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経済に関する話題なんでも。ニュースの分析・批評・解説など。大胆な予想や提言も。ご意見、ご批判は大歓迎です。
経済なんでも研究会
バブル・モードに戻った NY市場
2021-06-01-Tue  CATEGORY: 政治・経済
◇ 悪い材料はすべて無視 = ダウ平均株価は先週末、3万4500ドルを回復した。史上最高値まで、あと250ドルに迫っている。市場はコロナ鎮圧後の景気回復期待に沸き立っており、利益確定売りをこなしながら、近く最高値を更新することは確実だろう。そうした市場に飛び交う“買いの理由”を分析してみると、非常に興味深いことが判る。

まず4月の雇用統計で非農業雇用者の増加数が予想を下回ったとき、市場はFRBによる緩和政策の終了時期が遠のいたと好感、株価は上昇した。なるほどと思ったのも束の間。こんどは失業保険の受給者が減ると、これは景気回復の証拠とみて株価は上がる。どう考えても、矛盾した論理だろう。要するに“いいとこ取り”である。

さらに市場には「景気が回復してもインフレにはならない」という考え方が拡散。それどころか「FRBが緩和政策を縮小しても、株価は下がらない」という超強気の見方まで流れ始めた。市場に存在した警戒感まで、積極的に否定してしまう。要するに“怖いモノなし”である。これがバブル・モードに浸り切った市場の、典型的な雰囲気だと言えるだろう。

もちろん、こうしたバブル・モードに警鐘を鳴らす専門家も多い。しかし投資資金の余力は膨大で、株価が少し下がると買い戻される。この安心感が続く限り、バブルは破れないという考え方も強固になっている。FRBはいずれ緩和政策から転換せざるをえない。そのとき本当に株価は下がらないのか。初めての経験だけに、誰にも判らないというのが真実だろう。

       ≪31日の日経平均 = 下げ -289.33円≫

       ≪1日の日経平均は? 予想 = 上げ


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階段のない タワマン : 脱炭素計画 (上)
2021-06-02-Wed  CATEGORY: 政治・経済
◇ 50年までに温室ガス排出量をゼロに = 国際的に脱炭素社会の実現を目指す機運が、急速に高まっている。これを受けて、日本も5月末の国会で「改正地球温暖化対策推進法」を成立させた。このなかでは「50年までに、温室効果ガスの排出量を実質ゼロにする」ことが明記されている。これによって、たとえば政権の交代があっても法律を改正しない限り、この目標を守らなければならないことになった。

ただ30年後の目標は、いかにも遠い。そこで政府は、30年度の目標も作成した。30年度の温暖化ガス排出量を、13年度の実績比で46%削減するという内容。菅首相が気候変動に関するサミットで表明したため、日本の国際的な公約となった。このサミットでは、アメリカが05年比で50-52%削減、EUが90年比で55%以上の削減などを公約している。

50年の実質ゼロを実現するためには、まず30年度の中間目標を達成しなければならない。ところが、この目標達成は至難の業だ。たとえば温暖化ガスの約4割を占めるのが、発電の際に発生するCO2。19年度の実績では、全体の76%がガスを発生する火力発電だった。最近はEV(電気自動車)の導入が話題になっているが、その電力を火力発電に頼っていたのでは、温室効果ガスは少しも減らない。

火力を大幅に減らした分を埋めるのは、原子力と再生可能エネルギーしかない。政府は原発30基の稼働が必要とみているが、いま稼働しているのは9基だけ。再生エネルギーも現在の2倍に増やす必要があるが、かなり難しい。経産省がチエを絞っているが、答案を書けずにいる。だから当面の計画が立たない。タワー・マンションの「50階には展望台が、30階にはレストランがあります」と言われても、2階に昇る階段がないというのが現状なのである。

                       (続きは明日)

       ≪1日の日経平均 = 下げ -45.74円≫

       ≪2日の日経平均は? 予想 = 下げ


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階段のない タワマン : 脱炭素計画 (下)
2021-06-03-Thu  CATEGORY: 政治・経済
◇ 発想を転換しないと実現は不可能 = 必要な電力をどんな手段で造り出すか。その青写真を電源構成と言って、エネルギー計画の根幹になる。現行の電源構成は18年に作成された。その内容は、30年度の構成を「原子力20-22%、再生可能エネルギー22-24%、火力56%とする」というもの。だが19年度の実績は「原子力6%、再生エネルギー18%、火力76%」だったから、達成はかなり難しい。その目標をさらに引き上げるのだから、大変だ。

いま政府部内では、30年度の電源構成を「原子力は20-22%のまま据え置き、再生エネルギーを36-38%に引き上げ、火力を41%に下げる」という案が有力になっている。しかし、これは目標を達成するための“数字合わせ”でしかない。30基の原発を稼働させ、太陽光や風力による発電を現在の2倍に増やす。そのための具体策は、おそらく作成できないだろう。

経済産業省のエネルギー政策は、この10年間“失敗の連続”だった。原発では電力会社と地元住民との意思疎通に失敗。太陽光発電は強制買い取り価格を高く設定し過ぎて、電気料金の高騰を招いてしまった。最近も洋上風力に傾注したと思ったら、すぐまた太陽光に頼る始末。日本にとって最重要なエネルギー問題についての、長期的な視点に全く欠けている。

たとえば「原発はコストが安い」という考え方。災害対策やテロ対策、それに廃炉費用や汚染物質の最終処理まで計算に入れたら、1㌔㍗当たりの生産費は、いくらになるのか。そう考えたら、その費用を再生可能エネルギーに投入する。たとえば国公立の建物や鉄道、高速道路などに太陽光発電パネルを敷き詰める。国が高額の補助金を出しても、その方が安くつくのではないか。こうした発想の大転換がなければ、国際公約は守れない。

       ≪2日の日経平均 = 上げ +131.80円≫

       ≪3日の日経平均は? 予想 = 上げ


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株式を買わなくなった 日銀
2021-06-04-Fri  CATEGORY: 政治・経済
◇ いつ売る側に回るのだろう = 日銀は5月、市場からETF(上場投資信託)を全く買わなかった。4月も買ったのは1日だけ。購入額は701億円のみ。昨年は年間7兆円以上も買ったのに、4月以降はほとんど買うのを止めた。その理由について、日銀は「購入方法を見直した。今後は株価が大きく下落したときに限って買う」と説明している。しかし、なぜ変更したのかについては、何の説明もない。

このため市場では、日銀が①株価が3万円近くまで上昇したから、もう支える必要がない②カネ余りで株価は大きく下落しない③株価の自由な形成を阻害するなど、副作用が強くなった④株価が下落すると、巨額の損失を被る心配がある――と考えたのでは、などなど。いろいろ憶測が飛んでいる。

たしかに、日銀の株式保有高は大きくなりすぎた。ことし3月末のETF保有残高は、時価で51兆5098億円。東証1部の時価総額の約7%を保有、日本最大の株主となっている。これまでの株高で評価益は15兆4444億円。だからと言って、売り逃げるわけにはいかない。このまま保有額を増やして行くと、大きな問題を抱え込むことになる。

日銀がETFの購入方法を変えたことで、新たな問題も浮上した。1つは株価が下落して日銀が買い出動したとき、市場は「日銀が暴落を予想している」と受け止めないかどうか。もう1つは「日銀はいつETFを売り出し始めるか」という警戒感である。ワクチンの効果が出て景気が回復すれば、日銀は売り始めるかもしれない。透明度の低い政策変更に、市場は戸惑っている。

       ≪3日の日経平均 = 上げ +111.97円≫

       ≪4日の日経平均は? 予想 = 下げ


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死者が語る コロナ肺炎の危険度 (64)
2021-06-05-Sat  CATEGORY: 政治・経済
◇ イギリスでは死亡者ゼロの日が = 世界の感染者数は1億7168万人、この1週間で369万人増加した。過去6週間続けて、増加の幅は縮小している。ところが死亡者数は369万1680人で、19万3123人増えた。この増加数は前週の約2倍。主要国のなかで死亡者数が急増したところは見当たらないから、中南米やアフリカ、東南アジアの新興国で増えたのだろう。あまり好ましい話ではない。その一方で素晴らしいニュースも伝わってきた。

イギリスの死亡者数は、この1週間で47人にまで低下した。しかも6月1日は、ゼロを記録したというのである。かつては1日に1800人以上の死亡者を出し、ジョンソン首相も罹患した。それがここまで正常化したのは、全人口の6割を超えたワクチン接種のおかげである。いま徐々に規制を緩和しているが、急ぎ過ぎてリバウンドを起こさないようにしてもらいたいものだ。

国別の死亡者数をみると、アメリカは累計59万人台。だいぶ落ち着いてきたが、それでも週間の増加数は3892人。次いでブラジルが累計46万人台、インドが33万人台、メキシコが22万人台。さらにイギリス・イタリア・ロシアが12万人台、フランスが10万人台、ドイツとイランが8万人台となっている。

日本の感染者数は累計75万5246人となった。この1週間で1万9748人増えている。前週よりは1万人近くも縮小した。死亡者数は1万3385人。1週間で626人増加したが、前週より55人少なかった。ワクチン接種率は全人口の1割足らず、まだ効果は出ていない。政府は9都道府県の緊急事態宣言を6月20日まで延長したが、大都市の人出はむしろ増えている。オリンピックを目前にして、まさに正念場だ。

       ≪4日の日経平均 = 下げ -116.59円≫

       【今週の日経平均予想 = 3勝2敗】     


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今週のポイント
2021-06-07-Mon  CATEGORY: 政治・経済
◇ ダウは最高値まであと22ドル = ダウ平均は先週227ドルの値上がり。終り値は3万4756ドルに上昇、5月7日に付けた史上最高値まであと22ドルに迫った。ワクチン接種が進んで経済が正常化しつつあることが、市場の空気を明るくしている。週末には堅調な雇用統計が発表されたが、長期金利がやや下がったため、市場はFRBの政策転換を気にしなかった。

日経平均は先週208円の値下がり。終り値は2万9000円を割り込んだ。9都道府県に対する緊急事態宣言の延長など、相変わらずコロナの感染状況が重しとなっている。ただ先週の場合は、前週に大きく上げた反動の面も大きい。政府はオリンピックを強行する構えだが、市場はまだ開催することへの評価を下せないでいる。

ダウはいったん史上最高値を更新する可能性が大きい。しかし更新すると、FRBの政策転換が余計に気になり出すに違いない。したがって、なかなかジャンプするわけにはいかなさそうだ。しばらくは高値圏でのもみ合いが続くだろう。日経平均が遅れを取り戻すかどうかは、やはりコロナの状況しだい。その大きなメドは、20日に緊急事態を解除できるかどうかの見通しが、どう変わって行くかだ。

今週は7日に、4月の景気動向指数。8日に、1-3月期のGDP確定値、4月の毎月勤労統計、5月の景気ウオッチャー調査。10日に、5月の企業物価。11日に、4-6月期の法人企業景気予測調査。アメリカでは8日に、4月の貿易統計。10日に、5月の消費者物価。11日に、6月のミシガン大学・消費者信頼感指数。また中国が7日に、5月の貿易統計。9日に、5月の消費者物価と生産者物価を発表する。

       ≪7日の日経平均は? 予想 = 上げ


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緩和の縮小? 引き締め入り? (上)
2021-06-08-Tue  CATEGORY: 政治・経済
◇ FRB、日銀ともに動き出す = アメリカの中央銀行であるFRBは2日「昨年に購入した社債の売却を始める」と発表した。コロナ不況に際して企業の資金繰りを支援するために、市場から社債を購入。その残高は138億ドル(約1兆5000億円)にのぼっている。近く売り出しの窓口となるニューヨーク連銀が、詳細を公表する予定。FRBは「社債市場が落ち着き、役割を果たしたため」と説明。株式市場なども、冷静に受け止めた。

アメリカではワクチン接種が進み、コロナの勢いが目立って衰えた。このため景気は、急速に回復しつつある。と同時にインフレ警戒感が強まり、いまはFRBがいつ金融緩和政策の縮小を始めるか。さらには引き締め政策に転じるかに、最大の関心が集まっている。そんなところへの社債売却だが、FRBはまだ大量の国債購入を続けている。このため比較的に小さい額の社債の売却が始まるとしても、市場は動揺しなかった。

しかし見方を変えてみると、やはり社債を売れば売っただけ、市場に出回る資金量は収縮する。FRBは影響の小さい社債から、引き締めを開始するとも言えるわけだ。この措置が金融引き締め政策への準備段階で、ここから国債の買い入れ縮小に進むと考えられないことはない。こうした予想が、これから市場で広がる可能性も十分にあるだろう。

中央銀行による社債の購入は、EUや日本でも実施されている。ECB(ヨーロッパ中央銀行)や日銀の場合は、まだ社債の購入を増やしている段階だ。日銀の社債保有額は5月末で約7兆7600億円。昨年末より1兆3000億円増えた。したがって社債に関する限り、日銀はまだ緩和政策を続けている。ところが・・・。     

                           (続きは明日)                                                 

       ≪7日の日経平均 = 上げ +77.72円≫

       ≪8日の日経平均は? 予想 = 上げ


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緩和の縮小? 引き締め入り? (下)
2021-06-09-Wed  CATEGORY: 政治・経済
◇ 日銀は株式とETFの保有額を減らした = 日銀はリーマン・ショック後の不況や今回のコロナ不況に対処するため、巨額の有価証券を買い入れている。その買い入れ代金が市中に流れ、未曽有のカネ余り時代を招来した。最も多く購入しているのは国債。この5月末の保有残高は538兆5500億円にのぼっている。ことし1-5月間では、30兆4000億円の増加だった。したがって、日銀の量的な金融緩和政策はまだ継続していると認定できるだろう。

次に買い入れが多いのはETF(上場投資信託)だ。5月末の保有額は36兆1300億円。日銀はことし3月にETFの買い入れ方法を変更、株価の暴落時にだけ購入することになった。このため4-5月は701億円の買い入れにとどまっている。ところが5月末の保有額を昨年末に比べると1655億円減っている。昨年1-5月中には4兆円も買い入れていたから、ETFに関する限りは大幅な金融引き締めになる。

その一方、社債は1-5月中に1兆3000億円を購入。5月末の保有残高は7兆7600億円になった。また日銀は金融機関の資金繰りを助けるため、金融機関が保有していた一般株式を買い上げてきた。5月末の保有残高は5463億円で、昨年末に比べると507億円の減少だった。僅かではあるが、引き締めの方向に向いている。

国債の購入額が大きいため、この程度のことで政策に変化が出たとは言えない。だが日銀は目立たないところから、保有資産の整理を始めたと考えられないこともない。この小さな芽が、これから大きくなって行くかどうか。見守る必要はあるだろう。いずれにしてもFRBの社債売却は、その詳細まで公表してのこと。日銀は何も言わない。両者の相違点は、ここにある。

       ≪8日の日経平均 = 下げ -55.68円≫

       ≪9日の日経平均は? 予想 = 下げ


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法人税15%以上で合意 : G7
2021-06-10-Thu  CATEGORY: 政治・経済
◇ バイデンさん、意外にやるね! = ロンドンで開いたG7(主要7か国)財務相会議は、2つの重要な企業課税について合意した。1つは「各国は法人税を15%以上にする」こと。海外企業を誘致するため、これまで各国は法人税の引き下げ競争を演じてきた。これを改め、一定の税収を確保することが狙い。もう1つは、巨大なグローバル企業に対する課税。事業所がなくてもサービスを受ける消費者がいれば、その国も課税できるようにする。反対する国も少なくなかったが、予想外にすんなりと合意した。

この合意は、最終的に38か国が加盟するOECD(経済協力開発機構)で審議し、決定される。OECDは夏中の決定を目指しているから、実現は早いかもしれない。また、この合意はバイデン大統領の評価をぐっと高めることにもなった。というのも、合意された2点の内容はいずれもアメリカが提案したもの。さらに反対していたイギリスなどを、事前の折衝で賛成に変えた外交手腕。「意外にやるじゃないか」という声が強まっている。

日本の法人税率は29.7%。だから税率の最低水準が決められても、直接の影響はない。ただ東南アジア諸国など、日本企業が進出している国では税率が上がる場合もありそうだ。しかし企業誘致のための優遇措置は、法人税率引き下げだけではない。それらの国は、住民税や補助金などで対策を講じる可能性もある。

グローバル企業に対する課税は、高収益のIT企業など100社程度が対象。利益率10%を超えた部分の2割を、消費者のいる国で分配するという構想。まだ細部が煮詰まっておらず、決着には時間がかかるかもしれない。たとえば日本に支社などがなくてもサービス収入を得ている企業が、税金を支払うことになる。その対象に投資ファンドを入れるかどうかなど、議論は詰まっていない。

        ≪9日の日経平均 = 下げ -102.76円≫

        ≪10日の日経平均は? 予想 = 下げ

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高齢者の反乱 : 医療費の値上げ
2021-06-11-Fri  CATEGORY: 政治・経済
◇ 菅内閣の支持率が下がる一因 = 国会で4日、医療制度改革関連法が成立した。これにより、後期高齢者のうち一定以上の所得がある人の医療窓口負担が、現在の1割から2割に引き上げられる。後期高齢者というのは75歳以上の人。このうち年間所得が単身世帯では260万円、複数世帯では320万円以上の人に適用され、対象者は約370万人。22年10月から23年3月までの間に実施される予定。

高齢者は病気になりがちだから、この値上げはけっこう痛い。高齢者の医療費は、年間およそ18兆円。国と自治体が4割、会社員が加入する健康保険組合が4割を負担している。高齢化の進展で、医療費は増えるばかり。現役会社員の負担を少しでも軽減するための試みだ。そう聞けば「なるほど、それでは仕方がない」と考えるお年寄りも多かったはずだ。

介護保険料も、この4月から上がった。全国平均でみると、月に6014円の支払い。2000年に制度ができてから、2.1倍の金額になっている。これも要介護者が増えているから「仕方がない」。そして年金の受取額は、この4月から0.1%引き下げられた。これも年金の受給者が増えているから「仕方がない」。だが「仕方がない」が3つも重なると、「仕方がない」では済まされなくなってくる。

努力して貯め込んだ老後の資金も、日銀のゼロ金利政策で利子を生まない。コロナ制圧後は、インフレになる公算が強まってきた。今後の生活は、どうなるのだろう。アメリカでは富裕層に対する増税が主流だが、日本では高齢者にシワが寄せられている。いま菅内閣の支持率は下落気味。その原因はコロナやオリンピックだけではない。高齢者の不満も反映されている。

       ≪10日の日経平均 = 上げ +97.76円≫

       ≪11日の日経平均は? 予想 = 下げ


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死者が語る コロナ肺炎の危険度 (65)
2021-06-12-Sat  CATEGORY: 政治・経済
◇ 東南アジアへ拡散した変異ウイルス = 新型コロナのパンデミック(世界的大流行)は、明らかに鎮静化しつつある。世界の感染者数は1億7443万人、この1週間で275万人の増加だった。だが、この増加数は4月のピーク時に比べれば半分以下。また死亡者の累計は375万8217人で6万8665人増えたが、この増加数もピーク時の3分の1に縮小した。

そうしたなかで、インド型変異ウイルスが周辺国のアフガニスタン・ネパール・パキスタンから、東南アジアのタイ・マレーシア・ベトナム・インドネシア・中国南部へと拡散していることが目立つ。これらの諸国では、軒並み都市封鎖など厳しい対策を講じ始めた。さらに台湾や日本などへも侵入しており、最大限の注意が必要だ。

死亡者の累計をみると、アメリカが59万人台でいぜん第1位。しかし1週間の増加数は2468人まで縮小した。次いでブラジルが47万人台、インドが35万人台。メキシコが22万人台、イギリス・イタリア・ロシアが12万人台、フランスが11万人台、ドイツとイランが8万人台となっている。ただ、これら10か国の死亡者増加数はすべて前週を下回った。コロナが発生した一昨年末以来、初めてのことである。

日本の感染者は累計76万9953人。この1週間で1万4707人増加した。ただ、この増加数は前週より5041人少なくなっている。また死亡者は累計1万3926人に。1週間の増加数は541人で、前週より85人縮小した。10都道府県に発令されている緊急事態宣言の期限は20日。政府はまん延防止等重点措置に切り替えたい考えのようだが、専門家会議がどんな意見を表明するのか。

       ≪11日の日経平均 = 下げ -9.83円≫

       【今週の日経平均予想 = 3勝2敗】     

         
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今週のポイント
2021-06-14-Mon  CATEGORY: 政治・経済
◇ 今週のFOMCに神経を集中 = 5月の消費者物価は前年比5%の大幅な上昇。しかし長期金利は1.4%台まで下落した。これがFRBの金融政策に、どんな影響を及ぼすのか。その金融政策を決めるFOMC(公開市場委員会)が、今週15-16日に開かれる。とにかく、その結果待ち。先週のダウ平均は、史上最高値を目前にしながら277ドルの値下がりとなった。ただ下げればすぐに買いが入るから、大きくは下がらない。

日本でもワクチンの接種が進み始めたから、市場としては景気回復に期待して買い上げたいところ。だがニューヨーク市場が足踏みし、企業業績の先行きもやや物足りない。オリンピックは強行されそうだが、海外から観客は来ない。選手や関係者も行動が規制され、経済効果は極端に低下してしまった。そんな状況で、日経平均は先週7円の値上がりにとどまった。

今週の株価は、FOMCの結果しだい。もし緩和政策の継続を断言すれば株価は上がり、ダウは最高値を更新するだろう。もし政策の修正を婉曲に匂わせれば、株価の足踏みが続きそうだ。東京市場の場合は、10都道府県に発令されている緊急事態宣言が20日で終われば上げ材料。まん延防止等重点措置に切り替われば、消化不良の状態に陥るかもしれない。

今週は15日に、4月の第3次産業活動指数。16日に、5月の貿易統計と4月の機械受注。18日に、5月の消費者物価。アメリカでは15日に、5月の小売り売上高、工業生産、生産者物価と6月のNAHB住宅市場指数。17日に、5月の住宅着工戸数。また中国が16日に、5月の小売り売上高、鉱工業生産、固定資産投資額を発表する。

       ≪14日の日経平均は? 予想 = 上げ


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G7 の成功は トランプ氏のおかげ 
2021-06-15-Tue  CATEGORY: 政治・経済
◇ 冷戦の始まりになるのか? = イギリスの西部コーンウオールで開かれたG7(主要7か国)首脳会議は13日、共同宣言を発表して閉幕した。新型コロナ対策から中国問題まで幅広い分野で討議を重ね、その多くで意見の一致をみたから、大成功だったと評価してもいいだろう。カナダで開いた18年の会議では、トランプ大統領が途中で退席した。それに比べれば、7か国の打って変った団結ぶりだった。

たとえば中国に対する姿勢。アメリカとイギリスは、新大西洋憲章を締結するなど非常時のムード。もともと第2次世界大戦中の1941年に、アメリカとイギリスが対ナチス・ドイツ戦を勝ち抜くために締結したのが大西洋憲章だった。したがって、ある意味では“臨戦態勢”とも言えるわけだ。

これに対してドイツやフランスは、中国との関係を重要視。アメリカ・イギリスとは一線を画している。にもかかわらず共同宣言では、「台湾」や「人権」の表記にまで踏み込んだ。主催国イギリスの事前の根回しが、功を奏したと言えるだろう。そして、その裏には、ヨーロッパの主要国が、トランプ前大統領の“自国優先主義”に辟易していたという事実がある。

それがバイデン大統領の登場で一変した。各国はその変化を保全するために、自国の主張を抑制したのではないか。要するに、団結の重要性を教えてくれたのは、トランプ氏だったのかもしれない。また中国の存在を軽視してはならないことを世界に教えたのも、トランプ氏の功績だった。重要な点は、今回の共同宣言を踏まえて7か国が具体的にどんな対中政策を展開するのかということ。もしかすると、新たな“冷たい戦争”が始まるのかもしれない。

       ≪14日の日経平均 = 上げ +213.07円≫

       ≪15日の日経平均は 予想 = 下げ

            
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要注意! 中国発のインフレ (上)
2021-06-16-Wed  CATEGORY: 政治・経済
◇ 卸売り物価は9%の暴騰 = いまアメリカでは、物価の見通しが最大の関心事になっている。消費者物価は5月に前年比5.0%も上昇、こんな傾向が続けばFRBが金融緩和政策を維持できなくなると懸念されるからだ。しかしFRBは「昨年4-6月はコロナ不況で物価が鎮静していた」ことを指摘、その反動で「数字が一時的に高く出ている。だから政策の変更はない」と説明している。だが本当に7月以降は、物価が落ち着くのだろうか。

一国の物価は、必ずしもその国の国内事情だけで決まるものではない。この観点からすると、いま中国ではアメリカ以上にインフレ圧力が強まっている。5月の卸売り物価は、なんと前年比9.0%と異常な高騰をみせた。特に上昇したのは、鉄鋼や非鉄金属などの加工製品、石油などの加工製品で、上昇幅は30-40%に達した。これらはいずれも、原材料の値上がりを反映したものと考えられる。

コロナ克服後の景気回復を期待して、鉄鋼や銅などの金属、あるいは原油の国際価格は、このところ急騰している。中国の卸売り物価が暴騰したのは、そのためだ。ところが中国の需要そのものも、これら原材料の値上がりに拍車をかける結果を招いている。そこへ将来の値上がりを見越した投機資金が参入、さらに国際価格を押し上げた。

中国の場合、5月の消費者物価はまだ前年比1.3%の上昇にとどまっている。これは個人の消費需要がまだ弱く、卸売り物価の上昇を転嫁できないこと、さらに政府が小売り段階の値上げに目を光らせているためのようだ。このため多くの中小企業が経営難に陥っており、いずれは値上げに踏み切らざるを得ない。一方、輸出価格は上昇しており、アメリカでは大きなインフレ要因になりつつある。

                      (続きは明日)

       ≪15日の日経平均 = 上げ +279.50円≫

       ≪16日の日経平均は? 予想 = 下げ≫ 


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要注意! 中国発のインフレ (下)
2021-06-17-Thu  CATEGORY: 政治・経済
◇ 長期的なインフレ要因は人手不足 = 食料の国際価格も急速に上昇している。FAO(国連食糧農業機関)の集計によると、世界の食料価格は5月まで12か月連続で上昇。前年比では36.1%も高騰した。特にトウモロコシや食用油の値上がりが目立つ。FAOでは「天候不順の影響もあるが、主な原因は中国の需要増加。それに投機マネーが加わった」と解説している。食料価格の上昇は、中国の消費者物価を直接押し上げる要因となるはずだ。

食料については、中国の農業生産自体が困難に直面している。若者が地方から都市部に脱出、農村部の高齢化が進展。そこへコロナ禍で、外国人労働者の流入が途絶えてしまった。このため生産コストが上がり、収穫量も伸び悩んでいる。その結果、輸入に頼るから、食糧の国際価格を上昇させてしまう。そして、そのことが最終的には中国の消費者物価を引き上げる。

構造的な労働力不足も、長期的なインフレ要因だ。中国の生産年齢人口(15-64歳)は、20年時点で9億6776万人。ピークだった13年に比べると3800万人も減少している。慢性的な人手不足状態に陥っており、賃金の上昇圧力も強い。その意味では、中国の「低賃金を基盤とした世界の加工工場」というイメージは、確実に消滅しつつある。

コロナ後の景気回復に伴うインフレの発生が、アメリカでは懸念されている。そこへ中国発のインフレが、商品の国際価格と輸出を通じて伝播する。そんな可能性が次第に大きくなってきた。なにやら構図は、コロナと似ている。中国は強大な国家権力をもって、コロナを克服した。しかしアメリカは、世界最大の感染者・死亡者を出してしまった。同様の現象が再現されないという保証はない。

       ≪16日の日経平均 = 下げ -150.29円≫

       ≪17日の日経平均は? 予想 = 下げ

          
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驚くべき急増加 : 自動車の輸出
2021-06-18-Fri  CATEGORY: 政治・経済
◇ アメリカ向けは昨年の3.3倍に = 財務省は16日、5月の貿易統計を発表した。それによると、輸出は6兆2612億円で前年比49.6%の増加。この伸び率は41年ぶりの大きさだった。前年はコロナで世界経済が停滞していたので、その反動もある。しかし輸出額は、コロナ前の19年5月と比べても約7%増加した。一方、輸入は6兆4484億円で前年比27.9%の増加だった。この結果、貿易収支は1871億円の赤字となっている。

輸出を地域別にみると、アメリカ向けは1兆1045億円で前年比87.9%の増加。EU向けも6170億円で69.5%と大きく伸びた。アジア向けは3兆6386億円で32.5%の増加。そのうち中国向けは1兆3927億円で23.6%の増加となっている。品目別にみると、一般機械や電気機械なども増加したが、特に自動車の輸出が驚くほど急増した。

自動車の輸出は38万0314台で、前年比120.3%の増加。金額では7541億円で135.5%の増加だった。地域別ではアメリカ向けが2347億円で、なんと244.7%も増えている。EU向けも635億円、46.7%の増加。アジア向けは1490億円で68.9%の増加。うち中国向けは690億円で42.9%の増加だった。

すさまじい増加ぶりだが、その理由は何だろう。まずはコロナで低迷していた前年の反動。それにワクチンの接種で景気回復の見通しが高まったこと。さらにコロナ禍で公共交通機関を避ける風潮が高まり、自家用車への需要が強まったこと。アメリカでは品不足から新車の引き渡しが遅れており、中古車が引っ張り合いになっているという。こうした異常なブームの反動が、また恐ろしい。

       ≪17日の日経平均 =  下げ -272.68円≫

       ≪18日の日経平均は? 予想 = 下げ


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死者が語る コロナ肺炎の危険度 (66)
2021-06-19-Sat  CATEGORY: 政治・経済
◇ アメリカは解除、イギリスは再封鎖 = 新型コロナのパンデミック(世界的大流行)はここ6週間やや落ち着く傾向をみせてきたが、この1週間はその動きが止まった。世界の感染者数は累計1億7704万人、前週より261万人の増加。死亡者数は383万3075人で、前週より7万4858人増えた。この増加数は前週より8000人ほど拡大している。ブラジル・インド・メキシコ・イランなどでの増加が目立った。

日本時間18日午前0時の時点で各国の死亡者数をみると、アメリカは累計60万人を突破した。ただ1週間の増加数は2340人にとどまっている。次いでブラジルが49万人台、インドが38万人台、メキシコが23万人台。さらにイギリス・イタリア・ロシアが12万人台、フランスが11万人台、ドイツが9万人台、イランが8万人台と続く。

注目された現象は、ともにワクチン接種が進んだアメリカとイギリスの全く対照的な動き。アメリカはニューヨーク州やカリフォルニア州でもほぼ規制が解除され、すべての店舗が営業を再開した。ワクチン接種者はマスクも不要に。その一方、イギリスは感染者が増加し始めたため、ロンドンなど主要地域での都市封鎖が7月19日まで延長された。どちらが適正な対応なのか、その結果は日本にも参考になるだろう。

日本の感染者は累計78万0818人に。この1週間で1万0865人増えた。死亡者は1万4331人で405人の増加。緊急事態宣言の効果で、感染者も死亡者も増加数は縮小した。しかしオリンピックありきで、政府は緊急事態を解除、まん延防止措置に切り替えた。その結果がどうなるかは不明だが、下手をするとオリンピックの最中に緊急事態宣言ということにもなりかねない。

         ≪18日の日経平均 = 下げ -54.25円≫ 

          【今週の日経平均予想 = 4勝1敗】    

            


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今週のポイント
2021-06-21-Mon  CATEGORY: 政治・経済
◇ ダウはことし最大の値下がり = FRBは先週16日「ゼロ金利政策を23年中に止める見通し」を明らかにした。これによりダウ平均は5日間の続落、先週は計1190ドルの値下がりとなった。ことし最大の下落で、株価は4月初めの水準にまで押し戻された。FRBは緩和政策を終了する理由として「景気の回復」を挙げているが、市場では景気敏感株も売られてしまった。

日経平均は先週15円の値上がり。ニューヨークの市況が弱いから、どうしても上値は追えない。にもかかわらず下落しなかったのは、まず日本株が出遅れていること。加えてワクチンの接種が順調に進み始め、東京や大阪の緊急事態宣言がまん延防止措置に切り替わることで期待感も出たことによるもの。

FRBの見通し内容をもっと重要視すれば、株価はまだ下がる。それほど重要視しなくてもいいと考えれば、株価は反発する。今週は市場がどちらの判断に傾くかで、どちらかに大きく上下することになりそうだ。ニューヨークが反発すれば、東京も上がる。続落すれば、東京も下がる。

今週は24日に、5月の企業向けサービス価格。25日に、6月の東京都区部・消費者物価。アメリカでは22日に、5月の中古住宅販売。23日に、5月の新築住宅販売。24日に、1-3月期のGDP確定値が発表される。

       ≪21日の日経平均は? 予想 = 下げ


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FRB 「ゼロ金利停止」の 読み方 (上)
2021-06-22-Tue  CATEGORY: 政治・経済
◇ 重視派と軽視派では大違い = アメリカの中央銀行であるFRBは先週16日「ゼロ金利政策は23年中に終了する」という見通しを公表した。3月時点では「24年中に終了する」見通しだったから、1年早まったことになる。現在の株高は基本的に、FRBの超金融緩和政策によって構築されている。それが無くなるのだから大変だ。ダウ平均株価は先週1190ドル、ことし最大の値下がりとなった。

このFRBの見通し公表は、やや手が込んでいる。政策決定機関であるFOMC(公開市場委員会)の委員18人に「ゼロ金利が終わるのはいつか」と聞いた結果、13人が「23年中」と答えたと発表するのだ。たとえばパウエル議長が「23年には終了」と言えば、非常に厳しい。それを決定ではなく、FOMCの雰囲気だと和らげて伝えているわけだ。

だが市場の方は、これを掘り下げて考える。「23年中にゼロ金利停止」ということは、そこでは「利上げが始まる」と考えていい。すると、その前に量的緩和政策は終了するだろう。それは22年中か。一度に終了するわけにはいかないから、いわゆるテーパリング(徐々に消滅)する行程は、まもなく始まる。それは10月、いやもっと早く7月にも。

いまFRBは毎月、国債を800億ドル、住宅ローン担保証券400億ドルを市場から買い入れている。さて、6月の購入額は?7月の購入額は? 市場の関心は、ここに集中し始めた。もしかすると、いまこの時点から金融緩和政策の修正が始まっているのかもしれない。FRBの見通し表明を重視する投資家は、疑念を深めつつあるようだ。

                      (続きは明日)

       ≪21日の日経平均 = 下げ -953.15円≫

       ≪22日の日経平均は? 予想 = 上げ
  

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FRB 「ゼロ金利停止」の 読み方 (下)
2021-06-23-Wed  CATEGORY: 政治・経済
◇ 軽視派は「鬼が笑う話」と驚かず = 金融政策の大転換ともなれば、株価はもっと暴落しても不思議ではなかった。それが2000ドル以内の下落にとどまったのは、FRBの発表方法が巧妙だったからである。FOMC後に発表した声明のなかではゼロ金利終了にはいっさい触れず、逆に「当面は現在の緩和政策を継続する」と強調した。だから投資家のなかには、“緩和政策の終了”を全く気にしない人も少なくなかった。

「来年のことを言えば、鬼が笑う」という諺は、アメリカにはないだろう。だがFRBの見通しは再来年の話。そのとき政策金利の引き上げが出来るような経済情勢になるかどうか、いまの時点で判るはずがない。また仮に近く量的緩和テーパリング(徐々に消滅)が始まるにしても、FRBはごく少額から始めるに違いない。

それにFRBは、物価と雇用の動向にも神経を使っている。5月の消費者物価は前年比5.0%も上昇した。しかし昨年4-6月はコロナ不況の真っ最中で、物価はほとんど上がらなかった。だから現在の物価上昇は「一時的なものであり、金融政策には影響しない」と、FRBは解説している。また就業者数は、まだコロナ前を760万人も下回っている。

こんな状態で、FRBがどんどん金融緩和を止めるとは思えない。また量的緩和を少し縮小したとしても、市中に流れるおカネの量がやや減るだけ。とにかく2年も先のことを、いまから真剣に心配する必要はない。軽視派はこう考えて、株価が下がれば買いに出る。こうした投資家が市場にいる限り、株価は下がってもすぐ反発するだろう。

       ≪22日の日経平均 = 上げ +873.20円≫

       ≪23日の日経平均は? 予想 = 下げ


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ズサンきわまる 有観客オリンピック
2021-06-24-Thu  CATEGORY: 政治・経済
◇ 誰のためのスポーツ祭典なのか = 東京五輪・パラリンピック大会組織委員会は21日、会場の観客数を収容定員の50%以内、最大1万人にすると発表した。新型コロナの感染を防ぐための措置だが、どうにも例外が多すぎる。たとえば大会関係者やマスコミ、それにスポンサー関係者は別勘定。これらの人たちも1万人にのぼる見込みで、東京都の場合は各会場を合計すると、1日の平均入場者は20万人に達するという。

開会式も例外の取り扱いとなった。選手団に関係者、一般観客を加えると、入場者は3万人を超える見込み。コロナ対策を徹底し、安心安全なオリンピックを実施しようとするのならば、開会式だけは例外というのは実に整合性を欠いている。出来るだけ華やかな開会式にしたいと考えたのだろうが、それをテレビで見た若者がどう反応するのか心配だ。

会場で酒類を売ることは、やっと諦めた。専門家やマスコミが反対しても、主催者側はなかなか首を縦に振らない。それもスポンサーの意向を忖度したためだった。ところがスポンサーのビール会社が世論の動向を気にして主張を取り下げたので、取り止めになった。いったい誰のためのオリンピックなのか。

万一、オリンピック開催中にコロナ感染者が急増した場合は、直ちに無観客に切り替えるという。おそらく大混乱に陥るだろう。だが、その場合でも関係者の入場は認めることになりそうだ。するとテレビに映し出される観客席には、関係者やスポンサーばかりということになる。オリンピックは誰のための祭典なのか、疑問が深まるだけではない。日本は「コロナに負けた」という印象を、全世界に向けて発信することになる。

       ≪23日の日経平均 = 下げ -9.24円≫

       ≪24日の日経平均は? 予想 = 下げ


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日銀の 余計なおせっかい
2021-06-25-Fri  CATEGORY: 政治・経済
◇ もっと有益なことにカネを使え = アメリカの金融緩和政策が終わりに近づいたことから、世界の株価が大幅に下落した。日経平均も、今週21日は873円の大幅安。一時は1000円を超えて下落したが、引け際には反発した。この場面で日銀は市場に介入、ETF(上場投資信託)を701億円買っている。日銀のETF購入は、4月になってから2度目。

株価が朝から急落した場合、引け際には反発することがよくある。あくる日の反発を見込んだ投資家が、安値で買いを入れるからだ。その強さによって、翌日の値動きを判断する投資家も多い。ところが日銀が買いに出ると、この判断がしにくくなる。日銀の介入がなかったら、値動きはどうなっていたかを想像するしかない。要するに日銀が、市場の自由な価格形成を壊してしまうわけだ。

じっさい日銀が買ったことで、日経平均は50-100円ぐらい上がったのかもしれない。だが、その程度の影響を与えるために介入する必要があるのだろうか。しかも700億円という大金を使って。これだけのおカネがあれば、50の駅にホームドアを設置できる。高齢者の窓口負担を2割に引き上げなくて済む。大変なおカネなのだ。

もちろん、日銀がホームドアを造ったり、医療費を負担するわけにはいかない。だが金融機関を通じて、無利子のおカネを中小企業に融通することは可能だ。もし日経平均が1000円を超えて下落したら、日銀は中小企業金融に700億円を支出する。こんな仕組みが出来たら素晴らしい。

     ≪24日の日経平均 = 上げ +0.34円≫

     ≪25日の日経平均は? 予想 = 上げ

          
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死者が語る コロナ肺炎の危険度 (67)
2021-06-26-Sat  CATEGORY: 政治・経済
◇ インド株を拡散させる3つの条件 = 世界の感染者数は累計1億7960万人、前週より256万人増えた。死亡者数は389万1974人で5万8899人の増加。感染者も死亡者も増勢はやや鈍化している。特徴的なのはロシアや中南米、それに東南アジアで感染者が増えていること。またワクチンの接種が進んで鎮静化したイギリス・アメリカ・イスラエルなどで、インド型変異ウイルスの伝染が広まっていること。

国別に死亡者数の累計をみると、アメリカが60万人、ブラジルが50万人を突破した。次いでインドが39万人台、メキシコが23万人台。さらにロシア・イギリス・イタリアが12万人台、フランスが11万人台、ドイツが9万人台、イランが8万人台の順となっている。アメリカはこの1週間で2181人、イギリスは101人の増加で、ともに落ち着いた傾向が続いた。

ところがワクチンの接種が進んだこの両国で、再び感染者が増え始めている。両国ともに、この1週間では8万人の増加だった。原因はインド型変異ウイルスが浸透したこと。専門家はインド型が拡散した条件として、①ウイルスの感染力が強い②ワクチン接種率の伸び悩み③拙速な規制解除――の3点を挙げている。

日本の感染者は累計79万0991人。前週より1万0173人増えた。死亡者は1万4605人で274人の増加。前週に比べると、感染者の増加数は692人、死亡者は131人減少した。ただ、この状態で緊急事態宣言を解除し、オリンピックが開催される。どうやら専門家が指摘する3条件が、ぴったり揃っているように思われるのだが。

       ≪25日の日経平均 = 上げ +190.95円≫

       【今週の日経平均予想 = 4勝1敗】     



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今週のポイント
2021-06-28-Mon  CATEGORY: 政治・経済
◇ FRB議長の議会証言が奏功 = ダウ平均は先週1144ドルの大幅高となった。終り値は3万4434ドルで、過去最高値まであと350ドルに迫っている。株価を押し上げた最大の要因は、パウエルFRB議長による議会での証言。下院の小委員会で「インフレが進行する可能性は非常に、非常に小さい」と強調、さらに「秋には力強い雇用創出を見られるだろう」と発言した。金融緩和政策の縮小は“秋になる”と示唆したわけである。市場はこれで一安心した。

ニューヨーク市場は先週、金融面だけではなく財政面からも支援された。バイデン大統領は24日、上院の超党派議員団と「8年で総額1兆2000億ドル(約130兆円)のインフラ予算」について合意した。当初の2兆ドルからはかなり縮小されたが、財源となる法人増税も盛り込まれなかった。ウオール街としては、満足すべき結果に収まったと言えるだろう。

日経平均は先週102円の値上がりにとどまった。ニューヨークの活況はプラス要素だったが、国内では好材料が見当たらない。オリンピックを目前に東京・大阪などの緊急事態宣言を解除したのはいいが、早くもコロナのリバウンドが心配される始末。ワクチンの接種率も、まだ20%に満たない。元気が出ないから、円安傾向も無視された。

今週は29日に、5月の労働力調査と商業動態統計。30日に、5月の鉱工業生産と住宅着工戸数、6月の消費動向調査。1日に、6月の日銀短観、新車販売台数。アメリカでは29日に、4月のFHFA住宅価格、6月のカンファレンス・ボード消費者信頼感指数。30日に、5月の中古住宅販売。1日に、6月のISM製造業景況指数。2日に、6月の雇用統計と5月の貿易統計。また中国が30日に、6月の製造業と非製造業のPMIを発表する。

       ≪28日の日経平均は? 予想 = 上げ

     
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FRBのマジック 投資家を洗脳
2021-06-29-Tue  CATEGORY: 政治・経済
◇ 利上げへの警戒感を和らげる = アメリカの中央銀行であるFRB。まるでマジックのような手を使って、投資家の利上げに対する警戒心を取り払った。このため先週のニューヨーク市場では株価が急騰、ダウ平均は1144ドルも上昇した。FRBは投資家を洗脳するために、どんな手法を使ったのか。このマジック効果は、いつまで持続するのだろうか。

FRBが最初に切ったカードは、16日に開いた政策決定会合FOMCのあとだった。FOMCの委員18人に利上げの時期について聞いたところ「13人が23年中」と答えたという会合の内容を公表したのである。3か月前の同様の調査では「24年中」の回答が多かったから、市場は「利上げの時期が1年早まった」と受け取り、株価は急落した。

そのあとFOMCの委員でもあるセントルイス連銀総裁やダラス連銀総裁が「インフレ傾向が強まれば、利上げは22年中にも」などと演説。投資家は「7月にも引き締めか」と、利上げに対する警戒感を強めて行く。こういう環境を作っておいて、こんどはパウエル議長が22日に議会で証言。まず「インフレの心配は全くない」と強調、さらに「秋になれば力強い雇用創出が見られる」と、景気の回復を予想した。つまり金融緩和政策の見直しは秋になってからと、間接的に示唆したわけでもある。

これで投資家の多くはすっかり安心、株価も上昇した。しかし、よく考えてみると「22年中の利上げ」が否定されたわけではない。FRBはうんと脅かしておいて「それほど怖くはないよ」と言っただけだ。それでも市場は安心して、当分の間は警戒心を弱めそうだ。したがって、ダウ平均の史上最高値更新も可能性はあると予想するが、はたしてどうか。

       ≪28日の日経平均 = 下げ -18.16円≫

       ≪29日の日経平均は? 予想 = 下げ


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景気を良くする 最善の方策 (上)
2021-06-30-Wed  CATEGORY: 政治・経済
◇ 個人の将来不安を軽減する = 日銀は25日、ことし1-3月期の資金循環統計を発表した。それによると、個人の金融資産は3月末時点で1946兆円。前年比で7.1%増加した。この1年間での株高と、コロナによる巣ごもりで消費が抑制されたことを反映している。このうちの半分以上、1056兆円が現金と預金。1年間で50兆円以上も増えた。なぜ、こんなに現預金の保有高が増えるのだろう。

金融資産の内訳をみると、株式は195兆円で前年比32.1%の増加。投資信託は84兆円で33.9%の増加だった。また預金は956兆円で5.5%の増加、現金は100兆円で6.0%の増加だった。この現預金の増加には、1人当たり10万円の現金給付も貢献している。それにしても、人々はなぜ現金を手元に置きたがるのだろうか。

専門家は「多くの個人が将来の生活に不安を持っているため」と分析している。また現金の保有が増えているのは、金融機関に預金しても利子が付かないためだろう。この結果、株式投資で儲けた一部の人が高額商品を購入する一方で、多くの個人は節約に走るという消費の二元化現象を生じている。

仮に定期預金をしたら、年3%の利子を受け取れるとしよう。すると個人は全体として、年間およそ30兆円の利子を得ることが出来る。こういう状況が続けば、賃金が上がらない若い人、あるいは特に医療費や介護保険料が上がる一方で年金の受取額が下がる傾向にある高齢者も、不安感が軽減するだろう。すると年間10-20兆円の消費支出が増えて、安定した景気の拡大要因になると期待できる。その方策を妨げているのは、言うまでもなくゼロ金利・マイナス金利政策だ。

                       (続きは明日)
     
        ≪29日の日経平均 = 下げ -235.41円≫

        ≪30日の日経平均は? 予想 = 上げ


           
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