第17章 国際収支って、なんだろう? ①
◇ 国の家計簿 =みなさんの家では、お母さんが家計簿をつけているでしょう。おカネがどこから、どれだけ入ってきたか。また食料品や衣類や学校の授業料など、使ったおカネが1か月でどのくらいになったか。その結果、今月はいくら余って貯金できたか・・・。家計簿を見れば、1か月間の収入と支出がすぐにわかりますね。
国際収支というのは、国の家計簿と考えてもいいでしょう。国際というのは「国と国の間の」という意味です。収支は収入と支出でしたね。ですから国際収支は、国と国とのおカネのやりとりを記録したものということになります。
では、国と国とのおカネのやりとりには、どんなものがあるでしょう。まず貿易がありますね。貿易についてもっと勉強したい人は、このブログの11年5月からの「貿易って、なんだろう?」をもういちど読み返してください。
貿易のほかにも、みなさんが外国へ旅行しておカネを使う。外国人が日本の株式を買う。日本の会社が外国のビルを買う。外国で勉強している子どもに、日本からおカネを送る。いろいろな場合に、日本と外国との間でおカネがやりとりされています。まだありますから、みなさんも何か考えてみてください。
(続きは来週日曜日)
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◇ 国の家計簿 =みなさんの家では、お母さんが家計簿をつけているでしょう。おカネがどこから、どれだけ入ってきたか。また食料品や衣類や学校の授業料など、使ったおカネが1か月でどのくらいになったか。その結果、今月はいくら余って貯金できたか・・・。家計簿を見れば、1か月間の収入と支出がすぐにわかりますね。
国際収支というのは、国の家計簿と考えてもいいでしょう。国際というのは「国と国の間の」という意味です。収支は収入と支出でしたね。ですから国際収支は、国と国とのおカネのやりとりを記録したものということになります。
では、国と国とのおカネのやりとりには、どんなものがあるでしょう。まず貿易がありますね。貿易についてもっと勉強したい人は、このブログの11年5月からの「貿易って、なんだろう?」をもういちど読み返してください。
貿易のほかにも、みなさんが外国へ旅行しておカネを使う。外国人が日本の株式を買う。日本の会社が外国のビルを買う。外国で勉強している子どもに、日本からおカネを送る。いろいろな場合に、日本と外国との間でおカネがやりとりされています。まだありますから、みなさんも何か考えてみてください。
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◇ 日米ともに“5月”乗り切る = 日経平均は先々週22日から先週29日まで6日間の連騰。この間640円上昇した。この結果、5月は月間で328円の値上がりとなり、相場格言の「5月は売り」を5年ぶりに克服した。年初からの調整局面は終わったとみていい。先週は170円の値上がりにとどまったが、需給関係は急速に改善している。
需給の改善は、信用買い残高の激減に現われている。5月末の信用買い残高は2兆8000億円で、半年ぶりの低水準にまで減少した。それだけ売り圧力が緩和されたことになる。また6月には、安倍内閣の成長戦略がいよいよ姿を現す。内容にもよるが、期待は大きい。さらに世界最大の投資ファンドであるGRIF(年金積立金管理運用独立行政法人)が、株式を買い増す公算も大きい。
ニューヨーク市場の底堅さも、大きなバックアップ要因だ。ダウ平均は先週110ドルの値上がり。終り値は1万6717ドルで、またまた史上最高値を更新した。アメリカ経済の明るい先行き見通しを背景に、ウクライナ国境からロシア軍が撤退し始めたことで安心感が広がっている。こちらも「Sell in May」の格言をねじ伏せた形だ。
今週は2日に、1-3月期の法人企業統計と5月の新車販売。3日に、4月の毎月勤労統計。6日に、4月の景気動向指数。アメリカでは2日に、5月のISM製造業景況指数。4日に、4月の貿易統計と5月のISM非製造業景況指数。6日に、5月の雇用統計。また中国が3日に、非製造業PMI。EUが4日に、1-3月期のGDP改定値を発表する。
≪2日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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需給の改善は、信用買い残高の激減に現われている。5月末の信用買い残高は2兆8000億円で、半年ぶりの低水準にまで減少した。それだけ売り圧力が緩和されたことになる。また6月には、安倍内閣の成長戦略がいよいよ姿を現す。内容にもよるが、期待は大きい。さらに世界最大の投資ファンドであるGRIF(年金積立金管理運用独立行政法人)が、株式を買い増す公算も大きい。
ニューヨーク市場の底堅さも、大きなバックアップ要因だ。ダウ平均は先週110ドルの値上がり。終り値は1万6717ドルで、またまた史上最高値を更新した。アメリカ経済の明るい先行き見通しを背景に、ウクライナ国境からロシア軍が撤退し始めたことで安心感が広がっている。こちらも「Sell in May」の格言をねじ伏せた形だ。
今週は2日に、1-3月期の法人企業統計と5月の新車販売。3日に、4月の毎月勤労統計。6日に、4月の景気動向指数。アメリカでは2日に、5月のISM製造業景況指数。4日に、4月の貿易統計と5月のISM非製造業景況指数。6日に、5月の雇用統計。また中国が3日に、非製造業PMI。EUが4日に、1-3月期のGDP改定値を発表する。
≪2日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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◇ 過去最大の利益が背景に = 財務省は2日、ことし1-3月期の法人企業統計を発表した。それによると、売上げや利益は製造業・非製造業ともに増加。この好調な業績を背景に、設備投資も拡大の気配を濃くしている。消費増税後の4月以降も増益基調は続きそうで、設備投資支出がさらに伸び続ければ景気にとっては大きな援軍になる。
売上げは345兆3300億円、前年比5.6%増加した。製造業は5.8%、非製造業も5.6%伸びた。経常利益は17兆4500億円で、前年より20.2%も増え過去最大。製造業の5.4%増に対して、非製造業は28.2%も増加した。特に建設、サービス、卸・小売業の伸びが大きい。建設業の利益は79.3%も伸びた。
注目されたのは設備投資の動向。投資額は12兆2300億円で、前年比7.4%の増加となった。製造業は輸送用機器、食料品、業務用機械を中心に6.8%の伸び。非製造業は運輸、郵便、建設、不動産を中心に7.7%拡大している。絶好調の業績を背景に、企業もようやく前向きの投資に力を入れ始めたのだろう。
1-3月期の売上げ345兆円は、大震災が起きた11年1-3月期と全く同額である。ただ、そのときの経常利益額は12兆5400億円で5兆円も少ない。これは企業の利益率が、リストラなどで大きく改善されたことを意味している。しかし当時の設備投資額は11兆4700億円で、かなり大きい。つまり企業の投資額は、利益の割にはまだまだ小さいとも言えるわけだ。政府は企業の背中を一押しする政策を打ち出すべきだろう。
≪2日の日経平均 = 上げ +303.54円≫
≪3日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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売上げは345兆3300億円、前年比5.6%増加した。製造業は5.8%、非製造業も5.6%伸びた。経常利益は17兆4500億円で、前年より20.2%も増え過去最大。製造業の5.4%増に対して、非製造業は28.2%も増加した。特に建設、サービス、卸・小売業の伸びが大きい。建設業の利益は79.3%も伸びた。
注目されたのは設備投資の動向。投資額は12兆2300億円で、前年比7.4%の増加となった。製造業は輸送用機器、食料品、業務用機械を中心に6.8%の伸び。非製造業は運輸、郵便、建設、不動産を中心に7.7%拡大している。絶好調の業績を背景に、企業もようやく前向きの投資に力を入れ始めたのだろう。
1-3月期の売上げ345兆円は、大震災が起きた11年1-3月期と全く同額である。ただ、そのときの経常利益額は12兆5400億円で5兆円も少ない。これは企業の利益率が、リストラなどで大きく改善されたことを意味している。しかし当時の設備投資額は11兆4700億円で、かなり大きい。つまり企業の投資額は、利益の割にはまだまだ小さいとも言えるわけだ。政府は企業の背中を一押しする政策を打ち出すべきだろう。
≪2日の日経平均 = 上げ +303.54円≫
≪3日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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◇ 軽自動車が大健闘 = 自動車販売業界の集計によると、5月の新車販売台数は36万3370台で、前年比1.2%の減少にとどまった。4月の5.5%減少から明らかな改善をみせており、消費増税の駆け込みに伴う反動減が予想外に浅かったことを示している。特に軽自動車の販売は、全く落ち込んでいない。
内訳をみると、登録車は20万6906台で前年比5.6%の減少。4月の11.7%減少に比べると、減少幅は半分になった。その一方で軽自動車が大健闘。販売台数は15万6464台で、前年比5.3%の増加だった。軽自動車は4月も販売を2.9%伸ばしており、増税の反動現象は全く現われなかったと言っていい。メーカー別では、軽自動車の多いスズキ、ホンダ、日産が販売台数を大きく伸ばした。
軽自動車の健闘は、価格が安いために増税による消費者の負担が小さかったこと。メーカー各社が反動減に備えて、新型車を大々的に売り出したことによる。ただ、こうした効果が今後も持続し、販売台数が右肩上がりで増えて行くかどうかはまだ定かでない。6月のボーナス商戦が、業界にとっては次の踏ん張りどころになるだろう。
自動車産業のすそ野は、きわめて広い。したがって、その反動減が予想より浅いことは、製造業全体の反動減が小さくなることを意味する。それはまた4-6月期のGDPの落ち込みが、浅くなることにもつながってくるだろう。この意味で、5月の新車販売が健闘したことは、経済の先行き見通しを明るくしたと言える。
≪3日の日経平均 = 上げ +98.33円≫
≪4日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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内訳をみると、登録車は20万6906台で前年比5.6%の減少。4月の11.7%減少に比べると、減少幅は半分になった。その一方で軽自動車が大健闘。販売台数は15万6464台で、前年比5.3%の増加だった。軽自動車は4月も販売を2.9%伸ばしており、増税の反動現象は全く現われなかったと言っていい。メーカー別では、軽自動車の多いスズキ、ホンダ、日産が販売台数を大きく伸ばした。
軽自動車の健闘は、価格が安いために増税による消費者の負担が小さかったこと。メーカー各社が反動減に備えて、新型車を大々的に売り出したことによる。ただ、こうした効果が今後も持続し、販売台数が右肩上がりで増えて行くかどうかはまだ定かでない。6月のボーナス商戦が、業界にとっては次の踏ん張りどころになるだろう。
自動車産業のすそ野は、きわめて広い。したがって、その反動減が予想より浅いことは、製造業全体の反動減が小さくなることを意味する。それはまた4-6月期のGDPの落ち込みが、浅くなることにもつながってくるだろう。この意味で、5月の新車販売が健闘したことは、経済の先行き見通しを明るくしたと言える。
≪3日の日経平均 = 上げ +98.33円≫
≪4日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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◇ なぜ7.1%も減ったのか? = 総務省は先週、4月の家計調査を発表した。それによると、2人以上世帯の平均消費支出は30万2141円。物価の変動を除いた実質の前年比で4.6%減少した。これは消費増税前の駆け込み購入に対する反動である。一方、2人以上の勤労者世帯の実収入は平均46万3964円。実質の前年比は7.1%も減少した。
消費税の引き上げを前に、人々は住宅・自動車といった高額のものから、家電・生活用品・食品にいたるまで、多かれ少なかれ買い溜めした。4月はその反動で、家計の支出が減少することは避けられない。その反動減の大きさに関心が集まったのは自然の成り行きだ。そのため新聞やテレビはこの消費支出の減少を報道、解説した。
ところが、その裏で勤労者世帯の収入が、異常と言っていいほど落ち込んでいた。1世帯当たりの実収入は前年に比べて、実質で7.1%、名目でも3.3%減少している。4月は増税などで物価が上昇したから、実質収入の減少は大きめに出る。しかし増税やその反動とは全く関係のない名目値までが、大きく減ったのはなぜだろう。
世間では賃上げをする企業も出てきたから、常識的な感覚では収入は増えてもいいはず。だが内訳をみても、世帯主だけでなく配偶者やその他の世帯員の収入まで、すべてが減少している。この不可解な大幅な収入減少を取り上げ、その原因を追及した新聞は皆無。総務省の担当者も「よく判らない」と言う。だから、このナゾはいまのところ解明できない。
≪4日の日経平均 = 上げ +33.71円≫
≪5日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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消費税の引き上げを前に、人々は住宅・自動車といった高額のものから、家電・生活用品・食品にいたるまで、多かれ少なかれ買い溜めした。4月はその反動で、家計の支出が減少することは避けられない。その反動減の大きさに関心が集まったのは自然の成り行きだ。そのため新聞やテレビはこの消費支出の減少を報道、解説した。
ところが、その裏で勤労者世帯の収入が、異常と言っていいほど落ち込んでいた。1世帯当たりの実収入は前年に比べて、実質で7.1%、名目でも3.3%減少している。4月は増税などで物価が上昇したから、実質収入の減少は大きめに出る。しかし増税やその反動とは全く関係のない名目値までが、大きく減ったのはなぜだろう。
世間では賃上げをする企業も出てきたから、常識的な感覚では収入は増えてもいいはず。だが内訳をみても、世帯主だけでなく配偶者やその他の世帯員の収入まで、すべてが減少している。この不可解な大幅な収入減少を取り上げ、その原因を追及した新聞は皆無。総務省の担当者も「よく判らない」と言う。だから、このナゾはいまのところ解明できない。
≪4日の日経平均 = 上げ +33.71円≫
≪5日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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◇ 国民を騙した政治家たち = この6月から、個人住民税が引き上げられた。今後10年間にわたって、年間1000円の増税となる。東日本大震災の復興資金を確保するため、11年12月に成立した「復興増税法」によって決められていたものだ。この法律により、個人所得税はすでに13年1月から25年間にわたり2.1%が臨時増税されている。
「未曾有の大災害は、国民がみんなで困難を分担して乗り越えよう」という発想から、復興増税法は可決された。当時は民主党の野田内閣だったが、野党の自民・公明党も賛成。法律の成立に際して、これら各党は「国民だけに負担は負わせない。われわれも負担を分担するため、国会議員の定数を減らし、歳費を削減する」と約束した。
この約束によって、議員の歳費は約2割削減された。しかし、この措置は14年4月末で期限切れ。各党は期限の延長に賛成しなかったため、歳費は5月から元の水準に引き上げられた。その金額は月額129万4000円。期末手当を含めると年間1831万円になる。政治家たちは国民の負担を増やす一方で、自分たちの収入を増額したことになる。
もう1つの約束は、議員定数の削減。こちらの方も各党の意見がまとまらず、いまだに実現しない。政治家たちは国民を騙したと言われても、仕方がないのではないか。ただ国民の側としては、政治家の誰に文句を言っていいのか判りにくい。選挙の投票でも、この怒りは伝わらない。こんなとき国民の不満を代弁してくれるのはマスコミだと思うが、新聞もこの問題をなぜか取り上げない。
≪5日の日経平均 = 上げ +11.41円≫
≪6日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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「未曾有の大災害は、国民がみんなで困難を分担して乗り越えよう」という発想から、復興増税法は可決された。当時は民主党の野田内閣だったが、野党の自民・公明党も賛成。法律の成立に際して、これら各党は「国民だけに負担は負わせない。われわれも負担を分担するため、国会議員の定数を減らし、歳費を削減する」と約束した。
この約束によって、議員の歳費は約2割削減された。しかし、この措置は14年4月末で期限切れ。各党は期限の延長に賛成しなかったため、歳費は5月から元の水準に引き上げられた。その金額は月額129万4000円。期末手当を含めると年間1831万円になる。政治家たちは国民の負担を増やす一方で、自分たちの収入を増額したことになる。
もう1つの約束は、議員定数の削減。こちらの方も各党の意見がまとまらず、いまだに実現しない。政治家たちは国民を騙したと言われても、仕方がないのではないか。ただ国民の側としては、政治家の誰に文句を言っていいのか判りにくい。選挙の投票でも、この怒りは伝わらない。こんなとき国民の不満を代弁してくれるのはマスコミだと思うが、新聞もこの問題をなぜか取り上げない。
≪5日の日経平均 = 上げ +11.41円≫
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◇ 財政面の改善 = 09年のギリシャ財政破たんをきっかけに、ヨーロッパ経済は大きな危機にさらされた。このためEU委員会は加盟国の財政状態を厳しく監視。毎年の財政赤字額をGDPの3%以内に収めることを法律で義務付けた。この結果、EUの財政状態は着実に改善しているが、経済的に困難を抱えている諸国の改善はまだ十分でない。
EU統計局の発表によると、13年の財政赤字額対GDP比率は、域内28か国が平均3.3%。ユーロ圏18か国は3.0%。それぞれ前年の3.9%、3.7%より改善した。国別にみると、ドイツは赤字なし。デンマークはわずか0.8%にまで低下した。しかし経済に問題を抱えている国は改善が遅れている。
たとえばフランスは4.3%、スペインは7.1%。またポルトガルは4.9%だったが、ギリシャは2.6%にまで改善した。ギリシャの場合は危機に陥った09年には13.6%にまで達していたが、EUやIMFの支援を受ける条件として緊縮財政を実施したためとみられる。
EU委員会はこの4月、ベルギー、デンマークなど6か国に対して、財政赤字是正の手続きを完了したと通告した。その一方でフランスとイタリアに対しては、財政節度の約束を守るよう要請している。このように一部の国ではまだ目標に手が届かないが、EU全体としてみれば財政面での改善も着々と進んだと言えるだろう。
(続きは来週サタデー)
≪6日の日経平均 = 下げ -2.13円≫
【今週の日経平均予想 = 3勝2敗】
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EU統計局の発表によると、13年の財政赤字額対GDP比率は、域内28か国が平均3.3%。ユーロ圏18か国は3.0%。それぞれ前年の3.9%、3.7%より改善した。国別にみると、ドイツは赤字なし。デンマークはわずか0.8%にまで低下した。しかし経済に問題を抱えている国は改善が遅れている。
たとえばフランスは4.3%、スペインは7.1%。またポルトガルは4.9%だったが、ギリシャは2.6%にまで改善した。ギリシャの場合は危機に陥った09年には13.6%にまで達していたが、EUやIMFの支援を受ける条件として緊縮財政を実施したためとみられる。
EU委員会はこの4月、ベルギー、デンマークなど6か国に対して、財政赤字是正の手続きを完了したと通告した。その一方でフランスとイタリアに対しては、財政節度の約束を守るよう要請している。このように一部の国ではまだ目標に手が届かないが、EU全体としてみれば財政面での改善も着々と進んだと言えるだろう。
(続きは来週サタデー)
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【今週の日経平均予想 = 3勝2敗】
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第17章 国際収支って、なんだろう? ②
◇ 貿易収支は大赤字 = 国際収支というのは、国と国とのおカネのやりとりですね。そのなかで、いちばん金額が大きいのは貿易収支です。貿易は、輸出と輸入の両面から成り立っています。日本の国内で生産した商品を外国に売るのが輸出。外国で作られた商品を、日本が買い入れるのが輸入です。
さっそく実際の統計を見てみましょう。国際収支の数字は月ごとに集計されていますが、ここでは13年度(13年4月‐14年3月)の統計で説明します。月ごとの収支は季節的に変動しますが、年間あるいは年度間の統計なら季節的な要因に左右されません。
13年度の輸出は、合計69兆8000億円でした。この輸出額は12年度に比べると12.2%増えています。一方、輸入は80兆6600億円でした。前年度比では19.6%の増加です。この輸出額から輸入額を引いたものが貿易収支になります。つまり13年度の貿易収支は10兆8600億円の赤字でした。
ここで注意しなければいけないのは、貿易収支には2通りの統計があることです。もう1つは貿易統計と言って、全国の港や空港にある税関というお役所が輸出品と輸入品を調べて作っているもの。国際収支のなかの貿易収支は、計算方法が少し違うのです。この計算方法はIMF(国際通貨基金)という国際機関が決めたもので、世界中の国がこの方法を使って国際収支を集計しています。
(続きは来週日曜日)
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◇ 貿易収支は大赤字 = 国際収支というのは、国と国とのおカネのやりとりですね。そのなかで、いちばん金額が大きいのは貿易収支です。貿易は、輸出と輸入の両面から成り立っています。日本の国内で生産した商品を外国に売るのが輸出。外国で作られた商品を、日本が買い入れるのが輸入です。
さっそく実際の統計を見てみましょう。国際収支の数字は月ごとに集計されていますが、ここでは13年度(13年4月‐14年3月)の統計で説明します。月ごとの収支は季節的に変動しますが、年間あるいは年度間の統計なら季節的な要因に左右されません。
13年度の輸出は、合計69兆8000億円でした。この輸出額は12年度に比べると12.2%増えています。一方、輸入は80兆6600億円でした。前年度比では19.6%の増加です。この輸出額から輸入額を引いたものが貿易収支になります。つまり13年度の貿易収支は10兆8600億円の赤字でした。
ここで注意しなければいけないのは、貿易収支には2通りの統計があることです。もう1つは貿易統計と言って、全国の港や空港にある税関というお役所が輸出品と輸入品を調べて作っているもの。国際収支のなかの貿易収支は、計算方法が少し違うのです。この計算方法はIMF(国際通貨基金)という国際機関が決めたもので、世界中の国がこの方法を使って国際収支を集計しています。
(続きは来週日曜日)
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◇ ダウは1万7000ドルが射程内 = ダウ平均株価が着実に上昇。先週は207ドル値上がりして、また新高値を記録した。1万7000ドル台が、ごく近い射程内に入っている。株価を押し上げているのは、アメリカ経済の順調な拡大だ。週末に発表された5月の雇用統計でも、非農業雇用者の増加数は事前の予測を上回って21万7000人に達した。
日経平均も先週は445円の値上がり。どうやら1万5000円の大台は、踏み固めたようだ。消費増税に伴う需要の反動減が予想以上に少なく、このため企業の収益予想は上振れする公算が大きくなった。だとすると、日本株の割安感はいっそう強まるに違いない。こんな発想から、特に内需株が買われている。
年初からの値動きをみると、ダウは347ドル上昇した。その一方で、日経平均は1214円の下落。アメリカ経済の順調な回復、中国経済の小康状態、ウクライナ情勢の一服など、市場を取り巻く環境は決して悪くない。そうしたなかで、日経平均も出遅れ分を取り戻せるか。そのカギはやはり安倍内閣が今月中に作成する“第3の矢”、日本経済の構造改革策が握っている。
今週は9日に、1-3月期のGDP改定値、4月の国際収支、5月の消費動向調査と景気ウォッチャー調査。10日に、4月の第3次産業活動指数。11日に、4-6月期の法人企業景気予測調査と5月の企業物価。12日に、4月の機械受注。アメリカでは12日に、5月の小売り売上高。13日に、5月の生産者物価と6月のミシガン大学・消費者信頼感指数。また中国が10日に、5月の生産者物価と消費者物価。13日に、鉱工業生産、小売り売上高、固定資産投資額を発表する。
≪9日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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日経平均も先週は445円の値上がり。どうやら1万5000円の大台は、踏み固めたようだ。消費増税に伴う需要の反動減が予想以上に少なく、このため企業の収益予想は上振れする公算が大きくなった。だとすると、日本株の割安感はいっそう強まるに違いない。こんな発想から、特に内需株が買われている。
年初からの値動きをみると、ダウは347ドル上昇した。その一方で、日経平均は1214円の下落。アメリカ経済の順調な回復、中国経済の小康状態、ウクライナ情勢の一服など、市場を取り巻く環境は決して悪くない。そうしたなかで、日経平均も出遅れ分を取り戻せるか。そのカギはやはり安倍内閣が今月中に作成する“第3の矢”、日本経済の構造改革策が握っている。
今週は9日に、1-3月期のGDP改定値、4月の国際収支、5月の消費動向調査と景気ウォッチャー調査。10日に、4月の第3次産業活動指数。11日に、4-6月期の法人企業景気予測調査と5月の企業物価。12日に、4月の機械受注。アメリカでは12日に、5月の小売り売上高。13日に、5月の生産者物価と6月のミシガン大学・消費者信頼感指数。また中国が10日に、5月の生産者物価と消費者物価。13日に、鉱工業生産、小売り売上高、固定資産投資額を発表する。
≪9日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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◇ 緩和縮小の王道を行く = アメリカ労働省は6日、5月の雇用統計を発表した。それによると、最も注目された非農業雇用者数は前月より21万7000人の増加。事前の予測を大きく上回った。ことし2月からは、ずっと月間20万人以上の増加を続けている。これでリーマン不況による雇用者の減少860万人分を、完全に取り戻した。
この発表を受けて、ニューヨーク株式市場では株価が上昇。ダウ平均は1万6924ドルと、再び史上最高値を更新した。ハイテク株の多いSP500も新高値を付けている。5月の新車販売台数が前年比11.4%も増加するなど、個人消費も好調に推移。企業収益の先行き予想も上方修正されるなど、市場では急速に楽観論が広がっている。
これまでニューヨーク市場では、景気回復を示す経済指標が発表されると株価はしばしば下落した。FRBによる金融緩和政策の縮小につながり、市場への資金流入が細るだろうと考えられたからである。しかし今回は、こうした懸念が全く顔を出さなかった。市場は素直に景気の回復と企業収益の拡大を、きわめて前向きに評価している。
この現象は、ことし2月にFRBの新議長に就任したイエレン女史の勝利を意味している。彼女は就任以来、一貫して金融緩和政策の縮小を続けると言い続けてきた。このため市場もここへきて「金融緩和=株高」の論理を捨てざるをえなかったのだろう。これで緩和政策の縮小にも、明確な道が開けた。FRBは今月17-18日にFOMC(公開市場委員会)を開き、量的緩和のさらなる縮小を堂々と決めるだろう。
≪9日の日経平均 = 上げ +46.76円≫
≪10日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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この発表を受けて、ニューヨーク株式市場では株価が上昇。ダウ平均は1万6924ドルと、再び史上最高値を更新した。ハイテク株の多いSP500も新高値を付けている。5月の新車販売台数が前年比11.4%も増加するなど、個人消費も好調に推移。企業収益の先行き予想も上方修正されるなど、市場では急速に楽観論が広がっている。
これまでニューヨーク市場では、景気回復を示す経済指標が発表されると株価はしばしば下落した。FRBによる金融緩和政策の縮小につながり、市場への資金流入が細るだろうと考えられたからである。しかし今回は、こうした懸念が全く顔を出さなかった。市場は素直に景気の回復と企業収益の拡大を、きわめて前向きに評価している。
この現象は、ことし2月にFRBの新議長に就任したイエレン女史の勝利を意味している。彼女は就任以来、一貫して金融緩和政策の縮小を続けると言い続けてきた。このため市場もここへきて「金融緩和=株高」の論理を捨てざるをえなかったのだろう。これで緩和政策の縮小にも、明確な道が開けた。FRBは今月17-18日にFOMC(公開市場委員会)を開き、量的緩和のさらなる縮小を堂々と決めるだろう。
≪9日の日経平均 = 上げ +46.76円≫
≪10日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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◇ 来年度の実施は決まったが = 安倍首相の指示によって、法人税が15年度から引き下げられることになった。6月中に作成される「骨太の方針」に明記される。ただ減税の具体的な方策については議論百出。年末までに意見を集約できるのか、危ぶむ見方も多い。特に自民党税制調査会と政府税制調査会は、基本的な考え方で大きく食い違っている。
企業の所得に対する実質的な税負担を示す法人実効税率は、現在34.62%(東京都の場合は35.64%)。国際的にみると、ドイツの29.59%、中国の25.00%、シンガポールの17.00%などに比べて、かなり高い。それだけ日本企業の国際競争力が削がれ、また外国企業の日本進出にとっても阻害要因となっている。
実効税率の引き下げ幅については、もちろん結論が出たわけではない。しかし国際競争力の観点からは20%台にまで下げないと意味はない、という暗黙の理解はあるようだ。すると引き下げ幅は6%が目標になる。6%下げたときの税収減は約3兆円。そこで、この3兆円をどうやって埋めるかが問題となる。
自民党税調は、この財源を確保することが法人税引き下げの大前提という主張。これに対して政府税調は、最初のうちは穴埋めできなくても数年かかって財源を見つければいい、と判断している。法人減税による財政赤字を認めるかどうか。この基本的な考え方の違いから、具体的な財源に対する姿勢も変わってくる。
(続きは明日)
≪10日の日経平均 = 下げ -129.20円≫
≪11日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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企業の所得に対する実質的な税負担を示す法人実効税率は、現在34.62%(東京都の場合は35.64%)。国際的にみると、ドイツの29.59%、中国の25.00%、シンガポールの17.00%などに比べて、かなり高い。それだけ日本企業の国際競争力が削がれ、また外国企業の日本進出にとっても阻害要因となっている。
実効税率の引き下げ幅については、もちろん結論が出たわけではない。しかし国際競争力の観点からは20%台にまで下げないと意味はない、という暗黙の理解はあるようだ。すると引き下げ幅は6%が目標になる。6%下げたときの税収減は約3兆円。そこで、この3兆円をどうやって埋めるかが問題となる。
自民党税調は、この財源を確保することが法人税引き下げの大前提という主張。これに対して政府税調は、最初のうちは穴埋めできなくても数年かかって財源を見つければいい、と判断している。法人減税による財政赤字を認めるかどうか。この基本的な考え方の違いから、具体的な財源に対する姿勢も変わってくる。
(続きは明日)
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◇ 難のある財源案ばかり = 財源案は、いろいろ出ている。たとえば外形標準課税の拡充案。外形標準課税というのは、資本金1億円以上の企業が資本金や従業員の給与総額に応じて支払う税金。都道府県に支払う法人事業税の4分の1がこの税金だ。この割合を増やしたり、あるいは資本金1億円以下の企業にも適用する。すると税収は増えるが、赤字企業や中小企業の負担が増大してしまう。
また産業振興の目的で、一部企業を税制面で優遇している租税特別措置法の整理・縮小。設備投資をした直後の法人税が安くなる減価償却に関する定率法の縮小・廃止。欠損金の繰り越し控除期間の縮小。子会社から受け取る配当金の益金不算入を廃止などなど。
仮にこれらの措置をすべて実行すれば、なんとか年間3兆円ほどの財源は作れそうだ。しかし赤字企業や中小企業に負担を押し付けていいのか。産業振興の必要性はなくなったのか。企業の設備投資意欲を阻害しないか。配当金に対する二重課税にならないか。こんな疑問や反論に対抗するのは、容易ではなさそうだ。
疑問点も多い財源対策だけに、自民党税調や政府税調のなかも具体的な方策についての意見は割れている。また自民党や政府は外形標準課税の拡充に概して前向きだが、公明党は大反対。安倍首相は15年度からの法人減税を公約した形だが、年末までに法案が作成できなければ15年度の実施は不可能だ。百家争鳴の状態をまとめられるのだろうか。
(続きは明日)
≪11日の日経平均 = 上げ +74.68円≫
≪12日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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また産業振興の目的で、一部企業を税制面で優遇している租税特別措置法の整理・縮小。設備投資をした直後の法人税が安くなる減価償却に関する定率法の縮小・廃止。欠損金の繰り越し控除期間の縮小。子会社から受け取る配当金の益金不算入を廃止などなど。
仮にこれらの措置をすべて実行すれば、なんとか年間3兆円ほどの財源は作れそうだ。しかし赤字企業や中小企業に負担を押し付けていいのか。産業振興の必要性はなくなったのか。企業の設備投資意欲を阻害しないか。配当金に対する二重課税にならないか。こんな疑問や反論に対抗するのは、容易ではなさそうだ。
疑問点も多い財源対策だけに、自民党税調や政府税調のなかも具体的な方策についての意見は割れている。また自民党や政府は外形標準課税の拡充に概して前向きだが、公明党は大反対。安倍首相は15年度からの法人減税を公約した形だが、年末までに法案が作成できなければ15年度の実施は不可能だ。百家争鳴の状態をまとめられるのだろうか。
(続きは明日)
≪11日の日経平均 = 上げ +74.68円≫
≪12日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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◇ 本来の目的が不鮮明に = 財源についてはもう1つ、景気回復に伴う法人税の自然増収に期待する考え方もある。しかし、その保証は全くない。だから麻生財務相は「それはダメだ」と、いまからクギを刺している。だが政府税調の「財源は複数年度で見つければいい」という姿勢には、この自然増収への期待が見え隠れしているようだ。
「財源を完全に確保することが、法人減税の大前提」という麻生財務相あるいは自民党税調の主張には、基本的な疑義がある。仮に実効税率を20%台に引き下げ、3兆円の減税をしたとする。だが課税範囲を拡大して3兆円の増収を図るのだから、個々の業界や企業にはプラス・マイナスの影響は出ても、全体としては「行って来い」の形になる。
これで日本企業の国際競争力を高め、外国資本の誘致を図れるのだろうか。表看板だけが「20%台の法人税」に書き換えられても、中身は従来のまま。しかも中小企業など弱者に皺がよる。課税範囲の拡大などで、ある程度の減税財源をひねり出すことはやむをえないかもしれない。しかし本来は、行政改革を進めることで財源の大半を確保すべきではないだろうか。
安倍首相は、月内にまとめるアベノミックス“第3の矢”を形成する柱の1本に、この法人減税を据えようとしている。先日のG7(主要7か国会議)でも、この点を強調した。しかし減税そのものが表看板の書き換えだけに終わったのでは、成長戦略とは言えないし、海外諸国も評価の下しようがないだろう。政府・与党は「なぜ法人税を下げるのか」の原点に立ち返って、考え直す必要があるのではないか。
≪12日の日経平均 = 下げ -95.95円≫
≪13日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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「財源を完全に確保することが、法人減税の大前提」という麻生財務相あるいは自民党税調の主張には、基本的な疑義がある。仮に実効税率を20%台に引き下げ、3兆円の減税をしたとする。だが課税範囲を拡大して3兆円の増収を図るのだから、個々の業界や企業にはプラス・マイナスの影響は出ても、全体としては「行って来い」の形になる。
これで日本企業の国際競争力を高め、外国資本の誘致を図れるのだろうか。表看板だけが「20%台の法人税」に書き換えられても、中身は従来のまま。しかも中小企業など弱者に皺がよる。課税範囲の拡大などで、ある程度の減税財源をひねり出すことはやむをえないかもしれない。しかし本来は、行政改革を進めることで財源の大半を確保すべきではないだろうか。
安倍首相は、月内にまとめるアベノミックス“第3の矢”を形成する柱の1本に、この法人減税を据えようとしている。先日のG7(主要7か国会議)でも、この点を強調した。しかし減税そのものが表看板の書き換えだけに終わったのでは、成長戦略とは言えないし、海外諸国も評価の下しようがないだろう。政府・与党は「なぜ法人税を下げるのか」の原点に立ち返って、考え直す必要があるのではないか。
≪12日の日経平均 = 下げ -95.95円≫
≪13日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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◇ ついにゼロ金利へ = ECB(ヨーロッパ中央銀行)は先週、政策金利を0.15%に引き下げた。これでアメリカ、日本、ユーロ圏の先進国は、そろってゼロ金利政策を実施することになる。これまでゼロ金利政策の採用に抵抗してきたECBが姿勢を改めたのは、景気回復の勢いが弱すぎると判断したため。特に失業率が低下せず、ユーロ圏の失業率は4月も11.7%ときわめて高かった。
景気の回復を刺激するためには、本来なら財政支出を増やしたいところ。しかし高い失業率に悩んでいるフランス、イタリア、スペインなどの諸国は財政再建も遅れ気味で、これ以上は支出を増やせない。そこでECBがやむなくゼロ金利という最後の切り札を使うことになった。
ギリシャの財政破たんに端を発した経済危機に直面して、ヨーロッパ諸国はいっせいに財政再建に取り組んだ。特にギリシャやポルトガルなどは、EUやIMFからの支援を受ける条件として厳しい緊縮財政の実行を迫られた。この結果、各国のGDPに対する財政赤字額の比率は改善したものの、当初の目標を達成するほどの改善はみせていない。
厳しい緊縮政策の実行は、多くの国で国民の不満を増大させた。連日のようにデモやストが発生し、倒閣運動も盛んに行われた。このためギリシャやポルトガルだけではなく、フランスやイタリア、スペインでも、政府は緊縮の手を緩めざるをえなかったのである。EUやIMFも、政権が倒れてしまうと混乱が増すばかりなので、妥協するしかなかった。このため、これら諸国の財政再建は当初の計画通りには進まなかった。
(続きは来週サタデー)
≪13日の日経平均 = 上げ +124.31円≫
【今週の日経平均予想 = 3勝2敗】
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景気の回復を刺激するためには、本来なら財政支出を増やしたいところ。しかし高い失業率に悩んでいるフランス、イタリア、スペインなどの諸国は財政再建も遅れ気味で、これ以上は支出を増やせない。そこでECBがやむなくゼロ金利という最後の切り札を使うことになった。
ギリシャの財政破たんに端を発した経済危機に直面して、ヨーロッパ諸国はいっせいに財政再建に取り組んだ。特にギリシャやポルトガルなどは、EUやIMFからの支援を受ける条件として厳しい緊縮財政の実行を迫られた。この結果、各国のGDPに対する財政赤字額の比率は改善したものの、当初の目標を達成するほどの改善はみせていない。
厳しい緊縮政策の実行は、多くの国で国民の不満を増大させた。連日のようにデモやストが発生し、倒閣運動も盛んに行われた。このためギリシャやポルトガルだけではなく、フランスやイタリア、スペインでも、政府は緊縮の手を緩めざるをえなかったのである。EUやIMFも、政権が倒れてしまうと混乱が増すばかりなので、妥協するしかなかった。このため、これら諸国の財政再建は当初の計画通りには進まなかった。
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≪13日の日経平均 = 上げ +124.31円≫
【今週の日経平均予想 = 3勝2敗】
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第17章 国際収支って、なんだろう? ③
◇ サービス収支は赤字 = 貿易は輸出と輸入から成り立っていますね。つまり自動車とか原油とか小麦とか。いろいろな品物が輸出されたり、輸入されたりした結果が、貿易収支です。ところが国と国との間では、品物のない取り引きもたくさん行われています。
たとえば、あなたがアメリカに行ってホテルに泊まったり、食事をしたり、タクシーに乗ったりしたとき。なにも品物は買いませんが、おカネを払うでしょう。このように品物のやりとりはないのに、おカネのやりとりが発生する。これをサービス収支と呼んでいます。
サービス収支には、品物や人を輸送する代金。通信や情報の料金、大事な品物の輸送にかける保険料、特許の使用料など、いろいろな種類の取り引きが含まれます。13年度のサービス収支は、3兆5800億円の赤字でした。
貿易収支とサービス収支を一緒にして、貿易・サービス収支と呼ぶことがあります。13年度の貿易収支は、10兆8600億円の赤字でしたね。したがって、この期間の貿易・サービス収支は14兆4400億円の赤字だったという計算になります。
(続きは来週日曜日)
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◇ サービス収支は赤字 = 貿易は輸出と輸入から成り立っていますね。つまり自動車とか原油とか小麦とか。いろいろな品物が輸出されたり、輸入されたりした結果が、貿易収支です。ところが国と国との間では、品物のない取り引きもたくさん行われています。
たとえば、あなたがアメリカに行ってホテルに泊まったり、食事をしたり、タクシーに乗ったりしたとき。なにも品物は買いませんが、おカネを払うでしょう。このように品物のやりとりはないのに、おカネのやりとりが発生する。これをサービス収支と呼んでいます。
サービス収支には、品物や人を輸送する代金。通信や情報の料金、大事な品物の輸送にかける保険料、特許の使用料など、いろいろな種類の取り引きが含まれます。13年度のサービス収支は、3兆5800億円の赤字でした。
貿易収支とサービス収支を一緒にして、貿易・サービス収支と呼ぶことがあります。13年度の貿易収支は、10兆8600億円の赤字でしたね。したがって、この期間の貿易・サービス収支は14兆4400億円の赤字だったという計算になります。
(続きは来週日曜日)
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◇ 上昇への環境づくり進む = 先週はダウ平均が149ドル値下がりしたのに対して、日経平均は21円の上昇となった。このようにニューヨークが下がって東京が上がったのは、2月の第3週以来のこと。イラク情勢を警戒したニューヨークと、それほど気にしなかった東京の差が現われた。
東京市場の場合は、消費増税の影響が予想より小さそうなこと。そのため企業収益の将来見通しが、上方修正されそうなこと。この感触が、相場の下支えになっている。ただ日経平均が1万5000円を超えると、かなりの売り物が出て相場の頭を押さえる展開が続いてきた。
しかし、この売り物も一巡したようだ。たとえば個人の決済売りが進んで、信用買い残高は昨年4月の水準にまで減少している。株価再上昇の環境が整ってきたとも言えるだろう。ニューヨークはイラク情勢しだいだが、まだ1万7000ドルを狙う気力は十分に持ち合わせている。
今週は18日に、5月の貿易統計。19日に、4月の全産業活動指数。アメリカでは16日に、5月の工業生産と6月のNAHB住宅市場指数。17日に、5月の消費者物価と住宅着工戸数。19日に、5月のカンファレンス・ボード景気先行指数。また中国が18日に、主要70都市の住宅価格を発表する。
≪16日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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東京市場の場合は、消費増税の影響が予想より小さそうなこと。そのため企業収益の将来見通しが、上方修正されそうなこと。この感触が、相場の下支えになっている。ただ日経平均が1万5000円を超えると、かなりの売り物が出て相場の頭を押さえる展開が続いてきた。
しかし、この売り物も一巡したようだ。たとえば個人の決済売りが進んで、信用買い残高は昨年4月の水準にまで減少している。株価再上昇の環境が整ってきたとも言えるだろう。ニューヨークはイラク情勢しだいだが、まだ1万7000ドルを狙う気力は十分に持ち合わせている。
今週は18日に、5月の貿易統計。19日に、4月の全産業活動指数。アメリカでは16日に、5月の工業生産と6月のNAHB住宅市場指数。17日に、5月の消費者物価と住宅着工戸数。19日に、5月のカンファレンス・ボード景気先行指数。また中国が18日に、主要70都市の住宅価格を発表する。
≪16日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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◇ 発行残高の2割を保有 = 日銀が保有する国債の総額が、はじめて国債発行残高の2割に達した。日銀の発表によると、日銀の国債保有残高は5月末時点で162兆1600億円。前月比で5兆6800億円増加した。5月末の国債発行残高は808兆8200億円だったので、日銀の保有額はその2割に相当する。
日銀の国債保有残高が急増しているのは、13年4月から始めた“異次元”金融緩和によるもの。当初の計画では、長期国債を年間50兆円買い入れることになっていた。しかし実際には、ことし3月末までに62兆8000億円の国債を購入している。ほかにETF(上場投資信託)も年間1兆円の計画だったが、実際は1兆3000億円買った。また短期国債も10兆円購入している。
市場で日銀に国債を売却したのは、主として民間金融機関。このため国内銀行の国債保有高は、ことし3月末で135兆円。10年9月以来の水準にまで減少した。日本郵政も185兆円で、5年前より保有高が40兆円減っている。このため最近では売り物がしだいに細ってきており、関係者は「市場は干上がってきた」と表現する始末だ。
このまま日銀が量的緩和を続けると、1年後には日銀の国債保有割合が40%に達するという試算もある。仮にそうなると、債券市場では円滑な取り引きが難しくなるかもしれない。すると金利は乱高下しやすくなり、海外投資家は金利の急上昇を警戒するようになる。また日銀の緩和政策は「財政赤字の穴埋め」ではないかという批判が高まる恐れも出てくるだろう。異次元緩和政策は、大きなカベに突き当たりそうな気がする。
≪16日の日経平均 = 下げ -164.55円≫
≪17日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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日銀の国債保有残高が急増しているのは、13年4月から始めた“異次元”金融緩和によるもの。当初の計画では、長期国債を年間50兆円買い入れることになっていた。しかし実際には、ことし3月末までに62兆8000億円の国債を購入している。ほかにETF(上場投資信託)も年間1兆円の計画だったが、実際は1兆3000億円買った。また短期国債も10兆円購入している。
市場で日銀に国債を売却したのは、主として民間金融機関。このため国内銀行の国債保有高は、ことし3月末で135兆円。10年9月以来の水準にまで減少した。日本郵政も185兆円で、5年前より保有高が40兆円減っている。このため最近では売り物がしだいに細ってきており、関係者は「市場は干上がってきた」と表現する始末だ。
このまま日銀が量的緩和を続けると、1年後には日銀の国債保有割合が40%に達するという試算もある。仮にそうなると、債券市場では円滑な取り引きが難しくなるかもしれない。すると金利は乱高下しやすくなり、海外投資家は金利の急上昇を警戒するようになる。また日銀の緩和政策は「財政赤字の穴埋め」ではないかという批判が高まる恐れも出てくるだろう。異次元緩和政策は、大きなカベに突き当たりそうな気がする。
≪16日の日経平均 = 下げ -164.55円≫
≪17日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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◇ 旅行収支が44年ぶりの黒字 = 財務省が発表した4月の国際収支速報によると、旅行収支が177億円の黒字になった。旅行収支が黒字になったのは、大阪万博が開かれた1970年7月以来のこと。昨年4月は224億円の赤字だった。旅行収支というのは、外国人の旅行客が日本で使ったおカネと日本人旅行客が海外で使ったおカネの差額。
観光庁によると、4月に来日した外国人観光客は123万1500人。前年同月に比べて33.4%増加した。原因は円安の影響もあるが、東南アジア諸国を対象にビザ(入国査証)の発行要件を緩和したことが大きい。タイ人、ベトナム人の訪日客数は単月としての過去最大を記録した。その一方、日本人の出国客数は前年比4.4%減少している。
外国人観光客は東日本大震災の影響で一時は大幅に減少したが、その後は順調に回復。13年には1036万人と、はじめて年間1000万人を突破した。03年には521万人だったから、この10年間でほぼ倍増したことになる。この間に中国や韓国、台湾、さらに東南アジア諸国の経済成長が進み、人々の生活に余裕ができたことが背景にある。
韓国と台湾に対しては05年3月、タイとマレーシアに対しては13年7月からビザを免除した。また、その他の東南アジア諸国の多くに対しては、数次ビザを発給している。この結果、13年の訪日外国人旅行客は韓国人が最も多く246万人。次いで台湾人の221万人、3位は中国人で131万人。アメリカ人は80万人で4位に入った。
(続きは明日)
≪17日の日経平均 = 上げ +42.68円≫
≪18日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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観光庁によると、4月に来日した外国人観光客は123万1500人。前年同月に比べて33.4%増加した。原因は円安の影響もあるが、東南アジア諸国を対象にビザ(入国査証)の発行要件を緩和したことが大きい。タイ人、ベトナム人の訪日客数は単月としての過去最大を記録した。その一方、日本人の出国客数は前年比4.4%減少している。
外国人観光客は東日本大震災の影響で一時は大幅に減少したが、その後は順調に回復。13年には1036万人と、はじめて年間1000万人を突破した。03年には521万人だったから、この10年間でほぼ倍増したことになる。この間に中国や韓国、台湾、さらに東南アジア諸国の経済成長が進み、人々の生活に余裕ができたことが背景にある。
韓国と台湾に対しては05年3月、タイとマレーシアに対しては13年7月からビザを免除した。また、その他の東南アジア諸国の多くに対しては、数次ビザを発給している。この結果、13年の訪日外国人旅行客は韓国人が最も多く246万人。次いで台湾人の221万人、3位は中国人で131万人。アメリカ人は80万人で4位に入った。
(続きは明日)
≪17日の日経平均 = 上げ +42.68円≫
≪18日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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◇ 30年に3000万人誘致計画 = 日本を訪れた外国人観光客は、13年にはじめて1000万人を突破した。しかし世界的にみると、この数字はまだまだ少ない。たとえば12年の統計では、最も観光客の受け入れが多かったのはフランスで8300万人だ。2位はアメリカで6900万人、3位は中国で5800万人となっている。日本はこの年816万人で、世界では33位だった。
言い換えると、日本はまだまだ観光客を受け入れる余地があるのかもしれない。折から富士山をはじめ世界遺産の認定ラッシュ、20年には東京オリンピックも開催される。そこで政府も外国人観光客を20年に2000万人、30年には3000万人誘致する目標を設定、世界に向けて「観光ニッポン」を売り込むことになった。
外国人観光客の経済効果は、決してバカにならない。旅行収支は日本人が海外で使ったおカネを差し引いているから、年間177億円の黒字にとどまった。しかし13年に来日した外国人が消費したおカネは1兆4000億円。波及効果まで入れると、GDPを1兆8000億円押し上げたという試算もある。
政府は今週17日の閣僚会議で、外国人観光客を倍増するための行動計画をまとめた。その骨子は、インドネシア、フィリピン、ベトナムに対するビザ免除。免税店を倍増して1万店にする。海外の富裕層が最長1年滞在できる制度の新設など。ただ、これだけの施策で観光客が倍増するとは思えない。旅行業や宿泊業を中核にした、全国的な組織なども作った方がいいのではないだろうか。
≪18日の日経平均 = 上げ +139.83円≫
≪19日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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言い換えると、日本はまだまだ観光客を受け入れる余地があるのかもしれない。折から富士山をはじめ世界遺産の認定ラッシュ、20年には東京オリンピックも開催される。そこで政府も外国人観光客を20年に2000万人、30年には3000万人誘致する目標を設定、世界に向けて「観光ニッポン」を売り込むことになった。
外国人観光客の経済効果は、決してバカにならない。旅行収支は日本人が海外で使ったおカネを差し引いているから、年間177億円の黒字にとどまった。しかし13年に来日した外国人が消費したおカネは1兆4000億円。波及効果まで入れると、GDPを1兆8000億円押し上げたという試算もある。
政府は今週17日の閣僚会議で、外国人観光客を倍増するための行動計画をまとめた。その骨子は、インドネシア、フィリピン、ベトナムに対するビザ免除。免税店を倍増して1万店にする。海外の富裕層が最長1年滞在できる制度の新設など。ただ、これだけの施策で観光客が倍増するとは思えない。旅行業や宿泊業を中核にした、全国的な組織なども作った方がいいのではないだろうか。
≪18日の日経平均 = 上げ +139.83円≫
≪19日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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◇ 貯蓄高は平均2363万円 = 一般に「お年寄りはお金持ち」だと信じられているが、総務省がまとめた13年の家計調査でその実態が明らかになった。まず2人以上世帯の年間収入額は616万円、前年より10万円増加した。平均貯蓄額は1739万円で前年より81万円、率にして4.9%増加している。このうち勤労者世帯は収入が708万円で、前年を17万円上回った。貯蓄額は1244万円で11万円の増加。
一方、2人以上世帯のうち世帯主が60歳以上で無職の場合。貯蓄額は平均2363万円、前年より217万円も増えている。全体の平均貯蓄額より624万円も多い。しかも貯蓄の増加率が、はるかに大きい。「お年寄りはお金持ち」を実証した数字だと言えるだろう。その秘密は、有価証券をたくさん保有していることに求められそうだ。
2人以上世帯が保有する有価証券は、平均240万円。貯蓄に占める割合は13.8%だった。勤労者世帯の場合は保有額が116万円、比率は10.5%となっている。これに対して60歳以上の無職世帯では、有価証券の保有額が420万円。比率は17.8%と高い。昨年からの株高で、この保有額は38.2%も伸びた。
お年寄りの多くは年金制度の行方に不安を感じ、老後に必要な資金を懸命に貯めたのだろう。しかし現役世代は貯蓄もままならず大変だ、という声が聞こえてくるようだ。だが総務省は参考データとして、こんな比較も付け加えている。--2人以上世帯の貯蓄額1739万円は、半世紀前1959年の貯蓄額30万円に比べると58倍になった。
≪19日の日経平均 = 上げ +245.36円≫
≪20日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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一方、2人以上世帯のうち世帯主が60歳以上で無職の場合。貯蓄額は平均2363万円、前年より217万円も増えている。全体の平均貯蓄額より624万円も多い。しかも貯蓄の増加率が、はるかに大きい。「お年寄りはお金持ち」を実証した数字だと言えるだろう。その秘密は、有価証券をたくさん保有していることに求められそうだ。
2人以上世帯が保有する有価証券は、平均240万円。貯蓄に占める割合は13.8%だった。勤労者世帯の場合は保有額が116万円、比率は10.5%となっている。これに対して60歳以上の無職世帯では、有価証券の保有額が420万円。比率は17.8%と高い。昨年からの株高で、この保有額は38.2%も伸びた。
お年寄りの多くは年金制度の行方に不安を感じ、老後に必要な資金を懸命に貯めたのだろう。しかし現役世代は貯蓄もままならず大変だ、という声が聞こえてくるようだ。だが総務省は参考データとして、こんな比較も付け加えている。--2人以上世帯の貯蓄額1739万円は、半世紀前1959年の貯蓄額30万円に比べると58倍になった。
≪19日の日経平均 = 上げ +245.36円≫
≪20日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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◇ 手詰まりの金融政策 = ECB(ヨーロッパ中央銀行)は先週の理事会で、政策金利を0.15%に引き下げた。同時に、民間金融機関からの預り金に対する利子をマイナス0.1%とすることも決定している。金融機関は中央銀行におカネを預けると損をするわけで、ECBへの預け金は必要最小限にとどめるものと予想される。
金融機関は手元に戻したおカネを、企業への貸し出しに充てる。ECBはその景気浮揚効果を狙ったわけだ。ところが景気が低迷していれば、企業はおカネを借りてくれない。日本やアメリカはそう考えて、リーマン・ショック後の不況時にもマイナス金利政策は導入しなかった。その代わりに日米両国は、中央銀行が市場から国債などを買い入れる量的金融緩和を実施した。
ところがユーロ圏の場合は、量的緩和政策がやりにくい。というのも圏内のどの国から、どれだけ国債を購入するのか。アメリカや日本のように一国ではないから、微妙な問題が付きまとう。流動性の増加を望まない国もあるので、一斉に買い付けるわけにもいかない。そこでマイナス金利を採用した。
しかしユーロ圏の企業動向をみると、業績は少し上向きだが回復力は弱いのが現状。金融機関の企業向け融資は、この3-4月で前年割れとなっている。少なくとも金融機関は国債を買い始めたようで、国債の利回りは各国で低下した。また今回の金融政策で、ユーロ相場も下落している。だが肝心の景気回復が進まないと、ECBには残された手段があまりない。
(続きは来週サタデー)
≪20日の日経平均 = 下げ -11.74円≫
【今週の日経平均予想 = 5勝0敗】
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金融機関は手元に戻したおカネを、企業への貸し出しに充てる。ECBはその景気浮揚効果を狙ったわけだ。ところが景気が低迷していれば、企業はおカネを借りてくれない。日本やアメリカはそう考えて、リーマン・ショック後の不況時にもマイナス金利政策は導入しなかった。その代わりに日米両国は、中央銀行が市場から国債などを買い入れる量的金融緩和を実施した。
ところがユーロ圏の場合は、量的緩和政策がやりにくい。というのも圏内のどの国から、どれだけ国債を購入するのか。アメリカや日本のように一国ではないから、微妙な問題が付きまとう。流動性の増加を望まない国もあるので、一斉に買い付けるわけにもいかない。そこでマイナス金利を採用した。
しかしユーロ圏の企業動向をみると、業績は少し上向きだが回復力は弱いのが現状。金融機関の企業向け融資は、この3-4月で前年割れとなっている。少なくとも金融機関は国債を買い始めたようで、国債の利回りは各国で低下した。また今回の金融政策で、ユーロ相場も下落している。だが肝心の景気回復が進まないと、ECBには残された手段があまりない。
(続きは来週サタデー)
≪20日の日経平均 = 下げ -11.74円≫
【今週の日経平均予想 = 5勝0敗】
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第17章 国際収支って、なんだろう? ④
◇ 経常収支と金融収支 = 国際収支というのは、外国とのおカネのやりとりを集計した“家計簿”でしたね。この国際収支は大きく分けると、経常収支(けいじょうしゅうし)と金融収支(きんゆうしゅうし)の2つから成り立っています。すでに勉強した貿易収支とサービス収支は、経常収支のなかに含まれます。
経常収支には、ほかに所得収支(しょとくしゅうし)と移転収支(いてんしゅうし)という項目もあります。所得収支というのは、日本人が外国で働いてもらったおカネや外国の債券や株式から受け取る利子や配当など。また移転収支は、日本の政府が外国に資金を出して援助したり、世界銀行などの国際機関におカネを出す場合など。
ちょっと難しくなってしまいましたが、国際収支は経常収支と金融収支の2つから成り立っていること。また、そのうちの経常収支は貿易収支、サービス収支、それに所得収支と移転収支を加えた4つの項目から成り立っていることを覚えておきましょう。
例によって13年度の数字を調べてみました。経常収支の合計は7899億円の赤j字でした。このうち所得収支の黒字は貿易・サービス収支の赤字よりも大きく、15兆2300億円に達しています。これは外国から受け取る利子や配当の金額が、とても大きいことを示しています。この結果、経常収支はなんとか黒字になっています。
(続きは来週日曜日)
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◇ 経常収支と金融収支 = 国際収支というのは、外国とのおカネのやりとりを集計した“家計簿”でしたね。この国際収支は大きく分けると、経常収支(けいじょうしゅうし)と金融収支(きんゆうしゅうし)の2つから成り立っています。すでに勉強した貿易収支とサービス収支は、経常収支のなかに含まれます。
経常収支には、ほかに所得収支(しょとくしゅうし)と移転収支(いてんしゅうし)という項目もあります。所得収支というのは、日本人が外国で働いてもらったおカネや外国の債券や株式から受け取る利子や配当など。また移転収支は、日本の政府が外国に資金を出して援助したり、世界銀行などの国際機関におカネを出す場合など。
ちょっと難しくなってしまいましたが、国際収支は経常収支と金融収支の2つから成り立っていること。また、そのうちの経常収支は貿易収支、サービス収支、それに所得収支と移転収支を加えた4つの項目から成り立っていることを覚えておきましょう。
例によって13年度の数字を調べてみました。経常収支の合計は7899億円の赤j字でした。このうち所得収支の黒字は貿易・サービス収支の赤字よりも大きく、15兆2300億円に達しています。これは外国から受け取る利子や配当の金額が、とても大きいことを示しています。この結果、経常収支はなんとか黒字になっています。
(続きは来週日曜日)
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◇ ダウは着実に最高値を更新 = ダウ平均は6日間の続伸。先週は171ドル値上がりした。終り値の1万6947ドルは史上最高値。SP500も最高値を更新、ナスダック指数は14年2か月ぶりの高値を付けた。イラクやウクライナ情勢が重石となっているが、明るさを増したアメリカ経済の見通しが株価を着実に押し上げたと言える。
日経平均は先週252円の値上がり。外国人投資家に加えて、国内の個人投資家も姿勢を「売り」から「買い」に転換しつつあるようだ。信用買い残の整理が進んだことが大きい。このため19日などは、円の対ドル相場が40銭近くも上昇したのに、株価は250円近く上げている。市場の心理状態は、変わりつつあるようだ。
日米ともに、市場の雰囲気は明らかに好転している。しかし今週は、警戒すべきことが1点。それはアメリカがイラクに対して、何らかの行動を起こす可能性が大きいことだ。その内容しだいでは、株式市場に動揺が走る可能性もある。そういう予想が出るだけで、市場は警戒するだろう。要注意である。
今週は25日に、5月の企業向けサービス価格。27日に、5月の雇用統計、消費者物価、家計調査、商業販売統計。アメリカでは23日に、5月の中古住宅販売。24日に、4月のFHFA住宅価格と5月の新築住宅販売、6月のカンファレンス・ボード消費者信頼感指数。25日に、1-3月期のGDP確定値。また中国が23日に、6月のHSBC製造業PMIを発表する。
≪23日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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日経平均は先週252円の値上がり。外国人投資家に加えて、国内の個人投資家も姿勢を「売り」から「買い」に転換しつつあるようだ。信用買い残の整理が進んだことが大きい。このため19日などは、円の対ドル相場が40銭近くも上昇したのに、株価は250円近く上げている。市場の心理状態は、変わりつつあるようだ。
日米ともに、市場の雰囲気は明らかに好転している。しかし今週は、警戒すべきことが1点。それはアメリカがイラクに対して、何らかの行動を起こす可能性が大きいことだ。その内容しだいでは、株式市場に動揺が走る可能性もある。そういう予想が出るだけで、市場は警戒するだろう。要注意である。
今週は25日に、5月の企業向けサービス価格。27日に、5月の雇用統計、消費者物価、家計調査、商業販売統計。アメリカでは23日に、5月の中古住宅販売。24日に、4月のFHFA住宅価格と5月の新築住宅販売、6月のカンファレンス・ボード消費者信頼感指数。25日に、1-3月期のGDP確定値。また中国が23日に、6月のHSBC製造業PMIを発表する。
≪23日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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◇ 輸出より輸入を重視? = 先週19日の東京株式市場。為替市場では円の対ドル相場が急伸、1日で40銭近くも上昇した。にもかかわらず日経平均は、この日245円と大幅に上げている。これまでの経験では、円相場がこれだけ上昇すれば株価は下落するのが常識。何か重要な上げ材料が出現したわけでもない。市場では、何が起こったのだろう。
すぐに思い付くのは、最近ガソリン価格が高騰していることだ。先週の小売り価格は、全国平均で1リットル=167円。8週連続の上昇となった。直接の原因はイラク情勢の緊迫だが、円安による輸入価格の上昇も一因である。したがってガソリン価格に関する限りは、為替が円高に振れた方が好ましい。
日本の貿易は完全な赤字基調。13年度の貿易赤字は10兆9000億円に達した。円安は輸出にとってはプラス要因だが、輸入価格を上昇させる。輸入額が輸出額をこれだけ上回っているのだから、いまの日本経済にとっては適度な円高の方がメリットは大きいはず。円高になれば、燃料や食料の輸入価格も安くなる。
ところが株式市場の代表的な銘柄には自動車や電機など、輸出メーカーが多い。このため市場は「円安⇒輸出メーカーの利益拡大⇒株価の上昇」という思考に疑いを持たなかった。その思考が、ようやく揺らいできたのではないだろうか。こんな考え方はまだ早計かもしれない。しかし市場の深層では、何か思考の変化が生じているような気がしてならない。
≪23日の日経平均 = 上げ +19.86円≫
≪24日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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すぐに思い付くのは、最近ガソリン価格が高騰していることだ。先週の小売り価格は、全国平均で1リットル=167円。8週連続の上昇となった。直接の原因はイラク情勢の緊迫だが、円安による輸入価格の上昇も一因である。したがってガソリン価格に関する限りは、為替が円高に振れた方が好ましい。
日本の貿易は完全な赤字基調。13年度の貿易赤字は10兆9000億円に達した。円安は輸出にとってはプラス要因だが、輸入価格を上昇させる。輸入額が輸出額をこれだけ上回っているのだから、いまの日本経済にとっては適度な円高の方がメリットは大きいはず。円高になれば、燃料や食料の輸入価格も安くなる。
ところが株式市場の代表的な銘柄には自動車や電機など、輸出メーカーが多い。このため市場は「円安⇒輸出メーカーの利益拡大⇒株価の上昇」という思考に疑いを持たなかった。その思考が、ようやく揺らいできたのではないだろうか。こんな考え方はまだ早計かもしれない。しかし市場の深層では、何か思考の変化が生じているような気がしてならない。
≪23日の日経平均 = 上げ +19.86円≫
≪24日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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◇ 自給率はわずか6%に = 経済産業省が作成した13年度のエネルギー白書を読むと、ほんとうに恐ろしくなる。その第1は、エネルギーの自給率が6%にまで下がってしまったことだ。自給率というのは、日本が使うエネルギーのうち国内で生産されるエネルギーの割合。10年には19.9%だったが、12年には6.0%に低下している。
この自給できた分6%の内訳は、水力が1.5%、天然ガスが0.7%、原子力が0.6%、原油が0.1%、そして再生可能エネルギーが3.1%となっている。日本国内でも、わずかだが天然ガスや原油が採掘される。また12年には、福井県の大飯原発3-4号機だけが稼働していた。
国際的にみても、こんなに自給率が低い国は珍しい。OECD(経済協力開発機構)に加盟している34か国中、なんと33番目。たとえばアメリカは85.0%、イギリスは60.7%、ドイツは40.1%、韓国も18.0%の自給率だ。エネルギーは経済活動や国民生活に不可欠の要素。それが、こんなに低い自給率でいいのだろうか。
自給率が6%ということは、あとの94%は輸入に頼っていることを意味する。この点について、白書は「中東からの供給に依存する原油やLNGの海上輸送の過程で、ホルムズ海峡やマラッカ海峡など、海峡・運河などの要衝を通過せざるをえない。これら地域で何らかの緊急事態が発生した際には、わが国のエネルギー供給上の課題が顕在化しうる」と警告している。
(続きは明日)
≪24日の日経平均 = 上げ +6.96円≫
≪25日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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この自給できた分6%の内訳は、水力が1.5%、天然ガスが0.7%、原子力が0.6%、原油が0.1%、そして再生可能エネルギーが3.1%となっている。日本国内でも、わずかだが天然ガスや原油が採掘される。また12年には、福井県の大飯原発3-4号機だけが稼働していた。
国際的にみても、こんなに自給率が低い国は珍しい。OECD(経済協力開発機構)に加盟している34か国中、なんと33番目。たとえばアメリカは85.0%、イギリスは60.7%、ドイツは40.1%、韓国も18.0%の自給率だ。エネルギーは経済活動や国民生活に不可欠の要素。それが、こんなに低い自給率でいいのだろうか。
自給率が6%ということは、あとの94%は輸入に頼っていることを意味する。この点について、白書は「中東からの供給に依存する原油やLNGの海上輸送の過程で、ホルムズ海峡やマラッカ海峡など、海峡・運河などの要衝を通過せざるをえない。これら地域で何らかの緊急事態が発生した際には、わが国のエネルギー供給上の課題が顕在化しうる」と警告している。
(続きは明日)
≪24日の日経平均 = 上げ +6.96円≫
≪25日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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◇ 国富3兆6000億円が流出 = エネルギー白書が指摘した第2の問題点は、膨大な国富が海外に流出していることだ。これは電力供給の面で、原発の停止で不足する分を火力発電の拡大で補っているために、火力発電用の燃料輸入が急増。その代金の支払いという形を通じて、日本の購買力が海外に移転している現象である。
この国富の流出額は、13年度で約3兆6000億円にのぼったと、白書は試算した。その内訳は、まず火力発電用の燃料輸入量が増加した分として2兆6000億円。次いで輸入価格の上昇分が7000億円。さらに円安による支払いの増加分が5000億円。ここから原発の稼働停止で、不要になったウランの輸入減少分3000億円を差し引いている。
このようにして発生した発電コストの増加分は、ほとんどが電気料金の引き上げで賄われている。13年の電気料金を震災前に比べると、一般家庭用では約2割、工場や事務所向けの産業用では約3割の上昇となった。この料金引き上げ分が、結局は輸入代金の支払いを通じて海外へ流出したことになる。
ひとくちに3兆6000億円と言っても、実に膨大な金額だ。たとえば大騒ぎをして4月から実施された消費増税だったが、14年度予算での増収分は4兆6900億円。その大きさが判るだろう。原発が稼働しなければ、この国富の海外流出額はさらに増大する可能性がある。この現況を放置していて、いいのだろうか。
(続きは明日)
≪25日の日経平均 = 下げ -109.63円≫
≪26日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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この国富の流出額は、13年度で約3兆6000億円にのぼったと、白書は試算した。その内訳は、まず火力発電用の燃料輸入量が増加した分として2兆6000億円。次いで輸入価格の上昇分が7000億円。さらに円安による支払いの増加分が5000億円。ここから原発の稼働停止で、不要になったウランの輸入減少分3000億円を差し引いている。
このようにして発生した発電コストの増加分は、ほとんどが電気料金の引き上げで賄われている。13年の電気料金を震災前に比べると、一般家庭用では約2割、工場や事務所向けの産業用では約3割の上昇となった。この料金引き上げ分が、結局は輸入代金の支払いを通じて海外へ流出したことになる。
ひとくちに3兆6000億円と言っても、実に膨大な金額だ。たとえば大騒ぎをして4月から実施された消費増税だったが、14年度予算での増収分は4兆6900億円。その大きさが判るだろう。原発が稼働しなければ、この国富の海外流出額はさらに増大する可能性がある。この現況を放置していて、いいのだろうか。
(続きは明日)
≪25日の日経平均 = 下げ -109.63円≫
≪26日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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◇ 太陽光発電は政策ミス = 長期的に原発の依存度を下げ、さらに海外からの燃料輸入を減らすためには、再生エネルギーの普及が欠かせない。政府もこの普及を促進するため12年7月、再生エネルギーによる発電を電力会社に強制的に買い取らせる「固定価格買い取り制度」を導入した。しかし結果として、いま再生エネルギー市場は大混乱に陥っている。
資源エネルギー庁の発表によると、買い取り制度を導入してからことし3月までの間に、政府が認定した再生可能エネルギーの発電設備容量は6864万2000㌔㍗に達した。なんと原発57基分に匹敵する。したがって、これらが仮にフル稼働すれば原発は不要になるはず。ところが実際に運転を始めた設備は895万4000㌔㍗にすぎない。
その大半は太陽光発電。認定分は6572万6000㌔㍗、実際に稼働した分は871万5000㌔㍗で認定分の13%にとどまっている。これは高い買い取り価格のうちに、権利だけを取得しておこうという業者が多いためだ。この権利が転売されるなど、投機的な市場を生み出してしまった。経済産業省は土地や設備を準備していない業者への認定を取り消したりしているが、氷山の一角でしかない。
大問題は、電力会社が買い取りに要したコストをそのまま電気料金に上乗せできる制度。このため電気料金は震災前と比べて、家庭用は2割、産業用は3割も上昇してしまった。対応策として経産省は買い取り料金を引き下げる方針だが、料金が下がれば再生エネルギーの普及にはストップがかかる。また権利をすでに取得した業者が発電を始めれば、電気料金はさらに上がらざるをえない。この大問題について、エネルギー白書は全く触れていない。
≪26日の日経平均 = 上げ +41.88円≫
≪27日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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資源エネルギー庁の発表によると、買い取り制度を導入してからことし3月までの間に、政府が認定した再生可能エネルギーの発電設備容量は6864万2000㌔㍗に達した。なんと原発57基分に匹敵する。したがって、これらが仮にフル稼働すれば原発は不要になるはず。ところが実際に運転を始めた設備は895万4000㌔㍗にすぎない。
その大半は太陽光発電。認定分は6572万6000㌔㍗、実際に稼働した分は871万5000㌔㍗で認定分の13%にとどまっている。これは高い買い取り価格のうちに、権利だけを取得しておこうという業者が多いためだ。この権利が転売されるなど、投機的な市場を生み出してしまった。経済産業省は土地や設備を準備していない業者への認定を取り消したりしているが、氷山の一角でしかない。
大問題は、電力会社が買い取りに要したコストをそのまま電気料金に上乗せできる制度。このため電気料金は震災前と比べて、家庭用は2割、産業用は3割も上昇してしまった。対応策として経産省は買い取り料金を引き下げる方針だが、料金が下がれば再生エネルギーの普及にはストップがかかる。また権利をすでに取得した業者が発電を始めれば、電気料金はさらに上がらざるをえない。この大問題について、エネルギー白書は全く触れていない。
≪26日の日経平均 = 上げ +41.88円≫
≪27日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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◇ 日本型のデフレを警戒 = ECB(ヨーロッパ中央銀行)はゼロ金利政策を断行するにあたって、物価の低落傾向をきわめて重視した。物価の低落は景気の回復力が鈍いことの反映であり、リーマン・ショックのあとに日本が陥ったような長期のデフレを警戒したと伝えられる。たしかにヨーロッパの物価はプラスではあるが、ゼロに近い低空飛行だ。
EU委員会が5月に発表した予測をみると、EU28か国の消費者物価は14年に1.0%の上昇。13年の実績1.5%より上げ幅が縮小する。またユーロ圏も13年の1.3%から0.8%に縮小する見通し。各国別にみても、ドイツが1.1%、フランスが0.7%というぐあいで、2%を超えそうなのはルーマニアだけ。ギリシャとブルガリアはマイナスになると見込まれている。
ところが実際の物価動向は、このEU委員会の予測よりも弱含んでいる。ユーロ圏の物価は4月に0.7%、5月も0.5%しか上昇しなかった。これで過去8か月間、1%未満の上昇率が続いている。こうした動向をみて、ECBは14年の物価上昇率がEU全体でも0.7%にとどまるという独自の予測を発表している。
物価の上昇が鈍いのは、基本的には景気の回復力が弱く需要不足に陥っているためと考えられている。各国が財政再建のために緊縮気味の政策をとらざるを得ないことが、その大きな原因の1つ。もう1つはユーロ相場が高くなって、輸出が伸び悩んでいること。こうした状況のなかでECBの新しい金融政策がどれほどの効果を挙げられるか、いま世界中が注目している。
(続きは来週サタデー)
≪27日の日経平均 = 下げ -213.49円≫
【今週の日経平均予想 = 4勝1敗】
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EU委員会が5月に発表した予測をみると、EU28か国の消費者物価は14年に1.0%の上昇。13年の実績1.5%より上げ幅が縮小する。またユーロ圏も13年の1.3%から0.8%に縮小する見通し。各国別にみても、ドイツが1.1%、フランスが0.7%というぐあいで、2%を超えそうなのはルーマニアだけ。ギリシャとブルガリアはマイナスになると見込まれている。
ところが実際の物価動向は、このEU委員会の予測よりも弱含んでいる。ユーロ圏の物価は4月に0.7%、5月も0.5%しか上昇しなかった。これで過去8か月間、1%未満の上昇率が続いている。こうした動向をみて、ECBは14年の物価上昇率がEU全体でも0.7%にとどまるという独自の予測を発表している。
物価の上昇が鈍いのは、基本的には景気の回復力が弱く需要不足に陥っているためと考えられている。各国が財政再建のために緊縮気味の政策をとらざるを得ないことが、その大きな原因の1つ。もう1つはユーロ相場が高くなって、輸出が伸び悩んでいること。こうした状況のなかでECBの新しい金融政策がどれほどの効果を挙げられるか、いま世界中が注目している。
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≪27日の日経平均 = 下げ -213.49円≫
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第17章 国際収支って、なんだろう? ⑤
◇ 金融収支は2兆8600億円の赤字 = 国際収支は、経常収支と金融収支から成り立っています。このうち経常収支については、すでに説明しました。それでは金融収支とは、どんな内容のものでしょう。金融という言葉からも判るように、主としておカネを中心とした取り引きの記録です。
日本の会社や個人が外国の土地や家を買ったとき、その代金を払いますね。債券や株式を買ったときも同じです。このように日本から外国におカネが払われると、日本側の資産が増加します。反対に外国の会社や個人が日本の土地や株式を買った場合は、日本側の負債が増加したと考えます。
貿易収支やサービス収支の計算では、黒字とか赤字という言葉が使われましたね。ところが金融収支では、資産から負債を差し引いた純資産が増えたか減ったかどうかを計算しています。
また13年度の実績をみてみましょう。金融収支の合計は2兆8600億円の純資産の減少でした。不動産の購入や増資などの取引では純資産が13兆円も増えましたが、株式や債券の購入部門では20兆5000億円の減少となっています。
(続きは来週日曜日)
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◇ 金融収支は2兆8600億円の赤字 = 国際収支は、経常収支と金融収支から成り立っています。このうち経常収支については、すでに説明しました。それでは金融収支とは、どんな内容のものでしょう。金融という言葉からも判るように、主としておカネを中心とした取り引きの記録です。
日本の会社や個人が外国の土地や家を買ったとき、その代金を払いますね。債券や株式を買ったときも同じです。このように日本から外国におカネが払われると、日本側の資産が増加します。反対に外国の会社や個人が日本の土地や株式を買った場合は、日本側の負債が増加したと考えます。
貿易収支やサービス収支の計算では、黒字とか赤字という言葉が使われましたね。ところが金融収支では、資産から負債を差し引いた純資産が増えたか減ったかどうかを計算しています。
また13年度の実績をみてみましょう。金融収支の合計は2兆8600億円の純資産の減少でした。不動産の購入や増資などの取引では純資産が13兆円も増えましたが、株式や債券の購入部門では20兆5000億円の減少となっています。
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◇ 高値警戒感に押される = 日米の株価は、ともに高値警戒の売り物に押された。ダウ平均は先週95ドルの値下がり。セントルイス連銀総裁が「利上げは来年第1四半期の終わりごろ」と演説して市場心理を冷やしたが、ほかには特に大きなマイナス材料も見当たらない。1万7000ドルの大台を目前にしての準備調整といったところだろう。
日経平均も先週は254円の値下がり。アナリストによる企業業績の見通しは上方修正されているが、市場では一時的に過熱感が強まって売り物が増加した。5月中旬の直近安値から1か月あまりで10%近く値上がりしたこと。東証第1部の騰落レシオが160%を超えたことなどが、市場の話題になっている。
短期的な過熱感が強まったことは事実だが、日経平均は年初来1200円も低い水準にあることも確か。世界の主な市場と比べても、東京市場の戻りはいちばん遅い。そこに着目した投資家の参入で、過熱感が生じてしまった。したがって、しばらく調整すれば、こんどは出遅れ感が現われてくるだろう。
今週は30日に、5月の鉱工業生産と住宅着工戸数。1日に、6月の日銀短観、新車販売台数、5月の毎月勤労統計。アメリカでは30日に、5月の中古住宅販売。1日に、6月の新車販売台数とISM製造業景況指数。3日に、6月の雇用統計とISM非製造業景況指数。中国では1日に、6月のHSBC製造業PMI。3日に、6月のISM非製造業とサービス業景況指数が発表される。
≪30日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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日経平均も先週は254円の値下がり。アナリストによる企業業績の見通しは上方修正されているが、市場では一時的に過熱感が強まって売り物が増加した。5月中旬の直近安値から1か月あまりで10%近く値上がりしたこと。東証第1部の騰落レシオが160%を超えたことなどが、市場の話題になっている。
短期的な過熱感が強まったことは事実だが、日経平均は年初来1200円も低い水準にあることも確か。世界の主な市場と比べても、東京市場の戻りはいちばん遅い。そこに着目した投資家の参入で、過熱感が生じてしまった。したがって、しばらく調整すれば、こんどは出遅れ感が現われてくるだろう。
今週は30日に、5月の鉱工業生産と住宅着工戸数。1日に、6月の日銀短観、新車販売台数、5月の毎月勤労統計。アメリカでは30日に、5月の中古住宅販売。1日に、6月の新車販売台数とISM製造業景況指数。3日に、6月の雇用統計とISM非製造業景況指数。中国では1日に、6月のHSBC製造業PMI。3日に、6月のISM非製造業とサービス業景況指数が発表される。
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