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経済に関する話題なんでも。ニュースの分析・批評・解説など。大胆な予想や提言も。ご意見、ご批判は大歓迎です。
経済なんでも研究会
景気対策を軽視した 菅内閣
2021-09-01-Wed  CATEGORY: 政治・経済
◇ 選挙前でも打つ手なし = 政府が発表した8月の月例経済報告は、一貫して暗いムードに包まれている。まず現状認識は「景気は持ち直しの動きが続いているものの、一部で弱さが増している」と、きわめて慎重な判断。また今後の見通しについても「コロナの感染拡大による下振れリスクに、十分注意する必要がある」と、かなり警戒的だ。菅首相の「ワクチンの接種が進めば、経済は正常化する」という期待は、この政府の公式見解からは完全に締め出されている。

たしかに、デルタ型変異ウイルスの猛威は予想以上だ。しかしアメリカやヨーロッパ諸国では行動規制が徐々に解除され、景気は回復に向かっている。ワクチン接種→規制解除→景気回復の方程式が、まだ生きているわけだ。ところが日本では、ワクチン接種が進んでも将来の展望が一向に明るくならない。なぜなのか。

人口の減少、研究開発投資の不足、サービス業の低い生産性などなど。日本経済の潜在成長力の低さに、問題があることは確かだろう。だが政府の景気対策に、欠陥があることも見逃せない。たとえばアメリカでは、いま議会が総額380兆円にも及ぶ予算の審議中。これで金融緩和政策の縮小が近づいても、株価は史上最高値の水準を維持している。

菅政権は昨年度、コロナ対策として総額75兆円にのぼる補正予算を成立させた。しかし結局は30兆円以上を使い残してしまった。休業した店舗への補償や雇用を維持するための補助金など、目先の対策に集中しすぎた結果である。いま解散・総選挙を目前に、菅首相は政調会長に経済対策の検討を命じたが、時間切れで実現は難しい。

        ≪31日の日経平均 = 上げ +300.25円≫

        ≪1日の日経平均は? 予想 = 下げ


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東京・大阪は1倍割れ : 求人倍率
2021-09-02-Thu  CATEGORY: 政治・経済
◇ コロナの影響がはっきり = 厚生労働省が発表した7月の有効求人倍率によると、全国平均は1.15倍だった。前月より0.02ポイント改善している。有効求人倍率というのは、ハローワーク(公共職業安定所)に寄せられた求人数を求職数で割った指数。したがって指数が高ければ就職しやすい状況、低ければしにくい状況ということになる。労働需給の状態だけでなく、景気の動向にも敏感な指標だと考えられている。

昨年7月の倍率は1.09倍だったから、前年比ではやや改善している。しかしコロナ前の一昨年7月は1.60倍だったから、まだまだ改善の程度はわずか。それでも7月中に申し込まれた新規求人数をみると、前年比で8.3%の増加だった。内訳をみても製造業は40.8%、サービス業も11.5%増えてきた。コロナで大きな被害を受けた宿泊・飲食サービス業も0.9%の減少にとどまっている。

都道府県別にみると、全国で最も倍率が高かったのは福井県で1.95倍。求人数が求職数の2倍に近い。続いて島根県の1.69倍、秋田県の1.70倍となっている。逆に最も倍率が低いのは、0.84倍の沖縄県。続いて東京都の0.91倍、大阪府の0.94倍、神奈川県の0.95倍となっている。1倍を下回ったのは、この4都府県だけ。

こんなに差が付いた原因はいろいろ考えられるが、大きかったのはやはりコロナの影響。感染者が多かった地域では、企業も求人に慎重だったと思われる。その一方で、求職者もコロナの感染を恐れて活動が鈍ったかもしれない。このため求人倍率の読み方は、少々むずかしくなっている。今後も全国の指数が改善し続けるかどうか、に注目したい。

        ≪1日の日経平均 = 上げ +361.48円≫

        ≪2日の日経平均は? 予想 = 上げ


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東京電力の 愚策 : 処理水の処理法
2021-09-03-Fri  CATEGORY: 政治・経済
◇ 小型タンカーで運んだら = 直径2.5メートルの海底トンネルを、沖合1キロまで掘り進める。そこへ処理水を流し込み、海中に放出する。--東京電力がまとめた処理水の処理法である。福島第1原発で発生した汚染水から、トリチウム以外を除去したものが処理水。現在、原発の敷地内に設置された1000基以上のタンクに保管されている。政府と東電はことし4月、この処理水を海洋に放出することを決めた。

トリチウムは三重水素と呼ばれ、水の性質と近いため現在の技術では分離が難しい。原発を運転すると必ず微量のトリチウムが発生するため、世界中の原発がこのトリチウムを含んだ処理水を海洋に放出している。ところが福島県では風評被害を恐れる漁業者が海洋放出に反対、東電は沖合1キロでの放出で風評被害を軽減できると考えた。

それはいい。しかし海底トンネルを掘る必要があるのだろうか。処理水を押し出す装置も含めると大工事で、相当な費用がかかる。それよりは簡単な岸壁を造り、小型のタンカーで運んだらどうだろう。費用がずっと安くなるうえ、放出する地点も自由に選択できる。1か所で放出するより、トリチウムを分散処理できるに違いない。

福島第1原発の廃炉には、膨大な費用がかかる。その費用は、税金の投入と電気料金の値上げで賄うしかない。ならば処理水の海洋放出に多少の費用がかかっても、心配することはない。東京電力の処理案には、こんな考え方が見え隠れする。原子力規制委員会が最終チェックするようだが、なぜタンカーではダメなのかを明らかにしてもらいたい。

        ≪2日の日経平均 = 上げ +92.49円≫

        ≪3日の日経平均は? 予想 = 上げ


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死者が語る コロナ肺炎の危険度 (77)
2021-09-04-Sat  CATEGORY: 政治・経済
◇ 変幻自在のコロナ・ウイルス = 世界の感染者数は累計2億1844万人、この1週間で452万人増加した。死亡者数は454万1332人、1週間で7万9487人の増加だった。感染者の増加数は前週より縮小したが、死亡者の増加数は拡大している。死亡者の増勢が時間的に遅れて表われているのと、変異ウイルスの悪性化による結果だと考えられる。いずれにしても、コロナの勢いは少しも衰えていない。

コロナ・ウイルスは、まるで優秀な司令官に指揮されているよう。人類の弱い所を巧みに攻めてくる。先進国でワクチンの接種が進むと、新興国で勢いを増す。高齢者がワクチンを接種すれば、若者や子どもに感染する。規制を緩めれば、その地域が攻撃される。そして次々と新しい変異株を繰り出してくる。変異株はこれまでに12種類。最新のコロンビア発ミュー株は、日本にも上陸した。

国別の死亡者数をみると、アメリカが累計62万人台。次いでブラジルが57万人台、インドが43万人台、メキシコが25万人台。さらにロシアが17万人台、イギリスとインドネシアが13万人台、イタリアが12万人台、フランスが11万人台、イランが10万人台となっている。このうちアメリカ・メキシコ・フランスの死亡者数が急増している。

日本の感染者数は累計152万8882人、この1週間で13万5800人増加した。前週より2万5530人縮小している。一方、死亡者数は1万6205人。前週より396人増加している。これで死亡者の増加数は4週連続で拡大した。やはり死亡者が時間的に遅れて出ることと、変異ウイルスの影響によるものだろう。また若者や子どもの感染が急増してきた。保育所の閉鎖も目立ち、親が仕事に行けなくなるという新たな社会問題を惹き起こしそうだ。政府は対応策を考えているのだろうか。

        ≪3日の日経平均 = 上げ +584.60円≫

        【今週の日経平均予想 = 3勝2敗】     


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今週のポイント
2021-09-06-Mon  CATEGORY: 政治・経済
◇ 「総選挙は買い」なのか? = コロナが終息し、景気が急回復? 先週の東京市場は、こんな騒ぎとなった。日経平均は5日間の続騰で、週間1487円の値上がり。終り値は2か月ぶりに2万9000円を回復した。TOPIXは30年ぶりの高さに戻している。週初から「解散・総選挙は買い」の経験則で買われていたが、特に金曜日の昼前「菅退陣」のニュースが伝わると一段高となった。新首相による新政策を期待した買いである。

日経新聞によると、過去10回の解散・総選挙で、解散から選挙日までの株価はすべて上昇したという。だが今回はコロナという異常な難問を抱えている。この経験則が通用するかどうかは、きわめて疑わしい。それよりも海外投資家の参入が多いことからみると、政変をきっかけに出遅れてきた日本株が一気に見直された感じが濃い。

ダウ平均は先週87ドルの値下がり。8月のPCE(消費支出物価指数)が30年ぶりの上昇、雇用統計が予想を下回るなどで、将来のインフレと景気動向に対する警戒感が広がった。この傾向が続けば、日本株への関心が逆に高まるかもしれない。ただ東京市場で「誰がおやりになっても同じ」という予想が強まると、「選挙は買い」の反動に見舞われる公算もある。

今週は7日に、7月の家計調査、毎月勤労統計、景気動向指数。8日に、4-6月期のGDP確定値、8月の景気ウオッチャー調査。アメリカでは10日に、8月の生産者物価。また中国が7日に、8月の貿易統計。9日に、8月の消費者物価と生産者物価を発表する。なお12日は緊急事態宣言の解除予定日。

        ≪6日の日経平均は? 予想 = 上げ



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なんでも遅すぎた 菅内閣
2021-09-07-Tue  CATEGORY: 政治・経済
◇ アフガニスタンも経済対策も = アフガニスタンからの撤収作戦で、日本は完全に後れをとった。アメリカやヨーロッパ諸国、それに韓国は自国民のほか協力的だったアフガニスタン人の救出にほぼ成功している。それなのに日本は自衛隊の大型輸送機を3機を派遣しながら、日本人1人しか送還できていない。テロによる爆発という不幸な事件があったとはいえ、政府の決断が遅かった結果であることは否定できない。

昨年春からのコロナ対策。ここでも政府の対応が、常に遅かったと感じた人は多い。数度にわたる緊急事態宣言の発令も、もし決定が早かったら感染の拡大をかなり抑えられたのではないか。感染の勢いを予測して、早め早めに対策を講じる姿勢が全くなかったと言えるだろう。その原因が官邸を中心とする組織的なものにあったのか、菅首相の決断力にあったのか。

経済対策についても同じ。たび重なる緊急事態宣言の発令で、景気の先行きが悪化することは目に見えていた。だが菅首相が下村政調会長に対して「新たな経済対策の検討」を指示したのは、先週になってからのこと。しかし臨時国会も開けないから、いますぐ経済対策などが実現する可能性はない。これも決断が遅すぎたために、選挙用のリップ・サービスに終わってしまった。

その直後、菅首相は急に自民党役員の人事と内閣改造を打ち出した。総裁選挙を有利に戦うための最後の手段だったが、やはり遅きに失した。結局は求心力を失って人事も出来ず、退陣に追い込まれてしまった。こうみてくると、菅内閣が1年で終わった最大の原因は“決定の遅さ”にあったと言えるのではないか。ただし「退陣声明」だけは早かった?

        ≪6日の日経平均 = 上げ +531.78円≫

        ≪7日の日経平均は? 予想 = 上げ

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コロナ前に戻れない 給与額
2021-09-08-Wed  CATEGORY: 政治・経済
◇ 正規もパートもまだ水面下 = 厚生労働省は7日、7月の毎月勤労統計を発表した。それによると、現金給与総額は1人当たり37万2757円で前年比1.0%増加した。このうち一般労働者は49万3723円で1.5%の増加だったが、パート労働者は10万2869円で1.1%減少している。昨年7月はコロナ不況が最も厳しかった時期。その反動で正規労働者の給与はやや増えたが、パート労働者はさらに減少した。

パート労働者について内訳をみると、基準賃金に当たる所定内給与は9万5165円で1.1%の減少。時間外に当たる所定外給与も2484円で1.9%減少した。この間、平均時給は1217円に上がっているが、給与総額は増えなかった。これは労働時間が1.5%縮小したことが大きく響いている。平均時給の上昇に伴い、企業側が働く時間を短縮させたことが判る。

コロナが発生する前の19年7月。現金給与総額は37万4109円だった。したがって、ことし7月の給与水準はまだコロナ前を1352円下回っている。一般労働者は4534円、パート労働者は964円、いずれも一昨年7月の水準に届かない。最悪だった昨年に比べれば給与水準はやや増加したが、コロナ前の水準を回復できないのが現状だ。

企業の業績はV字型に回復。上場企業の4-6月期の純利益は、昨年同期の2.8倍に膨れた。だが人件費は増加しない。最低賃金は引き上げられたが、企業は操業時間の短縮で対抗する。日本の賃金上昇率は過去20年間で、主要国中の最低。これでは次期政権が経済対策を打ち出しても、景気はそんなによくならない。

        ≪7日の日経平均 = 上げ +256.25円≫

        ≪8日の日経平均は? 予想 = 下げ


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自民党総裁候補の 鑑別法
2021-09-09-Thu  CATEGORY: 政治・経済
◇ 具体策や財源にまで言及するか = 自民党の総裁選挙は29日に実施される。ここで事実上、次の総理大臣が決まるわけだから、国民としても注視せざるをえない。数人の候補者が競うことになりそうだが、みなさん①コロナ対策に全力を挙げる②規制で被害を被る企業や店舗への補償をしっかりやる③景気対策に力を入れる④脱炭素政策を推進する⑤少子化対策を充実する――などの公約を掲げそうだ。だから、この段階では誰の政策が好ましいのかを判定することは出来ない。

問題は、どこまで具体策を説明できるかだ。たとえば野戦病院を造るとか、再生可能エネルギーを増大させるとか。その方法論がちゃんと伴わなければ意味がない。各候補がそこまで政策論を展開すると、国民も初めて比較検討が出来るようになる。また特に重要なのは、それらを実現するために必要な財源をどうするかだ。

もし財源に触れない候補者がいるとすれば、その人は問題を真剣に考えていないと断定してもいい。また増税を主張する候補者はないだろう。すると国債の増発に頼ることになるが、その場合の金利上昇をどう考えるのか。日銀にみな引き受けさせるのか。そこまで踏み込んで、自分の政策を発表してもらいたい。

言うまでもなく、自民党総裁選挙の有権者は自民党の国会議員と地方党員に限られる。一般国民は、ただ黙って見ているだけだ。この点、与野党の候補者が国民の前で論戦を繰り広げ、国民がその内容を評価して投票するアメリカの大統領選挙の方がずっとすっきりしている。だが日本の国民は、いまの段階で“総理大臣になるはずの人”の政見を吟味するしかない。

        ≪8日の日経平均 = 上げ +265.07円≫

        ≪9日の日経平均は? 予想 = 下げ


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食料のうち 国産品は37%しかない
2021-09-10-Fri  CATEGORY: 政治・経済
◇ 誰も心配していない? = 農林水産省が発表した20年度の食料自給率は、カロリーベースで37%だった。つまり63%を輸入に頼っていることになる。カロリーベースというのは、1人1日当たりの総供給熱量に対する1人1日当たり国産供給熱量の割合。仮に輸入が全く途絶えたとしたら、日本人は37%の熱量しか確保できないことを意味している。1965年には73%もあったが、その後は低下する一方。とうとう37%まで落ちてしまった。

コメの98%を筆頭に、イモ類や野菜、きのこ類の自給率は高い。しかし魚介類の51%、大豆の21%、畜産物16%、小麦15%など、自給率は年々下がる傾向にある。国際的にみても、アメリカの130%、フランスの127%、ドイツの95%、イギリスの63%に比べて極端に低い。政府は自給率を45%に高める目標を掲げているが、目標との差は開くばかりだ。

かつては自給率の低下が、大きな問題となった。世界的な人口爆発で、しだいに食料不足が深刻化すると考えられたからである。ところが最近は、あまり問題視されなくなった。その証拠に、新聞やテレビで「食料自給率が37%に低下」を大きく扱ったところはない。おそらくは豊かすぎる食材に囲まれた状態が長く続き、食糧危機などが訪れるはずはないと、国民もマスコミも安心しているためなのだろう。

だが世界の人口と食料の関係に、変化が起こったわけではない。また温暖化の影響で、世界的な供給不足が起こる危険性も小さくはない。日本人は飽食に甘んじていていいのだろうか。まず国内農業の生産性を高めること。次いで関連企業や消費者は、食糧の無駄な廃棄を徹底的になくすこと。そのためにも、この際は「自給率37%」という数字の意味を、忘れないようにしたいものだ。

        ≪9日の日経平均 = 下げ -173.02円≫

        ≪10日の日経平均は? 予想 = 下げ


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死者が語る コロナ肺炎の危険度 (78)
2021-09-11-Sat  CATEGORY: 政治・経済
◇ ワクチン効果の過信は危ない = 世界の感染者は累計2億2257万人、この1週間で413万人増加した。死亡者は459万6463人で5万3131人の増加。感染者、死亡者ともに、1週間の増加数は前週よりやや縮小している。ただアメリカの感染者は累計4000万人を突破、死亡者も週間1万人を超えている。1週間の死亡者が1万人を上回るのは、ことし3月下旬以来のこと。あとインドネシアとイギリスの死亡者数が拡大した。

国別の死亡者数をみると、アメリカは65万2706人。ブラジルは58万人台、インドが44万人台、メキシコが26万人台。次いでロシアが18万人台、インドネシアとイギリスが13万人台、イタリアとフランスが12万人台、イランが11万人台となっている。このうちアメリカとインドネシアの増加数が目立って拡大した。

ワクチンの接種が進み、人々の行動規制を大幅に緩和したのはアメリカ、イギリスとイスラエル。このうちアメリカは州によってバラツキはあるが、全体として状況が急速に悪化している。またイギリスも感染者が1週間で27万人増え、死亡者も週間1000人に近づいた。イスラエルの感染者も114万人に達している。一方、ブラジル・インド・メキシコの死亡者数は、やや縮小した。

日本の感染者は累計161万6121人、この1週間で8万7239人増加した。前週の増加数より5万人近く縮小している。ただ死亡者は累計1万6638人で、週間433人増加した。8月からの増加傾向が止まらない。政府は19都道府県に対する緊急事態宣言を9月30日まで延長したが、同時に10月以降の段階的な規制解除を模索し始めた。しかしワクチンの2回接種率はまだ50%に達しない。70%前後のアメリカとイギリスの例をみても判るように、解除を焦り過ぎることは危険だろう。

        ≪10日の日経平均 = 上げ +373.65円≫

        【今週の日経平均予想 = 3勝2敗】     


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今週のポイント
2021-09-13-Mon  CATEGORY: 政治・経済
◇ はしゃぎ過ぎの東京市場 = 東京市場の株価が上がり過ぎている。日経平均は先週1254円の値上がり。3週間の連騰で、この間の上昇幅は実に3369円に達した。終り値は3万円台をキープ、ことし2月の高値に接近している。TOPIXも31年ぶりの高値を記録した。驚くべきことは、買いの理由がただ一つ。新内閣が打ち出すはずの「景気対策への期待」だけ。明らかに市場は、はしゃぎ過ぎている。

ダウ平均は先週761ドルの値下がり。終り値は3万5000ドルを大きく割り込んだ。8月の雇用統計が予想を下回わり、景気の先行き警戒感が強まった。だが一方では、FRBの緩和縮小が先送りされるとの期待も強まって相殺された形。それよりもアメリカ国内でのコロナ再拡大が、市場のムードを一気に暗くした。最高値の更新が続いただけに、高値警戒の売り物も出ているようだ。

ニューヨークは下げても、東京は上げた。何か大きな材料が出てならいいが、そうではない。むしろニューヨークが一休みする間、出遅れた日本株で稼ごうという海外投資家の動きが活発になっている。たしかに企業の業績は、V字型に回復した。しかし株価の上昇が大幅だったために、東証1部全銘柄のPER(株価収益率)は22倍を超え、ニューヨークSP500の21倍を上回った。お祭り騒ぎは、もうそんなに続かないだろう。

今週は13日に、7-9月期の法人企業景気予測調査、8月の企業物価。15日に、7月の機械受注、第3次産業活動指数。16日に、8月の貿易統計。アメリカでは14日に、8月の消費者物価。15日に、8月の生産者物価。16日に、8月の小売り売上高。17日に、9月のミシガン大学・消費者信頼感指数。また中国が15日に、8月の鉱工業生産、小売り売上高、固定資産投資額を発表する。

        ≪13日の日経平均は? 予想 = 下げ


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総裁候補者の エネルギー政策
2021-09-14-Tue  CATEGORY: 政治・経済
◇ 観念的な主張が多すぎる = 次の総理大臣になるはずの人が、どんな政策論を持っているのか。コロナ対策から少子化問題まで聞きたいことはたくさんあるが、なかでも重要なのはエネルギー政策だろう。その背景には地球温暖化と異常気象の進行があり、政策の方向性は日本の将来を左右すると考えられるからである。そこで自民党の総裁選挙に立候補した3氏の主張を比べてみたが、いずれも観念論の域を出ず、最重要な点にも触れていない。

まず河野太郎氏。この人はかつて超党派議員連盟「原発ゼロの会」の発起人だった。それが今回は「安全が確認された原発の再稼働は必要」と主張。現実的な政策に豹変した。ある意味では“進歩”かもしれない。しかし日本は脱炭素の目標として、CO₂の排出を30年度に13年度比46%削減することを公約。いま具体的な電源構成の作成を急いでいる。それなのに原発の再稼働と電源構成の関連について、全く触れていないのは不可解だ。

次に岸田文雄氏。再生エネルギーについて「最大限の導入は当然」と主張。蓄電池や小型原発の開発に力を注ぐと力説した。しかし再生エネルギーを、どうやって増やすかについては触れていない。そこが最も重要な点だ。また小型原発の利点、いくら増やしてもいいのかどうかについても説明はなし。電源構成についてもノー・タッチだ。

さらに高市早苗氏。環境エネルギー省の創設、小型原発の開発などを強調している。たしかに経済産業省のエネルギー政策は失敗の連続だから、独立した省庁の存在は必要かもしれない。ただ小型原発の開発は、岸田氏と同じ。小型原発なら安全性が高いのか、放射性物質の最終処理はどうするのか。全く説明がないから、思いつきの域を出ない提案のように思えてならない。

        ≪13日の日経平均 = 上げ +65.53円≫

        ≪14日の日経平均は? 予想 = 上げ


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100歳以上の長寿者は 8万6510人
2021-09-15-Wed  CATEGORY: 政治・経済
◇ 島根・高知・鹿児島がトップ3県 = 敬老の日を前に厚生労働省は14日、9月15日時点の高齢者情報を発表した。それによると、100歳以上の長寿者は全国で8万6510人。前年より6060人増加した。このうち女性が7万6450人で、全体の88%を占めている。100歳を超えた人は、1963年にはわずか153人。それが1998年には1万人を超え、その後も年々増加している。

長寿者は、どの地方に多いのか。都道府県別に10万人当たりの100歳以上人口をみると、第1位は島根県で134.75人。次いで高知県、鹿児島県の順となっている。一方、数字が低いのは埼玉県の42.40人、次いで愛知県、千葉県の順。東京都は50.75人で全国42位、大阪府は49.75人で43位だった。島根県と埼玉県では、3倍以上の開きがある。

女性の最高齢者は、福岡市に在住の田中カ子さん、116歳。男性の最高齢者は奈良市に住む上田幹蔵さん、111歳。お二人とも元気な日々を過ごしておられるそうだ。厚労省のホームページでは、このほか全国の長寿者の生活ぶりを紹介している。長寿の秘訣も学べるので、それはそれでよい。

だが島根県と埼玉県の大きな差は、どこから生じるのだろう。厚労省は集計するだけでなく、その原因も分析してもらいたい。また100歳以上の人のうち、介護に頼らない健常者はどのくらいいるのだろう。そんな調査もしてくれると、敬老の日にいろいろ考えるネタにもなるのだが。

        ≪14日の日経平均 = 上げ +222.73円≫

        ≪15日の日経平均は? 予想 = 下げ


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失速する 景気回復 / 中国
2021-09-16-Thu  CATEGORY: 政治・経済
◇ インフレの懸念も強まる = 中国の景気回復力が、急速に鈍ってきた。国家統計局が15日発表した8月の主要な経済統計をみると、その傾向がくっきり。まず鉱工業生産は前年比で5.3%の増加。7月の6.4%増、6月の8.3%増から著しく減速している。半導体の不足で自動車の生産が19.1%減少したほか、鉄鋼やセメントなども大幅な減産となった。コロナの再発による行動規制や、インフラ投資の縮小が響いている。

個人消費にも、陰りが見えてきた。8月の小売り売上高は前年比2.5%の増加。7月の8.5%増、6月の10.1%増から急減した。飲食店の売り上げは4.5%の減少、自動車販売も7.4%の減少となった。また固定資産投資額は1-8月で前年比8.9%の増加。これも1-7月の10.3%増、1-6月の12.6%増から減退した。製造業の投資は15.7%伸びたが、インフラ投資は0.9%しか増えなかった。

中国経済の回復力が、これだけ急激に鈍化することは珍しい。ふつうなら政府が直ちに景気対策を打ち出すところだが、今回は静観している。というのも、一方で物価が急騰し始めているからだ。8月の卸売り物価は前年比9.5%と13年ぶりの上昇。エネルギーや化学原料など、資源高によるものと考えられている。消費が低調なため、まだ消費者物価は落ち着いているが、間もなく上昇を始めるだろう。

こんな状態で政府が景気対策を打ち出せば、インフレは加速する。下手をすれば、スタグフレーション(不況とインフレの両立)にもなりかねない。そこで成り行きを見守るしかないが、その結果7-9月期のGDP成長率は政府が目標とする6%をかなり下回る可能性が大きい。こうした中国経済の減速は、貿易を通じて世界経済や日本経済にも大きな影響を与えることは必至である。

       ≪15日の日経平均 = 下げ -158.39円≫

       ≪16日の日経平均は? 予想 = 下げ


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お先に失礼! 金融緩和の縮小 / EU 
2021-09-17-Fri  CATEGORY: 政治・経済
◇ 取り残される日本はどうなる? = ECB(ヨーロッパ中央銀行)は先週9日「国債などの買い入れペースを減速する」と発表した。ECBはコロナ不況対策として、毎月800億ユーロ(約10兆4000億円)の国債などを市場から買い入れてきた。この緩和政策を縮小するというわけである。ただラガルド総裁は「景気の回復に合わせた措置で、テーパリングではない」と説明した。これは「買い入れをゼロにまでする気はない」という意味だと解釈されている。

アメリカでは、FRBが年内に緩和政策の縮小を始めることが確実となっている。ただ8月の雇用統計が予想を大きく下回ったため、市場では9月中の決定はないとの見方が強まっている。そんなときにECBが突然「緩和政策の縮小」を発表、先を超された感じとなった。FRBが時間をかけて市場との対話を重ねているのに対し、ECBはほとんど前触れもなく踏み切ったことが印象的だ。

世界を見渡すと、金融緩和政策を修正した国が多い。たとえばカナダとオーストラリアは緩和政策を縮小、ブラジルやメキシコは金利の引き上げを断行している。ここにユーロ圏とアメリカが加われば、世界の流れは「緩和政策の縮小→金利引き上げ」となる可能性が高い。各国のGDPがコロナ前を回復したり、インフレ対策、自国通貨の防衛など、理由はさまざまだが・・・。

日本は景気の回復が遅い。物価も上がらない。コロナの見通しも不透明だ。したがって金融緩和政策を縮小する理由がない。黒田日銀総裁も「大規模な緩和政策は当分続く」と説明している。だが世界が緩和縮小へと向かうなかで、日本だけが金融緩和を続けるとどうなるのか。理論的には円安となり、資金が海外に移転する。インフレになるかもしれない。とにかく、いいことはなさそうだ。

        ≪16日の日経平均 = 下げ -188.37円≫

        ≪17日の日経平均は? 予想 = 上げ

          
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 死者が語る コロナ肺炎の危険度 (79)
2021-09-18-Sat  CATEGORY: 政治・経済
◇ 日本の対策はイギリス型と中国型の中間 = 世界の感染者は累計2億2639万人、この1週間で382万人増加した。死亡者は465万9920人で、6万3457人増えた。感染者の増加数は3週連続で縮小したが、死亡者の増加数は前週より約1万人拡大している。アメリカ・ブラジル・イギリスの死亡者は増加、インドやインドネシアは減少傾向だった。日本の状態も急速に改善している。

アメリカの死亡者数は累計66万6630人、この1週間で1万3924人増加した。7月下旬以来、8週連続で悪化している。行動規制などを緩和した結果で、警戒感も強まってきたようだ。死亡者の累計はブラジルが58万人台、インドが44万人台、メキシコが26万人台。次いでロシアが19万人台、インドネシア・イギリス・イタリアが13万人台、フランス・イランが11万人台となっている。一時は1週間で2万人を超えていたインドの死亡者は、1979人に縮小した。

中国では2月上旬以来、死亡者は1人も出ていない。感染者が1人でも発見されると、その地域を封鎖してしまう。極めて厳格な対策を講じてきたためだが、最近では感染者が増加しているようだ。感染者の累計は9万5493人で、この1週間では382人増加している。この8月の生産と消費は急速に悪化したが、政府はその一因としてコロナ対策としての行動規制を挙げている。

日本の感染者は累計166万3921人、この1週間で4万7800人増加した。ただ増加数は、過去2週間で9万人近く縮小した。死亡者は1万7045人、増加数は407人で前週より26人の減少。6週間ぶりの縮小となった。ワクチンの接種率向上と緊急事態宣言の拡張によるもの。日本の対策は極めて厳格な中国型と、ワクチンの効果にかけて一挙に規制を解除したイギリス型の中間。成功するかどうかに、世界が注目している。

        ≪17日の日経平均 = 上げ +176.71円≫

        【今週の日経平均予想 = 4勝1敗】     


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今週のポイント
2021-09-20-Mon  CATEGORY: 政治・経済
◇ NY市場に出現した複数のカベ = ダウ平均は先週23ドルの値下がり。下げ幅は大きくないが、これで3週間の続落。3万4000ドル台での足踏みが続いている。原因はニューヨーク市場に出現した、いくつかのカベ。列挙してみると、①コロナ感染の再拡大②景気回復への懸念③インフレ警戒④法人税・株式譲渡税引き上げの公算⑤中国経済に対する不安・・・。過剰な資金力で大きくは下げないが、カベをすぐには乗り越えられない。

日経平均は先週118円の値上がり。4週間の連騰で、この間の上昇幅は3500円に近かった。終り値は3万0500円。1990年8月以来31年ぶりの高値となっている。原因は菅首相が退陣を表明したことで、総選挙での自民党の勝利が確実視されること。さらに誰が新首相になっても、大型の景気対策を打ち出すとの期待が高まったことにある。

ニューヨークが下げても、東京は上がる。そこにはニューヨークで行き場所を失った資金が、東京に流入するという関係がある。その証拠に、ここ4週間は外国人投資家の買いが一挙に増大した。日本株の割安感が見直されたところへ、菅首相の退陣表明がちょうど重なった。ただ新政権による景気対策は、まだ絵に描いた餅。今後、期待が拡大するか縮小するかは、まだ判らない。

今週は24日に、8月の消費者物価。アメリカでは21日に、8月の住宅着工戸数。22日に、8月の中古住宅販売。24日に、8月の新築住宅販売が発表される。なお26日に、ドイツでは総選挙が実施される。

        ≪21日の日経平均は? 予想 = 下げ


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財源は 知らん顔 ; 総裁候補の4人
2021-09-22-Wed  CATEGORY: 政治・経済
◇ これでは評価ができない = 「大型の冷蔵庫が欲しい」「自宅で5Gのテレビを見たい」「EVを買いたい」--誰もが、こんな夢を持っている。どんな夢を持つかは自由だが、それを実現するためには必ず資金をどうするかが問題になる。資金がなければ、夢は夢のまま。自民党総裁選挙に打って出た4人の候補者の政策論を聞いていると、こんな感じがした。夢を口にするのはたやすいが、これでは評価が出来ない。

・河野太郎氏--たとえば最低額の年金を保障する「最低保障年金制度」を提唱。財源は消費税にするという。だが必要な財政支出額については全く触れないから、消費税の上げ幅も判らない。これでは政策の効果と必要経費を比較できないから、評価をすることは難しい。

・岸田文雄氏--たとえば「令和所得倍増」論を唱えている。中間層への分配を強化するという。だが財政支出を拡大するのか減税するのか、方法論には触れない。おおまかな予算額も不明。スローガンはいいが、やっぱり評価のしようがない。

・高市早苗さん--たとえば「小型核融合炉」の研究開発費を増大すべしと主張。地下に小型原発を造ろうというらしい。だが何年後を目標にしているのか、それに必要な経費も全く不明。差し迫った脱炭素計画との関連性も判らないから、これまた評価は不能だ。

・野田聖子さん--たとえば「子ども庁」を作るという。だが何をするかについては、ほとんど説明がない。もう少し具体的な政策論がないと、賛成も反対もしようがない。

        ≪22日の日経平均 = 下げ -200.31円≫

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36兆円の 使い道は? : 家計の資金余剰
2021-09-24-Fri  CATEGORY: 政治・経済
金融資産は2000兆円に接近 = 日銀の集計によると、6月末時点で家計の金融資産は1992兆円。この1年間で6.3%増加した。株価の上昇によるところが大きい。またコロナの影響で、支出が異常に抑えられ貯蓄が増加した。4-6月期だけをみると、コロナの影響による貯蓄の増加額は26兆円に達している。

金融資産の内訳をみると、株式は210兆円で前年比30%の増加。投資信託は89兆円で29%の増加だった。また現金・預金の合計額は1072兆円で過去最大。前年より4.0%増加している。このうち現金は102兆円、預金は970兆円だった。手元に現金を置いておく傾向は、いぜんとして強い。仮に預貯金に2%の金利が付くとすれば、個人の利子収入は年間20兆円に。ゼロ金利政策で、個人はそれだけ損をしていることになる。

2000兆円という金融資産の額は、日本のGDPの約4倍。大変な金額であることに違いはない。ところがアメリカの個人金融資産は、なんと109兆ドル、日本円で約1京2000兆円という大きさだ。アメリカでも株価の上昇が、金融資産を増やす原動力。ただコロナによる影響は、それほど大きくはない。アメリカ人はコロナ禍でもおカネを貯め込まず、消費に使っているようだ。

日本の場合、コロナの影響が出始めた昨年3月末の現金・預金額はちょうど1000兆円。したがって、その後の15か月で72兆円増加したことになる。こうしたおカネが、コロナの収束後は一気に消費に向かうと期待されているわけだ。特にこれまで抑制されていた飲食・旅行業は、その一点に賭けていると言ってもいい。貯め込まれた金額の半分が使われるとすると、消費支出の増加は36兆円。ただしコロナの先行きが不透明だと、おカネの使われ方は小さくなってしまう。

       ≪24日の日経平均は? 予想 = 上げ



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 死者が語る コロナ肺炎の危険度 (80)
2021-09-25-Sat  CATEGORY: 政治・経済
◇ 原因不明なコロナ感染の落ち着き = 世界の感染者は累計2億3009万人、この1週間で370万人増加した。死亡者は471万9697人、1週間で5万9277人増えている。感染者の増加数は4週連続でやや縮小、死亡者の増加数は前週より約4000人減った。コロナ・ウイルスの勢いはまだ強いが、加速はしていない。特に新興国での落ち着きが目立っている。

アメリカの感染者は累計4255万人、この1週間で93万9000人増えた。死亡者は68万1253人で、1週間前より1万4623人増加している。規制の解除で、全体としての状況は悪化した。国別の死亡者数をみると、ブラジルが59万人台、インドが44万人台、メキシコが27万人台。続いてロシアが19万人台、インドネシアが14万人台、イギリスとイタリアが13万人台、イランとフランスが11万人台の順。アメリカとロシアのほかは、総じて死亡者の増加数が縮小している。

この1週間の死亡者増加数をみると、ブラジルとメキシコが3000人台、インドが2000人台、インドネシアが1000人台に減少している。8月上旬にはブラジルが6万5000人台、インドが3万人台、インドネシアが1万3000人台だったのに比べると、驚くべき縮小ぶりだ。これらの新興国では、ワクチンの接種も進んでいない。移動制限も十分とは言えない。にもかかわらず、感染者や死亡者の増加が激減した。その原因は全く不明で、専門家も首をひねっている。

日本でも状況は急激に改善した。感染者は累計168万7905人。この1週間で2万4004人の増加。増加数は前週の約半分、この3週間で10万人以上も減っている。死亡者は1万7386人で、増加数は341人。前週より66人縮小した。ワクチンの接種は進んだが、専門家も驚くほどの好転である。政府は緊急事態宣言を解除し、規制を段階的に緩める方針のようだ。ただ改善した原因は、日本の場合もはっきりしない。

       ≪24日の日経平均 = 上げ +609.41円≫

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今週のポイント
2021-09-27-Mon  CATEGORY: 政治・経済
◇ 中国発の余震はまだ続く = 世界の株式市場は先週、中国発の大地震に見舞われた。発端は20日に伝わった「不動産開発大手・恒大集団の行き詰まり」観測ニュース。まず香港市場の株価が急落。ヨーロッパからアメリカ市場にも、激震が伝わった。このためダウ平均は、先週前半に600ドルを超す値下がりとなっている。つれて日経平均も860円の下落となった。

ところが恒大集団は21日、期限がきていた社債の利子について元建ての部分だけを支払った。これで緊迫感は一気に解消、株価は反発に転じている。その結果、週間を通してみると、ダウ平均は213ドルの上昇。日経平均も251円の下落にとどまった。地震は震度5程度に収まり、被害は出なかったことになる。

しかし安心はできない。恒大集団の負債は33兆円にものぼり、返済期日が次々とやってくる。いつ債務不履行になるか、見当がつかない。また他の不動産大手が行き詰まる可能性もないではない。余震は必ず来るし、震度も大きくなると考える専門家は多い。こうした状況のなかで特に注目されるのが、中国政府の姿勢。だが、いまのところ恒大集団を助けるのか助けないのか、全く判らない。

今週は27日に、8月の企業向けサービス価格。30日に8月の鉱工業生産、商業動態統計、住宅着工戸数。1日に、8月の労働力調査、9月の日銀短観、消費動向調査、新車販売。アメリカでは28日に、7月のFHFA住宅価格、9月のカンファレンス・ボード消費者信頼感指数。29日に、8月の中古住宅販売。30日に、4-6月期のGDP確定値。1日に、9月のISM製造業景況指数。また中国が30日に、9月の製造業・非製造業のPMIを発表する。なお29日には、自民党の総裁選挙。

        ≪27日の日経平均は? 予想 = 下げ

         
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恒大ショックの 勘どころ (上)
2021-09-28-Tue  CATEGORY: 政治・経済
◇ 政府が潰す巨大不動産会社 = 中国の不動産業最大手・恒大集団の経営行き詰まりが報じられ、世界の株価は先週いっせいに急落した。ただ週の後半、期日が来ていた社債の利子が支払われたため、株価は大きく戻している。しかし、これで一件落着と考える人はいない。次々と迫ってくる巨額の債務返済に対応できる可能性は、きわめて低いと予想されるためである。

恒大集団は1996年、広州市で創業。小型マンションの建築・販売で不動産ブームに乗り、急成長を遂げた。最近は従業員20万人、取り引き先企業は8000社、飲料水からEV(電気自動車)までを手掛ける巨大コンツェルンに変貌している。ただ、その商法は建築したビルやマンションを抵当に借金し、そのカネで次のプロジェクトを進めるというやり方。

このため債務総額は、日本円に換算すると33兆4000億円に膨れていた。その内容は、借入金・社債・株式。さらには下請けへの未払い金・マンションなどの契約収入金ということになる。こんな状況のなか、昨年夏に雷が落ちた。政府・中央銀行が、行きすぎた不動産バブルを抑制するため、金融機関に対して不動産融資の規制を断行したのである。これで恒大集団の経営は、一挙に揺らぐことになった。

見方を変えると、恒大集団の経営破たんは政府が意図的に仕組んだ結果。不動産バブルを終息させるための“見せしめ”と考えてもいい。ただし、それが連鎖的な企業倒産を引き起こすことは避けなければならない。中国の不動産産業はGDPの約7%を占める。仮にそれが2割も縮小すれば、GDPは1.5%減少してしまう。では習近平政権は、どのようにこの問題を解決しようとしているのか。

        ≪27日の日経平均 = 下げ -8.75円≫

        ≪28日の日経平均は? 予想 = 下げ

          
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恒大ショックの 勘どころ (下)
2021-09-29-Wed  CATEGORY: 政治・経済
◇ ドル建て債務の返済は後回し? = 北京政府が恒大集団を救済しようと思えば、簡単にできる。金融機関に追加融資を命令すればいい。だが2つの理由から、この方法は取れない。1つは不動産バブルの抑制が困難になること。もう1つは、国民の間から「富裕層を助けるのか」と反発の声が上がるからだ。特に習近平主席が「共同富裕(貧富の格差是正)」のスローガンを掲げているいま、安易な救済は難しい。では、どうするか。

最も可能性が大きい対策は、こうだろう。まず恒大集団が保有する土地や建物、株式や債券を売り払い、返済に充てる。それが出来なくなったら、資産を細かく分割して、地方政府や国有企業に買い取らせる。その結果、恒大集団は消滅するが、事業の多くは形を変えて継続される。連鎖倒産も、かなり防げることになるだろう。

だが、それで一件落着というわけにはいかない。恒大集団のドル建て債務は約2兆1000億ドル。ほとんどは海外投資家が保有する社債と株式だが、その利払いや元本償還は後回しにされる公算が大きい。すると欧米の中小金融機関のなかには、経営困難に陥るところが出てくるかもしれない。また中国国内で、別の不動産会社が行き詰まる可能性もある。なにしろ1-6月期には、不動産を中心に約2兆円のデフォルト(債務不履行)が発生しているのだ。

他の不動産大手が経営不振に陥ったとき、習政権はどうするのか。この点については、非常に不鮮明な解説が飛び交っている。それは「恒大集団は共産党のなかで習近平氏と対立する勢力に近かった」という指摘。もしそうなら、次に行き詰まる企業が習氏に近ければ救済されることになる。だが、この点に関する真実は藪の中だ。

        ≪28日の日経平均 = 下げ -56.10円≫

        ≪29日の日経平均は? 予想 = 下げ


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“脱炭素”運動が 加速する
2021-09-30-Thu  CATEGORY: 政治・経済
◇ ドイツ総選挙が明示する方向 = ドイツの総選挙で、中道左派のSPD(社会民主党)が16年ぶりに第1党の座を奪還した。獲得した議席数は206。メルケル首相が率いた中道右派のCDU・CSU(キリスト教民主社会同盟)は議席数を大きく減らして186。そして環境問題を最重視する緑の党が躍進、118の議席を獲得して第3党に。あとは経済界寄りの自由民主党が92議席で続いた。

ドイツ連邦議会の議席数は735。したがって第1党のSPDも、過半数に達しない。連立を模索することになるが、大いに難航しそうだ。現地のマスコミが伝える連立の組み合わせは3通り。①SPD+緑の党+自民党②CDU・CSU+緑の党+自民党③SPD+CDU・CSU。ここで最大の難問は、緑の党と自民党の政策綱領が全く相反すること。この両党を一緒に取り込めなければ、再びSPDとCDU・CSUが連立するしかない。

ここから判ることは、緑の党の重要性だ。3党連立の場合は、必ず閣内に入る。2党連立のときは、野党第1党になる。いずれにしても、ドイツ国内での発言力は強まるに違いない。すると脱炭素に向けた動きは加速する。すでに緑の党は、30年までに石炭火力発電をなくす。30年の温暖化ガス排出量を90年比で70%にすることを公約している。

EU内部におけるドイツの発言力は、きわめて大きい。したがってドイツ国内の変化は、ただちにEUの政策にも影響を及ぼす。たとえばEUは、35年までにガソリン車とHV(ハイブリッド車)の販売を全面的に禁止することを決めている。この目標年次が、さらに繰り上げられる可能性も小さくはない。緑の党の衝撃は、すぐ日本にも到達するだろう。

        ≪29日の日経平均 = 下げ -639.67円≫

        ≪30日の日経平均は? 予想 = 上げ


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