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経済に関する話題なんでも。ニュースの分析・批評・解説など。大胆な予想や提言も。ご意見、ご批判は大歓迎です。
経済なんでも研究会
FRBショックの 後遺症
2022-02-01-Tue  CATEGORY: 政治・経済
◇ 読めないその大きさ = 「3月中に量的緩和の縮小を終了、同時に利上げも始める」--FRBが明示したこの政策を、市場はほぼ織り込んでいた。ところが説明に当たったパウエル議長が「利上げのペースはまだ議論していない」「量的引き締めで、保有資産は大幅に減らさなければいけない」と語ったことには、大きなショックを受けた。利上げの回数が増え、市中からの資金引き揚げが大量になれば、その後遺症も膨れ上がるからである。

市場が心配する後遺症の1つは、景気への悪影響。アメリカのGDP成長率は昨年10-12月期に6.9%まで跳ね上がったが、ことし1-3月期はコロナの影響で2%台に下がると予測されている。そこへ急激な金融引き締めが加わると、景気は失速してしまうのではないか。企業業績も下り坂になれば、株価はもう一段の調整を免れない。

もう1つの後遺症は、金利の上昇で表面化する低格付け社債の問題。信用度の低い低格付け債は約2兆ドル、8%前後の利回りで流通している。政策金利の引き上げで優良債券の利回りが上昇すると、低格付け債からは資金が逃げ出しやすい。要するにリーマン・ショックの二の舞にならないか。市場の心配は尽きない。

金融引き締めの後遺症は、FRBが引き締めのペースを速めれば速めるほど大きくなる。だが現状では、そのペースを予測することが出来ない。FRBも後遺症については当然考えているから、そんなに危険を冒さないだろうとみる楽観論もないではない。しかしFRBのインフレに対する姿勢は、想像以上に強そうでもある。結局は物価の動向に、すべてが左右されると考えるしかなさそうだ。

        ≪31日の日経平均 = 上げ +284.64円≫

        ≪1日の日経平均は? 予想 = 上げ


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デパート and 無店舗小売り業 : 21年
2022-02-02-Wed  CATEGORY: 政治・経済
◇ コロナに翻弄される小売り業 = 経済産業省は31日、21年の商業動態統計を発表した。それによると、小売り業の販売総額は150兆4860億円で前年比1.9%の増加だった。20年は前年比3.2%の減少だったから、コロナの影響が薄れて増加に転じたことが判る。ただ、ことしはオミクロン株が猛威を振るい始めており、小売り業界はいぜんとしてコロナの影響から脱し切れない。

業態別にみると、デパートの回復と無店舗小売り業の着実な伸びが目立つ。デパートの売り上げは4兆9030億円で、前年比4.5%の増加だった。20年は前年比25.5%の減少だったから、数字のうえでは大きく回復したと言える。しかしコロナ前の19年に比べると、販売額はまだ1兆4000億円も少ない。デパート経営は、なお深刻な状況にある。

スーパーの販売総額は15兆0043億円、前年比0.3%の減少だった。20年の前年比3.4%増加から悪化している。またコンビニは11兆7601億円で1.3%の増加、20年の4.4%減少から大きく改善した。このほか家電大型量販店は前年比2.4%の減少、ドラッグストアーは0.4%の増加、ホームセンターは2.9%の減少だった。

こうしたなかで健闘を続けているのが、ネットやカタログ通販、テレビ・ショッピングなどの無店舗小売り業。21年の売り上げは11兆4240億円で、前年比1.3%の増加だった。いまやコンビニの売上高と肩を並べ、コロナ前の19年に比べて3兆7000億円も増えている。コロナが味方する数少ない業種であり、ことしもオミクロンに押されて続伸しそうだ。

        ≪1日の日経平均 = 上げ +76.50円≫

        ≪2日の日経平均は? 予想 = 上げ


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コロナに乱される 雇用統計
2022-02-03-Thu  CATEGORY: 政治・経済
◇ 自宅待機者などの捕捉は困難 = 厚生労働省は1日、21年の労働力調査を発表した。それによると、労働力人口は平均6860万人で前年より8万人減少した。このうち就業者は6667万人で、前年比9万人の減少となっている。一方、失業者は193万人で前年比2万人の増加。完全失業率は2.8%で、前年と変わらなかった。この数字からみる限り、雇用を巡る情勢はそんなに悪くない。

就業者が増えた業種は、情報・通信や医療・福祉など。減ったのは宿泊・飲食サービス、建設など。正規の社員・従業員は3565万人で前年より26万人増えた。その一方、非正規の社員・従業員は2064万人で26万人減少した。この結果、雇用者全体に占める非正規の比率は36.7%で、前年より0.4ポイント低下している。

少子高齢化の進行で、労働力人口や就業者が減った。そのため人手不足の状態が続いている。--通常なら、こういう読み方で終わってしまう。だが最近はそうもいかない。コロナの影響が、雇用の面にも深く射し込んでいるからだ。たとえばコロナを警戒して、仕事に出かけない人。自宅待機を余儀なくされている人。こういう人たちを、サンプル調査で捕捉することはきわめて難しい。

ことしはオミクロンのせいで感染者が多く、雇用への影響も急拡大している。たとえば休園した保育所の数は、1月末で641施設にのぼった。すると子どもの面倒をみるために、保護者が仕事に出かけられない。こうした現象が医療や介護、交通や運輸など各方面に広がってきた。この種の悪影響は、労働力調査では捉え切れない。だから実態は統計には表れず、人手不足は悪化の一途をたどっている。

        ≪2日の日経平均 = 上げ +455.12円≫

        ≪3日の日経平均は? 予想 = 下げ≫、


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一変した 正月風景 / 北京
2022-02-04-Fri  CATEGORY: 政治・経済
◇ 爆竹や会食は禁止、ゲームも規制 = 中国では1日、春節を迎えた。旧暦の正月で、通常なら街は人出でごった返す。だが、ことしは人影もまばら。大晦日の夜を彩る無数の爆竹も、完全に姿を消した。当局が爆竹を所持することさえ、厳しく禁じたからである。すべては冬季オリンピックを澄み切った青空の下で迎えるため。そして‟ゼロ・コロナ政策”を完遂するためだった。かまどで薪を燃やすことさえ禁じたというから、徹底している。

大勢の親族が集まって、宴会を開くことも禁止された。一部の地域では外出が規制され、帰郷することも制限を受けている。市民は一変した春節の風景に驚いたが、半ばあきらめ顔。オリンピックが早く終わってくれることを、願っている人も多いという。たしかにオミクロン感染の集団発生も出始めたなかでオリンピックを成功させるには、こんな厳しい規制が必要なのかもしれない。

子どもたちにとっても、受難の季節のようだ。学校は休みだが、外では遊べない。家の中では、オンライン・ゲームで遊ぶ時間が規制された。昨年8月から「金・土・日と祝日の午後8-9時しか、遊んではいけない」というお触れが出た。これはオリンピックとは関係なく、習政権が「ゲームは精神的麻薬」と称して、始めた政策である。世界で流行しているスポーツも「週に3時間以内」に規制された。

目的を達成するためには、強権をもって国民の行動を規制する。これが中国流の統治法だ。欧米流の民主主義国家では、決して通用しない。だが中国政府は、強権統治の方が優れていると考えている。その結果は、いずれ中国が世界を制するという信念につながる。ここに米中対立の基本的な火種がある。静かすぎる北京の春節をテレビで見ながら、こんなことを考えた。

        ≪3日の日経平均 = 下げ -292.29円≫

        ≪4日の日経平均は? 予想 = 下げ


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死者が語る コロナ肺炎の危険度 (98)
2022-02-05-Sat  CATEGORY: 政治・経済
◇ 新規感染者は頭打ち、死亡者は増勢 = 世界の感染者は累計3億8491万人、この1週間で2239万人増えた。ただ増加数は前週より221万人減っている。増加数が縮小したのは、昨年12月からは初めて。死亡者は570万1005人で、7万4126人の増加。前週より1万3000人近く拡大した。死亡者の増加数が7万人を超えたのは、昨年9月上旬以来のこと。このように世界全体でみると、新規感染者は頭打ちになったが、死亡者は増勢を強めている。

WHO(世界保健機構)は「ヨーロッパでは3月までに人口の約6割が感染。コロナの終息は近いかもしれない」とみている。その一方、デンマークではオミクロンの一種でより感染力の強いBA・2という新たな変異種が発見された。しかし、そのデンマークは重症化率が低いことを理由に、2月から全面的に規制を解除している。

国別に死亡者数をみると、アメリカは89万4306人。この1週間で1万8250人増加した。この増加数は前週とほぼ横ばい。続いてブラジルが62万人台、インドが49万人台、ロシアが32万人台、メキシコが30万人台。さらにイギリスが15万人台、イタリアとインドネシアが14万人台、フランスとイランが13万人台となっている。このうち前週より死亡者数が増えたのは、ブラジル・インド・メキシコ・イギリスだった。

日本の感染者は累計302万4908人。この1週間で58万6753人増えて、初めて300万人を超えた。感染者が100万人から200万人に増えるまでには1年7か月を要したが、200万人から300万人になるまでは2週間しかかかっていない。死亡者は1万9056人、週間406人の増加だった。この増加数は昨年9月以来の大きさ。まだ感染のピークは全くみえてこない。3回目のワクチン接種が大幅に遅れたことが悔やまれる。

        ≪4日の日経平均 = 上げ +198.68円≫

        【今週の日経平均予想 = 4勝1敗】     


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今週のポイント
2022-02-07-Mon  CATEGORY: 政治・経済
◇ 行き場所を探し求める膨大なおカネ = ダウ平均は先週364ドルの値上がり。ことしに入ってから3週間で2073ドル下落したあと、2週間で824ドル上昇した。約4割を取り戻したことになる。FRBによる金融引き締めの前倒しと、原油の高騰によるインフレの加速が下落の原因。下げ過ぎの訂正という形で下値を拾う買い物が、反発の原因だ。しかし市場には「下げ相場は終了した」という感じはない。

日経平均は先週723円の値上がり。ことしに入ってから4週間で2074円の下落、そのあと先週は5週間ぶりに上昇した。約35%反発したことになる。ニューヨーク市場の低迷に引きずられたほか、オミクロンの急激な拡大が下げの要因となった。先週はその反発。ただ先行きを警戒する売り物も多く、売買代金は売り買いの交錯で連日3兆円を超えている。

通常なら「下げ相場は終わった」という楽観論が出始めてもおかしくない。しかし今回は、金融引き締めが目前に迫っている。だから積極的には買えない。だが半面、膨大な投資資金を持って行く場所がない。そこで下がれば、買いに行かざるをえない。そうしたなかでも、投資家は割高な銘柄は敬遠し、割安株に狙いを定めている。こうした傾向は、まだ当分続きそうだ。

今週は7日に、12月の景気動向指数。8日に、12月の毎月勤労統計、家計調査、1月の景気ウオッチャー調査。10日に、1月の企業物価。アメリカでは8日に、12月の貿易統計。10日に、1月の消費者物価。11日に、2月のミシガン大学・消費者信頼感指数が発表される。

        ≪7日の日経平均は? 予想 = 下げ


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びっくり仰天の 雇用統計 / アメリカ
2022-02-08-Tue  CATEGORY: 政治・経済
◇ 予想外の好調に市場は右往左往 = アメリカ労働省は先週4日、1月の雇用統計を発表した。それによると、非農業雇用者は46万7000人の増加。昨年12月の51万人よりはやや減ったが、いぜんとして高水準の雇用増加が続いている。特に民間の調査会社ADPは事前に「30万人の減少」と予測していたから、市場は大幅なプラスにびっくり仰天した。ADPはコロナの影響で雇用が減るとみたが、実際は宿泊などの接客業が15万人も雇用を増やしている。

失業率は4.0%で、アメリカとしては完全雇用に近い数値。コロナで人手不足が深刻になっている。たとえばコロナを警戒して仕事を辞めた人、子どもの面倒をみるため共働きを止めた夫婦、高賃金を目指して転職中の人。それだけ働く人が減っている。その結果、賃金には上昇圧力がかかり、1月の平均時給は前月比0.7%の上昇となった。

株式市場では、評価が2分した。予想外に堅調な雇用で、FRBは金融引き締めをますます急ぐに違いない。「3月の利上げは0.5%と大幅になる」「ことし中の利上げは7回になるかもしれない」「量的な金融引き締めも大量になる」--などの憶測も飛び交った。その一方、景気は意外に堅調で企業の業績もさらに上向くという見方も。

雇用統計が発表された4日、市場ではこうした強気と弱気が交錯した。結果としてダウ平均は、この日21ドルの下げ。強気と弱気が拮抗した形となった。今週はその延長戦となりそうだ。ただ債券市場では長期金利が上昇、10年もの国債の利回りは一時1.9%を超えている。また原油の国際価格が90ドルを超えてきた。さて、市場はどう動くか。

        ≪7日の日経平均 = 下げ -191.12円≫

        ≪8日の日経平均は? 予想 = 上げ


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インフレ対策は 不要なのか? (上)
2022-02-09-Wed  CATEGORY: 政治・経済
◇ 世界各国は金融引き締めへ = 世界中でインフレが進行している。その原因は複雑多岐。たとえば原油や資源の値上がり、コロナによる人手不足、供給面のネック、景気の回復、異常気象、ウクライナ情勢・・・。それだけに今回のインフレは長期化する可能性が大きい。このため各国の政府・中央銀行は、一斉に金融政策のカジを引き締めの方向に切り始めた。

アメリカでは昨年12月の消費者物価が前年比7.0%、実に39年半ぶりの高い上昇となった。ガソリン価格は前年より5割以上も高く、国民の不満はバイデン政権の支持率低下となって表われている。人手不足で1月の平均時給は前年比5.7%も上昇、賃金インフレの様相も濃くなってきた。このためFRBは3月に政策金利を引き上げることを決定、量的引き締めも実行して市中の資金を吸収し始める。

ヨーロッパもインフレ対策に動こうとしている。ユーロ圏の消費者物価は1月に前年比5.1%上昇、過去最大の上げ幅となった。エネルギー価格は28.6%も上昇している。ECB(ヨーロッパ中央銀行)は3月から、コロナ対策として実施してきた量的緩和を停止する。市場では、利上げも織り込み始めた。EUを離脱したイギリスは昨年12月に続いて、この2月に2回目の利上げを断行している。

新興国の多くは自国通貨の下落を防ぐため、政策金利を引き上げている。たとえばブラジルは何度も引き上げ、現在の金利は10.75%になった。中国は景気を下支えするため利下げしたが、それでも不動産バブルを抑えるため厳しい融資規制をしている。トルコは国内インフレにもかかわらず利下げしているが、これはエルドアン大統領の指示。理由は判らない。そうした世界情勢のなかで、全く動かない国。それが日本・・・。

                     (続きは明日)

        ≪8日の日経平均 = 上げ +35.65円≫

        ≪9日の日経平均は? 予想 = 上げ


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インフレ対策は 不要なのか? (下)
2022-02-10-Thu  CATEGORY: 政治・経済
◇ 日銀は「物価高は一時的」と知らん顔 = 電気・ガス料金からガソリン代、小麦やバターなどの食料品、それに衣料品からタイヤまで。昨年暮れからことしにかけて、世は正に値上げラッシュ。原因は原油価格の高騰、供給ネックなどさまざまだが、特に日本の場合は円安の影響も大きい。エネルギーはもちろん、機械部品や食料品などの多くを輸入に頼っているためである。

ところが総務省が発表した昨年12月の消費者物価指数をみると、生鮮食品を除いた総合指数は前年比0.5%しか上昇していない。その理由は、まず昨年秋までは物価が下がっていたこと。また家事用品や通信機器が大幅に下落していることに求められる。特に携帯電話の通信料が大きく下がったことが響いた。この通信料値下げの影響が消える4月以降、総合指数は2%前後の上昇になると試算されている。

家事用品や通信機器の値下げは、100円―1000円単位になることが多い。その一方、食料品の値上げはせいぜい10円単位。だが消費者の感覚では、その方がきつい。そのうえ現状から判断すると、原油価格はまだ上昇しそうだ。コンテナ不足による供給ネックの解消も時間がかかる。世界のインフレはさらに進行し、それが日本にも伝染する。円安が進めば、なおさらである。

しかし日銀は「いまの物価高は一時的な現象」という姿勢を崩さない。黒田総裁は「円安は基本的にプラス効果の方が大きい」と断言する。このため世界各国がインフレを警戒し、金融を引き締める方向に走り出したなかで、日本だけが金融緩和を守り通す形になってしまった。だが、これでいいのか。またまた対応が遅れて、国民がインフレに苦しむことにならないのだろうか。

        ≪10日の日経平均 = 上げ +116.21円≫

        【今週の日経平均予想 = 4勝0敗】     


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死者が語る コロナ肺炎の危険度 (99)
2022-02-12-Sat  CATEGORY: 政治・経済
◇ 世界の感染者は4億人を超す = 世界の感染者は累計4億0322万人。この1週間で1831万人増加し、とうとう4億人を超えた。2億人から3億人に増加するまでには5か月半かかったが、それから4億人になるまでは4週間しかかかっていない。ただ増加数は前週より400万人も減っている。死亡者は577万7230人で、7万6225人の増加。前週より2100人ほど増えている。こうした数値から、専門家の間では「世界的にみると、オミクロンはピークを超えた」という見方も強まってきた。

アメリカの感染者は7727万人。この1週間で159万人増えたが、この増加数は前週より118万人少なかった。このため行動規制を解除した州も少なくない。死亡者は91万2255人、この1週間で1万7938人増加した。国別の死亡者をみると、ブラジルが63万人台、インドが50万人台、ロシアが33万人台、メキシコが31万人台。あとはイギリスが15万人台、イタリアとインドネシアが14万人台、フランスとイランが13万人台となっている。

日本の感染者は累計368万2064人、この1週間で65万7156人増えた。この増加数は前週を7万人上回っている。死亡者は1万9942人で、886人の増加だった。前週の2倍以上に増えており、1日の死亡者数も第5波の最大値を超えている。政府は36都道府県に「まん延防止措置」を発令した。

アメリカやヨーロッパ諸国、それにフィリピンなどの東南アジア諸国も、オミクロンはピークを過ぎたとみて、次々と行動規制を緩和し始めた。こうした諸国からみると、日本のコロナ情勢は「まだ悪化している」と映るようだ。たとえばアメリカの国務省は7日、日本への渡航警戒レベルを最高度の4に引き上げ、アメリカ国民に渡航中止を勧告した。なんとも残念である。
 

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今週のポイント
2022-02-14-Mon  CATEGORY: 政治・経済
◇ 怖い3月が近づいてきた = ダウ平均は先週352ドルの値下がり。終り値は3万5000ドルを割り込んだ。週の前半はオミクロンの拡大が頭打ちとなり、経済の正常化への期待が高まったことから買い。後半は1月の消費者物価が7.5%も上昇したことから、大きく売られた。いよいよ3月が近づき、FRBの厳しい引き締め政策が意識されている。セントルイス連銀のブラート総裁が「7月までに1%の利上げを」と語ったことも、市場の空気を冷やした。

日経平均は先週256円の値上がり。金曜日が休日だったため、アメリカの物価上昇は影響していない。2週連続の上昇となったが、まだ2万8000円には届かなかった。この2週間は、ずっと2万7000円台での上下動。要するに、2万6000円台に近付くと買われ、2万8000円台に接近すると売られる展開となっている。

FRBの金融引き締めが市場に及ぼす影響は、心理的なものにとどまらない。すでに長期金利は2%を超え、現実的に株式市場に影響を及ぼし始めている。さらにウクライナ情勢が悪化し、原油の国際価格は1バレル=93ドルに達した。市場を取り巻く環境は、決して芳しくない。日経平均もニューヨークの流れを受けて、今週は下げの局面からスタートすることになるだろう。

今週は15日に、10-12月期のGDP速報。16日に、12月の第3次産業活動指数。17日に、1月の貿易統計、12月の機械受注。18日に、1月の消費者物価。アメリカでは15日に、1月の生産者物価。16日に、1月の小売り売上高と工業生産、2月のNAHB住宅市場指数。17日に、1月の住宅着工戸数。18日に、1月の中古住宅販売。また中国が16日に、1月の消費者物価と生産者物価を発表する。

        ≪14日の日経平均は? 予想 = 下げ


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似て非なる 2つの物価高
2022-02-15-Tue  CATEGORY: 政治・経済
◇ 景気動向が全く異なる日本とアメリカ = 先週10日、アメリカ労働省は1月の消費者物価を発表した。それによると、物価は前年比7.5%の上昇。なんと1982年2月以来40年ぶりの高さとなった。景気回復に伴う需要の増加、エネルギー価格の高騰、供給網に生じたネック、人手不足による賃金上昇など、原因は複雑多岐。FRBは金融引き締めを急ぐだろうという観測が広がり、株価は大幅に下落した。

同じ10日、日銀は1月の企業物価を発表した。それによると、物価は前年比8.6%の上昇。1985年9月以来36年ぶりの高さとなった。エネルギーや原材料の高騰、それに円安の影響が加わった。企業物価というのは、企業同士が取引したモノの値段。木材・木製品が58.5%、石油・石炭製品が34.3%、電力・ガス・水道が22.9%も上昇している。

この2つの物価動向は、一見するとよく似ている。いずれも数十年ぶりの上昇率。原油価格の高騰が引き金になった。コロナで人手不足が著しい。こうした点は、日米の物価に共通している。だが基本的に異なる点は、アメリカはモノが流れる最終段階の消費者物価であり、日本の企業物価は流れの始まりを捉えた企業段階の物価であることだ。

奇妙なことに、アメリカの卸売り物価は昨年12月で0.2%の上昇。日本の消費者物価は、昨年12月で生鮮食品を除けば0.5%しか上昇していない。なぜなのか。アメリカの場合は、景気が上向きで消費需要が強いためだと考えられる。日本の場合は、景気が悪く需要が弱いため企業段階の物価上昇を小売り段階に転嫁できないためである。

        ≪14日の日経平均 = 下げ -616.49円≫

        ≪15日の日経平均は? 予想 = 上げ


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失われた 21世紀 : GDP
2022-02-16-Wed  CATEGORY: 政治・経済
◇ 2000年以降はほぼゼロ成長 = 内閣府は15日、昨年10-12月期のGDP速報を発表した。それによると、年率換算した実質成長率は5.4%。2四半期ぶりにプラス成長を記録した。昨年10-12月期はコロナの感染が下火になり、緊急事態宣言も解除されている。このため経済活動もかなり正常化した時期。個人消費が年率換算で11.5%増加して、成長率を押し上げた。企業の設備投資は1.6%の増加、輸出は3.9%の増加だった。

10-12月期の実質GDPは、年率換算で541兆円。コロナ前19年10-12月期の水準に1兆円とどかなかった。アメリカやユーロ圏、それに中国がコロナ前の水準を上回ったのに比べると、日本の回復力はやや弱い。ただコロナという異常事態に見舞われているから、短期的な動向を重視しても、あまり意味がないだろう。そこで、もう少し長期的にみてみよう。

21年を通じた実質成長率は1.7%で、3年ぶりのプラス成長となった。個人消費は1.2%の増加、設備投資は0.7%の減少、また輸出は11.6%の増加となっている。そして個人や企業の景況感と関係が深い名目GDPは、542兆円だった。ずっと時間をさかのぼってみて驚くのは、2000年の名目GDPが535兆円だったという事実。この20年間でわずか7兆円、率にして1%強しか増えていないことだ。

つまり日本の21世紀は、これまでゼロ成長。人口が減少しているとはいえ、あまりにも情けない実績だ。その責任は、おそらく政治の無策にあるのではないか。一例を挙げれば、エネルギー政策の失敗続き。再生エネルギーや原発に対する一貫した方針がなく、いぜんとして輸入に頼り続けるばかり。少しでも輸入を減らして購買力の流出を防げば、それだけGDP成長率は高まるはずだ。岸田政権は「なぜ20年もゼロ成長だったか」を、真剣に検証すべきだろう。

        ≪15日の日経平均 = 下げ -214.40円≫

        ≪16日の日経平均は? 予想 = 上げ


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哲学がない ‟開国”宣言 (上)
2022-02-17-Thu  CATEGORY: 政治・経済
◇ 安倍元首相らの批判で決断? = いま日本は「外国人の新規入国を原則的に禁止」している。言うまでもなく、コロナ対策の一環だ。政府はこの規制を3月1日に撤廃する方針。ビジネス目的の外国人や留学生を、1日5000人まで受け入れる方向で調整している。さらに2月中にも、1日1000人程度の入国を認めることになりそうだ。なんだか大急ぎで、ドタバタ‟開国”する感じが強い。

出入国在留管理庁によると、昨年中に日本に入国した外国人は35万人。前年に比べて91.8%も減少した。およそ1割に減ったわけである。このうち留学生は、コロナ前19年の入国者が12万1637人。それが昨年は1-10月間で9930人、11月以降はゼロとなっている。すでに留学の認定を得ている学生は14万7000人もいるが、ほとんどの人が日本へ来られずにいる。まさに‟鎖国”状態だ。

この結果、いろいろな問題が現実に発生している。ビジネス面では役員会に出席できない、下見が出来ず不動産を買えない、商談が進まない。あるドイツ企業は、たまりかねて日本を脱出してしまった・・・。留学生が来られないから、交換留学制度は機能しなくなった。カリフォルニア大学は、日本人学生の受け入れを停止した・・・。

こうした結果を受けて、各方面から‟開国”の要求が強まった。たとえば在日アメリカ商工会議所は「日本が信頼できるパートナーかどうか疑問を生じる」と抗議。経団連も「鎖国を続ける意味はあるのか」と、政府に詰め寄った。とどめを刺したのは安倍元首相の「日本は立ち遅れる危険性に直面」という批判だったのでは。

                         (続きは明日)

       ≪16日の日経平均 = 上げ +595.21円≫

       ≪17日の日経平均は? 予想 = 上げ


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哲学がない ‟開国”宣言 (下)
2022-02-18-Fri  CATEGORY: 政治・経済
◇ 国民を惑わす政策に = アメリカをはじめ多くのヨーロッパ諸国、それにオーストラリアやカナダは、すでに外国人の入国を解禁している。さらに最近は東南アジア諸国も、次々と‟開国”し始めた。たとえばフィリピンは10日、ワクチン接種を条件に隔離なしの入国を認めた。マレーシアやタイも、近く同様の措置に踏み切るという。こうしてみると、安倍元首相が言うように「日本の出遅れ」は明かだ。

‟開国”した国の多くは、その理由を明らかにしている。それは「オミクロン株は重症化率や死亡率が低いから、それほど警戒しすぎる必要はない」「国内の感染者が多いから、いまさら水際で防いでも意味がない」という論理。つまりオミクロンと共存する道を選ぶことによって、経済の再生を優先する。だからビジネスであろうが観光目的であろうが、外国人を歓迎するというわけだ。

だが日本の場合、この論理は通用しにくい。オミクロンによる死亡者数は急激に増加しており、医療の逼迫が心配されている。36都道府県には「まん延防止措置」が適用中。アメリカ国務省は、日本を「渡航中止を勧告する国」に指定した。こんな状況の下で‟開国”が宣言されたら、国民は戸惑うに違いない。

すでに‟開国”した国々は、国内の規制も解除する方向にカジを切っている。「コロナと共生する」という哲学が貫かれているわけだ。日本もいずれ、そういう時期を迎える可能性は大きい。しかし少なくとも「まん延防止措置」が発令されているうちは、ムリである。右手で消火器を操作し、左手でガソリンをまくようなことになってしまうからだ。それでも3月に‟開国”宣言をする理由が「要求する声が強いから」では、国民の納得は得られない。

        ≪17日の日経平均 = 下げ -227.53円≫

        ≪18日の日経平均は? 予想 = 下げ


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死者が語る コロナ肺炎の危険度 (100)
2022-02-19-Sat  CATEGORY: 政治・経済
◇ 日本はピークを過ぎたのだろうか = 世界の感染者は累計4億1775万人、この1週間で145万人増加した。死亡者は585万0703人で、1週間の増加数は7万3473人だった。感染者の増加数は3週連続で縮小、また死亡者の増加数は6週間ぶりに縮小した。こうした数字を背景に、WHO(世界保健機構)は「世界のオミクロン感染はピークを過ぎたようだ」と指摘している。この判断は、おおむね妥当だろう。

国別の死亡者数をみると、アメリカは92万8519人。1週間で1万6264人増加した。この増加数は前週より1675人少なく、3週連続で縮小した。続いてブラジルが64万人台、インドが51万人台、ロシアが33万人台、メキシコが31万人台。さらにイギリスが16万人台、イタリアが15万人台、インドネシアが14万人台、フランスとイランが13万人台となっている。このうちロシア・インドネシア・フランス・イランで、死亡者が前週より増加した。

日本の感染者は累計425万6696人、この1週間で57万4632人増加した。死亡者は2万1260人、週間の増加数は1318人にのぼった。感染者は400万人台に、死亡者は2万人台に乗せている。1日の死亡者数は17日に271人を記録、昨年5月に142人だった第5波の最大値を大きく上回った。オミクロンの猛威は、少しも衰えていない。

ただ東京都など一部の地域で、感染者の増加数が前週を下回った。このため厚労省の専門家会議は「日本もピークを過ぎた可能性がある」と判断している。これを根拠にしたかどうかは不明だが、政府は「3月1日から水際対策を緩和する」ことになった。しかし、その一方で多くの都道府県に「まん延防止措置」を適用している。国民にとっては、政府の姿勢が判りにくくなってしまった。少なくとも「ピークを過ぎた」という判断は、尚早だろう。

        ≪18日の日経平均 = 下げ -110.80円≫

        【今週の日経平均予想 = 3勝2敗】     


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今週のポイント
2022-02-21-Mon  CATEGORY: 政治・経済
◇ ウクライナに翻弄された株式市場 = ダウ平均は先週659ドルの値下がり。2週間の続落で、終り値はかろうじて3万4000ドル台を維持した。ウクライナ国境沿いのロシア軍が一部撤収を始めたと伝えられた火曜日には400ドル以上も上げたが、アメリカがこの情報を否定した木曜日には600ドル以上も下げた。投資家としては、アメリカ側の情報を信頼するしかない。とにかくウクライナ情勢に、一喜一憂させられた1週間だった。

日経平均は先週574円の値下がり。こちらも終り値は2万7000円台を、なんとか維持した形。ニューヨークの大幅安が響いた。月曜日には日銀が久しぶりにETFを買いに出たが、大勢に変わりはなかった。さらに東京市場の場合は、オミクロンの急拡大が悪材料になっている。「まん延防止措置」の実施で、企業業績の先行きが暗くなってきたことが心配され始めた。

全く異例なことだが、バイデン大統領は「ロシアの侵攻はあると確信している」とまで言い切った。こういう情勢では、安値拾いの投資家も手を出しにくい。今週も市場の空気は重苦しく、ウクライナに振り回される可能性が大きい。東京市場にも、ウクライナとオミクロンの重圧がのしかかる。春はまだ遠いかもしれない。

今週は22日に、1月の企業向けサービス価格。25日に、2月の東京都区部・消費者物価。アメリカでは22日に、12月のFHFA住宅価格指数、2月のカンファレンス・ボード消費者信頼感指数。24日に、10-12月期のGDP改定値、1月の新築住宅販売。25日に、1月の中古住宅販売が発表される。

        ≪21日の日経平均は? 予想 = 下げ


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とどの詰まりは 金融引き締めの強度
2022-02-22-Tue  CATEGORY: 政治・経済
◇ 政策決定会合の前倒し説も出現 = ウクライナ情勢は、まさに一触即発。市場が神経質になるのも無理はない。株価はロシア軍の撤退情報で大きく上げ、アメリカがこの情報を否定すると大きく下げた。最新の状況は、ウクライナ東部の親ロシア系住民が大挙して避難を始め、バイデン大統領は「ロシアの侵攻はあると確信している」とさえ言い切った。市場にとっては厳しい環境で、株価の先は見えにくくなっている。

だが突き詰めて行くと、ニューヨーク市場が警戒するのは、やはり「FRBによる金融引き締め。特にその強さ」ということになる。ウクライナで騒乱が起きると、ロシア産LNG(液化天然ガス)のヨーロッパ向け供給が止まる。すると原油価格などがさらに上昇して、アメリカの物価騰貴が促進される。その結果、FRBによる金融引き締めが強化される・・・という論理だ。

すでに市場では「政策金利の上げ幅は0.5%」「ことし中に7回の引き上げ」「量的引き締めも3月から実施」など、強い政策を予想する声も飛び交っている。なかには「FRBは3月の定例会議を待たず、2月中にも臨時の政策決定会合を開いて利上げを決める」といった予測も。さすがに行き過ぎと思ったのか、政策決定会合の副議長を務めるニューヨーク連銀のウイリアムズ総裁は「利上げは3月が適当。0.5%の引き上げには慎重だ」と、火消しに回った。

FRBの政策決定会合は、正式にはFOMC(公開市場委員会)と呼ばれる。その次回の定例会合は3月15-16日に予定されており、パウエル議長が16日の記者会見で決定内容を発表する。したがって臨時会合が開かれない限り、その内容は16日まで判らない。それまではウクライナ情勢を注視しつつ、市場は一喜一憂を繰り返すことになるだろう。

        ≪22日の日経平均 = 下げ -461.26円≫

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快晴のち長雨? : 企業業績の見通し (上)
2022-02-24-Thu  CATEGORY: 政治・経済
◇ 最大の利益でも株安の一因に = 日経新聞は決算発表を終えた上場企業1686社について、その内容を集計した。それによると、昨年4-12月期の売上高は総計473兆8225億円、前年同期を12.7%上回った。この売上高はコロナ前19年4-12月期に、ほぼ匹敵する。また純利益の合計は32兆0921億円で、前年同期を58.3%上回った。過去最大の利益額で、コロナ前に比べても約3割の増加。海運をはじめ石油、商社が大幅な増益となっている。

SMBC日興証券も、上場企業1325社について集計した。それによると、この3月期の純利益は32兆9900億円に達する見込み。前年同期を66.7%上回り、過去最大となる。これまでの記録は18年3月期の29兆5700億円だったから、これを大幅に上回ることは確実だ。資源高で商社を含む卸売業が前年比2.6倍、輸送費の高騰で海運が5.9倍など、異常な増益となる。

海運の増益は、コロナで物流が混乱し運賃が大暴騰したことによる。また石油や商社の増益は、原油高で在庫の評価額が上がったことから発生した。いずれも特殊要因によるものだ。一方、空運や電力、建設や接客サービスなどは減益組。原油高やコロナによる人件費増が響いており、こちらも特殊要因が強く影響した。

ただ全体としてみる限り、企業業績は絶好調であることに間違いはない。それなのに、株価は大きく下落している。日経平均は年初来2000円以上も値を下げた。その理由はアメリカの金融引き締め、ウクライナ情勢など多岐にわたるが、その一つに企業業績の先行き悪化見通しがある。だから、いまは絶好調でも株価は上がらない。

                        (続きは明日)

        ≪24日の日経平均は? 予想 = 下げ


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快晴のち長雨? : 企業業績の見通し (下)
2022-02-25-Fri  CATEGORY: 政治・経済
◇ 不安要因は長期化する公算 = 世界経済を覆う不安要因は、原油や資源価格の高騰、供給網の混乱、コロナによる人件費の上昇。これらを背景にしたFRBの金融引き締め、これらを加速させるウクライナ情勢。どれ一つをとっても状況は深刻であり、専門家は口を揃えて「不安要因は長く続く」と予想している。このため企業の業績も、今後は‟長雨の季節”に入る可能性が大きい。

たとえば原油の国際価格をみても、産油国の大幅な増産は全く期待薄。各国の景気回復で需要は増大。アメリカのシェールは投資不足で元気が出ない。そこへウクライナの緊迫で、ますます価格は上がりそうだ。するとFRBはインフレを阻止するために、金融引き締めを急ぐ。その結果、アメリカの景気は下降に転じるのではないか。市場では早くも、こんな心配まで出始めた。

原油や資源の価格がさらに大きく上昇すれば、企業のコストは押し上げられ、利益は縮小する。仮に大きく上昇しなくても高止まりの状態が続けば、利益は圧迫される。しかも、その場合は石油業や商社の在庫評価益はなくなってしまう。こうした面からも、23年3月期の決算は雨模様になりそうだ。

アメリカでも状況は同じ。投資銀行のゴールドマン・サックス社は、SP500株価指数について「最悪の場合、22年末の指数は3600-3900まで下がるだろう」と予測した。この指数はことし年初の4800から最近は4300に下落したが、さらに下落するだろうという予想である。投資家の多くも、そう感じ始めている。だから株価は上がらない。

        ≪24日の日経平均 = 下げ -478.79円≫

        ≪25日の日経平均は? 予想 = 上げ


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死者が語る コロナ肺炎の危険度 (101)
2022-02-26-Sat  CATEGORY: 政治・経済
◇ イギリスと日本の違いは? = 世界の感染者は累計4億2972万人、この1週間で1197万人増加した。この増加数は前週よりやや多い。死亡者は591万7665人で、6万6962人の増加。前週より増加数は6500人縮小した。全体としてピークは越えつつあるとみてよさそうだ。特にアメリカの新規感染者は、ピーク時の約1割に減っている。またイギリスはイングランドに対して、コロナ対策としての各種規制を完全に撤廃すると発表した。

国別の死亡者数をみると、アメリカは累計94万1909人。この1週間で1万3390人増えた。増加数は5週連続で縮小している。続いてブラジルは64万人台、インドは51万人台、ロシアが34万人台、メキシコが31万人台。あとはイギリスが16万人台、イタリアが15万人台、インドネシアが14万人台、フランスとイランが13万人台となっている。これらのうち死亡者数が増えたのは、ロシアとイランだけだった。

イギリス政府は21日、人口が最も多いイングランドに対して、コロナ規制を完全に撤廃すると発表した。外出規制や店舗の営業時間はもちろん、水際対策やマスク着用についても自由になる。オミクロンを通常のインフルエンザ並みに扱うとするもので、先進国では初めての措置。ワクチン接種率が成人の8割に達し、病床の逼迫もないためだと、政府は説明している。

日本の感染者は累計476万0504人。この1週間で50万3808人増加した。前週の増加数より7万人少ない。死亡者は2万2794人で、1534人増加した。前週より216人増えている。規制を完全撤廃したイギリスの週間死亡者は950人。人口の差を考えれば、日本より死亡率は高い。にもかかわらず病床の逼迫がなく、日本では医療崩壊の危険が叫ばれている。この違いは、どこから生じるのだろう。厚労省の説明が聞きたくなる。

        ≪25日の日経平均 = 上げ +505.68円≫

        【今週の日経平均予想 = 4勝0敗】     


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今週のポイント
2022-02-28-Mon  CATEGORY: 政治・経済
◇ ウクライナに揺さぶられて乱高下 = ダウ平均は先週20ドルの値下がり。市場はウクライナ情勢の急速な進展に追い付けず、乱高下を繰り返した末に‟行ってこい”の結果となった。週の前半は大きく下げ、ロシア軍の侵攻が始まった24日には一時800ドル以上も下落したが、あとは大きく戻して92ドル高で引けている。さらに週末は停戦交渉のニュースが飛び込み800ドル以上も反発、終り値は3万4000ドル台を回復した。

日経平均は先週646円の値下がり。ほとんどニューヨークの値動きに引きずられた。24日には1年3か月ぶりに2万6000円を割り込み、昨年の安値2万6170円を下回っている。ただ週末の停戦交渉は、取引終了後に伝えられた。このためダウ平均のように‟行ってこい”とはならなかった。このため今週は、上昇で始まりそうだ。

しかし停戦交渉がすんなりと始まるかどうかは、いまのところ全く不明。今週の市場は、その成否に左右されることになりそうだ。また西側諸国の対ロシア経済制裁とロシア側の報復措置が世界経済に与える影響も、今週あたりから本格的な分析が始まる。その結果が出るたびに、市場はまたまた一喜一憂し乱高下するかもしれない。

今週は28日に、1月の鉱工業生産、商業動態統計、住宅着工戸数。1日に、2月の新車販売。2日に、10-12月期の法人企業統計。3日に、2月の消費動向調査。4日に、1月の労働力調査。アメリカでは1日に、2月のISM製造業景況指数。3日に、2月のISM非製造業景況指数。4日に、2月の雇用統計。また中国が1日に、2月の製造業と非製造業のPMIを発表する。なお1日には、バイデン大統領が一般教書演説。

        ≪28日の日経平均は? 予想 = 上げ


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