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経済に関する話題なんでも。ニュースの分析・批評・解説など。大胆な予想や提言も。ご意見、ご批判は大歓迎です。
経済なんでも研究会
今週のポイント
2010-03-01-Mon  CATEGORY: 政治・経済
今週の注目点は、アメリカで2日に発表される2月の新車販売状況と、5日に発表される2月の雇用統計だろう。1月の新車販売台数は前年比6.3%の増加、3か月連続のプラスだった。そのなかでトヨタはリコール問題が響き、15.8%の減少と“一人負け”の様相。2月はもっと影響が出ると予測されているが、どの程度まで落ち込むか。

アメリカ経済の将来を展望するうえで、2月の雇用統計は大きな意味を持っている。昨年10-12月の実質成長率は、改定値で5.9%にまで上方修正された。しかし1月に入ってからの経済統計には悪いものも目立つ。特に住宅関係は1月の新築住宅販売件数が11.2%、中古住宅も7.2%減少するなど、予想以上に悪い。景気の先行きは好転するのか、それとも二番底に陥るのか。そのカギを握るのが、雇用動向だとみられている。

雇用情勢の改善はかなりむずかしく、なかには失業率が不況前の水準に戻るのには20年以上かかるという予測も出る始末。この辺で多少なりとも明るい数字が出てこないと、将来への不安感が蓄積してしまうだろう。失業率はともかくとして、就業者数の増加が確認されれば市場の雰囲気もよくなるに違いない。

国内では、2月の新車販売台数が1日に。また2日には、1月の家計調査と労働力調査。4日には、昨年10-12月期の法人企業統計が発表される。法人企業統計は、予想以上にいい数字が出るだろう。しかし家計と労働力は、いい内容をあまり期待できそうにない。また2日には10年度予算案が衆院を通過する見込み。これで予算の成立が遅れて、経済に悪影響を及ぼす懸念はなくなった。


    ≪1日の日経平均は? 予想 = 下げ

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気になる 生産の減少予測
2010-03-02-Tue  CATEGORY: 政治・経済
◇ カギは自動車の減速幅 = 経済産業省が発表した1月の鉱工業生産指数は、前月に比べて2.5%上昇した。これで生産の増加は11か月連続。上昇幅は事前の予測を大きく上回った。業種別にみて、生産の増加に最も貢献したのは自動車を中心とする輸送機械工業。前月比では5.5%の増加となった。

日本自動車工業会がまとめた1月の国内生産台数は75万3773台。リーマン・ショックで大規模な減産に踏み切った前年の1月に比べると、30.7%の増加となった。輸出も1月は前年比45.6%増と大きく伸びている。しかし不況前の08年1月に比べると、生産の水準はまだ8割まで回復していない。

したがって回復の余地は、まだまだ大きいはずだ。ところが経済産業省の予測調査によると、輸送用機械工業の2月の生産は1.7%減少の見込みとなっている。このためもあって、鉱工業生産全体も、2月は0.8%減少する予測だという。経産省は「1月の増加幅が大きかったことの反動」とみているが、なんとなく気にかかる。

予測調査によると、3月は1.6%増と再びプラス路線に戻る見込みだ。しかし、この予測調査の時点ではトヨタのリコール問題があまり織り込まれていない。1-3月期を通じて自動車の国内生産が頭打ち状態になると、鉱工業生産の回復も鈍ってしまう。仮にそうなると、1-3月期のGDP成長率も低目に出る可能性が大きいだろう。


    ≪1日の日経平均 = 上げ +46.03円≫

    ≪2日の日経平均は? 予想 = 上げ

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不可解な 失業率の低下
2010-03-03-Wed  CATEGORY: 政治・経済
◇ 実態は改善していない = 総務省の発表によると、1月の完全失業率は4.9%で前月より0.3ポイント低下した。失業率が4%台に下がったのは、09年3月以来10か月ぶりのこと。最悪だった09年7月に比べると0.7ポイントも改善した。景気の回復がやっと雇用の面にも表われてきた--と思ったら、どうもそうではない。

1月の就業者数は6213万人で、前年に比べると79万人減少した。これで24か月連続の減少である。その一方、失業者数は323万人。前年比では46万人の増加、こちらは15か月連続の増加となった。前年との比較ではあるけれども、就業者の数は依然として減り続け、失業者の数は増え続けている。

完全失業率は、労働力人口に占める完全失業者の割合と定義されている。労働力人口というのは就業者と失業者の合計。したがって就業者が減り、失業者が増えれば、失業率は上昇するはずだ。それなのに1月の失業率が低下したのは、前月比の失業率については季節調整をしているからである。

たとえば毎年4月前には定年や雇用期間の満了などで、失業者は増える傾向にある。こうした季節的な波をならすのが季節調整だ。その作業は必要だが、今回は過去1年間の波動が不況の影響を受けたため大きくなり、それを調整した結果として失業率が低く出すぎたのではないか。そうだとすると、雇用の実態はあまり改善されていないと考える方が正しいように思われる。


    ≪2日の日経平均 = +49.78円≫

    ≪3日の日経平均は? 予想 = 下げ

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トヨタの販売減 1ケタに : 2月の米市場
2010-03-04-Thu  CATEGORY: 政治・経済
◇ 所有者の74%が信頼 = アメリカの調査会社オートデータの集計によると、2月の新車販売台数は77万8189台で、昨年2月より13.3%の増加だった。注目のトヨタは10万0027台、かろうじて10万台をキープした。前年比は8.7%の減少となり、販売シェアは12.9%に落ちている。

売れ行きを最も大きく伸ばしたのはフォード。前年比は43.5%の増加となった。GMは12.2%、クライスラーは0.6%しか伸ばせなかった。日本勢ではホンダが12.7%、日産が29.4%の増加となっている。そのほかドイツのフォルクスワーゲンが32.9%増と健闘、韓国の現代は10.2%の増加だった。

トヨタの販売シェアは昨年2月には15.9%あって、GMに次いで第2位の座を確保していた。それがリコール問題が表面化したことし1月には14.1%、2月には12.9%まで下落。フォードにも抜かれて第3位に転落した。さらに2月は議会の公聴会が開かれるなど問題が拡大し、前年比2ケタの減少は避けられないとみられていた。それが1月の15.8%減少から、2月は縮小幅を縮めて1ケタの減少率に止まったわけだ。

もちろん、これで安心するわけにはいかない。ただギャラップの調査によると、トヨタ所有者の74%が「信頼性は変わっていない」と答えている。3月はトヨタの販売台数のほか、GMにあと1200台と迫ったフォードが首位の座を奪うのかにも大きな関心が寄せられている。そのGMはパワステの不具合で130万台をリコールすると発表した。
    
   
    ≪3日の日経平均 = 上げ +31.30円≫

    ≪4日の日経平均は? 予想 = 下げ

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好調な太陽光発電 : 霧のなかへ?
2010-03-05-Fri  CATEGORY: 政治・経済
◇ 繰り返される失敗? = 太陽光発電の普及は住宅用を中心に、きわめて好調な伸びを維持している。09年度中の普及が、発電能力にして08年度の2倍を超えることは確実。この結果、この3月末には国内の累積発電能力が250万キロワットに。原子力発電所2基分に相当し、世界でも第3位になる見通しだ。

太陽光発電協会の集計によると、09年の太陽電池出荷量は48万4000キロワットで、08年の2.1倍になった。このうち国内向けの出荷量は41万4000キロワット。その89%が住宅向けとなっている。住宅用の伸びが大きいのは、政府が年初から1キロワット当たり7万円の補助金を出したこと、さらに11月からは電力会社による1キロワット当たり48円の余剰電力買い取り制度が始まったためだ。

世界不況の回復が進むなかで、欧米諸国に対する輸出も上向いてきている。このためメーカー各社は、いま生産能力の引き上げに懸命だ。たとえば三洋電機は15年度までに、生産能力を4.4倍に拡大する方針。シャープ、京セラ、三菱電機、昭和シェルも設備の増設を進めている。

ところが突如として行く手には濃霧が発生した。例の事業仕分けによって、住宅用発電に対する補助金が10年度予算から締め出されてしまったからである。経済産業省は「補完的、暫定的な措置」を考えると言っているが、具体的なことは霧のなか。政府は05年度にも補助制度を打ち切り、日本の太陽電池普及に急ブレーキをかけてしまったことがある。この失敗をまた繰り返すのか。太陽も霧では電気を起こせない。


    ≪4日の日経平均 = 下げ -107.42円≫

    ≪5日の日経平均は? 予想 = 上げ

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サタデー自習室 -- 現代のお宝・ レアメタル ⑤
2010-03-06-Sat  CATEGORY: 政治・経済
◇ 急速な技術革新 = 将来は入手が困難になることを見越して、レアメタルの使用量を減らしたり、全く使わないようにする研究が急速に進んでいる。たとえば排気ガスを抑制する触媒に使われているプラチナやパラジウム。この使用量を7割減らす技術が、日本で開発された。またテレビやLED(発光ダイオード)の電極に使うインジウムの一部を、安い酸化亜鉛に置き換える方法も発明されている。

そのほか現在はインジウムとスズの化合物で作っているタッチパネルの透明フィルムを、カーボン・ナノチューブに置き換える。太陽電池の透明電極を、炭素系のグラフェンで代替する実験にも成功した。ネオジウムを全く使わない自動車用高出力モーターにも、実用化のメドがついたと伝えられる。

このようにレアメタルの使用量を節約したり、全く新しい物質で代替してしまう。これが経済産業省の「レアメタル確保戦略」にある「代替材料の開発」である。経済産業省では、特に超硬工具に使うタングステンと永久磁石に必要なディスプロシウムの入手が困難になるとみて、その代替材料開発を支援することにしている。

イタリアのボルタが電池を発明したのが1800年。そのちょうど100年後、エジソンがニッケル・鉄蓄電池を世に送り出した。日本では1954年にニッケル・カドミウム電池、90年にはニッケル水素電池、そして91年にはリチウムイオン電池の生産が開始された。この例をみても判るように、世代の交代はきわめて早い。中国がレアアース類の輸出を制限しながらも禁輸しないのは、価格が高騰して代替技術が加速することを警戒しているためだと思われる。


                              (続きは来週サタデー)

    ≪5日の日経平均 = 上げ +223.24円≫

    【今週の日経平均予想 = 3勝2敗】     

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サンデー実験室 = 孫に聞かせる経済の話
2010-03-07-Sun  CATEGORY: 政治・経済
第17章 国債って、なんだろう? ⑨

日本の財政状態は、いま急速に悪くなっています。国債発行残高のGDP(国内総生産)に対する比率は、各国がまだ100%には達していないのに、日本は10年度末には134%に上昇してしまう見通しです。しかも国の借金は、国債だけに止まりません。金融機関からの借り入れや、ごく短期間の借金もあります。

財務省の発表によると、こうした分も含めた国の借金総額はこの3月末で900兆円に。また来年3月末には973兆円にのぼる見込みです。この借金総額のことを正式には政府の債務(さいむ)残高と言いますが、これを国民1人あたりにすると、なんと763万円という計算になります。

OECD(経済協力開発機構)という組織が、各国のGDPに対する政府債務残高の比率を調べました。それによると、日本の比率は10年度末で197.2%にもなる見込みです。経済規模の約2倍の借金を抱えることになるわけですね。その他の主要国の比率をみると、アメリカが92.4%、イギリスが63.1%、フランスが92.5%、ドイツが82.0%ですから、ここでも各国の比率は100%に達しません。

いま南ヨーロッパにあるギリシャという国が、期限がきても国債を返せなくなりそうになっています。そこでヨーロッパの各国がギリシャにおカネを貸すかどうかで、大きな問題になっていることを知っていますか。でも、そんなギリシャでさえ政府債務のGDP比率は124%です。日本は世界一の借金大国だと言ってもいいでしょう。


                            (続きは来週日曜日)

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今週のポイント
2010-03-08-Mon  CATEGORY: 政治・経済
初夏の暖かさのあとは氷雨の寒む空。三寒四温とは、よく言ったものだ。いまの経済にも、そんな傾向が見受けられる。そうした寒暖のなかで、先週の株式市場は明るい陽光に恵まれた。特にニューヨークは2月の雇用統計が予想より悪くならなかったこともあって、ダウ平均は週間246ドル値上がりした。日経平均も243円の上昇だった。

今週は8日に、2月の景気ウォッチャー調査。9日に、1月の景気動向調査。10日には、1月の機械受注と2月の企業物価。また11日には、10-12月期のGDP改定値が発表になる。一次速報では前期比の実質成長率が4.6%だったが、改定値では下方修正される可能性が強い。

アメリカでは10日に、1月の卸売物価。11日に、1月の貿易収支。12日には、2月の小売り高とミシガン大学による3月の消費者信頼感指数が発表される。また中国が10日に、2月の貿易統計。11日には、2月の消費者物価、小売り高、鉱工業生産、それに固定資産投資を発表する予定。このうち固定資産投資が強すぎると、3度目の預金準備率引き上げが実施されるだろう。

今週から住宅版エコポイントが始まる。エコカーや家電製品向けのポイント制度は、ある程度の効果を挙げたとみられている。三匹目のどじょうを狙った住宅エコポイントは、不況にあえぐ住宅業界に恩恵をもたらすのかどうか。新築30万円という点数は、どうみても少なすぎるという感じなのだが。


    ≪8日の日経平均は? 予想 = 上げ

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最悪期は脱した? アメリカの雇用情勢
2010-03-09-Tue  CATEGORY: 政治・経済
◇ 大きかった大雪の影響 = アメリカ労働省の発表によると、2月の雇用者数は前月比で3万6000人の減少に止まった。一方、失業者数も3万4000人増加したが、失業率は9.7%で前月と変わらなかった。雇用者の減少幅も失業者の増加幅も、事前の民間予測より小さくなっている。東部地区を襲った大雪の影響がなかったら、状況はもっと好転していたに違いない。

労働省も「大雪の影響はかなり大きかった。しかし、その影響を数字で表わすことは困難だ」と述べている。雇用者の減少は特に建設業で大きかったが、それも雪の影響なのかもしれない。失業者数は1487万人。なかでも10歳代の失業率は25.0%と高い水準が続いている。また労働省では、求職を諦めたために失業者とならなかった“予備軍”が250万人いると推定している。

アメリカの雇用情勢は、最悪期を過ぎつつあるように思われる。しかし、これからV字型に回復することは不可能だろう。それにしても07年12月からの景気後退で、雇用者が840万人も減ってしまったアメリカ。なんとか底入れして少しずつでも回復の道を歩み出せば、経済の将来展望に明るい光が差し始める。

その光をいちばん待ち望んでいるのは、オバマ大統領だろう。経済政策の最優先課題に雇用を掲げたものの、なかなか効果が現れない。11月の中間選挙を控えて、この辺で雇用の改善→景気の本格回復が目に見えてこないと、支持率の低下も止まらないと考えられるからだ。3月分の雇用統計は4月2日に発表される。そのころには暖かい春風が吹くことを、ぜひとも期待したいものだ。
  

    ≪8日の日経平均 = 上げ +216.96円≫

    ≪9日の日経平均は? 予想 = 下げ≫  

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アイスランド 市民の抵抗 (上)
2010-03-10-Wed  CATEGORY: 政治・経済
◇ 93%が反対票 = 北大西洋の北極圏に近い島国、アイスランド。名前だけでも寒そうな国だが、ここで氷も融けるようなホットな事件が持ち上がった。政府と議会が制定した法律を、市民が国民投票で蹴っ飛ばしてしまったのである。しかも反対票は93%に達したというから、市民の怒りは半端ではなかった。

法律の趣旨は、アイスランド政府がイギリスとオランダの政府に対する債務50億ドル(約4500億円)を今後15年間で分割返済するという内容。その発端は、世界的な金融危機のあおりを受けて大手銀行のランズバンキが倒産。08年10月に国有化されたことにある。この銀行は傘下のネットバンクを通じて、イギリスとオランダから高利の預金を集めていた。

国有化とともに、これらの預金は凍結された。イギリスとオランダの政府は、預金者保護の観点から凍結分を計40万人の預金者に補償。同時にアイスランド政府に対して、その金額を弁済するよう求めていた。この要求は経済常識からみれば妥当であり、アイスランドの政府・議会もその要求を認めたわけだ。ところが大統領が国民感情を考慮して法律への署名を拒否、憲法の規定によって国民投票が実施された。

投票で反対票を投じた市民の主張は「利益の追求に走った大銀行の尻拭いはご免」「高利に釣られた外国の預金者を私たちの税金で救済する必要はない」の2点に尽きる。アイスランドのGDPは175億ドルほど。債務はその3割に近い。そう考えると、アイスランド市民の怒りにも同情が沸く。ただし、この問題は北大西洋の小国を揺るがすだけには止まらない。その影響は、世界中に拡散するだろう。


                                 (続きは明日)

    ≪9日の日経平均 = 下げ -18.27円≫

    ≪10日の日経平均は? 予想 = 下げ≫  

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アイスランド 市民の抵抗 (下)
2010-03-11-Thu  CATEGORY: 政治・経済
◇ ギリシャ問題にも波及? = 国民投票での否決を受けて、アイスランド政府は「イギリス、オランダと再交渉を行なう」という声明を発表した。だが債務の総額や返済期限、利子などの点で譲歩が得られたとしても「税金での返済はノー」という国民投票の結果を無視することはできない。またIMF(国際通貨基金)などから融資を受けるにしても、結局は税金で返済しなければなくなる。

アイスランドは1人当たりGDPでは、世界でもトップクラス。だが今回の事件で、国際的な信用の低下は免れない。外国からの資本流入は、急速に細るだろう。また申請中のEU加盟問題についても、悪い影響を及ぼすに違いない。このようにアイスランド経済にとっても、かなりの打撃になりそうな雲行きである。

しかし事件の影響はアイスランド一国には止まらない。たとえば、いまギリシャは財政難に陥り、EU各国からの支援を待ち受けている。だが今回の事件で、ドイツやフランスなどの国内でも、アイスランドと似たような国民感情が増大する可能性も否定はできない。「なぜ税金で他国を救う必要があるのか」の疑問は、各国に伝播するだろう。

利益の追求に走った大銀行。それを増幅させた金融資本主義。今回の事件には、これらに対する無言の批判も含まれている。もしかすると歴史的にみて、今回の事件は市民による金融資本主義批判の最初の行動だったということになるかもしれない。常識的にみれば無謀だった選挙結果なのに、なぜか拍手を送りたくなるのは、われわれの気持ちにもそんな意識が隠れていることの証左かもしれない。


    ≪10日の日経平均 = 下げ -3.73円≫

    ≪11日の日経平均は? 予想 = 上げ

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株価は胸突き八丁? / 安値から1年
2010-03-12-Fri  CATEGORY: 政治・経済
◇ ことしに入って息切れ = リーマン・ショックの直撃を受けて株価は急落。日経平均が底値をつけたのは、ちょうど1年前の3月10日だった。その日の終り値は7055円。これを今週10日の終り値1万0564円と比べてみると、値上がり率は49.7%になる。業種別にみると、やはり輸出関連の値上がりが大きく、自動車、精密機械、電機などが健闘した。

金融危機がおおむね収束し、世界経済全体が回復への道を歩み始めたことが反発の原動力だ。ただ内需の回復に手間取っている日本経済の現状を反映して、内需関連株の動きは低調だった。もう1つ心配な点は、ことしに入ってから株価の上昇がストップしてしまったことである。日経平均は年初から10日まででは、わずか18円しか上がっていない。

ニューヨーク市場のダウ平均は、1年前の安値から61.4%値上がりした。イギリスのFTSE100も58.2%、中国の上海総合は44.9%、ブラジルのボベスパ指数は2.4倍の上昇である。ところがダウ平均の場合をみても、ことしになってからの動きは鈍く、年初来では1.3%しか値上がりしていない。ここまできて息切れしたのか、それとも一服しているだけなのか。

日本の成長率は昨年10-12月期が年率4.6%から3.8%に下方修正された。加えて1-3月期は、1-2%程度に減速すると予測されている。しかし企業の業績はまずまず順調に回復しており、株価にとって悪い環境ではない。少なくとも7月の参院選までは、ゆっくりではあるが上昇基調を保てるのではないだろうか。


    ≪11日の日経平均 = 上げ +101.03円≫

    ≪12日の日経平均は? 予想 = 上げ

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サタデー自習室 -- 現代のお宝・ レアメタル ⑥
2010-03-13-Sat  CATEGORY: 政治・経済
◇ リチウムの不思議(上) = レアメタルのなかでも、いま人気絶頂なのがリチウム。原子番号は3、元素記号はLi。1817年に発見されたこの銀白色の金属は、実に不思議な性質をたくさん持っている。金属のなかでは最も軽く、比重は0.53だから水の半分ぐらいしかない。親類のナトリウムより硬く、アルミニウムと化合すると軽くて強い金属材料に変質する。

強度を上げるだけではない。いろいろな元素と結び付いて、その材料の性能を向上させる。このため耐熱ガラスやセラミックス、陶磁器の上薬、冷凍機の冷媒。さらには水素爆弾の材料になったり、精神安定剤としても使われる。特に最近は、エネルギーを多く蓄えて何度でも充電できるリチウムイオン電池の素材として、その需要が急速に高まってきた。

リチウムイオン電池の登場は1991年。それから15年間で、生産量は5.2倍に増大した。今後はハイブリッドカーや電気自動車の普及が進むにつれて、需要は爆発的に伸びると考えられる。ある試算によると、09年に250億円だった自動車用リチウムイオン電池の世界需要は、14年に2兆2500億円になるという。

たとえば携帯電話1台に使われるリチウムの量は0.3グラム、ノートパソコンは5.5グラム。これに対してプラグイン・ハイブリッド車では最大3.1キログラム、電気自動車では5.7キログラムのリチウムを使用する。したがってリチウムの使用量はケタ違いに増大するだろう。そうなると供給が追いつくか心配になるが、答えは「ノー」に近い。そこがまたリチウムの不思議なところである。


                             (続きは来週サタデー)

    ≪12日の日経平均 = 上げ +86.31円≫

    【今週の日経平均予想 = 5勝0敗】

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サンデー実験室 = 孫に聞かせる経済の話
2010-03-14-Sun  CATEGORY: 政治・経済
第17章 国債って、なんだろう? ⑩

国債の発行は、財務省というお役所が行なっています。いっぺんに大量の国債を売り出すと混乱が起きるので、財務省はいろいろな種類の国債を何回にも分けて売り出します。買い手はほとんどが銀行、保険会社、証券会社で、基本的には入札(にゅうさつ)方式というやり方で値段を決めます。入札方式というのは買い手が値段を付け、財務省はいちばん高く買うところに売る方法です。

国債を買った金融機関はそれを企業や個人にも売りますが、自分のところでも保有します。たとえば銀行が保有している国債は、ことしの1月末で126兆円でした。銀行は個人や企業から預かった預金で、この国債を買います。そうすると、預金の利子より国債の利回りの方が少し高いので、その分がもうけになるわけです。ですから、こんなにたくさんの国債を自分で持っているのです。

それでも国債の発行量が多くなりすぎると、売れなくなってしまいます。このため日本銀行も国債の量を調節するために、買い入れることがあります。それなら日銀がもっと大量に買えば、その分のおカネが世の中に出回って景気がよくなるという意見もありますが、そうするとおカネの流通が多くなりすぎてインフレになる危険が高まります。

外国の企業や個人も、日本の国債を買っています。しかし外国人の保有量は全体の7%ぐらいしかありません。アメリカやヨーロッパ諸国の国債は、外国人がもっとたくさん買っています。いま財政が危機状態に陥っているギリシャの場合は、外国人の保有率が70%にも達しています。このため発行する国債に7%ぐらいの金利を付けないと売れなくなってしまいました。


                            (続きは来週日曜日)

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今週のポイント
2010-03-15-Mon  CATEGORY: 政治・経済
日経平均が1万1000円に、どこまで近づくか。これが今週の見どころだろう。先週の日経平均は週間382円の大幅高となった。昨年12月第1週以来の上げ幅である。着実に上昇しているニューヨークの株価に追随しているが、出遅れ気味の日本株に見直し機運が高まってきたことも見逃せない。1年前の安値に比べて、ダウ平均は60%値上がりしたのに対して、日経平均は50%の戻りに止まっていた。

景気がゆっくりと回復するなかで、企業業績の上向きも確認された。日経新聞の集計によると、3月期の経常利益は前年比8%の増加が見込まれる。円相場もアメリカの景気回復と日銀によるゼロ金利政策の強化で、急激に上昇する可能性はきわめて低くなった。1-3月期のGDP成長率が鈍化する心配はあるが、その発表はまだ先のこと。中国は3度目の預金準備率引き上げに踏み切るだろうが、それは織り込みずみだ。

今週は重要な会議も多い。16-17日には、日銀が金融政策決定会合を開く。ここでは金融政策の追加的な緩和を決める公算が大きい。株価にとっては、追い風となるだろう。16日には、アメリカのFOMC(公開市場委員会)も開かれる。ここでは景気判断が上方修正されるかどうか。さらに16日には、EU(ヨーロッパ連合)の理事会も。ギリシャの財政再建計画を検討するが、大きな波乱はない見通し。

経済指標は15日に、2月の消費動向調査。17日に、1月の第3次産業活動指数。18日に、1-3月期の法人企業景気予測調査。19日には、1月の全産業活動指数が発表になる。またアメリカでは15日に、2月の工業生産。16日に、2月の住宅着工。17日に、2月の生産者物価。18日に、2月の消費者物価が発表になる予定。


    ≪15日の日経平均は? 予想 = 上げ

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ずさんな 連休分割の政府案
2010-03-16-Tue  CATEGORY: 政治・経済
◇ 役人的発想の見本だ! = 春と秋に年2回の5連休を設けるため、祝日法を改正するという案が国土交通省から提示された。現在の祝日のうち憲法記念日など6祝日を「休み」としない。その代わりに5月と9月に5連休を作る。さらに全国を北から南へ5つのブロックに分けて、この5連休をずらして実現するという内容だ。

たとえば沖縄・九州・四国・中国ブロックは、5月8日から5連休。それが終ると、近畿が15日から5連休に入るといった具合に休みをずらして行く。こうすれば交通機関の渋滞が減り、レジャーが分散化して観光地での安定した雇用も見込めると、国土交通省では説明している。

一見するとよさそうなアイディアだが、実現はきわめて困難だろう。すでに産業界からは、全国に支店や工場を持っている会社、あるいは全国的にネットを張り巡らせて商売している企業は、対応がむずかしいと反対論が飛び出している。たとえば銀行などは、東京から送金しようとしても大阪は休みでダメという事態も生じてしまう。この辺の解決策もなしに提案してくるのは、まさにお役人の発想と言われても仕方がない。

たとえば全国を2分割し、南は5月8日から。北は15日から5連休というのなら、まだ実現性は高くなる。全国展開の企業や銀行は、北でも南でも両方の5連休をとってしまう。その代わり、その分だけ夏休みを減らす。この程度なら、できないこともないだろう。さて、そうなると東京は北に入るのか、南になるのか。
  

    ≪15日の日経平均 = 上げ +0.72円≫

    ≪16日の日経平均は? 予想 = 下げ

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赤字空港・子ども手当て・就職浪人 (上)
2010-03-17-Wed  CATEGORY: 政治・経済
◇ 赤字空港の責任者はだれだ? = 茨城空港が3月11日、開港した。この狭い日本で98番目、民間空港としては最後になりそうだというので、マスコミも注目した。だが残念なことに赤字スタート。将来展望もない。なにしろソウルと神戸の1日2便だけ。当初に年間81万人を見込んでいた利用客も、16万7000人に減ってしまった。

国土交通省の発表によると、全国の空港の利用実績は08年度の場合、約9割が当初の需要予測を下回ったという。さらに発着陸が1回もなかった空港が7か所もあったというから驚いてしまう。したがって空港の大半が赤字経営になっている。その維持・運営費や建設費用の返済は、国と地方の負担。つまり税金によって賄われているわけだ。茨城空港のケースをみても、建設費は国が150億円、県が70億円負担した。

赤字空港は、悪い公共事業の典型と言えるだろう。建設時には、地元にもカネが落ちるから景気にとってもプラスだとみなされる。しかし運用後は負担が大変。国と地方の財政を圧迫する大きな要因になってしまう。公共事業の見本になっている道路についても、赤字路線については全く同じことが言える。

地方の要望を聞いて、道路や空港を造り続けた。これは自民党の責任である。その結果、国と地方の財政状況は大幅に悪化した。民主党はそれを厳しく批判して、選挙に勝ったはずである。ところが、その民主党が高速道路の割り引きを止めて、その財源3兆円を道路の建設に使う法案を提出するという。これでは、かつての自民党と同じ。選挙が近づくと、政治家はみな節操を失うらしい。


                                  (続きは明日)

    ≪16日の日経平均 = 下げ -30.27円≫

    ≪17日の日経平均は? 予想 = 上げ

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赤字空港・子ども手当て・就職浪人 (中)
2010-03-18-Thu  CATEGORY: 政治・経済
◇ 景気対策か福祉政策か? = 話題の子ども手当てが6月から支給される。中学生までのすべての子ども1700万人を対象に、1人当たり月額1万3000円。予算総額は2兆3000億円で、昨年の定額給付金2兆円を上回る。自民党の公共事業ではなく、子育て支援の形で家計を助けることによって消費を拡大する。コンクリートから人へ--これが民主党の基本的な理念だった。

ところが最近になって、子ども手当てで本当に消費が拡大するのか。疑問が大きくなってきた。内閣府の調査によると、昨年の定額給付金は個人消費を6300億円しか増やさなかった。つまり支給額の3分の2は、貯金や借金の返済に回ったことが判明。子ども手当ても同様の結果に終わるのではないか、という見方が強まっている。

子ども手当ては、もともと景気対策なのか福祉政策なのかが不明瞭だった。エコノミストの多くは「景気対策としては効率が悪すぎる」と考えていた。しかし福祉政策の側面もあり、反対すれば「子どもを大事にしないのか」と批判されかねない。そこで財源の問題ばかりに言及してきたフシがある。

ことし1-3月期のGDP成長率は5月に発表されるが、年率1%台に減速する可能性が強い。7月の参院選を前に、これではマズイ。「子ども手当てで景気回復」と言うのも空々しい。そこで評判のよくない高速道路の無料化を断念し、その財源3兆円で道路を造る。そうだとしたら、民主党の政策理念とは何だったのだろう。しかも悪い公共事業を復活させて、自民党の“共犯”になろうとしている。


                                 (続きは明日)

    ≪17日の日経平均 = 上げ +125.27円≫

    ≪18日の日経平均は? 予想 = 上げ

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赤字空港・子ども手当て・就職浪人 (下)
2010-03-19-Fri  CATEGORY: 政治・経済
◇ “氷河期”より厳しい就職 = 文部科学省と厚生労働省の調査によると、今春卒業予定の大学生の就職内定率は2月1日現在で80.0%だった。昨年の内定率より6.3ポイント低く、就職の“氷河期”といわれた00年をも下回っている。また高校卒業予定者で就職を希望している生徒の内定率も、1月末現在で81.1%と過去最低の水準に止まった。

大学卒業予定者で就職を希望している学生は40万5000人。このうち内定者は32万4000人。また高卒の就職希望者は16万1000人。うち内定者は13万1000人だった。ほぼ 5人に1人、人数にすると約11万人の学生がまだ就職に成功していない。せっかく学業を終えたのに、とたんに就職浪人あるいは失業者の仲間入り。こんな残酷な社会はないだろう。政治の失敗であり、最大の汚点だと言っていい。

民主党は「コンクリートから人へ」の大号令のもと、子ども手当てを創設した。福祉政策としては評価できるにしても、それで10万人の新卒者に仕事が創出できるとは全く考えられない。そこに鳩山内閣の最大の欠陥が象徴されているのではないだろうか。では、どうしたらいいのか。

自民党が続けた悪い公共事業を否定したのはいい。だが民主党は、将来に必要ないい公共事業まで悪者にしてしまった。たとえば太陽光発電の普及、病院や学校の耐震化、老朽化した高速道路の再生・・・。これらは立派な公共事業であり、将来に悪しき負担を残さない。雇用を創出する効果もある。この際は民主党も考え方を変え、いい公共事業に財政支出を集中すべきだろう。せっかく子どもを大切にしても、失業予備軍を育てることになっては意味がない。


    ≪18日の日経平均 = 下げ -102.95円≫

    ≪19日の日経平均は? 予想 = 上げ

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サタデー自習室 -- 現代のお宝・ レアメタル ⑦
2010-03-20-Sat  CATEGORY: 政治・経済
◇ リチウムの不思議(下) = リチウムの産地も他のレアメタル同様、地理的に限られている。08年の世界産出量は2万7400トンだったが、最大の産出国はこのあいだ大地震に見舞われた南米チリで1万2000トン。次いでオーストラリア、中国の順となっている。ところが存在量は、南米のボリビアが圧倒的に多い。同国のウユニ塩湖には、世界全体の半分に当たる540万トンが眠っていると推定されている。

実はリチウムは鉱石からも採取されるが、その量は全体の3割ほど。あとの7割は、塩湖の水から精製する。その塩湖がアンデス山系のボリビア、チリ、アルゼンチンに集中しているというわけだ。塩湖の水を天日で干し上げ、1年がかりで製品にする。ハイテクの最先端を行く材料なのに、やや古典的な製法なのも変わっている。

日本は全量を輸入に頼っている。約7割がチリからだ。炭酸リチウムの形で、08年は1万3194トンを輸入した。全世界の消費量の10%を超える大消費国である。輸入価格は00年に1キログラム当たり200円だったものが、08年には700円を超えるようになった。これは各国の争奪戦が始まったためとみられるが、供給量に心配はない。なにしろウユニ湖だけで、現在の消費量なら200年分もあるのだから。

加えてリチウムは海水にも含まれている。ただ濃度は0.2ppmだから、5000リットルの海水にリチウムは1グラムという計算になる。現在はコストが高すぎて、まだビジネスにはならない。しかし海中のリチウム含有量は2300億トン。いずれは安く取り出せるようになるだろうと期待もされている。


                             (続きは来週サタデー)

    ≪19日の日経平均 = 上げ +80.69円≫

    【今週の日経平均予想 = 4勝1敗】 

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サンデー実験室 = 孫に聞かせる経済の話
2010-03-21-Sun  CATEGORY: 政治・経済
第17章 国債って、なんだろう? ⑪

きょうは国債と金利の関係について勉強しましょう。その関係はとても深いのです。国債は発行されるときの経済状態や金融情勢で、売り出される価格が変わります。たとえば年1.5%の金利がついた10年もの国債を100万円買えば、毎年1万5000円の金利を受け取り、10年後には100万円が返ってきます。この場合の金利は1.5%ですね。

ところが買いたい人が多くて、100万1300円でなければ買えなかったとします。この場合でも10年後には100万円しか戻ってきません。その分を受け取る金利から差し引いて計算すると、金利は1.485%に下がってしまうのです。このように入札した結果、国債の価格が高くなると金利は下がり、逆に安くなると金利は上がります。この国債の金利が、そのほかの金利を動かす原動力になるのです。

金利が上昇すると、会社は銀行などからおカネを借りたとき、それだけ多くの金利を払わなければなりません。また個人も住宅ローンなどの利息が高くなります。すると会社も個人も、おカネの借り入れを減らすでしょう。その結果は経済活動が低下して、景気は悪くなる方向に進みます。金利が低くなると、その反対のことが起ります。

国債をたくさん発行しすぎると、価格は下がりがち。つまり金利は上昇するでしょう。すると国も国債を売るためには、高い金利を払わなければならなくなります。財政の状態はもっと悪くなりますね。そんな状態が進行すると、期限がきたときに元金を返してもらえるのかどうか、みんなが心配し始めるでしょう。国債はますます売りにくくなり、金利は上昇します。このような状態を、財政の破綻(はたん)と言います。
                             

                               (続きは来週日曜日)

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今週のポイント
2010-03-23-Tue  CATEGORY: 政治・経済
ダウ平均は1万1000ドル、日経平均は1万1000円を目指しているが、先週は届かなかった。ダウ平均は週間73ドル上昇、この目標まであと259ドル。日経平均は117円上昇して、あと175円。今週も到達の可能性は十分にある。ウォール街ではダウ平均の上値を抑えた要因は、医療保険改革・住宅・ギリシャの3つだとみているが、今週はこの3つすべてについて答えが出そうだ。

まず医療保険制度改革法案は、21日に僅差で下院を通過した。これによりオバマ大統領は勢いを得て、一気に金融改革法案の成立を図るだろう。次に今週は23日に、2月の中古住宅販売と1月の住宅価格。24日には、2月の新築住宅販売が発表になる。結果が予想を下回ると、ダウ平均も足踏みの公算。さらに26日にはEUが首脳会議を開き、ギリシャ問題に一定の対策を出す見込みだ。

日経平均の方は、利益確定売り以外にさしたる障害はなさそう。ほぼ終了に近づいた企業の決算発表も、まずまず順調な内容だった。特にギリシャ問題がこじれない限り、円相場の上昇はないという雰囲気になっている。したがって当面の目標達成は、ダウより日経平均の方に歩があると思われるのだが。

国内の経済指標は、23日に日銀の10-12月期・資金循環統計。24日に、2月の貿易統計。25日に、2月の企業向けサービス価格。26日には、2月の消費者物価が発表になる。物価の下落幅も気になるが、やはり輸出の堅調な伸びが持続しているかどうか。1-3月期の成長率を占ううえでも重要な材料になる。


    ≪23日の日経平均は? 予想 = 上げ

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国債の消化 : 家計頼みはあと5年?
2010-03-24-Wed  CATEGORY: 政治・経済
◇ 個人金融資産は1456兆円 = 日銀が23日発表した資金循環統計によると、09年末の個人金融資産は1456兆4000億円だった。増加は9四半期ぶりで、08年末に比べると35兆2000億円増えている。主たる理由は、株価の値上がりで株式評価額が増大したことだった。

内訳をみると、株式・出資金が96兆7000億円で前年比16.2%の増加。投資信託も53兆円で10.8%増加した。注目されるのは現金・預金が前年比1.5%増加して、過去最高の803兆5000億円になったこと。個人の安定志向はいぜんとして根強い。その一方で国債の保有高は35兆円。前年より4.5%減少した。

いま国債発行残高の肥大化が問題になっている。その大半は個人の金融資産が消化していることは事実。金融機関が保有する国債・財投債・短期証券の合計は09年末で630兆円にのぼるが、その原資はほとんどが個人の預貯金である。したがって家計に余力がなくなれば、これまでのように国債を消化することは困難になるだろう。

金融資産の総額は久しぶりに増加したが、ピークだった06年末に比べるとまだ96兆9000億円も少ない。家計の負債も増えており、資産から負債を差し引いた正味の資産は1087兆円だった。一方、国債と短期証券、それに借入金を合計した国の債務は871兆円に増大。その差は215兆円に縮まった。現在のペースで国債を増発すると、単純計算ではあと5年分ということになる。

    

    ≪23日の日経平均 = 下げ -50.57円≫

    ≪24日の日経平均は? 予想 = 上げ

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景気の二番底なし / 輸出の回復で
2010-03-25-Thu  CATEGORY: 政治・経済
◇ 2月の輸出は45%増加 = 財務省が24日発表した2月の貿易統計によると、輸出は5兆1287億円で前年比45.3%の大幅な増加となった。一方、輸入は4兆4777億円で29.5%の増加。この結果、貿易黒字は6510億円で前年の8倍を記録した。輸出のプラスは昨年12月から3か月連続。伸び率も12%→41%→45%と拡大している。

昨年2月はリーマン・ショックの直撃を受けて、輸出がどん底に落ちた時期。したがって前年比でみた伸び率が大きくなるのは当然でもある。そこで不況前の08年2月の実績と比べてみると、輸出総額では当時のまだ74%の水準を回復したにすぎない。地域別でも、中国向けは89%まで回復したが、アメリカ向けは63%の水準に止まっている。

2月の輸出の伸びを地域別にみると、アメリカ向けが50.4%、アジア向けは55.7%、中国向けも47.7%と大幅だった。EU(ヨーロッパ連合)向けは19.7%の増加だった。また商品別では、自動車が105.0%、自動車部品が121.7%、半導体など電子部品が69.1%増加した。

日本の主要な輸出先であるアジア、中国、アメリカ向けが大幅な伸びを示したことは大きい。輸出の増加は国内の生産増加に結び付く。このため1-3月期のGDPが、ゼロ成長に近づく可能性はほぼなくなった。2-3%程度の成長率が期待できそうであり、いわゆる景気の二番底は回避できるだろう。依然として“輸出さまさま”である。


    ≪24日の日経平均 = 上げ +40.88円≫

    ≪25日の日経平均は? 予想 = 上げ

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目的不明の 郵政事業見直し
2010-03-26-Fri  CATEGORY: 政治・経済
◇ 反応が鈍い自民党 = 亀井郵政改革相と原口総務相が発表した「郵政改革法案」の骨子。持ち株会社に郵便局会社と郵便事業会社を統合して、3社体制にするのはまだいい。だがグループの親会社に対する政府の出資比率を3分の1超にして、経営に口出しできるようにする。これは明らかに、郵政事業の再国営化を意味するものだ。

さらに郵便貯金の預入れ限度額を現行の1000万円から2000万円に、簡易生命保険の加入限度額を1300万円から2500万円に引き上げる。そのうえ消費税を免除し、郵便局の金融業務に対する検査・監督も緩くするというから、驚くほかはない。郵政事業をこれほど優遇する理由として、亀井氏らは全国一律サービスを維持するための費用が必要だと説明しているが、これは猫一匹を飼うのに東京ドームが必要と言っているのに等しい。

小泉政権が鳴り物入りでスタートさせた郵政の民営化を、百八十度転換する。その理由も目的も、きわめて曖昧だ。果たして閣内からも、強力な反論が噴出した。仙石国家戦略相は「閣内での議論がない」と見直しを主張、菅副総理も「話を聞いていない」と批判的。担当大臣の発表を、他の主要閣僚が公然と反対する異例の事態となった。

亀井氏の小泉嫌いは周知の事実。小泉路線をすべて否定する姿勢が、こうした改革案に凝縮したとみられても仕方がない。鳩山首相がこの閣内不一致をどう裁くのか。下手をすると、またリーダーシップの欠如を曝すことにもなりかねない。一方、小泉路線を否定された自民党。ここぞと反撃に出るかと思ったら、さしたる反応もみせていない。こちらにも反小泉派がいて、動きがとれない?


    ≪25日の日経平均 = 上げ +13.82円≫

    ≪26日の日経平均は? 予想 = 下げ

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サタデー自習室 -- 現代のお宝・ レアメタル ⑧
2010-03-27-Sat  CATEGORY: 政治・経済
◇ 再び値上がり中 = レアメタルの価格は03年ごろから07年にかけて急上昇した。たとえば07年のニッケル、タングステン、ネオジウムなどの国際価格を03年と比べると、5倍から7倍に跳ね上がっている。日本の輸入価格も同様に急騰した。ただ08年に入ると世界不況の影響が出始め、価格は軒並み反落した。

それが不況の回復傾向と合わせて、最近は再び上昇している。液晶テレビの透明電極材となるインジウムや特殊鋼の製造に欠かせないモリブデンは、昨年秋より30-40%の値上がり。永久磁石用のネオジウムの輸入価格も1キログラム当たり40ドル近くと、1年半ぶりの高値となった。ニューヨーク市場のプラチナ先物相場は、08年春には1トロイオンス当たり2200ドルまで上昇。08年10月には800ドルを割ったが、現在は1300ドルに戻している。

反発の理由は、言うまでもなく世界経済の好転。自動車や電機の生産が増加するにつれて、レアメタルの需要が回復してきたからだ。特に中国の需要が著しく伸びている。中国が自国で産出するレアメタルに輸出税をかけたことも大きい。つまり中国は需要と供給の両面から、レアメタル価格の上昇要因になっているわけだ。

レアメタルのほとんどを輸入に頼っている日本にとって、価格の上昇は直ちにコスト高につながる。また入手が困難になれば、ハイテク製品の生産ができなくなる。対策としては備蓄を増やすほか、海外での権益確保、自主開発、リサイクルの徹底、効率的な使用や代替品の開発などの技術革新。これらのすべてに全精力を傾注しなければ、日本経済の将来は雲に閉ざされてしまう。


                            (続きは来週サタデー)

    ≪26日の日経平均 = 上げ +167.52円≫

    【今週の日経平均予想 = 2勝2敗】 

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サンデー実験室 = 孫に聞かせる経済の話
2010-03-28-Sun  CATEGORY: 政治・経済
第17章 国債って、なんだろう? ⑫

国会で10年度予算が成立しました。この予算通りに行くと、来年3月末の国債発行残高は637兆円となる見込みです。また来年3月末には、政府の債務残高が973兆円に達します。この金額は国の経済規模であるGDP(国内総生産)に対して197%、つまりほぼ2倍という大きなものです。ほかの主要国で100%に達しているところはありません。

いま南ヨーロッパのギリシャが財政の危機に陥っています。このギリシャでさえ、GDPに対する政府債務の比率は124%です。日本はなぜ危機に陥らないのでしょうか。いちばん大きな違いは、日本の国債はほとんどが国内で買われていて、外国人の保有は7%ぐらいしかありません。これに対してギリシャの場合は、外国人が70%ぐらい買っていることです。外国人がギリシャの国債に不安を持ち、買わなくなったため大問題が生じたわけです。

国が借金を返せなくなったことは、これまでにも例があります。たとえば1990年代にはタイや韓国、それにロシア。01年末にはアルゼンチンが、そういう状態に陥りました。これらの国々は通貨の下落や金利の上昇で経済が不況に落ち込み、インフレと失業の増加に悩まされたのです。

日本は大丈夫なのでしょうか。日本の国債が国内で消化されているのは、国民がたくさん貯蓄をしているからです。日銀の計算によると、その金額は昨年末で1087兆円ありました。でも政府の債務残高との差は、もうあまりなくなってきています。日本もこれからは国債の発行を増やすと売れなくなり、金利が上がり始める危険があります。もうギリギリのところに近づいていると言っていいでしょう。


                            (国債って は終わり)

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今週のポイント
2010-03-29-Mon  CATEGORY: 政治・経済
今週は木曜日から新年度入り。新しい制度も、いろいろスタートする。コメ作り農家に対する戸別所得補償、高校授業料の無償化、薬価・診療報酬と国民年金保険料の引き上げ、改正省エネ法の施行など。1-3月期に減速した景気が、4-6月期には勢いを取り戻せるのか。普天間基地の移設問題も大詰めを迎え、政治も激動期に入りそうな気配が濃くなってきている。

先週の日経平均は週間172円の上昇。金曜日には一時1万1000円を超える場面もあった。一方、ダウ平均は週間108ドルの値上がり。EU首脳が、ギリシャの財政問題をIMFの主導で解決する方向を打ち出したことが材料となった。ただEU自体の支援については合意できなかったから、まだ予断を許さない。ダウ平均が1万1000ドルを超えて続伸するかどうかは、やはりアメリカの景気見通しにかかってくるだろう。

この点で注目されるのは、2日に発表されるアメリカの3月の雇用統計。国勢調査が実施されたために、政府による雇用が大幅に増えたことは確実だ。市場では20万人前後の雇用者増になるとみている。特殊事情があったとしても、昨年11月を除いて過去25か月間減り続いてきた雇用者数が、大幅な増加となれば景気を見る目も変わってくるに違いない。アメリカでは30日に、3月のコンファレンスボード消費者信頼感指数。1日には、3月の新車販売台数が発表になる。

国内では29日に、2月の商業販売。30日には、2月の家計調査、労働力調査、鉱工業生産。31日には、2月の住宅着工件数。1日には、4月の日銀短観と3月の新車販売台数が発表される。いずれも重要な指標だが、おおむね悪い結果が出ることはなさそうだ。


    ≪29日の日経平均は? 予想 = 下げ

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仰天! 子ども手当て法の欠陥
2010-03-30-Tue  CATEGORY: 政治・経済
◇ 第1条から間違えた = 話題の「子ども手当て法」が国会で成立した。ところが、この法律には重大な欠陥がある。その第1条には「子どもを養育している者に、子ども手当てを支給することにより、次代の社会を担う子どもの成長および発達に資することを目的とする」と書かれているが、間違いはここから発生した。

つまり手当ての支給先を子どもではなく、養育者と決めてしまった。このため養育者のいない子どもには、支給できない。何らかの理由で親や養育者のいない子ども、たとえば児童養護施設にいる子どもは対象外になってしまった。こんなに不公平な話はないだろう。子どもに支給するが、受取人はその子の面倒をみている者とすれば、こんな欠陥は生じなかった。

第4条では、養育者が「日本国内に住所を有するときに支給する」と規定している。このため親が海外にいると、子どもが国内にいても支給されない。逆に子どもは国内にいなくても、親や養育者が国内にいれば支給されることになってしまった。これも奇妙な話である。

もっと極端なケース。外国人が出稼ぎで日本に居住している場合、出身国に子どもがいれば手当てがもらえる。国会でも「中国の農村部では平均所得が6万7000円程度。子ども手当ての5か月分にすぎない。手当て目当ての外国人が増えたら」という質問が出たが、答えはうやむや。一夫多妻制の国から子どもが何十人もいる人がきたら、どうするんだろう。ザル法はいくらもあるが、こんなに欠陥のある法律も珍しい。


    ≪29日の日経平均 = -9.90円≫

    ≪30日の日経平均は? 予想 = 上げ

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改正派遣法は 吉か凶か? (上)
2010-03-31-Wed  CATEGORY: 政治・経済
◇ 自由化から規制へ = 政府は労働者派遣法の改正案を決定。改正派遣法が今国会で成立する見通しとなった。改正案の骨子は、①製造業への派遣は、常用型以外には認めない②登録型派遣は、専門的な26業務を除いて原則禁止③日雇いを含む2か月以下の短期派遣は、原則禁止--の3点。実施は③については年内、①と②については3年後。②のうち一般事務職については5年後と決めている。

常用型というのは、派遣会社との間で常に雇用契約が結ばれるタイプで、仕事がなくても一定の給与が保証される。これに対して登録型は、仕事があるときだけ派遣会社と契約を結ぶタイプ。この登録型は原則禁止だが、秘書や通訳、ソフトウェア開発業務など26の専門業務については認められる。

厚生労働省によると、昨年6月時点で派遣労働者の総数は202万人だった。このうち常用型は115万人、登録型は87万人で8割が女性。全体の半分に当たる44万人が、禁止の対象になる。リクルートのワークス研究所によると、結果として18万人が職を失う恐れがあるというから、影響は小さくない。

労働者派遣法が最初に施行されたのは1986年。専門的な13業務だけに派遣を認めた。99年には建設、警備などを除いて原則自由化。さらに04年には製造業にも解禁された。ところが今回の不況で“派遣切り”が社会問題となり、自由化路線が一転して原則禁止の規制路線に転換したことになる。この転換については、賛否両論が激しく対立。双方の理屈にはそれなりの説得力もあって、にわかに軍配は上げにくい。


                                    (続きは明日)

    ≪30日の日経平均 = 上げ +110.67円≫

    ≪31日の日経平均は? 予想 = 上げ≫   

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