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経済に関する話題なんでも。ニュースの分析・批評・解説など。大胆な予想や提言も。ご意見、ご批判は大歓迎です。
経済なんでも研究会
消費増税 反動減は小さいけれど・・・
2019-10-01-Tue  CATEGORY: 政治・経済
◇ 節約ムードは強まるだろう = おとといの日曜日、近所の商店街を歩いてみた。家電量販店や薬局はやや込み合っていたが、スーパーはそれほどでもなし。飲食料品に軽減税率が適用されたため、こういう結果になったのだろう。新聞報道によると、高額な家電製品・宝飾品・時計・婦人用コート・化粧品などには、それなりの駆け込み需要があったという。店舗内での飲食には10%の消費税がかかるが、これは“駆け込む”わけにはいかない。

前回14年4月に消費税が5%から8%に引き上げられたときは、想定以上の駆け込み需要が発生。その反動で同年4-6月期の個人消費は4.6%も減少した。そのあとも日本経済は、不況に悩まされている。日銀によると、このときの増税による家計の負担増は約8兆円。それに比べて今回の負担増は2兆2000億円になる見込み。

政府は前回の失敗に懲りて、今回はいろいろな対策を講じた。なかでも金額のはる住宅と自動車については、減税などの措置で増税後も消費者の負担が増えないようにした。このため今回は、住宅と自動車に関しては駆け込み需要がほとんど起きなかった。また飲食料品を中心に税率を8%に据え置く軽減税率を適用、このため低価格品の駆け込み需要は飲食料品を除く日用品に限られている。

結果として、増税後の消費の反動減は前回の4分の1程度に収まると推定されている。だが、それで安心というわけにはいかない。というのも米中経済戦争など、日本経済を取り巻く環境は前回よりも格段に悪化しているからだ。こういう不安が付きまとっているところでの増税。10-12月期のGDP成長率がマイナスになることは避けられそうにない。人々は財布のヒモをこれまで以上に締める可能性が大きい。

       ≪30日の日経平均 = 下げ -123.06円≫

       ≪1日の日経平均は? 予想 = 上げ


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  ☆ 「経済なんでも研究会」は、きょうから14年目に入ります。ここまで続けられたのも、読者の皆さまのご支援・ご協力によるものです。厚く御礼申し上げます。今後とも、よろしくお願いします。

 ☆ 日経平均予想は過去13年間で2226勝978敗。勝率は6割9分5厘でした。相変わらず7割が大きなカベになっています。
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業況判断は 水面スレスレ : 日銀短観
2019-10-02-Wed  CATEGORY: 政治・経済
◇ 非製造業も先行き悪化の見通し = 日銀は1日、9月に実施した企業短期経済観測調査の結果を発表した。それによると、大企業・製造業の業況判断指数はプラス5。前回6月の調査よりも2ポイント低下した。この水準は日銀が異次元緩和に踏み切った13年4月の直後とほぼ同じ。一方、非製造業はプラス21とまだ高いが、前回よりは2ポイント悪化した。

日銀の短観は、全国1万社近くの企業を対象にした大掛かりな調査。業況が「よくなった」と答えた企業の割合から「悪くなった」と答えた企業の割合を差し引いている。中小企業でみると、製造業はマイナス4で、前回比3ポイントの悪化。非製造業はプラス12で、前回と変わらなかった。製造業の判断が落ち込んでいるのは、米中経済戦争の影響で輸出が減退していることが大きな原因だ。

問題なのは、3か月先の見通しも暗いこと。大企業・製造業はプラス2と、水面ギリギリにまで低下する見通し。大企業・非製造業もプラス15で、6ポイントも低落する。中小企業では、製造業がマイナス9で5ポイントの低下。非製造業はプラス1で9ポイントも落ち込む見通しだ。消費増税の影響と、製造業の不況が非製造業にも波及して行く形になっている。

日本経済の現状は、外需の停滞で製造業が不況入り。しかし内需が非製造業を支えて、経済全体ではなんとかプラス成長を維持している。しかし短観の結果が示すように、これから非製造業の景況も悪化するとすれば、景気が後退することは避けられない。政府は補正予算の編成などによって、景気の落ち込みを防ごうと考えている。手遅れにならないよう、早め早めの対策が必要である。

       ≪1日の日経平均 = 上げ +129.40円≫

       ≪2日の日経平均は? 予想 = 下げ


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牽引車ドイツの 失速 (上)
2019-10-03-Thu  CATEGORY: 政治・経済
◇ 10年間のうたげは終わった = 着実な景気拡大を続けて、EU経済を引っ張ってきたドイツ。そのドイツ経済が失速した。実質GDP成長率は4-6月期に年率でマイナス0.3%に沈下したが、7-9月期もマイナス成長になることが確実とみられている。しかも経済の低迷は長期化する可能性が大きく、経済紙ハンデルスプラットは「10年続いたうたげは終了した」と書いている。

EU経済の牽引車にブレーキがかかったのは、輸出が急激に減退したため。特に自動車の輸出は1-8月で、前年比14%の減少。このため生産台数も316万台と、前年比11%の大幅減となった。米中経済戦争の影響もあって、中国での売れ行き不振が大きい。こうした状況は長く続くと考えられ、ドイツ連銀も「7-9月期もマイナス成長となり、景気後退入りは避けられそうにない」と予測している。

ドイツ経済の停滞が、EU諸国に与える悪影響はきわめて大きい。フランスやイタリアはもちろん、ドイツに工業部品を供給しているハンガリーなどの経済を圧迫することは間違いない。このためEU内部では、ドイツに財政支出による景気対策の早急な実施を求める声が上がっている。

これまでドイツは、厳しい財政規律を守ってきた。だが今回は、政府も景気対策を重視。メルケル政権は9月20日、その第1弾として23年までに環境技術やインフラ投資に500億ユーロ(約6兆円)を支出することになった。これでは力不足の声も出ているが、ドイツが財政出動に転換したという事実は大きい。

                             (続きは明日)

       ≪2日の日経平均 = 下げ -106.63円≫

       ≪3日の日経平均は? 予想 = 下げ


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牽引車ドイツの 失速 (下)
2019-10-04-Fri  CATEGORY: 政治・経済
◇ 日本にとっては“反面教師”に = ドイツの現状をみていると、日本にも参考になる点が多い。まずは景気動向。ドイツの場合、輸出の激減で4-6月期の成長率がマイナスに落ち込んだ。生産が低下して、主として製造業が圧迫されている。それが7-9月期には非製造業にも広がり、景気は全体として後退するという見方が広がった。

この点は、日本も同じ経過をたどっているように思われる。ただ日本の輸出依存度は18%程度で、ドイツの47%よりもかなり低い。このため輸出減少の影響は、ドイツに比べると緩やかに広がっているようだ。したがって7-9月期には、まだ非製造業が頑張っているかもしれない。しかし油断は禁物。10-12月期には消費増税の影響も加わって、内需も停滞する可能性が大きい。

もう1つは、財政面からの景気対策。これまで均衡財政に徹してきたドイツが財政出動に傾くと、他のEU諸国の財政規律も緩むだろう。アメリカや中国は、すでに積極財政に乗り出している。このように世界の風潮が変わったとき、日本はどうするのか。先進国中で最も財政状態が悪い日本は、どうしたらいいのか。

ドイツは転んでも、タダでは起きない。景気対策としての財政支出を、まず温暖化防止に活用する。6兆円の支出と同時に、ガソリンの値上げや航空機に対する課税強化も実施することになった。片や日本、原発の再稼働もままならず、再生可能エネルギーの育成にも失敗。将来のエネルギー計画さえ作成できずにいる。このままでは、世界の“お荷物”にもなりかねない。

       ≪3日の日経平均 = 下げ -436.87円≫

       ≪4日の日経平均は? 予想 = 上げ


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時代劇でも 見ない光景 : 関電事件
2019-10-05-Sat  CATEGORY: 政治・経済
◇ 官が民に賄賂を贈る構図! =「時代劇の世界が続いていたんだ」--テレビに出ていたある有名人が、こう言って笑った。あの関電事件である。お菓子の下に小判が敷き詰められていたというので、悪徳代官が腹黒い商人から賄賂を受け取る場面を思い浮かべたのだろう。だが目くじらを立てるわけではないが、この有名人の感想は間違いだ。時代劇は「民から官」への賄賂で、立派に贈収賄罪が成立する。しかし関電の場合は「官から民」で、贈収賄罪は適用できない。

だから関電のお偉方は「法律違反ではない」と息巻いている。しかし公益事業会社の役員ら20人が、工事を発注した建設会社から合計3億1845万円の金品を受け取ってことの道義的な責任は極めて重い。いずれ近いうちに、現職を辞任することは避けられないだろう。だが、それで一件落着となっては困る。国民としては、もっと知りたいことがあるからだ。

その1つは、関電の発注価格が適切だったかどうか。吉田開発という建設会社が3億円以上の裏金を調達したといわれているが、原発工事の受注はそんなに儲かる仕事なのだろうか。この際は、徹底的に発注先を選定する仕組みと、発注価格の決定方式を洗い出してほしい。いずれにしても原資は税金と電気料金なのだから、国民には知る権利がある。

もう1つは、他の電力会社で同様の不祥事がないかどうか。早くも「内部調査では問題なし」と発表した会社もあるが、どうもアテにはならない。なにしろ関電の事件にしても内部告発ではなく、金沢国税局の税務査察による摘発がきっかけだった。管内に原発のある全国の国税局に、ひと働きしてもらうしかない?

       ≪4日の日経平均 = 上げ +68.46円≫

       【今週の日経平均予想 = 5勝0敗】   


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今週のポイント
2019-10-07-Mon  CATEGORY: 政治・経済
◇ 実体経済と金融緩和の綱引き = ダウ平均は先週1-2日だけで800ドル以上も下げ、4日には400ドル近く上げた。週初の下げは、製造業の景況感が10年ぶりの低さに落ちたことを警戒したもの。ところが週末には、、非製造業の景況感が悪化したにもかかわらず上げた。こうした株価の動きは、現在の市場心理をきわめてよく描き出している。そしてダウ平均は結局、週間247ドルの値下がり。

まず製造業の景況感低下で下げたのは、市場が実体経済の悪化を心配した結果だ。ある意味では、素直な反応だと言えるだろう。次に非製造業の景況感が低下しても上げたのは、市場がこれでFRBによる利下げの可能性が強まったと考えたため。窮すると金融緩和にすがりたい現在の気分が、ストレートに現われたわけだ。

日経平均も先週は469円の値下がり。こちらもニューヨーク市況の軟調に加えて、日銀短観、輸出の急減、消費者態度の低下など実体経済の悪化を示す指標が売り材料となった。円相場も上昇している。今週は米中協議の再開、イギリスとEUの離脱交渉など注目点は多いが、膠着状態が続きそうだ。株価は上下動しながら、しだいに値を下げる公算が強い。

今週は7日に、8月の景気動向指数。8日に、8月の家計調査と毎月勤労統計、9月の景気ウオッチャー調査。10日に、9月の企業物価と8月の機械受注。アメリカでは8日に、9月の生産者物価。10日に、9月の消費者物価。11日に、10月のミシガン大学・消費者信頼感指数が発表される。なお10日には、米中間の閣僚級交渉がワシントンで開かれる予定。

       ≪7日の日経平均は? 予想 = 上げ


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10月は“荒れる月” : 株価
2019-10-08-Tue  CATEGORY: 政治・経済
◇ 売りと買いがせめぎ合うとき = 日経新聞によると、過去5年間の日経平均の月中値幅は10月の1764円が最も大きかった。アメリカの投資信託が決算に備えた売りを出しやすいという指摘もあるが、それだけでは説明し切れないだろう。とにかく高値と安値の差が大きいということは、それだけ売りと買いの力が大きかったということになる。歴史的にみると、世界恐慌が始まった1929年の“暗黒の木曜日”や、87年の“ブラックマンデー”も10月の出来事だったと、日経の記事は付け加えている。

最近のニューヨーク市場をみると、売りと買いの力がぶつかり合っている。売りはアメリカ経済の先行きに対する警戒感が、主たる力に。たとえば輸出の減退や生産の伸び悩み。あるいは景況判断の悪化が、製造業だけでなく非製造業にも広がってきたこと。その一方、買いはFRBによる追加利下げへの期待。年末商戦の予想が明るいこと。あるいは米中間の経済協議が進展するという希望的的観測などが根拠になっている。

東京市場はどうだろう。こちらも売り材料は、実体経済の悪化。輸出や生産の鈍化に加えて、企業や消費者の景況感も低下してきた。消費増税のあとの節約ムードも心配されている。その一方、買い材料は株価の低さがもたらす割安感。日本株はまだ買う余地があり、年末には年初来高値を更新すると予想する投資家も少なくない。

こうした売りと買い圧力の交錯で、10月第1週の株価はニューヨークでも東京でも大きく上下した。では今後はどうなるか。景気の悪化を示す指標が発表されれば、株価は下がる。その間を縫って利下げなどのニュースが出れば、株価は上がる。しかし、しだいに景気の悪化を示す兆候が強まって行くのではないか。激しく上下動しながら、株価は下がって行く。これが“荒れる”という意味だろう。

       ≪7日の日経平均 = 下げ -34.95円≫

       ≪8日の日経平均は? 予想 = 上げ


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パートの残業が減ったイミは?
2019-10-09-Wed  CATEGORY: 政治・経済
◇ 残業はイヤなのか、人件費削減か = 厚生労働省は8日、8月の毎月勤労統計を発表した。それによると、労働者1人当たりの名目賃金は平均27万6296円で前年を0.2%下回った。このうち一般労働者の給与総額は35万7112円で0.2%増加した。一方、パートタイム労働者の給与総額は9万9111円で0.1%減少している。この結果、物価の上昇分を差し引いた実質賃金は0.6%の減少。相変わらず実質賃金は伸び悩んだ。

一般労働者の給与が増加したにもかかわらず、全体の平均給与総額が減少したのは、パート労働者の所定外給与つまり残業代が4.6%も減少したことが主な原因。パート労働者の月間総労働時間は83.1時間で、前年より3.1%減少した。長時間働くのはイヤだというパート希望者が増えているのかもしれない。

最低賃金の引き上げに伴って、パート労働者の時給は大幅に上昇した。8月の場合、時給は1177円で前年比3.4%の増加となっている。またパート労働者の人数も増加を続け、労働者全体に占める割合は31.39%にまで上昇した。経営者としては、パートの人数を増やす一方で残業を減らし、人件費の膨張を抑えようとしているのかもしれない。

いちばん警戒しなければならないのは、景気の悪化を理由とした人件費の削減だろう。このケースでは、まずパートの残業が抑えられる。次いで一般労働者の残業、さらにパートの人員削減へと進む。現段階ではそうした動きは感知できないが、これから年末にかけての雇用情勢には注意が必要だ。

       ≪8日の日経平均 = 上げ +212.53円≫

       ≪9日の日経平均は? 予想 = 下げ


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裁判になる ふるさと納税 (上)
2019-10-10-Thu  CATEGORY: 政治・経済
◇ 泉佐野市が総務大臣を提訴へ = ふるさと納税を巡って、総務省と小さな地方自治体が法廷で争うことになりそうだ。コトの起こりはことし5月。総務省が6月からスタートさせた新ふるさと納税制度に、大阪府泉佐野市など4市町の参加を認めなかったこと。泉佐野市はこれを不服として、11月にも高市総務相を相手取って大阪高裁に提訴する方針だ。

ふるさと納税は、都道府県や市区町村に寄付をすると、自己負担分2000円を除いた全額が税控除の対象になる制度。18年度の寄付総額は5127億円と6年連続で最高を更新した。地方自治体によっては高額の返礼品を出して寄付を集めたため、総務省は「過度な返礼品は止めるよう」に、何度も通達を出している。しかし泉佐野市などは従わなかったので、新しい納税制度への参加を認めなかった。

総務省によると、17年度の場合で各自治体が集めた寄付額の平均は1億円強。これに対して泉佐野市は、アマゾンの高額ギフト券など豪華な返礼品を出して497億円。また静岡県小山町は250億円、和歌山県高野町は196億円、佐賀県みやき町は168億円の寄付を集めている。

こうした豪華な返礼品による寄付集めは、ふるさと納税の本来の趣旨に反する。また常識的な返礼品にとどめている他の自治体に対して不公平だ。総務省はこの弊害を是正するため地方税法を改正、返礼品は「地場産品で寄付額の3割以内とする」ことを明記し、ことし6月から新しいふるさと納税制度をスタートさせた。

                              (続きは明日)

       ≪9日の日経平均 = 下げ -131.40円≫

       ≪10日の日経平均は? 予想 = 上げ


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裁判になる ふるさと納税 (下)
2019-10-11-Fri  CATEGORY: 政治・経済
◇ 裁判の行くえは五分五分? = 裁判となった場合、実は泉佐野市には強力な助っ人が付いている。泉佐野市は総務省の決定を不服として、第3者機関の「国地方紛争処理委員会」に調停を申し立てた。この委員会は9月初めに勧告書をまとめたが、その趣旨は泉佐野市側にとって有利な内容となっている。理由は「改正以前の地方税法には、返礼品についての制約規定がない」「総務省が行政指導で返礼品の規制をするのは、地方分権の理念に反する疑いがある」というものだった。

これに対して総務省は「豪華すぎる返礼品は百害あって一利なし。ふるさと納税制度を維持するためには、行政指導も必要だった」と主張。紛争処理委員会の勧告を一蹴してしまった。常識的に考えれば、たしかに高額な返礼品で寄付を募る風潮は好ましいものではない。しかし泉佐野市などが、法律に違反していなかったことも事実である。

大阪高裁は、どんな判決を下すのだろうか。専門家の間でも、意見は分かれているようだ。法律に違反していないのに、懲罰的な措置を講じることの是非。中央官庁の地方自治体に対する行政指導の拘束力。地方自治体の自由裁量権などなど。裁判で論じられるとみられる問題点は数多い。

また新しいふるさと納税制度では、返礼品は「地場産品で、寄付額の3割以下」と規定された。だが優良な地場産品のない自治体にとって、この規定は厳しすぎるのではないか。総務省は過剰な返礼品について「他の自治体との不公平性」を指摘したが、この「地場産品に限る」規制は、新たな不公平を生じるのではないか。ふるさと納税はいま、多くの議論を巻き起こそうとしている。

       ≪10日の日経平均 = 上げ +95.60円≫

       ≪11日の日経平均は? 予想 = 上げ


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東京から 電柱が消える日
2019-10-12-Sat  CATEGORY: 政治・経済
◇ 小池知事は「30年までに」と発破 = 東京都はいま「オリンピック後の東京をどうするか」の計画作りに、頭をひねっている。その1つに挙がっているのが、無電柱化の促進。小池知事は「オリンピック後の10年間で完了するように」と指示しているが、これは容易な仕事ではない。なにより巨額の財源が必要だ。新しい事業を推進するために、古い事業を切り捨てられるかどうか。東京都は決断を迫られる。

国や都はこれまでも無電柱化を進めてきたが、まだ東京は“電柱の街”だ。たとえばロンドンとパリの無電柱化率は100%、ニューヨークは80%。台北は95%、ソウルでさえも46%。これに対して東京は16年度末で23区でも、わずかに8%という状態。景観の問題だけでなく、地震や台風で電柱が倒れ、交通障害や停電を起こしやすい。

なにしろ電柱の数が多い。都道に建てられた電柱は、およそ5万7000本。市区村道では62万9000本もある。その総延長は2300キロ・メートルに達する。これを地中化するのに要する費用は、1キロ・メートル当たり、なんと5億3000万円。総費用は気が遠くなるほど膨大な金額になる。その財源をどうするかが、最大の障害だ。

東京都がこれまでに進めてきた計画をみると、工事費のコスト削減に力を入れてきたことが判る。だが小池知事が指示したように「2030年までに完了」ということになると、それだけでは話にならない。国からの補助に加えて、都自体も一大決心をしなければならないだろう。たとえば水道や地下鉄・バス事業の民営化など。そこまで踏み切れれば、オリンピック後の景気を支える原動力にもなるはずだ。

       ≪11日の日経平均 = 上げ +246.89円≫

       【今週の日経平均予想 = 4勝1敗】   


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今週のポイント
2019-10-14-Mon  CATEGORY: 政治・経済
◇ 鬼のいぬ間の洗濯 = パウエルFRB議長が、講演で「保有資産の拡大が必要だ」と述べた。市場からの国債買い入れを増やす、つまり量的金融緩和の再開を明言したわけである。一方、トランプ大統領はワシントンで開いた米中間の閣僚級交渉が「非常にうまくいっている」と言明した。先週はアメリカ経済の変調を示す指標も発表されなかったため、市場は2つのニュースを好感。ダウ平均は週間243ドル値上がりして、先々週の下落をほぼ取り戻した。

日経平均も先週は389円の値上がり。先々週の下落をほぼ打ち消した。こちらも国内経済の減速を示す指標は発表されず、ニューヨーク株式の反発に引っ張られた形。しかも円相場が1円50銭も下落したことに助けられた。国際緊張が和らぐと円相場は下落しがちだが、それにしても予想外に大幅な円安の進行だった。その理由についての説明は、あまり聞こえてこない。

先週は“鬼のいぬ間の洗濯”だったが、今週はそうはいかない。米中協議の結果は部分合意にとどまり、ショッキングな内容とはならなかった。その一方で、アメリカでは景況感調査や小売り売上高が発表される。また中国が7-9月期のGDP速報や、固定資産投資額などを発表する予定。これらの内容しだいでは、株価がまた下向きになる可能性もある。

今週は15日に、8月の第3次産業活動指数。16日に、9月の訪日外国人客数。18日に、9月の消費者物価。アメリカでは15日に、10月のニューヨーク連銀・製造業景況指数。16日に、9月の小売り売上高と10月のNAHB住宅市場指数。17日に、9月の住宅着工と工業生産。18日に、9月のカンファレンス・ボード景気先行指数。また中国が14日に、9月の貿易統計。15日に、9月の消費者物価と生産者物価。18日に、7-9月期のGDP速報、9月の鉱工業生産、小売り売上高、固定資産投資額を発表する。

       ≪15日の日経平均は? 予想 = 上げ


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豚コレラで 米中が部分合意
2019-10-16-Wed  CATEGORY: 政治・経済
◇ さらなる進展は期待できない = 米中両国は先週10-11日にワシントンで閣僚級の協議を開き、部分的な合意に達した。その内容は、まず中国がアメリカ産の農畜産物を大量に輸入する。知的財産権の保護や元安誘導の自粛に努めるなどを約束。アメリカは15日に予定していた、中国製品2500億ドル分に対する関税30%への引き上げを見送るというもの。これだけ見ると、アメリカは振り上げたこぶしを抑えただけ。中国側が一方的に譲歩したような感じだが、実はそうでもない。

中国による農畜産物の輸入額は、500億ドルに達するとも伝えられる。来年11月の大統領選挙で、中西部の農業地帯はトランプ大統領にとっての大事な票田。大きな成果になると言えるだろう。大統領は「農家の皆さんは早いとこ大型トラクターを買った方がいいぞ」と、大層ご機嫌だった。

一方の中国。いま最大の問題になっているのが、中国人の食卓に欠かせない豚肉の値上がり。この9月の物価統計をみると、豚肉の小売価格は前年比69%の上昇。その原因が、アフリカ豚コレラの蔓延だ。政府は大量の殺処分を指示しているが、そのために供給量が激減。消費者の不満も日に日に高まっている。だから習政権は、アメリカからの豚肉輸入に飛びついた。

結局、両国は出来る範囲内での“いいとこ取り”をした形。中国の国有企業に対する補助金やファーウェイへの制裁解除など、根幹にかかわる問題には手が付けられなかった。しかもアメリカは、12月に“第4弾”の制裁関税を予定している。やさしい所をつまみ食いしてしまっただけに、残った問題点はいっそう頑強になってしまったかもしれない。

       ≪15日の日経平均 = 上げ +408.34円≫

       ≪16日の日経平均は? 予想 = 上げ


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ラグビー効果は 9万人? : 訪日客
2019-10-17-Thu  CATEGORY: 政治・経済
◇ 韓国人は58%の減少 = 観光局は16日、9月の訪日外国人観光客数を発表した。それによると、総数は227万2900人で前年比5.2%の増加。8月の減少から、再び増加傾向に戻っている。注目されたのは2点。1つはラグビー・ワールドカップ出場国からの旅行者が、軒並み増えたこと。もう1つは韓国からの観光客が、前年より6割近くも減ってしまったことだ。

韓国からの訪日客数は20万1200人で、前年を58.1%下回った。8月は48.0%の減少だったから、減り方は激しくなっている。1-9月の累計でみても13.4%の減少となった。観光局の分析によると、韓国人は中国やベトナムへの旅行を増やしているらしい。ただ最近になって、運休していた韓国機の日本向け定期便が復活したというニュースもある。

韓国人客の減少を、アジアや欧米の旅行客が増加して補う形となった。中国からの客数は依然として多く、9月も81万9100人で25.5%の増加。台湾も37万6200人で14.3%の増加。ともに9月としては過去最大を記録している。香港も大規模デモの影響はみられず、23.6%増の15万5900人だった。

ラグビー・ワールドカップ出場国・地域からの旅行者は、総数で34万7200人。昨年9月より9万2000人増えている。そのすべてがラグビーの応援に来たかどうかは定かでないが、客寄せに大きな効果があったことは確かだろう。ちなみに最大はアメリカの12万7000人。次いでオーストラリアが6万人。イングランド・スコットランド・ウエールズの3チームを出したイギリスは5万人。なかでサモアが昨年の19人から100人に増えているのが、なんとも微笑ましい。

       ≪16日の日経平均 = 上げ +265.71円≫

       ≪17日の日経平均は? 予想 = 下げ


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外国人労働者誘致は 設計ミス?
2019-10-18-Fri  CATEGORY: 政治・経済
◇ 半年間の資格認定は376人 = 外国人労働者の受け入れを拡大するための新しい在留資格「特定技能」制度が実施されたのは、ことしの4月。政府は今後5年間で34万5000人、初年度だけでも4万人が、人手不足を見込まれる14業種に誘致できると計算していた。ところが4-9月間に、特定技能者と認定された外国人はわずかに376人だけ。どこで目算が狂ってしまったのだろうか。

外国人が特定技能者の資格を得るためには、試験に合格しなければならない。この試験は日本国内と、労働者を送り出すタイやベトナムなどの現地で実施される。しかし現地では準備に手間取り、まだ試験を実施できない国が多い。この制度に責任を持つ出入国在留管理庁では「制度が複雑で判りにくい面もある。タイや中国などとは、送り出しに関するルールの制定ができていない」と説明している。そのうえ管理庁内での書類審査も、大渋滞の有様だ。

もっと大きそうな問題は、賃金の水準。政府は特定技能者の賃金を「日本人と同等以上」と規定した。ところが受け入れる企業側としては、宿舎や通訳も用意しなければならない。しかも最初は一から仕事を教え込まなければならず、日本人並みの賃金となると二の足を踏んでしまう。最低賃金も引き上げられており、特に中小企業は負担が増加する。

一方、中国や韓国、それにシンガポールなども人手不足。賃金水準は急速に上昇しており、日本との差は縮まってきている。こういう国々と日本は、東南アジアの若者を取り合う関係になってきた。率直に言って日本の特定技能制度は、職種にもよるが「安い賃金で単純労働をしてもらう」ことが目的。仕事に習熟した場合、待遇がよくなる希望に乏しいのではないか。制度設計を見直さないと、日本はソッポを向かれてしまう危険性があるのでは。

       ≪17日の日経平均 = 下げ -21.06円≫

       ≪18日の日経平均は? 予想 = 上げ


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冗談じゃないゾ! 預金に手数料
2019-10-19-Sat  CATEGORY: 政治・経済
◇ 大手銀行が真剣に検討中 = いま銀行に100万円を1年間預けておいても、利子はたったの100円しか付かない。こんどはその金利も止めて、逆に手数料を取る。たとえば100万円を預けておいたら、1年後には99万9900円ぐらいに目減りしてしまうわけだ。利用者からみると「そんなバカな」と思うしかないが、メガバンクや大手の地方銀行では預金手数料の導入を真剣に検討し始めた。

理由は言うまでもなく、日銀によるマイナス金利政策。預金金利も下がったが貸出金利が大幅に下落して、預金を貸し出しに回しても利ザヤで稼げなくなってしまった。国内銀行の新規貸出金利はマイナス金利導入前の12年7月には1.1%前後だったが、ことし7月には0.7%程度に低下している。

そんな状況のところへ、アメリカの中央銀行であるFRBがこの7月から金融緩和に転じた。ヨーロッパや新興国の多くも、これに追随して金利を引き下げている。アメリカがさらに金利を下げれば、日銀もマイナス金利をいっそう深堀りせざるをえなくなるだろう。そうなれば貸出金利はもっと低下し、銀行は本業の預金・貸出業務では食えなくなる。だから手数料という発想だ。

しかし預金者の反発は免れそうにない。すでに低金利が災いして、国民の銀行離れが目立ってきている。たとえば個人の定期預金残高は、ことし3月末で431兆円。ピーク時の99年に比べて3割も減少した。さらなる銀行離れは目に見えているが、それでも手数料の導入に踏み切るのか。銀行経営者の悩みは大きい。

       ≪18日の日経平均 = 上げ +40.82円≫

       【今週の日経平均予想 = 4勝0敗】   


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今週のポイント
2019-10-21-Mon  CATEGORY: 政治・経済
◇ 年初来高値を付けた日経平均 = 日経平均は先週694円の値上がり。ほぼ10か月ぶりに年初来高値を更新して終わった。先々週からの上げ幅は1000円を超えている。ニューヨークの株価が前半は堅調に推移。また米中経済戦争が中休みの形となったことに加えて、半導体の市況に底入れの兆しが見え、買い方が勢いづいた。円相場がほとんど動かなかったことも、安心感につながっている。

ダウ平均は先週46ドルの値下がり。初めは銀行や保険会社の好調な決算発表で上げたが、金曜日になってボーイングやJ&Jの業績悪化が明らかとなり、値を崩した。米中間の部分合意やFRBによる利下げ期待はプラス材料だったが、中国の成長鈍化や大詰めにきたイギリスのEU離脱問題はマイナス材料だった。

日米ともに、これから4-9月期の決算発表が本格化する。各種の予測から判断すると、日米ともに業績の悪化は避けられそうにない。ただ市場の空気からみると、ニュ―ヨークは割と素直に順応しそう。しかし東京は、いまのところ強気一点張りのように見受けられる。その強気がどこまで続くのか。早ければ今週にも、転機が訪れるかもしれない。

今週は21日に、9月の貿易統計、8月の全産業活動指数。アメリカでは22日に、9月の中古住宅販売。24日に、9月の新築住宅販売、10月のPMI製造業景況指数が発表される。

       ≪21日の日経平均は? 予想 = 下げ


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日経平均は はしゃぎすぎ!?
2019-10-22-Tue  CATEGORY: 政治・経済
◇ 10月に入って急上昇 = 日経平均株価が急騰した。先週は10か月ぶりに年初来高値を更新して終了。10月4日から先週末までの上げ幅は1150円、率にして5.4%に達している。この間、TOPIX(東証株価指数)は3.3%の上昇。ダウ平均株価は0.7%しか上がっていない。出遅れ気味だった日本株に注目が集まったことは確かだが、それにしても好材料に乏しいなかで出来過ぎの感じは否めない。

株式市場の環境は、決していいとは言えない。だが日経平均を買った投資家は、すべての材料を楽観的に解釈したようだ。たとえば景況感の低下などアメリカ経済の先行きに不安を生じても、それで利下げが確実になる。中国経済の鈍化が鮮明になっても、政府がもっと財政支出を増やすに違いない。米中の経済戦争も、来月に予定される首脳会談で突破口が開けるかもしれない・・・と。

日本国内をみても、8月の景気動向指数が悪化。9月の消費者心理は最低の水準。輸出は10か月連続で減少。政府も月例報告で、とうとう景気判断を引き下げた。だが株価には、ほとんど悪影響を及ぼしていない。肝心の企業業績も、7-9月期は20%前後の減益になりそう。それでも株価は上昇した。下がれば、日銀が買い出動するという期待も広がっている。

市場では「日経平均は年末まで上がる」という見方も少なくない。一般に物事を楽観的に考えることは悪いことではないが、度が過ぎると「浮かれすぎ」ということになってしまう。実体経済が下降しているときに株価が上がれば、どこかでツジつまが合わなくなってくるだろう。その転換点は、意外に早くやってくるのではないか。

       ≪21日の日経平均 = 上げ +56.22円≫      


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貿易赤字の元凶は 対中国
2019-10-23-Wed  CATEGORY: 政治・経済
◇ 上半期の赤字は1兆8860億円に = 財務省は21日、9月と今年度上半期の貿易統計を発表した。それによると、9月の輸出は6兆3685億円で前年比5.2%の減少。輸入は6兆4915億円で1.5%の減少だった。輸出の減少は10か月連続。この結果、貿易収支は1230億円の赤字となった。輸出では自動車部品・半導体製造装置・金属加工機械などが大きく減っている。

4-9月期でみると、輸出は38兆2332億円で前年比5.3%の減少。輸入は39兆0812億円で2.6%の減少。この結果、貿易収支は8480億円の赤字となっている。輸入の減少は、中東からの原租油輸入が減ったため。国内の景気鈍化が影響したものと考えられる。また輸出面では、アメリカ向けが8月から前年を下回り始めたことが気にかかる。

貿易収支が赤字に転落した主な原因は、中国向けの輸出が急落したことに求められる。上半期の統計でみると、輸出は7兆2337億円で前年を9.1%も下回った。輸入は9兆1198億円で1.1%の減少。この結果、中国との貿易赤字は1兆8860億円と巨額にのぼっている。仮にこの赤字幅が半分だったとすると、上半期の貿易収支は黒字だったことになる。

現在の日本は資本収支で大幅な黒字を出しているから、貿易面で多少の赤字になっても問題は起こらない。しかし輸出の大幅な減退が景気の足を引っ張ることは、言うまでもない。景気の面から言うと、大幅な貿易赤字は好ましくないことになる。そんな赤字が今後も続くのかどうか。その答えは、中国経済が握っていると言えるだろう。

         ≪23日の日経平均は? 予想 = 上げ


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八方塞がりの 中国経済 (上)
2019-10-24-Thu  CATEGORY: 政治・経済
◇ 外需に続いて内需も落ち込む = 中国経済が苦境に喘いでいる。統計局の発表によると、7-9月期の実質経済成長率はとうとう6.0%にまで落ち込んだ。前期より0.2ポイントの低下で、統計が発表されるようになった92年以降の最低水準。昨年1-3月期からの減速が止まらない。政府は6.5-6.0%を成長目標に掲げてきたが、その下限に張り付いてしまった。

最大の原因は、米国との関税引き下げ競争。輸出が伸び悩んだことから、製造業が不振に陥った。9月のアメリカ向け輸出は、前年比22%の減少。輸出全体も1-9月期では0.1%の減少となっている。このため自動車やスマホを中心に、工業生産が減退。製造業の成長率は7-9月期に5.2%と、前期より0.4ポイント低下した。

製造業の不況は、内需にも広がってきた。1-9月期の小売り売上高は前年比8.2%増だが、1-6月期の8.4%増より鈍化した。特に新車の販売は9月で15か月、スマホは3か月連続で前年実績を下回っている。小売り業の上位5000社でみると、7-9月期の売り上げは前年比わずか2%の増加。実質ベースではマイナスになっている。

設備投資や不動産投資を合計した固定資産投資額も、縮小している。1-9月期の投資額は前年比5.4%増で、1-6月期の5.8%を下回った。特に地方政府の財政事情が悪化したため、インフラ投資が激減している。このように中国経済の現状は、どこからみても芳しくない。また今後の見通しにも、明るさは乏しい。

                             (続きは明日)

       ≪23日の日経平均 = 上げ +76.48円≫

       ≪24日の日経平均は? 予想 = 上げ


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八方塞がりの 中国経済 (下)
2019-10-25-Fri  CATEGORY: 政治・経済
◇ 景気対策も限界に近づく = 習近平政権は、長期的な経済政策の目標として「20年のGDPを10年の2倍とする」ことを掲げてきた。成長率が鈍化すれば、その達成は難しくなる。そこで今春には、総額2兆元の減税を実施。また金融面でも、預金準備率の引き下げを繰り返してきた。だが、まだその効果は現われていない。そこで政府はさらなる景気対策を打ち出すに違いない、という期待も高まっている。

ところが政府は、追加の景気対策には慎重な姿勢を示している。というのも、これ以上の景気対策にはリスクが伴うからだ。まず財政面では、地方政府の借金が異常に膨らんでいる。財務省の発表によると、この8月末で地方政府の債務残高は21兆4000億元(約320兆円)に達した。借り入れがさらに増えると、地方債が暴落する恐れがあるとみられている。

金融面でも、問題が生じる。9月の消費者物価は前年比3.0%の上昇、5年ぶりの物価高となった。金融を緩めれば、物価の上昇を加速させる心配がある。また金利が下がると元相場が下落し、資金が海外に流出する危険性が大きい。こうしたことから、さすがの習政権も政策的には手詰まり感が強くなっているようだ。

中国経済が不調に陥った根源は、アメリカとの関税引き下げ競争にある。この米中経済戦争は、長引く可能性が大きい。とすれば、中国経済の鈍化もまだ止まらないだろう。IMF(国際通貨基金)は最新の分析で「中国の成長率は20年には5.8%まで低下する」と予測した。そこまで行けば、世界経済に対する悪影響はさらに増大。日本経済も、その渦中からは逃れられない。

       ≪24日の日経平均 = 上げ +125.22円≫

       ≪25日の日経平均は? 予想 = 下げ


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ラグビー と EU離脱問題
2019-10-26-Sat  CATEGORY: 政治・経済
◇ 理解しにくいイギリス人の二面性 = イギリスはラグビー・ワールドカップに、イングランド・ウエールズ・スコットランドの3チームを出してきた。アイルランドは北アイルランドとの混成チームだから、全国の地域がすべて出場したことになる。そしてイングランドとウエールズが、まだ4強に残っている。さすがにラグビー発祥の国だけのことはある。そのラグビーは、大英帝国の価値観を体現したもの。規則・公正・忍耐・団結を最重要視すると聞いた。

そのイギリスは、いまEUからの離脱を巡って大混乱のさなかにある。“秩序のある離脱”を目指したメイ首相が退陣。合意がなくても離脱すると息巻くジョンソン首相に変わったが、事態は一向に進展しない。10月31日の離脱期限を目前にしながら、議会は関連法案には賛成する一方で、審議を促進する動議は否決している。

ジョンソン首相はやむなくEUに対して3度目の期限延期を申し出たが、その手紙には署名がなかったというから驚く。そしてEUが延期を決めれば、解散・総選挙に打って出る方針だという。もし選挙に勝てば、強硬離脱に。負ければ、残留ということになるのだろうか。もちろん、議員の一人一人は信念を持って行動しているのだろうが、遠くから見ていると全体が空回りばかりしているように思えてならない。

そもそもは16年6月の国民投票で、離脱票が残留票をわずかに上回ったことから始まった。僅差ではあっても国民の意志が示されたわけだから、その時点でノー・サイドというわけにはいかなかったのか。仮に総選挙で残留派が勝つようなことがあれば、「イギリスはこの3年半、何をしてきたのか」と問われることになってしまう。いまのイギリス議会に求められるのは、崇高なラグビー精神なのではあるまいか。

       ≪25日の日経平均 = 上げ +49.21円≫

       【今週の日経平均予想 = 2勝2敗】   
 

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今週のポイント
2019-10-28-Mon  CATEGORY: 政治・経済
◇ アメリカの景気見通しが焦点に = 日経平均は先週307円の値上がり。3週間の続伸で、5日続けて年初来高値を更新した。日本株の出遅れ感に注目した、外国人投資家の買いが目立つ。決算発表で好業績の銘柄に買いが集中する一方で、業績不振の銘柄に対する売りは比較的少なかった。このため出来高は薄く、10月に入ってからの17営業日中10営業日で売買代金が2兆円に達していない。

ダウ平均は先週188ドルの値上がり。主要500社の7-9月期の業績は、純利益で前年比5.3%の減益になる見通し。しかし市場はFRBによる利下げを織り込み、10月以降の回復を期待して株価は下げなかった。ペンス副大統領が中国に対して厳しい姿勢を表明したが、米中経済戦争の早期決着にも意欲をみせたため、株価に対する影響は中立的だった。

東京市場については、外国人投資家の買いが今週も続くかどうかが焦点。日経平均は3週間の続伸で1400円近く上げており、東証1部上場企業のPER(株価収益率)14.59倍にまで上昇している。ニューヨーク市場については、今週7-9月期のGDP速報と10月の雇用統計が発表される。焦点はアメリカの景気見通しに移るだろう。なお31日はイギリスのEU離脱期限だが、どうやらまた延期されそうだ。

今週は28日に、8月の企業向けサービス価格。30日に、9月の商業動態統計。31日に、9月の鉱工業生産と住宅着工戸数、10月の消費動向指数。1日に、9月の労働力調査と10月の新車販売。アメリカでは29日に、9月の中古住宅販売と10月のカンファレンス・ボード消費者信頼感指数。30日に7-9月期のGDP速報。1日に、10月の雇用統計とISM製造業景況指数。またEUが31日に、7-9月期のGDP速報。中国が31日に、10月の製造業と非製造業のPMIを発表する。

       ≪28日の日経平均は? 予想 = 上げ


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利下げするしかない FRBの苦悩
2019-10-29-Tue  CATEGORY: 政治・経済
◇ 市場の期待度は9割超す = アメリカの中央銀行であるFRBは今週29-30日にFOMC(公開市場委員会)を開いて、当面の金融政策を決定する。アメリカの景気は米中経済戦争の影響を受けて、特に製造業の状態が悪化している。ISM(供給管理協会)が発表した9月の製造業景況指数は、前月に続いて好不況の境目とされる50を割り込んだ。7-9月期の企業業績も、3期連続の減益となる見通し。このため株式市場の内部では、利下げを見込む確率が9割を超えている。

FRBはことし7月と9月に、政策金利を0.25%ずつ引き下げた。現在の水準は2.00%。これをまた引き下げれば、4か月間に3回も利下げすることになり、きわめて異常。このためFRB内部にも「引き下げ反対」の声があるという。だが市場がほぼ完全に織り込んでしまったから、FRBとしては引き下げるしかなさそうだ。もし下げなければ、株価が暴落する恐れさえあるからだ。

悩ましいのは、アメリカでは30日に7-9月期のGDP速報、1日には10月の雇用統計が発表されることだ。仮にこれらの統計が景気の堅調を示すことになれば、FRBは「早まった」と言われかねない。特に雇用統計で時給の上昇率が高くなれば、利下げが「インフレの加速に手を貸した」と批判されるだろう。だがパウエル議長は、こうしたリスクを冒してでも利下げを決断することになりそうだ。

日銀も30-31日には、政策決定会合を開く。アメリカが利下げすれば、ヨーロッパ諸国や新興国の金利も下げの方向へ動く。また円相場には上昇圧力がかかる。日銀としてはそれを抑えるため、金利を下げたいところだ。しかし日本の場合、これ以上の金利低下は大きな副作用を伴うから、結局は座視するしかないだろう。

       ≪28日の日経平均 = 上げ +67.46円≫

       ≪29日の日経平均は? 予想 = 上げ


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まず洪水を 防ごう (上)
2019-10-30-Wed  CATEGORY: 政治・経済
◇ 大きすぎた河川氾濫の被害 = 「100年に1度」の自然災害が、年に何度も起きるようになった。特に河川の氾濫による洪水の被害が甚大だ。異常な大雨の原因が地球温暖化にあるとしたら、こうした自然現象が異常でなくなってしまう可能性も大きい。政府や地方自治体もこの問題を最優先課題として取り上げ、全力をあげて対策を急ぐべきである。

自民・公明の両党は先週23日、幹事長・国会対策委員長が会談。防災・減災と国家強靭化に関する合意文書をまとめた。政府に対して、中長期の新たなインフラ整備計画を作成し、その財源を確保するよう求める内容になっている。時宜に適した判断であり、応援して行きたい。だが、この種の政治的行動は往々にして「予算獲得の手段」としてだけに使われやすい。今後の展開をじっくり注視する必要がある。

政府は昨年12月、国家強靭化に関する3か年計画を策定。たとえば2340にのぼる河川の掘削や堤防補強などを、緊急に実施することを決めた。しかし、ことしの台風にはほとんど間に合っていない。国土交通省がまとめた資料によると、河川の洪水に対する整備率は国の管理分野が17年で72.2%、県の分野で55.8%。それが20年でも、それぞれ76%と60%にしか整備されない。この整備率をもっと大幅に引き上げなければ、またどこかで大洪水が起こってしまう。

国土交通省はことし6月、国土強靭化に関する年次計画をまとめて発表した。河川の氾濫による洪水はもちろん、大地震や津波、橋やトンネルの老朽化など、ありとあらゆる災害の可能性を網羅し、その対策を列挙している。ただ、そこには優先順位が全く付けられていない。また財源についても、全く触れていない。これでは国民の不安は、少しも解消しないのではないか。

                            (続きは明日)

       ≪29日の日経平均 = 上げ +106.86円≫

       ≪30日の日経平均は? 予想 = 上げ


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まず洪水を 防ごう (下)
2019-10-31-Thu  CATEGORY: 政治・経済
◇ 膨大すぎるインフラの更新費 = 今回の災害に対する補償・復旧費用は、予備費と補正予算で賄うことになる。だが将来の災害を防止するための費用は、本予算の公共事業費から支出することになる。大地震や津波、河川の氾濫、山崩れなど、対応すべき問題はきわめて多い。また橋や堤防などインフラの老朽化についても、早急に手を打たなければならない。

一般にインフラは建設後50年を経過すると、劣化が激しくなるといわれる。土木学会の調査によると、23年時点で建設後50年を超えるインフラは、道路橋が全体の39%、トンネルが27%、堤防など河川管理施設が42%に達する。このうち5年以内に修理が必要な個所は、8万件にのぼるという。

こうしたインフラの維持管理・更新にかかる費用は、今後30年間で194兆円に達すると試算されている。一方、たとえば19年度予算に計上されている公共事業費は7兆円に満たない。要するに、現在のインフラを維持するだけで手いっぱい。新幹線や高速道路の建設などは出来ないし、防災のための新たなインフラの構築も難しい。

公共事業費は98年の15兆円をピークに、大きく減少してきた。当時は新幹線や高速道路の建設ラッシュ。政治家はその誘致で、選挙の票を集められた時代だった。いまは考え方を180度変えるべきとき。公共事業は防災に集中し、優先度をつけながら執行する。たとえば「早急に河川の氾濫をなくす」と公約する政治家に、票が集まるような世の中にしたいものだ。

       ≪30日の日経平均 = 下げ -131.01円≫

       ≪31日の日経平均は? 予想 = 上げ


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