◇ 政府は臨時国会に法案提出へ = カジノ設置を中核とするIR(統合型リゾート)建設に関する説明・公聴会が、29日に終了した。公聴会では賛否両論のままだが、政府は秋の臨時国会に具体的な制度設計を盛り込んだIR実施法案を提出する方針だ。候補地としては釧路市、苫小牧市、大阪府・大阪市、横浜市、佐世保市、和歌山市の名前が挙がっている。
全国9か所で開かれた公聴会では「観光の核となる新たな基幹産業」と期待する賛成論と、「結局はギャンブル、ばくち依存症を増やすだけ」という反対論が交錯。このばくち依存症に関しては、すでに有識者会議が「日本人客はマイナンバーの提示を求めて回数制限する」「クレジットカードの利用は認めない」などの対策をまとめている。
ただ設置する場所にもよるが、周辺の商店街や住宅地、学校などへの影響は意外に精査されていない。またカジノの運営はアメリカの専門会社に委託することになりそうだが、結果的に経営不振に陥る可能性は否定できない。カジノの設置そのものが、大きなばくちなのである。
仮にそうなったときの赤字を、全国民の税金で尻拭いするのは止めてもらいたい。すべて自己責任。IRを誘致した自治体が、損失を負担すべきである。そのために必要なのは、住民の投票による最終決定。政府が国会に提出する法案には「住民投票によって決める」の一文を入れてほしい。
≪31日の日経平均 = 上げ +139.70円≫
≪1日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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全国9か所で開かれた公聴会では「観光の核となる新たな基幹産業」と期待する賛成論と、「結局はギャンブル、ばくち依存症を増やすだけ」という反対論が交錯。このばくち依存症に関しては、すでに有識者会議が「日本人客はマイナンバーの提示を求めて回数制限する」「クレジットカードの利用は認めない」などの対策をまとめている。
ただ設置する場所にもよるが、周辺の商店街や住宅地、学校などへの影響は意外に精査されていない。またカジノの運営はアメリカの専門会社に委託することになりそうだが、結果的に経営不振に陥る可能性は否定できない。カジノの設置そのものが、大きなばくちなのである。
仮にそうなったときの赤字を、全国民の税金で尻拭いするのは止めてもらいたい。すべて自己責任。IRを誘致した自治体が、損失を負担すべきである。そのために必要なのは、住民の投票による最終決定。政府が国会に提出する法案には「住民投票によって決める」の一文を入れてほしい。
≪31日の日経平均 = 上げ +139.70円≫
≪1日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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◇ 地方自治体の限界 = 日本の上下水道は、そのほとんどが地方自治体によって管理・運営されている。このため多くの自治体が、水道事業に関する豊富な経験を持っている。たとえば東京都の漏水率はアジア諸国の10分の1。料金の徴収率は100%に近い。こうした貴重なノウハウを海外に売り込めないか、こう考えている自治体は少なくない。
その東京都は10年に第3セクターの東京水道サービスを設立。ベトナム・ハノイで大型浄水場を建設する事業に参画した。また横浜市や北九州市なども、主として東南アジア諸国での事業に手を出している。だが自治体は上下水道の管理・運営能力には優れているが、インフラや部品に関する技術は個々のメーカーが握っている。このため単独での進出は難しい。
しかし自治体の職員は地方公務員であるため、民間企業には派遣できない。打開策として第3セクターを作ったりしているが、限界も多い。というのも総じて資金不足だからだ。多くの自治体は、国内の水道事業で多額の債務を抱えている。そのうえ海外事業で失敗はできないから、多額の投資には二の足を踏んでしまう。
もっと重大な限界もある.。国内の上下水道は、戦後から高度成長期にかけて整備された。その設備の大半が、間もなく老朽化で更新の時期を迎える。全国で1350もある水道事業者は、すでに合計8兆円の累積債務を負っている。その資金調達をどうするのか。海外よりも国内の本業に全力を尽くせという声も強いことは確かだ。
(続きは来週サタデー)
≪1日の日経平均 = 上げ +45.23円≫
【今週の日経平均予想 = 3勝2敗】
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その東京都は10年に第3セクターの東京水道サービスを設立。ベトナム・ハノイで大型浄水場を建設する事業に参画した。また横浜市や北九州市なども、主として東南アジア諸国での事業に手を出している。だが自治体は上下水道の管理・運営能力には優れているが、インフラや部品に関する技術は個々のメーカーが握っている。このため単独での進出は難しい。
しかし自治体の職員は地方公務員であるため、民間企業には派遣できない。打開策として第3セクターを作ったりしているが、限界も多い。というのも総じて資金不足だからだ。多くの自治体は、国内の水道事業で多額の債務を抱えている。そのうえ海外事業で失敗はできないから、多額の投資には二の足を踏んでしまう。
もっと重大な限界もある.。国内の上下水道は、戦後から高度成長期にかけて整備された。その設備の大半が、間もなく老朽化で更新の時期を迎える。全国で1350もある水道事業者は、すでに合計8兆円の累積債務を負っている。その資金調達をどうするのか。海外よりも国内の本業に全力を尽くせという声も強いことは確かだ。
(続きは来週サタデー)
≪1日の日経平均 = 上げ +45.23円≫
【今週の日経平均予想 = 3勝2敗】
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第14章 景気対策って、なんだろう? ⑱
◇ 企業の業績と雇用状況は絶好調 = 最近の日本経済で、ずっと絶好調を維持しているのは、大企業の利益と雇用の状況です。まず大企業の利益は、このところ過去最高の水準で推移。この好業績が、株価を下支えしていると言ってもいいでしょう。また人手不足は深刻で、失業率は2.8%と完全雇用に近い数字にまで下がりました。政府はアベノミックスの効果が表れて、雇用の改善が達成されたと宣伝しています。
ここで注意しておきたい点は、まず企業利益の大半が海外で生まれていること。海外での生産や営業活動で得た利益が、企業の業績に大きく貢献しているのです。多くの企業は、その利益を海外で再投資しようと計画します。だから国内での設備投資や賃金の引き上げには、多額のおカネを使いたがりません。このため安倍首相の言う“経済の好循環”には、どうしてもブレーキがかかってしまうのです。
また雇用状況の改善は、人口が減って働き手が足りなくなってきたことが根底にあります。そこへ震災復旧やオリンピック需要が重なり、人手不足になっている面も大きいのです。たとえば労働に携われる人口は、ピークだった1997年に比べると100万人も減ってしまいました。日本の人口減少は今後も続きますから、人手不足はなかなか解消されないでしょう。
もちろん、景気が悪ければ企業業績も雇用状況も絶好調にはならないでしょう。しかし、この2つの絶好調には、特別な理由も介在していることは確かです。このためアベノミックスの効果が、どれほどあったのか。測定することは、全く困難だと言えるでしょう。
(続きは来週日曜日)
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◇ 企業の業績と雇用状況は絶好調 = 最近の日本経済で、ずっと絶好調を維持しているのは、大企業の利益と雇用の状況です。まず大企業の利益は、このところ過去最高の水準で推移。この好業績が、株価を下支えしていると言ってもいいでしょう。また人手不足は深刻で、失業率は2.8%と完全雇用に近い数字にまで下がりました。政府はアベノミックスの効果が表れて、雇用の改善が達成されたと宣伝しています。
ここで注意しておきたい点は、まず企業利益の大半が海外で生まれていること。海外での生産や営業活動で得た利益が、企業の業績に大きく貢献しているのです。多くの企業は、その利益を海外で再投資しようと計画します。だから国内での設備投資や賃金の引き上げには、多額のおカネを使いたがりません。このため安倍首相の言う“経済の好循環”には、どうしてもブレーキがかかってしまうのです。
また雇用状況の改善は、人口が減って働き手が足りなくなってきたことが根底にあります。そこへ震災復旧やオリンピック需要が重なり、人手不足になっている面も大きいのです。たとえば労働に携われる人口は、ピークだった1997年に比べると100万人も減ってしまいました。日本の人口減少は今後も続きますから、人手不足はなかなか解消されないでしょう。
もちろん、景気が悪ければ企業業績も雇用状況も絶好調にはならないでしょう。しかし、この2つの絶好調には、特別な理由も介在していることは確かです。このためアベノミックスの効果が、どれほどあったのか。測定することは、全く困難だと言えるでしょう。
(続きは来週日曜日)
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◇ 北朝鮮リスク vs 3%成長 = 投資家は北朝鮮リスクの重視派と、予想外に強いアメリカ経済の歓迎派に2分されてきたようだ。先週は29日に北朝鮮が日本を飛び越えるICBM(大陸間弾道弾)を発射したが、ダウ平均は下げなかった。逆に30日に4-6月期のGDP成長率が3%に上方修正されると、これを好感して続伸。週間では174ドルの値上がりとなって、再び2万2000ドルに接近している。
しかし一方では、北朝鮮リスクを嫌って、資金が国債や金に向かった。金価格はニューヨーク市場では9か月半ぶり、東京市場では1年半ぶりの高値となっている。日本の国債も買われ、長期金利は一時0%にまで低落した。円相場も一時は108円30銭まで上昇したが、その後は110円台に戻している。これはアメリカ経済の堅調で、FRBの利上げ可能性が強まったためだろう。
ダウ平均の続伸につられて、日経平均も先週は239円の値上がり。このように株式市場に関する限り、先週は日米ともに北朝鮮リスクを克服した形。だが北朝鮮は日曜日に核実験を強行、さらに9日が建国記念日だ。リスクが一気に高まる可能性もないではない。やはり市場にとっては“慎重な”一週間になるだろう。
今週は6日に、7月の毎月勤労統計。7日に、7月の景気動向指数。8日に、4-6月期のGDP改定値、7月の国際収支、8月の景気ウォッチャー調査。アメリカでは6日に、7月の貿易統計、8月のISM非製造業景況指数。また中国が8日に、貿易統計。9日に、8月の消費者物価と生産者物価を発表する。
≪4日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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しかし一方では、北朝鮮リスクを嫌って、資金が国債や金に向かった。金価格はニューヨーク市場では9か月半ぶり、東京市場では1年半ぶりの高値となっている。日本の国債も買われ、長期金利は一時0%にまで低落した。円相場も一時は108円30銭まで上昇したが、その後は110円台に戻している。これはアメリカ経済の堅調で、FRBの利上げ可能性が強まったためだろう。
ダウ平均の続伸につられて、日経平均も先週は239円の値上がり。このように株式市場に関する限り、先週は日米ともに北朝鮮リスクを克服した形。だが北朝鮮は日曜日に核実験を強行、さらに9日が建国記念日だ。リスクが一気に高まる可能性もないではない。やはり市場にとっては“慎重な”一週間になるだろう。
今週は6日に、7月の毎月勤労統計。7日に、7月の景気動向指数。8日に、4-6月期のGDP改定値、7月の国際収支、8月の景気ウォッチャー調査。アメリカでは6日に、7月の貿易統計、8月のISM非製造業景況指数。また中国が8日に、貿易統計。9日に、8月の消費者物価と生産者物価を発表する。
≪4日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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◇ 国債・金・円に資金が移動 = 北朝鮮が日本を飛び越すICBM(大陸間弾道弾)を発射した29日をきっかけに、世界の投機資金が主要国の国債、金、日本円に集まり始めた。情勢の急変に備えて、比較的に安定していると考えられる分野に資金を移動させたためである。東京市場でも国債が買われて、金利が一斉に低下。10年もの国債の利回りは4か月ぶりにゼロ%、3か月もの短期国債の利回りは5か月ぶりにマイナス0.2%にまで下落した。
9月1日になると、10年もの国債の利回りは一時マイナス0.005%に低下した。9か月半ぶりの低水準で、こんな状態が続くと金融機関の経営が悪化する。そこで日銀は国債の買い入れ額を減らし、利回りをプラスの領域にまで引き上げている。ところが金利が戻りすぎると、こんどは円高を招く要因になってしまう。実に難しいサジ加減だ。
金の相場も急騰した。ニューヨーク市場の先物相場は、9か月半ぶりに1オンス=1300ドルを突破。東京でも市中の買い取り価格が、2年2か月ぶりに1グラム=5000円を超えた。専門家によると、金相場はなお上昇する可能性が強いという。円の対ドル相場も、一時は4か月ぶりに108円台を記録している。
ただ円相場は、すぐ110円台に戻している。また株価も急落しなかった。これはアメリカの景気が底堅く、FRBによる引き締め政策の継続が見込まれるためだと思われる。こうした経済環境は今週も続くと予想されるが、問題は北朝鮮の9日の建国記念日。少なくとも、それまでは市場のリスク警戒感が弱まることはないだろう。
≪4日の日経平均 = 下げ -183.22円≫
≪5日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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9月1日になると、10年もの国債の利回りは一時マイナス0.005%に低下した。9か月半ぶりの低水準で、こんな状態が続くと金融機関の経営が悪化する。そこで日銀は国債の買い入れ額を減らし、利回りをプラスの領域にまで引き上げている。ところが金利が戻りすぎると、こんどは円高を招く要因になってしまう。実に難しいサジ加減だ。
金の相場も急騰した。ニューヨーク市場の先物相場は、9か月半ぶりに1オンス=1300ドルを突破。東京でも市中の買い取り価格が、2年2か月ぶりに1グラム=5000円を超えた。専門家によると、金相場はなお上昇する可能性が強いという。円の対ドル相場も、一時は4か月ぶりに108円台を記録している。
ただ円相場は、すぐ110円台に戻している。また株価も急落しなかった。これはアメリカの景気が底堅く、FRBによる引き締め政策の継続が見込まれるためだと思われる。こうした経済環境は今週も続くと予想されるが、問題は北朝鮮の9日の建国記念日。少なくとも、それまでは市場のリスク警戒感が弱まることはないだろう。
≪4日の日経平均 = 下げ -183.22円≫
≪5日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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◇ 中小企業も利益が急増 = 企業業績の好調が続いている。財務省が発表した4-6月期の法人企業統計調査によると、金融・保険を除く全産業の売上高は前年比6.7%増加した。また経常利益は22.6%の大幅な増加となっている。16年度の経常利益は75兆円で前年度比9.9%の増益だったが、17年度に入って利益の伸びは加速した形だ。
4-6月期の経常利益を業種別にみると、製造業は8兆2000億円で前年比46.4%の増加。非製造業は14兆1700億円で12.0%の増加だった。このうち製造業では輸送用機械の増益率が大きく、非製造業では卸・小売業の増益が目立っている。また金融・保険業の経常利益は3兆6000億円で、前年比16.6%の増益だった。
経常利益の増加で注目されるのは、中小企業の健闘。金融・保険を含む全産業で資本金10億円以上の大企業が19.8%の増益だったのに対して、資本金1億円未満の中小企業は32.8%の増益を達成した。とても結構な成績と言えるが、この発表では何も説明されていない。
増益基調が続いたことによって、企業の内部留保も大幅に増えている。金融・保険を含む全産業の利益剰余金は、6月末で444兆3000億円に達した。この1年間で28兆6000億円増えている。だが企業はこのように高い内部留保を持ちながら、設備投資や人件費にはあまり使おうとしない。そこに問題があることは、しばしば指摘されている。
(続きは明日)
≪5日の日経平均 = 下げ -122.44円≫
≪6日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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4-6月期の経常利益を業種別にみると、製造業は8兆2000億円で前年比46.4%の増加。非製造業は14兆1700億円で12.0%の増加だった。このうち製造業では輸送用機械の増益率が大きく、非製造業では卸・小売業の増益が目立っている。また金融・保険業の経常利益は3兆6000億円で、前年比16.6%の増益だった。
経常利益の増加で注目されるのは、中小企業の健闘。金融・保険を含む全産業で資本金10億円以上の大企業が19.8%の増益だったのに対して、資本金1億円未満の中小企業は32.8%の増益を達成した。とても結構な成績と言えるが、この発表では何も説明されていない。
増益基調が続いたことによって、企業の内部留保も大幅に増えている。金融・保険を含む全産業の利益剰余金は、6月末で444兆3000億円に達した。この1年間で28兆6000億円増えている。だが企業はこのように高い内部留保を持ちながら、設備投資や人件費にはあまり使おうとしない。そこに問題があることは、しばしば指摘されている。
(続きは明日)
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◇ なぜ企業は貯め込むのか = 法人企業統計によると、企業の4-6月期の経常利益は前年比22.6%も増加した。ところが設備投資支出は1.5%しか増えていない。かろうじてプラスではあったものの、利益に比べればその伸びは極めて小さい。16年度でみても、利益は9.9%増加したのに設備投資はわずか0.7%の伸びにとどまっている。なぜ企業は投資しないのだろう。
従業員の給与と賞与を合計した人件費は、4-6月期に36兆円だった。1年前に比べると約2%増加している。しかし、この間に従業員数が約1.1%増えていることを勘案すると、やはり利益の伸びに比べた人件費の増加率は極めて低い。なぜ企業は給与や賞与を増やそうとしないのだろう。
人口が減少して行く日本の将来を考えると、省力化投資はしても能力拡張投資はしにくい。雇用は増加しても非正規雇用者の採用が多いから、平均すると賃金水準は上がりにくい。企業の利益は海外で稼いだ分が多く、その分は海外での再投資に回されやすい。いろいろな説明がなされているが、それだけではなさそうだ。
安倍首相は賃金増⇒消費増⇒景気の拡大という“経済の好循環”に大きな期待を寄せている。だが企業は設備投資や人件費の増加には、極めて慎重だ。その理由は何なのか。法人企業統計は3万6580社を対象に実施する大掛かりな調査である。数字を集めるだけでなく、一緒に「なぜ貯め込むのか」を経営者に聞いてみたらどうか。
≪6日の日経平均 = 下げ -27.84円≫
≪7日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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従業員の給与と賞与を合計した人件費は、4-6月期に36兆円だった。1年前に比べると約2%増加している。しかし、この間に従業員数が約1.1%増えていることを勘案すると、やはり利益の伸びに比べた人件費の増加率は極めて低い。なぜ企業は給与や賞与を増やそうとしないのだろう。
人口が減少して行く日本の将来を考えると、省力化投資はしても能力拡張投資はしにくい。雇用は増加しても非正規雇用者の採用が多いから、平均すると賃金水準は上がりにくい。企業の利益は海外で稼いだ分が多く、その分は海外での再投資に回されやすい。いろいろな説明がなされているが、それだけではなさそうだ。
安倍首相は賃金増⇒消費増⇒景気の拡大という“経済の好循環”に大きな期待を寄せている。だが企業は設備投資や人件費の増加には、極めて慎重だ。その理由は何なのか。法人企業統計は3万6580社を対象に実施する大掛かりな調査である。数字を集めるだけでなく、一緒に「なぜ貯め込むのか」を経営者に聞いてみたらどうか。
≪6日の日経平均 = 下げ -27.84円≫
≪7日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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◇ 旅行と食料品が売れ筋 = 総務省が発表した7月の家計調査によると、2人以上世帯の消費支出額は平均27万9197円で前年を0.2%下回った。こうしたなかで健闘しているのが、インターネットを通じた商品やサービスの購入。世帯平均の支出額は1万0950円で前年より20.0%も増加した。ネットを利用した世帯の割合は34.9%に達し、前年より6.8ポイント増えている。
この調査では、ネットを通じて実際に商品やサービスを購入したり予約した事例を集計している。つまりネットで情報を収集しただけでは対象にならない。このように実際にネット・ショッピングを行った世帯だけを集計すると、その世帯平均の支出額は3万1401円になる。面白いのは、そのうちの86%が持ち家に住んでいることだ。
ネット・ショッピングで、何を購入したのだろう。いちばん金額が大きいのは、旅行の2802円。次いで食料品が1374円。あとは衣類・履物が1053円、家電が708円と続く。このほか保険・医療が534円。また自動車関連は330円、化粧品は393円と、意外に売上高は少ない。
最近の家計調査では、世帯の収入が伸びないために消費支出も増えないことが問題視されている。しかしネット・ショッピングをする世帯は全体の3分の1を超えた。平均支出額も1万円を超えてきている。その勢いは無視できない。消費支出の観点からは頼もしいが、それだけ従来型の小売り業が浸食されているとも言えるわけだ。
≪7日の日経平均 = 上げ +38.55円≫
≪8日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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この調査では、ネットを通じて実際に商品やサービスを購入したり予約した事例を集計している。つまりネットで情報を収集しただけでは対象にならない。このように実際にネット・ショッピングを行った世帯だけを集計すると、その世帯平均の支出額は3万1401円になる。面白いのは、そのうちの86%が持ち家に住んでいることだ。
ネット・ショッピングで、何を購入したのだろう。いちばん金額が大きいのは、旅行の2802円。次いで食料品が1374円。あとは衣類・履物が1053円、家電が708円と続く。このほか保険・医療が534円。また自動車関連は330円、化粧品は393円と、意外に売上高は少ない。
最近の家計調査では、世帯の収入が伸びないために消費支出も増えないことが問題視されている。しかしネット・ショッピングをする世帯は全体の3分の1を超えた。平均支出額も1万円を超えてきている。その勢いは無視できない。消費支出の観点からは頼もしいが、それだけ従来型の小売り業が浸食されているとも言えるわけだ。
≪7日の日経平均 = 上げ +38.55円≫
≪8日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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◇ やる気が見えない経済産業省 = 政府は10年5月に閣議決定した新成長戦略のなかで「水インフラの強化」を挙げている。これを受けて経済産業省は、オール・ジャパン体制の構築を目指して「メガトン計画」を立ち上げた。逆浸透膜やプラント・メーカー18社と東大など11の大学を集め、日量100万トンの海水淡水化プラントを建設することが目的だった。国も34億円の補助金を支出している。
また経産省は大手証券会社や国際協力銀行などに働きかけ、規模1000億円の水ビジネス・ファンドの設立も計画した。ところが、これらの計画は雲散霧消している。上水道を所管する厚生労働省や下水道を所管する国土交通省などとの協力がうまくいかなかったためとも言われるが、真相は不明だ。
その経産省はことし3月「水ビジネスの今後の海外展開の方向性」と題する文書を発表した。これを読むと、政府が主導する水ビジネス体制の強化は、全く進展していないことが判る。しかも、この文書では「日本の水関連企業等の世界市場占有率はことし3月時点で0.4%、そのプレゼンスは極めて低い状況にある」と現状判断しているのだから、どうしようもない。
日本の逆浸透膜メーカーや水プラント・メーカーは非常に高い技術力を持ち、地方自治体は上下水道の管理・運用に長い経験を積んでいる。にもかかわらず、これらが一体化されないため、海外市場で大口の受注ができない。それを取りまとめるのが政府の役割だと思うが、現状はこのていたらくだ。
≪8日の日経平均 = 下げ -121.70円≫
【今週の日経平均予想 = 5勝0敗】
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また経産省は大手証券会社や国際協力銀行などに働きかけ、規模1000億円の水ビジネス・ファンドの設立も計画した。ところが、これらの計画は雲散霧消している。上水道を所管する厚生労働省や下水道を所管する国土交通省などとの協力がうまくいかなかったためとも言われるが、真相は不明だ。
その経産省はことし3月「水ビジネスの今後の海外展開の方向性」と題する文書を発表した。これを読むと、政府が主導する水ビジネス体制の強化は、全く進展していないことが判る。しかも、この文書では「日本の水関連企業等の世界市場占有率はことし3月時点で0.4%、そのプレゼンスは極めて低い状況にある」と現状判断しているのだから、どうしようもない。
日本の逆浸透膜メーカーや水プラント・メーカーは非常に高い技術力を持ち、地方自治体は上下水道の管理・運用に長い経験を積んでいる。にもかかわらず、これらが一体化されないため、海外市場で大口の受注ができない。それを取りまとめるのが政府の役割だと思うが、現状はこのていたらくだ。
≪8日の日経平均 = 下げ -121.70円≫
【今週の日経平均予想 = 5勝0敗】
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第14章 景気対策って、なんだろう? ⑲
◇ 取り残されそうな日本 = アメリカやヨーロッパ諸国は、金融政策のカジ取りを緩和から引き締めへと切り替えています。いちばん早かったのはアメリカで一昨年末から政策金利を引き上げ始め、すでに4回の利上げを実行しました。ECB(ヨーロッパ中央銀行)やイングランド銀行も、間もなく金利を引き上げる方針です。これはアメリカやヨーロッパ諸国の景気が回復したからにほかなりません。
アメリカの中央銀行であるFRB(連邦準備理事会)は、これまで4回の利上げで政策金利の水準をゼロから1%にまで戻しました。今後もゆっくりしたペースで、金利を引き上げて行く方針です。また市場から国債などを買い入れる量的緩和と呼ばれる政策も、近く縮小に転じると予想されています。
一方、ECBも10月の理事会で、金融緩和政策の停止を決める見通しです。政策金利を少しづつ引き上げ、市場からの国債買い入れ額も徐々に減らして行くことになるでしょう。アメリカに続いてヨーロッパも、金融の正常化にむけて一歩を踏み出すことになるわけです。
そうしたなかで、日本の状況はどうでしょうか。政府は景気の回復期間が“いざなぎ景気”を超えたと宣伝していますが、回復力が弱くデフレ状態をいまだに抜け出せません。日銀としても、金融緩和政策を終わらせることはとても出来ないと考えています。ですから来年以降は、日本だけが世界の潮流に乗り損ねた形になりそうです。
(続きは来週日曜日)
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◇ 取り残されそうな日本 = アメリカやヨーロッパ諸国は、金融政策のカジ取りを緩和から引き締めへと切り替えています。いちばん早かったのはアメリカで一昨年末から政策金利を引き上げ始め、すでに4回の利上げを実行しました。ECB(ヨーロッパ中央銀行)やイングランド銀行も、間もなく金利を引き上げる方針です。これはアメリカやヨーロッパ諸国の景気が回復したからにほかなりません。
アメリカの中央銀行であるFRB(連邦準備理事会)は、これまで4回の利上げで政策金利の水準をゼロから1%にまで戻しました。今後もゆっくりしたペースで、金利を引き上げて行く方針です。また市場から国債などを買い入れる量的緩和と呼ばれる政策も、近く縮小に転じると予想されています。
一方、ECBも10月の理事会で、金融緩和政策の停止を決める見通しです。政策金利を少しづつ引き上げ、市場からの国債買い入れ額も徐々に減らして行くことになるでしょう。アメリカに続いてヨーロッパも、金融の正常化にむけて一歩を踏み出すことになるわけです。
そうしたなかで、日本の状況はどうでしょうか。政府は景気の回復期間が“いざなぎ景気”を超えたと宣伝していますが、回復力が弱くデフレ状態をいまだに抜け出せません。日銀としても、金融緩和政策を終わらせることはとても出来ないと考えています。ですから来年以降は、日本だけが世界の潮流に乗り損ねた形になりそうです。
(続きは来週日曜日)
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◇ ウォール街にも北朝鮮の影 = これまでは北朝鮮リスクにやや鈍感だったニューヨーク市場も、先週は大きく反応した。北朝鮮が小型化した水爆実験に成功、さらに太平洋に向けたICBM(大陸間弾道弾)の発射を準備中と伝えられたからである。議会がアメリカ政府の債務上限引き上げを認めるなどの好材料もあったが、核実験後の5日に急落したダウ平均は値を戻せなかった。週間では190ドルの値下がり。
北朝鮮リスクに敏感な東京市場は大幅安。日経平均は週間417円の値下がり。週の終り値は1万9300円を割って、4か月半ぶりの安値に落ち込んだ。円高が加速して107円台まで上昇したことが大きい。外国人投資家の売り越しが目立つ一方で、国内の個人投資家は様子見の姿勢を強めているようだ。
北朝鮮問題は、今週も市場に影を落とす。一部の専門家は、日経平均が1万7000円まで下落するという予想を流し始めた。北朝鮮からは目を離せないが、ほかにもECB(ヨーロッパ中央銀行)が10月に金融緩和政策の停止を決定しそうになってきた。この政策転換も、日本円に対しては上昇圧力になる。株式市場に秋晴れは当分やってきそうにない。
今週は11日に、7月の機械受注と第3次産業活動指数。13日に、7-9月期の法人企業景気予測調査、8月の企業物価。アメリカでは13日に、8月の生産者物価。14日に、8月の消費者物価。15日に、8月の小売り売上高と工業生産、9月のミシガン大学・消費者信頼感指数。また中国が14日に、8月の鉱工業生産、小売り売上高、固定資産投資額を発表する。
≪11日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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北朝鮮リスクに敏感な東京市場は大幅安。日経平均は週間417円の値下がり。週の終り値は1万9300円を割って、4か月半ぶりの安値に落ち込んだ。円高が加速して107円台まで上昇したことが大きい。外国人投資家の売り越しが目立つ一方で、国内の個人投資家は様子見の姿勢を強めているようだ。
北朝鮮問題は、今週も市場に影を落とす。一部の専門家は、日経平均が1万7000円まで下落するという予想を流し始めた。北朝鮮からは目を離せないが、ほかにもECB(ヨーロッパ中央銀行)が10月に金融緩和政策の停止を決定しそうになってきた。この政策転換も、日本円に対しては上昇圧力になる。株式市場に秋晴れは当分やってきそうにない。
今週は11日に、7月の機械受注と第3次産業活動指数。13日に、7-9月期の法人企業景気予測調査、8月の企業物価。アメリカでは13日に、8月の生産者物価。14日に、8月の消費者物価。15日に、8月の小売り売上高と工業生産、9月のミシガン大学・消費者信頼感指数。また中国が14日に、8月の鉱工業生産、小売り売上高、固定資産投資額を発表する。
≪11日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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◇ びっくり! 与党を蹴って野党と結ぶ = アメリカでは8日、①政府の債務限度を引き上げる法案②ハリケーン被害の復旧予算③来年度予算が成立するまでの“つなぎ予算”――の3つが、大方の予想に反して一挙に成立した。この結果、政府が国債を償還できずに“デフォルト”に陥ることが回避され、予算がなくなって政府機関が閉鎖される心配も当面はなくなった。トランプ政権は、大きな1つの難関を突破したと言える。
だが驚いたのは、この難関を突破した方法だ。債務限度の引き上げについて、与党の共和党は来年秋の中間選挙後まで新規の借り入れを認めるよう主張。これに対して野党の民主党は、期間を3か月に限って債務限度とハリケーン予算、それに“つなぎ予算”を一括審議する議案を提出した。
ここでトランプ大統領は、民主党の案をマル呑み。反対する共和党幹部を押さえつけてしまった。やむなく共和党も民主党案に同調、法案はあっさりと議会を通過した。なぜ、こんな離れ業を演じたかについては、諸説ある。だが基本的には、オバマ・ケア代替法案やメキシコ国境のカベ建設予算などで、大統領に反抗する共和党議員に脅しをかけたという見方が有力になっている。何かあればすぐ野党と結束するぞ、というわけだ。
これでトランプ大統領と共和党との関係は、さらに悪化した。今後それをどう修復するのか。今回の決定が暫定的だから、3か月後には再び同様の問題が蒸し返される。それにしても「安倍首相が民進党と手を組んだ」ようなものだから、周囲の人も唖然。これからも何をするか分からない。
≪11日の日経平均 = 上げ +270.95円≫
≪12日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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だが驚いたのは、この難関を突破した方法だ。債務限度の引き上げについて、与党の共和党は来年秋の中間選挙後まで新規の借り入れを認めるよう主張。これに対して野党の民主党は、期間を3か月に限って債務限度とハリケーン予算、それに“つなぎ予算”を一括審議する議案を提出した。
ここでトランプ大統領は、民主党の案をマル呑み。反対する共和党幹部を押さえつけてしまった。やむなく共和党も民主党案に同調、法案はあっさりと議会を通過した。なぜ、こんな離れ業を演じたかについては、諸説ある。だが基本的には、オバマ・ケア代替法案やメキシコ国境のカベ建設予算などで、大統領に反抗する共和党議員に脅しをかけたという見方が有力になっている。何かあればすぐ野党と結束するぞ、というわけだ。
これでトランプ大統領と共和党との関係は、さらに悪化した。今後それをどう修復するのか。今回の決定が暫定的だから、3か月後には再び同様の問題が蒸し返される。それにしても「安倍首相が民進党と手を組んだ」ようなものだから、周囲の人も唖然。これからも何をするか分からない。
≪11日の日経平均 = 上げ +270.95円≫
≪12日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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◇ 主要国は緩和政策から離脱 = ECB(ヨーロッパ中央銀行)は、来年1月から金融緩和政策の縮小を始めることになった。その具体的な内容は、10月の理事会で決定する。すでにアメリカは一昨年末から政策金利の引き上げに踏み切っており、EUが金融政策のカジを切り替えれば、主要国のなかでは日本だけが超緩和政策にしがみ付いたままとなる。どうして、そうなるのだろうか。
リーマン・ショック後の不況を克服するため、ECBは金融を緩和。14年6月にはマイナス金利を導入、量的緩和のために現在は国債などを月600億ユーロ(約78兆円)のペースで市場から買い入れている。ドラギ総裁は、この資産購入額を来年から少しづつ減らして行くと示唆した。合わせて現在マイナスになっている金利も、小幅に引き上げる可能性が強い。
アメリカやヨーロッパが金融政策を引き締めの方向に転換したのは、景気の回復が順調に推移しているためである。ドラギ総裁も「EUの景気はしっかり回復している」と述べた。じっさいEUの経済成長率は17四半期にわたって、プラスを記録。ECBは17年も成長率は2.2%になると予測している。
実は日本の成長率も、そう悪くはない。ことし上半期の実質成長率はアメリカが年率2.1%、ユーロ圏が1.95%なのに対して、日本は2.0%だった。それなのに日銀総裁も経済閣僚も、緩和政策の縮小については全く口を閉ざしたまま。このままだと、対ドル円相場には上昇圧力が加わりかねない。海外投資家からは「日本は景気の先行きに自信がなさそうだ」と、受け取られかねないのだが。
≪12日の日経平均 = 上げ +230.85円≫
≪13日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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リーマン・ショック後の不況を克服するため、ECBは金融を緩和。14年6月にはマイナス金利を導入、量的緩和のために現在は国債などを月600億ユーロ(約78兆円)のペースで市場から買い入れている。ドラギ総裁は、この資産購入額を来年から少しづつ減らして行くと示唆した。合わせて現在マイナスになっている金利も、小幅に引き上げる可能性が強い。
アメリカやヨーロッパが金融政策を引き締めの方向に転換したのは、景気の回復が順調に推移しているためである。ドラギ総裁も「EUの景気はしっかり回復している」と述べた。じっさいEUの経済成長率は17四半期にわたって、プラスを記録。ECBは17年も成長率は2.2%になると予測している。
実は日本の成長率も、そう悪くはない。ことし上半期の実質成長率はアメリカが年率2.1%、ユーロ圏が1.95%なのに対して、日本は2.0%だった。それなのに日銀総裁も経済閣僚も、緩和政策の縮小については全く口を閉ざしたまま。このままだと、対ドル円相場には上昇圧力が加わりかねない。海外投資家からは「日本は景気の先行きに自信がなさそうだ」と、受け取られかねないのだが。
≪12日の日経平均 = 上げ +230.85円≫
≪13日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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◇ 不足感は和らぐ見通しに = 内閣府と財務省は13日、共同で実施した7-9月期の法人企業景気予測調査を発表した。それによると、大企業の景況感はプラス5.1で、前期のマイナス2.0から大きく改善。中小企業はマイナス6.5だったが、前期のマイナス9.9よりは改善している。この数字は「自社の景況は前期より改善した」と答えた企業の割合から「悪化した」と答えた企業の割合を差し引いたもの。要するに、企業の景況感は好転している。
さらに先行きの景況感も、上昇している。10-12月期の景況感は、大企業がプラス7.5。中小企業はプラス0.7と改善する見通しだ。また17年度の経常利益は、全産業で前年度比0.6%の増加に。うち製造業は3.5%の増加、非製造業は0.7%の減少だった。設備投資についても、17年度は全産業で3.9%増える見込みとなっている。
このように景況感は改善、利益や設備投資も上向くと考えている経営者が多い。ところが「従業員数の判断」という質問に対する回答には、ちょっとした異変が見受けられる。大企業の現状判断は17.0で、前期の15.4より人手不足感が強まった。中小企業でも27.1から28.6に、不足感は増大している。
しかし10-12月期の予想では、大企業が13.5に。中小企業も23.0にむしろ減少している。もちろん、それでも人手不足感はまだ強いが、この予測通りならば人手不足感はピークを超えることになる。景況感は上昇するのに、人手不足感はやや減退する。その理油は何なのか。今後の推移に注目して行きたい。
≪13日の日経平均 = 上げ +89.20円≫
≪14日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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さらに先行きの景況感も、上昇している。10-12月期の景況感は、大企業がプラス7.5。中小企業はプラス0.7と改善する見通しだ。また17年度の経常利益は、全産業で前年度比0.6%の増加に。うち製造業は3.5%の増加、非製造業は0.7%の減少だった。設備投資についても、17年度は全産業で3.9%増える見込みとなっている。
このように景況感は改善、利益や設備投資も上向くと考えている経営者が多い。ところが「従業員数の判断」という質問に対する回答には、ちょっとした異変が見受けられる。大企業の現状判断は17.0で、前期の15.4より人手不足感が強まった。中小企業でも27.1から28.6に、不足感は増大している。
しかし10-12月期の予想では、大企業が13.5に。中小企業も23.0にむしろ減少している。もちろん、それでも人手不足感はまだ強いが、この予測通りならば人手不足感はピークを超えることになる。景況感は上昇するのに、人手不足感はやや減退する。その理油は何なのか。今後の推移に注目して行きたい。
≪13日の日経平均 = 上げ +89.20円≫
≪14日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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◇ 法人企業統計を改善せよ = 経済成長率が大幅に下方修正された。内閣府が発表した4-6月期のGDP改定値によると、年率換算の実質成長率は2.5%。速報値の4.0%から大きく低下した。名目成長率も4.6%から3.0%に下がっている。こんなに大幅な下方修正となったのは、10年4-6月期以来のこと。景気が「はっきり上向いた」と喜んだ企業経営者も、がっくり。これでは設備投資も増えないだろう。
統計を精査して改定値を求めるのだから、多少の増減はやむをえない。だが4%成長が2.5%成長に修正されたのでは、速報値に対する信頼感はなくなってしまう。どうして、こんなに大幅な修正が加えられたのか。その理由は企業の設備投資。速報値では前期比2.9%増だったものが、改定値では0.9%増に落ちてしまったことにある。
その原因は、設備投資の推計法が速報値と改定値で異なっていること。速報値ではメーカーの出荷額などから推計しているが、改定値では財務省が実施する法人企業統計を使う。こちらの方が、企業が実際に投資した金額が判るためだ。ところが法人企業統計の発表は9月1日。GDP速報値は8月14日に発表されたから、間に合わない。
速報値の発表を遅らせれば、速報の意味がなくなる。改善するための方策は、法人企業統計の集計を早めるしかない。そのためには、まず企業の回答を7月中にしてもらう。その集計を2週間程度で済ます。そうすれば、法人企業統計の結果を、GDP速報値に反映させることができる。ムリだと一蹴せずに、内閣府も財務省も努力してみたらいかが。
≪14日の日経平均 = 下げ -58.38円≫
≪15日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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統計を精査して改定値を求めるのだから、多少の増減はやむをえない。だが4%成長が2.5%成長に修正されたのでは、速報値に対する信頼感はなくなってしまう。どうして、こんなに大幅な修正が加えられたのか。その理由は企業の設備投資。速報値では前期比2.9%増だったものが、改定値では0.9%増に落ちてしまったことにある。
その原因は、設備投資の推計法が速報値と改定値で異なっていること。速報値ではメーカーの出荷額などから推計しているが、改定値では財務省が実施する法人企業統計を使う。こちらの方が、企業が実際に投資した金額が判るためだ。ところが法人企業統計の発表は9月1日。GDP速報値は8月14日に発表されたから、間に合わない。
速報値の発表を遅らせれば、速報の意味がなくなる。改善するための方策は、法人企業統計の集計を早めるしかない。そのためには、まず企業の回答を7月中にしてもらう。その集計を2週間程度で済ます。そうすれば、法人企業統計の結果を、GDP速報値に反映させることができる。ムリだと一蹴せずに、内閣府も財務省も努力してみたらいかが。
≪14日の日経平均 = 下げ -58.38円≫
≪15日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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◇ 都市沈没の危機 = 東南アジア諸国の大都市が、地盤の激しい沈下に悩んでいる。インドネシアのジャカルタ、フィリピンのマニラ、ベトナムのホーチミンなど。ジャカルタの場合は、すでに市内の4割に当たる面積が海水面以下に。さらに今後10年間のうちに、180センチの地盤沈下が起こると推定されている。いずれも地下水の過剰な汲み上げが原因だ。
人口の急増も一因だが、工業化が進んで工業用水を汲み上げすぎたことが最大の要因。首都沈没の危機を防ぐためには、汲み上げを制限するしかない。その場合、不足する工業用水を補う方法は、下水を浄化して工場に供給すること。また使用した工場用水を浄化して再利用するしかない。
地下水を農業用に汲み上げた弊害も、各所で出ている。特にひどいのは、中国の黄河中流域とアメリカの中西部。黄河では大河の水が干上がる事態も生じている。アメリカでも最大の農業地帯で、地下水の枯渇が真剣に心配され始めた。これらの対策も、下水の再活用しかない。
こうした地下水の枯渇は、予測を上回る勢いで進行している。したがって国連や経済産業省の推計値よりも水不足はさらに増大し、水ビジネスの規模も拡大する可能性が大きい。オーストラリアでも地下水が不足し始め、日本へ石炭や鉄鉱石を運んだ輸送船が、日本の下水を浄化した水を積み込んで帰る時代になっているのだ。
(続きは来週サタデー)
≪15日の日経平均 = 上げ +102.06円≫
【今週の日経平均予想 = 3勝2敗】
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人口の急増も一因だが、工業化が進んで工業用水を汲み上げすぎたことが最大の要因。首都沈没の危機を防ぐためには、汲み上げを制限するしかない。その場合、不足する工業用水を補う方法は、下水を浄化して工場に供給すること。また使用した工場用水を浄化して再利用するしかない。
地下水を農業用に汲み上げた弊害も、各所で出ている。特にひどいのは、中国の黄河中流域とアメリカの中西部。黄河では大河の水が干上がる事態も生じている。アメリカでも最大の農業地帯で、地下水の枯渇が真剣に心配され始めた。これらの対策も、下水の再活用しかない。
こうした地下水の枯渇は、予測を上回る勢いで進行している。したがって国連や経済産業省の推計値よりも水不足はさらに増大し、水ビジネスの規模も拡大する可能性が大きい。オーストラリアでも地下水が不足し始め、日本へ石炭や鉄鉱石を運んだ輸送船が、日本の下水を浄化した水を積み込んで帰る時代になっているのだ。
(続きは来週サタデー)
≪15日の日経平均 = 上げ +102.06円≫
【今週の日経平均予想 = 3勝2敗】
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第14章 景気対策って、なんだろう? ⑳
◇ 揺れ動く景気対策 = 「財政が出動すれば、景気はよくなる」と、初めて主張したのはイギリスの経済学者ケインズでした。「人を集めて穴を掘り、また埋め戻させる。それだけで景気はよくなる」という例え話は有名です。そこで支払われた賃金が、回り回って景気を上昇させるという考え方でした。1929年の大不況に直面したアメリカのルーズベルト大統領がこの説を採用、大規模ダムなどの建設に財政資金を放出しました。しかし40年に第2次世界大戦が始まってしまい、その効果は検証できませんでした。
戦後、先進諸国は景気が下降すると財政を出動させ、効果を挙げました。日本でも1964年の東京オリンピック前に、東海道新幹線や東名高速道路を完成させ、その後の高度成長をもたらす原動力になったと言えるでしょう。しかし財政出動が重なると、国債の発行高が膨らみ、財政の赤字は増大します。同時に公共投資の効率も急減。ケインズ政策は行き詰まりました。
財政がダメなら金融で。各国は金融緩和で景気を維持しようと考えます。日本でもリーマン・ショック後の不況対策として、日銀が13年4月に“異次元緩和”政策を導入しました。金利をゼロ以下にまで引き下げ、国債などを市場から買い入れることによって大量のおカネを世の中に放出しています。しかし最近は、その効果も薄れてしまいました。
もし次に景気が下降したら、財政も金融も打つ手は限られます。そこでアメリカは一昨年末から、金融政策のカジを切り替え金利を上げ始めました。次の不況に備えようというわけです。ヨーロッパも来年から政策を引き締めの方向に転換しようとしています。まだ日本には、そんな動きはありません。仮に世界不況がやってきたら、どうするのか。とても心配です。
(終わり)
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◇ 揺れ動く景気対策 = 「財政が出動すれば、景気はよくなる」と、初めて主張したのはイギリスの経済学者ケインズでした。「人を集めて穴を掘り、また埋め戻させる。それだけで景気はよくなる」という例え話は有名です。そこで支払われた賃金が、回り回って景気を上昇させるという考え方でした。1929年の大不況に直面したアメリカのルーズベルト大統領がこの説を採用、大規模ダムなどの建設に財政資金を放出しました。しかし40年に第2次世界大戦が始まってしまい、その効果は検証できませんでした。
戦後、先進諸国は景気が下降すると財政を出動させ、効果を挙げました。日本でも1964年の東京オリンピック前に、東海道新幹線や東名高速道路を完成させ、その後の高度成長をもたらす原動力になったと言えるでしょう。しかし財政出動が重なると、国債の発行高が膨らみ、財政の赤字は増大します。同時に公共投資の効率も急減。ケインズ政策は行き詰まりました。
財政がダメなら金融で。各国は金融緩和で景気を維持しようと考えます。日本でもリーマン・ショック後の不況対策として、日銀が13年4月に“異次元緩和”政策を導入しました。金利をゼロ以下にまで引き下げ、国債などを市場から買い入れることによって大量のおカネを世の中に放出しています。しかし最近は、その効果も薄れてしまいました。
もし次に景気が下降したら、財政も金融も打つ手は限られます。そこでアメリカは一昨年末から、金融政策のカジを切り替え金利を上げ始めました。次の不況に備えようというわけです。ヨーロッパも来年から政策を引き締めの方向に転換しようとしています。まだ日本には、そんな動きはありません。仮に世界不況がやってきたら、どうするのか。とても心配です。
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◇ リスクに慣れすぎた株式市場 = 日米の市場で、株価は大幅に上昇した。北朝鮮がICBM(大陸間弾道弾)を太平洋に射ち込んでも、株価は下げなかった。ダウ平均は先々週から数えて9日の連騰。先週だけで471ドル値上がりし、連日のように史上最高値を更新した。日経平均も先週は635円の大幅高。終り値は2万円台にあと90円にまで迫っている。
ダウ平均の上昇は、大型ハリケーンが大都市を直撃しなかったこと。原油の国際価格が1バレル=50ドルに戻したこと。FRBによる利上げがやや遠のいたとみられることなど、いろいろな材料に支えられた。日経平均には特に上げ材料は見当たらず、ニューヨークに連動して円安となった影響が大きい。だが週末になって、北朝鮮がICBMを発射したにもかかわらず、日米の株価がともに上昇したのはやや不可解。
北朝鮮が9日の建国記念日に何もしなかったため、市場に安心感が広がったことは確かだろう。しかしICBMの発射でもリスク感が増大しなかったのは、市場がリスクに慣れたためとでも解釈するしかない。だが、こうしたリスク慣れは長く続くかどうか。反動が来ることも考えておく必要があるだろう。今週はまだ「鬼のいぬ間の洗濯」が続くのかどうか。
今週は20日に、8月の貿易統計と訪日外国人客数。㉑日に、7月の全産業活動指数。アメリカでは18日に、8月のNAHB住宅市場指数。19日に、8月の住宅着工戸数。20日に、8月の中古住宅販売。21日に、7月のFHFA住宅価格と8月のカンファレンス・ボード景気先行指数。なお24日はドイツ連邦議会選挙。
≪19日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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ダウ平均の上昇は、大型ハリケーンが大都市を直撃しなかったこと。原油の国際価格が1バレル=50ドルに戻したこと。FRBによる利上げがやや遠のいたとみられることなど、いろいろな材料に支えられた。日経平均には特に上げ材料は見当たらず、ニューヨークに連動して円安となった影響が大きい。だが週末になって、北朝鮮がICBMを発射したにもかかわらず、日米の株価がともに上昇したのはやや不可解。
北朝鮮が9日の建国記念日に何もしなかったため、市場に安心感が広がったことは確かだろう。しかしICBMの発射でもリスク感が増大しなかったのは、市場がリスクに慣れたためとでも解釈するしかない。だが、こうしたリスク慣れは長く続くかどうか。反動が来ることも考えておく必要があるだろう。今週はまだ「鬼のいぬ間の洗濯」が続くのかどうか。
今週は20日に、8月の貿易統計と訪日外国人客数。㉑日に、7月の全産業活動指数。アメリカでは18日に、8月のNAHB住宅市場指数。19日に、8月の住宅着工戸数。20日に、8月の中古住宅販売。21日に、7月のFHFA住宅価格と8月のカンファレンス・ボード景気先行指数。なお24日はドイツ連邦議会選挙。
≪19日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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◇ ミサイルは小、核実験は大 = 北朝鮮によるミサイル発射や核実験と株価の関連性を調べてみた。北朝鮮はことし2月から現在までに、合計13回のミサイル発射を強行している。その直後の株価を調べてみると、まずダウ平均は上昇が7回、下落は6回だった。下落した場合も下げ幅は小さく、2ケタに達したことはない。また日経平均は上昇が6回、下落が7回。最大の下げは、北朝鮮がICBM(大陸間弾道弾)を発射した7月28日の120円だった。
もちろん、株価を動かす材料はほかにも沢山あった。GDPや雇用統計などの経済指標、為替や原油相場、政府や中央銀行の政策などなど。したがって北朝鮮の挑発行為とその直後の株価が、完全に連動しているわけではない。しかし大ざっぱな傾向としてみれば、ミサイル発射と株価の相関度はきわめて低いと考えてもいいだろう。特にICBMを北海道を超えて3700キロ飛ばした9月15日、日米の株価がともに上昇したことは注目に値する。
ところが9月3日の核実験に対して、株価は大きく下落した。ダウ平均は234ドル、日経平均は183円の値下がりとなっている。目立った下げ材料もなかったから、市場は核実験をリスクと判定したと思われる。さらに円の対ドル相場をみても、最近はミサイルでは上昇しないことが多い。しかし核実験では上昇した。
ミサイルなら、いくら発射してもそう怖くはない。じっさい、実体経済に直接の影響は及ばない。市場もだんだんと慣れてきたように思われる。だが、それに核弾頭が着くと話は違ってくる。そんなものが飛んで来たら大変だ。そこで市場のリスク度も上昇する。現在の市場心理は、こんなところではないか。
≪19日の日経平均 = 上げ +389.88円≫
≪20日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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もちろん、株価を動かす材料はほかにも沢山あった。GDPや雇用統計などの経済指標、為替や原油相場、政府や中央銀行の政策などなど。したがって北朝鮮の挑発行為とその直後の株価が、完全に連動しているわけではない。しかし大ざっぱな傾向としてみれば、ミサイル発射と株価の相関度はきわめて低いと考えてもいいだろう。特にICBMを北海道を超えて3700キロ飛ばした9月15日、日米の株価がともに上昇したことは注目に値する。
ところが9月3日の核実験に対して、株価は大きく下落した。ダウ平均は234ドル、日経平均は183円の値下がりとなっている。目立った下げ材料もなかったから、市場は核実験をリスクと判定したと思われる。さらに円の対ドル相場をみても、最近はミサイルでは上昇しないことが多い。しかし核実験では上昇した。
ミサイルなら、いくら発射してもそう怖くはない。じっさい、実体経済に直接の影響は及ばない。市場もだんだんと慣れてきたように思われる。だが、それに核弾頭が着くと話は違ってくる。そんなものが飛んで来たら大変だ。そこで市場のリスク度も上昇する。現在の市場心理は、こんなところではないか。
≪19日の日経平均 = 上げ +389.88円≫
≪20日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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◇ 投票する意欲が湧かない? = 臨時国会の冒頭で衆議院を解散、総選挙が10月22日に行われることになった。安倍首相は国連総会から帰国したあと最終決断すると言っているが、ここまで話が広がってしまうと、もうあと戻りはできない。解散・総選挙の理由は、①内閣支持率の改善②民進党の混乱③小池派による新党結成前④国会での森友・加計問題に関する追及回避--の4点に絞られるだろう。
だが、これでは安倍首相の保身のための選挙だと言われても仕方がない。そこで安倍首相は、①自衛隊の根拠を憲法に明記する②消費増税による税収の一部を教育無償化に振り向ける--の2点を選挙の争点に掲げる意向だと、新聞各紙は伝えた。消費税を19年10月に8%から10%に引き上げることは、すでに決まっている。その税収5兆円は社会保障費と財政再建に使うことが決まっていた。そのうちの1兆円ほどを、幼児から大学生までの教育無償化・負担軽減に流用するという構想のようだ。
自衛隊の根拠を憲法に明記する案件は、北朝鮮の脅威が強まっていることもあり、賛成する有権者が多いかもしれない。だが憲法第9条の改正に繋がりかねないという疑惑も否定できない。また消費税収の使途変更については、医療や年金の将来についての心配がついて回る。財政再建論者は、賛成しないだろう。
しかし大問題は、野党勢力の弱さである。憲法改正や消費税収の使途変更に反対するため、野党に投票しても何の効果も期待できない状況。一方、これらに賛成の有権者は、自分が投票しなくても、与党が勝つと確信できる。だから選挙戦は盛り上がらない。投票率の低下が心配である。
≪20日の日経平均 = 上げ +11.08円≫
≪21日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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だが、これでは安倍首相の保身のための選挙だと言われても仕方がない。そこで安倍首相は、①自衛隊の根拠を憲法に明記する②消費増税による税収の一部を教育無償化に振り向ける--の2点を選挙の争点に掲げる意向だと、新聞各紙は伝えた。消費税を19年10月に8%から10%に引き上げることは、すでに決まっている。その税収5兆円は社会保障費と財政再建に使うことが決まっていた。そのうちの1兆円ほどを、幼児から大学生までの教育無償化・負担軽減に流用するという構想のようだ。
自衛隊の根拠を憲法に明記する案件は、北朝鮮の脅威が強まっていることもあり、賛成する有権者が多いかもしれない。だが憲法第9条の改正に繋がりかねないという疑惑も否定できない。また消費税収の使途変更については、医療や年金の将来についての心配がついて回る。財政再建論者は、賛成しないだろう。
しかし大問題は、野党勢力の弱さである。憲法改正や消費税収の使途変更に反対するため、野党に投票しても何の効果も期待できない状況。一方、これらに賛成の有権者は、自分が投票しなくても、与党が勝つと確信できる。だから選挙戦は盛り上がらない。投票率の低下が心配である。
≪20日の日経平均 = 上げ +11.08円≫
≪21日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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◇ 財産が増えたという錯覚 = 国土交通省が発表した7月1日時点の路線地価によると、3大都市圏では住宅地が前年比0.4%、商業地が3.5%の上昇だった。また福岡など中核4都市では、住宅地が2.8%、商業地が7.9%上昇。訪日外国人客の増加に伴うホテルや店舗の需要増が原因だという。国交省は「実需で上がる好ましい姿だ」と評価した。
路線地価というのは、都道府県が不動産鑑定士の評価をもとにまとめた土地の価格。全国で2万1644地点を調べた。土地取り引きの際に有力な材料として使われるから、路線地価が上昇した地区では実際の取り引き価格が上がりやすい。地価の指標としては、ほかに国交省が公表する公示地価と国税庁による路線価がある。
「隣の町では上がったのに、オレのところは上がらなかった」--電車のなかで、サラリーマン風の中年男性が悔しそうに話していた。この人はおそらく、地価が上がれば自分の財産が増えると勘違いしているのだろう。これは一般庶民が陥りやすい大いなる錯覚に他ならない。
地価が上昇すると、固定資産税や相続税、贈与税などが上がってしまう。実態は何も変わらないのに、税金だけが高くなる。土地を買い替えようとすると、買おうとする物件も上がっていることが多いだろう。地価の下落は不況の反映であることが多いから、これは望ましくない。だが上昇で喜ぶのは、国税庁と一部の不動産関係者だけだと知るべきである。
≪21日の日経平均 = 上げ +37.02円≫
≪22日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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路線地価というのは、都道府県が不動産鑑定士の評価をもとにまとめた土地の価格。全国で2万1644地点を調べた。土地取り引きの際に有力な材料として使われるから、路線地価が上昇した地区では実際の取り引き価格が上がりやすい。地価の指標としては、ほかに国交省が公表する公示地価と国税庁による路線価がある。
「隣の町では上がったのに、オレのところは上がらなかった」--電車のなかで、サラリーマン風の中年男性が悔しそうに話していた。この人はおそらく、地価が上がれば自分の財産が増えると勘違いしているのだろう。これは一般庶民が陥りやすい大いなる錯覚に他ならない。
地価が上昇すると、固定資産税や相続税、贈与税などが上がってしまう。実態は何も変わらないのに、税金だけが高くなる。土地を買い替えようとすると、買おうとする物件も上がっていることが多いだろう。地価の下落は不況の反映であることが多いから、これは望ましくない。だが上昇で喜ぶのは、国税庁と一部の不動産関係者だけだと知るべきである。
≪21日の日経平均 = 上げ +37.02円≫
≪22日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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◇ なぜ新成長戦略の目玉にしないのか = 世界の水ビジネスは25年に、経済産業省の予測では87兆円に拡大する。国連の予測では111兆円という大きさになる。ビジネス規模という点から比較すると、25兆円といわれる半導体産業よりはるかに大きい。自動車産業は約300兆円だから、優にその3分の1を超す。しかも新興国の経済発展と人口の増加からみると、実際はもっと拡大するかもしれない。
海水や汚水の浄化に使われる逆浸透膜の製造で、日本は世界最高の技術を保有している。また上下水道の管理・運営では、日本の地方自治体が長い経験を持っている。にもかかわらず世界の水ビジネス市場における日本の占有率は、わずか0.4%にすぎない。その大きな原因が、政府・メーカー・商社・自治体間の連携が必ずしもうまく行っていないことにあることは明らかだ。
国連の分析によると、25年の市場規模111兆円の内訳は、上下水道の管理・運営が100兆円、建設が10兆円、部品は1兆円となっている。さらに新興国の場合は、建設から管理・運営までを一括して発注するケースがほとんどだ。いまの日本の体制では一括受注ができないから、契約はどうしても小口ばかりになってしまう。
安倍内閣はいま、新成長戦略の発掘に腐心している。その目はITやロボットに向きがちだ。それも悪くはないが、なぜ水ビジネスをもっと重視しないのだろう。シンガポールは所管官庁を作って成功したが、日本も所管大臣ぐらい置いていい。すでに世界市場では周回遅れとなっている日本だが、いま体制を立て直さないと水は永久に日本の手からこぼれてしまう。
(終わり)
≪22日の日経平均 = 下げ -51.03円≫
【今週の日経平均予想 = 3勝1敗】
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海水や汚水の浄化に使われる逆浸透膜の製造で、日本は世界最高の技術を保有している。また上下水道の管理・運営では、日本の地方自治体が長い経験を持っている。にもかかわらず世界の水ビジネス市場における日本の占有率は、わずか0.4%にすぎない。その大きな原因が、政府・メーカー・商社・自治体間の連携が必ずしもうまく行っていないことにあることは明らかだ。
国連の分析によると、25年の市場規模111兆円の内訳は、上下水道の管理・運営が100兆円、建設が10兆円、部品は1兆円となっている。さらに新興国の場合は、建設から管理・運営までを一括して発注するケースがほとんどだ。いまの日本の体制では一括受注ができないから、契約はどうしても小口ばかりになってしまう。
安倍内閣はいま、新成長戦略の発掘に腐心している。その目はITやロボットに向きがちだ。それも悪くはないが、なぜ水ビジネスをもっと重視しないのだろう。シンガポールは所管官庁を作って成功したが、日本も所管大臣ぐらい置いていい。すでに世界市場では周回遅れとなっている日本だが、いま体制を立て直さないと水は永久に日本の手からこぼれてしまう。
(終わり)
≪22日の日経平均 = 下げ -51.03円≫
【今週の日経平均予想 = 3勝1敗】
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◇ ダウは新高値、日経平均は年初来高値 = 先週の株式市場は、いくつかの好材料が重なって続伸した。米欧日の景気回復が続き、中国経済もなんとか持ちこたえている。企業の業績は絶好調。トランプ政権も人事のごたごたが終わり、少し安定感が出てきた。FRBによる量的金融緩和の縮小も順調に進み始めた。そして北朝鮮のミサイル発射や核実験もなかった。ダウ平均は週間81ドルの値上がり。週央には2万2400ドルの新高値を付けている。
東京市場の場合は、こうした材料に円安が加わった。FRBの金融引き締めで、日米間の金利差が拡大すると予想されたためである。これまではニューヨークの株価が上昇すると、円高が進むことも多かった。それが先週は、ニューヨークの株高と円安が同時進行した形となっている。日経平均は週間387円の値上がり。21日には2万0347円となり、年初来高値を更新した。この2週間の上げ幅は1000円を超えている。
株価の好材料が、いつまで持続するかは定かでない。特に北朝鮮は「太平洋上での水爆実験」まで持ち出してきた。現職の外相が言うのだから、穏やかではない。今週はやはり警戒感が強まるのではないか。とすれば円高に振れる。また急ピッチの株高に対する反動も現われる可能性がある。秋の空は変わりやすい。
今週は26日に、8月の企業向けサービス価格。29日に、8月の労働力調査、家計調査、鉱工業生産、消費者物価、商業動態統計、住宅着工戸数。アメリカでは26日に、8月の新築住宅販売と9月のカンファレンス・ボード消費者信頼感指数。27日に、8月の中古住宅販売。28日に、4-6月期のGDP確定値。また中国が30日に、9月の製造業と非製造業のPMIを発表する。なお28日は臨時国会の召集、冒頭解散。
≪25日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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東京市場の場合は、こうした材料に円安が加わった。FRBの金融引き締めで、日米間の金利差が拡大すると予想されたためである。これまではニューヨークの株価が上昇すると、円高が進むことも多かった。それが先週は、ニューヨークの株高と円安が同時進行した形となっている。日経平均は週間387円の値上がり。21日には2万0347円となり、年初来高値を更新した。この2週間の上げ幅は1000円を超えている。
株価の好材料が、いつまで持続するかは定かでない。特に北朝鮮は「太平洋上での水爆実験」まで持ち出してきた。現職の外相が言うのだから、穏やかではない。今週はやはり警戒感が強まるのではないか。とすれば円高に振れる。また急ピッチの株高に対する反動も現われる可能性がある。秋の空は変わりやすい。
今週は26日に、8月の企業向けサービス価格。29日に、8月の労働力調査、家計調査、鉱工業生産、消費者物価、商業動態統計、住宅着工戸数。アメリカでは26日に、8月の新築住宅販売と9月のカンファレンス・ボード消費者信頼感指数。27日に、8月の中古住宅販売。28日に、4-6月期のGDP確定値。また中国が30日に、9月の製造業と非製造業のPMIを発表する。なお28日は臨時国会の召集、冒頭解散。
≪25日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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◇ 市場は十分に納得した = アメリカの中央銀行であるFRBは20日の政策決定会議で、10月から保有資産の縮小を始めることを決定した。FRBはリーマン・ショック後の不況対策として、市場から国債などを買い入れる量的金融緩和政策を08年11月に導入。現在の保有資産額は4兆5000億ドルに達している。すでに政策金利の引き上げは15年12月から実施しており、これでFRBの金融政策は完全に“引き締め型”に転換した。
ただ経済全般に与える影響を和らげるため、資産の縮小は少しずつ始める。発表によると、最初の3か月間は国債を月60億ドル、住宅ローン証券を40億ドルのペースで減らす。最初の1年間では3000億ドルになる見通しだ。保有額全体に比べれば、きわめて小規模である。しかも満期となった国債などを再投資しない方法で保有資産を減少させるから、市場への影響も小さい。
この発表があった20日、ダウ平均は小幅ながら上昇している。量的緩和の縮小に直面して、市場が全く動揺しなかったことは珍しい。これは市場がFRBの決定を、完全に織り込んでいたからに他ならない。イエレン議長が時間をかけて、FRBの考え方を徐々に浸透させて行った成果だと言えるだろう。
イエレン議長は発表後の記者会見で「物価の上昇が鈍いことはナゾ。私にもよく判らない」と正直に語っている。中央銀行総裁の発言としては、異例な率直さだ。ひるがえって日銀をみると、「2年で達成する」と公約した物価2%上昇が、6年たった現在でも達成されずにいる。日銀もメンツを捨てて、もっと率直になったらどうだろう。
≪25日の日経平均 = 上げ +101.13円≫
≪26日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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ただ経済全般に与える影響を和らげるため、資産の縮小は少しずつ始める。発表によると、最初の3か月間は国債を月60億ドル、住宅ローン証券を40億ドルのペースで減らす。最初の1年間では3000億ドルになる見通しだ。保有額全体に比べれば、きわめて小規模である。しかも満期となった国債などを再投資しない方法で保有資産を減少させるから、市場への影響も小さい。
この発表があった20日、ダウ平均は小幅ながら上昇している。量的緩和の縮小に直面して、市場が全く動揺しなかったことは珍しい。これは市場がFRBの決定を、完全に織り込んでいたからに他ならない。イエレン議長が時間をかけて、FRBの考え方を徐々に浸透させて行った成果だと言えるだろう。
イエレン議長は発表後の記者会見で「物価の上昇が鈍いことはナゾ。私にもよく判らない」と正直に語っている。中央銀行総裁の発言としては、異例な率直さだ。ひるがえって日銀をみると、「2年で達成する」と公約した物価2%上昇が、6年たった現在でも達成されずにいる。日銀もメンツを捨てて、もっと率直になったらどうだろう。
≪25日の日経平均 = 上げ +101.13円≫
≪26日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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◇ 雪崩を打った自動車メーカー = フォルクスワーゲン、BMW、ジャガー・ランドローバーが牽引するヨーロッパの自動車メーカー。トヨタ、日産、ホンダに代表される日本のメーカー。世界の自動車メーカーが一斉に、電気自動車(EV=Electric Vehicle)に向けて走り始めた。フランクフルトで開幕した国際モーターショーは、まるで新型EV車の発表展示会のようだと伝えられている。
世界最大の販売台数を誇るフォルクスワーゲンは、25年までにEVの車種を50以上に増やす。30年までの投資額は200億ユーロ。BMWは1回の充電で600キロ走れる中型クーペを売り出す。ジャガーは、すべての車種についてEV仕様を製造することになった。日本勢も負けてはいない。日産は10月からフル充電で400キロ走れるEV「リーフ」を発売すると発表した。ホンダは30年までに、全世界で販売する車種の3分の2をEVにする計画だ。
自動車メーカーの背中を押したのは、フランスとイギリスによる環境重視の新政策。フランス政府とイギリス政府は7月、相次いで「40年までにガソリン車とディーゼル車の販売を全面的に禁止する」方針を打ち出した。それに追い討ちをかけたのが、インドと中国。インドは「30年までにEV以外の販売を禁止」すると発表。中国も同様の措置をとる可能性が強まっている。特に中国は世界最大の自動車市場。16年の販売台数は2811万台に達した。
こうした状況をみて、世界のメーカー各社は一斉にアクセルを強く踏み込んだ。その結果、今後10-20年のうちに“EV全盛時代”がやってくるとの見方もないではない。だが、その道は決して平坦ではありえない。急速なEV化は産業構造に大きな変革を及ぼし、各国の雇用や経済全般にも大きな影響を与える。それに対応する準備は、残念ながらまだ整っていない。
(続きは明日)
≪26日の日経平均 = 下げ -67.39円≫
≪27日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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世界最大の販売台数を誇るフォルクスワーゲンは、25年までにEVの車種を50以上に増やす。30年までの投資額は200億ユーロ。BMWは1回の充電で600キロ走れる中型クーペを売り出す。ジャガーは、すべての車種についてEV仕様を製造することになった。日本勢も負けてはいない。日産は10月からフル充電で400キロ走れるEV「リーフ」を発売すると発表した。ホンダは30年までに、全世界で販売する車種の3分の2をEVにする計画だ。
自動車メーカーの背中を押したのは、フランスとイギリスによる環境重視の新政策。フランス政府とイギリス政府は7月、相次いで「40年までにガソリン車とディーゼル車の販売を全面的に禁止する」方針を打ち出した。それに追い討ちをかけたのが、インドと中国。インドは「30年までにEV以外の販売を禁止」すると発表。中国も同様の措置をとる可能性が強まっている。特に中国は世界最大の自動車市場。16年の販売台数は2811万台に達した。
こうした状況をみて、世界のメーカー各社は一斉にアクセルを強く踏み込んだ。その結果、今後10-20年のうちに“EV全盛時代”がやってくるとの見方もないではない。だが、その道は決して平坦ではありえない。急速なEV化は産業構造に大きな変革を及ぼし、各国の雇用や経済全般にも大きな影響を与える。それに対応する準備は、残念ながらまだ整っていない。
(続きは明日)
≪26日の日経平均 = 下げ -67.39円≫
≪27日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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◇ 前途にはいくつもの障害物 = 米ゴールドマン・サックス社の推計によると、全世界の自動車販売台数に占めるEVの割合は17年が1%。それが40年には32%に増大する。ところが富士経済社の予測では、16年の比率が0.5%、35年でも4.6%にしか上昇しない。これはEVの普及にはまだ多くの解決すべき問題が残っており、それらの問題を解決できる可能性をどう見るかで、推計に大きな差異が生じることを物語っている。
最大の問題は、やはり1回の充電で可能な走行距離。現在は280キロ程度で、各メーカーはこれを400-600キロに伸ばそうと懸命になっている。いまでも搭載するリチウムイオン電池を増やせば、走行距離の延長は可能だ。しかし、そうすると販売価格が大幅に上げってしまう。要するに、リチウムイオン電池の性能を急速に伸ばせるかがカギ。そのスピードが、EV普及のスピードをも左右することになる。
充電に要する時間の短縮も、大きな問題だ。ガソリンの給油は数分で済むのに、充電に何時間もかかるようでは勝負にならない。また日本国内にある充電スタンドはいま2万か所まで増えたが、これももっと増やす必要があるだろう。家庭用の電気を電源とし、EVそのものを家庭用の蓄電池として使えるようになれば申し分ない。
安全性の検証も欠かせない。衝突事故で車体が大破した場合、電流が車内に流れ出す危険はないのだろうか。洪水時に車体が水に浸かっても大丈夫なのか。そしてモーターや電池の耐用年数は。このように数多くの問題点が、まだ残っている。これらの解決に時間がかかれば、EVの普及は遅れることになる。
(続きは明日)
≪27日の日経平均 = 下げ -63.14円≫
≪28日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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最大の問題は、やはり1回の充電で可能な走行距離。現在は280キロ程度で、各メーカーはこれを400-600キロに伸ばそうと懸命になっている。いまでも搭載するリチウムイオン電池を増やせば、走行距離の延長は可能だ。しかし、そうすると販売価格が大幅に上げってしまう。要するに、リチウムイオン電池の性能を急速に伸ばせるかがカギ。そのスピードが、EV普及のスピードをも左右することになる。
充電に要する時間の短縮も、大きな問題だ。ガソリンの給油は数分で済むのに、充電に何時間もかかるようでは勝負にならない。また日本国内にある充電スタンドはいま2万か所まで増えたが、これももっと増やす必要があるだろう。家庭用の電気を電源とし、EVそのものを家庭用の蓄電池として使えるようになれば申し分ない。
安全性の検証も欠かせない。衝突事故で車体が大破した場合、電流が車内に流れ出す危険はないのだろうか。洪水時に車体が水に浸かっても大丈夫なのか。そしてモーターや電池の耐用年数は。このように数多くの問題点が、まだ残っている。これらの解決に時間がかかれば、EVの普及は遅れることになる。
(続きは明日)
≪27日の日経平均 = 下げ -63.14円≫
≪28日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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◇ 産業構造の激変を招きかねない = ガソリン車の場合、普通乗用車に使われる部品は約3万種類。厳密に数えると10万種類にものぼるという。ところがEVは約1万種類の部品で組み立てられる。したがって仮にEVが急速にガソリン車を駆逐すると、数多くの部品会社が倒産する。ガソリン車の場合に必要な熟練工によるエンジン部分の組み立ても必要がなくなり、多くの職人が失業することにもなりかねない。
ドイツのメルケル首相は最近「EVの普及とディーゼル車の改良の両方が求められる」と述べた。その意味は、急激なEVの普及で大きな摩擦を生んではならないということだろう。同じヨーロッパでも、フランスやイギリスの首脳が環境問題を重視する立場からEVの普及促進を強調したのとは、ややニュアンスを異にしている。
中国やインド政府の思惑はもっと違う。ガソリン車の製造では、日米欧の大メーカーにとても太刀打ちできない。そこで製造が簡単なEVで勝負するという意図は明白だ。この政策目標からすると、EVは普及しても電気そのものを火力発電に頼っているので、環境の改善にはつながらない恐れも十分にありうる。
組み立てが容易だから、新規参入組も増える。アメリカのステラや中国のBYDが、その好例だ。さらにガソリンと電気を併用するハイブリッド車、水素を燃料とするFCV(燃料電池車)も、普及台数を伸ばすだろう。そして無人運転の技術。各メーカーはどこに経営資源を投入したらいいのか。その判断を間違えたメーカーは淘汰されることになる。
≪28日の日経平均 = 上げ +96.06円≫
≪29日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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ドイツのメルケル首相は最近「EVの普及とディーゼル車の改良の両方が求められる」と述べた。その意味は、急激なEVの普及で大きな摩擦を生んではならないということだろう。同じヨーロッパでも、フランスやイギリスの首脳が環境問題を重視する立場からEVの普及促進を強調したのとは、ややニュアンスを異にしている。
中国やインド政府の思惑はもっと違う。ガソリン車の製造では、日米欧の大メーカーにとても太刀打ちできない。そこで製造が簡単なEVで勝負するという意図は明白だ。この政策目標からすると、EVは普及しても電気そのものを火力発電に頼っているので、環境の改善にはつながらない恐れも十分にありうる。
組み立てが容易だから、新規参入組も増える。アメリカのステラや中国のBYDが、その好例だ。さらにガソリンと電気を併用するハイブリッド車、水素を燃料とするFCV(燃料電池車)も、普及台数を伸ばすだろう。そして無人運転の技術。各メーカーはどこに経営資源を投入したらいいのか。その判断を間違えたメーカーは淘汰されることになる。
≪28日の日経平均 = 上げ +96.06円≫
≪29日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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☆ 「経済なんでも研究会」は、あすから12年目に入ります。ここまで続けられたのも、読者の皆さまのご支援・ご協力によるものです。厚く御礼申し上げます。今後とも、よろしくお願いします。
☆ 29日の日経平均は下げ -6.83円、今週の日経平均予想は3勝2敗でした。
☆ この結果、日経平均予想は過去11年間で1900勝823敗。勝率は6割9分8厘でした。7割が大きなカベになっています。
☆ あす以降、毎週日曜日には 新小説「プレート」を連載します。SF形式の経済小説で、200年後の日本を大胆に予測する内容です。どうぞ、ご期待ください。
別のブログ http://www.marya71.blog.fc2.com/ でも、ご覧になれます。
☆ これに伴い、来週から毎週土曜日は、新次元・SF経済小説「プレート」の再掲載と、あらすじの紹介などに当てさせていただきます。
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☆ 29日の日経平均は下げ -6.83円、今週の日経平均予想は3勝2敗でした。
☆ この結果、日経平均予想は過去11年間で1900勝823敗。勝率は6割9分8厘でした。7割が大きなカベになっています。
☆ あす以降、毎週日曜日には 新小説「プレート」を連載します。SF形式の経済小説で、200年後の日本を大胆に予測する内容です。どうぞ、ご期待ください。
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