◇ 先が見えない東京市場 = ダウ平均は先週143ドルの値上がり。終り値は3万5820ドルで、またまた史上最高値を更新した。この結果、10月中では2000ドル近く上昇している。7-9月期のGDP成長率が2.0%に急降下したが、市場は全く気にしない。コロナ規制の緩和と政府の積極財政で、10月以降は景気が急回復。企業の業績もさらに上向くという期待が広がっている。
日経平均は先週88円の値上がり。しかし終り値は2万9000円に届かなかった。10月中では559円の下落となっている。原油や資源の高騰、中国経済の不安定、生産の大幅な低下などが不安材料となった。また総選挙で自民・公明の与党が勝ったとしても、公約の大半はバラマキになりそう。7-9月期のGDP成長率はマイナスになる可能性が大きく、成長戦略に乏しいから先が読めない。
いよいよ11月入り。FRBは金融緩和の縮小を決めそうだが、実際に決定されたとき市場はどう受け止めるのだろうか。また原油や資源の価格が、まだ上がり続けるのか。こうした不安材料に、ニューヨーク市場はどう対応するのか。さらに東京市場の場合は、円相場の動きも無視できない。政局の安定性も気になるところ。なんとなく11月は波乱含みのような気がする。
今週は1日に、10月の新車販売。5日に、9月の家計調査。アメリカでは1日に、ISM製造業景況指数。3日に、ISM非製造業景況指数。4日に、9月の貿易統計。5日に、10月の雇用統計。また中国が7日に、10月の貿易統計を発表する。なお3日に、パウエルFRB議長が会見、金融緩和政策の縮小を発表する予定。
≪1日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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日経平均は先週88円の値上がり。しかし終り値は2万9000円に届かなかった。10月中では559円の下落となっている。原油や資源の高騰、中国経済の不安定、生産の大幅な低下などが不安材料となった。また総選挙で自民・公明の与党が勝ったとしても、公約の大半はバラマキになりそう。7-9月期のGDP成長率はマイナスになる可能性が大きく、成長戦略に乏しいから先が読めない。
いよいよ11月入り。FRBは金融緩和の縮小を決めそうだが、実際に決定されたとき市場はどう受け止めるのだろうか。また原油や資源の価格が、まだ上がり続けるのか。こうした不安材料に、ニューヨーク市場はどう対応するのか。さらに東京市場の場合は、円相場の動きも無視できない。政局の安定性も気になるところ。なんとなく11月は波乱含みのような気がする。
今週は1日に、10月の新車販売。5日に、9月の家計調査。アメリカでは1日に、ISM製造業景況指数。3日に、ISM非製造業景況指数。4日に、9月の貿易統計。5日に、10月の雇用統計。また中国が7日に、10月の貿易統計を発表する。なお3日に、パウエルFRB議長が会見、金融緩和政策の縮小を発表する予定。
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◇ バラマキは止めて‟選択と集中”を = 自民党は単独過半数を維持したが、選挙前よりは議席数を減らした。健闘した理由は、野党が無茶苦茶な選挙協力を結んだこと、それにコロナが急速に収まったことだろう。このコロナ鎮静は菅前政権の功績であって、岸田政権とは関係がない。一方、自民党が議席を減らした理由は、公約した経済政策の内容が不鮮明で、有権者が前向きな判断を下せなかったことにある。
岸田首相は経済問題に関して、3つのキャッチフレーズを連発した。「新しい資本主義」「分配も成長も」「令和所得倍増」である。だが、その内容は最後まではっきりしなかった。このうち「新しい資本主義」については、賃上げを実施した企業の法人税を軽減すると表明した。だが賃上げ分のどれだけを政府が負担するのか。その程度も方法論も全く説明していない。だから評価は不可能だ。
「分配も成長も」については、看護師・保育師・介護師の給料を上げると言っている。その方向は正しいが、これで分配→成長の好循環が始まることは全く考えられない。やはり初めに成長がなければ、分配は出来ない。この点は政府もはっきりと認識する必要があるだろう。そこで成長戦略とも言える「令和所得倍増」が、重要な施策となってくる。
ただ、その内容についての公約は「デジタル、AI、半導体、EV、ロボット、電磁波、量子、水素、アニメ、ゲーム・・・」の研究開発を促進するというもの。思いついた事項を羅列しただけである。これでは日本の将来像が全く浮かんでこない。岸田首相が属する宏池会を創設した所得倍増計画の元祖・池田元首相は、1960年代の日本経済の姿を具体的に描き出した。そして少なかったカネと資源を集中的に使っている。岸田首相も‟選択と集中”を実践しなければ、すぐに行き詰まるだろう。
≪1日の日経平均 = 上げ +754.39円≫
≪2日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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岸田首相は経済問題に関して、3つのキャッチフレーズを連発した。「新しい資本主義」「分配も成長も」「令和所得倍増」である。だが、その内容は最後まではっきりしなかった。このうち「新しい資本主義」については、賃上げを実施した企業の法人税を軽減すると表明した。だが賃上げ分のどれだけを政府が負担するのか。その程度も方法論も全く説明していない。だから評価は不可能だ。
「分配も成長も」については、看護師・保育師・介護師の給料を上げると言っている。その方向は正しいが、これで分配→成長の好循環が始まることは全く考えられない。やはり初めに成長がなければ、分配は出来ない。この点は政府もはっきりと認識する必要があるだろう。そこで成長戦略とも言える「令和所得倍増」が、重要な施策となってくる。
ただ、その内容についての公約は「デジタル、AI、半導体、EV、ロボット、電磁波、量子、水素、アニメ、ゲーム・・・」の研究開発を促進するというもの。思いついた事項を羅列しただけである。これでは日本の将来像が全く浮かんでこない。岸田首相が属する宏池会を創設した所得倍増計画の元祖・池田元首相は、1960年代の日本経済の姿を具体的に描き出した。そして少なかったカネと資源を集中的に使っている。岸田首相も‟選択と集中”を実践しなければ、すぐに行き詰まるだろう。
≪1日の日経平均 = 上げ +754.39円≫
≪2日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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◇ ゼロ金利政策の正当化に終始 = 日銀は先週、10月の「経済・物価情勢の展望リポート」を発表した。前回7月のリポートに比べると、21年度はGDP成長率も物価上昇率も低下すると予測したことが特徴。景気の先行きには、きわめて慎重な判断を下したことになる。その理由として、日銀はコロナ拡大に伴う生産活動の停滞と、原油や原材料の価格上昇を挙げた。
21年度のGDP成長率について、7月のリポートでは3.8%と予測していた。それを今回は3.4%に引き下げている。政府は10月から緊急事態宣言などの規制を解除、経済活動は正常化に向けて大きく動き出した。したがって下半期の成長率は、かなり大幅に上向くと期待されている。にもかかわらず、日銀は年度全体の予測値を引き下げた。
21年度の物価上昇率について、7月のリポートでは0.4%と予測していた。それを今回は0%、つまり物価は全く上がらない予測に修正した。しかし現実には、原油や原材料の価格が高騰。9月の企業物価は6.3%も上昇、13年ぶりの高さとなっている。にもかかわらず消費者物価が全く上がらないということは、卸売り段階の値上がりを転嫁できない状態になると予測しているわけだ。多くの企業が経営難に陥るだろう。
成長率が下がり、物価は上がらない。だからゼロ金利に象徴される現在の超緩和政策、その継続が必要だと日銀は言いたいわけだ。全く自己中心的なリポートと言うしかない。逆に言うと、日銀としては成長率が急上昇したり、物価が急騰することは困るわけだ。そうなれば、ゼロ金利政策を続ける理論的根拠が消滅してしまうからである。
≪2日の日経平均 = 下げ -126.18円≫
≪4日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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21年度のGDP成長率について、7月のリポートでは3.8%と予測していた。それを今回は3.4%に引き下げている。政府は10月から緊急事態宣言などの規制を解除、経済活動は正常化に向けて大きく動き出した。したがって下半期の成長率は、かなり大幅に上向くと期待されている。にもかかわらず、日銀は年度全体の予測値を引き下げた。
21年度の物価上昇率について、7月のリポートでは0.4%と予測していた。それを今回は0%、つまり物価は全く上がらない予測に修正した。しかし現実には、原油や原材料の価格が高騰。9月の企業物価は6.3%も上昇、13年ぶりの高さとなっている。にもかかわらず消費者物価が全く上がらないということは、卸売り段階の値上がりを転嫁できない状態になると予測しているわけだ。多くの企業が経営難に陥るだろう。
成長率が下がり、物価は上がらない。だからゼロ金利に象徴される現在の超緩和政策、その継続が必要だと日銀は言いたいわけだ。全く自己中心的なリポートと言うしかない。逆に言うと、日銀としては成長率が急上昇したり、物価が急騰することは困るわけだ。そうなれば、ゼロ金利政策を続ける理論的根拠が消滅してしまうからである。
≪2日の日経平均 = 下げ -126.18円≫
≪4日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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◇ 太陽光発電に5兆円の予算を = 岸田首相は「数十兆円規模の経済対策を今月中旬には作成、補正予算を年内に成立させる」と明言した。どんな内容になるか楽しみだが、ぜひ取り入れてもらいたい案件がある。それは太陽光発電の発展・普及に総力を挙げる政策。補正予算に5兆円を計上して、キシダノミックスの中核に据えてほしい。その効用は、一石六鳥である。
具体的には、太陽光パネルの研究開発・パネルの設置促進・蓄電池の研究開発・送電線の整備。--いま日本の太陽光発電は、コストが高いために伸び悩んでいる。政府が財政資金を投じ、パネルと電池の効率を大幅に高める。また公共施設や民間のビル・住宅、さらには鉄道や道路などにもパネルを敷き詰める。そして必要な送電線の整備も、政府が手助けする。
こうして太陽光発電の飛躍的な増加を目指す。政府は新しく策定したエネルギー基本計画で、30年度の再生可能エネルギー発電を現在の2倍に増やす方針だが、その実現性については内外から疑問視されている。それが太陽光を最重視する政策で、不安を払拭できるだろう。これが第1の効用。もし2倍以上に増やせれば、それだけ温室効果ガスの排出を余計に減らせる。これが第2の効用。
その結果、石油やLNGの輸入が減れば、その分だけ購買力が国内にとどまる。太陽光関連への財政支出増と相まって、景気を浮揚する力となる。これが第3の効用。そのうえ太陽光関連技術が、将来は輸出できる。これが第4。さらに脱炭素に対する日本の姿勢を世界に明示できる。これが第5。最後にキシダノミックスのバラマキ性を薄めることができる。一石六鳥なのである。
≪4日の日経平均 = 上げ +273.47円≫
≪5日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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具体的には、太陽光パネルの研究開発・パネルの設置促進・蓄電池の研究開発・送電線の整備。--いま日本の太陽光発電は、コストが高いために伸び悩んでいる。政府が財政資金を投じ、パネルと電池の効率を大幅に高める。また公共施設や民間のビル・住宅、さらには鉄道や道路などにもパネルを敷き詰める。そして必要な送電線の整備も、政府が手助けする。
こうして太陽光発電の飛躍的な増加を目指す。政府は新しく策定したエネルギー基本計画で、30年度の再生可能エネルギー発電を現在の2倍に増やす方針だが、その実現性については内外から疑問視されている。それが太陽光を最重視する政策で、不安を払拭できるだろう。これが第1の効用。もし2倍以上に増やせれば、それだけ温室効果ガスの排出を余計に減らせる。これが第2の効用。
その結果、石油やLNGの輸入が減れば、その分だけ購買力が国内にとどまる。太陽光関連への財政支出増と相まって、景気を浮揚する力となる。これが第3の効用。そのうえ太陽光関連技術が、将来は輸出できる。これが第4。さらに脱炭素に対する日本の姿勢を世界に明示できる。これが第5。最後にキシダノミックスのバラマキ性を薄めることができる。一石六鳥なのである。
≪4日の日経平均 = 上げ +273.47円≫
≪5日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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◇ ウイルス自殺説は本当なのか = 世界の感染者は累計2億4812万人。この1週間で310万人増加した。死亡者は502万2162人で4万9431人の増加。感染者の増加数は4週間ぶりに300万人を超え、10月以降はやや増加の傾向を強めている。また死亡者の増加数は前週とあまり変わらなかったが、累計は500万人台に乗せた。ロシアと東欧諸国、イギリス、中国、韓国などで悪化している。
アメリカの死亡者は累計75万人台に。この1週間で9193人増えたが、前週に続いて1万人を割った。ブラジルの死亡者は累計が60万人台、インドは45万人台、メキシコは28万人台。あとロシアが23万人台、インドネシアとイギリスが14万人台、イタリアが13万人台、イランが12万人台、フランスが11万人台と続いている。このうち8月には週間1万人を超えていたインドネシアが、この1週間は167人にまで減少したのが目立っている。
日本の感染者は累計172万3249人。この1週間で5593人増加した。死亡者は1万8294人で58人の増加。感染者の増加数が拡大したのは東京都の集計ミスを修正したためで、増加数の縮小はまだ続いている。一方、死亡者の増加数は9月上旬の週間433人から、8週連続で縮小した。ここまでは劇的な改善を実現してきたが、冬を控えてどう推移するのか。
日本でコロナ流行の勢いが急停止したことについて、ワクチン接種が進んだ結果だとみる人が多い。だが日本より接種率が高い韓国での再拡大、接種率が低いインドネシアでの急速な鎮静化をどう説明できるのか。またウイルスの自殺説も紹介されているが、なぜ日本やインドネシアのウイルスだけが自殺するのか。要するに真相はまだ不明。世界的には勢いを強めつつあるので、日本も安心は禁物だろう。
≪5日の日経平均 = 下げ -182.80円≫
【今週の日経平均予想 = 4勝0敗】
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アメリカの死亡者は累計75万人台に。この1週間で9193人増えたが、前週に続いて1万人を割った。ブラジルの死亡者は累計が60万人台、インドは45万人台、メキシコは28万人台。あとロシアが23万人台、インドネシアとイギリスが14万人台、イタリアが13万人台、イランが12万人台、フランスが11万人台と続いている。このうち8月には週間1万人を超えていたインドネシアが、この1週間は167人にまで減少したのが目立っている。
日本の感染者は累計172万3249人。この1週間で5593人増加した。死亡者は1万8294人で58人の増加。感染者の増加数が拡大したのは東京都の集計ミスを修正したためで、増加数の縮小はまだ続いている。一方、死亡者の増加数は9月上旬の週間433人から、8週連続で縮小した。ここまでは劇的な改善を実現してきたが、冬を控えてどう推移するのか。
日本でコロナ流行の勢いが急停止したことについて、ワクチン接種が進んだ結果だとみる人が多い。だが日本より接種率が高い韓国での再拡大、接種率が低いインドネシアでの急速な鎮静化をどう説明できるのか。またウイルスの自殺説も紹介されているが、なぜ日本やインドネシアのウイルスだけが自殺するのか。要するに真相はまだ不明。世界的には勢いを強めつつあるので、日本も安心は禁物だろう。
≪5日の日経平均 = 下げ -182.80円≫
【今週の日経平均予想 = 4勝0敗】
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◇ 怖いもの知らずのNY市場 = ニューヨーク市場の株価は、どこまで上がるのだろうか。ダウ平均は先週508ドルの値上がり。5週間の連騰で、この間の上げ幅は2000ドルに達した。ナスダック、SP500指数とともに、連日のように史上最高値を更新している。特に3日はFRBが量的金融緩和の縮小を発表したにもかかわらず、株価は上昇した。
その日、ダウ平均は朝方から160ドルほど下げていた。ところが午後になってFRBの発表があると、急速に反発した。「FRBの発表は予想通り、パウエル議長は利上げに慎重な姿勢をみせた」というのが、反発の理由だ。怖いものなし。何でも呑み込んでしまう。こうしてニューヨーク市場は、中国経済の不安・エネルギー価格の急騰・コロナの再発・金融緩和の終了など、いくつもの障害を乗り越えることになった。
日経平均は先週719円の値上がり。終り値は久しぶりに3万円に近づいた。予想に反して、総選挙で与党が大勝したことを好感した。さらにニューヨークの活況が、東京にも波及している。ただFRBの緩和縮小で、円相場は下落しやすい。加えて原油価格も高値を維持しそう。今後の景気と企業収益に悪影響を及ぼしそうだから、株価の上値は重い。
今週は8日に、9月の景気動向指数。9日に、9月の毎月勤労統計、10月の景気ウオッチャー調査。11日に、10月の企業物価。アメリカでは9日に、10月の生産者物価。10日に、10月の消費者物価。12日に、11月のミシガン大学・消費者信頼感指数。また中国が10日に、10月の消費者物価と生産者物価を発表する。
≪8日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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その日、ダウ平均は朝方から160ドルほど下げていた。ところが午後になってFRBの発表があると、急速に反発した。「FRBの発表は予想通り、パウエル議長は利上げに慎重な姿勢をみせた」というのが、反発の理由だ。怖いものなし。何でも呑み込んでしまう。こうしてニューヨーク市場は、中国経済の不安・エネルギー価格の急騰・コロナの再発・金融緩和の終了など、いくつもの障害を乗り越えることになった。
日経平均は先週719円の値上がり。終り値は久しぶりに3万円に近づいた。予想に反して、総選挙で与党が大勝したことを好感した。さらにニューヨークの活況が、東京にも波及している。ただFRBの緩和縮小で、円相場は下落しやすい。加えて原油価格も高値を維持しそう。今後の景気と企業収益に悪影響を及ぼしそうだから、株価の上値は重い。
今週は8日に、9月の景気動向指数。9日に、9月の毎月勤労統計、10月の景気ウオッチャー調査。11日に、10月の企業物価。アメリカでは9日に、10月の生産者物価。10日に、10月の消費者物価。12日に、11月のミシガン大学・消費者信頼感指数。また中国が10日に、10月の消費者物価と生産者物価を発表する。
≪8日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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◇ 金融政策は緩和から引き締めへ = アメリカの中央銀行であるFRBは先週3日の政策決定会合で「今月から金融緩和政策の縮小を始める」ことを決定した。FRBはコロナ不況に対処するため、昨年3月から毎月800億ドルの国債と400億ドルの住宅ローン担保証券を市場から買い入れてきた。それを今月から国債は100億ドル、住宅証券は50億ドルずつ減らして行く。いよいよ緩和政策の手仕舞いが始まったわけだ。
この方針通りに緩和の縮小が進行すると、来年6月には買い入れ額がゼロになる計算だ。そこからは国債や住宅証券の売り戻しと政策金利の引き上げ、つまり金融引き締め政策が始まることになる。市場では早くも「来年後半に2回の利上げ」という見方と「中間選挙の前にはないから、年末に1回の利上げ」説が交錯している。
だがFRBが開示したのは、あくまでも現時点での方針だ。実際この方針通りに進んで来年6月に量的緩和が終了する可能性は、きわめて小さい。というのも仮にアメリカ経済の回復が予想より強く物価の上昇が大きければ、FRBは緩和の縮小テンポを速めるに違いない。逆に回復が弱く物価が低下すれば、縮小のテンポを遅くすることになるだろう。
アメリカ経済がどちらの方向に傾くかは、まだ判らない。今後その判断を下すには、毎月の雇用統計と物価指数を注視して行く必要がある。ちなみに10月の失業率は4.6%、非農雇用者の増加数は53万1000人。また9月の消費者物価は前年比5.4%の上昇だった。特に物価の上昇率が高いと、FRBは緩和縮小のテンポを速めることになる。
(続きは明日)
≪8日の日経平均 = 下げ -104.52円≫
≪9日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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この方針通りに緩和の縮小が進行すると、来年6月には買い入れ額がゼロになる計算だ。そこからは国債や住宅証券の売り戻しと政策金利の引き上げ、つまり金融引き締め政策が始まることになる。市場では早くも「来年後半に2回の利上げ」という見方と「中間選挙の前にはないから、年末に1回の利上げ」説が交錯している。
だがFRBが開示したのは、あくまでも現時点での方針だ。実際この方針通りに進んで来年6月に量的緩和が終了する可能性は、きわめて小さい。というのも仮にアメリカ経済の回復が予想より強く物価の上昇が大きければ、FRBは緩和の縮小テンポを速めるに違いない。逆に回復が弱く物価が低下すれば、縮小のテンポを遅くすることになるだろう。
アメリカ経済がどちらの方向に傾くかは、まだ判らない。今後その判断を下すには、毎月の雇用統計と物価指数を注視して行く必要がある。ちなみに10月の失業率は4.6%、非農雇用者の増加数は53万1000人。また9月の消費者物価は前年比5.4%の上昇だった。特に物価の上昇率が高いと、FRBは緩和縮小のテンポを速めることになる。
(続きは明日)
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◇ 円安が進行しやすくなる = 金融緩和政策の縮小に関して、FRBは苦い経験をしている。それは13年のこと、当時のバーナンキ議長が議会で突然「緩和の縮小」を発表。株価は暴落、ブラジルやインドなどの新興国から大量の資金が流出。世界経済は大混乱に陥った。現在のパウエル議長は、そのときFRBの理事を務め、緩和の縮小を積極的に推進している。
こうした経験もあって今回、パウエル議長は長い時間をかけて緩和縮小の必要性を説明してきた。このため株式市場はFRBの政策を織り込み、株価は下落しなかったと言える。しかし金利の上昇は抑えられず、たとえば10年もの国債の利回りは1.4-1.6%にまで上昇した。すると金利に惹かれてドル資産が買われ、為替市場では各国通貨に対してドルが高くなる。
新興国からは資金が流出し、その国の通貨が下落する。輸入価格が上昇してインフレになるから、各国は防衛のために金利を上げる。今回もロシア・ニュージーランド、・ブラジル・メキシコ・韓国など23か国が、すでに利上げに踏み切った。当然ながら、これらの国では景気の回復にブレーキがかかる。仮にFRBが緩和縮小のテンポを速めれば、新興国への悪影響も増大するわけだ。
日本円の対ドル相場も、1ドル=114円前後にまで下落している。ただ日本の場合はこれまで貿易の黒字基調が続いてきたため、下落の程度は比較的小さい。それでも原油価格の上昇もあって、このところガソリン価格、電気料金のほか、小麦粉や食用油などの値上げが続出。大きな社会問題になりつつある。FRBが予定通りに緩和の縮小を続ければ、さらに円安が進行しやすくなることは明かだ。しかも日銀は利上げが出来る状況ではない。
≪9日の日経平均= 下げ -221.59円≫
≪10日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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こうした経験もあって今回、パウエル議長は長い時間をかけて緩和縮小の必要性を説明してきた。このため株式市場はFRBの政策を織り込み、株価は下落しなかったと言える。しかし金利の上昇は抑えられず、たとえば10年もの国債の利回りは1.4-1.6%にまで上昇した。すると金利に惹かれてドル資産が買われ、為替市場では各国通貨に対してドルが高くなる。
新興国からは資金が流出し、その国の通貨が下落する。輸入価格が上昇してインフレになるから、各国は防衛のために金利を上げる。今回もロシア・ニュージーランド、・ブラジル・メキシコ・韓国など23か国が、すでに利上げに踏み切った。当然ながら、これらの国では景気の回復にブレーキがかかる。仮にFRBが緩和縮小のテンポを速めれば、新興国への悪影響も増大するわけだ。
日本円の対ドル相場も、1ドル=114円前後にまで下落している。ただ日本の場合はこれまで貿易の黒字基調が続いてきたため、下落の程度は比較的小さい。それでも原油価格の上昇もあって、このところガソリン価格、電気料金のほか、小麦粉や食用油などの値上げが続出。大きな社会問題になりつつある。FRBが予定通りに緩和の縮小を続ければ、さらに円安が進行しやすくなることは明かだ。しかも日銀は利上げが出来る状況ではない。
≪9日の日経平均= 下げ -221.59円≫
≪10日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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◇ 公明党が所得制限で譲歩 = 1人10万円の給付金を巡る自民党と公明党の交渉が、ようやく決着した。公明党は「18歳以下の子どもに1人10万円の支給」を強く主張。自民党が難色を示して、両党の幹事長が連日のように会談。結局は公明党が譲歩する形となった。政府が19日にまとめる新経済対策に織り込み、総額2兆円あまりの財源も明記する。
争点となったのは、3つの問題。前回のように大半が貯蓄に回ることを防ぐため、現金でなく商品券にするかどうか。バラマキだという批判を避けるために、所得制限を導入するかどうか。貧困世帯への支給をどうするか。このうち支給方法については「年内に現金5万円、来春にクーポン5万円」で決着した。クーポンを準備するには時間がかかる。だから取りあえず、年内は現金で半額という理屈だ。
貧困世帯への給付金は、自民党の選挙公約。これについては「住民税を免除されている世帯に10万円を支給する」ことで合意した。最も揉めたのは、所得制限の導入。自民党が年収960万円で線引きするよう提案した。この制限を設けると、給付金を受け取れる世帯数は1割ほど減少する。このため公明党内では反対論も強かったが、結局は呑むことになった。
仮に総選挙で自民党がもっと議席を減らしていたら、あっさり公明党の主張が通ったに違いない。ところが自民党だけで安定過半数に達したため、今回は自民党内でも強気の主張が多かった。公明党側も譲歩せざるをえなかったと言えるだろう。1人10万円の給付金問題は、図らずも公明党の重みを計る結果となってしまった。
≪10日の日経平均 = 下げ -178.68円≫
≪11日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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争点となったのは、3つの問題。前回のように大半が貯蓄に回ることを防ぐため、現金でなく商品券にするかどうか。バラマキだという批判を避けるために、所得制限を導入するかどうか。貧困世帯への支給をどうするか。このうち支給方法については「年内に現金5万円、来春にクーポン5万円」で決着した。クーポンを準備するには時間がかかる。だから取りあえず、年内は現金で半額という理屈だ。
貧困世帯への給付金は、自民党の選挙公約。これについては「住民税を免除されている世帯に10万円を支給する」ことで合意した。最も揉めたのは、所得制限の導入。自民党が年収960万円で線引きするよう提案した。この制限を設けると、給付金を受け取れる世帯数は1割ほど減少する。このため公明党内では反対論も強かったが、結局は呑むことになった。
仮に総選挙で自民党がもっと議席を減らしていたら、あっさり公明党の主張が通ったに違いない。ところが自民党だけで安定過半数に達したため、今回は自民党内でも強気の主張が多かった。公明党側も譲歩せざるをえなかったと言えるだろう。1人10万円の給付金問題は、図らずも公明党の重みを計る結果となってしまった。
≪10日の日経平均 = 下げ -178.68円≫
≪11日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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◇ 岸田首相の促進策は有効なのか = 厚生労働省は9日、9月の毎月勤労統計を発表した。それによると、1人当たりの現金給与総額は27万0019円。前年に比べて0.2%増加した。このうち基準内賃金に当たる所定内給与は0.1%の増加、残業料に当たる所定外給与は4.4%の増加だった。所定外給与が伸びたのは、コロナの影響で昨年9月は残業が著しく減ったことの反動。残業時間は、昨年より3.4%増えた。
一般労働者の現金給与総額は34万8845円で、前年比0.8%の増加。またパートタイム労働者は9万6261円で、前年比1.8%の減少だった。最低賃金の引き上げでパートの時間当たり給与は平均1229円となったが、現金給与総額は減少した。最低賃金引き上げと関係があるのかどうか、精査してみる必要があるだろう。
問題は長い目で見ると、賃金がかなり下落していること。2015年=100の指数で現金給与総額をみると、9月は85.6。一般労働者は85.0、パート労働者は98.3となっている。つまり給与はこの6年間で15%ほど減少したことになる。また、これを実質賃金でみると、9月の指数は82.8だった。
岸田首相は景気回復の切り札として、中間層の賃金アップを掲げている。その方策として、賃上げを実施した企業の法人税を減税するという。だが日本の企業の4割近くが、法人税を支払っていない。税金を払えるほどの利益を出していないからだ。そうして、こういう企業に働く人の賃金が、むしろ上がっていないはず。しっかり考えてくれないと、中間層の賃金を底上げすることは難しい。
≪11日の日経平均 = 上げ +171.08円≫
≪12日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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一般労働者の現金給与総額は34万8845円で、前年比0.8%の増加。またパートタイム労働者は9万6261円で、前年比1.8%の減少だった。最低賃金の引き上げでパートの時間当たり給与は平均1229円となったが、現金給与総額は減少した。最低賃金引き上げと関係があるのかどうか、精査してみる必要があるだろう。
問題は長い目で見ると、賃金がかなり下落していること。2015年=100の指数で現金給与総額をみると、9月は85.6。一般労働者は85.0、パート労働者は98.3となっている。つまり給与はこの6年間で15%ほど減少したことになる。また、これを実質賃金でみると、9月の指数は82.8だった。
岸田首相は景気回復の切り札として、中間層の賃金アップを掲げている。その方策として、賃上げを実施した企業の法人税を減税するという。だが日本の企業の4割近くが、法人税を支払っていない。税金を払えるほどの利益を出していないからだ。そうして、こういう企業に働く人の賃金が、むしろ上がっていないはず。しっかり考えてくれないと、中間層の賃金を底上げすることは難しい。
≪11日の日経平均 = 上げ +171.08円≫
≪12日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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◇ 死亡者ゼロの日が出た日本 = 世界の感染者は累計2億5043万人、この1週間で232万人増加した。死亡者は507万2682人で、週間の増加数は5万0520人。感染者の増加は前週より縮小したが、死亡者はやや拡大した。全体の傾向に変化はない。しかしインドやインドネシア、それに日本では状態が大きく改善した一方で、ヨーロッパを中心にコロナの再拡大が目立ち始めた。WHO(世界保健機構)は、警鐘を鳴らしている。
国別に死亡者の動向をみると、アメリカは累計75万9062人。前週より8607人増加した。次いでブラジルが61万人台、インドが46万人台、メキシコが29万人台。あとはロシアが24万人台、インドネシアとイギリスが14万人台、イタリアが13万人台、イランが12万人台、フランスが11万人台で続いている。このうちインドはこの1週間で2537人、インドネシアは105人の増加にとどまっている。
ロシアは11月7日までの9日間、全土で企業の活動を停止したが、効果はほとんど出ていない。死亡者はこの1週間で8216人増加した。またポーランドやオランダ、ドイツなどのヨーロッパ諸国で、感染者が急激に増えている。ドイツの場合、先週末には1日の感染者数が4万人近くに達した。ヨーロッパでは多くの国が、再び何らかの行動規制を実施する模様だ。
日本の感染者は累計172万4597人。この1週間で1348人の増加だった。死亡者は1万8321人で、前週より27人の増加。11月7日には感染者が162人、死亡者はゼロを記録した。死亡者が出なかったのは、昨年8月2日以来のことである。ただ緊急事態宣言などの規制がすべて解除され、海外からの来日者についても規制が大幅に緩和された。このため感染者数は、近く増加に転じるのではないかと心配されている。
≪12日の日経平均 = 上げ +332.11円≫
【今週の日経平均予想 = 0勝5敗】
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国別に死亡者の動向をみると、アメリカは累計75万9062人。前週より8607人増加した。次いでブラジルが61万人台、インドが46万人台、メキシコが29万人台。あとはロシアが24万人台、インドネシアとイギリスが14万人台、イタリアが13万人台、イランが12万人台、フランスが11万人台で続いている。このうちインドはこの1週間で2537人、インドネシアは105人の増加にとどまっている。
ロシアは11月7日までの9日間、全土で企業の活動を停止したが、効果はほとんど出ていない。死亡者はこの1週間で8216人増加した。またポーランドやオランダ、ドイツなどのヨーロッパ諸国で、感染者が急激に増えている。ドイツの場合、先週末には1日の感染者数が4万人近くに達した。ヨーロッパでは多くの国が、再び何らかの行動規制を実施する模様だ。
日本の感染者は累計172万4597人。この1週間で1348人の増加だった。死亡者は1万8321人で、前週より27人の増加。11月7日には感染者が162人、死亡者はゼロを記録した。死亡者が出なかったのは、昨年8月2日以来のことである。ただ緊急事態宣言などの規制がすべて解除され、海外からの来日者についても規制が大幅に緩和された。このため感染者数は、近く増加に転じるのではないかと心配されている。
≪12日の日経平均 = 上げ +332.11円≫
【今週の日経平均予想 = 0勝5敗】
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◇ 買いの意欲は衰えず = ダウ平均は先週228ドルの値下がり。10月の消費者物価が31年ぶりに大きく上昇、景気回復の足を引っ張るのではないかという懸念が広まった。またFRBの引き締め政策が早まるという思惑が働いて、各種の金利が一斉に上昇した。市場はこれを嫌気して下げている。しかし株価が下がると、すぐに下値拾いの買いが入る。週の終り値は3万6000ドルを回復した。
日経平均は先週1円60銭の値下がり。10月の企業物価が40年ぶりの大幅上昇となったが、こちらは株価にも金利にも響かなかった。ニューヨーク市場が軟調だったにもかかわらず、東京市場は企業決算の上方修正、岸田内閣の経済政策、それに円安を材料に持ちこたえた。ただ日経平均が3万円を回復するだけの元気はない。
ニューヨークの株価は、引き続き物価と金利の動向に左右されるだろう。またFRBが国債などの買い入れを、どれだけ減らしたか。その発表にどんな反応を示すのか。一方の東京市場は、きょう発表される7-9月期のGDP速報と、週末に公表される新経済政策をどう評価するか。
今週は15日に、7-9月期のGDP速報。16日に、9月の第3次産業活動指数。17日に、10月の貿易統計、9月の機械受注。19日に、10月の消費者物価。アメリカでは16日に、10月の小売り売上高と工業生産。11月のNAHB住宅市場指数。17日に、10月の住宅着工戸数。また中国が18日に、10月の小売り売上高、鉱工業生産、固定資産投資額を発表する。なお19日に、岸田首相が新経済政策を発表する予定。
≪15日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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日経平均は先週1円60銭の値下がり。10月の企業物価が40年ぶりの大幅上昇となったが、こちらは株価にも金利にも響かなかった。ニューヨーク市場が軟調だったにもかかわらず、東京市場は企業決算の上方修正、岸田内閣の経済政策、それに円安を材料に持ちこたえた。ただ日経平均が3万円を回復するだけの元気はない。
ニューヨークの株価は、引き続き物価と金利の動向に左右されるだろう。またFRBが国債などの買い入れを、どれだけ減らしたか。その発表にどんな反応を示すのか。一方の東京市場は、きょう発表される7-9月期のGDP速報と、週末に公表される新経済政策をどう評価するか。
今週は15日に、7-9月期のGDP速報。16日に、9月の第3次産業活動指数。17日に、10月の貿易統計、9月の機械受注。19日に、10月の消費者物価。アメリカでは16日に、10月の小売り売上高と工業生産。11月のNAHB住宅市場指数。17日に、10月の住宅着工戸数。また中国が18日に、10月の小売り売上高、鉱工業生産、固定資産投資額を発表する。なお19日に、岸田首相が新経済政策を発表する予定。
≪15日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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◇ 7-9月期はマイナス3.0%成長 = 内閣府は15日、7-9月期のGDP速報を発表した。それによると、年率に換算した実質成長率はマイナス3.0%。事前の予想を大きく上回る悪化となった。個人消費、住宅投資、企業の設備投資、輸出のすべてが減退している。コロナ感染の拡大で緊急事態宣言が発令され、半導体の不足で新車の供給が滞ったことが主な原因。オリンピックが開催されたのに、大きなマイナス成長になってしまった。
比較しやすいように各項目を年率換算してみると、個人消費はマイナス4.7%、住宅投資はマイナス10.1%、設備投資はマイナス14.4%、輸出はマイナス8.3%だった。この先10-12月期については、規制の解除でプラス成長に転じるだろう。しかし21年度を通じてプラス成長になるかどうかは微妙だ。
アメリカも7-9月期はコロナ規制の真っ最中だったが、それでもプラス2.0%の成長を維持した。ユーロ圏はプラス9.1%の成長を達成している。日本のひとり負けだ。もちろん、国によってコロナ感染の山と谷が異なったという事情はある。しかし、ここで考えさせられる点が2つ。その1つは、日本の成長率は19年度がマイナス0.5%、20年度がマイナス4.4%。さらに21年度も前半はマイナス成長だ。にもかかわらず、政府はこの間ずっと「景気は回復基調」と発表してきたこと。
もう1つは7-9月期の速報をみると、政府の消費支出が4.7%増加したのに、公的固定資産形成は5.8%減少している点。消費はコロナ被害の救済費で増えたが、景気対策としての投資は減ってしまった。これが成長率のマイナスを大きくしたことは間違いない。またアメリカやユーロ圏との違いでもある。「景気は回復基調」という思い込みが、そうさせたのだろうか。
≪15日の日経平均 = 上げ +166.83円≫
≪16日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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比較しやすいように各項目を年率換算してみると、個人消費はマイナス4.7%、住宅投資はマイナス10.1%、設備投資はマイナス14.4%、輸出はマイナス8.3%だった。この先10-12月期については、規制の解除でプラス成長に転じるだろう。しかし21年度を通じてプラス成長になるかどうかは微妙だ。
アメリカも7-9月期はコロナ規制の真っ最中だったが、それでもプラス2.0%の成長を維持した。ユーロ圏はプラス9.1%の成長を達成している。日本のひとり負けだ。もちろん、国によってコロナ感染の山と谷が異なったという事情はある。しかし、ここで考えさせられる点が2つ。その1つは、日本の成長率は19年度がマイナス0.5%、20年度がマイナス4.4%。さらに21年度も前半はマイナス成長だ。にもかかわらず、政府はこの間ずっと「景気は回復基調」と発表してきたこと。
もう1つは7-9月期の速報をみると、政府の消費支出が4.7%増加したのに、公的固定資産形成は5.8%減少している点。消費はコロナ被害の救済費で増えたが、景気対策としての投資は減ってしまった。これが成長率のマイナスを大きくしたことは間違いない。またアメリカやユーロ圏との違いでもある。「景気は回復基調」という思い込みが、そうさせたのだろうか。
≪15日の日経平均 = 上げ +166.83円≫
≪16日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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◇ 世界各国で物価が急騰中 = インフレーションがやってきた。アメリカ労働省が発表した10月の消費者物価は、前年比6.2%の上昇。実に31年ぶりの6%台を記録して、多くの専門家を驚かせた。ガソリンは50%、食品も5%の上昇である。一方、中国では10月の卸売り物価が前年比13.1%の急騰ぶり。石炭は前年の2倍、石油やLNG(液化天然ガス)は60%も高騰している。
EU統計局の発表によると、ユーロ圏19か国の10月の消費者物価は前年比4.1%の上昇だった。やはりエネルギー価格を中心に、食品や日用品など幅広い品目が値上がりしている。そして日本でも、10月の企業物価が前年比8.0%の上昇となった。40年9か月ぶりの伸び率である。石炭・石油製品が44.5%、非鉄金属が31.4%も値上がりした。このほか、ほとんどの新興国で物価の上昇が著しい。
こうした物価指数から判断して、世界にはインフレの波が押し寄せたと考えていい。ただ現時点で特徴的なのは、アメリカやユーロ圏、それに新興国の多くは消費者物価が上昇していること。これに対して中国と日本は、まだ物価の上昇が卸売り段階にとどまっていることだ。中国や日本の場合は、景気が悪く川上から川下への価格転嫁が出来ないことを示している。しかし時間とともに、川下の物価も上昇するだろう。
一般にインフレは、需要超過あるいは供給不足によって惹き起こされる。ところが今回は需要超過と供給不足が、同時に発生した。コロナによる行動規制が解除され、溜っていた需要が一気に増大する。しかし供給が、それに追い付かない。さらに供給網の混乱、人手不足がそれに輪をかけた。そのうえ原油などエネルギー価格の高騰が、追い討ちをかけている。今回のインフレは複雑な要因から発生しており、それだけ悪質だと考えなければならない。
(続きは明日)
≪16日の日経平均 = 上げ +31.32円≫
≪17日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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EU統計局の発表によると、ユーロ圏19か国の10月の消費者物価は前年比4.1%の上昇だった。やはりエネルギー価格を中心に、食品や日用品など幅広い品目が値上がりしている。そして日本でも、10月の企業物価が前年比8.0%の上昇となった。40年9か月ぶりの伸び率である。石炭・石油製品が44.5%、非鉄金属が31.4%も値上がりした。このほか、ほとんどの新興国で物価の上昇が著しい。
こうした物価指数から判断して、世界にはインフレの波が押し寄せたと考えていい。ただ現時点で特徴的なのは、アメリカやユーロ圏、それに新興国の多くは消費者物価が上昇していること。これに対して中国と日本は、まだ物価の上昇が卸売り段階にとどまっていることだ。中国や日本の場合は、景気が悪く川上から川下への価格転嫁が出来ないことを示している。しかし時間とともに、川下の物価も上昇するだろう。
一般にインフレは、需要超過あるいは供給不足によって惹き起こされる。ところが今回は需要超過と供給不足が、同時に発生した。コロナによる行動規制が解除され、溜っていた需要が一気に増大する。しかし供給が、それに追い付かない。さらに供給網の混乱、人手不足がそれに輪をかけた。そのうえ原油などエネルギー価格の高騰が、追い討ちをかけている。今回のインフレは複雑な要因から発生しており、それだけ悪質だと考えなければならない。
(続きは明日)
≪16日の日経平均 = 上げ +31.32円≫
≪17日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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◇ スタグフレーションになれば最悪 = 物価の騰貴は、各国の経済にさまざまな悪影響を及ぼす。たとえば、FRBが金融緩和政策の縮小を決めたばかりのアメリカ。FRBはインフレを阻止しようと、縮小のテンポを速めるかもしれない。そういう見方が強まったことから、すでに各種の金利が上昇し始めた。すると金利に惹かれて資金がアメリカに還流、為替市場では各国通貨に対してドルが高くなる。
資金が流出する新興国では、自国通貨が安くなる。このため輸入物価が上昇、インフレが加速する。これを防止するため、すでに中南米諸国を中心に30か国以上の国が金利を引き上げた。金利の上昇は、景気の回復を抑制する。こうして、いまや多くの新興国がインフレを阻止するために、経済発展を犠牲にせざるをえなくなった。
日本でも円の対ドル・レートが下落、輸入物価を押し上げている。運悪くエネルギー価格の高騰と重なったから、輸入物価の上昇は加速した。たとえば10月の輸入物価は、前年比で38.0%も上昇している。ガソリン・灯油・電気料金のほか、プラスチック製品・食用油・小麦粉など生活必需品の値上がりが相次いでいるのは、このためだ。
いったん上がった物価は、なかなか下がりにくい。金融を引き締めると需要は抑制できるが、供給面にも冷水を浴びせることになりかねない。景気を重視した対策は物価の上昇を促進し、物価を抑制する政策は景気を悪化させる。そして放っておくと、物価上昇と景気の後退が同時に発生しやすい。これがスタグフレーションと呼ばれる現象だ。いまから用心すべきである。
≪17日の日経平均 = 下げ -119.79円≫
≪18日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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資金が流出する新興国では、自国通貨が安くなる。このため輸入物価が上昇、インフレが加速する。これを防止するため、すでに中南米諸国を中心に30か国以上の国が金利を引き上げた。金利の上昇は、景気の回復を抑制する。こうして、いまや多くの新興国がインフレを阻止するために、経済発展を犠牲にせざるをえなくなった。
日本でも円の対ドル・レートが下落、輸入物価を押し上げている。運悪くエネルギー価格の高騰と重なったから、輸入物価の上昇は加速した。たとえば10月の輸入物価は、前年比で38.0%も上昇している。ガソリン・灯油・電気料金のほか、プラスチック製品・食用油・小麦粉など生活必需品の値上がりが相次いでいるのは、このためだ。
いったん上がった物価は、なかなか下がりにくい。金融を引き締めると需要は抑制できるが、供給面にも冷水を浴びせることになりかねない。景気を重視した対策は物価の上昇を促進し、物価を抑制する政策は景気を悪化させる。そして放っておくと、物価上昇と景気の後退が同時に発生しやすい。これがスタグフレーションと呼ばれる現象だ。いまから用心すべきである。
≪17日の日経平均 = 下げ -119.79円≫
≪18日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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◇ 恥ずかしかった日本の姿勢 = イギリスのグラスゴーで開かれていたCOP26(国連気候変動枠組み条約・第26回締結国会議)が、4つの点で合意し閉幕した。①産業革命前からの気温上昇を1.5度以内に抑える努力を追求②石炭火力発電の段階的削減へ努力を加速③途上国への資金支援の拡充④国際排出枠の取引ルール――である。このうち石炭火力については「段階的廃止」という表現になるはずだったが、土壇場でインドや中国が反対し「段階的削減」に修正された。
このため会場では、インドや中国を‟悪者扱い”する空気が発生したことは確かである。日本の新聞やテレビも「わからず屋の反対でCOP26には汚点が付いた」ように報道。また「地球温暖化問題は、先進国の手に負えなくなった」という解説も現れた。しかし会議に参加した多くの人たちは「日本のマスコミが、そんなことを言うのはおかしい」と感じたという報道もある。
岸田首相はこの会議で演説。日本の「30年度の温暖化ガス排出量を13年度の46%に削減する方針」を説明した。しかし、この方針では30年度の電源構成に占める火力発電の比率が41%にもなっている。このことが判ると、参加国からは失望の溜息が漏れた。日本は「温暖化防止に積極的ではない」という強い印象を与えてしまったわけだ。
おまけに岸田首相は、演説を終えるとすぐに帰国してしまった。残った山口環境相は、日本の方針を詳しく説明するための記者会見も開かなかった。そんな国のマスコミが、インドや中国を非難する資格があるのか。参加国の多くが、そう感じた。日本政府は、なぜもっとCOP26の場を大事にしなかったのか。日本のマスコミは、なぜもっと日本政府の消極的な姿勢を報道しなかったのか。
≪18日の日経平均 = 下げ -89.67円≫
≪19日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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このため会場では、インドや中国を‟悪者扱い”する空気が発生したことは確かである。日本の新聞やテレビも「わからず屋の反対でCOP26には汚点が付いた」ように報道。また「地球温暖化問題は、先進国の手に負えなくなった」という解説も現れた。しかし会議に参加した多くの人たちは「日本のマスコミが、そんなことを言うのはおかしい」と感じたという報道もある。
岸田首相はこの会議で演説。日本の「30年度の温暖化ガス排出量を13年度の46%に削減する方針」を説明した。しかし、この方針では30年度の電源構成に占める火力発電の比率が41%にもなっている。このことが判ると、参加国からは失望の溜息が漏れた。日本は「温暖化防止に積極的ではない」という強い印象を与えてしまったわけだ。
おまけに岸田首相は、演説を終えるとすぐに帰国してしまった。残った山口環境相は、日本の方針を詳しく説明するための記者会見も開かなかった。そんな国のマスコミが、インドや中国を非難する資格があるのか。参加国の多くが、そう感じた。日本政府は、なぜもっとCOP26の場を大事にしなかったのか。日本のマスコミは、なぜもっと日本政府の消極的な姿勢を報道しなかったのか。
≪18日の日経平均 = 下げ -89.67円≫
≪19日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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◇ 韓国で重症者が急増 = 世界の感染者は累計2億5502万人、この1週間で459万人増加した。死亡者は512万4079人で5万1397人の増加だった。感染者の増加数は8月末以来の大きさ、死亡者数も前週に続いて5万人を超えている。したがって世界全体の状態は悪化、特にロシアとヨーロッパ諸国の状況が悪い。またアジアでは、韓国で重症者数が急増したことが目立つ。
国別の死亡者数をみると、アメリカが累計76万人台で最も多い。次いでブラジルが61万人台、インドが46万人台、メキシコが29万人台、ロシアが25万人台。あとはイギリスとインドネシアが14万人台、イタリアが13万人台、イランが12万人台、フランスが11万人台となっている。ヨーロッパ諸国での再拡大が顕著で、行動規制を実施した国も多い。
アジアでは、韓国の状態が急激に悪化した。感染者の増加は1日3292人で過去最大を記録。重症者も累計5022人と過去最大に増え、ソウルのICU使用率は80%を超えた。ワクチン接種率が78.5%と高いのに状態が悪化したのは、接種から半年以上が経過した高齢者が免疫力を失ったためではないかと分析されている。
日本の感染者は累計172万5715人。この1週間で1118人増加した。死亡者は1万8340人で、前週より19人の増加だった。感染者も死亡者も、驚くほど減少している。ワクチン接種率は75.74%に達し、政府は行動規制をほとんど解除した。しかし日本の場合も、高齢者の多くが接種から半年を経過している。韓国の例もあることだし、決して油断はできない。
≪19日の日経平均 = 上げ +147.21円≫
【今週の日経平均予想 = 3勝2敗】
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国別の死亡者数をみると、アメリカが累計76万人台で最も多い。次いでブラジルが61万人台、インドが46万人台、メキシコが29万人台、ロシアが25万人台。あとはイギリスとインドネシアが14万人台、イタリアが13万人台、イランが12万人台、フランスが11万人台となっている。ヨーロッパ諸国での再拡大が顕著で、行動規制を実施した国も多い。
アジアでは、韓国の状態が急激に悪化した。感染者の増加は1日3292人で過去最大を記録。重症者も累計5022人と過去最大に増え、ソウルのICU使用率は80%を超えた。ワクチン接種率が78.5%と高いのに状態が悪化したのは、接種から半年以上が経過した高齢者が免疫力を失ったためではないかと分析されている。
日本の感染者は累計172万5715人。この1週間で1118人増加した。死亡者は1万8340人で、前週より19人の増加だった。感染者も死亡者も、驚くほど減少している。ワクチン接種率は75.74%に達し、政府は行動規制をほとんど解除した。しかし日本の場合も、高齢者の多くが接種から半年を経過している。韓国の例もあることだし、決して油断はできない。
≪19日の日経平均 = 上げ +147.21円≫
【今週の日経平均予想 = 3勝2敗】
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◇ 超大型経済対策の評価は低い = 日経平均は先週136円の値上がり。コロナが急激に収まり、経済の正常化ガ進行し始めた。物価の上昇は気になるが、企業収益も上方修正されている。そんなところへ、総額55兆円を上回る超大型の新経済対策。しかし株価は意外に上がらなかった。対策の内容がほとんどバラマキに終始し、成長戦略が軽視されたと市場は感じ取ったようである。
ダウ平均は先週498ドルの値下がり。バイデン政権の110兆円にのぼるインフラ投資法案は成立したが、コロナが再拡大し始めた。さらに物価の上昇が続き、供給不足からクリスマス・セールの予想も下方修正された。加えてFRBが緩和政策の縮小テンポを速めるだろうという観測も強まっている。このため市場では、様子見の空気が広がった。
FRBは来年6月ごろ、緩和政策の縮小を完了する予定だった。それが、どの程度まで繰り上げられるのか。今週あたりからは、このことがニューヨーク市場にとっては最大の関心事になるだろう。一方の東京市場では、国債の大増発が金融市場にどんな影響を及ぼすか。新しい研究テーマになりそうだ。
今週は25日に、10月の企業向けサービス価格。26日に、10月の東京都区部の消費者物価。アメリカでは22日に、10月の中古住宅販売。24日に、7-9月期のGDP改定値と10月の新築住宅販売が発表される。
≪22日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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ダウ平均は先週498ドルの値下がり。バイデン政権の110兆円にのぼるインフラ投資法案は成立したが、コロナが再拡大し始めた。さらに物価の上昇が続き、供給不足からクリスマス・セールの予想も下方修正された。加えてFRBが緩和政策の縮小テンポを速めるだろうという観測も強まっている。このため市場では、様子見の空気が広がった。
FRBは来年6月ごろ、緩和政策の縮小を完了する予定だった。それが、どの程度まで繰り上げられるのか。今週あたりからは、このことがニューヨーク市場にとっては最大の関心事になるだろう。一方の東京市場では、国債の大増発が金融市場にどんな影響を及ぼすか。新しい研究テーマになりそうだ。
今週は25日に、10月の企業向けサービス価格。26日に、10月の東京都区部の消費者物価。アメリカでは22日に、10月の中古住宅販売。24日に、7-9月期のGDP改定値と10月の新築住宅販売が発表される。
≪22日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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◇ バラマキばかりで夢がない = 政府が決めた新経済対策の大きさには、多くの人が驚いた。財政支出の額は、なんと過去最大の55兆7000億円。当初予算の半分以上、日本のGDPの1割を上回る。だが、その評判はすこぶる悪い。全体的にバラマキの集大成となっており、その経済効果は線香花火のようにすぐ消えてしまう。将来を見据えた成長戦略に乏しいから、夢がない。というのが不評の大きな理由だ。
新経済対策は4つの分野から構成されている。それは①コロナ対策。低所得世帯への10万円給付など、財政支出は22兆1000億円②当面の景気対策。GO TO トラベルなど、9兆2000億円③新しい資本主義。看護師の賃上げなど、19兆8000億円④防災・国土強靭など、4兆6000億円。一過性の対策がほとんどで、なかには必要かどうか疑わしい施策も含まれている。
要するに自民・公明の与党が選挙で公約した施策を、目いっぱい詰め込んだ結果である。だが現金給付や赤字企業に対する補助金は一過性で、将来の成長を生み出さない。財政支出の総額がGDPの1割を超えるのに、政府自身もGDPは5.6%しか増えないと試算。民間の推計はもっと厳しく、GDPは1-3%しか増えないと予測している。
なかには首をかしげる対策も少なくない。コロナが終息したときには、溜った需要がどっと出てくる。そんなときにGO TO トラベルが必要なのか。賃上げした企業の法人税を減税するというが、企業の6割は法人税を払っていない。石油の元売りに補助金を出して、ガソリンなどの値上がりを防ぐというが、電気料金の値上げには手を着けない。その一方でEVの普及には400億円、データ・センターの地方分散には500億円しか支出しない。これでは将来の日本をどんな国にしようと考えているのか、全く判らない。
(続きは明日)
≪22日の日経平均 = 上げ +28.24円≫
≪24日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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新経済対策は4つの分野から構成されている。それは①コロナ対策。低所得世帯への10万円給付など、財政支出は22兆1000億円②当面の景気対策。GO TO トラベルなど、9兆2000億円③新しい資本主義。看護師の賃上げなど、19兆8000億円④防災・国土強靭など、4兆6000億円。一過性の対策がほとんどで、なかには必要かどうか疑わしい施策も含まれている。
要するに自民・公明の与党が選挙で公約した施策を、目いっぱい詰め込んだ結果である。だが現金給付や赤字企業に対する補助金は一過性で、将来の成長を生み出さない。財政支出の総額がGDPの1割を超えるのに、政府自身もGDPは5.6%しか増えないと試算。民間の推計はもっと厳しく、GDPは1-3%しか増えないと予測している。
なかには首をかしげる対策も少なくない。コロナが終息したときには、溜った需要がどっと出てくる。そんなときにGO TO トラベルが必要なのか。賃上げした企業の法人税を減税するというが、企業の6割は法人税を払っていない。石油の元売りに補助金を出して、ガソリンなどの値上がりを防ぐというが、電気料金の値上げには手を着けない。その一方でEVの普及には400億円、データ・センターの地方分散には500億円しか支出しない。これでは将来の日本をどんな国にしようと考えているのか、全く判らない。
(続きは明日)
≪22日の日経平均 = 上げ +28.24円≫
≪24日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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◇ 日本はまた置いていかれる = 欧米諸国もコロナ対策に腐心し、巨額の財政支出を強いられている。だが、そうしたなかでも各国は成長戦略を忘れない。アメリカは110兆円にのぼるインフラ投資法案を成立させ、EV普及に8600億円、送電網の整備に3兆円を支出する。さらに200兆円の子育て支援・気候変動対策法案を下院で可決した。EUはデジタル分野に17兆円、財政赤字に苦しむイタリアでさえも水素燃料を使う鉄道の開発に3兆円の予算を投じた。
いま世界は、脱炭素に向けて突き進んでいる。これに後れをとると、世界の市場から締め出されてしまうからだ。それなのに新経済対策では、脱炭素の問題を重視していない。本来ならばEVや蓄電池、再生可能エネルギーの開発に5兆円ぐらい使ってもいい。だが政府はすでに4兆5000億円を積み立てている大学ファンドに、なんと5兆円も追加する。バランス感覚が全くないと言えるだろう。
ひとくちに経済対策と言っても、内容はいろいろ。福祉政策、当面の景気対策、インフラの補修、そして将来ビジョンに基づいた成長戦略。実際にはそのバランスが、きわめて重要だ。特に成長戦略が乏しいと、国民は夢を失う。今回の新経済対策はそのバランスが悪すぎたために、巨額の財政支出にもかかわらず株価は上がらなかった。
政府は32兆円の補正予算を組み、その財源はすべて国債発行で賄うという。すべて日銀が引き受けるとしても、国の債務は増大する。そんな状態のなかで成長が見込めなければ、日本経済の世界における地位はますます低下せざるをえない。特に脱炭素の競争で周回遅れになれば、日本は3流国への道を進むことになりかねない。
≪24日の日経平均 = 下げ -471.45円≫
≪25日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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いま世界は、脱炭素に向けて突き進んでいる。これに後れをとると、世界の市場から締め出されてしまうからだ。それなのに新経済対策では、脱炭素の問題を重視していない。本来ならばEVや蓄電池、再生可能エネルギーの開発に5兆円ぐらい使ってもいい。だが政府はすでに4兆5000億円を積み立てている大学ファンドに、なんと5兆円も追加する。バランス感覚が全くないと言えるだろう。
ひとくちに経済対策と言っても、内容はいろいろ。福祉政策、当面の景気対策、インフラの補修、そして将来ビジョンに基づいた成長戦略。実際にはそのバランスが、きわめて重要だ。特に成長戦略が乏しいと、国民は夢を失う。今回の新経済対策はそのバランスが悪すぎたために、巨額の財政支出にもかかわらず株価は上がらなかった。
政府は32兆円の補正予算を組み、その財源はすべて国債発行で賄うという。すべて日銀が引き受けるとしても、国の債務は増大する。そんな状態のなかで成長が見込めなければ、日本経済の世界における地位はますます低下せざるをえない。特に脱炭素の競争で周回遅れになれば、日本は3流国への道を進むことになりかねない。
≪24日の日経平均 = 下げ -471.45円≫
≪25日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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◇ 消費国vs産油国の抗争に発展も = バイデン米大統領は23日、原油価格の高騰を抑制するため「主要消費国と協調し、石油の国家備蓄を放出する」と発表した。アメリカは数か月間にわたり、5000万バレルの石油を市場で売却する。また日本・中国・韓国・インド・イギリスの5か国も、同調することになった。消費国が石油の価格を抑える目的で、備蓄を放出するのは初めて。また消費国が協調して、国家備蓄を放出するのも初めて。特に関係が悪化しているアメリカと中国が同調したことは、きわめて注目される。
岸田首相は24日「アメリカの要請を受けて、日本も備蓄石油を放出する」と発表した。日本の国家備蓄は石油備蓄法で90日分以上と決められているが、現在は145日分の備蓄を保有している。ここから年内に420万バレルを放出する方針。またイギリスは150万バレル、インドは500万バレルを放出する模様。中国については、まだ情報がない。
原油の国際価格は、世界的な需要増加と産油国の増産拒否でウナギのぼり。ニューヨーク市場のWTI(テキサス産軽質油)先物相場は10月に1バレル=85ドル台に高騰した。国家備蓄放出の報道を受けて一時は75ドル台まで下がったが、すぐ78ドル台に反発している。OPEC(石油輸出国機構)やロシアなどの産油国が減産して対抗するのではないか、という思惑が働いたためである。
仮に産油国側が減産に踏み切っても、消費国側が備蓄を放出し続ければ、価格は下がるだろう。だが消費国側に、それだけの覚悟があるかどうか。いまのところは不明である。その覚悟がなければ、今回の協調放出は愚策となってしまう。その覚悟があれば、消費国と産油国の厳しい駆け引き、抗争が続くことになるかもしれない。
≪25日の日経平均 = 上げ +196.62円≫
≪26日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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岸田首相は24日「アメリカの要請を受けて、日本も備蓄石油を放出する」と発表した。日本の国家備蓄は石油備蓄法で90日分以上と決められているが、現在は145日分の備蓄を保有している。ここから年内に420万バレルを放出する方針。またイギリスは150万バレル、インドは500万バレルを放出する模様。中国については、まだ情報がない。
原油の国際価格は、世界的な需要増加と産油国の増産拒否でウナギのぼり。ニューヨーク市場のWTI(テキサス産軽質油)先物相場は10月に1バレル=85ドル台に高騰した。国家備蓄放出の報道を受けて一時は75ドル台まで下がったが、すぐ78ドル台に反発している。OPEC(石油輸出国機構)やロシアなどの産油国が減産して対抗するのではないか、という思惑が働いたためである。
仮に産油国側が減産に踏み切っても、消費国側が備蓄を放出し続ければ、価格は下がるだろう。だが消費国側に、それだけの覚悟があるかどうか。いまのところは不明である。その覚悟がなければ、今回の協調放出は愚策となってしまう。その覚悟があれば、消費国と産油国の厳しい駆け引き、抗争が続くことになるかもしれない。
≪25日の日経平均 = 上げ +196.62円≫
≪26日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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◇ 日本は水際対策を早めに = 世界の感染者は累計2億5949万人、この1週間で447万人増加した。死亡者は517万5153人で5万1074人の増加。感染者、死亡者ともに増加の勢いは衰えていない。全体としてみると、新興国の状態は改善しているが、アメリカやロシアを含むヨーロッパではコロナ再拡大の勢いが強まっている。こうしたなか南アフリカでは、ワクチンが効きにくい新種の変異株が発見されたらしい。
国別に死亡者の状況をみると、アメリカは累計77万人台、ブラジルは61万人台、インドは46万人台、メキシコは29万人台、ロシアが26万人台。次いでイギリスとインドネシアが14万人台、イタリアが13万人台、イランが12万人台、フランスが11万人台となっている。このうちブラジルの週間増加数は1300人弱、インドは2400人弱まで低下、インドネシアは73人の増加にとどまった。
アメリカでは感染者の増加数が1か月前より4割も拡大、死亡者のことしの累計は昨年の38万5300人を上回った。ヨーロッパではオーストリアとスロベニアが都市封鎖を断行、各国が規制強化に乗り出している。オランダとベルギーでは、規制に反対するデモ隊が暴徒化し、警官隊と衝突した。WHO(世界保健機構)では「ロシアとヨーロッパでは、来年春までに70万人が死亡するかもしれない」という警告を出した。
日本の感染者は累計172万6481人、この1週間で766人増加した。死亡者は1万8353人、増加数は13人にとどまっている。世界的にコロナが再拡大しているなかで、奇跡的な改善ぶりだ。しかし韓国では1日の感染者が4000人を超え、ワクチン接種済みの感染者が56%も出ている。さらに南アフリカの新変異ウイルス。いいお正月を迎えるためには、早め早めの水際対策が何よりも重要だ。
≪26日の日経平均 = 下げ -747.66円≫
【今週の日経平均予想 = 1勝3敗】
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国別に死亡者の状況をみると、アメリカは累計77万人台、ブラジルは61万人台、インドは46万人台、メキシコは29万人台、ロシアが26万人台。次いでイギリスとインドネシアが14万人台、イタリアが13万人台、イランが12万人台、フランスが11万人台となっている。このうちブラジルの週間増加数は1300人弱、インドは2400人弱まで低下、インドネシアは73人の増加にとどまった。
アメリカでは感染者の増加数が1か月前より4割も拡大、死亡者のことしの累計は昨年の38万5300人を上回った。ヨーロッパではオーストリアとスロベニアが都市封鎖を断行、各国が規制強化に乗り出している。オランダとベルギーでは、規制に反対するデモ隊が暴徒化し、警官隊と衝突した。WHO(世界保健機構)では「ロシアとヨーロッパでは、来年春までに70万人が死亡するかもしれない」という警告を出した。
日本の感染者は累計172万6481人、この1週間で766人増加した。死亡者は1万8353人、増加数は13人にとどまっている。世界的にコロナが再拡大しているなかで、奇跡的な改善ぶりだ。しかし韓国では1日の感染者が4000人を超え、ワクチン接種済みの感染者が56%も出ている。さらに南アフリカの新変異ウイルス。いいお正月を迎えるためには、早め早めの水際対策が何よりも重要だ。
≪26日の日経平均 = 下げ -747.66円≫
【今週の日経平均予想 = 1勝3敗】
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◇ 南ア変異株に浮足立った市場 = 波乱は週末にやってきた。南アフリカでワクチンを無効にするような新種の変異ウイルスが発見されたというニュースで、26日の東京市場では日経平均が748円の大幅安となった。ニューヨーク市場が感謝祭で休場だったため、このニュースは最初に東京市場を直撃。つれてアジアやヨーロッパ市場の株価も急落。最後のニューヨーク市場では、26日のダウ平均が905ドルの下落となった。
この結果、ダウ平均は先週703ドルの値下がり。9月上旬以来の下げ幅で、終り値は3万5000ドルを割り込んだ。一方、日経平均は先週994円の値下がり。こちらは9月下旬以来の下げ幅で、終り値は2万9000円を割り込んでいる。たしかに感染力の強い新手の変異ウイルスの出現は、ショッキングな悪材料には違いない。それにしても、その実態はまだ不明。市場は怯えすぎた感じもある。
南ア変異株の世界的な拡大を防げるかどうか。市場にとっては、最大の注目点になる。同時にニューヨークは、やはり物価の動向がカギ。東京は岸田内閣の超大型経済対策が全く評価されない点が、気にかかる。内容が悪すぎるとしても、特に外国人投資家はそっぽを向いている。この調子では、日経平均の年内3万円などはとても難しい。
今週は29日に、10月の商業動態統計。30日に、10月の労働力調査、鉱工業生産、住宅着工戸数。1日に、7-9月期の法人企業統計、11月の新車販売。2日に、11月の消費動向調査。アメリカでは29日に、10月の中古住宅販売。30日に、9月のFHFA住宅価格、11月のカンファレンス・ボード消費者信頼感指数。1日に、11月のISM製造業景況指数。3日に、11月の雇用統計、ISM非製造業景況指数。また中国が30日に、11月の製造業と非製造業のPMIを発表する。なお2日に、OPEC+が会合を開き産油量を検討する。
≪29日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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この結果、ダウ平均は先週703ドルの値下がり。9月上旬以来の下げ幅で、終り値は3万5000ドルを割り込んだ。一方、日経平均は先週994円の値下がり。こちらは9月下旬以来の下げ幅で、終り値は2万9000円を割り込んでいる。たしかに感染力の強い新手の変異ウイルスの出現は、ショッキングな悪材料には違いない。それにしても、その実態はまだ不明。市場は怯えすぎた感じもある。
南ア変異株の世界的な拡大を防げるかどうか。市場にとっては、最大の注目点になる。同時にニューヨークは、やはり物価の動向がカギ。東京は岸田内閣の超大型経済対策が全く評価されない点が、気にかかる。内容が悪すぎるとしても、特に外国人投資家はそっぽを向いている。この調子では、日経平均の年内3万円などはとても難しい。
今週は29日に、10月の商業動態統計。30日に、10月の労働力調査、鉱工業生産、住宅着工戸数。1日に、7-9月期の法人企業統計、11月の新車販売。2日に、11月の消費動向調査。アメリカでは29日に、10月の中古住宅販売。30日に、9月のFHFA住宅価格、11月のカンファレンス・ボード消費者信頼感指数。1日に、11月のISM製造業景況指数。3日に、11月の雇用統計、ISM非製造業景況指数。また中国が30日に、11月の製造業と非製造業のPMIを発表する。なお2日に、OPEC+が会合を開き産油量を検討する。
≪29日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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◇ 難しくなった方程式 = 「南アフリカでワクチンの効き目を鈍らせる新種のコロナ変異株が発見された」というニュースに、株式市場は異常に強く反応した。このニュースが流れた先週26日、まず日経平均が750円近く急落。アジア、ヨーロッパ市場に続いて、ニューヨーク市場のダウ平均も900ドル以上の下落となった。各国経済の正常化がさらに遅れることを心配したわけだが、それにしても反応は強すぎた。
コロナ再拡大の勢いは、すでに市場心理には重しとなっていた。アメリカの感染者数は11月に入ってから加速、ニューヨーク州では非常事態宣言が発令された。ヨーロッパ諸国でも感染は急拡大、各国とも都市封鎖や行動制限の強化に追われている。そんなところへ、さらに強力なウイルスが出現したためにショックは大きくなった。
もう1つ、市場はFRBによる金融緩和政策の縮小が早まるかどうかを気にしていた。物価と金利の上昇が続けば、FRBは来年前半にも金利の引き上げに踏み切るかもしれない。その心配にコロナへの警戒が重なって、株価は大幅に下げた。緩和縮小+南ア変異株⇒株安である。だが今回の南ア変異株騒動は、市場がこれまで作り上げてきた方程式も分解してしまった。
一時は1.7%に接近していたアメリカの長期金利は、1.3%台まで低下した。原油の国際価格は一気に10%以上も下落した。ドルが売られた結果、円相場は上昇した。これでアメリカの景気見通し、FRBの政策予想に関するこれまでの思考方法は、全く通用しなくなってしまった。緩和縮小+南ア変異株⇒株安+混迷となったわけである。
≪29日の日経平均 = 下げ -467.70円≫
≪30日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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コロナ再拡大の勢いは、すでに市場心理には重しとなっていた。アメリカの感染者数は11月に入ってから加速、ニューヨーク州では非常事態宣言が発令された。ヨーロッパ諸国でも感染は急拡大、各国とも都市封鎖や行動制限の強化に追われている。そんなところへ、さらに強力なウイルスが出現したためにショックは大きくなった。
もう1つ、市場はFRBによる金融緩和政策の縮小が早まるかどうかを気にしていた。物価と金利の上昇が続けば、FRBは来年前半にも金利の引き上げに踏み切るかもしれない。その心配にコロナへの警戒が重なって、株価は大幅に下げた。緩和縮小+南ア変異株⇒株安である。だが今回の南ア変異株騒動は、市場がこれまで作り上げてきた方程式も分解してしまった。
一時は1.7%に接近していたアメリカの長期金利は、1.3%台まで低下した。原油の国際価格は一気に10%以上も下落した。ドルが売られた結果、円相場は上昇した。これでアメリカの景気見通し、FRBの政策予想に関するこれまでの思考方法は、全く通用しなくなってしまった。緩和縮小+南ア変異株⇒株安+混迷となったわけである。
≪29日の日経平均 = 下げ -467.70円≫
≪30日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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