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経済に関する話題なんでも。ニュースの分析・批評・解説など。大胆な予想や提言も。ご意見、ご批判は大歓迎です。
経済なんでも研究会
2019年 : 3つのポイント
2019-01-01-Tue  CATEGORY: 政治・経済
◇ 変動の激しい年になりそう = 2019年という新しい道が現われた。この道を進んでゆくと、やがて3つのポイントに遭遇する。この3つの分岐点で、道がどのように曲がるのか。その曲がり方によって、世界経済も日本経済も大きな影響を受ける。だが現時点では、道の曲がり方を予測することは困難だ。だから人々は将来に不安を感じ始め、リスクから遠去かろうとしている。

最初のポイントは、3月1日に設定されている。トランプ大統領は、その日時までに中国と合意できなければ、中国製品2000億ドル分に25%の高関税をかけると言明している。結果的に≪合意する≫≪決裂する≫≪交渉継続のため再猶予する≫の可能性が考えられるが、予測は不能。仮に決裂なら、米中摩擦は全面的な経済戦争に発展し、世界経済への打撃は計り知れない。

次のポイントは、3月29日。イギリスがEUを離脱する。メイ首相は1月第3週に離脱案を議会で採決する方針だが、可決されるかどうかは微妙だ。EUもイギリス政府も“秩序なき離脱”への準備を始めているが、仮に離脱協定もないままに当日を迎えれば大混乱が起きることは必至。またイギリスが土壇場で国民投票に訴える可能性もあり、視界は全く不透明だ。

最後は4月末ごろ。安倍首相は10月からの消費増税を、最終的に決断しなければならない。その時点で景気が悪く、消費増税をまたまた見送れば、安倍首相の権威は地に落ちる。景気が悪くなっているかどうかは、アメリカと中国の景気しだい。政府は5兆円もの増税対策を講じたが、もし米中両国の景気がはっきり下降に転ずれば、日本も不況に襲われる。春先の米中経済動向には、十分な注意が肝要だ。


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まず6か国TPPがスタート (上)
2019-01-04-Fri  CATEGORY: 政治・経済
◇ EUとの貿易協定も2月1日に発効 =日本・メキシコ・シンガポール・ニュージーランド・カナダ・オーストラリアの6か国によるTPP(環太平洋経済連携協定)が、年末30日に発効した。近くベトナム・ペルー・チリ・ブルネイの4か国も、国内手続きを終えて参加する。マレーシアは議会での審議が遅れており、参加の時期は不明。これら11か国の人口は計5億人、GDPは10兆ドルで全世界の13%を占める。

協定の内容は、日本を除く10か国は最終的に輸入関税をなくす。日本は初めから工業製品の関税はゼロ、農水産物の82.3%には関税をかけるが、これも最終的にはゼロにする。日本の企業は工業製品の輸出がしやすくなり、消費者にとっては牛肉・乳製品・果物などが安く手に入るようになる。すでに一部のスーパーなどでは、牛肉やワインの安売りを始めた。

さらに2月1日には、EUとの間でEPA(経済連携協定)が発効する。この協定で、日本側はEUからの輸入品目の94%、EU側は日本からの輸入品目の99%について関税をゼロにする。政府の試算によると、これら2つの貿易自由化により、国内の農水産物生産は牛肉や乳製品を中心に年間1500億円減少する見込み。またGDPは13兆円増加する見込みとなっている。

問題はアメリカの出方だ。トランプ大統領は17年1月、突如としてTPPからの撤退を宣言。このためTPP参加国に比べると、日本に対する輸出が不利になってしまった。たとえば牛肉の対日輸出には38.5%の関税がかかるが、参加国からの輸入関税は段階的に引き下げられて16年目には9%になるからだ。そのアメリカとの2国間交渉が、間もなく始まる。。

                                (続きは明日)

       ≪4日の日経平均は? 予想 = 下げ


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まず6か国TPPがスタート (下)
2019-01-05-Sat  CATEGORY: 政治・経済
◇ 日米交渉は自動車vs.イージス艦? = 日本とアメリカの二国間交渉は、今月末か2月前半には始まる模様。すでにUSTR(米通商代表部)は、22項目に及ぶ議題を公表した。アメリカの自動車や農産物の対日輸出増加、非関税障壁、知的財産権、金融や投資の促進、それに為替条項の新設などが主たる内容となっている。

アメリカを除くTPP(環太平洋経済連携協定)が発足したため、アメリカ側は焦りもあって強硬な姿勢を見せるに違いない。日本側はたとえば農産物については、TPPで決まった範囲内の自由化で済ませたい。しかしアメリカ側は、もっと有利な条件を要求してくるだろう。そうでなければ、トランプ大統領がTPPを蹴って2国間協議に持ち込んだ意味がなくなる。

ただ他の問題が大きく進捗すれば、農産物の自由化はTPP並みで我慢するかもしれない。その関連でアメリカが提案してくる為替条項は、要注意だ。「自国の輸出を促進するために、為替操作はしない」という内容は是認できる。だが日銀が続けているゼロ金利政策は、その“操作”に当たるのかどうか。この辺を攻められると、日本側はちょっと苦しい。

さらにアメリカ側は、強力な“切り札”を持っている。それは「日本製の自動車輸入に25%の高関税をかける」という脅しだ。これをやられると、日本の自動車メーカーは利益が半減してしまう。日本側も、このトランプの切り札を使わせないための防御策を講じた。それは今後5年間で27兆円を計上した防衛計画。その大半は、アメリカ製の最新鋭戦闘機とイージス艦などの購入に使われる予定。厳しい交渉の結果、どんな結末になるのだろうか。

       ≪4日の日経平均 = 下げ -452.81円≫

       【今週の日経平均予想 = 1勝0敗】   

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今週のポイント
2019-01-07-Mon  CATEGORY: 政治・経済
◇ ジェット・コースターで年明け = ニューヨーク株式市場は、年末から年始にかけて大揺れに揺れた。大勢としては下げ基調だが、反発力は予想外に強い。年末26日には史上最大の1086ドル上昇を記録した。先週末にも660ドル下げると、あくる日には747ドル切り返している。しかも1日中の値動きも、乱高下することが多くなった。ダウ平均は先週371ドルの値上がりに終わっている。

こうした状況のなかで、パウエルFRB議長が4日の講演で「市場は世界経済の先行きに不安を感じている。FRBも金融政策を柔軟に見直す用意がある」と発言した。今週の市場はまず歓迎して上げるだろうが、その解釈については分かれる可能性が大きい。株価もまだジェット・コースターから降りられないのではないだろうか。

日経平均は先週453円の値下がり。営業日は4日の大発会だけだった。ニューヨークが前日下げたためだが、目立ったのは円相場が上昇に動き出したこと。一時は104円台にまで上昇したが、さすがにこれは行き過ぎ。週末は108円台半ばとなっている。今週の東京市場は、ニューヨークの株価と円相場に左右されそうだ。

今週は7日に、12月の新車販売台数。8日に、12月の消費動向調査。9日に、11月の毎月勤労統計。10日に、11月の景気動向指数。11日に、11月の家計調査と国際収支、12月の景気ウォッチャー調査。アメリカでは7日に、ISM非製造業景況指数。8日に、11月の貿易統計。11日に、12月の消費者物価が発表される。

       ≪7日の日経平均は? 予想 = 上げ


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2つの顔を持つ アメリカ経済 (上)
2019-01-08-Tue  CATEGORY: 政治・経済
◇ 二面性に揺さぶられた株価 = テレビで駅伝の中継を見ていたら、ひとりの選手がペースを落とし始めた。すかさず解説者が言う。「これまでのペースが速すぎたので調整し、追い込みに備えているのでしょうか。それとも疲労が溜った結果でしょうか」と。この解説で、つい年末年始の株価を思い出してしまった。特にニューヨーク市場のダウ平均は大きく乱高下。一日で600ドルも700ドルも下げながら、史上最大となる1000ドル以上の急騰も記録した。

ダウ平均は昨年初から史上最高値を付けた10月初めまでに、およそ2100ドル上昇した。そして、そこから先週末までには3400ドル近く下げている。この反落を上げ過ぎ訂正の下落とみるか、それとも株価は中長期的な下降局面に入ったとみるか。それによって投資家は大きく楽観派と悲観派、あるいは強気派と弱気派に分類される。現在はその両派の葛藤が続いている状態と言えるだろう。

株価の水準を決める基本的な要素は、企業の業績である。アメリカの企業業績は長らく好調を持続しており、昨年10-12月期の状態も悪くはなかった。そんな状態で株価が下がるとPER(株価収益率)が低下し、割安感が増加する。だが仮に企業業績が悪化に転じると、割安感は減退してしまう。現状の割安感に注目するのが強気派、将来の割安感を重視するのが弱気派とも言えるわけだ。

将来の企業業績は、景気の動向に左右される。そこでアメリカの景気動向に目を転じると、これがまた実にはっきりした二面性を持っている。たとえばGDP成長率は3%を超える勢い。雇用情勢も絶好調で、クリスマス商戦も活発だった。だが一方では自動車の売れ行きが伸び悩み、GMやGEなどの大手企業が工場閉鎖を余儀なくされている。住宅着工戸数も減少に転じた。どちらの側面を重視したらいいのか。中央銀行であるFRBでさえも、迷い出したように感じられる。

                              (続きは明日)

       ≪7日の日経平均 = 上げ +477.01円≫

       ≪8日の日経平均は? 予想 = 下げ


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2つの顔を持つ アメリカ経済 (下)
2019-01-09-Wed  CATEGORY: 政治・経済
◇ FRBの政策にも二面性 = 先週末4日のニューヨーク市場では、ダウ平均が750ドル近くも反発した。材料は2つ。まず朝方に発表された12月の雇用統計で、非農業雇用者の増加数が31万2000人にものぼったこと。また平均時給も3.2%増加。予想以上に景気がいいことを裏付けた。次いで午後には、パウエルFRB議長が講演のなかで「金融政策を柔軟に見直す」と言明。これで株価は大幅に上昇した。

株価がこれ以上に下落すると、消費が落ち込んで景気が悪化するかもしれない。パウエル議長はその心配もあって、市場に助け船を出したのだろう。だが、このパウエル発言も複雑な側面を持っている。もし株価が上昇に転ずれば、FRBは金融引き締めを継続する。実体経済は予想以上に堅調で、物価の上昇の方が心配になるからだ。これが、その裏の意味。

さらに利上げを停止すれば、FRBが本当に景気の先行きを心配し始めたと感じる人は多いだろう。このようにパウエル議長の簡単なコメントひとつを取っても、その解釈はさまざま。強気派と弱気派が自分のいいように解釈して、株価は乱高下することになる。では、強気派と弱気派のどちらが優勢になって行くのか。

成長率や雇用、企業業績や小売りの面からみれば、現在のアメリカ経済は堅調である。だが、これ以上によくなるとは期待できない。その半面、ことしの夏にはトランプ大減税の効果が切れる。米中貿易戦争の影響でアメリカ国内の物価が上がり始める。イギリスのEU離脱で、世界経済に混乱が起きる。中国の成長率がさらに鈍化する。こうしたマイナス面は、これから影響力を増して行く。どちらが優勢になるかは、明らかだと思う。

       ≪8日の日経平均 = 上げ +165.07円≫

       ≪9日の日経平均は? 予想 = 下げ≫ 


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自動車が映す 世界経済の現況 (上)
2019-01-10-Thu  CATEGORY: 政治・経済
◇ 日米は横ばい、中英は下降 = 業界団体の集計によると、日本国内の18年の新車販売台数は527万2067台だった。前年比では0.7%の増加で、ほぼ横ばいとなっている。このうち軽自動車の規格を超える登録車は1.3%の減少、軽自動車は4.4%の増加だった。軽自動車の性能が、格段に向上したためだと思われる。ただ業界の販売総額という点では、前年を下回ったようだ。

米オートモーティブ・ニュース社の集計によると、アメリカ国内の18年の新車販売台数は1733万台だった。前年比では0.6%の増加で、こちらもほぼ横ばい。トランプ大統領の大型減税に助けられて高い水準を維持したが、ローン金利の上昇もあって息切れ気味。GMやフォード、それにトヨタなどの主力メーカーは、そろって前年割れとなっている。

中国は世界最大の自動車市場。17年の新車販売台数は、日本の5.5倍に当たる2888万台だった。しかし18年は7月以降ずっと前年割れ。汽車工業会の推計だと、通年では前年比3%の減少になる見込み。前年割れは28年ぶりのことになる。中国経済の減速を映し出していると言えるだろう。またEU離脱で苦しむイギリスの18年の新車販売台数は、前年比7%の減少となった。

このように各国の新車販売台数と景気動向の相関性は、かなり高い。だが、それだけではない。いま世界経済は米中貿易戦争やイギリスのEU離脱など大きな問題に揺り動かされているが、その影響をまともに受けているのが自動車業界だ。したがって自動車メーカー各社の対応策には、これらの問題の本質がくっきりと映し出されている。

                                (続きは明日)

       ≪9日の日経平均 = 上げ +223.02円≫

       ≪10日の日経平均は? 予想 = 下げ


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自動車が映す 世界経済の現況 (下)
2019-01-11-Fri  CATEGORY: 政治・経済
◇ 政治に振り回されて右往左往 = GM(ゼネラル・モーターズ)はアメリカとカナダにある40工場のうち5工場を閉鎖することになった。解雇される従業員は約6300人。トランプ大統領が鉄鋼とアルミの輸入関税を引き上げたため、原料コストが上昇し採算がとれなくなった。トランプ大統領はお冠りだが、GMとしても背に腹は替えられない。同様の環境に置かれたフォードも、操業の縮小を検討中と伝えられる。

米中貿易戦争では、両国が自動車の輸入関税を引き上げた。また中国では、アメリカ製品を排除する傾向も出始めている。このためアメリカの新興メーカーであるテスラは、中国の工場を閉鎖し完全撤退することを決めた。逆にスウェーデンのボルボは、生産の一部をアメリカから中国に移すことになった。BMWも同様の措置をとるが、同時にエンジン工場をアメリカに新設して、トランプ大統領の怒りを買わない防御策も講じている。

イギリスのEU離脱は3月29日に予定されているが、どうやら“合意なき離脱”になりそうだ。するとイギリスにある自動車工場は、大陸側からの部品供給に支障が生じる。日本はトヨタ、日産、ホンダがイギリスに生産拠点を持ち、合計で年80万台を生産している。その部品供給をどうするか。さらにEU側の販売認証を取らなければならない。本社機能をEU側に移すことも大作業だが、工場の移転は不可能に近い。

トランプ大統領が強引に締結させた新NAFTA(北米自由貿易協定)で、カナダとメキシコで生産する自動車はアメリカ製の部品を75%も使用しなければならなくなった。日本のメーカーは、150万台分の対米輸出車について対応しなければならない。こうした状況の大変動に対して、世界の自動車メーカーは大胆な決断を迫られている。だが、その結果が裏目に出れば、大きな損失を招きかねない。自動車各社が乗り入れる19年という道は、かなりの悪路であることに間違いはない。

       ≪10日の日経平均 = 下げ -263.26円≫

       ≪11日の日経平均は? 予想 = 上げ


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「株高になりやすいのは 火曜日」でした
2019-01-12-Sat  CATEGORY: 政治・経済
◇ その理由はいまだに不明 = 昨年12月29日のこのブログに「水曜日には株が下がる」という記事を載せたら、たくさんの読者からコメントが寄せられた。その大半は「株がいちばん上がった曜日を教えろ」というリクエスト。そこで、きょうはそのご要望にお応えすることにした。その前に、まずは前回の記事のおさらい

東京証券取引所の昨年の営業日数は247日だった。株価の上がった日を勝ち、下がった日を負けとして、曜日別の勝敗を調べてみると。――月火木金曜日は、いずれも勝ち数が負け数を上回っていた。ところが水曜日だけは22勝30敗と、大きく負け越している。これが前回の記事の要約だ。

では何曜日の勝率がいちばん高いのか。調べた結果は、月曜日が23勝20敗、火曜日が31勝20敗、木曜日が27勝24敗、金曜日が26勝24敗だった。よって株価が最もよく上昇したのは火曜日。その勝率は、月木金曜日よりもかなり高い。だから結果論ではあるけれども、火曜日の朝買って水曜日の朝売れば、儲かる確率は高くなったはずだ。

火曜日の勝率が高くなる理由について、前回は「ニューヨークの株価が月曜日に上がるためではないか」と推測した。しかし、これは完全な間違い。調べてみると、昨年のダウ平均の月曜日は19勝24敗だった。したがって、東京市場で火曜日に高く、水曜日に安くなった原因は、いまだに判らない。どなたか、教えてくれませんか。

       ≪11日の日経平均 = 上げ +195.90円≫

       【今週の日経平均予想 = 3勝2敗】     


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今週のポイント
2019-01-14-Mon  CATEGORY: 政治・経済
◇ 6週間ぶりの晴れ間 = ダウ平均は先週563ドルの値上がり。日経平均も798円の上昇となった。日経平均が上がったのは11月下旬以来6週間ぶり。ダウ平均と日経平均が、そろって上昇したのも6週間ぶりのことである。米朝貿易交渉の進展などのニュースが伝えられる一方で、特に悪材料が出なかったことが原因。トランプ大統領もメキシコ国境の壁問題で、頭がいっぱいだったようだ。

それでも昨年10月の高値に比べると、ダウ平均は2800ドル、日経平均は3900円も低い。この低い水準で悪材料が出ないと、株価の割安感が突出する。だから安値を拾う買い物が、市場に現われた。東京市場の場合は、ニューヨークが上げても円相場が安定していたために、より安心感が広がった。

企業の12月決算が、今週から本格化する。そこで明らかになる19年の業績見通しが悪化すれば、株価の割安感は薄れてしまう。したがって市場の関心事は、業績予想に移らざるをえない。東京市場の場合は、円相場の動向も大きな関心事になってくる。先週の経験では、1ドル=108円台なら株価に悪影響がないことが判った。今週はどう動くのか。

今週は16日に、12月の企業物価、11月の機械受注と第3次産業活動指数。18日に、12月の消費者物価。アメリカでは15日に、12月の生産者物価。16日に、12月の小売り売上高、1月のNAHB住宅市場指数。17日に、12月の住宅着工戸数。18日に、12月の工業生産、1月のミシガン大学・消費者信頼感指数。また中国が14日に、12月の貿易統計を発表する。

       ≪15日の日経平均は? 予想 = 下げ


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輸出入ともに 大きく減少 / 中国
2019-01-16-Wed  CATEGORY: 政治・経済
◇ 18年の対米黒字は過去最大に = 中国税関総署が14日発表した昨年12月の貿易統計によると、輸出は2212億ドルで前年比4.4%の減少。輸入は1641億ドルで7.6%の減少だった。輸出入ともに大幅な減少となったことが目立っている。中国経済が成長鈍化に陥っていることに加えて、米中貿易戦争による両国の高関税が悪影響を及ぼし始めた。特にアメリカからの輸入は36%も減っている。

注目すべきことは、アメリカ以外の地域との貿易も縮小した点。たとえば輸出は、EUや日本向けも前年割れ。輸入はASEAN、EU、日本、韓国、オーストラリアなど、軒並み減少した。これは中国国内の景況が下向いていることの反映。また輸出の減退で、周辺国からの原材料や部品の輸入が抑制された結果だと考えられる。こうした状況は、19年に入っても当分は続きそうだ。

18年を通してみると、輸出は2兆4874億ドルで前年比9.9%の増加。輸入は2兆1356億ドルで15.8%の増加だった。この結果、貿易黒字額は3517億ドルで、過去最大となっている。これは18年の前半は、中国経済の鈍化が始まったばかり。また米中貿易戦争も始まっていなかったことによる。

したがって18年の対アメリカでは、貿易黒字額が3233億ドルにのぼった。過去最大であり、貿易黒字全体の大部分がアメリカに対する黒字だったことが判る。12月になって、この傾向は一変したわけだが、トランプ大統領はこうした数字をどう評価するのだろうか。

       ≪15日の日経平均 = 上げ +195.59円≫

       ≪16日の日経平均は? 予想 = 下げ


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小学生が笑う 厚労省 : 毎勤統計事件 (上)
2019-01-17-Thu  CATEGORY: 政治・経済
◇ 前代未聞!予算案の修正に発展 = 厚生労働省が、またまた大チョンボをやった。毎月勤労統計を間違った方法で集計し、14年間もその過ちに気付かなかった。この統計は企業の従業員の給与や労働時間を調べる基幹統計。その結果が雇用保険や労災保険の給付額に反映されるから、大変だ。統計を見直したところ、この14年間で保険金の給付が少なかった人は延べ1973万人。総額は567億円にのぼることが判明した。政府は19年度予算案を修正して、この財源を確保する方針。

毎月勤労統計は、全国3万3000事業所を対象とする大規模な調査。このうち従業員が5-499人の事業所についてはサンプルを抽出して調査するが、従業員500人以上の事業所は悉皆調査することが法律で定められている。この大規模事業所は、東京都の場合は1464事業所あった。ところが実際は500事業所しか調査していなかった、というのが今回の事件だ。

これは明らかに法令違反だ。そのために平均賃金が低く出てしまい、雇用保険の給付が少なく計算されてしまった。新聞各紙は、ずっとこのように解説している。しかし1464事業所のうち500事業所を抽出して調べても、そんなに大きな誤差は出ないはず。いわゆるサンプル調査は、日銀の短観でも家計調査でも行われている。

根本厚労相は記者会見で「東京都については全数調査しなくても、精度を確保できる」という内容の手引きが、担当部署に存在したことを明らかにした。この手引きは明らかに法令違反であり、申し訳ないと誤っている。そして新聞各紙は、これを「不適切な集計」と報道した。だが問題の本質は、ここだけにあるのではない。

                              (続きは明日)

       ≪16日の日経平均 = 下げ -112.54円≫

       ≪17日の日経平均は? 予想 = 上げ


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小学生が笑う 厚労省 : 毎勤統計事件 (下)
2019-01-18-Fri  CATEGORY: 政治・経済
◇ 知能程度の問題なのだろうか = 厚労省は東京都の500事業所だけを調査の対象とし、全社調査をしなかった。だから法令違反であるという指摘は正しい。だが、これをサンプル調査として扱えば統計の精度はそれほど落ちず、予算の修正などには発展しなかったに違いない。ところが実際は500事業所だけを計算に入れ、残りの1000に近い事業所は統計から全く外してしまったのである。

たとえば1クラスのテストの平均点数を計算するとき、10人いた100点満点の人を3人しか勘定に入れないと、どうなるか。こんなことは小学生でも判るだろう。厚労省のお役人は、こんなバカげた間違いを14年間も続けてきたというのだから、開いた口が塞がらない。小学生にも笑われるような醜態である。

厚労省は、あまりにもミスが多すぎる。第1次安倍内閣の07年に起きた「消えた年金」事件。その後も国有財産処理を巡る公文書の改ざん、失踪した技能実習生の欠陥調査。昨年も労働実態調査のズサンさが明らかとなり、裁量労働制に関する法改正が吹っ飛んでいる。そして今回の毎月勤労統計問題。それぞれ異なった部署で生じた事件だろうから、厚労省には知能の低い人が大勢いるということになるのだろうか。

「そんなことはないはずだ」と考えると、こんどは余計な心配が発生する。まず厚労省では、上司が部下の作業をよくチェックしていないのではないかという疑惑。もう1つは妄想に近い推測だが、一部に“破壊分子”が巣食っているのではないかという心配。なにしろ今回の不適切なデータの集計で、アベノミックスの成果が押し下げられたことは確かなのだから。

       ≪17日の日経平均 = 下げ -40.48円≫

       ≪18日の日経平均は? 予想 = 上げ


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議会制民主主義の 自滅? / アメリカ
2019-01-19-Sat  CATEGORY: 政治・経済
◇ 政府機関の閉鎖が記録更新中 = アメリカでは一部の政府機関が閉鎖されてから12日で22日目、ついに過去最長の記録となった。それでもトランプ大統領と民主党との話し合いはつかず、なお記録を更新中だ。市民の日常生活にも支障が出始めたが、解決の見通しは全く立っていない。連邦予算の約25%が執行できず、政府職員80万人への給与が支払われない。このため多くの職員が病気を理由に欠席し、バイトで生活費を稼いでいる。

影響も広がり始めた。たとえば国立公園の閉鎖、空港では管制官や検査官の不足で航空機に発着制限。政府保証の住宅ローン設定や企業の新規株式上場が遅延。貿易統計や住宅販売統計が発表されない・・・などなど。クリントン大統領やオバマ大統領のときにも政府機関の一部閉鎖は起こったが、こんなに長いのは初めてのことだ。

コトの起こりは、トランプ政権が19年予算にメキシコ国境に壁を建設する予算として57億ドル(約6200億円)を組み込んだこと。民主党が反対して、予算の一部を執行停止にした。トランプ大統領も民主党も、きわめて強硬。というのも世論調査では「トランプ政権の方が悪い」が「民主党が悪い」をやや上回っている。一方、共和党の支持者に限ると、7割以上がトランプ大統領を支持しているからだ。

メキシコ国境の壁問題は、こうして世論を分断した形で政府機関の一部閉鎖に結びついた。アメリカ国内では「何とかしろ」という不満と、「仕方がない」というあきらめが伯仲しているようだ。と同時に「こんな状態が続くと国民のストレスが溜ってポピュリズムが高まり、右翼思想や左翼思想が伸長しかねない。議会制民主主義の自滅につながる」と警鐘を鳴らす人さえ出始めている。

       ≪18日の日経平均 = 上げ +263.80円≫

       【今週の日経平均予想 = 2勝2敗】   
                 

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今週のポイント
2019-01-21-Mon  CATEGORY: 政治・経済
◇ 晴れ間が続いた株式市場 = ムニューシン財務長官が「中国に対する関税引き下げを考慮」と述べたことから、水面下で続いている米中貿易交渉が進んでいるという印象が広まった。イギリス議会がEU離脱協定案を否決したことは織り込み済み。ほかに悪材料も出なかったために、株価は先々週に続いて続伸した。ダウ平均は週間710ドルの値上がり。日経平均も306円の上昇だった。

特にダウ平均は、これで4週間の連騰。この間の上げ幅は2200ドルに達して、昨年10月からの下落を約6割まで取り戻した。このため市場には、先行きに対する楽観論も増え始めている。しかし本当の正念場は、今週あたりからやってくるだろう。というのもニューヨーク市場では、企業の決算発表が本格的に始まるからだ。

たとえば今週はIBM、フォード、インテルなどが発表の予定。10-12月期の結果は良好でも、1-3月期の見通しがどうなるか。すでに発表を終えた大手金融機関の発表をみても、18年の業績は絶好調だったが、19年の見通しはかなり慎重だった。また今週は中国が10-12月期のGDP速報を公表する。その結果は、市況に大きな影響を与えそうだ。

今週は23日に12月の貿易統計、11月の全産業活動指数。アメリカでは22日に、12月の中古住宅販売。23日に、11月のFHFA住宅価格。24日に、12月のカンファレンス・ボード景気先行指数。25日に、12月の新築住宅販売。また中国が21日に、10-12月期のGDP速報、12月の小売り売上高、鉱工業生産、固定資産投資額を発表する。

       ≪21日の日経平均は? 予想 = 下げ


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増益か 減益か? : 3月期の企業決算
2019-01-22-Tue  CATEGORY: 政治・経済
◇ 高水準の利益は維持するが = 上場企業は18年度の決算で、3年連続の増益を記録できるのか。それとも減益に落ち込むのか。見通しは五分五分というのが、いまの状況だ。17年度は史上最高の利益を手中にしたから、増益ならば記録を更新する。経営者の19年度に対する見方も、楽観に傾くかもしれない。もっとも多少の減益でも利益水準が高いことに変わりはないのだが、心理的にはやや沈むだろう。

問題は利益の落ち込み方である。18年度は上半期の利益が大きく、下半期は大幅に縮小する形になる。たとえば大和証券の集計によると、4-6月期は12%の増益、7-9月期は4%の増益。そのあと10-12月期は0.1%の減益になる見込み。これだと1-3月期は2ケタの減益になる可能性がある。

仮に18年度の業績がわずかな減益となっても、利益の水準は十分に高い。そこへ米中貿易戦争が終結に向かえば、状況は一気に好転する。日経平均がここ2週間で1100円も上げたのは、そこへの期待が大きく働いたからだ。したがって米中貿易交渉やイギリスのEU離脱問題、あるいは中国経済の動向に関して悪い材料が飛び出せば、期待は急速にしぼんでしまうだろう。

今週から、企業の12月期決算発表が本格化する。その進行とともに、まず10-12月期の業績が明らかとなる。次いで経営者の1-3月期の見通しが集計されると、19年3月期の状況が浮かび上がる。さらに19年度の利益予想と外部環境の変化が加わって、これからの株価が形成されて行くことになる。

       ≪21日の日経平均 = 上げ +53.26円≫

       ≪22日の日経平均は? 予想 = 上げ


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衰弱する 経済大国 / 中国 (上)
2019-01-23-Wed  CATEGORY: 政治・経済
◇ 10-12月期の成長率は6.4%に = 中国統計局は21日、昨年10-12月期と18年のGDP統計を発表した。それによると、10-12月期の実質成長率は年率で6.4%にまで低下した。四半期別にみても、1-3月期の6.8%から鈍化が続いている。米中貿易戦争とインフラ投資の抑制が原因だと解説されているが、米中貿易戦争の影響が出始めたのは10-12月期に入ってから。地方政府と国有企業の債務を減らすために、投資を抑制したことが大きかったと考えられる。

この結果、18年の実質成長率は6.6%に落ちた。前年より0.2ポイントの低下。その水準は、天安門事件で経済が混乱した90年の3.9%以来28年ぶりの低さとなっている。中国の成長率は、たとえば07年には14.2%に達していたが、その半分以下に減衰したことになる。習政権は6.5%を成長目標としていたが、なんとか目標は達成した形。しかし実際はもっと悪く、統計を操作したのではないかという疑惑も付いて回る。

米中貿易戦争の影響は、昨年末になって色濃く出始めた。12月の輸出額は前年比4%の減少、輸入は8%も減少した。このうちアメリカ向け輸出は4%の減少、アメリカからの輸入は36%の大幅な減少となっている。貿易戦争の影響は、ことしになってから本格的に現われるとみられている。したがって、19年の見通しは決して良くない。

世界銀行は中国経済に関して、19年の成長率は6.2%に低下すると発表した。また中国人民大学のエコノミストも、19年の成長率を6.3%と予測している。もし、これらの予測が当たるようだと、政府が目標として掲げた6.5%成長は実現できないことになる。そこで習政権は、きわめて強力な景気対策を打ち出し始めた。

                           (続きは明日)

       ≪22日の日経平均 = 下げ -96.42円≫

       ≪23日の日経平均は? 予想 = 下げ


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衰弱する 経済大国 / 中国 (下)
2019-01-24-Thu  CATEGORY: 政治・経済
◇ こんどは不動産バブル崩壊の恐れ = 主要な経済指標をみると、18年は軒並み減退している。たとえば小売り売上高は前年比9.0%増加したが、これでも19年ぶりの低水準。固定資産投資額は5.9%の増加で、これまた19年ぶりの低さだった。また鉱工業生産は6.2%伸びたが、やはり2年ぶりの低水準。なかで9.5%増加と4年ぶりの高い伸びを示したのは、不動産投資額だった。

こうした経済の衰退傾向に直面して、習政権はすでに強力な対策を打ち出し始めている。18年末に1兆3000億元の減税を実施したのに加え、この1月にも個人と企業向けに3100億元の減税を追加している。さらに習主席は3月の人民代表会議で、大規模な景気対策の実施を表明する方針だとも伝えられる。また人民銀行は預金準備率を、1月中に2回も引き下げる予定だ。

中国政府はリーマン・ショックのあと、4兆元に及ぶ景気対策を実施した。しかし大半がインフラ投資だったため、結果的に過剰な生産設備。それに地方政府と国有企業の膨大な債務を生んでしまった。今回はその反省から、個人と中小企業に対する減税や保険料の軽減などに政策を集中している。

確かに、この政策なら過剰な設備を生ずることはない。しかし、こんどはすでにバブル的な様相を深めている不動産市況が、崩壊へ向かう危険性が一気に増大する。中国政府としては強大なる権力を駆使して、その辺をコントロールして行くつもりなのだろう。そのかじ取りは米中貿易戦争が長引けば長引くほど、困難になることは確かである。

       ≪23日の日経平均 = 下げ -29.19円≫

       ≪24日の日経平均は? 予想 = 上げ


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中国向け輸出が 急減 : 12月
2019-01-25-Fri  CATEGORY: 政治・経済
◇ ことしも伸び悩む可能性大 = 財務省は23日、昨年12月と18年の貿易統計を発表した。それによると、12月の輸出は7兆円で前年比3.8%の減少。輸入は7兆1000億円で1.9%の増加だった。この結果、貿易収支は553億円の赤字となっている。この12月の統計で特に目立ったのは、中国との貿易が急に縮小したこと。中国経済の成長鈍化と米中貿易戦争の影響が現われ始めた。

中国向けの輸出額は1兆4000億円で、前年同月より7.0%も減少した。中国からの輸入も1兆6000億円で6.4%の減少だった。輸出では、半導体製造装置が34.3%も減っている。これは中国経済の減速と、米中貿易戦争の影響によるものだろう。したがって影響はことにに入ってから、もっと強まる可能性がある。1月以降の動向に要注意だ。

18年の集計をみると、輸出は81兆4800億円で前年比4.1%の増加。輸入は82兆6900億円で9.7%の増加だった。この結果、貿易収支は1兆2000億円の赤字となっている。赤字となった主たる原因は、エネルギーの輸入価格が高騰したこと。鉱物性燃料の輸入額は19兆2800億円にのぼり、前年を21.7%も上回った。脱石油は一向に進んでいない。

中国との貿易は輸出が15兆9000億円で6.9%の増加。輸入が19兆2000億円で3.9%の増加。収支は3兆2800億円の赤字だった。年間を通してみれば、まだ大きな変動は表われていない。またアメリカとの貿易では輸出が15兆4600億円で2.3%の増加。輸入は9兆円で11.4%の増加だった。収支は6兆4500億円の黒字。間もなく始まる日米貿易交渉では、この数字が何度も飛び交うことになるだろう。

       ≪24日の日経平均 = 下げ -19.09円≫

       ≪25日の日経平均は? 予想 = 上げ


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壁にぶち当たった コンビニ
2019-01-26-Sat  CATEGORY: 政治・経済
◇ 既存店ベースの客数が前年割れ = 日本フランチャイズ・チェーン協会の集計によると、昨年の大手コンビニ7社の全国売上高は9兆7000億円で前年を0.6%上回った。しかし来店した客数は延べ157億0700万人、前年を1.3%下回っている。来客数の前年割れは、これで3年連続。人口が減少するなかで、ドラッグ・ストアや宅配業者などとの競争が激化。さらにコンビニ自体の店舗数増加が輪をかけた。

昨年末時点で、全国にあるコンビニの数は5万5743店舗。前年より1%増加した。この10年間では、3割以上も増えている。 店舗が増えた分、全体としての客数はなんとか増加しているが、1店舗当たりの客数は明らかに減り始めた。各店舗は客集めにチエを絞っているが、問題点もいろいろ。

たとえば最近は高齢の客が増え、65歳以上のお客が2割を超えた。そこで年寄り向きの商品を並べると、こんどは若者の客が減ってしまう。また特色のある商品を充実させると、共同仕入れ・製造の路線からはみ出してしまいがちだ。結局、フランチャイズとしては店舗の新設で売り上げを維持するしか方策がない。すると既存の店舗はお客を奪われることになりかねない。

さらに人手不足が、経営を脅かしている。まず店長が高齢化しているが、24時間営業で体がきついために、なかなか後継者のなり手が見付からない。従業員も時給を上げないと、集まらない。そして消費増税が実施されると、店内での飲食と持ち帰りで税率が変わる。新しいレジを導入し、従業員の教育もしなければ。日本で独特の進化を遂げたコンビニは、いま大きなカベにぶち当たったようである。

       ≪25日の日経平均 = 上げ +198.93円≫

       【今週の日経平均予想 = 2勝3敗】  


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今週のポイント
2019-01-28-Mon  CATEGORY: 政治・経済
◇ 静かになった株式市場 = 株式市場の動きが、急に鈍くなった。一日の値幅が小さくなり、東京市場では出来高が2兆円に届かない日も多かった。投資家が買いか売りかで、迷っている証拠だろう。ダウ平均は週間31ドルの値上がり。日経平均も107円の上昇にとどまった。ことしの世界経済は成長が鈍化し、企業業績も減益を免れない。だが市場では、その程度の後退はすでに織り込み済みという見方も出始めている。

日米両国で、企業の12月決算発表が佳境に入る。ニューヨークではアップル、アマゾン、キャタピラー、ボーイングなど。なかでも中国関連企業の業績見通しに、関心が集中するだろう。またアメリカとEUが、昨年10-12月期のGDP速報を発表する。そこに米中貿易戦争やイギリスのEU離脱が、早くも影を落とし始めているかどうか。

トランプ大統領は先週末、3週間分の予算執行に署名すると発表した。長引く政府機関の一部閉鎖に対する国民の抗議が高まったため、譲歩を余儀なくされたもの。しかしメキシコ国境のカベを巡る民主党との対立は少しも解消しておらず、2月15日には再び政府機関が閉鎖される公算は大きい。今週の市場は、このトランプ大統領の一時的な譲歩をどう評価するのか。

今週は28日に、12月の企業サービス価格。30日に、12月の商業販売統計と1月の消費動向調査。31日に、12月の鉱工業生産と住宅着工戸数。1日に、12月の労働力調査と1月の新車販売。アメリカでは29日に、1月のカンファレンス・ボード消費者信頼感指数。30日に、10-12月期のGDP速報。1日に、1月の雇用統計とISM製造業景況指数。またEUが31日に、10-12月期のGDP速報。中国が31日に、製造業と非製造業のPMIを発表する。

       ≪28日の日経平均は? 予想 = 上げ


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アメリカを決める この3週間
2019-01-29-Tue  CATEGORY: 政治・経済
◇ 常軌に戻れるかの一大試練 = あの“我が道を行く”トランプ大統領が、初めて屈服した。議会がまとめた2月15日までの暫定予算を受け入れ、署名したのである。これにより昨年12月22日から続いた政府機関の一部閉鎖は、3週間だけ解除されることになった。国立公園や博物館の閉鎖だけでなく、航空機の発着にも支障が出るなどして国民の不満が高まったため、さすがのトランプ氏も譲歩を余儀なくされた。

しかし脅しの文言も忘れてはいない。メキシコ国境に建てる壁の予算を認めなければ「2月15日には再び政府機関を閉鎖するか、あるいは非常事態宣言を発動して予算を執行する」と警告した。このため問題は単に3週間だけ先送りされたにすぎない、という見方も強まっている。また非常事態宣言を出せば憲法違反の疑いもあり、問題はいっそう複雑になると懸念する声も少なくない。

今回の政府機関閉鎖で、トランプ大統領の支持率は40%を割るところまで低下した。その一方、熱烈な保守層は「壁建設の公約を果たさなければ、来年の大統領選挙ではトランプ氏を支持しない」とまで言い放っている。トランプ大統領としても、引くに引けない事情があるわけだ。壁を巡る世論の分断は、予想以上に深い。

こうした状況を打開しようと、議会は超党派の特別委員会を設置した。この委員会はこの3週間以内に、何らかの妥協案を取りまとめることになる。その内容がどうであれ、トランプ大統領や民主党幹部がそれに反対するようだと、問題の解決はまた遠のく。その結果はアメリカ国民の分断の深さをいっそう浮き彫りにし、アメリカの民主主義そのものに対する不信感を増すことになるだろう。この3週間は、アメリカが正常な方向に戻れるかどうかの重大な試練の時と言えそうだ。

       ≪28日の日経平均 = 下げ -124.56円≫

       ≪29日の日経平均は? = 下げ


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景気に楽観的な 安倍内閣
2019-01-30-Wed  CATEGORY: 政治・経済
◇ 参院選や消費増税で強気やむなし = 政府が28日の閣議で了承した「19年度の経済見通し」は、とても楽観的だ。まず19年度の名目GDPは566兆1000億円になると推定。名目成長率は2.4%、実質成長率は1.3%になると予測している。一方、間もなく終わる18年度については名目成長率も実質成長率も0.9%と見込んでいるから、景気の状態はかなり良くなると考えているわけだ。

その楽観的な予測の内容をみると、民間最終支出が18年度の0.7%増から19年度は1.2%増に。企業の設備投資も2.7%増から3.6%増へと改善する。また輸出額も18年度の83兆円が、19年度には86兆4000億円に伸びる。失業率は2.4%から2.3%に低下と、いいことばかり。米中貿易戦争やイギリスのEU離脱など、どこ吹く風のようだ。

さらに円の対ドル相場は、18年度平均の見込みが111円80銭なのに対して、19年度は113円40銭と円安を予測する。こうしなければ、輸出を増やせないからだろう。また原油の輸入価格についても、18年度の平均1バレル=73ドルが19年度は68.6ドルに下落すると、まことに理想的な姿を描き出している。

ことしは参院選や消費税の引き上げが予定されている。だから見通しを楽観的にせざるをえなかったのだろう。だが、この政府見通しを参考にする経営者も少なくはない。どの程度まで信用できるのか。その参考資料。1年前の政府経済見通しでは、18年度の成長率が名目2.5%、実質1.8%と予測されていた。それが現時点での見込みは、いずれも0.9%にとどまっている。

       ≪29日の日経平均 = 上げ +15.64円≫

       ≪30日の日経平均は? 予想 = 下げ


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増税を選挙対策に変えた 安倍首相
2019-01-31-Thu  CATEGORY: 政治・経済
◇ 増税分をすべて還元する妙手? = 増税というのは、ふつう国民に嫌われる政策である。ところが安倍首相の施政方針演説を聞いていると、そうでもないように思えてくるから妙だ。施政方針演説のなかで、安倍首相はまず「日本の持続的な成長にとっては、出生率の低下による少子高齢化が最大の課題だ」と指摘。この問題を克服するために「幼児教育・保育の無償化を実現する」と公約した。

そのための財源作りが、10月に実施する予定の消費税引き上げ。税率を8%から10%に引き上げることで、税収は年5兆7000億円増える。このうちの2兆円を幼児教育や保育の無償化に充て、残りの3兆7000億円も軽減税率やポイント還元などで使い切る。だから今回の消費増税は、実質的には増税ではない。安倍首相は、そう言っているように思われる。

財務省は増税によって、少しでも国債の発行を減らしたかったに違いない。しかし総理大臣の意向には逆らえない。また少子化対策の財源はこれで賄えるわけだから、文句も言えなかった。こうして結局のところ、今回の消費税引き上げは幼い子を抱える若い親たち向けの選挙対策に姿を変えた。安倍首相の優れた発想と言えるだろう。

だが問題はある。ここまで来たら、安倍首相も消費増税を予定通り断行せざるをえなくなった。しかし米中貿易戦争やイギリスのEU離脱で、ことしの世界経済がどう動くか。予断は許さない。仮に日本の景気がはっきりと下降局面に入っても、予定通り増税に踏み切るのか。下手をすると、安倍首相の妙手も悪手に一変する危険性がないでもない。

       ≪30日の日経平均 = 下げ -108.10円≫

       ≪31日の日経平均は? 予想 = 上げ


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