◇ 緊急事態宣言の解除で上向く = 経済産業省は29日、10月の商業動態統計を発表した。それによると、商業販売の総額は48兆8750億円で前年を5.0%上回った。このうち小売り業の販売総額は12兆5520億円、前年比で0.9%の増加だった。10月1日から緊急事態宣言などの行動規制が全面的に解除されたためで、デパートや家電大型専門店など多くの業態で売り上げが伸びた。
業態別にみると、デパートの販売額は4265億円。前年比2.5%の増加で、3か月ぶりのプラス。家電大型専門店は3511億円で1.9%の増加、5か月ぶりのプラス。ホームセンターは2808億円で0.4%の増加、6か月ぶりのプラス。スーパーは9927億円で0.9%の増加となっている。コンビニは9927億円で、前年比0.2%の減少だった。
業種別にみると、大きく伸びたのは燃料小売り業で、前年比25.9%の増加。ガソリンや灯油の値上がりによるところが大きい。飲食料品小売り業は3.7%の増加。機械器具は2.2%の増加だった。一方、自動車小売り業は19.5%の減少、無店舗小売り業も2.0%の減少となっている。
小売り業は全体として息を吹き返した感じだが、巣ごもりからのリベンジ消費は小幅にとどまった。消費者はまだ恐る恐る財布のひもを緩め始めた状態と言えるだろう。11月はもう少し積極的な消費行動に移ると予想される。ただ南アフリカ発の新型変異ウイルスが発生したから、年末年始の状況がどうなるか。予測は難しくなってきた。
≪30日の日経平均 = 下げ -462.16円≫
≪1日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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業態別にみると、デパートの販売額は4265億円。前年比2.5%の増加で、3か月ぶりのプラス。家電大型専門店は3511億円で1.9%の増加、5か月ぶりのプラス。ホームセンターは2808億円で0.4%の増加、6か月ぶりのプラス。スーパーは9927億円で0.9%の増加となっている。コンビニは9927億円で、前年比0.2%の減少だった。
業種別にみると、大きく伸びたのは燃料小売り業で、前年比25.9%の増加。ガソリンや灯油の値上がりによるところが大きい。飲食料品小売り業は3.7%の増加。機械器具は2.2%の増加だった。一方、自動車小売り業は19.5%の減少、無店舗小売り業も2.0%の減少となっている。
小売り業は全体として息を吹き返した感じだが、巣ごもりからのリベンジ消費は小幅にとどまった。消費者はまだ恐る恐る財布のひもを緩め始めた状態と言えるだろう。11月はもう少し積極的な消費行動に移ると予想される。ただ南アフリカ発の新型変異ウイルスが発生したから、年末年始の状況がどうなるか。予測は難しくなってきた。
≪30日の日経平均 = 下げ -462.16円≫
≪1日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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◇ 株価も賃金も上がらない現実 = 日経新聞が上場企業1548社の3月期決算予想を集計したところによると、最終利益の合計は26兆6503億円で前年を48.3%上回る見通しとなった。過去最高の水準であり、当然コロナ前の実績を超える。製造業は最終利益が17兆3877億円で46.0%の増加。非製造業は9兆2525億円で52.9%の増加となる。企業の業績は絶好調である。
製造業で増益率が大きいのは、鉄鋼が27.4倍、精密機械3.3倍、繊維3倍など。減益になるのは医薬品だけ。また非製造業では小売りが80.9%の増加、サービスも24.4%伸びる。ただ鉄道・バス・空運はなお赤字の見込みだが、赤字幅は縮小する。このように業種によってバラつきはあるものの、全体としてみれば企業は大儲けしている。ところが、これが株価や賃金に跳ね返らない。
コロナ前の19年末、日経平均株価は2万3657円だった。それが、きのう1日の終り値はは2万7936円。わずか4300円しか上昇していない。企業利益の大幅な増加を全く反映していないと言えるだろう。もちろん株価にとっては、衰えをみせないコロナの勢いが大きな重しになっている。加えて日本経済の先行きが不透明なことも、株価が上がらない理由となっている。
いま非製造業も含めて多くの企業が、国内よりも海外で大きな利益をあげている。このため国内での設備投資や正規社員の増加には、あまり積極的ではない。人手不足は非正規社員で賄う傾向が強くなっている。だから全体としてみた平均賃金は上がらない。岸田首相が法人減税で賃上げを促進しようとしても、企業の多くは減税など必要ないほど儲けている。さて、どうなりますか。
≪1日の日経平均 = 上げ +113.86円≫
≪2日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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製造業で増益率が大きいのは、鉄鋼が27.4倍、精密機械3.3倍、繊維3倍など。減益になるのは医薬品だけ。また非製造業では小売りが80.9%の増加、サービスも24.4%伸びる。ただ鉄道・バス・空運はなお赤字の見込みだが、赤字幅は縮小する。このように業種によってバラつきはあるものの、全体としてみれば企業は大儲けしている。ところが、これが株価や賃金に跳ね返らない。
コロナ前の19年末、日経平均株価は2万3657円だった。それが、きのう1日の終り値はは2万7936円。わずか4300円しか上昇していない。企業利益の大幅な増加を全く反映していないと言えるだろう。もちろん株価にとっては、衰えをみせないコロナの勢いが大きな重しになっている。加えて日本経済の先行きが不透明なことも、株価が上がらない理由となっている。
いま非製造業も含めて多くの企業が、国内よりも海外で大きな利益をあげている。このため国内での設備投資や正規社員の増加には、あまり積極的ではない。人手不足は非正規社員で賄う傾向が強くなっている。だから全体としてみた平均賃金は上がらない。岸田首相が法人減税で賃上げを促進しようとしても、企業の多くは減税など必要ないほど儲けている。さて、どうなりますか。
≪1日の日経平均 = 上げ +113.86円≫
≪2日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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◇ 国債とETFの買い入れを大幅に減少 = 日銀が量的金融緩和の大幅な縮小を、秘かに強行している。日銀が保有する国債残高は、この11月末で529兆5000億円。1年前と比べると9兆7000億円の減少だった。これは日銀が国債を売却したわけではなく、この間の購入額より償還された国債の方が多かったことによる。ただ昨年11月末までの1年間には51兆4000億円の国債を買っているから、それに比較すると市中に対する資金の放出量は61兆円も少なくなった。緩和政策の大幅な縮小である。
ETF(上場投資信託)の買い入れも、大幅に減っている。日銀のETF保有残高は、この11月末で36兆3452億円。1年前に比べると1兆2063億円の増加だった。ところが昨年11月末までの1年間には、7兆1961億円も増えている。つまり最近の1年間は、購入額を前年より6兆円減らしたことになる。国債と合わせてみると、緩和政策は67兆円も縮小されたわけだ。
アメリカではいま、中央銀行であるFRBが緩和政策の縮小を始めたところ。これまで1年近くも状況を説明し、市場や一般国民を納得させた。これに対し日銀は、これまで「物価が2%上昇するまでは、緩和政策を続ける」と言い続けている。市場や国民にウソをついてきたと言われても仕方がないだろう。
日銀はウソをついてまで、なぜ緩和政策の大幅な縮小を強行しているのか。仮に景気が明白に回復しているのなら、理解できないこともない。しかし実際に景気は停滞したままである。日銀は何を考えているのか。はっきりと説明する義務があるのではないか。新聞やテレビも、この点を追及する責任があると思う。
≪2日の日経平均 = 下げ -182.25円≫
≪3日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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ETF(上場投資信託)の買い入れも、大幅に減っている。日銀のETF保有残高は、この11月末で36兆3452億円。1年前に比べると1兆2063億円の増加だった。ところが昨年11月末までの1年間には、7兆1961億円も増えている。つまり最近の1年間は、購入額を前年より6兆円減らしたことになる。国債と合わせてみると、緩和政策は67兆円も縮小されたわけだ。
アメリカではいま、中央銀行であるFRBが緩和政策の縮小を始めたところ。これまで1年近くも状況を説明し、市場や一般国民を納得させた。これに対し日銀は、これまで「物価が2%上昇するまでは、緩和政策を続ける」と言い続けている。市場や国民にウソをついてきたと言われても仕方がないだろう。
日銀はウソをついてまで、なぜ緩和政策の大幅な縮小を強行しているのか。仮に景気が明白に回復しているのなら、理解できないこともない。しかし実際に景気は停滞したままである。日銀は何を考えているのか。はっきりと説明する義務があるのではないか。新聞やテレビも、この点を追及する責任があると思う。
≪2日の日経平均 = 下げ -182.25円≫
≪3日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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◇ オミクロン株は‟張り子の虎”かも?? = 世界の感染者は累計2億6353万人、この1週間で404万人増加した。死亡者は522万4797人で、増加数は4万9644人。感染者も死亡者も、増加数は前週よりやや縮小した。アメリカ・ロシア・メキシコ・イギリスなどで、死亡者の増加数が減っている。そんなところへ、こんどはオミクロン変異株が発生、世界中が驚いた。
国別の死亡者数をみると、アメリカが累計78万人台で相変わらず断トツ。次いでブラジルが61万人台、インドが46万人台、メキシコが29万人台、ロシアが27万人台。あとはイギリスとインドネシアが14万人台、イタリアが13万人台、イランとフランスが12万人台となっている。このうちブラジル・インド・イタリア・フランスの各国で、死亡者はやや増加した。
日本の感染者は累計172万7217人。この1週間で736人増加した。死亡者は1万8361人で、増加数はわずか8人にとどまった。このため政府は緊急事態宣言などの規制をほぼ撤廃したが、とたんにオミクロン株が出現。国内でも陽性者が出たので、再び水際対策を厳しくしている。年末までに国内の感染者をどこまで抑えられるか、が勝負となってくる。
南アフリカで発見されたオミクロン株は、あっという間に世界30か国以上に拡散した。このため感染力は非常に強いと言われているが、実際はもっと前から拡散していたのではないか。それが次々と検査で判明しただけかもしれない。仮にそうなら、感染力はそんなに強くない? もちろん油断は禁物だが、案外‟張り子の虎”かもしれない。
≪3日の日経平均 = 上げ +276.20円≫
【今週の日経平均予想 = 4勝1敗】
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国別の死亡者数をみると、アメリカが累計78万人台で相変わらず断トツ。次いでブラジルが61万人台、インドが46万人台、メキシコが29万人台、ロシアが27万人台。あとはイギリスとインドネシアが14万人台、イタリアが13万人台、イランとフランスが12万人台となっている。このうちブラジル・インド・イタリア・フランスの各国で、死亡者はやや増加した。
日本の感染者は累計172万7217人。この1週間で736人増加した。死亡者は1万8361人で、増加数はわずか8人にとどまった。このため政府は緊急事態宣言などの規制をほぼ撤廃したが、とたんにオミクロン株が出現。国内でも陽性者が出たので、再び水際対策を厳しくしている。年末までに国内の感染者をどこまで抑えられるか、が勝負となってくる。
南アフリカで発見されたオミクロン株は、あっという間に世界30か国以上に拡散した。このため感染力は非常に強いと言われているが、実際はもっと前から拡散していたのではないか。それが次々と検査で判明しただけかもしれない。仮にそうなら、感染力はそんなに強くない? もちろん油断は禁物だが、案外‟張り子の虎”かもしれない。
≪3日の日経平均 = 上げ +276.20円≫
【今週の日経平均予想 = 4勝1敗】
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◇ オミクロン + FRB議長の豹変 = ダウ平均は先週319ドルの値下がり。4週連続の下落で、この間の下げ幅は1700ドルを超えた。終り値は3万4580ドル、10月半ばの水準に落ち込んでいる。先々週はオミクロン変異株の出現に驚き、先週はパウエルFRB議長の‟変心”が売り材料となった。市場はパウエル議長の発言を消化し切れず、戸惑っている。
パウエル議長は、これまで一貫して「物価上昇は一時的なもの」と主張。この見通しを土台として「来年6月ごろまでに緩和政策の縮小を完了する」と説明してきた。それが11月30日の議会証言で一転「物価上昇は少なくとも来年半ばまでは続く。したがって緩和政策の縮小は数か月早く終えることを検討する」と発言。関係者を驚かせた。
日経平均は先週722円の値下がり。2週連続の下落で、この間の下げ幅は1700円を超えた。終り値は2万8030円、10月上旬の水準に落ち込んでいる。オミクロンの出現とニューヨーク市場の低迷が、下落の原因。史上最大の補正予算が編成されたが、成長戦略に乏しく好材料とはならなかった。ただ日米の株価は、カネ余りに支えられて大暴落する気配は見えない。
今週は7日に、10月の毎月勤労統計、家計調査、景気動向指数。8日に、7-9月期のGDP確定値、11月の景気ウオッチャー調査。9日に、10-12月期の法人企業景気予測調査。10日に、11月の企業物価。アメリカでは7日に、10月の貿易統計。10日に、11月の消費者物価、12月のミシガン大学・消費者信頼感指数。また中国が7日に、11月の貿易統計。9日に、11月の消費者物価と生産者物価を発表する。
≪6日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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パウエル議長は、これまで一貫して「物価上昇は一時的なもの」と主張。この見通しを土台として「来年6月ごろまでに緩和政策の縮小を完了する」と説明してきた。それが11月30日の議会証言で一転「物価上昇は少なくとも来年半ばまでは続く。したがって緩和政策の縮小は数か月早く終えることを検討する」と発言。関係者を驚かせた。
日経平均は先週722円の値下がり。2週連続の下落で、この間の下げ幅は1700円を超えた。終り値は2万8030円、10月上旬の水準に落ち込んでいる。オミクロンの出現とニューヨーク市場の低迷が、下落の原因。史上最大の補正予算が編成されたが、成長戦略に乏しく好材料とはならなかった。ただ日米の株価は、カネ余りに支えられて大暴落する気配は見えない。
今週は7日に、10月の毎月勤労統計、家計調査、景気動向指数。8日に、7-9月期のGDP確定値、11月の景気ウオッチャー調査。9日に、10-12月期の法人企業景気予測調査。10日に、11月の企業物価。アメリカでは7日に、10月の貿易統計。10日に、11月の消費者物価、12月のミシガン大学・消費者信頼感指数。また中国が7日に、11月の貿易統計。9日に、11月の消費者物価と生産者物価を発表する。
≪6日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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◇ FRB議長が豹変した理由 = 「持続的インフレのリスクは高まっている」「物価上昇は一時的と言ったが、撤回する時期だ」「資産の購入を数か月早く終えることを検討する」--パウエルFRB議長の口から、こんな発言がポンポン飛び出した。驚いた市場では、株価や商品相場が急落。短期金利は急騰した。一般の国民も、いまの物価高は長く続くのかと、ため息を漏らしている。
パウエル議長は、これまで一貫して「物価高は一時的なものだ」と説明してきた。だから金融緩和政策の修正を急ぐ必要はない。国債などの購入は来年6月ごろに終了すればいい。そう言い続けてきたFRB議長が、豹変したのはなぜだろう。最大の理由は、物価の上昇が予想以上に大きくなっていること。たとえば10月の消費者物価は、なんと30年ぶりの上昇率となっている。
オミクロン変異株への警戒感が強まっているいま、金融を引き締めたら景気は悪化するのではという心配もある。だがコロナ禍でも消費需要は強く、むしろ供給面への悪影響の方が強い。パウエル議長は、そう考えたのではないか。だとすればインフレ対策を先行させた方がいい。対策が遅れると、インフレは手を着けられないほど加速してしまう危険がある。
FRBは、アメリカの物価安定と雇用の維持に責任を持っている。その雇用の状況をみると、11月の失業率は4.2%で前月より0.4ポイントも改善した。完全雇用に近づいており、人手不足は続く。これも強力なインフレ要因になりかねない。したがって従来の考え方を捨てて、インフレ対策を急ぐ。パウエル議長の心中を覗いてみれば、こういうことになるのではないか。
≪6日の日経平均 = 下げ -102.20円≫
≪7日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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パウエル議長は、これまで一貫して「物価高は一時的なものだ」と説明してきた。だから金融緩和政策の修正を急ぐ必要はない。国債などの購入は来年6月ごろに終了すればいい。そう言い続けてきたFRB議長が、豹変したのはなぜだろう。最大の理由は、物価の上昇が予想以上に大きくなっていること。たとえば10月の消費者物価は、なんと30年ぶりの上昇率となっている。
オミクロン変異株への警戒感が強まっているいま、金融を引き締めたら景気は悪化するのではという心配もある。だがコロナ禍でも消費需要は強く、むしろ供給面への悪影響の方が強い。パウエル議長は、そう考えたのではないか。だとすればインフレ対策を先行させた方がいい。対策が遅れると、インフレは手を着けられないほど加速してしまう危険がある。
FRBは、アメリカの物価安定と雇用の維持に責任を持っている。その雇用の状況をみると、11月の失業率は4.2%で前月より0.4ポイントも改善した。完全雇用に近づいており、人手不足は続く。これも強力なインフレ要因になりかねない。したがって従来の考え方を捨てて、インフレ対策を急ぐ。パウエル議長の心中を覗いてみれば、こういうことになるのではないか。
≪6日の日経平均 = 下げ -102.20円≫
≪7日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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◇ 3-5年後の生活はどうなるの? = 岸田首相は6日、衆参両院で初めての所信表明演説を行なった。経済問題については「総額55兆7000億円の経済対策を実施する」「新しい資本主義を具体化する」「成長のための大胆な投資を行なう」などと述べたが、何かもの足りない。というのも、国民がいちばん知りたい『3-5年後の日本経済はどうなっているのか。国民の生活はどう変わるのか』に、全く触れていないからである。
具体的な施策として「民間企業の賃上げ支援」「看護・介護・保育・幼児教育関係者の給与引き上げ」に触れたが、これらはいま必要な対策であって、3-5年後の日本経済を決定づける要因ではない。成長戦略としては唯一「海底ケーブルが日本を周回するデジタル田園都市スーパー・ハイウエイ」を挙げた。しかし、これによって東京一極集中や官庁の地方分散がどうなるか。少しも説明しなかった。
演説のなかで、岸田首相は「明治維新、戦後高度成長、日本は幾多の奇跡を実現してきた。新しい資本主義という歴史的挑戦においても、日本の底力を示そうではありませんか」と強調した。だが明治維新は列強に追い付こう、戦後高度成長は所得を倍増しようという高い目標を持っていた。しかし岸田首相の新資本主義は、何が目標なのか判然としない。
たとえば「今後の日本は何を得意技として生きて行く」「3年後には2%、5年後には3%の成長を目指し、そのために政府はこういう施策を打って行く」とでも明示すれば、国民も将来への夢を持つことが出来るだろう。それがなければ、岸田さんの新資本主義は言葉の遊び、岸田さんの独りよがりに終わってしまう。
≪7日の日経平均 = 上げ +528.23円≫
≪8日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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具体的な施策として「民間企業の賃上げ支援」「看護・介護・保育・幼児教育関係者の給与引き上げ」に触れたが、これらはいま必要な対策であって、3-5年後の日本経済を決定づける要因ではない。成長戦略としては唯一「海底ケーブルが日本を周回するデジタル田園都市スーパー・ハイウエイ」を挙げた。しかし、これによって東京一極集中や官庁の地方分散がどうなるか。少しも説明しなかった。
演説のなかで、岸田首相は「明治維新、戦後高度成長、日本は幾多の奇跡を実現してきた。新しい資本主義という歴史的挑戦においても、日本の底力を示そうではありませんか」と強調した。だが明治維新は列強に追い付こう、戦後高度成長は所得を倍増しようという高い目標を持っていた。しかし岸田首相の新資本主義は、何が目標なのか判然としない。
たとえば「今後の日本は何を得意技として生きて行く」「3年後には2%、5年後には3%の成長を目指し、そのために政府はこういう施策を打って行く」とでも明示すれば、国民も将来への夢を持つことが出来るだろう。それがなければ、岸田さんの新資本主義は言葉の遊び、岸田さんの独りよがりに終わってしまう。
≪7日の日経平均 = 上げ +528.23円≫
≪8日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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◇ 単年度の措置では効果なし = 大幅な賃上げが実現すれば、消費が増えて経済が上向く。つまり‟分配”を増やすことによって、経済は‟成長”する。--岸田首相の持論である。先日の所信表明演説でも「給与を引き上げた企業を支援するための税制を抜本的に強化する」と強調していた。その具体的な内容が固まり、22年度の税制改正大綱に明記される。だが、その効果はきわめて疑わしい。
大企業については、継続して雇用する人の給与総額を3%以上引き上げる企業が対象。まず給与増加分の15%を法人税から差し引く。さらに4%以上引き上げた場合には、25%相当分を差し引く。加えて教育訓練費を20%以上増やせば、5%を上乗せして差し引く。したがって大企業の場合は、最大で給与増額分の30%が法人税から差し引かれることになる。
中小企業については、まず1.5%以上の賃上げで給与増額分の15%を減税。さらに2.5%以上の賃上げなら、30%を減税。加えて教育訓練費を10%以上増やせば、減税分が10%増える。つまり中小企業の場合は、最大で給与増額分の40%が法人税から差し引かれることになる。ただ中小企業は、赤字で約6割の企業が法人税を払っていない。こうした企業が賃上げした場合は、ものづくり補助金などを増額して対応する。
一見すると、魅力的な政策のように思える。しかし最大の欠点は、この優遇税制が22年度だけに適用されること。企業にしてみれば、23年度になったら賃下げするというわけにはいかない。だから飛びつく企業は、ほとんどないのでは。それよりも政府は企業が賃上げできるように、景気を良くすることを考えた方がいい。やはり「分配⇒成長」ではなく、「成長⇒分配」なのではないか。
≪8日の日経平均 = 上げ +405.02円≫
≪9日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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大企業については、継続して雇用する人の給与総額を3%以上引き上げる企業が対象。まず給与増加分の15%を法人税から差し引く。さらに4%以上引き上げた場合には、25%相当分を差し引く。加えて教育訓練費を20%以上増やせば、5%を上乗せして差し引く。したがって大企業の場合は、最大で給与増額分の30%が法人税から差し引かれることになる。
中小企業については、まず1.5%以上の賃上げで給与増額分の15%を減税。さらに2.5%以上の賃上げなら、30%を減税。加えて教育訓練費を10%以上増やせば、減税分が10%増える。つまり中小企業の場合は、最大で給与増額分の40%が法人税から差し引かれることになる。ただ中小企業は、赤字で約6割の企業が法人税を払っていない。こうした企業が賃上げした場合は、ものづくり補助金などを増額して対応する。
一見すると、魅力的な政策のように思える。しかし最大の欠点は、この優遇税制が22年度だけに適用されること。企業にしてみれば、23年度になったら賃下げするというわけにはいかない。だから飛びつく企業は、ほとんどないのでは。それよりも政府は企業が賃上げできるように、景気を良くすることを考えた方がいい。やはり「分配⇒成長」ではなく、「成長⇒分配」なのではないか。
≪8日の日経平均 = 上げ +405.02円≫
≪9日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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◇ 10人に3人弱が65歳以上 = 総務省が発表した20年の国勢調査・確定値によると、日本の総人口は1億2614万6099人。前回5年前の調査に比べて94万8646人減少した。総人口のうち外国人は274万7137人だったから、日本人の人口は1億2339万8962人。前回調査より1.4%減っている。経済的に無視できないのは、65歳以上の高齢者が急増していること、生産年齢人口が急減していることの2点だろう。
まず高齢者の急増。65歳以上の人口は3602万6632人で過去最大。5年前より6.6%増加した。総人口に占める比率は28.6%、10人に3人弱が高齢者となっている。その一方、14歳以下の若年者は1503万1602人で過去最少。5年前より5.8%減少した。少子高齢化は着々と進んでいる。高齢者が増加すれば年金・医療・介護の費用が増大し、少子化の進行はそれを負担する人たちの縮小を意味する。
次に生産年齢人口の急減。生産活動に携われる15-64歳の人口は7508万7865人。5年前に比べて226万6232人も減少した。ピークだった1995年に比べると13.9%も減っている。要するに‟働ける人”が少なくなっているわけで、生産活動に及ぼす影響はきわめて大きい。また働く人が減少すれば、それだけ消費の総額も減ってしまう。
国勢調査は5年ごとに実施されている。特に西暦の末尾がゼロの年は、大規模な調査。その結果は、選挙区の「1票の格差」是正のための区割り変更や地方交付税の算定などの基本資料となるから重要だ。そして高齢者の増加と生産年齢人口の減少も、具体的な数字となって現われた。しかし岸田内閣の新経済対策をみても、この問題に対する施策は薄い。このため国民は将来に対する不安を捨て切れない。
≪9日の日経平均 = 下げ -135.15円≫
≪10日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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まず高齢者の急増。65歳以上の人口は3602万6632人で過去最大。5年前より6.6%増加した。総人口に占める比率は28.6%、10人に3人弱が高齢者となっている。その一方、14歳以下の若年者は1503万1602人で過去最少。5年前より5.8%減少した。少子高齢化は着々と進んでいる。高齢者が増加すれば年金・医療・介護の費用が増大し、少子化の進行はそれを負担する人たちの縮小を意味する。
次に生産年齢人口の急減。生産活動に携われる15-64歳の人口は7508万7865人。5年前に比べて226万6232人も減少した。ピークだった1995年に比べると13.9%も減っている。要するに‟働ける人”が少なくなっているわけで、生産活動に及ぼす影響はきわめて大きい。また働く人が減少すれば、それだけ消費の総額も減ってしまう。
国勢調査は5年ごとに実施されている。特に西暦の末尾がゼロの年は、大規模な調査。その結果は、選挙区の「1票の格差」是正のための区割り変更や地方交付税の算定などの基本資料となるから重要だ。そして高齢者の増加と生産年齢人口の減少も、具体的な数字となって現われた。しかし岸田内閣の新経済対策をみても、この問題に対する施策は薄い。このため国民は将来に対する不安を捨て切れない。
≪9日の日経平均 = 下げ -135.15円≫
≪10日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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◇ マスクと手洗いが決め手なのかも = 世界の感染者は累計2億6785万人、この1週間で432万人増加した。死亡者は527万9650人で、週間5万4853人の増加。感染者の増加数は前週より25万7000人、死亡者は5209人拡大した。全体的に悪化したが、特にアメリカの状況が大幅に悪化している。その原因がオミクロン株によるものか、北半球が冬場を迎えたためかは判然としない。
アメリカの死亡者数は、この1週間で1万1122人増加した。前週より4413人拡大している。次いで死亡者の累計はブラジルが61万人台、インドが47万人台、メキシコが29万人台、ロシアが28万人台。さらにイギリスとインドネシアが14万人台、イタリアとイランが13万人台、フランスが12万人台となっている。アメリカのほか、インド・メキシコ・イタリア・フランスで、死亡者の増加数が拡大した。
日本の感染者は累計172万8075人、この1週間で858人増加した。死亡者は1万8369人、週間の増加数は8人にとどまっている。オミクロン型の感染者は12人が確認された。もちろん油断は出来ないが、いぜんとして奇跡的な改善が続いている。ワクチンの接種率が77%に達したことも大きいが、日本より接種率の高い隣の韓国では感染者が急増している。もしかすると、マスク着用と手洗いの励行が決め手となっているのかもしれない。
WHO(世界保健機構)の発表によると、オミクロン変異株の流行は57か国に広がった。アメリカやイギリス、それに韓国ではクラスターも発生している。各国では再び規制の強化に乗り出しており、ニューヨーク市では18万4000社の企業に、従業員のワクチン接種を義務づけた。イギリスではマスクの強制的な着用範囲を広げたが、案外これが正解なのかもしれない。
≪10日の日経平均 = 下げ -287.70円≫
【今週の日経平均予想 = 5勝0敗】
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アメリカの死亡者数は、この1週間で1万1122人増加した。前週より4413人拡大している。次いで死亡者の累計はブラジルが61万人台、インドが47万人台、メキシコが29万人台、ロシアが28万人台。さらにイギリスとインドネシアが14万人台、イタリアとイランが13万人台、フランスが12万人台となっている。アメリカのほか、インド・メキシコ・イタリア・フランスで、死亡者の増加数が拡大した。
日本の感染者は累計172万8075人、この1週間で858人増加した。死亡者は1万8369人、週間の増加数は8人にとどまっている。オミクロン型の感染者は12人が確認された。もちろん油断は出来ないが、いぜんとして奇跡的な改善が続いている。ワクチンの接種率が77%に達したことも大きいが、日本より接種率の高い隣の韓国では感染者が急増している。もしかすると、マスク着用と手洗いの励行が決め手となっているのかもしれない。
WHO(世界保健機構)の発表によると、オミクロン変異株の流行は57か国に広がった。アメリカやイギリス、それに韓国ではクラスターも発生している。各国では再び規制の強化に乗り出しており、ニューヨーク市では18万4000社の企業に、従業員のワクチン接種を義務づけた。イギリスではマスクの強制的な着用範囲を広げたが、案外これが正解なのかもしれない。
≪10日の日経平均 = 下げ -287.70円≫
【今週の日経平均予想 = 5勝0敗】
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◇ なんでも呑み込むニューヨーク市場 = ダウ平均は先週1391ドルの値上がり。週間の上げ幅としては、昨年11月上旬以来の大きさとなった。終り値は3万6000ドルに接近、またまた史上最高値の更新を狙う構え。コロナが急速に拡大しているにもかかわらず、オミクロン変異株は重症化率が低いというニュースで上げた。FRBが緩和政策の縮小を前倒しするという予測も、すでに織り込み済みという理由で無視した。
日経平均は先週408円の値上がり。初めはニューヨーク市場の活況に引きずられたが、あとはダレた。終り値は2万9000円に届かない。コロナが奇跡的な落ち着きをみせているにもかかわらず、東京市場は元気がない。超大型の補正予算や分配重視の税制改正にも、株価を押し上げる力はなかった。
ダウ平均は1か月前に記録した史上最高値まで、あと600ドル足らず。どんな悪材料でも呑み込んで、さらなる高みを目指す勢いだ。ニューヨークが上げれば、それだけ東京の割安感が強まり日経平均も上昇するだろう。だが、やはり他力本願なので限界はある。加えて米中の緊張激化が、地政学的に東京の弱みになってきたような感じがしないでもない。
今週は13日に、12月の日銀短観、10月の機械受注。15日に、10月の第3次産業活動指数。16日に、11月の貿易統計。アメリカでは14日に、11月の生産者物価。15日に、11月の小売り売上高、12月のNAHB住宅市場指数。16日に、11月の工業生産、住宅着工戸数。また中国が15日に、11月の小売り売上高、鉱工業生産、固定資産投資額を発表する。なお15日に、パウエルFRB議長が金融政策について会見する。
≪13日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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日経平均は先週408円の値上がり。初めはニューヨーク市場の活況に引きずられたが、あとはダレた。終り値は2万9000円に届かない。コロナが奇跡的な落ち着きをみせているにもかかわらず、東京市場は元気がない。超大型の補正予算や分配重視の税制改正にも、株価を押し上げる力はなかった。
ダウ平均は1か月前に記録した史上最高値まで、あと600ドル足らず。どんな悪材料でも呑み込んで、さらなる高みを目指す勢いだ。ニューヨークが上げれば、それだけ東京の割安感が強まり日経平均も上昇するだろう。だが、やはり他力本願なので限界はある。加えて米中の緊張激化が、地政学的に東京の弱みになってきたような感じがしないでもない。
今週は13日に、12月の日銀短観、10月の機械受注。15日に、10月の第3次産業活動指数。16日に、11月の貿易統計。アメリカでは14日に、11月の生産者物価。15日に、11月の小売り売上高、12月のNAHB住宅市場指数。16日に、11月の工業生産、住宅着工戸数。また中国が15日に、11月の小売り売上高、鉱工業生産、固定資産投資額を発表する。なお15日に、パウエルFRB議長が金融政策について会見する。
≪13日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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◇ 価格転嫁できない中小企業 = 日銀は13日、12月の企業経済短期観測調査を発表した。それによると、最も注目される大企業・製造業の業況判断指数はプラス18で、前回9月調査の結果と変わらなかった。コロナの改善が物価高で相殺された形となっている。一方、大企業・非製造業の業況判断指数はプラス9で、前回より7ポイント上昇した。これは緊急事態宣言などの規制が解除されたためである。
業況判断指数は、業況が「よくなった」と回答した企業の割合から「悪くなった」と回答した企業の割合を差し引いた数値。業種別にみると、製造業では石油・石炭製品が前回より13ポイントの改善、業務用機械が7ポイントの改善。自動車は1ポイントの悪化、電機は1ポイントの改善だった。また非製造業では対個人サービスが36ポイントの改善、宿泊・飲食サービスが24ポイントの改善となっている。
ただ3か月後の先行き見通しは、総じてよくない。大企業・製造業はプラス13で、今回より5ポイント悪化する。大企業・非製造業も1ポイント悪化する見通しだ。また中小企業では、製造業は今回と変わらずだったが、非製造業は2ポイントの悪化が見込まれている。これは物価の上昇が続きそうなことと、オミクロン変異株の出現が影響しているようだ。
特に中小企業の場合は、価格転嫁が難しそうだ。中小企業の価格判断をみると、仕入れ価格の判断指数は前回と今回、さらに3か月後の見通しが、製造業は50→60→61。非製造業は29→39→41と急上昇している。ところが自社製品の価格判断は、製造業は9→16→22。非製造業は1→6→10と、上がり方がきわめて鈍い。それだけ中小企業の経営は苦しくなるものと思われる。
≪13日の日経平均 = 上げ +202.72円≫
≪14日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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業況判断指数は、業況が「よくなった」と回答した企業の割合から「悪くなった」と回答した企業の割合を差し引いた数値。業種別にみると、製造業では石油・石炭製品が前回より13ポイントの改善、業務用機械が7ポイントの改善。自動車は1ポイントの悪化、電機は1ポイントの改善だった。また非製造業では対個人サービスが36ポイントの改善、宿泊・飲食サービスが24ポイントの改善となっている。
ただ3か月後の先行き見通しは、総じてよくない。大企業・製造業はプラス13で、今回より5ポイント悪化する。大企業・非製造業も1ポイント悪化する見通しだ。また中小企業では、製造業は今回と変わらずだったが、非製造業は2ポイントの悪化が見込まれている。これは物価の上昇が続きそうなことと、オミクロン変異株の出現が影響しているようだ。
特に中小企業の場合は、価格転嫁が難しそうだ。中小企業の価格判断をみると、仕入れ価格の判断指数は前回と今回、さらに3か月後の見通しが、製造業は50→60→61。非製造業は29→39→41と急上昇している。ところが自社製品の価格判断は、製造業は9→16→22。非製造業は1→6→10と、上がり方がきわめて鈍い。それだけ中小企業の経営は苦しくなるものと思われる。
≪13日の日経平均 = 上げ +202.72円≫
≪14日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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◇ 市場は「織り込み済み」と冷静だが = FRBは14-15日にFOMC(公開市場委員会)を開き、金融緩和政策の縮小を決定する。その内容は、パウエル議長が15日午後(日本時間16日早朝)の記者会見で公表する予定。すでにパウエル議長は、議会で「緩和政策の縮小は早めることが適切」と証言しており、FOMCではその線に沿った決定が下されることは確実だ。ただパウエル議長が、どんな言い方で内容を説明するのか。市場は最大の関心をもって見守っている。
これまでパウエル議長は「現在の物価高は一時的」と主張、国債などを買い入れる量的緩和政策を来年6月ごろ終了させる計画だった。しかし11月の消費者物価が6.8%も上昇したため、構想を一変。縮小を大幅に前倒しすることになった。ただパウエル議長が情勢の変化を克明に説明したため、市場は「織り込み済み」だと冷静に構えている。
パウエル議長が記者会見で述べる‟言い方”については、①緩和政策の縮小を3月には終了する②状況をみながら縮小のスピードを速める③今回は6月終了の計画を変えない--などの可能性が予想されている。仮に①だと、4月以降の利上げも考えられることになり、インパクトは大きい。③ならば市場への影響は小さいが、インフレ対策としては弱い。
いまアメリカでは、コロナの再拡大と物価高が大きな問題となっている。来年11月には中間選挙も実施されるため、バイデン大統領も物価の抑制には大きな関心を持っている。したがってパウエル議長の言い方は、いちばん強い③になる公算が大きいのではないか。その結果、来年4月以降の利上げが現実の日程にのぼってきたとき、市場がまだ「織り込み済み」と冷静でいられるかどうか。
≪14日の日経平均 = 下げ -207.85円≫
≪15日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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これまでパウエル議長は「現在の物価高は一時的」と主張、国債などを買い入れる量的緩和政策を来年6月ごろ終了させる計画だった。しかし11月の消費者物価が6.8%も上昇したため、構想を一変。縮小を大幅に前倒しすることになった。ただパウエル議長が情勢の変化を克明に説明したため、市場は「織り込み済み」だと冷静に構えている。
パウエル議長が記者会見で述べる‟言い方”については、①緩和政策の縮小を3月には終了する②状況をみながら縮小のスピードを速める③今回は6月終了の計画を変えない--などの可能性が予想されている。仮に①だと、4月以降の利上げも考えられることになり、インパクトは大きい。③ならば市場への影響は小さいが、インフレ対策としては弱い。
いまアメリカでは、コロナの再拡大と物価高が大きな問題となっている。来年11月には中間選挙も実施されるため、バイデン大統領も物価の抑制には大きな関心を持っている。したがってパウエル議長の言い方は、いちばん強い③になる公算が大きいのではないか。その結果、来年4月以降の利上げが現実の日程にのぼってきたとき、市場がまだ「織り込み済み」と冷静でいられるかどうか。
≪14日の日経平均 = 下げ -207.85円≫
≪15日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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◇ 政府の怠慢で日本経済は空洞化へ = トヨタ自動車は14日「30年にEV(電気自動車) の世界販売台数を350万台とする」と発表した。この目標を達成するため、バッテリーも含めて4兆円を投資する計画。最終的には計30車種のEVを製造する予定で、最初は新型bZ4Xを22年に世界で販売する。最近になく明るい話であり、「トヨタはEVに消極的だ」という関係者の見方も一挙に吹き飛ばした。
世界の自動車メーカーは、いまEV化を目指して一斉に走り出した。アメリカでは専業メーカーとして立ち上がったテスラはもちろん、GMやフォードもEVの増産を目指している。特にヨーロッパの動きは鮮烈だ。ベンツは30年、アウディは26年までに、すべての新車をEVにする。フォルクスワーゲンも、30年までに世界販売の5割をEVにする方針。これはEU当局が、きわめて熱心に脱炭素政策を推進しているためでもある。
すでにEUは「35年までにEVとFCV(水素燃料電池車)以外の販売を禁止」する政策を打ち出している。さらにEU委員会は「26年から国境炭素税を導入する」方針。これはCO₂排出規制の緩い国からの輸入品にかける税金で、当初は鉄鋼など5品目が対象だが、自動車は追加される可能性が高い。つまり日本のように火力発電の比重が高い電力を使って製造された自動車には、課税される危険がある。
またEVの製造にはバッテリーが欠かせず、リチウムやコバルトなどの希少金属が取り合いになることは必定。こういう情勢なのに日本政府は、電源構成に占める火力発電の比重を下げられず、また希少金属の獲得にも力を入れていない。これではトヨタの4兆円にのぼる投資も海外で使われ、日本経済は空洞化して行くだけだろう。
≪15日の日経平均 = 上げ +27.08円≫
≪16日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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世界の自動車メーカーは、いまEV化を目指して一斉に走り出した。アメリカでは専業メーカーとして立ち上がったテスラはもちろん、GMやフォードもEVの増産を目指している。特にヨーロッパの動きは鮮烈だ。ベンツは30年、アウディは26年までに、すべての新車をEVにする。フォルクスワーゲンも、30年までに世界販売の5割をEVにする方針。これはEU当局が、きわめて熱心に脱炭素政策を推進しているためでもある。
すでにEUは「35年までにEVとFCV(水素燃料電池車)以外の販売を禁止」する政策を打ち出している。さらにEU委員会は「26年から国境炭素税を導入する」方針。これはCO₂排出規制の緩い国からの輸入品にかける税金で、当初は鉄鋼など5品目が対象だが、自動車は追加される可能性が高い。つまり日本のように火力発電の比重が高い電力を使って製造された自動車には、課税される危険がある。
またEVの製造にはバッテリーが欠かせず、リチウムやコバルトなどの希少金属が取り合いになることは必定。こういう情勢なのに日本政府は、電源構成に占める火力発電の比重を下げられず、また希少金属の獲得にも力を入れていない。これではトヨタの4兆円にのぼる投資も海外で使われ、日本経済は空洞化して行くだけだろう。
≪15日の日経平均 = 上げ +27.08円≫
≪16日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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◇ これでインフレを抑えられるのか = FRBは15日のFOMC(公開市場委員会)で、金融緩和政策の縮小を大幅に加速することを決めた。国債などを買い入れる量的緩和を来年3月に終了、そのあと来年中に3回の政策金利引き上げを予定する。さらにFOMCに参加した18人の委員の大半は「23年に3回、24年に2回の追加利上げ」を見込んでいるという。いよいよ金融引き締め時代が到来することになる。
ところが驚いたことに、ニューヨーク市場の株価は大きく上昇。ダウ平均は400ドル近くも値を上げた。つれて16日の日経平均も600円を超す大幅高となっている。金利が上がれば資金が債券市場に移動し、株価は下落するというのが常識。さらに長期にわたって株高の源泉となったFRBの資金放出がストップしてしまうというのに、上昇した株価。いったい、どうしてなのだろう。
市場関係者はまず「FRBの今回の決定は、すべて織り込み済み」だから悪材料にはならない。さらに「大きな関門を抜けたという感じが強く、これが好材料になった」と分析している。つまり市場には十分すぎるほどの資金が滞留しており、少々のショックには驚かないということなのだろう。また緩和が縮小されても「来年3月までは資金の放出が続く」という指摘もあった。
たしかにFRBは緩和縮小について情報を流し続け、市場を教育してきたと言える。だから株価は下落しなかった。しかし、こうした方法で、インフレを抑制する効果が薄れないのだろうか。かつて各国の中央銀行は金融政策の変更を極秘裏に進め、利上げを突然発表することで心理的な効果をあげた。株価の維持を重要視した今回のFRB流が、はたして物価の抑制に効果を挙げられるのか。新しい注目点である。
≪16日の日経平均 = 上げ +606.60円≫
≪17日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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ところが驚いたことに、ニューヨーク市場の株価は大きく上昇。ダウ平均は400ドル近くも値を上げた。つれて16日の日経平均も600円を超す大幅高となっている。金利が上がれば資金が債券市場に移動し、株価は下落するというのが常識。さらに長期にわたって株高の源泉となったFRBの資金放出がストップしてしまうというのに、上昇した株価。いったい、どうしてなのだろう。
市場関係者はまず「FRBの今回の決定は、すべて織り込み済み」だから悪材料にはならない。さらに「大きな関門を抜けたという感じが強く、これが好材料になった」と分析している。つまり市場には十分すぎるほどの資金が滞留しており、少々のショックには驚かないということなのだろう。また緩和が縮小されても「来年3月までは資金の放出が続く」という指摘もあった。
たしかにFRBは緩和縮小について情報を流し続け、市場を教育してきたと言える。だから株価は下落しなかった。しかし、こうした方法で、インフレを抑制する効果が薄れないのだろうか。かつて各国の中央銀行は金融政策の変更を極秘裏に進め、利上げを突然発表することで心理的な効果をあげた。株価の維持を重要視した今回のFRB流が、はたして物価の抑制に効果を挙げられるのか。新しい注目点である。
≪16日の日経平均 = 上げ +606.60円≫
≪17日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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◇ アメリカでは死亡者が80万人を突破 = 世界の感染者は累計2億7223万人、この1週間で437万人増加した。死亡者は533万0130人、増加数は5万0480人。感染者は前週よりやや増加、死亡者はやや減少した。全体として状況に大きな変化はない。こうしたなかで目立ったのはアメリカ。感染者が累計5000万人、死亡者が80万人を超えた。オミクロン変異株も、31州で確認されている。
アメリカの死亡者は累計80万2511人、この1週間で9083人増加した。次いでブラジルの死亡者は61万人台、インドは47万人台、メキシコは29万人台、ロシアは28万人台。さらにイギリスとインドネシアが14万人台、イタリアとイランが13万人台、フランスが12万人台となっている。このうちイギリスでは感染者が急増したが、死亡者はそれほど増えていない。
感染者数に占める死亡者数の割合を計算してみると、アメリカは1.59%だった。イギリスは1.32%、ブラジルは2.78%、インドネシアは3.37%。韓国は0.83%、日本は1.06%となっている。この差は、ワクチンの接種率を反映したもののようだ。新しいオミクロン変異株による死亡者は、まだイギリスで1例が確認されただけ。オミクロンの感染が拡大すると、死亡率は低下する可能性があるのではないか。
日本の感染者は累計172万9059人、この1週間で984人増加した。この増加数は前週より126人多い。死亡者数は1万8377人で、週間8人の増加だった。3週連続で8人の増加が続いている。コロナ感染の奇跡的な鎮静が持続しているわけだが、海外からの帰国者に由来するオミクロン感染者は50人に。年末年始にかけて水際対策が奏功するかどうか、正念場に差しかかってきた。
≪17日の日経平均 = 下げ -520.64円≫
【今週の日経平均予想 = 4勝1敗】
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アメリカの死亡者は累計80万2511人、この1週間で9083人増加した。次いでブラジルの死亡者は61万人台、インドは47万人台、メキシコは29万人台、ロシアは28万人台。さらにイギリスとインドネシアが14万人台、イタリアとイランが13万人台、フランスが12万人台となっている。このうちイギリスでは感染者が急増したが、死亡者はそれほど増えていない。
感染者数に占める死亡者数の割合を計算してみると、アメリカは1.59%だった。イギリスは1.32%、ブラジルは2.78%、インドネシアは3.37%。韓国は0.83%、日本は1.06%となっている。この差は、ワクチンの接種率を反映したもののようだ。新しいオミクロン変異株による死亡者は、まだイギリスで1例が確認されただけ。オミクロンの感染が拡大すると、死亡率は低下する可能性があるのではないか。
日本の感染者は累計172万9059人、この1週間で984人増加した。この増加数は前週より126人多い。死亡者数は1万8377人で、週間8人の増加だった。3週連続で8人の増加が続いている。コロナ感染の奇跡的な鎮静が持続しているわけだが、海外からの帰国者に由来するオミクロン感染者は50人に。年末年始にかけて水際対策が奏功するかどうか、正念場に差しかかってきた。
≪17日の日経平均 = 下げ -520.64円≫
【今週の日経平均予想 = 4勝1敗】
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◇ 興奮から醒めたニューヨーク市場 = ダウ平均は先週606ドルの値下がり。前週1400ドル近く上げたことの反動安で、異常性はない。市場自体も前週は「利上げは織り込み済み」と興奮気味に買い上げたが、そんな興奮からは醒めたようだ。すると、やっぱり債務を抱え込んだ企業や個人の負担増加や新興国からの資金引き揚げなど、心配すべき利上げの副作用も見えてくる。それにコロナの再拡大も無視できなくなってきた。
日経平均は先週108円の値上がり。ニューヨークの興奮につられて上昇したが、週末には反落した。相変わらず日本経済の先行きが不透明なことから、株価は2万9000円を超えられない。加えて欧米が金融緩和政策の縮小を開始したなかで、日銀はどうするのか。口では「緩和政策を続ける」と言いながら、秘かに縮小しているのではないか。そんな疑念も流れ始めた。
年末に向かって、株価の値動きは荒くなるかもしれない。利上げの副作用に対する警戒感が強まって、売り物がかさむ。すると下値を狙った買い物が入る。こんな展開が多くなるのではないか。ただ利上げが現実化したことで、投資家の心理にも変化を生じているように思われる。それが、どんな形で株価に表われるか。
今週は24日に、11月の消費者物価、企業サービス価格、住宅着工戸数。アメリカでは22日に、7-9月期のGDP確定値、11月の中古住宅販売。23日に、11月の新築住宅販売が発表される。
≪20日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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日経平均は先週108円の値上がり。ニューヨークの興奮につられて上昇したが、週末には反落した。相変わらず日本経済の先行きが不透明なことから、株価は2万9000円を超えられない。加えて欧米が金融緩和政策の縮小を開始したなかで、日銀はどうするのか。口では「緩和政策を続ける」と言いながら、秘かに縮小しているのではないか。そんな疑念も流れ始めた。
年末に向かって、株価の値動きは荒くなるかもしれない。利上げの副作用に対する警戒感が強まって、売り物がかさむ。すると下値を狙った買い物が入る。こんな展開が多くなるのではないか。ただ利上げが現実化したことで、投資家の心理にも変化を生じているように思われる。それが、どんな形で株価に表われるか。
今週は24日に、11月の消費者物価、企業サービス価格、住宅着工戸数。アメリカでは22日に、7-9月期のGDP確定値、11月の中古住宅販売。23日に、11月の新築住宅販売が発表される。
≪20日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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◇ 新興国は通貨防衛に必死 = アメリカの中央銀行であるFRBは先週「量的金融緩和の縮小を来年3月で終了、その後は政策金利の引き上げを実施する」と発表した。この内容を織り込み済みだった株式市場は冷静に受け止めたが、利上げの副作用はこれから出てくる。1つは新興国経済への打撃、もう1つは低格付けの企業・債券に対する悪影響という形で、副作用が現われることは確実だ。
数多くの新興国が、金利の引き上げに踏み切った。12月に入ってからも、ブラジル・メキシコ・チリ・ハンガリーが利上げした。アメリカの金利が上昇すると、新興国へ投資されていた資金がどっとアメリカに還流する。すると新興国の通貨が売られて低落、それだけ輸入価格が上がりインフレになりやすい。しかもドル建ての債務は、自然に膨張してしまう。新興国はこれを防ぐために、続々と金利を引き上げているわけだ。
だが金利を上げれば、景気は悪くなる。だから新興国としては、インフレを防ぐために景気を犠牲にすることになりやすい。たとえばブラジルは政策金利を9.25%に引き上げた。消費者物価の上昇率が、10月で前年比11%にも達したからだ。ところが4-9月期の経済成長率はマイナス。10月以降も、成長率がプラスになる見込みは全くない。苦汁の選択である。
1997年、アメリカの利上げでタイの通貨バーツが急落。これが引き金となって、いわゆるアジア通貨危機が発生した。当時に比べれば、新興国の経済は抵抗力を増している。またIMF(国際通貨基金)などによる支援体制も強化された。したがってアジア通貨危機の二の舞は防げるかもしれない。しかし新興国の景気が悪化すれば、それが先進国の経済にも悪影響を及ぼすことは避けられない。
(続きは明日)
≪20日の日経平均 = 下げ -607.87円≫
≪21日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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数多くの新興国が、金利の引き上げに踏み切った。12月に入ってからも、ブラジル・メキシコ・チリ・ハンガリーが利上げした。アメリカの金利が上昇すると、新興国へ投資されていた資金がどっとアメリカに還流する。すると新興国の通貨が売られて低落、それだけ輸入価格が上がりインフレになりやすい。しかもドル建ての債務は、自然に膨張してしまう。新興国はこれを防ぐために、続々と金利を引き上げているわけだ。
だが金利を上げれば、景気は悪くなる。だから新興国としては、インフレを防ぐために景気を犠牲にすることになりやすい。たとえばブラジルは政策金利を9.25%に引き上げた。消費者物価の上昇率が、10月で前年比11%にも達したからだ。ところが4-9月期の経済成長率はマイナス。10月以降も、成長率がプラスになる見込みは全くない。苦汁の選択である。
1997年、アメリカの利上げでタイの通貨バーツが急落。これが引き金となって、いわゆるアジア通貨危機が発生した。当時に比べれば、新興国の経済は抵抗力を増している。またIMF(国際通貨基金)などによる支援体制も強化された。したがってアジア通貨危機の二の舞は防げるかもしれない。しかし新興国の景気が悪化すれば、それが先進国の経済にも悪影響を及ぼすことは避けられない。
(続きは明日)
≪20日の日経平均 = 下げ -607.87円≫
≪21日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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◇ 信用度の低い債券が売り叩かれる = 金利の上昇は、借金をしている企業や個人の負担を重くする。IMF(国際通貨基金)の調査によると、世界中の政府・企業・個人が背負った債務の総額は、20年で226兆ドル(2京5700兆円)に及ぶ。仮に金利が0.1%上がっただけでも、負担は25兆円増える計算だ。特に低格付けの企業はすでに高い金利を付けた債券を発行しているから、追加の負担増はズシリと重く響く。
さらに優良債券の金利が上昇すると、投資家は信用度の低い債券を売って、優良債券に乗り換える。すると低格付けの債券は暴落する危険性が大きい。08年に起きたリーマン・ショックは、信用度の低い住宅ローン債券が暴落。これを大量に保有していた大手の投資会社リーマン・ブラザースが、倒産したことに端を発した金融恐慌だった。
この経験からも判るように、この種の金融不安に大金融機関が巻き込まれると、騒ぎは大きくなる。そこで各国は金融機関が低格付け債券を保有しないよう、監視を強めている。したがってリーマン・ショックの二の舞が起きる可能性は小さくなった。しかし現実に低格付け債券は無数に発行されており、その実態は必ずしも掴めていない。どこかで火を噴く危険性が、ないとは言えない。
利上げの副作用は、アメリカ発だけとは限らない。イングランド銀行は先週、政策金利を0.1%引き上げ0.25%とした。ECB(ヨーロッパ中央銀行)も、国債などの買い入れ規模を半分に縮小すると発表した。これらの利上げもアメリカと同様、新興国や低格付け債券に悪影響を及ぼす。そうしたなかで、日銀は超緩和政策を継続すると公言する。円安の進行だけではなく、欧米の利上げは日本経済にも思わぬ影響を与えると覚悟しておくべきだろう。
≪21日の日経平均 = 上げ +579.78円≫
≪22日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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さらに優良債券の金利が上昇すると、投資家は信用度の低い債券を売って、優良債券に乗り換える。すると低格付けの債券は暴落する危険性が大きい。08年に起きたリーマン・ショックは、信用度の低い住宅ローン債券が暴落。これを大量に保有していた大手の投資会社リーマン・ブラザースが、倒産したことに端を発した金融恐慌だった。
この経験からも判るように、この種の金融不安に大金融機関が巻き込まれると、騒ぎは大きくなる。そこで各国は金融機関が低格付け債券を保有しないよう、監視を強めている。したがってリーマン・ショックの二の舞が起きる可能性は小さくなった。しかし現実に低格付け債券は無数に発行されており、その実態は必ずしも掴めていない。どこかで火を噴く危険性が、ないとは言えない。
利上げの副作用は、アメリカ発だけとは限らない。イングランド銀行は先週、政策金利を0.1%引き上げ0.25%とした。ECB(ヨーロッパ中央銀行)も、国債などの買い入れ規模を半分に縮小すると発表した。これらの利上げもアメリカと同様、新興国や低格付け債券に悪影響を及ぼす。そうしたなかで、日銀は超緩和政策を継続すると公言する。円安の進行だけではなく、欧米の利上げは日本経済にも思わぬ影響を与えると覚悟しておくべきだろう。
≪21日の日経平均 = 上げ +579.78円≫
≪22日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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◇ ロシア・中国も燃料高の陰の犯人 = 大手電力各社は「来年2月も電気料金を値上げする」と発表した。東京電力の場合、標準家庭で月額7961円、前月より330円高くなる。関西電力は215円の値上げで月額7418円に。これで値上げは6か月連続。ことし1月の料金と比べてみると、東京電力では1644円の値上がりとなった。電気料金は家計支出の約4%を占めており、家計はそれだけ圧迫される。
電気料金の値上げは、火力発電の燃料となる原油とLNG(液化天然ガス)の仕入れ価格が急騰したため。特にLNGの高騰ぶりは異常だ。ヨーロッパでの取引価格は、なんと前年比10倍となっている。これはウクライナ情勢が緊迫し、ロシア産LNGのヨーロッパ向け供給に支障が出始めたことが原因。この支障がロシア政府による意図的なものかどうか、警戒心も強まっているようだ。また中国が石炭不足を補うため、LNGの輸入を急増させたことも一因となっている。
電力各社は冬場の需給ひっ迫を警戒、対策を急いでいる。脱炭素の動きには逆行するが、老朽化し停止していた火力発電所を再稼働させたり、原発の定期検査を延期したり。それでも来年1-2月が厳冬になると、電力の供給不足が生じかねないという。こうした状況のなかで、新電力は6社が経営難に陥った。
電気料金の高騰は家計や企業の支出を増大させ、その分だけ消費や投資を抑制させる。したがって景気にとっても、大きなマイナス要因となる。言い換えれば、これまで燃料の輸入依存度をちっとも減らしてこなかったことの代償だ。この点では、再生可能エネルギーの育成に失敗し、原発政策を疎かにしてきた政府の責任でもあるわけだ。
≪22日の日経平均 = 上げ +44.62円≫
≪23日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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電気料金の値上げは、火力発電の燃料となる原油とLNG(液化天然ガス)の仕入れ価格が急騰したため。特にLNGの高騰ぶりは異常だ。ヨーロッパでの取引価格は、なんと前年比10倍となっている。これはウクライナ情勢が緊迫し、ロシア産LNGのヨーロッパ向け供給に支障が出始めたことが原因。この支障がロシア政府による意図的なものかどうか、警戒心も強まっているようだ。また中国が石炭不足を補うため、LNGの輸入を急増させたことも一因となっている。
電力各社は冬場の需給ひっ迫を警戒、対策を急いでいる。脱炭素の動きには逆行するが、老朽化し停止していた火力発電所を再稼働させたり、原発の定期検査を延期したり。それでも来年1-2月が厳冬になると、電力の供給不足が生じかねないという。こうした状況のなかで、新電力は6社が経営難に陥った。
電気料金の高騰は家計や企業の支出を増大させ、その分だけ消費や投資を抑制させる。したがって景気にとっても、大きなマイナス要因となる。言い換えれば、これまで燃料の輸入依存度をちっとも減らしてこなかったことの代償だ。この点では、再生可能エネルギーの育成に失敗し、原発政策を疎かにしてきた政府の責任でもあるわけだ。
≪22日の日経平均 = 上げ +44.62円≫
≪23日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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◇ 日本をどんな国にしようとしているのか = 臨時国会が終わった。読売新聞の集計によると、衆参両院で開かれた予算委員会の審議時間は合計約33時間。そのうち「新しい資本主義」に関する質疑は約2時間だった。あとはコロナ対策や10万円の給付金、あるいは安全保障問題などに使われたという。その「新しい資本主義」も、大部分は介護師などの賃金引き上げに終始。要するに「日本経済の将来ビジョン」に関する発言は、全く聞かれなかった。
たとえば過去30年にわたって、賃金が上がらない。それを是正するために「賃上げをした企業の法人税を下げる」という。だが、それで3年後、5年後の賃金水準がどうなるかという議論はない。岸田首相の「令和所得倍増論」も、いつの間にか消えてしまった。中間層の所得が増えないのに、高所得者の収入は急増している。このため貧富の格差は広がったが、それを是正しようという議論も消え失せた。
臨時国会では、総額36兆円にのぼる過去最大の補正予算が成立した。しかし内容はコロナ対策、GO TO トラベル、10万円の給付金など、当面の対策に終始している。唯一、半導体の国内生産拠点確保に6170億円が計上されているが、これも現在の半導体不足への対応。将来を見据えた長期戦略の一環とは、とうてい考えられない。
世界は脱炭素の方向に、急速に動いている。だが日本は火力発電の比重を下げられない。そんな電力を使っていて、EV(電気自動車)の競争に勝てるのか。電機も半導体も自動車も競争に負けたら、日本は何で食って行くのか。日本の将来について、多くの国民が心配している。それなのに、いまの政治家は与野党ともに‟将来”を議論しない。当面の問題が山積みなのは判るが、だからと言って長期計画を考えられないということはないだろう。
≪23日の日経平均 = 上げ +236.16円≫
≪24日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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たとえば過去30年にわたって、賃金が上がらない。それを是正するために「賃上げをした企業の法人税を下げる」という。だが、それで3年後、5年後の賃金水準がどうなるかという議論はない。岸田首相の「令和所得倍増論」も、いつの間にか消えてしまった。中間層の所得が増えないのに、高所得者の収入は急増している。このため貧富の格差は広がったが、それを是正しようという議論も消え失せた。
臨時国会では、総額36兆円にのぼる過去最大の補正予算が成立した。しかし内容はコロナ対策、GO TO トラベル、10万円の給付金など、当面の対策に終始している。唯一、半導体の国内生産拠点確保に6170億円が計上されているが、これも現在の半導体不足への対応。将来を見据えた長期戦略の一環とは、とうてい考えられない。
世界は脱炭素の方向に、急速に動いている。だが日本は火力発電の比重を下げられない。そんな電力を使っていて、EV(電気自動車)の競争に勝てるのか。電機も半導体も自動車も競争に負けたら、日本は何で食って行くのか。日本の将来について、多くの国民が心配している。それなのに、いまの政治家は与野党ともに‟将来”を議論しない。当面の問題が山積みなのは判るが、だからと言って長期計画を考えられないということはないだろう。
≪23日の日経平均 = 上げ +236.16円≫
≪24日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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◇ クリスマスが妨げる規制強化 = 世界の感染者は累計2億7717万人、この1週間で494万人増加した。死亡者は537万7435人で、増加数は4万7305人。感染者の増加数は前週より57万人増えて、5月中旬以来の多さとなっている。一方、死亡者の増加数は10月半ば以来の少なさとなった。オミクロン変異株の拡大によって感染者は増加したが、死亡者は縮小したと考えられる。感染者はアメリカとロシア、ヨーロッパで急増した。
アメリカでは新規感染者が1日12万人を超え、その7割がオミクロン株となっている。イギリスでもオミクロン株が驚異的なペースで拡大、感染者の6割がオミクロン株。またフランスでは1日9万人、ドイツでは5万人が感染している。ただ死亡者の増加数は、それほど拡大していない。このため各国政府は、クリスマスまでは規制の強化を手控えているようだ。新年になると、一斉に規制強化が始まる可能性が強い。
国別の死亡者数をみると、アメリカは累計81万2069人。この1週間で9558人増えた。ブラジルは61万人台、インドは47万人台、メキシコとロシアは29万人台。さらにイギリスとインドネシアが14万人台、イタリアとイランが13万人台、フランスが12万人台と続く。これら諸国のうち、ブラジル・インド・インドネシアなど、新興国では死亡者数が減少傾向にある。
日本の感染者は累計173万0571人、この1週間で1512人増加した。この増加数は10月末以来の多さとなっている。死亡者は1万8384人で、週間7人の増加にとどまった。しかしオミクロン株の市中感染も出始めており、専門家は今後の急増を警戒している。したがって対策を急ぐべき局面だが、日本政府も正月までは規制強化に乗り出さないようだ。
≪24日の日経平均 = 下げ -15.78円≫
【今週の日経平均予想 = 3勝2敗】
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アメリカでは新規感染者が1日12万人を超え、その7割がオミクロン株となっている。イギリスでもオミクロン株が驚異的なペースで拡大、感染者の6割がオミクロン株。またフランスでは1日9万人、ドイツでは5万人が感染している。ただ死亡者の増加数は、それほど拡大していない。このため各国政府は、クリスマスまでは規制の強化を手控えているようだ。新年になると、一斉に規制強化が始まる可能性が強い。
国別の死亡者数をみると、アメリカは累計81万2069人。この1週間で9558人増えた。ブラジルは61万人台、インドは47万人台、メキシコとロシアは29万人台。さらにイギリスとインドネシアが14万人台、イタリアとイランが13万人台、フランスが12万人台と続く。これら諸国のうち、ブラジル・インド・インドネシアなど、新興国では死亡者数が減少傾向にある。
日本の感染者は累計173万0571人、この1週間で1512人増加した。この増加数は10月末以来の多さとなっている。死亡者は1万8384人で、週間7人の増加にとどまった。しかしオミクロン株の市中感染も出始めており、専門家は今後の急増を警戒している。したがって対策を急ぐべき局面だが、日本政府も正月までは規制強化に乗り出さないようだ。
≪24日の日経平均 = 下げ -15.78円≫
【今週の日経平均予想 = 3勝2敗】
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◇ 市場は早々に休みムード = ダウ平均は先週585ドルの値上がり。中国が利下げしたというニュースで、週初は400ドル以上の下げ。しかし、あくる日には500ドル以上も反発した。なにしろニューヨーク市場の待機資金であるMMFは4兆6360億ドル(530兆円)もあるから、株価が下がればすぐ出動する。ただし株価の乱高下はここまでで、市場は週の後半から休みムードに入ったようだ。
日経平均は先週237円の値上がり。ニューヨークと同様、月曜日は600円以上下げたが、火曜日は600円近く戻している。その後はやはり休みムード、出来高もぐっと縮小した。そのせいか、総額107兆円を超える来年度予算案が編成されても、来年度の予想成長率が3.2%に上方修正されても、株価は反応しなかった。
ウオール街では、新年の株高スタートを期待する声も強い。多くのファンドが戦略を見直し、株を買ってくるというのが根拠のようだ。しかし世界にオミクロン株が拡大し、各国政府は新年早々にも規制を強化することになりそうだ。そういう状況で、積極的に買えるかどうか。投資家は正月休みのうちに、じっくり考えることになるだろう。
今週は27日に、11月の商業動態統計。28日に、11月の労働力調査と鉱工業生産。アメリカでは28日に、10月のFHFA住宅価格。29日に、11月の中古住宅販売。また中国が31日に、12月の製造業と非製造業のPMIを発表する。なお30日は大納会。1月1日には、RCEP(東アジア地域包括経済連携協定)が発効する。
≪27日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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日経平均は先週237円の値上がり。ニューヨークと同様、月曜日は600円以上下げたが、火曜日は600円近く戻している。その後はやはり休みムード、出来高もぐっと縮小した。そのせいか、総額107兆円を超える来年度予算案が編成されても、来年度の予想成長率が3.2%に上方修正されても、株価は反応しなかった。
ウオール街では、新年の株高スタートを期待する声も強い。多くのファンドが戦略を見直し、株を買ってくるというのが根拠のようだ。しかし世界にオミクロン株が拡大し、各国政府は新年早々にも規制を強化することになりそうだ。そういう状況で、積極的に買えるかどうか。投資家は正月休みのうちに、じっくり考えることになるだろう。
今週は27日に、11月の商業動態統計。28日に、11月の労働力調査と鉱工業生産。アメリカでは28日に、10月のFHFA住宅価格。29日に、11月の中古住宅販売。また中国が31日に、12月の製造業と非製造業のPMIを発表する。なお30日は大納会。1月1日には、RCEP(東アジア地域包括経済連携協定)が発効する。
≪27日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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◇ 経済成長を促す火種が見当たらない = 来年度予算の歳出規模は107兆5964億円、本年度の当初予算より1兆円ほど膨れ上がった。もちろん過去最大の金額。しかし予算案の内容をみると、いくつかの弱点が見付かる。その1つは、日本経済が長期的に元気を取り戻すための施策が見当たらないこと。たしかにコロナ対策など当面の施策も重要だが、これでは日本経済の将来像が少しも描けない。
予算案を費目別にみると、最も金額が大きいのは社会保障費で36兆2735億円。本年度より4400億円増えた。次は国債費で24兆3393億円、本年度より5808億円増えている。この2費目だけで約60兆円、全体の57%を占めた。あとは地方交付税交付金が15兆8825億円、公共事業費が6兆0575億円、文教・科学振興費が5兆3901億円、防衛費が5兆3687億円。それにコロナ対策の予備費として5兆円が計上された。
問題は科学振興費1兆3788億円の内容。新規事業分は4300億円程度しかなく、たとえば5Gの研究開発には100億円、デジタル田園都市構想には1000億円という具合で、みな小粒。脱炭素に向けた再生可能エネルギーや原発はどうなるのか、EV(電気自動車)やFCV(水素燃料電池車)の開発・普及は。半導体やロボットの研究開発は・・・何もわからない。
社会保障費の自然増などで、予算編成に余裕がないことは確かだ。しかし、これだけの財政支出をして、来年度の経済成長率が多少上向くだけというのでは、夢がなさすぎる。たとえば再生可能エネルギーを普及させるための電池、EV用の電池、FCV用の水素燃料電池・・・あらゆる電池の研究開発費に3兆円を使うという項目があれば、日本は電池の分野で世界一を目指す姿勢が明示される。こうした目標が示されれば、国民も夢を持てただろう。
(続きは明日)
≪27日の日経平均 = 下げ -106.13円≫
≪28日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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予算案を費目別にみると、最も金額が大きいのは社会保障費で36兆2735億円。本年度より4400億円増えた。次は国債費で24兆3393億円、本年度より5808億円増えている。この2費目だけで約60兆円、全体の57%を占めた。あとは地方交付税交付金が15兆8825億円、公共事業費が6兆0575億円、文教・科学振興費が5兆3901億円、防衛費が5兆3687億円。それにコロナ対策の予備費として5兆円が計上された。
問題は科学振興費1兆3788億円の内容。新規事業分は4300億円程度しかなく、たとえば5Gの研究開発には100億円、デジタル田園都市構想には1000億円という具合で、みな小粒。脱炭素に向けた再生可能エネルギーや原発はどうなるのか、EV(電気自動車)やFCV(水素燃料電池車)の開発・普及は。半導体やロボットの研究開発は・・・何もわからない。
社会保障費の自然増などで、予算編成に余裕がないことは確かだ。しかし、これだけの財政支出をして、来年度の経済成長率が多少上向くだけというのでは、夢がなさすぎる。たとえば再生可能エネルギーを普及させるための電池、EV用の電池、FCV用の水素燃料電池・・・あらゆる電池の研究開発費に3兆円を使うという項目があれば、日本は電池の分野で世界一を目指す姿勢が明示される。こうした目標が示されれば、国民も夢を持てただろう。
(続きは明日)
≪27日の日経平均 = 下げ -106.13円≫
≪28日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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◇ 税収見積もりと国債費にも危うさ = 22年度予算案で、政府は税収総額を65兆2350億円と見積もった。21年度当初予算の見積もりより7兆7870億円も多い。コロナ収束後の景気回復と大型の財政支出で、達成は可能だと説明している。また、その理論的根拠として、来年度の名目成長率が3.6%になるという試算を公表した。しかし日本はこの10年間、そんなに高い成長を遂げたことはない。本当に大丈夫なのだろうか。
成長する項目として、政府は個人消費が4.0%、企業の設備投資が5.1%増加すると試算した。だが、その大前提はコロナが収束することにある。また1人10万円などの支給金が、貯蓄に回らず消費に使われなければならない。その実現性は危ういのではないか。むしろ目いっぱいの税収が見込めるように、成長率を無理して高く見積もった感じさえする。
22年度予算では、新規国債を36兆9260億円発行する。国債発行残高は来年3月末には990兆円になる見込み。したがって発行残高は、間もなく1000兆円を突破する。その利子を支払うため、予算案では24兆3393億円もの国債費を計上した。だが、これは金利水準が大幅に上昇しないことを前提としている。
アメリカの中央銀行であるFRBは、来年4月には政策金利の引き上げを開始する予定だ。日本では日銀が国債を買い続ければ、金利の上昇を抑えられるかもしれない。しかし、その場合は円安が進行する。日本でも金利が上がれば、国債の利子負担が増大することは避けられない。仮に金利が1%上がれば、利子負担は10兆円も増加する。国債費が不足する可能性は大きく、ここにも危うさが存在する。
≪28日の日経平均 = 上げ +392.70円≫
≪29日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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成長する項目として、政府は個人消費が4.0%、企業の設備投資が5.1%増加すると試算した。だが、その大前提はコロナが収束することにある。また1人10万円などの支給金が、貯蓄に回らず消費に使われなければならない。その実現性は危ういのではないか。むしろ目いっぱいの税収が見込めるように、成長率を無理して高く見積もった感じさえする。
22年度予算では、新規国債を36兆9260億円発行する。国債発行残高は来年3月末には990兆円になる見込み。したがって発行残高は、間もなく1000兆円を突破する。その利子を支払うため、予算案では24兆3393億円もの国債費を計上した。だが、これは金利水準が大幅に上昇しないことを前提としている。
アメリカの中央銀行であるFRBは、来年4月には政策金利の引き上げを開始する予定だ。日本では日銀が国債を買い続ければ、金利の上昇を抑えられるかもしれない。しかし、その場合は円安が進行する。日本でも金利が上がれば、国債の利子負担が増大することは避けられない。仮に金利が1%上がれば、利子負担は10兆円も増加する。国債費が不足する可能性は大きく、ここにも危うさが存在する。
≪28日の日経平均 = 上げ +392.70円≫
≪29日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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◇ 価格転嫁できない企業も多い = 総務省の発表によると、11月の消費者物価は生鮮食品を除いた総合指数で前年比0.5%の上昇だった。この上昇幅は1年9か月ぶりの大きさ。ガソリンの小売価格が27.1%、電気料金が10.7%上昇したほか、生鮮食品を除いた食料も1.1%上昇した。ただ携帯電話の通信料が53.6%も下がっており、この影響を取り除くと物価の上昇率は2%をやや超える。
日銀の集計によると、11月の企業物価は前年比9.0%の上昇だった。この上昇率は、石油ショック後の1980年12月以来41年ぶりの大きさ。企業物価というのは、企業の間で取引されるモノの価格。ことし3月から9か月連続して上昇しており、この数字からみる限り企業段階ではインフレ状態に入ったと言えるだろう。
消費者物価も企業物価も、上昇した主たる原因は、輸入品の価格高騰。エネルギーの国際価格が急騰したことと円安の進行で、輸入品の価格が上昇した。11月の輸入物価は前年比44.3%も上昇している。たとえば石油・石炭・天然ガスは128.4%、木材・木製品・林産物は81,4%の上昇だった。したがって企業段階を襲った価格高騰は、輸入インフレと断定できる。性格的には、あの狂乱物価を惹き起こした石油ショックと同じだ。
当時と違うのは、価格高騰の程度が小さいこと。それに小売り段階への波及が遅れていることだろう。11月の数字をみても、企業物価は9%も上昇しているのに、消費者物価は0.5%しか上昇していない。これは最終段階での消費需要が弱いため。小売り業は値上げすると売り上げが落ちる心配があるので、なかなか価格転嫁に踏み切れずにいるわけだ。ただし生活に絶対必要なガソリン、電気代、食料品の一部などは、転嫁に成功している。
≪29日の日経平均 = 下げ -162.28円≫
≪30日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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日銀の集計によると、11月の企業物価は前年比9.0%の上昇だった。この上昇率は、石油ショック後の1980年12月以来41年ぶりの大きさ。企業物価というのは、企業の間で取引されるモノの価格。ことし3月から9か月連続して上昇しており、この数字からみる限り企業段階ではインフレ状態に入ったと言えるだろう。
消費者物価も企業物価も、上昇した主たる原因は、輸入品の価格高騰。エネルギーの国際価格が急騰したことと円安の進行で、輸入品の価格が上昇した。11月の輸入物価は前年比44.3%も上昇している。たとえば石油・石炭・天然ガスは128.4%、木材・木製品・林産物は81,4%の上昇だった。したがって企業段階を襲った価格高騰は、輸入インフレと断定できる。性格的には、あの狂乱物価を惹き起こした石油ショックと同じだ。
当時と違うのは、価格高騰の程度が小さいこと。それに小売り段階への波及が遅れていることだろう。11月の数字をみても、企業物価は9%も上昇しているのに、消費者物価は0.5%しか上昇していない。これは最終段階での消費需要が弱いため。小売り業は値上げすると売り上げが落ちる心配があるので、なかなか価格転嫁に踏み切れずにいるわけだ。ただし生活に絶対必要なガソリン、電気代、食料品の一部などは、転嫁に成功している。
≪29日の日経平均 = 下げ -162.28円≫
≪30日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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◇ 日経平均は年間1347円の上昇だった = 日経平均は今週9円の値上がり。海外投資家はお休みムード、薄商いのなか21年の商いを終えた。終り値は2万8792円。年間1347円の値上がりで、上昇率は4.9%だった。世界の株式市場を眺めてみると、29日の時点でダウ平均の年初来上昇率は19.99%、ドイツのDAX指数は15.55%、中国の上海総合指数は6.18%。こうした比較からみて、日本株は‟独り負け”ではないにしても、‟負け組”に入ったと言えるだろう。
‟一人勝ち”の様相を呈したのはアメリカ株。ダウ平均・SP500・ナスダックともに、史上最高値を更新した。強大な資金吸収力を発揮して、コロナやFRBによる金融緩和政策の縮小、さらには米中間の経済摩擦、エネルギー価格の高騰、異常気象などの障害を乗り越えて続伸した。悪材料が出て株価が下がっても、すぐに大量の買いが入って大幅に上げる。そんな繰り返しの1年だった。
日経平均も何回か3万円の大台に乗せている。特に9月中旬には3万0670円まで上昇した。しかし、その後は力強さに欠け、最後は2万9000円を割り込んで終わった。アメリカに比べると、日本のコロナ禍ははるかに軽微だと言えるだろう。にもかかわらず、株価の上昇率は小さかった。岸田新内閣の大型財政支出が実現しても、株価は上がらなかった。なぜだろう。
少子高齢化ガ進み、人口が減る。日本の潜在成長力が低下しつつあることは確かだ。しかし、そうしたなかで日本がどのようにして成長率を高めようとしているのか。日本経済の将来像を、どのように描いているのか。そこが判然としない。いま日本株の7割近くは、外国人投資家が買っている。その不安が、海外投資家の日本株離れを惹き起こしているのではないか。
≪30日の日経平均 = 下げ -115.17円≫
【今週の日経平均予想 = 4勝0敗】
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‟一人勝ち”の様相を呈したのはアメリカ株。ダウ平均・SP500・ナスダックともに、史上最高値を更新した。強大な資金吸収力を発揮して、コロナやFRBによる金融緩和政策の縮小、さらには米中間の経済摩擦、エネルギー価格の高騰、異常気象などの障害を乗り越えて続伸した。悪材料が出て株価が下がっても、すぐに大量の買いが入って大幅に上げる。そんな繰り返しの1年だった。
日経平均も何回か3万円の大台に乗せている。特に9月中旬には3万0670円まで上昇した。しかし、その後は力強さに欠け、最後は2万9000円を割り込んで終わった。アメリカに比べると、日本のコロナ禍ははるかに軽微だと言えるだろう。にもかかわらず、株価の上昇率は小さかった。岸田新内閣の大型財政支出が実現しても、株価は上がらなかった。なぜだろう。
少子高齢化ガ進み、人口が減る。日本の潜在成長力が低下しつつあることは確かだ。しかし、そうしたなかで日本がどのようにして成長率を高めようとしているのか。日本経済の将来像を、どのように描いているのか。そこが判然としない。いま日本株の7割近くは、外国人投資家が買っている。その不安が、海外投資家の日本株離れを惹き起こしているのではないか。
≪30日の日経平均 = 下げ -115.17円≫
【今週の日経平均予想 = 4勝0敗】
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