70.34円≫
≪26日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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この弊害を避けるためには、日銀がゼロ金利政策を止めて金利を引き上げるしかない。ところが金利を上げれば景気はもっと悪化しかねないから、日銀は動けない。黒田総裁は「全体としてみれば円安はプラスだ」とか「物価の上昇は一時的だ」とか、苦しい言い訳に終始している。政府も金利が上がれば国債の利子負担が増加するので、静かに見守るだけ。
いちばん大きな問題は、2%という物価上昇率が、消費者の実感と大きくかけ離れていることだろう。電気料金やガソリン代はもとより、スーパーへ行っても値上がりしていない商品を探す方が難しい。なぜ物価統計と実感が、こんなに相違するのだろうか。その1つの原因は、購入頻度の問題。食料品や生活用品は毎日のように買うが、自動車や冷蔵庫は数年に1度しか購入しない。
そこで専門家が「2か月に1回以上購入する品目」だけの物価上昇率を試算したところ、5.9%上昇という結果が出た。こうした購入頻度の高い品目は、若者よりも高齢者によって買われる割合が大きい。したがって高齢者が感じる物価上昇率は、もっと高いとも言えそうだ。つまり消費者物価の平均上昇率は2%であっても、多くの人にとっての上昇率は6%以上である公算が大きい。この意味では、すでに消費者の段階でもインフレなのだ。
≪25日の日経平均 = 下げ -70.34円≫
≪26日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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◇ バイデン大統領がIPEFで目指すもの = また新しい経済同盟が誕生した。バイデン大統領が東京で、その発足を宣言したIPEF(インド太平洋経済枠組み)である。アメリカや日本、それにインドなど13か国が参加した。貿易の円滑化・供給網の強化などを掲げているが、関税の引き下げはない。この点でTPP(環太平洋経済連携協定)やRCEP(東アジア地域包括的経済連携)とは、性格を異にしている。だが、それでも屋上屋の感は免れない。
ロシアの無謀なウクライナ侵攻で、NATOを中心にロシアを包み込む西側の体制は整った。しかしアメリカがいま最も警戒する中国に対しては、目立った防衛ラインがない。特にインドが、大きな抜け穴になっている。そこでインドが嫌がる関税引き下げ抜きのIPEFを結成、インドを強引に引き入れた。これがバイデン大統領の真意に違いない。
第2次大戦直後から、世界はアメリカ中心の西側とソ連中心の東側に分かれて激しく対立した。戦争一歩前の緊張状態。これが Cold War、冷たい戦争である。このときの西側の戦略は、ソ連と中国を封じ込めようとするものだった。その後1979年にソ連がアフガニスタンに侵攻、第2次冷戦と呼ばれる緊張が再燃した。いまバイデン大統領の頭のなかには、第3次冷戦の文字がちらついているのだろう。
ただ当時と現在とでは、状況が全く異なる。それは中国が軍事的にも経済的にも、超大国に成長したからだ。特にその市場の大きさから言っても、中国を完全に封じ込めることはムリ。それでもIPEFの設立で、なんとか最低限の形だけは整った。これから、どうやって中国のアジア・太平洋への膨張を防ぐのか。バイデン大統領の手腕が問われることになる。
≪26日の日経平均 = 下げ -72.96円≫
≪27日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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ロシアの無謀なウクライナ侵攻で、NATOを中心にロシアを包み込む西側の体制は整った。しかしアメリカがいま最も警戒する中国に対しては、目立った防衛ラインがない。特にインドが、大きな抜け穴になっている。そこでインドが嫌がる関税引き下げ抜きのIPEFを結成、インドを強引に引き入れた。これがバイデン大統領の真意に違いない。
第2次大戦直後から、世界はアメリカ中心の西側とソ連中心の東側に分かれて激しく対立した。戦争一歩前の緊張状態。これが Cold War、冷たい戦争である。このときの西側の戦略は、ソ連と中国を封じ込めようとするものだった。その後1979年にソ連がアフガニスタンに侵攻、第2次冷戦と呼ばれる緊張が再燃した。いまバイデン大統領の頭のなかには、第3次冷戦の文字がちらついているのだろう。
ただ当時と現在とでは、状況が全く異なる。それは中国が軍事的にも経済的にも、超大国に成長したからだ。特にその市場の大きさから言っても、中国を完全に封じ込めることはムリ。それでもIPEFの設立で、なんとか最低限の形だけは整った。これから、どうやって中国のアジア・太平洋への膨張を防ぐのか。バイデン大統領の手腕が問われることになる。
≪26日の日経平均 = 下げ -72.96円≫
≪27日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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◇ 中国は間もなく終息へ = 世界の感染者は累計5億2739万人、この1週間で201万人増加した。週間の増加数としては、昨年以来の最少。死亡者は628万3226人で、週間361人減少した。これはジョンズ・ホプキンス大学が前週、イギリスの数値を過大に集計し訂正したため。ただ、その影響を考慮しても、全体として感染者や死亡者の増加数がかなり縮小したことに変わりはない。
国別の死亡者数をみると、アメリカは累計100万3783人。この1週間で2514人増加した。次いでブラジルが66万人台、インドが52万人台、ロシアが37万人台、メキシコが32万人台。さらにイギリスが17万人台、イタリアが16万人台、インドネシアが15万人台、フランスとイランが14万人台となっている。イギリスは集計の訂正で、前週より1万1350人減った。
ゼロ・コロナ政策で、徹底的な都市封鎖を実施した中国。状況はかなり改善した。感染者は累計119万8453人で、週間3万1724人の増加。前週の増加数より1万2000人減っている。死亡者は5225人、週間7人の増加にとどまった。増加数は3週連続で急減している。上海市などでも段階的に規制が解除されており、この調子なら間もなく終息宣言が出されるだろう。
日本の感染者は累計874万5504人、この1週間で22万1846人増加した。増加数は3週連続で縮小している。死亡者は3万0467人で、週間251人増加した。増加数は前週より10人多い。全体として、落ち着いてはいる。ただ6月10日からは、外国人観光客の受け入れを開始する。水際対策が十分な効果を挙げるかどうか、やっぱり気になるところだ。
≪27日の日経平均 = 上げ +176.84円≫
【今週の日経平均予想 = 3勝2敗】
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国別の死亡者数をみると、アメリカは累計100万3783人。この1週間で2514人増加した。次いでブラジルが66万人台、インドが52万人台、ロシアが37万人台、メキシコが32万人台。さらにイギリスが17万人台、イタリアが16万人台、インドネシアが15万人台、フランスとイランが14万人台となっている。イギリスは集計の訂正で、前週より1万1350人減った。
ゼロ・コロナ政策で、徹底的な都市封鎖を実施した中国。状況はかなり改善した。感染者は累計119万8453人で、週間3万1724人の増加。前週の増加数より1万2000人減っている。死亡者は5225人、週間7人の増加にとどまった。増加数は3週連続で急減している。上海市などでも段階的に規制が解除されており、この調子なら間もなく終息宣言が出されるだろう。
日本の感染者は累計874万5504人、この1週間で22万1846人増加した。増加数は3週連続で縮小している。死亡者は3万0467人で、週間251人増加した。増加数は前週より10人多い。全体として、落ち着いてはいる。ただ6月10日からは、外国人観光客の受け入れを開始する。水際対策が十分な効果を挙げるかどうか、やっぱり気になるところだ。
≪27日の日経平均 = 上げ +176.84円≫
【今週の日経平均予想 = 3勝2敗】
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◇ NY株式は9週間ぶりに猛反発 = ダウ平均は先週1951ドルの値上がり。8週間の続落のあと猛烈に反発した。終り値では3万3000ドル台を一気に回復している。物価上昇がやや鈍ったことから、FRBによる過度な引き締めに対する警戒感が和らいだ。しかし大幅な値下がりに対する訂正という感じが濃い。8週間で3600ドル下げたが、その54%を取り戻した。
日経平均は先週43円の値上がり。ニューヨークの大幅高にもかかわらず、勢いのない相場となった。出来高も1日平均では3兆円を割っている。個人投資家の安値拾いや企業の自社株買いもあったが、外国人投資家は大きく売り越した。ニューヨーク市場に資金を投入したほか、円安が一服したことで割安感が薄れている。
アメリカでは、景気の先行きに対する不安感が拭えない。物価高で消費が抑制されたり、企業の業績が下向くと考えられるからである。このため株価は急反発したものの、その反動で下げるかもしれない。一方、東京市場はニューヨークの急反発に追い付こうとする動きで始まるだろう。しかし、そのあとは依然として目標が定まらない。梅雨模様の展開が続きそうだ。
今週は31日に、4月の労働力調査、鉱工業生産、商業動態統計、住宅着工戸数。1日に、1-3月期の法人企業統計、5月の新車販売。アメリカでは31日に、5月のカンファレンス・ボード消費者信頼感指数。1日に、5月のISM製造業景況指数。3日に、5月の雇用統計、ISM非製造業景況指数。また中国が31日に、5月の製造業と非製造業のPMIを発表する。
≪30日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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日経平均は先週43円の値上がり。ニューヨークの大幅高にもかかわらず、勢いのない相場となった。出来高も1日平均では3兆円を割っている。個人投資家の安値拾いや企業の自社株買いもあったが、外国人投資家は大きく売り越した。ニューヨーク市場に資金を投入したほか、円安が一服したことで割安感が薄れている。
アメリカでは、景気の先行きに対する不安感が拭えない。物価高で消費が抑制されたり、企業の業績が下向くと考えられるからである。このため株価は急反発したものの、その反動で下げるかもしれない。一方、東京市場はニューヨークの急反発に追い付こうとする動きで始まるだろう。しかし、そのあとは依然として目標が定まらない。梅雨模様の展開が続きそうだ。
今週は31日に、4月の労働力調査、鉱工業生産、商業動態統計、住宅着工戸数。1日に、1-3月期の法人企業統計、5月の新車販売。アメリカでは31日に、5月のカンファレンス・ボード消費者信頼感指数。1日に、5月のISM製造業景況指数。3日に、5月の雇用統計、ISM非製造業景況指数。また中国が31日に、5月の製造業と非製造業のPMIを発表する。
≪30日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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◇ 企業の業績見通しに関心が集中 = ダウ平均株価は3月下旬から8週間にわたって続落、先週になって大幅に反発した。このため市場では「株価は底入れした」という見方も出ているが、まだ「もう少し調整する」と予想する投資家の方が多いようだ。ただ底入れ派も再調整派も、重視しているのは企業の業績見通し。先行きが明るければ株価は回復するが、暗ければ再調整は避けられないと考える。
ダウ平均は、ことし1月4日に3万6800ドルの高値を記録した。そこから安値となった5月19日までの下落率は約15%、大幅に反発したあとの27日までは約10%の下落率となっている。20年のコロナ・ショックでは約37%、08年のリーマン・ショックでは約44%下げているから、今回の下げ率は比較的に小さい。ここから「調整はまだ足りない」という見方も生まれているようだ。
市場がもっと重視しているのは、PER(株価収益率)の倍率。PERというのは、1株当たりの純利益を株価で割った指標。この倍率が高ければ買われ過ぎ、低ければ売られ過ぎと考えられる。SP500のPERをみると、20年9月のピークが24.1倍だった。それが現在は16.6倍にまで低下している。ここからみる限り、ニューヨーク株価の買われ過ぎはほぼ解消したと言っていい。
ところがPERは、企業の利益が減少すれば、株価の水準が同じでも上がってしまう。いまアメリカでは主としてガソリンや資源の価格急騰で、企業のコストが増大。特に消費関連企業の収益は圧迫されると予想されている。この点を重視すれば、株価は「まだ調整が必要」ということになるだろう。しかし全体として企業の利益がどのくらい縮小するかは、まだ判然としない。そこで市場の空気も「調整はありそうだが、その程度は判らない」ということに落ち着くしかないわけだ。
≪30日の日経平均 = 上げ +587.75円≫
≪31日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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ダウ平均は、ことし1月4日に3万6800ドルの高値を記録した。そこから安値となった5月19日までの下落率は約15%、大幅に反発したあとの27日までは約10%の下落率となっている。20年のコロナ・ショックでは約37%、08年のリーマン・ショックでは約44%下げているから、今回の下げ率は比較的に小さい。ここから「調整はまだ足りない」という見方も生まれているようだ。
市場がもっと重視しているのは、PER(株価収益率)の倍率。PERというのは、1株当たりの純利益を株価で割った指標。この倍率が高ければ買われ過ぎ、低ければ売られ過ぎと考えられる。SP500のPERをみると、20年9月のピークが24.1倍だった。それが現在は16.6倍にまで低下している。ここからみる限り、ニューヨーク株価の買われ過ぎはほぼ解消したと言っていい。
ところがPERは、企業の利益が減少すれば、株価の水準が同じでも上がってしまう。いまアメリカでは主としてガソリンや資源の価格急騰で、企業のコストが増大。特に消費関連企業の収益は圧迫されると予想されている。この点を重視すれば、株価は「まだ調整が必要」ということになるだろう。しかし全体として企業の利益がどのくらい縮小するかは、まだ判然としない。そこで市場の空気も「調整はありそうだが、その程度は判らない」ということに落ち着くしかないわけだ。
≪30日の日経平均 = 上げ +587.75円≫
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