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経済に関する話題なんでも。ニュースの分析・批評・解説など。大胆な予想や提言も。ご意見、ご批判は大歓迎です。
経済なんでも研究会
今週のポイント
2013-04-01-Mon  CATEGORY: 政治・経済
◇ NY株は最高値を更新中 = ニューヨーク市場では、ダウ平均とSP500がともに史上最高値を更新して3月を終えた。ダウ平均は先週67ドルの値上がり。終り値の1万4579ドルは、昨年末に比べて11.3%の上昇だった。SP500の終り値1569は、07年10月以来の高値更新である。新規の失業保険申請が予想を上回るなどの悪材料もあったが、キプロスの銀行業務再開が安心感につながった。

日経平均も上げ基調を持続して、新年度を迎える。先週は59円の値上がり。1-3月中の上げ幅は2000円、率にして8.4%だった。12年度中でみると23%の上昇。昨年6月の安値からは67%の上昇。野田前首相が解散を表明した11月14日からは43%の上昇となっている。

日経新聞によると、この株高によって上場企業の含み益は11兆1000億円にのぼる。さらに円安による利益も加わるわけだ。この収益増が3月期決算に表れてくるから、株価はまだ上昇基調を維持するだろう。そうしたなかでの不安材料は、イタリアの政情不安とアメリカの財政支出削減問題である。

今週は1日に、日銀の短観。2日に、2月の毎月勤労統計。5日に、2月の景気動向指数。アメリカでは1日に、3月のISM製造業景況指数。3日に、ISM非製造業景況指数。5日に、3月の雇用統計と3月の貿易統計が発表される。またEUが2日に、2月の雇用統計。3日に3月の消費者物価を発表。3-4日には、日銀が黒田新総裁のもとで初めての金融政策決定会合を開く予定。


    ≪1日の日経平均は? 予想 = 上げ

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気分先行型の 景気回復 : 日銀短観
2013-04-02-Tue  CATEGORY: 政治・経済
設備投資計画は減退 = 日銀は1日、3月に実施した企業短期経済観測調査を発表した。それによると、業況判断指数は大企業・製造業がマイナス8で昨年12月調査より4ポイント改善。大企業・非製造業はプラス6で2ポイント改善している。昨年末からの円安・株高によって、経営者の心理が明るくなったことの反映だと言えるだろう。

利益の見通しも好転した。大企業・製造業は経常利益が12年度の1.4%減少から、13年度は10.9%の増益になると予想している。全規模・全業種ベースでみても、12年度の0.4%増益が13年度には5.9%増益へと拡大する。アベノミクス効果で、景気は13年度も上昇を続けると読んでいるわけだ。

ところが、おカネを使う方になると考え方は一転シブくなる。ソフトウェアを含む設備投資計画は、大企業・製造業が13年度は0.3%の減少。12年度は5.6%の増加だった。全規模・全業種でみても、5.5%増から0.7%減に縮小する。現在の設備が過剰かどうかの判断は、前回調査とほとんど変わっていない。

もちろん、設備投資は景気回復の進行とともに増加する性質を持っている。だから実際の投資は、今後増える可能性が大きい。しかし今回の短観から判断する限り、経営者の景況感はまだ心理的な高揚感の域を出ていないように思われる。やはりアベノミクス“第3の矢”の成否を注視しているのではないか。


    ≪1日の日経平均 = 下げ -262.89円≫

    ≪2日の日経平均は? 予想 = 上げ

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少々わかりにくい 2月の雇用統計
2013-04-03-Wed  CATEGORY: 政治・経済
◇ 季節調整のいたずら = 総務省が発表した2月の労働力調査によると、就業者数は6242万人で前年同月より16万人増えた。一方、失業者数は277万人で12万人減っている。ところが完全失業率は4.3%で、前月よりも0.1ポイント悪化した。就業者が増え失業者が減ったのに、どうして失業率は上がってしまったのだろうか。

この疑問を解くカギは季節調整にある。就業者や失業者の人数は、原数値といって調査の結果そのまま。しかし失業率を計算するときには、これらの人数を季節調整する。たとえば農業に従事する就業者数は、夏と冬とでは大違い。この変動をならすために、過去の実績を元に修正した数字が季節調整値だ。

就業者数や失業者数の増減をみるときは、ふつう前年同月と比べる。この場合は同じ月だから季節調整はいらない。ところが失業率は前月と比べて、景気の変動をみることが多い。このため季節調整値で計算する。季節調整をすると、2月の就業者数は6298万人で9万人の増加。失業者は284万人で5万人の増加となる。

完全失業率は、失業者数を労働力人口で割った数字。労働力人口は就業者数と失業者数を足した数値。2月の場合は季節調整をすると、失業者数が5万人増加した。このため失業率は0.1ポイント上昇してしまったわけ。理屈がわかれば疑問は解消する。 


    ≪2日の日経平均 = 下げ -131.59円≫

    ≪3日の日経平均は? 予想 = 上げ

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65歳定年の 光と影 (上)
2013-04-04-Thu  CATEGORY: 政治・経済
◇ 変貌する職場の光景 = 「まことに恐れ入りますが、この書類をコピーしていただけませんか」「ああ、いいよ」-ーていねいに頼んでいるのは43歳の課長、頼まれているのは61歳の最近まで部長だった平社員。こんな光景が、いろんな職場で見受けられるようになるのでは・・。

この4月から、高年齢者雇用安定法の改正条項が施行された。これによって社員が希望すれば、企業は65歳まで雇用する義務を負うことになった。ただし雇用を延長したとき、その社員の身分や給与についての規定はない。61歳になった社員の待遇は、①身分はそのままで賃上げもある②60歳の給与が続く③給与は2-3割減る④6-7割減ってしまう--などなど、さまざまな形態が考えられる。

この法律改正は、厚生年金の支給開始年齢が段階的に引き上げられることに対応したもの。年金の支給が61歳からとなる本年4月から16年3月末までは61歳定年制。その後は3年ごとの支給年齢引き上げに対応して定年も引き上げられ、25年4月には65歳定年制になる仕組み。

要するに、年金が支給されるまでの収入を保障することが目的だ。現役世代にとっても、65歳までの雇用が保障されるわけである。ところが企業の人件費は増加せざるをえない。そこで企業としては、新規の採用を減らしたり、全社員の賃金カーブを下方修正する可能性が大きい。そうなると、学生や現役社員にとってはマイナスの影響を蒙ることになる。


                                     (続きは明日)

    ≪3日の日経平均 = 上げ +358.77円≫

    ≪4日の日経平均は? 予想 = 下げ

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65歳定年の 光と影 (下)
2013-04-05-Fri  CATEGORY: 政治・経済
◇ 成否のカギは社内の活気 = 厚生労働省の予測によると、30年の労働力人口は10年に比べて950万人も減少する。それだけ生産能力が低下し、同時に消費購買力も減退してしまう。日本経済にとっては大問題だ。定年の延長はこのショックを和らげてくれる。また高齢者が働く側に回ることで、現役世代の福祉に対する負担も軽減される。

最大の問題は、企業の人件費が増大すること。経団連は今後5年間で、賃金総額は約2%増加すると予測した。当然ながら、この人件費負担は企業によって重みが違う。業績が好調な企業や定年延長に備えて準備してきた企業は、高齢者を比較的に優遇できる。したがって、ひとくちに定年延長と言うけれど、延長雇用される高齢者にとってはその待遇に大きな格差を生じることになるだろう。

これまでは企業側が、延長雇用する人を選び出すことができた。こんどは希望する全員を雇用しなければならない。そこで部長のままでいられる人、平社員になる人、関連会社に出向する人、パート的な勤務になる人など、さまざまな形態が出現することになる。

このため職場には混乱が起きるかもしれない。その結果、もし職場のやる気が薄れ生産性が低下すれば、その企業の損失は大きい。逆に高齢者が経験を活かし、技術の伝承にも貢献すれば、その企業は得をする。ここから企業間の格差が生じる可能性さえないではない。要は職場が明るくなるかどうかだろう。


    ≪4日の日経平均 = 上げ +272.34円≫

    ≪5日の日経平均は? 予想 = 上げ

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サタデー自習室 -- 貿易赤字国になった 日本 ⑩
2013-04-06-Sat  CATEGORY: 政治・経済
◇ ついに経常収支も赤字に =  「貿易はアカでも、経常がクロなら大丈夫」--日本の貿易収支は昨年7月から赤字に落ち込んだが、そのころはこんな主張も強かった。しかし、その経常収支も昨年11月からは赤字の連続。最近はこの主張も影を潜めてしまった。

経常収支というのは、貿易・サービス収支に所得収支などを加えた統計。所得収支というのは、主として利子や配当のやり取りを集計したものだ。1月の国際収支統計をみると、所得収支は1兆2300億円の黒字。しかし貿易・サービス収支が1兆6600億円の赤字だったため、経常収支は3600億円の赤字となっている。

これで経常収支の赤字は3か月連続。日本経済としては初めての経験だ。過去10年間の数字をみても、経常収支は毎年ずっと黒字を出してきた。最大の黒字を記録したのは07年で24兆9000億円。しかし11年からは貿易収支が赤字に転じたため、黒字幅は急速に縮小。12年は4兆7000億円にとどまった。

ことしは1月分の統計しか発表されていないから、年間の予想はまだ早い。だが貿易収支の大幅な赤字が続けば、13年は経常収支が年間でも赤字に陥る可能性はきわめて大きい。2月分の国際収支統計はあさって8日に発表される予定である。


                              (続きは来週サタデー)

    ≪5日の日経平均 = 上げ +199.10円≫

    【今週の日経平均予想 = 2勝3敗】

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サンデー実験室 = 新・孫に聞かせる経済の話
2013-04-07-Sun  CATEGORY: 政治・経済
第12章 デフレって、なんだろう? ⑩

◇ 日本は珍しい国 = 日本の物価は21世紀に入ってから、06-08年を除いて下がり続けています。こんな国は世界でも珍しい。よその主要国では、物価が上がっているのです。ですからデフレで苦しんでいるのは日本だけ。そのことを証明するために、主要国の物価を調べてみましょう。

昨年12月の消費者物価を、前年の水準と比べてみました。日本は0.1%の下落となっています。アメリカは1.7%の上昇、イギリスも3.1%の上昇でした。ユーロ圏の国々は金融不安の影響で、いま不況に悩んでいます。それでもドイツは2.1%、フランスは1.3%、イタリアも2.3%の上昇でした。また中国は2.5%、韓国も1.4%の上昇となっています。

安倍内閣と日銀はデフレを退治するために「2%の物価上昇」を、政策の目標にしていますね。実はアメリカやイギリスの中央銀行も「物価2%」を、金融政策の目標に掲げています。しかし日本とは全く違って、物価の上昇を2%以内に収めること、つまりインフレを抑えることが目標なのです。

ですから日本のように、財政や金融政策を総動員して物価を上げようとする国はありません。物価を2%上昇させることができるのかどうか。物価が2%上昇したら、景気はよくなるのかどうか。物価が2%を超えて上昇し、インフレにならないかどうか。世界中の国が、日本の“実験”を見詰めているところです。


                                 (続きは来週日曜日)

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今週のポイント
2013-04-08-Mon  CATEGORY: 政治・経済
◇ 株価も金利も大変動 = 東京市場は歴史的な乱高下を演出した。日経平均は日銀の金融緩和政策が常識的な範囲にとどまるという予想から、4日の午前中は1万2000円すれすれまで下落していた。ところが午後になって新政策の内容がリークされると急上昇、600円ほど値上がりしている。5日も上げ調子は持続、一時は1万3226円に。しかし午後には売られて、結局1万2884円で終了した。週間では436円の値上がり。

長期金利も乱高下した。10年国債の利回りは5日午前、一時は0.315%まで下落。世界史上の最低水準を更新した。しかし午後になると急騰、0.62%にまで戻している。これも日銀の新しい緩和政策に、市場が過剰反応した結果だと思われる。このように株価も金利も先週は乱高下したが、今週は上昇と反落のどちらが主導権を握るのか。きょう8日の値動きが注目される。

ダウ平均株価は一服状態。特に3月の雇用統計が予想を大きく下回る結果だったことが、株価の足を引っ張った。非農業部門の雇用者数は前月比8万8000人の増加、9か月ぶりに10万人を割り込んでいる。それでも企業業績が好調なため、ダウ平均は週間13ドルの値下がりにとどまった。

今週は8日に、2月の国際収支と3月の景気ウォッチャー調査。11日に、2月の機械受注が発表される。アメリカでは12日に、3月の生産者物価と小売り売上高、ミシガン大学による4月の消費者信頼感調査が発表になる。またEUが12日に、2月の工業生産を発表する。


    ≪8日の日経平均は? 予想 = 上げ

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黒田マジックの 見どころ (上)
2013-04-09-Tue  CATEGORY: 政治・経済
◇ 手の内をすべてさらす = 黒田体制を確立した日銀は先週末の金融政策決定会合で、新しい量的・質的な金融緩和策を決めた。まず政策目標を従来の金利からマネタリーベースに変更、黒田総裁は「異次元の政策だ」と胸を張った。しかし日銀にとっては異次元かもしれないが、実体は何も変わらない。黒田マジックを大きく見せるための前口上だと受け取っておこう。

マネタリーベースというのは、世間に流通している現金に金融機関が日銀に開設している当座預金の合計。要するに、おカネの総合計だ。政策的に大きく変わったのは、このマネタリーベースを2年間で倍増させること。現在の134兆円が、13年末には200兆円、14年末には270兆円に拡大される。

具体的には日銀が公開市場で国債などを購入することで、おカネを供給する。国債は残存期間が短いものだけでなく、40年債まで買い入れる。毎月の購入額は7兆円を超え、新規発行額の7割に及ぶ。さらにETF(上場投資信託)を13年中に1兆円、REIT(不動産投資信託)も300億円買うことになった。日銀の買い入れ資産規模は14年末で290兆円、12年末時点の1.8倍強に膨れ上がる。

黒田総裁の黒い帽子からは、鳩や花だけではなくライオンまでがいっぺんに飛び出した感じ。これには市場も驚いて、円安と株高が一気に進んだ。ところが手の内を全部さらけ出したから、もう後の手段がない。市場の驚きは、いつまで余韻を残すのだろうか。現在の円安・株高ムードは、いつまで続くのか。この点が黒田マジック、最初の見どころになるだろう。


                                    (続きは明日)

    ≪8日の日経平均 = 上げ +358.95円≫

    ≪9日の日経平均は? 予想 = 上げ

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黒田マジックの 見どころ (中)
2013-04-10-Wed  CATEGORY: 政治・経済
◇ 景気の回復が不可欠 = 手の内をいっぺんに見せてしまった黒田マジック。その効果を長持ちさせるためには、景気の本格的な回復が欠かせない。新しい量的・質的緩和でマネタリーベースを2年間で2倍に増やしても、そのおカネが設備投資や消費に使われなければ意味がない。この点を見極めるためにも、黒田マジック第2の見どころは金融機関の貸し出しが増えるかどうかだろう。

日銀は昨年も市場から国債などを買い入れる形で、マネタリーベースを年間23兆円増加させた。しかし全国銀行の貸し出しは、この間7兆2000億円しか増えなかった。ことしは黒田マジックでマネタリーベースが62兆円も増える見込み。その大半が貸し出しに回れば、雇用と所得が増大して景気の本格的な拡大が期待できる。

本来ならば、ここで財政からの支援が欲しいところだ。しかし財政にその余力がない。そこで安倍内閣は、規制緩和や構造改革を中心にした“第3の矢”を放とうとしている。だが、その実現にはまだまだ時間がかかりそうだ。やはり黒田マジックは、自らの効力で雇用と所得の増大を導かなければならない。 

大量のおカネが実需に結びつかず、不動産や株式、商品市場に流れ込む危険性も小さくはない。いわゆるバブルの発生である。この点を見極めるのには、銀行の貸し出し内容が見どころになってくる。黒田総裁は「バブルの心配はない」と断言したが、仮にバブルになればその崩壊とともに景気は後退する。そのとき黒田マジックには、失敗の烙印が押されることになる。


                                     (続きは明日)

    ≪9日の日経平均 = 下げ -0.24円≫

    ≪10日の日経平均は? 予想 = 上げ

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黒田マジックの 見どころ (下)
2013-04-11-Thu  CATEGORY: 政治・経済
◇ 恐ろしい国債の売り投機 = 黒田マジックの最後の見どころは、国債価格の動向である。日銀の新政策が発表されると、市場では国債に大量の買い注文が殺到した。このため先週は国債価格が急騰、利回りは急低下した。たとえば10年もの国債の利回りは一時0.315%まで下落、世界中が経験したことのない史上最低水準を記録している。

日銀が毎月7兆円もの国債を買い入れる。だから価格は上がるとみた投資家が群がったわけだが、価格はある水準で上げ止まる。すると投資家の多くは利益を確定するために売るだろう。価格が下がり始めると、もっと多くの売りが出る。そんな状況になったとき、日銀の買い支えが有効に働くだろうか。見どころである。

日銀は今後、新しく発行される国債の7割を引き受けることになる。買い入れ資産の大きさは14年末にGDPの59%に達する。このことが海外の投資家に「財政規律のタガが外れた」と考えられるようになると、事態はもっと深刻になる危険性がある。国債が売られ、長期金利が上昇すると、国債の利払い費が増えて財政は圧迫される。景気にとっても重荷になる。

要するに、日本経済の“ギリシャ化”が進行する。こんな事態は想像したくないが、絶対に安全だという保証はない。たしかに黒田マジックは観衆を沸かせた大技だが、危ない側面も持ち合わせている。世界中がこの日本の“実験”を注視していることは間違いない。


    ≪10日の日経平均 = 上げ +95.78円≫

    ≪11日の日経平均は? 予想 = 上げ

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特ダネ or 誤報? / 日豪EPA
2013-04-12-Fri  CATEGORY: 政治・経済
◇ あいまいな記事の内容 = 日本とオーストラリアのEPA(経済連携協定)交渉が月内にも妥結する見通し--日本経済新聞が7日の朝刊1面トップで報道した。この交渉は07年から始まったが、オーストラリアが農産物に対する日本の輸入関税を撤廃するよう強く要求したため難航。しかしオーストラリア側が譲歩したので妥結するという記事だ。

問題の農産物については、日本が関税をなくさない代わりに、一定量を低い関税で輸入することで合意したという。大変に結構なことだと思って読んだが、これだけの大ニュースを他の新聞が全く報じない。また日経新聞も、続報なしである。農産物の輸入自由化に反対する政治家や団体の動きもない。

よく考えてみると、日経の記事には不明な点がある。まず「一定量を低関税で輸入」と言うが、一定量が大きければ関税撤廃と同じになるし、小さければ関税障壁はほとんど下がらない。したがって一定量の決定がなければ、交渉は妥結しないのではないか。

さらに仮にオーストラリアとの間で“一定量方式”が成立した場合、TPP(環太平洋経済連携協定)との関係はどうなるのだろう。アメリカやカナダなど他の農業大国も“一定量方式”になるのか。それともオーストラリアに限って“一定量”ということが可能なのか。日経新聞には、この辺まで踏み込んで書いてもらいたかった。


    ≪11日の日経平均 = 上げ +261.03円≫

    ≪12日の日経平均は? 予想 = 上げ

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サタデー自習室 -- 貿易赤字国になった 日本 ⑪
2013-04-13-Sat  CATEGORY: 政治・経済
◇ 国際収支の3本柱 = 国際収支というのは、一国が他の諸外国とやりとりしたおカネのすべてを記録した統計。これまでに説明してきた貿易・サービス収支と所得収支が2本の柱となっている。もう1本の柱が資本収支。その内容は、企業や個人が海外の企業を買収したり資本参加する直接投資、株式投資、それに中長期の債券投資から成り立っている。

ことし1月の国際収支をみると、貿易・サービス収支と所得収支を足した経常収支は3648億円の赤字だった。その一方で、資本収支は6075億円の黒字となっている。したがって全体の国際収支はまだ黒字を保っていることになるが、そういう考え方はあまり通用しない。

たとえば海外の投資家が日本の株式や債券を買えば、日本の資本収支は黒字になる。しかし、こうしたおカネは一種の借金であり、いつ引き揚げられるか判らない。だから帳簿上はプラスになっても、経常収支のプラスとは全く性格が違うわけだ。

もっともアメリカやイギリスの場合は、資本収支が重要視されている。というのもニューヨークやロンドンが世界の金融センターになっており、安定した巨額の資金が流入するからだ。イギリスのサッチャー元首相が徹底した金融の自由化で、ロンドン市場を建て直したことは有名な話。東京市場にもその可能性はあるが、地理的な条件や言葉の問題で一朝一夕には行かない。


                              (続きは来週サタデー)

    ≪12日の日経平均 = 下げ -64.02円≫

    【今週の日経平均予想 = 3勝2敗】

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サンデー実験室 = 新・孫に聞かせる経済の話
2013-04-14-Sun  CATEGORY: 政治・経済
第12章 デフレって、なんだろう? ⑪

◇ 物価2%目標のほんとうの意味 = 「4月になって値上げされたものが多いわ。これじゃあ、赤字になっちゃう」--お母さんが家計簿を付けながら、ブツブツ言っています。電気料金、ガス料金、食用油、シーチキン缶詰、牛肉、ワイン、トイレ用紙、ティッシュなど。7月ごろにはパンやうどんの値段も上がるらしい。

値上げの原因は、そのほとんどが円安で輸入する燃料や原材料の価格が上がったため。ほかにも高級な腕時計や宝飾品、美術品、貴金属などの輸入品も、かなり値上がりしています。アベノミクス政策の効果が出て、輸出企業の採算がよくなったことは知っていますね。でも輸入品の値上がりという悪い影響も、じわじわと出始めているのです。

この程度の値上げでは、消費者物価が1%も上がることはないでしょう。でも円安がもっと進行し、いろんな商品が値上がりすれば、物価は2%上昇するかもしれません。しかし円安のために物価が2%上昇しても、それで目標が達成されたとは決して言えません。物価が上がっても景気がよくならなければ、全く意味がないからです。

政府は来年4月に、消費税を3%引き上げて8%にする計画です。消費税が上がれば、物価はひとりでに2%ぐらい上昇してしまいます。しかし、この場合も目標を達成したと喜ぶわけにはいきません。景気がよくなって、その結果として物価が2%ぐらい上昇する。これが「物価2%目標」のほんとうの意味なのです。


                                 (続きは来週日曜日)

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今週のポイント
2013-04-15-Mon  CATEGORY: 政治・経済
◇ 活況が続く日米の株式市場 = 日経平均は先週11日、4年9か月ぶりに1万3500円台を回復した。先々週3日からの上げ幅は1500円。さすがに最終日の12日は反落したが、週間では652円の値上がりだった。一方、ジャスダック日経平均は9日連続の上昇で、5年5か月ぶりの高値となっている。

ダウ平均は安定した形で、着実な上昇を続けている。3月5日に史上最高値を更新したあとも、先週末までに600ドル上げた。先週は3月の小売り売上高が予想を下回って市場のムードを冷やしたが、それでも週間では300ドルの値上がりだった。財政支出の強制削減問題などは、置き忘れられたかのようだ。

東京市場の場合は、利益確定売りのボリュームも大きくなってきた。このため東証1部の売買代金は、7日連続で3兆円を超えている。しかし市場の空気はまだ強気が支配しており、次の目標は1万5000円という見方も出始めた。ただ円安の進行については、アメリカ国内で批判の声が高まってきたことに注意が必要だろう。

今週は18日に、3月の貿易統計が発表される。赤字が拡大したか縮小したか。アメリカでは16日に、3月の工業生産と消費者物価、住宅着工戸数が発表になる。また中国が15日に、1-3月期のGDP速報、鉱工業生産、小売り売上高を発表する予定。イタリアでは18日に大統領選挙が行われる。


    ≪15日の日経平均は? 予想 = 下げ

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平穏か 停滞か / 中国経済 (上)
2013-04-16-Tue  CATEGORY: 政治・経済
◇ 株価は3週間の続落 = 中国の国家統計局は15日、ことし1-3月期のGDP速報を発表した。それによると、前年比の実質成長率は7.7%だった。これは昨年10-12月期に比べて0.1ポイントの下落。また大方の事前予測値に比べると0.3ポイント低い。国家統計局は、この発表文のタイトルを「中国経済は平穏」と書いている。

分野別の成長率をみると、農業などの第1次産業が3.4%、製造業などの第2次産業が7.8%、サービス業などの第3次産業が8.3%となっている。やはり農業の生産性が低く、都市部と農村部の格差は縮まりそうにない。政府はその対策として、都市よりも地方の固定資産投資を大幅に増やしている。

内容をみると、鉱工業生産は9.5%の増加。前期を0.4ポイント下回った。輸出は前年比18.4%の増加で立ち直り気味。固定資産投資も20.9%増と、相変わらずの高水準を維持した。しかし個人消費が徐々に減速し、小売り売上高は12年の14.3%増から1-3月期には12.4%増に低下している。

物価は落ち着いてきた。3月の消費者物価は前年比2.1%の上昇、食料品も2.7%の上昇にとどまっている。しかし住宅など不動産価格の高騰は、政府の抑制策にもかかわらず依然として収まる気配がみられない。このため一段と強力な対策が実施されるのではないかという観測が強まっている。これを嫌気して、上海株式市場の総合指数は先週まで3週連続の下落となった。


                                   (続きは明日)  

    ≪15日の日経平均 = 下げ -209.48円≫

    ≪16日の日経平均は? 予想 = 下げ

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平穏か 停滞か / 中国経済 (下)
2013-04-17-Wed  CATEGORY: 政治・経済
◇ 予想は3通りに = 今後の見通しについては、専門家の予想が大きく割れている。第1の見方は、足踏み状態が続くが特に問題はない。中国政府はインフレを避けるために7.5%成長を目指しており、そのコースを進行中。したがって中国政府の言うように、いまは“平穏”な状態にあるという考え方だ。

第2の見方は、もっと成長率が下がるという予想。今後は労働力人口が減り始めるし、空気や水の汚染が深刻で工業生産が抑制される。当面の鳥インフル問題も、旅行や飲食に悪影響が出る可能性が大きいという“停滞”論だ。政府が不動産価格の抑制策をさらに強化すれば、このコースがいっそう現実味を帯びてくる。

さらに第3の見方は、不動産バブルが崩壊して厳しい不況に見舞われるという予想である。中国政府は国民の不満を抑えるため、貧富の差の拡大に神経を尖らせている。したがって成長率は落ちても、不動産対策に踏み切るだろうという観測も強い。しかし踏み切れなければバブルが進行し、その崩壊で経済は不況に落ち込む。

中国経済がどのコースを歩むかは、予測がむずかしい。だが、どのコースを進むかで世界経済は大きな影響を受けるだろう。いまアメリカと日本の景気は回復軌道に乗りつつある。EUも金融不安の進行をなんとか食い止めている。ここで中国が“平穏”から拡大に向かえば世界は明るくなるが、“停滞”が続けば世界は新たな問題を抱えることになる。


    ≪16日の日経平均 = 下げ -54.22円≫

    ≪17日の日経平均は? 予想 = 上げ

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過去最高に並んだ 街角の景気調査
2013-04-18-Thu  CATEGORY: 政治・経済
◇ 7年ぶりの高さに上昇 = 内閣府が発表した3月の景気ウォッチャー調査によると、現状判断指数は57.3で前月を4.1ポイント上回った。これで5か月連続の上昇。過去最高だった06年3月の水準に肩を並べた。なかでも北海道、南関東、北陸、四国の4地域は過去最高を記録している。

景気ウォッチャー調査というのは、スーパーの店長やタクシー運転手など街角の景気を肌で感じている人たちを対象に、景況感を聞き取り数値化した調査。今回は3月末に約2000人から感触を聞いている。内容は家計、企業、雇用の分野に分かれるが、今回はすべての分野で判断が好転した。

地域別にみて、現状判断指数が最も高かったのは近畿地方で61.3。この地方の回答例をみると「高級ブランドの売り上げが伸びている」(デパート売り場主任)、「宴会が前年比30%増えた」(ホテル支配人)、「実車率が上昇した」(タクシー運転手)、「客数が増えている」(パチンコ店員)など。消費支出の回復を示す事例が多い。

円安と株高の進行で、富裕層が財布のヒモを緩め始めたのかもしれない。だが、まだ生産や雇用、収入の面で改善したという回答は少ない。4月以降の調査で、こうした実体面での好転を示す回答が増えてくるかどうか。アベノミクスの成否を占うカギになるだろう。


    ≪17日の日経平均 = 上げ +161.45円≫

    ≪18日の日経平均は? 予想 = 下げ

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消費税転嫁対策法の 浅知恵
2013-04-19-Fri  CATEGORY: 政治・経済
◇ 結局は選挙対策か = 「消費税還元セール」と大書した垂れ幕や横断幕が、スーパーや大型商業店舗を彩った。消費税が5%に引き上げられた97年のことである。だが来年4月に予定される消費税の引き上げ時には、この還元セールは出来なくなりそうだ。政府・自民党が還元セールを禁止する消費税転嫁対策法案を国会に提出したからである。

97年の還元セールでは、原価を抑えるため納入業者に値引きを要求する事例が数多く発生した。こうした中小・零細下請け業者いじめを防ぐことが、転嫁対策法の目的である。ところが大手の小売業界は猛反発。営業の自由を束縛する悪法だと、政府・自民党に噛みついた。

これに対して、安倍首相は「企業努力による価格設定を規制するものではない」と釈明した。だとすれば「消費税還元」という言葉を使わなければいい、ということになる。たとえば「生活支援セール」とか「増税対策セール」とか。「還元」という言葉だけを禁止しても、実態は変わらず意味がないのでは。

問題は納入業者いじめだろう。この点は独占禁止法の「優越的地位の乱用」を禁じた法律で十分に対応できる。97年の場合は、政府がこの法律違反を黙認したために下請けいじめが横行したのだろう。その反省さえすれば、わざわざ新しい法律を作ることはない。結局は中小・零細企業向けの選挙対策?


    ≪18日の日経平均 = 下げ -162.82円≫

    ≪19日の日経平均は? 予想 = 上げ

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サタデー自習室 -- 貿易赤字国になった 日本 ⑫
2013-04-20-Sat  CATEGORY: 政治・経済
経常収支は黒字に = 財務省が2月分の国際収支統計を発表したので、その骨子を紹介しておこう。まず貿易収支は6770億円の赤字。これで8か月連続の赤字となった。昨年2月と比べると1兆4500億円も悪化している。輸出は前年比3.5%減、輸入は11.5%増だった。最大の赤字要因は、依然として燃料輸入の増大にある。

サービス収支は536億円の赤字。円安の進行で、来日した外国人旅行者は前年比33.1%も増えた。一方、出国した日本人は9.3%減ったが、収支はまだ赤字の域を抜け出せない。この結果、貿易・サービス収支は7306億円の赤字となっている。

その半面、所得収支が大いに頑張った。海外直接投資の収益と配当・利子の受け取りが増加したために、収支は1兆4074億円の黒字に。昨年2月よりも黒字額が13.1%増大している。貿易・サービスの赤字を、所得収支の黒字が十二分に補った形だ。

このため貿易・サービス収支に所得収支を加えた経常収支は、6374億円の黒字となった。4か月ぶりの黒字だが、その額は昨年2月より5652億円も少ない。今後も経常収支が黒字を確保できるかどうかは、所得収支しだいということになりそうだ。なお2月の資本収支は1317億円の赤字だった。


                                (続きは来週サタデー)

    ≪19日の日経平均 = 上げ +96.41円≫

    【今週の日経平均予想 = 5勝0敗】

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サンデー実験室 = 新・孫に聞かせる経済の話
2013-04-21-Sun  CATEGORY: 政治・経済
第12章 デフレって、なんだろう? ⑫

◇ おカネの量を2倍に = 政府と日銀は「2年間のうちに物価を2%上昇させ、デフレを解消する」と約束しています。この目標を達成するために、日銀は世界中がびっくりするような金融の緩和策を決定しました。それは世の中に出回っているおカネの量を、2年間で2倍に増やしてしまおうという政策です。

日銀はこれまでも市場から国債などを買い取ることで、大量のおカネを世の中に供給してきました。その量は昨年末で138兆円に達していましたが、これをことしの年末には200兆円、来年末には270兆円まで増やすという計画です。今月からは、国債だけでも毎月7兆円を市場から買い取ることになりました。

この政策が発表されると、円の相場が下がり、株価は大きく上昇しました。円が安くなると、輸出企業の利益が増加します。また株価が上がると、企業や個人の財産が増加します。その結果、ブランド物と言われる高級品の売れ行きがよくなったり、タクシーのお客が増えるなど、景気が急速に明るい感じになってきました。

このような景気の回復感は、いろいろな調査の結果にも表われています。たとえば政府が実施している景気ウォッチャー調査では、景気の現状を示す指数が過去最高の水準に上がりました。また日銀の調査でも、全国9地域の景気判断がすべて上昇しています。しかし景気に対する感じ方がよくなったことは確かですが、ほんとうに景気がどんどん上昇して行くかどうかは、もう少し様子を見なければ判りません。


                                 (続きは来週日曜日)

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今週のポイント
2013-04-22-Mon  CATEGORY: 政治・経済
◇ NY市場は要注意 = ダウ平均株価は先週318ドル値下がりした。週間の下げ幅としては、昨年5月以来の大きさである。3月の雇用や小売りが予想を下回る結果に終わり、景気先行指数も7か月ぶりに低下。バンク・オブ・アメリカなどの冴えない決算発表が、市場を暗くした。そのうえにボストン・マラソンのテロ、テキサス州の化学工場の大爆発が重なった。

ニューヨーク市場では、一気に警戒感が高まっている。テロや爆発の影響は一時的なものかもしれない。しかし株式市場の出来高は減少し、ダウ平均は25日移動平均線を下回った。なによりも気になるのは、株価が過去3年間にわたって4月下旬から5月上旬に天井を打ったという事実だろう。しばらくは要注意である。

東京市場には、まだ異次元緩和の余韻が残っている。円安の効果で、企業収益も上向きが続く。市場では「参院選前に1万5000円」の声さえ聞こえる。しかし仮にニューヨークの株価が天井を打った場合、円相場は反発する可能性が大きい。それでも強気を貫けるのかどうか。こちらも要注意である。

今週は24日に、3月の企業向けサービス価格。26日に、3月の消費者物価が発表になる。アメリカでは22日に、3月の中古住宅販売戸数。23日に、3月の新築住宅販売戸数。25日に、最新の新規失業保険申請件数。26日には、1-3月期のGDP速報が発表される。


    ≪22日の日経平均は? 予想 = 上げ

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不明な 農産物の扱い / TPP参加
2013-04-23-Tue  CATEGORY: 政治・経済
◇ なぜか自動車だけが前面に = 日本のTPP(環太平洋経済連携協定)参加が20日、正式に決定した。交渉参加11か国のうち最後まで態度を保留していたカナダが、日本の参加を承諾したからである。ただアメリカの場合は議会の承認が必要で、日本の交渉参加は7月末になる見通し。

日本はアメリカとの交渉で、自動車の輸入関税については撤廃の時期を先送りすることで合意した。カナダは日本側に同様の譲歩を要求、日本がその要求を呑んだために日本の参加を承諾したもの。要するにアメリカとカナダに関する限り、日本車の輸入関税は据え置きとなった。その撤廃時期は別途交渉になるが、そこでは米韓FTA(自由貿易協定)の4年間据え置きが参考になるかもしれない。

アメリカの自動車業界は、自動車の輸入関税を引き下げることに猛反対してきた。アメリカ政府はその要求を容れ、自動車の“例外化”を日本のTPP参加条件としたわけである。全く同様に、日本は農産物を“例外化”したいと要求したはずだ。しかし、この点については全く情報がない。

TPPに乗り遅れそうになって、大いに慌てた日本。参加したいばっかりに、一方的にアメリカとカナダの条件を受け入れてしまったのかもしれない。あるいは農産物についても駆け引きはあったが、成果がなかったのかもしれない。いずれにしても政府は、厳重な緘口令を敷いている。7月末の交渉参加まで、極秘の扱いにしておくつもりなのだろうか。


    ≪22日の日経平均 = 上げ +251.89円≫

    ≪23日の日経平均は? 予想 = 下げ

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燃料と電機 ← 貿易赤字の主犯 (上)
2013-04-24-Wed  CATEGORY: 政治・経済
◇ 急増した燃料と電機の輸入 = 財務省は18日、2012年度の貿易統計を発表した。それによると、輸出は63兆9409億円で前年度比2.1%の減少。輸入は72兆1108億円で3.4%の増加だった。その結果、貿易収支は8兆1699億円と過去最大の赤字を記録している。赤字の幅は上期よりも下期の方が大きい。

輸出を地域別にみると、中国向けが前年度比9.1%の減少。EU向けも14.1%減った。その一方でアメリカ向けは10.4%の増加。この結果、アメリカ向けの輸出額が中国向けをわずかながら上回り、4年ぶりに最大の輸出相手国に復帰している。商品別では、ほとんどの機械類が減少したなかで、自動車だけが7.2%増と気を吐いた。

輸入では食料品の伸び率がゼロ。木材や鉄鉱石、非鉄金属などの原材料は軒並み減少した。しかし輸入全体の3分の1以上を占める鉱物性燃料が6.6%増加して、輸入総額を押し上げている。言うまでもなく、これは原発の稼動停止で火力発電への依存度が高まったためだ。

ところが、この燃料の陰に隠れて見逃されそうなのが電気機械の輸入増加。12年度は輸入額が8兆6774億円、前年度比も8.0%の増加だった。かつては日本の輸出花形商品だった電気機械が、いまや大量に輸入されている。燃料とともに、日本を貿易赤字国に転落させた主犯格と言ってもいい。


                                     (続きは明日)

    ≪23日の日経平均 = 下げ -38.72円≫

    ≪24日の日経平均は? 予想 = 上げ

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燃料と電機 ← 貿易赤字の主犯 (下)
2013-04-25-Thu  CATEGORY: 政治・経済
◇ 日本は電機の輸入大国に = 2012年度の貿易収支は、過去最大の赤字8兆2000億円を記録した。一方、この10年間で最大の黒字を計上したのは04年度で、その金額は11兆3000億円だった。その落差は19兆5000億円にも達する。内容的には、どんな変化があったのだろうか。

まず輸出額は04年度の61兆7000億円から、12年度には63兆9000億円に増えている。ところが輸入額は50兆4000億円から72兆1000億円に。21兆7000億円も増加した。これで貿易収支の大赤字は、輸出の伸びが鈍かったことにもよるが、輸入の激増がもたらした結果だと断定することができる。

そこで輸入急増の主因と考えられる鉱物性燃料について調べてみよう。04年度の輸入額は11兆2000億円。これが12年度には24兆7000億円に膨れ上がっている。また電気機器の輸入も、6兆9000億円から8兆7000億円に増えた。この電気機器の場合は、輸出も14兆2000億円から11兆3000億円に減っている。

つまり鉱物性燃料が赤字を13兆5000億円増やし、電気機器は輸出入の往復で赤字を4兆7000億円増やしたことになる。いまや携帯電話だけでも、貿易収支は1兆円を超す赤字。日本は完全に電気機器の輸入大国になってしまった。燃料の輸入は原発の再稼動がなければ減りそうにない。電機メーカーよ、がんばれである。 


    ≪24日の日経平均 = 上げ +313.81円≫

    ≪25日の日経平均は? 予想 = 下げ

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好調なの 不調なの? / 来春の新卒採用
2013-04-26-Fri  CATEGORY: 政治・経済
◇ 日経と読売で大きな違い = 「非製造業 採用14%増」「新規採用に企業慎重」--前者は日経の見出し、後者は読売の見出しである。ともに来年春の新卒採用計画を企業にアンケート調査した結果をまとめた記事だ。日経は21日付け、読売は22日付けの朝刊1面で報じた。さて、来春の新規採用は好調なのか、不調なのか。

もちろん、調査のやり方は異なっている。日経は4588社を対象に、採用計画の人数を聞いた。その結果、大卒の採用計画は非製造業が前年比14.5%の増加。製造業は3.8%の増加で、全体では10.7%の増加になると集計している。その解釈として、日経は「アベノミクスによる景気回復期待から、非製造業の雇用吸収力が高まっている」と書いた。

一方、読売は主要122社を対象に調査した。その結果、採用数が「前年並み」なのは全体の50.8%。「減らす」のは21.3%、「増やす」のは19.7%だった。この「増やす」比率は、前年調査の28.2%を下回っている。こうした傾向について、読売は「アベノミクスが新卒の採用増加に結びつくには、まだ時間がかかるようだ」と解説した。

日経によると、採用計画の人数がいちばん多いのは三井住友銀行で1300人。この人数は読売の調査とも一致している。ただ読売は三菱東京UFJ銀行をこれより多い1500人としているが、日経は同銀行を調査の対象にしていない。このように調査の方法や内容が少しずつ違うから、集計した結果も異なるのだろう。しかし就職活動中の学生にとっては「どちらが真実に近いか」が、重要な問題になる。


    ≪25日の日経平均 = 上げ +82.62円≫

    ≪26日の日経平均は? 予想 = 上げ

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サタデー自習室 -- 貿易赤字国になった 日本 ⑬
2013-04-27-Sat  CATEGORY: 政治・経済
◇ 貿易黒字は当分ムリ = 日本の対外収支は、今後どうなるのだろう。結論から言うと、貿易収支が黒字の状態を取り戻すことは当分の間むずかしい。アメリカや東南アジア諸国の景気が回復に向かい、中国やEUの経済も底入れしつつある。このため輸出は確実に伸びるだろう。だが高水準の輸入には、とても追いつけない。12年度の輸出は63兆9000億円、輸入は72兆1000億円。その差は8兆2000億円もあった。

輸入が増大している最大の要因は、何度も指摘しているように発電用の燃料輸入が急増していること。たとえば12年度のLNG(液化天然ガス)の輸入額は、円安の影響もあって前年度より14.9%も増加した。したがって13年中に複数の原発が再稼動されれば話は別だが、その見込みはいまのところ薄い。

所得収支は恒常的な黒字を期待できる。特に配当や利子の受け取りが多い月は黒字が拡大して、貿易・サービス収支の赤字を埋められるかもしれない。しかし赤字を埋め切れない月も出てくると考えられる。この結果、経常収支は黒字と赤字を繰り返し、ことしは年間を通しては多少の黒字に終わるのではないか。

言うまでもなく、対外収支の赤字は日本の購買力がそれだけ海外に流出することを意味する。国内の企業や個人は、たとえば電気料金の支払い増加という形で購買力を失っているわけだ。その結果、景気はそれだけ足を引っ張られる。海外の日本経済に対する信頼感にも悪影響が出かねない。好ましい状態でないことは確かである。 


    ≪26日の日経平均 = 下げ -41.95円≫

    【今週の日経平均予想 = 3勝2敗】

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サンデー実験室 = 新・孫に聞かせる経済の話
2013-04-28-Sun  CATEGORY: 政治・経済
第12章 デフレって、なんだろう? ⑬

◇ 雇用や賃金が増えるかどうか = 景気に対する人々の感じ方は明るくなってきましたが、これからどうなるのでしょうか。日銀が供給する大量のおカネが、どのように使われるかが問題です。そのおカネを企業が使って生産設備を増やす。そうすると機械や原材料が売れ、雇用が増加します。その結果、人々の収入が増加してモノの売れ行きもよくなる。これが最も望ましいコースでしょう。

大量のおカネが、株式や不動産だけに使われてしまう。すると株価や土地・建物の値段は上がりますが、やがては上がりすぎて下落に転じます。これがバブル崩壊と呼ばれる現象です。バブルが崩壊すると、景気はいっぺんに落ち込んでしまうでしょう。これでは困りますね。

株式や不動産だけではなく、電気代や食料など消費者物価が上昇する危険もあります。そのときに景気がよくならず人々の収入が増えないと、生活はとても苦しくなるでしょう。これが最悪のコースです。物価2%目標は達成されても、アベノミクスは失敗ということになってしまいます。

賢いみなさんは、もうお判りでしょう。今後はどのくらい就業者が増えて失業者が減って行くか。人々の収入が物価の上昇率を上回るスピードで増加するかどうか。ここが大事な問題になってくるのです。みなさんも、新聞やテレビで報道される雇用統計や家計調査に注意を払ってください。


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今週のポイント
2013-04-30-Tue  CATEGORY: 政治・経済
◇ 円相場・決算・米の雇用統計 = 円・ドル相場は100円の大台を前に足踏みを続けているが、日経平均は先週も568円の大幅な値上がりとなった。利益確定売りをこなして続伸したのは、好調な企業の3月期決算を受けて個人投資家が参入してきたため。東証1部の売買代金は先週、個人投資家の割合が3割を超えた。

今週は大型連休の谷間となるが、主要企業の決算発表は続く。富士フィルム、村田製作所、ヤマト・ホールディングス、JR東海、富士通、ソフトバンク、日本航空、小林製薬・・。その内容が予想を上回れば、個人の物色は内需関連株にも広がるだろう。円が100円を下回れば、輸出関連株はさらに上昇する。

ダウ平均は先週165ドルの値上がり。ただアメリカの企業業績は1-3月期に鈍化している。景気動向も先行きやや不安感を強めており、株価の上値は重いようだ。したがって週末に発表される4月の雇用統計、ISMによる4月の景況指数が好転すれば、ニューヨーク市場の空気も明るくなる。今週のダウ平均は、これらの景気指標に左右されそうだ。

今週は30日に、3月の雇用統計と鉱工業生産、家計調査、商業販売統計、新築住宅着工戸数。1日に、3月の毎月勤労統計、4月の新車販売台数が発表される。アメリカでは29日に、3月の中古住宅販売戸数。30日に、2月のSPケースシラー住宅価格。1日に、ISM製造業景況指数。2日に、3月の貿易統計。3日に、4月の雇用統計とISM非製造業景況指数が発表になる。またEUが30日に、3月の雇用統計と4月の消費者物価を発表の予定。


    ≪30日の日経平均は? 予想 = 上げ

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