◇ 戦後最長の景気回復と言うけれど = 政府は1月の月例経済報告で「景気は緩やかに回復している」との判断を示した。この結果、12年12月から始まった今回の景気回復は74か月目に突入し「過去最長の記録を達成する可能性が強い」と判定している。この回復期間は、第2次安倍内閣の時期とぴったり一致する。したがって政府としては“アベノミックス景気”だと、大いに宣伝したいところだ。
ところが新聞やテレビの解説は、いずれも冷ややかだ。ほとんどが「実感に乏しい景気回復だ」と説明している。じっさい多くの国民も、そう感じているのだから仕方がない。その理由について、マスコミは「この間の経済成長率が、きわめて低かったこと」を挙げている。6年を超えた景気回復だが、年平均の実質成長率は1.2%にとどまった。
たとえば1965-70年の“いざなぎ景気”。このときの平均成長率は11.5%を記録している。この成長率だとGDPの大きさは6年半ほどで倍増するが、1.2%成長だと70年近く続かないと2倍にならない。スピード感で言えば、新幹線と自転車ほどの違いがある。少なくとも“いざなぎ景気”を体験した人にとっては、実感が湧きにくい。
それでも12年末からの景気回復で、GDPは約1割増大した。企業の利益は40兆円から67兆円に拡大、株価も1万円から2万円に上昇している。だから、その恩恵を受けて景気の回復を実感した人もいたはずだ。しかし、そういう人たちはごく一握り。多くの国民は、回復の恩恵に預かっていない。その原因は賃金が上がらないため、ということになる。
(続きは明日)
≪31日の日経平均 = 上げ +216.95円≫
≪1日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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ところが新聞やテレビの解説は、いずれも冷ややかだ。ほとんどが「実感に乏しい景気回復だ」と説明している。じっさい多くの国民も、そう感じているのだから仕方がない。その理由について、マスコミは「この間の経済成長率が、きわめて低かったこと」を挙げている。6年を超えた景気回復だが、年平均の実質成長率は1.2%にとどまった。
たとえば1965-70年の“いざなぎ景気”。このときの平均成長率は11.5%を記録している。この成長率だとGDPの大きさは6年半ほどで倍増するが、1.2%成長だと70年近く続かないと2倍にならない。スピード感で言えば、新幹線と自転車ほどの違いがある。少なくとも“いざなぎ景気”を体験した人にとっては、実感が湧きにくい。
それでも12年末からの景気回復で、GDPは約1割増大した。企業の利益は40兆円から67兆円に拡大、株価も1万円から2万円に上昇している。だから、その恩恵を受けて景気の回復を実感した人もいたはずだ。しかし、そういう人たちはごく一握り。多くの国民は、回復の恩恵に預かっていない。その原因は賃金が上がらないため、ということになる。
(続きは明日)
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≪1日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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◇ 将来への不安感が最大の敵 = 過去最長の景気回復が続いた12年から18年の間に、勤労者の家計はどうなったのだろうか。18年の統計がまだ発表されていないので推計してみると、実収入は月額で数1000円の増加。可処分所得は数1000円の減少になったと思われる。可処分所得というのは、実収入から税金と社会保険料を差し引いた金額。いわば家計支出の元手だから、これが減少すれば消費は伸びない。景気回復の実感も出るはずがない。
過去最大の利益を上げ続ける企業との差は歴然。経営者はなぜ賃上げに渋くなったのだろう。その大きな理由は、企業の多くが大半の利益を海外で生み出していること。その半面、国内では高齢化と人口減少が着実に進む。しかも税金や社会保険料はまだまだ上がりそうで、消費の大きな伸びは期待できそうにない。つまり将来展望が持てないから、人件費も増やせない。
一方、個人も将来に大きな不安を抱えている。高齢者は年金の減少や医療費の値上がりを憂慮する。若年層は可処分所得の縮小に加えて、年金や社会保障制度の崩壊を心配する。だから多くの人々は貯蓄に励む。ここでも景気拡大のネックは、将来に対する不安なのだ。
「猿は木から落ちても猿だが、政治家は落ちればただの人」ー-そこで政治家は選挙の票集めばかりを考えて、将来のことにあまり関心を持たない。だから将来の不安は、なかなか軽減しない。政治家の多くが「将来不安の解消策を掲げなければ、落選してしまう」と考えるようにならなければ、実感を伴った景気の回復は実現しないだろう。
≪1日の日経平均 = 上げ +14.90円≫
【今週の日経平均予想 = 3勝2敗】
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過去最大の利益を上げ続ける企業との差は歴然。経営者はなぜ賃上げに渋くなったのだろう。その大きな理由は、企業の多くが大半の利益を海外で生み出していること。その半面、国内では高齢化と人口減少が着実に進む。しかも税金や社会保険料はまだまだ上がりそうで、消費の大きな伸びは期待できそうにない。つまり将来展望が持てないから、人件費も増やせない。
一方、個人も将来に大きな不安を抱えている。高齢者は年金の減少や医療費の値上がりを憂慮する。若年層は可処分所得の縮小に加えて、年金や社会保障制度の崩壊を心配する。だから多くの人々は貯蓄に励む。ここでも景気拡大のネックは、将来に対する不安なのだ。
「猿は木から落ちても猿だが、政治家は落ちればただの人」ー-そこで政治家は選挙の票集めばかりを考えて、将来のことにあまり関心を持たない。だから将来の不安は、なかなか軽減しない。政治家の多くが「将来不安の解消策を掲げなければ、落選してしまう」と考えるようにならなければ、実感を伴った景気の回復は実現しないだろう。
≪1日の日経平均 = 上げ +14.90円≫
【今週の日経平均予想 = 3勝2敗】
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◇ FRBが引き締め中断の姿勢に = しばらく静かだった株式市場が、また動き出した。FRBは先週30日、大方の予想に反して金融引き締め政策の中断を表明。この日のダウ平均は400ドル以上も急騰した。このほか米中貿易交渉が予想以上に進んでいるという情報もあって、ダウ平均は先週327ドルの値上がり。6週間の連騰で、2か月ぶりに2万5000ドルを回復している。
出現したのは、好材料ばかりではない。悪材料のほとんどは、有力企業が発表した好ましくない決算内容。たとえばアップル、フォードなどの業績悪化が、株価の足を強く引っ張った。その多くが中国関連の銘柄。特に半導体に関係する企業の決算が悪かった。FRBが引き締めの中断を決めたのも、こうした決算が次々と発表されたためだと受け取る向きが多い。
日経平均は先週15円の値上がり。こちらも中国関連企業の減益決算に、株価は頭を抑えられた。またFRBの政策変更で、円相場の上昇が懸念されている。先週はまだ動かなかったが、今週以降どうなるか。米中貿易交渉については、アメリカ側が意図的に明るい情報を流し始めたようにみえる。今月中に、一定の和解が実現するのかどうか。
今週は7日に、12月の景気動向指数。8日に、12月の家計調査、毎月勤労統計、国際収支、1月の景気ウオッチャー調査。アメリカでは5日に、12月の貿易統計、1月のISM製造業景況指数が発表される。企業の決算発表は、日米ともにピーク。なお5日は、トランプ大統領の一般教書演説。
≪4日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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出現したのは、好材料ばかりではない。悪材料のほとんどは、有力企業が発表した好ましくない決算内容。たとえばアップル、フォードなどの業績悪化が、株価の足を強く引っ張った。その多くが中国関連の銘柄。特に半導体に関係する企業の決算が悪かった。FRBが引き締めの中断を決めたのも、こうした決算が次々と発表されたためだと受け取る向きが多い。
日経平均は先週15円の値上がり。こちらも中国関連企業の減益決算に、株価は頭を抑えられた。またFRBの政策変更で、円相場の上昇が懸念されている。先週はまだ動かなかったが、今週以降どうなるか。米中貿易交渉については、アメリカ側が意図的に明るい情報を流し始めたようにみえる。今月中に、一定の和解が実現するのかどうか。
今週は7日に、12月の景気動向指数。8日に、12月の家計調査、毎月勤労統計、国際収支、1月の景気ウオッチャー調査。アメリカでは5日に、12月の貿易統計、1月のISM製造業景況指数が発表される。企業の決算発表は、日米ともにピーク。なお5日は、トランプ大統領の一般教書演説。
≪4日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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◇ 単純な政策変更ではなさそう = FRBは先週30日に開いた政策決定会合で、政策金利2.5%の据え置きを決めた。また、その後に発表した声明では「今後の政策金利の調整には、忍耐強く当たる」と表明。さらに保有資産の縮小についても「計画を修正する用意がある」と述べた。市場関係者の多くはこの声明内容を「引き締め政策の終了」と解釈、ダウ平均はこの日だけで400ドル以上も急騰している。
FRBはなぜ、こんな声明を発表したのだろうか。一部のマスコミは「株価の下落を心配したため」と報じているが、これは違う。というのもダウ平均株価は、昨年12月下旬から6週間にわたって連騰しているからだ。では、アメリカ経済の先行きを心配したのだろうか。これも予想以上に強い雇用状況などをみると、すっきりとは納得しがたい。
この点について、パウエル議長は記者会見で「未解決の政策課題の不確実性が高まっている」と指摘した。具体的には米中貿易交渉やイギリスのEU離脱、さらには米政府機関の一部閉鎖などの事例を挙げている。つまり、こうした問題がどんな影響を及ぼすか不透明だから、事前に予防的な態勢をとるというわけだ。
パウエル議長は、こんな説明も加えている。今後の判断は「経済データ次第」であり、保有資産の縮小についても「具体的には、これから検討する」と。つまり政策を修正するかどうかは、これからの経済情勢による。きわめて常識的な見解であり、引き締め政策の即時中止とは必ずしも言っていない。市場はFRBの声明を、やや前のめりに受け取ったのかもしれない。
≪4日の日経平均 = 上げ +95.38円≫
≪5日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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FRBはなぜ、こんな声明を発表したのだろうか。一部のマスコミは「株価の下落を心配したため」と報じているが、これは違う。というのもダウ平均株価は、昨年12月下旬から6週間にわたって連騰しているからだ。では、アメリカ経済の先行きを心配したのだろうか。これも予想以上に強い雇用状況などをみると、すっきりとは納得しがたい。
この点について、パウエル議長は記者会見で「未解決の政策課題の不確実性が高まっている」と指摘した。具体的には米中貿易交渉やイギリスのEU離脱、さらには米政府機関の一部閉鎖などの事例を挙げている。つまり、こうした問題がどんな影響を及ぼすか不透明だから、事前に予防的な態勢をとるというわけだ。
パウエル議長は、こんな説明も加えている。今後の判断は「経済データ次第」であり、保有資産の縮小についても「具体的には、これから検討する」と。つまり政策を修正するかどうかは、これからの経済情勢による。きわめて常識的な見解であり、引き締め政策の即時中止とは必ずしも言っていない。市場はFRBの声明を、やや前のめりに受け取ったのかもしれない。
≪4日の日経平均 = 上げ +95.38円≫
≪5日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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◇ 悪化の原因はほとんどが中国 = ニューヨークでも東京でも、企業の決算発表がピークを迎えている。前期とは一変して、10-12月期は減益や赤字に陥った企業が多い。業績が悪化した原因は、ほとんどが中国での売り上げ減少。特に半導体と自動車関連企業に、その影響が色濃く表われている。ただ業績不振の企業が多い割に、全体としての株価は下げ渋っている。
市場に最も衝撃を与えたのは、これまでハイテク株を終始リードしてきたアップル。10-12月期は4.5%の売り上げ減少、0.5%の純利益減少で、減収減益となった。中国・台湾での売り上げが26.7%も落ち込んだ。1-3月期の見通しも悪く、アップルに部品を供給している世界中の企業に、これから悪影響が出てくると懸念されている。
このほか中国への依存度が高いキャタピラーも、アジア地域での建設機械の売り上げが27%減少。フォード自動車も中国での売れ行きが落ちて、2年ぶりの赤字を計上している。東京市場でも、日本電産が中国向けの輸出減少で6年ぶりの減益へ。ファナックやコマツ、TDKなども減益決算となった。
その半面、好調な業績を維持している企業も少なくない。アメリカではアマゾンやフェイスブックなど。日本ではソニーや村田製作所など。いずれも過去最高益を更新している。上場企業の約半数が好決算を維持していること、業績悪化の決算は市場が織り込んでいたこと。このためダウ平均や日経平均は、あまり下落していない。しかし中国経済の鈍化が止まらなければ、市場環境の悪化は避けられないことになる。
(続きは明日)
≪5日の日経平均 = 下げ -39.32円≫
≪6日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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市場に最も衝撃を与えたのは、これまでハイテク株を終始リードしてきたアップル。10-12月期は4.5%の売り上げ減少、0.5%の純利益減少で、減収減益となった。中国・台湾での売り上げが26.7%も落ち込んだ。1-3月期の見通しも悪く、アップルに部品を供給している世界中の企業に、これから悪影響が出てくると懸念されている。
このほか中国への依存度が高いキャタピラーも、アジア地域での建設機械の売り上げが27%減少。フォード自動車も中国での売れ行きが落ちて、2年ぶりの赤字を計上している。東京市場でも、日本電産が中国向けの輸出減少で6年ぶりの減益へ。ファナックやコマツ、TDKなども減益決算となった。
その半面、好調な業績を維持している企業も少なくない。アメリカではアマゾンやフェイスブックなど。日本ではソニーや村田製作所など。いずれも過去最高益を更新している。上場企業の約半数が好決算を維持していること、業績悪化の決算は市場が織り込んでいたこと。このためダウ平均や日経平均は、あまり下落していない。しかし中国経済の鈍化が止まらなければ、市場環境の悪化は避けられないことになる。
(続きは明日)
≪5日の日経平均 = 下げ -39.32円≫
≪6日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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◇ リーマン・ショックとの違い = いま中国経済の成長鈍化が、世界各国の経済にじわじわと影響し始めている。その影響は、特にスマホと自動車に大きく現われているようだ。世界のスマホ需要は2年ほど前から飽和状態にあって、全世界の昨年の出荷台数は14億5000万台。前年を4.1%下回った。そこへ最大の消費国である中国の需要が減少。たとえば中国国内の12月の生産は前年比10%、出荷は14%も減っている。
中国では、自動車の売れ行きにも陰りが見えてきた。昨年の新車販売台数は前年比2.8%の減少。前年を下回ったのは、なんと28年ぶりのことである。この需要減退に米中貿易戦争の影響が加わったため、アメリカ車は極端に売れなくなった。その結果、フォードは赤字決算に追い込まれた。
日本の中国向け輸出をみても、12月の半導体製造装置は前年比34%の減少。工作機械は56%も落ち込んだ。このように中国経済の成長鈍化は、各方面に影響を及ぼしてきている。しかしアメリカや日本の景気は底堅い動きを維持し、最高の収益を出し続ける企業も多い。さらに米中貿易戦争が終結する期待も、完全に否定はできない。
リーマン・ショックのときは不動産バブルが崩壊し、住宅ローン債券が一夜にして紙くずになる危険にさらされた。このため人々は先を争って、リスク回避に動いている。その結果、株価の急落を招いたが、今回の状況は全く性格を異にしている。だから株価も全体としては落ち込まない。しかし中国の不振が長引けば、その悪影響は確実に拡大することになる。
≪6日の日経平均 = 上げ +29.61円≫
≪7日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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中国では、自動車の売れ行きにも陰りが見えてきた。昨年の新車販売台数は前年比2.8%の減少。前年を下回ったのは、なんと28年ぶりのことである。この需要減退に米中貿易戦争の影響が加わったため、アメリカ車は極端に売れなくなった。その結果、フォードは赤字決算に追い込まれた。
日本の中国向け輸出をみても、12月の半導体製造装置は前年比34%の減少。工作機械は56%も落ち込んだ。このように中国経済の成長鈍化は、各方面に影響を及ぼしてきている。しかしアメリカや日本の景気は底堅い動きを維持し、最高の収益を出し続ける企業も多い。さらに米中貿易戦争が終結する期待も、完全に否定はできない。
リーマン・ショックのときは不動産バブルが崩壊し、住宅ローン債券が一夜にして紙くずになる危険にさらされた。このため人々は先を争って、リスク回避に動いている。その結果、株価の急落を招いたが、今回の状況は全く性格を異にしている。だから株価も全体としては落ち込まない。しかし中国の不振が長引けば、その悪影響は確実に拡大することになる。
≪6日の日経平均 = 上げ +29.61円≫
≪7日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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◇ なぜ感動性に欠けたのか = アメリカの大統領は、年に1回だけ議会で演説することができる。それが一般教書演説、わが国でいう施政方針演説だ。だから5日に行われたトランプ大統領の演説にも、世界中が注目した。しかし予想を超える内容は全く発信されず、聞く人々に感銘を与えた様子もない。その理由は、この演説が“トランプ・ファースト”に終始してしまったからに他ならない。
「米朝首脳会談を今月末にベトナムで行う」という発信はあった。しかし、このニュースは数日前から漏れていたし、トランプ大統領が自身の功績を自慢するためのイベントであることは見え見えだった。たしかに北朝鮮はこの15か月間、ミサイル発射や核実験を自粛した。それをトランプ氏が自慢するのはいいが、拉致問題にも人権問題にも触れなかったのはいかがなものか。
目の前に並んだ与野党議員に対しては、何度も“結束”を呼びかけた。結束して予算を通してほしいという、強い要請である。だが予算成立のネックとなっているメキシコ国境のカベ建設は、いぜんとして譲らない。これでは民主党も、姿勢を軟化させるはずがない。来週15日には、政府機関の一部閉鎖が再現する危険性を減らすこともできなかった。
アメリカ大統領の演説で名高いのは、ケネディ大統領が行った1961年の就任演説である。東西冷戦による国際緊張が高まっていた当時、ケネディ大統領は国民に団結を訴え「国が国民のために何をしうるかではなく、国民が国のために何をしうるかを考えて欲しい」と結んだ。この演説は格調高く国民に訴えたが、今回のトランプ演説は来年の大統領選挙だけを意識した“トランプ・ファースト”に終わってしまっている。
≪7日の日経平均 = 下げ -122.78円≫
≪8日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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「米朝首脳会談を今月末にベトナムで行う」という発信はあった。しかし、このニュースは数日前から漏れていたし、トランプ大統領が自身の功績を自慢するためのイベントであることは見え見えだった。たしかに北朝鮮はこの15か月間、ミサイル発射や核実験を自粛した。それをトランプ氏が自慢するのはいいが、拉致問題にも人権問題にも触れなかったのはいかがなものか。
目の前に並んだ与野党議員に対しては、何度も“結束”を呼びかけた。結束して予算を通してほしいという、強い要請である。だが予算成立のネックとなっているメキシコ国境のカベ建設は、いぜんとして譲らない。これでは民主党も、姿勢を軟化させるはずがない。来週15日には、政府機関の一部閉鎖が再現する危険性を減らすこともできなかった。
アメリカ大統領の演説で名高いのは、ケネディ大統領が行った1961年の就任演説である。東西冷戦による国際緊張が高まっていた当時、ケネディ大統領は国民に団結を訴え「国が国民のために何をしうるかではなく、国民が国のために何をしうるかを考えて欲しい」と結んだ。この演説は格調高く国民に訴えたが、今回のトランプ演説は来年の大統領選挙だけを意識した“トランプ・ファースト”に終わってしまっている。
≪7日の日経平均 = 下げ -122.78円≫
≪8日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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◇ 目的・内容・方法・組織まで一新せよ = 総務省は政府の基幹統計56本のうち4割に当たる23本で、その作成に誤りがあったと発表した。このため統計委員会に専門部会を設置、233本にのぼる政府統計のすべてを点検する方針。厚生労働省の毎月勤労統計に端を発したこの問題は、国民の統計に対する信頼感を大きく損ねてしまった。国会でも連日のように、論戦が繰り広げられている。
だが責任の追及も結構だが、政府統計に関する根本的な審査をしてほしい。まず数が多すぎる。国勢調査など重要な統計は総務省の統計局が管理・実施しているが、そのほかに各省庁が独自に統計を作成。これらが長い年月のうちに自己増殖してしまった。全く利用されていないもの、重複しているもの。精査すれば、統計の数は半分ぐらいに減らせるのではないか。
たとえば、内閣府と財務省が共同で実施している法人企業景気予測調査。その内容は日銀の企業短期経済観測調査と、ほとんど変わらない。また地価に関する大掛かりな調査は国税庁や国土交通省など4種類もあるが、集約できないのか。さらに家計調査では「ギョウザの消費が日本一」などと話題になるが、ギョウザまで調べる必要があるのだろうか。
その半面、あったら便利だと思う統計が作成されていない。たとえば企業の利益が時系列的に判る指数。あるいは家庭用電気料金の推移など。総務省が設置する専門部会では、こうした統計の取捨選択から調査の内容・方法、さらには全体の組織についてまで、じっくりと検討してもらいたい。統計の作成ミスは、予算と人員が不足しているからだという主張がある。だが不要な統計をばっさり切り捨てれば、予算も人員も足りてくる。
≪8日の日経平均 = 下げ -418.11円≫
【今週の日経平均予想 = 4勝1敗】
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だが責任の追及も結構だが、政府統計に関する根本的な審査をしてほしい。まず数が多すぎる。国勢調査など重要な統計は総務省の統計局が管理・実施しているが、そのほかに各省庁が独自に統計を作成。これらが長い年月のうちに自己増殖してしまった。全く利用されていないもの、重複しているもの。精査すれば、統計の数は半分ぐらいに減らせるのではないか。
たとえば、内閣府と財務省が共同で実施している法人企業景気予測調査。その内容は日銀の企業短期経済観測調査と、ほとんど変わらない。また地価に関する大掛かりな調査は国税庁や国土交通省など4種類もあるが、集約できないのか。さらに家計調査では「ギョウザの消費が日本一」などと話題になるが、ギョウザまで調べる必要があるのだろうか。
その半面、あったら便利だと思う統計が作成されていない。たとえば企業の利益が時系列的に判る指数。あるいは家庭用電気料金の推移など。総務省が設置する専門部会では、こうした統計の取捨選択から調査の内容・方法、さらには全体の組織についてまで、じっくりと検討してもらいたい。統計の作成ミスは、予算と人員が不足しているからだという主張がある。だが不要な統計をばっさり切り捨てれば、予算も人員も足りてくる。
≪8日の日経平均 = 下げ -418.11円≫
【今週の日経平均予想 = 4勝1敗】
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◇ ニューヨーク株も節分天井? = 証券業界には“節分天井”という格言がある。株価は2月初めごろピークを付けやすい、という昔からの言い伝えだ。この言葉通り、日経平均は先週後半から下げ足を速めている。もちろんアメリカに節分はないが、ダウ平均も先週後半から下げている。株価が軟調になったのは、EUの経済成長率が鈍化したこと。それにトランプ大統領が「2月中の米中首脳会談はない」と言明したことがきっかけ。
だが市場がもっと気にしたのは、企業業績の悪化が明白になってきたことだろう。アメリカでは12月期の決算発表が進むにつれ、主要500社の6割以上が業績見通しを下方修正した。日本でも上場企業の3月期決算は、3年ぶりの減益になる見込み。個々の企業によって例外はあるが、全体の収益が落ち込むなかで平均株価が上昇することは難しい。
ダウ平均は先週42ドルの値上がり。日経平均は455円の値下がりだった。日経平均の場合は出遅れによる割安感だけが強みだが、それもダウ平均が下げれば効果がない。米中貿易交渉に大きな進展でもあれば別だが、ここ当分は昔からの格言を改めて見直す展開になるのでは。
今週は12日に、12月の第3次産業活動指数。13日に、1月の企業物価。14日に、10-12月期のGDP速報。アメリカでは13日に、1月の消費者物価。14日に、1月の生産者物価と12月の小売り売上高。15日に、1月の工業生産と2月のミシガン大学・消費者信頼感指数。また中国が14日に、1月の貿易統計。15日に、1月の消費者物価と生産者物価を発表する。
≪12日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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だが市場がもっと気にしたのは、企業業績の悪化が明白になってきたことだろう。アメリカでは12月期の決算発表が進むにつれ、主要500社の6割以上が業績見通しを下方修正した。日本でも上場企業の3月期決算は、3年ぶりの減益になる見込み。個々の企業によって例外はあるが、全体の収益が落ち込むなかで平均株価が上昇することは難しい。
ダウ平均は先週42ドルの値上がり。日経平均は455円の値下がりだった。日経平均の場合は出遅れによる割安感だけが強みだが、それもダウ平均が下げれば効果がない。米中貿易交渉に大きな進展でもあれば別だが、ここ当分は昔からの格言を改めて見直す展開になるのでは。
今週は12日に、12月の第3次産業活動指数。13日に、1月の企業物価。14日に、10-12月期のGDP速報。アメリカでは13日に、1月の消費者物価。14日に、1月の生産者物価と12月の小売り売上高。15日に、1月の工業生産と2月のミシガン大学・消費者信頼感指数。また中国が14日に、1月の貿易統計。15日に、1月の消費者物価と生産者物価を発表する。
≪12日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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◇ 中国に続いて成長率が大幅に鈍化 = EUの政策執行機関であるヨーロッパ委員会は先週、19年の経済見通しを大幅に下方修正して発表した。それによると、ユーロ圏の実質成長率は1.3%になる見込み。3か月前の予測は1.9%だった。見通しが悪化した主な原因は、中国向けの輸出が伸び悩んだことにある。したがって中国の成長鈍化が続けば、ユーロ圏の成長率がさらに低下する可能性は否定できない。
特にユーロ圏経済の牽引車となってきたドイツの調子が悪い。昨年7-9月期には3年半ぶりにマイナス成長に陥ったが、19年も成長率は1.1%にとどまる見込み。また財政不安に苦しむイタリアは0.2%成長の見通しで、事実上は景気後退入りだと考えられている。さらにイギリスはEU離脱問題で大揺れ、フランスも政治的な混乱で身動きが取れない。
EU側からみると、中国はアメリカに次いで2番目に大きい貿易相手。輸入に限ると、その金額はアメリカを上回っている。その中国が経済不振に陥ったため、自動車などの輸出に急ブレーキがかかったわけだ。逆にEUの経済が不調になると、中国のEU向け輸出にブレーキがかかる。中国経済の立ち直りも遅くなってしまう。
中国に続いて、ユーロ圏の経済も下向いてきた。これがアメリカや日本にも、悪影響を及ぼすことは避けられない。日本の場合、18年の輸出額は中国向けが15兆9000億円、アメリカ向けが15兆5000億円、EU向けが9兆2000億円となっている。このうち中国とEUの景気が悪化しているのだから、決して楽観はできない。
≪12日の日経平均 = 上げ +531.04円≫
≪13日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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特にユーロ圏経済の牽引車となってきたドイツの調子が悪い。昨年7-9月期には3年半ぶりにマイナス成長に陥ったが、19年も成長率は1.1%にとどまる見込み。また財政不安に苦しむイタリアは0.2%成長の見通しで、事実上は景気後退入りだと考えられている。さらにイギリスはEU離脱問題で大揺れ、フランスも政治的な混乱で身動きが取れない。
EU側からみると、中国はアメリカに次いで2番目に大きい貿易相手。輸入に限ると、その金額はアメリカを上回っている。その中国が経済不振に陥ったため、自動車などの輸出に急ブレーキがかかったわけだ。逆にEUの経済が不調になると、中国のEU向け輸出にブレーキがかかる。中国経済の立ち直りも遅くなってしまう。
中国に続いて、ユーロ圏の経済も下向いてきた。これがアメリカや日本にも、悪影響を及ぼすことは避けられない。日本の場合、18年の輸出額は中国向けが15兆9000億円、アメリカ向けが15兆5000億円、EU向けが9兆2000億円となっている。このうち中国とEUの景気が悪化しているのだから、決して楽観はできない。
≪12日の日経平均 = 上げ +531.04円≫
≪13日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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◇ 米中貿易交渉やイギリスのEU離脱ほか = 期せずして、この3月には世界経済を揺るがしかねない重要案件が集中した。米中貿易戦争の行くえ、イギリスのEU離脱、中国の全国人民代表大会、そして日米両国による貿易交渉・・・。どれをとっても、その結末いかんでは世界経済や日本経済に重大な影響を与えかねない。しかも、その結末を正確に予測することは困難だ。だから不気味である。
・3月1日――トランプ大統領が設定した米中貿易交渉の最終期限。この日までに合意できなければ、アメリカは中国から輸入する2000億ドル分の商品について、現在10%の関税を25%に引き上げると宣言している。仮にそうなれば、中国製品のすべてに禁止的な高関税が課されることになり、中国経済が大打撃を被ることは間違いない。中国側が報復関税をかければ、アメリカ経済にも大きな悪影響が及ぶ。
この貿易摩擦を解消するため、米中両国はこれまで何回も協議を重ねてきた。そして、きょう14日からは北京で閣僚級の協議が開かれる。すでに中国側はアメリカからの輸入を大幅に増やし、24年には対米黒字をゼロにすると提案。貿易問題ではかなりの進展があったと伝えられる。しかし知財や国有企業への補助金問題では、協議が難航。トランプ大統領は関税引き上げの最終期限を延期して協議を継続するとみられているが、はたして結果はどうなるか。
・3月上旬――アメリカ政府が国債を発行できなくなる心配。いま世間は、メキシコ国境のカベ建設予算を巡るトランプ大統領と民主党の対立に注目している。与野党がやっとまとめた妥協案に、トランプ大統領が同意するかどうか。仮に同意しなければ、再び政府機関の一部が閉鎖されることになる、と同時に3月になると、政府の債務上限を決めた法律が期限切れに。議会が限度の引き上げを可決しないと、政府は国債も発行できなくなる。いまの政治状況からみて、その心配は決して小さくない。
(続きは明日)
≪13日の日経平均 = 上げ +280.27円≫
≪14日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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・3月1日――トランプ大統領が設定した米中貿易交渉の最終期限。この日までに合意できなければ、アメリカは中国から輸入する2000億ドル分の商品について、現在10%の関税を25%に引き上げると宣言している。仮にそうなれば、中国製品のすべてに禁止的な高関税が課されることになり、中国経済が大打撃を被ることは間違いない。中国側が報復関税をかければ、アメリカ経済にも大きな悪影響が及ぶ。
この貿易摩擦を解消するため、米中両国はこれまで何回も協議を重ねてきた。そして、きょう14日からは北京で閣僚級の協議が開かれる。すでに中国側はアメリカからの輸入を大幅に増やし、24年には対米黒字をゼロにすると提案。貿易問題ではかなりの進展があったと伝えられる。しかし知財や国有企業への補助金問題では、協議が難航。トランプ大統領は関税引き上げの最終期限を延期して協議を継続するとみられているが、はたして結果はどうなるか。
・3月上旬――アメリカ政府が国債を発行できなくなる心配。いま世間は、メキシコ国境のカベ建設予算を巡るトランプ大統領と民主党の対立に注目している。与野党がやっとまとめた妥協案に、トランプ大統領が同意するかどうか。仮に同意しなければ、再び政府機関の一部が閉鎖されることになる、と同時に3月になると、政府の債務上限を決めた法律が期限切れに。議会が限度の引き上げを可決しないと、政府は国債も発行できなくなる。いまの政治状況からみて、その心配は決して小さくない。
(続きは明日)
≪13日の日経平均 = 上げ +280.27円≫
≪14日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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◇ 中国もEUも先行き不透明 = 落ち込んできた中国経済、混迷を深めるEUの状況も、この3月には重大な局面を迎える。
・3月5日――全国人民代表大会が開幕。中国経済の成長鈍化が、ますます鮮明になってきた。18年の実質成長率は6.6%まで縮小。天安門事件で混乱した90年以来の低い伸び率で、特に10-12月期は6.4%に落ち込んでいる。政府は減税や鉄道建設投資、車や家電購入への補助金など大々的な景気対策を講じ始めた。だが19年の成長率が政府目標の6.5%を割り込むことは必至の情勢。習政権が全人代で、19年の目標をどのように設定するかに世界の注目が集まっている。
・3月29日――イギリスがEUを離脱する日。メイ首相がEUと合意した協定案を、イギリス議会が否決。やむなくメイ首相が作成した修正案をEU側が拒否。最大の問題は、イギリス領北アイルランドとEU加盟国アイルランドとの国境管理だが、この難問を解く妙案は見つかりそうにない。というのもイギリス国民と議会が、離脱と残留に分裂しているからだ。3月29日に“合意なき離脱”の可能性が日に日に高まっている。
仮にそうなれば、大混乱は必至。イギリスと大陸側を結ぶ大動脈のドーバー・トンネルは大渋滞に陥り、物流が遮断されると予想されている。このため企業は在庫を増やしたり、操業の縮小や中止を計画。少なくともイギリス経済は、大不況に突入する危険性が高い。またイギリスに拠点を構える日本企業も、かなりの損害を被る可能性が強い。
・3月中――日本とアメリカの2国間貿易交渉が始まる。これまでアメリカ側はカナダ・メキシコ、EU、中国との交渉に忙しく、日本との本格的交渉は延び延びになっていた。しかし3月1日の時点で、中国とのモノ貿易については一段落する見込みだ。6月のG20でトランプ大統領と安倍首相が笑顔で握手するためには、そろそろ交渉を始めなければ間に合わない。この交渉で、アメリカ側が自動車の輸入関税を持ち出してくるかどうか。
≪14日の日経平均 = 下げ -4.77円≫
≪15日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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・3月5日――全国人民代表大会が開幕。中国経済の成長鈍化が、ますます鮮明になってきた。18年の実質成長率は6.6%まで縮小。天安門事件で混乱した90年以来の低い伸び率で、特に10-12月期は6.4%に落ち込んでいる。政府は減税や鉄道建設投資、車や家電購入への補助金など大々的な景気対策を講じ始めた。だが19年の成長率が政府目標の6.5%を割り込むことは必至の情勢。習政権が全人代で、19年の目標をどのように設定するかに世界の注目が集まっている。
・3月29日――イギリスがEUを離脱する日。メイ首相がEUと合意した協定案を、イギリス議会が否決。やむなくメイ首相が作成した修正案をEU側が拒否。最大の問題は、イギリス領北アイルランドとEU加盟国アイルランドとの国境管理だが、この難問を解く妙案は見つかりそうにない。というのもイギリス国民と議会が、離脱と残留に分裂しているからだ。3月29日に“合意なき離脱”の可能性が日に日に高まっている。
仮にそうなれば、大混乱は必至。イギリスと大陸側を結ぶ大動脈のドーバー・トンネルは大渋滞に陥り、物流が遮断されると予想されている。このため企業は在庫を増やしたり、操業の縮小や中止を計画。少なくともイギリス経済は、大不況に突入する危険性が高い。またイギリスに拠点を構える日本企業も、かなりの損害を被る可能性が強い。
・3月中――日本とアメリカの2国間貿易交渉が始まる。これまでアメリカ側はカナダ・メキシコ、EU、中国との交渉に忙しく、日本との本格的交渉は延び延びになっていた。しかし3月1日の時点で、中国とのモノ貿易については一段落する見込みだ。6月のG20でトランプ大統領と安倍首相が笑顔で握手するためには、そろそろ交渉を始めなければ間に合わない。この交渉で、アメリカ側が自動車の輸入関税を持ち出してくるかどうか。
≪14日の日経平均 = 下げ -4.77円≫
≪15日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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◇ 閣議決定をしない不思議 = 政府は12日の閣議で、子ども・子育て支援法改正案と大学等就学支援法案の国会提出を決定した。平たく言えば、幼児教育・保育と高等教育を無償化する法案である。国会で成立すれば、幼児教育・保育の無償化は10月から、高等教育は20年4月から実施する方針。両方を合わせて、年1兆5364億円の財源が必要になる。
この財源には、10月に予定している消費税引き上げによる増収分を充てることが決まっている。ところが不思議なことに、政府はまだ消費税引き上げ法案の閣議決定をしていない。過去に消費税を引き上げたとき、当時の政府は実施の半年以上前に閣議で決定している。安倍内閣は、なぜ閣議決定しないのだろうか。
紛らわしいことに、消費増税の実施はすでに閣議決定されている。昨年6月に決定した“骨太の方針”のなかで「19年10月に引き上げる」と明記されているからだ。しかし実際に増税するためには、国会で増税法案を通さなければならない。その法案を国会に提出するためには、閣議決定が必要だ。その時点で増税の実施が確定する、というのが常識的な考え方である。
安倍首相は「リーマン・ショック級の不況がこない限り、予定通り実施する」と、たびたび明言している。すると、まだ景気の先行きに不安を感じているから閣議決定できないのか。あるいは増税法案の詳細が、まだ詰め切れないのか。いろいろ疑ってしまう。でも無償化法案が国会に提出されたあとで、増税はまた延期しますなどと言えるのだろうか。まことに不可解と言うしかない。
≪15日の日経平均 = 下げ -239.08円≫
【今週の日経平均予想 = 2勝2敗】
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この財源には、10月に予定している消費税引き上げによる増収分を充てることが決まっている。ところが不思議なことに、政府はまだ消費税引き上げ法案の閣議決定をしていない。過去に消費税を引き上げたとき、当時の政府は実施の半年以上前に閣議で決定している。安倍内閣は、なぜ閣議決定しないのだろうか。
紛らわしいことに、消費増税の実施はすでに閣議決定されている。昨年6月に決定した“骨太の方針”のなかで「19年10月に引き上げる」と明記されているからだ。しかし実際に増税するためには、国会で増税法案を通さなければならない。その法案を国会に提出するためには、閣議決定が必要だ。その時点で増税の実施が確定する、というのが常識的な考え方である。
安倍首相は「リーマン・ショック級の不況がこない限り、予定通り実施する」と、たびたび明言している。すると、まだ景気の先行きに不安を感じているから閣議決定できないのか。あるいは増税法案の詳細が、まだ詰め切れないのか。いろいろ疑ってしまう。でも無償化法案が国会に提出されたあとで、増税はまた延期しますなどと言えるのだろうか。まことに不可解と言うしかない。
≪15日の日経平均 = 下げ -239.08円≫
【今週の日経平均予想 = 2勝2敗】
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◇ 政治に振り回される市場 = ダウ平均株価は先週777ドルの値上がり。これで8週間連続の上昇となり、2万6000ドルにあと100ドルちょっとの水準にまで回復した。ニューヨーク市場では「このV字回復は株価の底入れを示す」という受け取り方も広まっている。12月決算での減益幅が予想より小さく、FRBが引き締め政策の中断を示唆したことが安心感につながった。さらに先週は、議会がまとめた予算案をトランプ大統領が受け入れて政府機関の閉鎖が回避されたこと、米中貿易交渉に一定の進歩がみられたことなども、株価を押し上げる材料となった。
ところがトランプ大統領は週末になって、メキシコ国境のカベ建設を推進するため“国家非常事態宣言”を発動すると発表した。この強硬措置で、民主党との関係がいっそう悪化することは確実。すると政府の債務上限を引き上げる問題は、ますます難しくなるに違いない。大統領の常識を超えた行動が、どこまで大きな政治問題に発展するのか。市場は解明に苦しみそうだ。
日経平均も先週は567円の値上がり。一時は2か月ぶりに2万1000円を回復した。ニューヨークの市況にも引きずられたが、円相場が下落気味に動いたことにも助けられた。今週はアメリカの政治情勢、イギリスのEU離脱、中国の経済動向など、海外の状況を見守る展開になりそうだ。
今週は18日に、12月の機械受注。20日に、1月の貿易統計と訪日外国人客数。21日に、12月の全産業活動指数。22日に、1月の消費者物価。アメリカでは19日に、2月のNAHB住宅市場指数。20日に、1月の住宅着工戸数。21日に、1月の中古住宅販売、カンファレンス・ボード景気先行指数が発表される。
≪18日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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ところがトランプ大統領は週末になって、メキシコ国境のカベ建設を推進するため“国家非常事態宣言”を発動すると発表した。この強硬措置で、民主党との関係がいっそう悪化することは確実。すると政府の債務上限を引き上げる問題は、ますます難しくなるに違いない。大統領の常識を超えた行動が、どこまで大きな政治問題に発展するのか。市場は解明に苦しみそうだ。
日経平均も先週は567円の値上がり。一時は2か月ぶりに2万1000円を回復した。ニューヨークの市況にも引きずられたが、円相場が下落気味に動いたことにも助けられた。今週はアメリカの政治情勢、イギリスのEU離脱、中国の経済動向など、海外の状況を見守る展開になりそうだ。
今週は18日に、12月の機械受注。20日に、1月の貿易統計と訪日外国人客数。21日に、12月の全産業活動指数。22日に、1月の消費者物価。アメリカでは19日に、2月のNAHB住宅市場指数。20日に、1月の住宅着工戸数。21日に、1月の中古住宅販売、カンファレンス・ボード景気先行指数が発表される。
≪18日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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◇ 選挙の票しか考えないぞ = またビッグ・ニュースを造り出してやった。議会がまとめた修正予算案に署名した一方で、大統領の権限を使って非常事態宣言を発令。国防予算などの使途を変更して81億ドル(約9000億円)の財源を捻出、メキシコ国境のカベ建設を強行するんだ。修正予算案にはカベ建設費が13億7500万ドルしか入っておらず不満だったが、これに署名したことで国家機関の一部閉鎖は回避される。これで無党派層の支持も取り付けられるに違いない。
カベ建設を強行する姿勢を打ち出したことで、保守層の支持はさらに強まるだろう。民主党との関係は極端に悪化するだろうが、それは覚悟のうえ。非常事態宣言の発令を巡っては各地で訴訟が起こされ、最終的には最高裁の判断を待つことになるかもしれない。でも地裁で負けることはあっても、最高裁では勝てる。そのために、最高裁の判事に保守派を送り込んでおいたのだから。
政治的な緊張感が高まり、株価が下がっては困る。そこで北朝鮮や中国との関係改善を前面に打ち出し、株価を持ち上げる。その一方ではイランに対する締め付けを強化し、国際緊張のバランスを維持することも必要だ。また当分は議会との関係がこじれるから、政府債務の上限引き上げが難しくなるかもしれない。
議会が債務限度の引き上げを認めないと、夏前には政府の資金が枯渇する。すると国債の新規発行ができず、利子の支払いも出来なくなる。11年には同様の問題が起こり、アメリカ国債が格下げされた。しかし今回その危険性が高まれば、責任は大統領より議会にあるという判断になるだろう。議会が動かなければ、また非常事態を宣言する手もあるぞ。
≪18日の日経平均 = 上げ +381.22円≫
≪19日の日経平均は? = 下げ≫
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カベ建設を強行する姿勢を打ち出したことで、保守層の支持はさらに強まるだろう。民主党との関係は極端に悪化するだろうが、それは覚悟のうえ。非常事態宣言の発令を巡っては各地で訴訟が起こされ、最終的には最高裁の判断を待つことになるかもしれない。でも地裁で負けることはあっても、最高裁では勝てる。そのために、最高裁の判事に保守派を送り込んでおいたのだから。
政治的な緊張感が高まり、株価が下がっては困る。そこで北朝鮮や中国との関係改善を前面に打ち出し、株価を持ち上げる。その一方ではイランに対する締め付けを強化し、国際緊張のバランスを維持することも必要だ。また当分は議会との関係がこじれるから、政府債務の上限引き上げが難しくなるかもしれない。
議会が債務限度の引き上げを認めないと、夏前には政府の資金が枯渇する。すると国債の新規発行ができず、利子の支払いも出来なくなる。11年には同様の問題が起こり、アメリカ国債が格下げされた。しかし今回その危険性が高まれば、責任は大統領より議会にあるという判断になるだろう。議会が動かなければ、また非常事態を宣言する手もあるぞ。
≪18日の日経平均 = 上げ +381.22円≫
≪19日の日経平均は? = 下げ≫
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◇ 廃炉決定・検討中は26基に = 九州電力は先週、玄海原発2号機(佐賀県)を廃炉にすると発表した。玄海2号機の出力は55万9000KWと小型。1981年3月に稼働したが、東日本大震災後は運転を停止していた。廃炉にする理由は、震災後に強化された安全基準を守るための費用が掛かり過ぎるため。老朽年数を考えると、再稼働させても採算が取れないと判断した。九州電力によると、廃炉に必要な費用は365億円。
東日本大震災の前、日本には54基の商業用原発が存在した。そのうち福島第1原発を含め、玄海2号機までで計26基が廃炉を決定もしくは検討している。残りは28基だが、これまでに原子力規制委員会の審査に合格したものが15基。うち再稼働しているのは9基、残りの13基が審査待ちというのが原発の現状である。
日本には商業用原発のほかに、原子力開発研究機構などが保有する研究用の原発もある。たとえば高速増殖炉もんじゅ(福井県)や東海再処理施設(茨城県)など。これらも結果的に失敗したり、老朽化したりして、多くが廃炉の決定を下された。原子力技術の喪失を心配する声もあるが、後継機を造る計画はいまのところない。
原発の新設は、きわめて困難な情勢だ。したがって商業用原発で審査を待っている13基がすべて合格したとしても、日本の原発は最大限28基という計算になる。だが審査で不合格になったり、老朽化が進んだりして、実際に稼働する原発はもっと減るに違いない。原発に賛成・反対の議論を飛び越えて、現実は“原発の時代”の終わりを告げていると言えるだろう。
(続きは明日)
≪19日の日経平均 = 上げ +20.80円≫
≪20日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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東日本大震災の前、日本には54基の商業用原発が存在した。そのうち福島第1原発を含め、玄海2号機までで計26基が廃炉を決定もしくは検討している。残りは28基だが、これまでに原子力規制委員会の審査に合格したものが15基。うち再稼働しているのは9基、残りの13基が審査待ちというのが原発の現状である。
日本には商業用原発のほかに、原子力開発研究機構などが保有する研究用の原発もある。たとえば高速増殖炉もんじゅ(福井県)や東海再処理施設(茨城県)など。これらも結果的に失敗したり、老朽化したりして、多くが廃炉の決定を下された。原子力技術の喪失を心配する声もあるが、後継機を造る計画はいまのところない。
原発の新設は、きわめて困難な情勢だ。したがって商業用原発で審査を待っている13基がすべて合格したとしても、日本の原発は最大限28基という計算になる。だが審査で不合格になったり、老朽化が進んだりして、実際に稼働する原発はもっと減るに違いない。原発に賛成・反対の議論を飛び越えて、現実は“原発の時代”の終わりを告げていると言えるだろう。
(続きは明日)
≪19日の日経平均 = 上げ +20.80円≫
≪20日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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◇ 原発のコストは高かった = かつて原発の新設が盛んだったころ「発電コストは原発がいちばん安い」というのが常識だった。電気事業連合会が03年に発表した資料では「1KW時の電力を造るコストは原子力が5.3円、石炭火力が5.7円、石油火力は10.7円など」となっている。ところが11年の東日本大震災で、このコスト計算は大幅な変更を迫られた。安全対策費などが急増したほか、廃炉の費用まで計上するようになったからである。
この結果、現在の原子力による発電コストは、石炭火力の1.5倍だと試算されている。さらに、まだ計上されていない放射性燃料の最終処分費を加えれば、コストはずっと高くなるだろう。いま旧電力業界は16年に始まった自由化で、新規参入企業の攻勢を受けている。そんなときに、地域住民からも嫌われコストも高い原発は敬遠せざるをえない。それが廃炉のラッシュにつながった。
廃炉のコストは、けっこう高い。小型の玄海2号機でも365億円かかる。高速増殖炉もんじゅは3750億円。日経新聞の集計によると、原子力施設すべての廃止には6兆7000億円が必要だという。このうち商業用原発は各電力会社が積み立てているが、研究用は準備がない。結局は料金と税金を通じて、消費者が負担することになる。
政府のエネルギー基本計画によると、30年の電源に占める原発の比率は20-22%となっている。現状からみると、この比率は達成できそうにない。その不足分は太陽光など再生可能エネルギーで埋めるのが理想的だが、政府はそのための施策をなにも講じていない。日本にとって最重要なエネルギー計画は、いま宙ぶらりんのままになっている。
≪20日の日経平均 = 上げ +128.84円≫
≪21日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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この結果、現在の原子力による発電コストは、石炭火力の1.5倍だと試算されている。さらに、まだ計上されていない放射性燃料の最終処分費を加えれば、コストはずっと高くなるだろう。いま旧電力業界は16年に始まった自由化で、新規参入企業の攻勢を受けている。そんなときに、地域住民からも嫌われコストも高い原発は敬遠せざるをえない。それが廃炉のラッシュにつながった。
廃炉のコストは、けっこう高い。小型の玄海2号機でも365億円かかる。高速増殖炉もんじゅは3750億円。日経新聞の集計によると、原子力施設すべての廃止には6兆7000億円が必要だという。このうち商業用原発は各電力会社が積み立てているが、研究用は準備がない。結局は料金と税金を通じて、消費者が負担することになる。
政府のエネルギー基本計画によると、30年の電源に占める原発の比率は20-22%となっている。現状からみると、この比率は達成できそうにない。その不足分は太陽光など再生可能エネルギーで埋めるのが理想的だが、政府はそのための施策をなにも講じていない。日本にとって最重要なエネルギー計画は、いま宙ぶらりんのままになっている。
≪20日の日経平均 = 上げ +128.84円≫
≪21日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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◇ アメリカ向けはいぜん堅調 = 財務省は20日、1月の貿易統計を発表した。それによると、輸出は5兆5700億円で前年比8.4%の減少。輸入は6兆9900億円で0.6%の減少だった。この結果、貿易収支は1兆4200億円の赤字となっている。輸出は2か月連続の減少、輸入は10か月ぶりの減少。収支の赤字は4か月連続だった。
特に目立ったのは、中国向けの輸出が予想以上に減少したこと。輸出額は9581億円で、前年比では17.4%も減っている。12月も7.0%減少しており、中国向け輸出の変調が際立つ形となった。品目では電子回路等の機械、半導体製造装置などが激減している。これは米中貿易戦争の影響もあって、中国のIT関連生産が落ち込んだ結果だと考えられる。
中国経済の不振は、東南アジア諸国にも波及してきたようだ。このため1月は、アジア向けの輸出も13.1%減少した。タイやフィリピンなどの諸国が日本から部品などを輸入し、組み立てて中国に輸出する工程が細ってきたためだろう。またEU向けの輸出も、前年比2.5%減少した。EU経済も、このところ低調になってきている。
そうしたなかで、アメリカ向けの輸出は堅調を持続した。1月の輸出額は1兆1400億円。前年比で6.8%増加した。増加は4か月連続。このように1月の輸出は、海外各地域の景気動向を如実に反映したものとなっている。日本企業の業績もアメリカ向けの輸出が多い企業と中国向けの比重が高い企業で、二極化する傾向になっている。
≪21日の日経平均 = 上げ +32.74円≫
≪22日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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特に目立ったのは、中国向けの輸出が予想以上に減少したこと。輸出額は9581億円で、前年比では17.4%も減っている。12月も7.0%減少しており、中国向け輸出の変調が際立つ形となった。品目では電子回路等の機械、半導体製造装置などが激減している。これは米中貿易戦争の影響もあって、中国のIT関連生産が落ち込んだ結果だと考えられる。
中国経済の不振は、東南アジア諸国にも波及してきたようだ。このため1月は、アジア向けの輸出も13.1%減少した。タイやフィリピンなどの諸国が日本から部品などを輸入し、組み立てて中国に輸出する工程が細ってきたためだろう。またEU向けの輸出も、前年比2.5%減少した。EU経済も、このところ低調になってきている。
そうしたなかで、アメリカ向けの輸出は堅調を持続した。1月の輸出額は1兆1400億円。前年比で6.8%増加した。増加は4か月連続。このように1月の輸出は、海外各地域の景気動向を如実に反映したものとなっている。日本企業の業績もアメリカ向けの輸出が多い企業と中国向けの比重が高い企業で、二極化する傾向になっている。
≪21日の日経平均 = 上げ +32.74円≫
≪22日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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◇ “受け子”のなり手をなくす = オレオレ詐欺などの特殊詐欺は全国で1万6493件、被害総額は356億8000万円にのぼった。警察庁が21日発表した昨年の数字である。件数、被害総額とも前年よりは少し減っているが、それでも驚くほど多い。手口もオレオレ詐欺から架空請求、還付金詐欺など多岐にわたり、非常に巧妙になってきている。被害者はすべてが高齢者だから、何ともたまらない。
地域的にみると、東京・神奈川・埼玉・大阪の4都府県では増加、残りの道府県では減少した。手口では、まだオレオレ詐欺の被害が182億8000万円もあって最大。高齢者が多額の預金を引き出すと警戒されるためか、最近はキャッシュカードをだまし取るケースが増えてきたという。現金にしてもカードにしても、受け取りに来るのは、受け子と呼ばれる若年層だ。
全国の警察が逮捕した詐欺グループは、合計2747人。そのうち少年が754人もいる。そのほとんどが受け子で、なかには宿泊・交通費を支給され、地方から大都会に呼び寄せられた少年も少なくない。これらの多くはアルバイト感覚で受け子を引き受け、あまり犯罪意識がないという。
詐欺グル―プにとっては、受け子がいないと商売にならない。そこで受け子を引き受ける少年をなくせば、オレオレ詐欺は壊滅するだろう。そのために警察庁は、まず逮捕された少年がどんな罰を受けるのか。平均的ないくつかのケースを仮名で公表する。それを中学・高校の授業を通じて周知させ、オレオレ詐欺は「卑劣で重大な犯罪であること」を徹底的に教え込む。こうすれば、少年も高齢者も人生上の大難を免れることができる。
≪22日の日経平均 = 下げ -38.72円≫
【今週の日経平均予想 = 3勝2敗】
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地域的にみると、東京・神奈川・埼玉・大阪の4都府県では増加、残りの道府県では減少した。手口では、まだオレオレ詐欺の被害が182億8000万円もあって最大。高齢者が多額の預金を引き出すと警戒されるためか、最近はキャッシュカードをだまし取るケースが増えてきたという。現金にしてもカードにしても、受け取りに来るのは、受け子と呼ばれる若年層だ。
全国の警察が逮捕した詐欺グループは、合計2747人。そのうち少年が754人もいる。そのほとんどが受け子で、なかには宿泊・交通費を支給され、地方から大都会に呼び寄せられた少年も少なくない。これらの多くはアルバイト感覚で受け子を引き受け、あまり犯罪意識がないという。
詐欺グル―プにとっては、受け子がいないと商売にならない。そこで受け子を引き受ける少年をなくせば、オレオレ詐欺は壊滅するだろう。そのために警察庁は、まず逮捕された少年がどんな罰を受けるのか。平均的ないくつかのケースを仮名で公表する。それを中学・高校の授業を通じて周知させ、オレオレ詐欺は「卑劣で重大な犯罪であること」を徹底的に教え込む。こうすれば、少年も高齢者も人生上の大難を免れることができる。
≪22日の日経平均 = 下げ -38.72円≫
【今週の日経平均予想 = 3勝2敗】
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◇ ねばり腰の株価 = 世界経済の先行きに注意信号が出ているにもかかわらず、株価は予想外の強さをみせている。特にニューヨークの市況が堅調だ。アメリカでは中古住宅の売れ行きが3年ぶりの低水準に落ち込んだり、企業業績も減益予想に。それでもダウ平均は先週149ドルの値上がり。9週間連続の上昇で、3か月半ぶりに2万6000ドルを回復している。市場は米中貿易摩擦の解消にだけ期待をかけて、買い続けているようだ。
その米中貿易交渉が、今週3月1日にヤマ場を迎える。この日までに進展がなければ「中国からの輸入品2000億ドル分に25%の関税をかける」と、トランプ大統領が宣言したからだ。最近の情報では、米中間で取り交わす覚え書の内容が固まり、トランプ・習会談も3月中に実現しそうだという。投資家の多くが、こうした情報に賭けているようにみえる。
日経平均は先週525円の値上がり。政府が月例報告で生産判断を40か月ぶりに引き下げたり、企業の3月期決算が減益予想になるなど、こちらも環境は芳しくない。ただ株価の出遅れ感が強いために、ニューヨークが上がれば引きずられる。また円相場が110円前後に終始していることにも助けられた。今週はやはり米中交渉の結果待ちということになるだろう。
今週は25日に、1月の企業向けサービス価格。28日に、1月の鉱工業生産、商業動態統計、住宅着工戸数。1日に、10-12月期の法人企業統計、1月の労働力調査、2月の消費動向調査、新車販売台数。アメリカでは26日に、12月の住宅着工戸数、FHFA住宅市場指数、2月のカンファレンス・ボード消費者信頼感指数。27日に、1月の中古住宅販売。28日に、10-12月期のGDP速報。1日に、2月のISM製造業景況指数。また中国が28日に、2月の製造業と非製造業のPMIを発表する。
≪25日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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その米中貿易交渉が、今週3月1日にヤマ場を迎える。この日までに進展がなければ「中国からの輸入品2000億ドル分に25%の関税をかける」と、トランプ大統領が宣言したからだ。最近の情報では、米中間で取り交わす覚え書の内容が固まり、トランプ・習会談も3月中に実現しそうだという。投資家の多くが、こうした情報に賭けているようにみえる。
日経平均は先週525円の値上がり。政府が月例報告で生産判断を40か月ぶりに引き下げたり、企業の3月期決算が減益予想になるなど、こちらも環境は芳しくない。ただ株価の出遅れ感が強いために、ニューヨークが上がれば引きずられる。また円相場が110円前後に終始していることにも助けられた。今週はやはり米中交渉の結果待ちということになるだろう。
今週は25日に、1月の企業向けサービス価格。28日に、1月の鉱工業生産、商業動態統計、住宅着工戸数。1日に、10-12月期の法人企業統計、1月の労働力調査、2月の消費動向調査、新車販売台数。アメリカでは26日に、12月の住宅着工戸数、FHFA住宅市場指数、2月のカンファレンス・ボード消費者信頼感指数。27日に、1月の中古住宅販売。28日に、10-12月期のGDP速報。1日に、2月のISM製造業景況指数。また中国が28日に、2月の製造業と非製造業のPMIを発表する。
≪25日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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◇ 中国経済の減速が冷や水 = 日経新聞が上場企業1580社の昨年4-12月期決算を集計したところ、純利益は前年同期比0.2%の増加にとどまった。17年4-12月期は35%の増益だったので、増益率は急降下したことになる。製造業は1.9%の減益、非製造業は3.1%の増益だった。また19年3月期の見通しは1.4%の減益で、絶好調だった企業業績も3年ぶりに減益となることが確実になった。
製造業が減益になったことからも判るように、業績が急降下した大きな原因は中国経済の成長鈍化。業種でみると、自動車と自動車部品、それに電気機械の変調が著しい。その一方、内需関連の企業は多くが好調を持続しており、全体の4社に1社は過去最高益を更新している。このような業績の二極化は、まだ広がりそうだ。
アメリカの場合も、企業業績は似たような動きをしている。リフィニティブ社の調査によると、主要500社の昨年10-12月期の純利益は前年比14.6%の増益。それまでの20%を超える増益から、かなり減退した。その傾向はことしに入ってからも続き、1-3月期の見通しは11期ぶりに3.1%の減益になるという。人件費の高騰、ドル高、関税引き上げなどが原因で、日本ほどではないが米中貿易戦争の影響も出ているようだ。
したがって中国経済の不調が続くと、日米の企業業績は減益傾向を強める可能性が高い。この点で米中貿易交渉の結果に注目が集まるが、3月中にも実現しそうなトランプ・習会談で、摩擦がすべて解消するとは考えられない。現在の関税水準が維持されれば、企業業績に対する影響度は変わらないことになる。
≪25日の日経平均 = 上げ +102.72円≫
≪26日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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製造業が減益になったことからも判るように、業績が急降下した大きな原因は中国経済の成長鈍化。業種でみると、自動車と自動車部品、それに電気機械の変調が著しい。その一方、内需関連の企業は多くが好調を持続しており、全体の4社に1社は過去最高益を更新している。このような業績の二極化は、まだ広がりそうだ。
アメリカの場合も、企業業績は似たような動きをしている。リフィニティブ社の調査によると、主要500社の昨年10-12月期の純利益は前年比14.6%の増益。それまでの20%を超える増益から、かなり減退した。その傾向はことしに入ってからも続き、1-3月期の見通しは11期ぶりに3.1%の減益になるという。人件費の高騰、ドル高、関税引き上げなどが原因で、日本ほどではないが米中貿易戦争の影響も出ているようだ。
したがって中国経済の不調が続くと、日米の企業業績は減益傾向を強める可能性が高い。この点で米中貿易交渉の結果に注目が集まるが、3月中にも実現しそうなトランプ・習会談で、摩擦がすべて解消するとは考えられない。現在の関税水準が維持されれば、企業業績に対する影響度は変わらないことになる。
≪25日の日経平均 = 上げ +102.72円≫
≪26日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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◇ 大成功と宣伝するものの = トランプ大統領は24日、米中貿易交渉について「十分な進展があったため、3月2日に予定していた25%への関税引き上げは延期する」と発表。これに伴い、閣僚級の交渉も1か月ほど継続し「3月中には首脳会談を開いて、最終的な決着を目指す」ことを明らかにした。これにより米中貿易戦争の激化は、当面避けられることになった。
これまでに漏れてきた情報を総合すると、首脳会談では6項目の議題について合意した内容を覚え書の形で交換する。その6項目は①輸入増加②為替③技術移転④知的財産保護⑤サービス分野⑥非関税障壁――となる模様。このうち最も前進したのは輸入増加で、たとえば中国はアメリカ産大豆を1000万トン追加輸入することになった。昨年の輸入実績は1600万トンだから、増加率は6割以上になる。
このほか小麦、トウモロコシ、さらにはLNG(液化天然ガス)などについても、品目ごとに輸入増加目標量が定められたようだ。また為替についても、中国側は「輸出を増やすための元安政策はとらない」と確約した模様。さらにサービス分野の開放、知的財産権の保護、非関税障壁の問題についても、一定の合意が得られたものとみられる。
しかし覚え書が作成される6項目のなかには、中国政府の国有企業に対する補助金の問題が見当たらない。中国側も経済政策の根幹にかかわるだけに、譲れないのだろう。トランプ大統領は首脳会談の前に、そこにまで楔を打ち込もうとしているのか。それとも補助金問題には目をつぶって「首脳会談は大成功」と宣伝するつもりなのか。大きな見どころの1つである。
(続きは明日)
≪26日の日経平均 = 下げ -78.84円≫
≪27日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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これまでに漏れてきた情報を総合すると、首脳会談では6項目の議題について合意した内容を覚え書の形で交換する。その6項目は①輸入増加②為替③技術移転④知的財産保護⑤サービス分野⑥非関税障壁――となる模様。このうち最も前進したのは輸入増加で、たとえば中国はアメリカ産大豆を1000万トン追加輸入することになった。昨年の輸入実績は1600万トンだから、増加率は6割以上になる。
このほか小麦、トウモロコシ、さらにはLNG(液化天然ガス)などについても、品目ごとに輸入増加目標量が定められたようだ。また為替についても、中国側は「輸出を増やすための元安政策はとらない」と確約した模様。さらにサービス分野の開放、知的財産権の保護、非関税障壁の問題についても、一定の合意が得られたものとみられる。
しかし覚え書が作成される6項目のなかには、中国政府の国有企業に対する補助金の問題が見当たらない。中国側も経済政策の根幹にかかわるだけに、譲れないのだろう。トランプ大統領は首脳会談の前に、そこにまで楔を打ち込もうとしているのか。それとも補助金問題には目をつぶって「首脳会談は大成功」と宣伝するつもりなのか。大きな見どころの1つである。
(続きは明日)
≪26日の日経平均 = 下げ -78.84円≫
≪27日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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◇ 追加関税10%は撤廃するのか = モノ貿易については、中国側が完全に譲歩した形になっている。アメリカの対中貿易赤字は年3800億ドルだが、中国側は今後6年間で輸入を1兆ドル増加すると約束したらしい。年平均で1600億ドルほど赤字が減る計算だ。トランプ大統領としては大満足。来年の大統領選挙を控えて、大成功と宣伝するに違いない。
だが長期にわたる経済覇権争いの点からみると、知的財産権の保護などの交渉もきわめて重要だ。アメリカ側はこれまでの交渉で、モノ貿易以外で142項目にのぼる要求を提出している。なかでも中国政府による国有企業への過度な補助金支給は、不公平な政策だと厳しく批判した。しかし首脳会談で取り交わす6項目の覚え書に、補助金問題は入っていない。
中国側としても、この点だけは譲れない。習政権の経済政策は、15年に作成した「中国製造2025」が根幹になっている。しかし仮に国有企業への補助金が制限されると、この根幹が崩壊してしまうからだ。ある意味では、国家主導経済と民間主導経済の哲学論争であり、簡単に結論は出ないだろう。トランプ大統領は、この辺をどう考えるのだろうか。
最大の注目点は、トランプ大統領が昨年9月に発動した10%の追加関税をどうするかだ。これに手を着けなければ、いぜんとして中国側に改善を迫り続けることになる。仮に撤廃すれば、米中貿易戦争は一時的にもせよ幕引きとなる。前者なら「最悪の事態は免れた」程度、後者なら「米中和解」となるわけだ。最近の株式市場は、どうもこの2つを混同しているように思われる。
≪27日の日経平均 = 上げ +107.12円≫
≪28日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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だが長期にわたる経済覇権争いの点からみると、知的財産権の保護などの交渉もきわめて重要だ。アメリカ側はこれまでの交渉で、モノ貿易以外で142項目にのぼる要求を提出している。なかでも中国政府による国有企業への過度な補助金支給は、不公平な政策だと厳しく批判した。しかし首脳会談で取り交わす6項目の覚え書に、補助金問題は入っていない。
中国側としても、この点だけは譲れない。習政権の経済政策は、15年に作成した「中国製造2025」が根幹になっている。しかし仮に国有企業への補助金が制限されると、この根幹が崩壊してしまうからだ。ある意味では、国家主導経済と民間主導経済の哲学論争であり、簡単に結論は出ないだろう。トランプ大統領は、この辺をどう考えるのだろうか。
最大の注目点は、トランプ大統領が昨年9月に発動した10%の追加関税をどうするかだ。これに手を着けなければ、いぜんとして中国側に改善を迫り続けることになる。仮に撤廃すれば、米中貿易戦争は一時的にもせよ幕引きとなる。前者なら「最悪の事態は免れた」程度、後者なら「米中和解」となるわけだ。最近の株式市場は、どうもこの2つを混同しているように思われる。
≪27日の日経平均 = 上げ +107.12円≫
≪28日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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