鉱工業生産に占める自動車のウエートは、たとえば乗用車だけをとってみると1割強である。だがバスやトラックを含め、部品の生産までを勘定に入れるとウエートは2割に達する。さらに鉄鋼やゴム、ガラスやクッションなどの原材料を計算に入れると、その比重はきわめて大きくなる。
そこで乗用車の在庫を調べてみると、2月の在庫指数は88.9にまで下落した。昨年2月の指数は134.4だったから、自動車メーカーは減産によって在庫を大幅に減らしたことがわかる。在庫水準が十分に低下すれば、減産にはブレーキがかかるはずだ。
経済産業省の予測調査から輸送用機械工業の部分を取り出してみると、まず1月時点での2月予測は20.4%の減少だった。これが今回の調査では、3月が6.2%、4月が7.0%の増加に変わっている。生産全体の予測値をプラスにした大きな要因にちがいない。
もちろん、予測が当たるとは限らない。ただ自動車の内需と輸出が大きく下ぶれしなければ、自動車の生産がこれ以上に減ることはないだろう。それが工業生産全体の回復につながって行く。こう考えてみると、2月の生産統計からは、ほんのりとした明るさも読み取れる。
≪31日の日経平均 = 下げ -126.55円≫
≪1日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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そこで乗用車の在庫を調べてみると、2月の在庫指数は88.9にまで下落した。昨年2月の指数は134.4だったから、自動車メーカーは減産によって在庫を大幅に減らしたことがわかる。在庫水準が十分に低下すれば、減産にはブレーキがかかるはずだ。
経済産業省の予測調査から輸送用機械工業の部分を取り出してみると、まず1月時点での2月予測は20.4%の減少だった。これが今回の調査では、3月が6.2%、4月が7.0%の増加に変わっている。生産全体の予測値をプラスにした大きな要因にちがいない。
もちろん、予測が当たるとは限らない。ただ自動車の内需と輸出が大きく下ぶれしなければ、自動車の生産がこれ以上に減ることはないだろう。それが工業生産全体の回復につながって行く。こう考えてみると、2月の生産統計からは、ほんのりとした明るさも読み取れる。
≪31日の日経平均 = 下げ -126.55円≫
≪1日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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日銀が発表した3月の企業短期経済観測調査は、いま日本経済の状態が戦後で最も深い“どん底”に落ち込んでいることを示している。企業の景況感を表わすDI (業況判断指数)は、大企業・製造業でマイナス58。前回12月の調査結果より、一挙に34ポイントも悪化した。
日銀の短観は、全国1万社以上の企業を対象に、3か月ごとの景況感を調査しているもの。今回は2月23日から3月31日にかけて行なわれた。DI は景況感が「良い」と答えた企業の割合から「悪い」と答えた企業の割合を差し引いた数値。この数値は企業経営者の心理を反映するものとして、一般の信頼度が高い。
大企業・製造業のDI が過去最低だったのは、石油ショック時の75年5月調査で記録したマイナス57。今回はそれをわずかながら下回って、最低記録を更新した。業種別のDI をみると、自動車がマイナス92、木材・木製品がマイナス82、非鉄金属マイナス81、電機マイナス69、鉄鋼マイナス65などとなっている。
また大企業・非製造業のDI はマイナス31で、前回より14ポイントの悪化。中堅企業・製造業と中小企業・製造業はともにマイナス57で、やはり最悪の状況を示している。これらの調査結果をみるかぎり、この2-3月は企業の現状判断が戦後で最も冷え込んだ水準にあると言えるだろう。
(続きは明日)
≪1日の日経平均 = 上げ +242.38円≫
≪2日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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日銀の短観は、全国1万社以上の企業を対象に、3か月ごとの景況感を調査しているもの。今回は2月23日から3月31日にかけて行なわれた。DI は景況感が「良い」と答えた企業の割合から「悪い」と答えた企業の割合を差し引いた数値。この数値は企業経営者の心理を反映するものとして、一般の信頼度が高い。
大企業・製造業のDI が過去最低だったのは、石油ショック時の75年5月調査で記録したマイナス57。今回はそれをわずかながら下回って、最低記録を更新した。業種別のDI をみると、自動車がマイナス92、木材・木製品がマイナス82、非鉄金属マイナス81、電機マイナス69、鉄鋼マイナス65などとなっている。
また大企業・非製造業のDI はマイナス31で、前回より14ポイントの悪化。中堅企業・製造業と中小企業・製造業はともにマイナス57で、やはり最悪の状況を示している。これらの調査結果をみるかぎり、この2-3月は企業の現状判断が戦後で最も冷え込んだ水準にあると言えるだろう。
(続きは明日)
≪1日の日経平均 = 上げ +242.38円≫
≪2日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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企業の現状判断は、戦後でいちばん深いどん底に。だが今回の日銀短観には、一筋の淡い光も射し込んでいる。というのは大企業に関するかぎり、3か月後にはマイナス幅が少し縮まるとみているからだ。製造業は7ポイント、非製造業は1ポイントそれぞれ改善する予想となっている。
大企業の予想が多少なりとも改善するのは、なんと3年ぶりのこと。業種別にみると、製造業では石油・石炭製品、化学、非鉄金属、自動車。非製造業では小売業とリース業の改善度合いが大きくなっている。ただ中堅企業と中小企業の先行き見通しは、3か月後も悪化する予想になっている。
たとえば今回の現状判断がマイナス92にまで落ち込んだ自動車業界は、6月の見通しをマイナス83と回答している。これには現状の落ち込みがあまりにも激しいため、その反動で少しは改善するという期待が込められているのかもしれない。だが、それよりも在庫調整の進展で多少の改善を見込んだのではないだろうか。
マイナス92がマイナス83に改善したとしても、その水準自体はきわめて低い。したがって景況感のレベルがプラスに戻るには、かなりの日時を要するだろう。ただ最悪の事態からわずかでも脱出できることは大きい。6月の日銀短観が、その確認になることを期待したい。
≪2日の日経平均 = 上げ +367.87円≫
≪3日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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大企業の予想が多少なりとも改善するのは、なんと3年ぶりのこと。業種別にみると、製造業では石油・石炭製品、化学、非鉄金属、自動車。非製造業では小売業とリース業の改善度合いが大きくなっている。ただ中堅企業と中小企業の先行き見通しは、3か月後も悪化する予想になっている。
たとえば今回の現状判断がマイナス92にまで落ち込んだ自動車業界は、6月の見通しをマイナス83と回答している。これには現状の落ち込みがあまりにも激しいため、その反動で少しは改善するという期待が込められているのかもしれない。だが、それよりも在庫調整の進展で多少の改善を見込んだのではないだろうか。
マイナス92がマイナス83に改善したとしても、その水準自体はきわめて低い。したがって景況感のレベルがプラスに戻るには、かなりの日時を要するだろう。ただ最悪の事態からわずかでも脱出できることは大きい。6月の日銀短観が、その確認になることを期待したい。
≪2日の日経平均 = 上げ +367.87円≫
≪3日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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9)ビッグスリーの命運 = 世界大不況の進行で最も大きな打撃を受けたのは、自動車産業だろう。なかでも“自動車王国”アメリカの自動車メーカーが最大の被害を蒙ったことは、皮肉としか言いようがない。すでにGMとクライスラーは、政府の管理下に置かれている。その結末しだいでは、自動車産業の世界的な再編成の起爆剤となる可能性もある。
ことし創業101年を迎えるGMは、つい2年前まで世界一の販売台数を誇っていた。それが昨年秋からは売れ行きが半減、あっと言う間に経営不振に陥った。昨年の最終損益は308億6000万ドル(約3兆円)の赤字。政府から134億ドルの融資を受けたが、さらに166億ドルの追加融資を要請している。アメリカで3位のクライスラーも、政府の融資に頼って生き延びてきた。
オバマ大統領は3月30日、GMに対しては60日以内に抜本的なリストラを含む経営計画の刷新。クライスラーに対しては30日以内にイタリアのフィアットとの提携。この条件が充たされれば追加融資に応じるが、そうでなければ破産法11条の適用を考えると表明した。リストラについては労働組合と大口債権者がネックとなっており、予断は許さない情勢だ。
いずれにしても、GMの子会社であるスウェーデンのサーブ、ドイツのオペルは新たな提携先を見付けなければ生き残れない。またGMがアメリカに設立したトヨタとの合弁会社や、カナダに作ったスズキとの合弁会社。あるいは日産とクライスラーの生産協力をどうするか。問題は日本メーカーにも波及する。アメリカ第2位のフォードはまだ政府の支援を受けていないが、昨年の最終赤字は145億7000万ドルに達した。
(続きは来週サタデー)
≪3日の日経平均 = 上げ +30.06円≫
【今週の日経平均予想 = 4勝1敗】
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ことし創業101年を迎えるGMは、つい2年前まで世界一の販売台数を誇っていた。それが昨年秋からは売れ行きが半減、あっと言う間に経営不振に陥った。昨年の最終損益は308億6000万ドル(約3兆円)の赤字。政府から134億ドルの融資を受けたが、さらに166億ドルの追加融資を要請している。アメリカで3位のクライスラーも、政府の融資に頼って生き延びてきた。
オバマ大統領は3月30日、GMに対しては60日以内に抜本的なリストラを含む経営計画の刷新。クライスラーに対しては30日以内にイタリアのフィアットとの提携。この条件が充たされれば追加融資に応じるが、そうでなければ破産法11条の適用を考えると表明した。リストラについては労働組合と大口債権者がネックとなっており、予断は許さない情勢だ。
いずれにしても、GMの子会社であるスウェーデンのサーブ、ドイツのオペルは新たな提携先を見付けなければ生き残れない。またGMがアメリカに設立したトヨタとの合弁会社や、カナダに作ったスズキとの合弁会社。あるいは日産とクライスラーの生産協力をどうするか。問題は日本メーカーにも波及する。アメリカ第2位のフォードはまだ政府の支援を受けていないが、昨年の最終赤字は145億7000万ドルに達した。
(続きは来週サタデー)
≪3日の日経平均 = 上げ +30.06円≫
【今週の日経平均予想 = 4勝1敗】
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第14章 国際収支って、なんだろう? ①
みなさんの家では、お母さんが家計簿をつけているでしょう。おカネがどこから、どれだけ入ってきたか。また食料品や衣類や学校の授業料など、使ったおカネが1か月でどのくらいになったか。その結果、今月はいくら余って貯金できたか・・・。家計簿を見れば、1か月間の収入と支出がすぐにわかりますね。
国際収支というのは、国の家計簿と考えてもいいでしょう。国際というのは「国と国の間の」という意味です。収支は収入と支出でしたね。ですから国際収支は、国と国とのおカネのやりとりを記録したものということになります。
では、国と国とのおカネのやりとりには、どんなものがあるでしょう。みなさんも一緒に考えてみてください。まず貿易がありますね。貿易についてもっと勉強したい人は、このブログの07年2-3月「貿易って、なんだろう?」( http://economy33.blog77.fc2.com/blog-entry-126.html )をもういちど読み返してください。
貿易のほかにも、みなさんが外国へ旅行しておカネを使う。外国人が日本の株式を買う。日本の会社が外国のビルを買う。外国で勉強している子どもに、日本からおカネを送る。いろいろな場合に、日本と外国との間でおカネがやりとりされています。まだありますから、みなさんも何か考えてみてください。
(続きは来週日曜日)
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みなさんの家では、お母さんが家計簿をつけているでしょう。おカネがどこから、どれだけ入ってきたか。また食料品や衣類や学校の授業料など、使ったおカネが1か月でどのくらいになったか。その結果、今月はいくら余って貯金できたか・・・。家計簿を見れば、1か月間の収入と支出がすぐにわかりますね。
国際収支というのは、国の家計簿と考えてもいいでしょう。国際というのは「国と国の間の」という意味です。収支は収入と支出でしたね。ですから国際収支は、国と国とのおカネのやりとりを記録したものということになります。
では、国と国とのおカネのやりとりには、どんなものがあるでしょう。みなさんも一緒に考えてみてください。まず貿易がありますね。貿易についてもっと勉強したい人は、このブログの07年2-3月「貿易って、なんだろう?」( http://economy33.blog77.fc2.com/blog-entry-126.html )をもういちど読み返してください。
貿易のほかにも、みなさんが外国へ旅行しておカネを使う。外国人が日本の株式を買う。日本の会社が外国のビルを買う。外国で勉強している子どもに、日本からおカネを送る。いろいろな場合に、日本と外国との間でおカネがやりとりされています。まだありますから、みなさんも何か考えてみてください。
(続きは来週日曜日)
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ウォール街の空気が、目に見えて好転した。ダウ平均は先週241ドルの上昇。2か月ぶりに8000ドルの大台を回復した。G20金融会議の結果や金融機関に対する時価評価制度の緩和を歓迎したもの。これで4週連続の上げを記録した。この勢いは今週も続くという見方が、ウォール街では大勢を占めている。
ニューヨークに引っ張られる形で、日経平均も123円値上がりした。こちらも4週連続の上昇。特にダウ平均の回復に伴って、ドル高の傾向が顕著になってきたことは重要だ。円相場は5か月ぶりに100円近辺にまで下落している。今週もダウ平均が堅調ならば、円高の傾向が続くだろう。
国内の経済指標は、6日に2月の景気動向指数。8日に2月の国際収支と3月の景気ウォッチャー調査。9日には2月の機械受注が発表になる。動向指数や機械受注は2月の結果だから、悪い数字になりそうだ。だがマーケットは織り込み済みにちがいない。
今週は日米ともに、3月期の決算発表が始まる。これも予想外に悪いのでなければ、悪材料にはならないだろう。もちろん今後の株価が一本調子の上昇というわけには行かないが、日米の株価は大底を打った可能性がきわめて高い。
≪6日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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ニューヨークに引っ張られる形で、日経平均も123円値上がりした。こちらも4週連続の上昇。特にダウ平均の回復に伴って、ドル高の傾向が顕著になってきたことは重要だ。円相場は5か月ぶりに100円近辺にまで下落している。今週もダウ平均が堅調ならば、円高の傾向が続くだろう。
国内の経済指標は、6日に2月の景気動向指数。8日に2月の国際収支と3月の景気ウォッチャー調査。9日には2月の機械受注が発表になる。動向指数や機械受注は2月の結果だから、悪い数字になりそうだ。だがマーケットは織り込み済みにちがいない。
今週は日米ともに、3月期の決算発表が始まる。これも予想外に悪いのでなければ、悪材料にはならないだろう。もちろん今後の株価が一本調子の上昇というわけには行かないが、日米の株価は大底を打った可能性がきわめて高い。
≪6日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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ロンドンで先週末に開かれたG20(主要20か国)金融サミット。参加国が10年末までに総額5兆ドル(約500兆円)の財政支出をするなどの首脳宣言を採択、株式市場も結果を好感した。オバマ米大統領や議長役のブラウン英首相が脚光を浴びたのは当然としても、わが麻生首相の存在感はなきに等しいというのが率直な印象だった。
中国の胡錦濤国家主席はサミットで演説し「中国は4兆元(約57兆円)の景気対策を実施中で、すでに回復の兆しが出ている」と胸を張った。麻生さんは国内では、国会でもテレビでも「総額75兆円の3段ロケットだ」と吹聴していた。中国よりも大規模な景気対策なら、なぜサミットの場でも大見得を切らなかったのだろう。
理由は、そんなことを言ったら各国から笑われるからだ。麻生首相の言う75兆円には、銀行に対する資本注入に備える分や、住宅ローンの貸し出し枠の増加で住宅の着工や購入が増えると予想される分までが含まれている。麻生さんが言うところの3段ロケットで、政府が実際に支出する現ナマは約12兆円にすぎない。
ある意味では、麻生首相は国民に“獲らぬ狸の皮算用”を説明したことになる。だが本当のところは、麻生さん自身が、財務省にだまされていたのではないか。財務省はこの獲らぬ狸の計算法を「事業規模」と称して、以前から公表している。しかし、こんな皮算用は外国には通じない。麻生首相もこれに懲りて、事業規模の数字は口にしないことだ。
≪6日の日経平均 = 上げ +108.09円≫
≪7日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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中国の胡錦濤国家主席はサミットで演説し「中国は4兆元(約57兆円)の景気対策を実施中で、すでに回復の兆しが出ている」と胸を張った。麻生さんは国内では、国会でもテレビでも「総額75兆円の3段ロケットだ」と吹聴していた。中国よりも大規模な景気対策なら、なぜサミットの場でも大見得を切らなかったのだろう。
理由は、そんなことを言ったら各国から笑われるからだ。麻生首相の言う75兆円には、銀行に対する資本注入に備える分や、住宅ローンの貸し出し枠の増加で住宅の着工や購入が増えると予想される分までが含まれている。麻生さんが言うところの3段ロケットで、政府が実際に支出する現ナマは約12兆円にすぎない。
ある意味では、麻生首相は国民に“獲らぬ狸の皮算用”を説明したことになる。だが本当のところは、麻生さん自身が、財務省にだまされていたのではないか。財務省はこの獲らぬ狸の計算法を「事業規模」と称して、以前から公表している。しかし、こんな皮算用は外国には通じない。麻生首相もこれに懲りて、事業規模の数字は口にしないことだ。
≪6日の日経平均 = 上げ +108.09円≫
≪7日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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アメリカの財務会計基準審議会(FASB)は2日、時価会計制度の緩和を決定した。具体的には、時価会計の適用を必要としない金融資産の対象を拡大したもので、1-3月期の決算にさかのぼって実施する。これによってアメリカの金融機関は、価値が激減したサブプライム証券などを時価評価しなくて済み、決算の数字がかなり改善される。
時価会計制度というのは、企業が保有する株式や債券などの金融資産を、取得額ではなく期末の時価で再評価して決算する方法。企業経営の透明性を確保する方式として、アメリカが普及を強く呼びかけた。日本も01年の3月期決算から導入している。
ところが今回の金融危機で、アメリカの金融機関が保有する金融資産が大幅に減価した。これを救済するために、FASBはさっさと緩和を決定したわけ。たとえばシティ・グループは1500億ドル(約15兆円)のボロ資産を抱えているとみられ、これを時価でなく取得価格で評価した場合の差はきわめて大きいと考えられる。
日本では企業会計基準委員会(ASBJ)がこの問題に責任を持っているが、いまのところ動きはない。そんななかで、みずほフィナンシャル・グループなど3メガバンクが、この3月期にそろって赤字に転落するというニュースも伝わった。企業の透明性も大事だが、決算は原価主義で行なう代わりに、保有資産の時価評価額も発表するなどの対策も考えたらどうだろうか。
≪7日の日経平均 = 下げ -25.08円≫
≪8日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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時価会計制度というのは、企業が保有する株式や債券などの金融資産を、取得額ではなく期末の時価で再評価して決算する方法。企業経営の透明性を確保する方式として、アメリカが普及を強く呼びかけた。日本も01年の3月期決算から導入している。
ところが今回の金融危機で、アメリカの金融機関が保有する金融資産が大幅に減価した。これを救済するために、FASBはさっさと緩和を決定したわけ。たとえばシティ・グループは1500億ドル(約15兆円)のボロ資産を抱えているとみられ、これを時価でなく取得価格で評価した場合の差はきわめて大きいと考えられる。
日本では企業会計基準委員会(ASBJ)がこの問題に責任を持っているが、いまのところ動きはない。そんななかで、みずほフィナンシャル・グループなど3メガバンクが、この3月期にそろって赤字に転落するというニュースも伝わった。企業の透明性も大事だが、決算は原価主義で行なう代わりに、保有資産の時価評価額も発表するなどの対策も考えたらどうだろうか。
≪7日の日経平均 = 下げ -25.08円≫
≪8日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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麻生首相がご執心なこともあって、自民・公明の与党は贈与税の軽減に踏み切った。これまで自民党の政府紙幣・無利子国債発行を検討する議員連盟や日本経済再生戦略会議など、いくつもの党内グループが贈与税の軽減を提言。党の税制調査会も、最後に合意した。
個人が保有する金融資産は、およそ1400兆円。このうちタンス預金などの形で眠っているのは、179兆円にのぼるという試算もある。贈与税を軽減することで、眠っているおカネを若い人たちに移転させ、大いに使ってもらって景気を良くしようというのが発想の原点だ。
ただ自民党内でも、反対論は少なくなかった。まず「金持ち優遇」の批判が強まると、総選挙ではマイナスの要素になるかもしれないという心配。また贈与税の軽減には税制改正が必要だが、いまの国会に税制改正法案を出せば、決着が付くまでは解散・総選挙を断行しにくくなってしまう。そんな反対論を押し切っての減税である。
現在までに表面化した贈与税の軽減案は、大別すると3つに分かれていた。第1は贈与税の基礎控除額を引き上げる案。第2は財産の贈与を受ける人が、それを使って住宅や自動車を購入する場合に限って、その分の贈与税を免除する案。第3は贈与者が無利子の国債を購入すると、相続の際にその分を非課税にするという案。
(続きは明日)
≪8日の日経平均 = 下げ -237.84円≫
≪9日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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個人が保有する金融資産は、およそ1400兆円。このうちタンス預金などの形で眠っているのは、179兆円にのぼるという試算もある。贈与税を軽減することで、眠っているおカネを若い人たちに移転させ、大いに使ってもらって景気を良くしようというのが発想の原点だ。
ただ自民党内でも、反対論は少なくなかった。まず「金持ち優遇」の批判が強まると、総選挙ではマイナスの要素になるかもしれないという心配。また贈与税の軽減には税制改正が必要だが、いまの国会に税制改正法案を出せば、決着が付くまでは解散・総選挙を断行しにくくなってしまう。そんな反対論を押し切っての減税である。
現在までに表面化した贈与税の軽減案は、大別すると3つに分かれていた。第1は贈与税の基礎控除額を引き上げる案。第2は財産の贈与を受ける人が、それを使って住宅や自動車を購入する場合に限って、その分の贈与税を免除する案。第3は贈与者が無利子の国債を購入すると、相続の際にその分を非課税にするという案。
(続きは明日)
≪8日の日経平均 = 下げ -237.84円≫
≪9日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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現行の制度は、贈与税の基礎控除額が年間110万円。これを超えた分の贈与には10-50%の累進課税が適用される。また精算課税制度を使えば2500万円までが非課税となるが、この分は実際に相続する際に精算しなければならない。この基礎控除を大幅に引き上げる案が一時は有力だった。
ところが、この案だと受取人がこれを消費する保証はない。そこで受取人が住宅を購入したり改修した場合に限って、非課税ワクを拡大する案が登場。10年末までの期限付きで、610万円を非課税とすることになった。この案の欠点は、仮に一時的に住宅の需要が増えたとしても、あとは反動減に見舞われやすいこと。それを防ごうとすれば、この制度を再び延長しなければならない。
無利子の相続国債を発行する案は、一見よさそうにも思えた。しかし償還期限が10-20年という国債を、早めに買い込む人はまずいない。変な話だが、死期を悟った親たちが買うことになれば、財務省はみすみす相続税収を失うだけ。まさか購入希望者に「医者の診断書を持ってこい」とは言えないので、見送られたという。
肝心なことは、世の親たちがこうした勧誘策に乗るかどうかだ。現行110万円の基礎控除額が610万円になったから、家を建てようと決心する人が何人いるだろう。と言って控除額を拡大しすぎれば、金持ち優遇と叩かれる。結局は中途半端な減税で、景気対策としての効果はあまり期待できそうにない。
≪9日の日経平均 = 上げ +321.05円≫
≪10日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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ところが、この案だと受取人がこれを消費する保証はない。そこで受取人が住宅を購入したり改修した場合に限って、非課税ワクを拡大する案が登場。10年末までの期限付きで、610万円を非課税とすることになった。この案の欠点は、仮に一時的に住宅の需要が増えたとしても、あとは反動減に見舞われやすいこと。それを防ごうとすれば、この制度を再び延長しなければならない。
無利子の相続国債を発行する案は、一見よさそうにも思えた。しかし償還期限が10-20年という国債を、早めに買い込む人はまずいない。変な話だが、死期を悟った親たちが買うことになれば、財務省はみすみす相続税収を失うだけ。まさか購入希望者に「医者の診断書を持ってこい」とは言えないので、見送られたという。
肝心なことは、世の親たちがこうした勧誘策に乗るかどうかだ。現行110万円の基礎控除額が610万円になったから、家を建てようと決心する人が何人いるだろう。と言って控除額を拡大しすぎれば、金持ち優遇と叩かれる。結局は中途半端な減税で、景気対策としての効果はあまり期待できそうにない。
≪9日の日経平均 = 上げ +321.05円≫
≪10日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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10)政府の支援ラッシュ = 世界中が自動車の販売不振に悩むなか、いま例外はドイツである。国内の新車販売台数は2月が前年比21.5%増、3月は40%増になった。これはドイツ政府が1月末から始めた補助金制度の成果。車齢9年以上の車を排ガス規制対応車に買い換えると、2500ユーロ(約33万円)が支給される。
政府による公的な支援は、自動車メーカーを融資などによって直接的に援助する方法と、車の購入者に対して減税や補助金を出す間接的な方法に分けられる。前者の代表はアメリカ。またカナダやフランス、スウェーデンなどがこの方式。一方、ドイツ型は中国、インド、ブラジルなどが採用している。
日本はことし4月から、ハイブリッド車などに対する自動車取得税と重量税を軽減した。また電気自動車などエコカーの購入に、政府が最大25万円の補助金を出すことが、追加の景気対策に盛り込まれた。
各国が自動車産業の支援に力を入れるのは、どこの国でも自動車が産業の中核になっているからだ。ただ政府の支援が行きすぎると、不公正競争を惹き起こす懸念がある。また減税や補助金で販売が一時的に増加しても、いずれはその反動で売れ行きが落ち込むことも考えられる。
(続きは来週サタデー)
≪10日の日経平均 = 上げ +48.05円≫
【今週の日経平均予想 = 5勝0敗】
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政府による公的な支援は、自動車メーカーを融資などによって直接的に援助する方法と、車の購入者に対して減税や補助金を出す間接的な方法に分けられる。前者の代表はアメリカ。またカナダやフランス、スウェーデンなどがこの方式。一方、ドイツ型は中国、インド、ブラジルなどが採用している。
日本はことし4月から、ハイブリッド車などに対する自動車取得税と重量税を軽減した。また電気自動車などエコカーの購入に、政府が最大25万円の補助金を出すことが、追加の景気対策に盛り込まれた。
各国が自動車産業の支援に力を入れるのは、どこの国でも自動車が産業の中核になっているからだ。ただ政府の支援が行きすぎると、不公正競争を惹き起こす懸念がある。また減税や補助金で販売が一時的に増加しても、いずれはその反動で売れ行きが落ち込むことも考えられる。
(続きは来週サタデー)
≪10日の日経平均 = 上げ +48.05円≫
【今週の日経平均予想 = 5勝0敗】
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第14章 国際収支って、なんだろう? ②
国際収支というのは、国と国とのおカネのやりとりですね。そのなかで、いちばん金額が大きいのは貿易収支です。貿易は、輸出と輸入の両面から成り立っています。日本の国内で生産した商品を外国に売るのが輸出。外国で作られた商品を、日本が買い入れるのが輸入でしたね。
さっそく実際の統計を見てみましょう。国際収支の数字は月ごとに集計されていますが、ここでは08年(平成20年)4-6月期の統計で説明します。なにしろ世界各国とのおカネのやりとりですから、集計には時間がかかります。また訂正されることも多いので、1年前のもう訂正されない数字を使うことにしました。
08年4-6月期の輸出は、合計19兆9400億円でした。この輸出額は07年4-6月期に比べると2.3%増えています。一方、輸入は18兆6000億円でした。前年比では12.0%の増加です。この輸出額から輸入額を引いたものが貿易収支になります。つまり08年4-6月期の貿易収支は1兆3400億円の黒字でした。
ここで注意しなければいけないのは、貿易収支には2通りの統計があることです。もう1つは貿易統計と言って、全国の港や空港にある税関というお役所が輸出品と輸入品を調べて作っているもの。国際収支のなかの貿易収支は、計算方法が少し違うのです。この計算方法はIMF(国際通貨基金)という国際機関が決めたもので、世界中の国がこの方法を使って国際収支を集計しています。
(続きは来週日曜日)
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国際収支というのは、国と国とのおカネのやりとりですね。そのなかで、いちばん金額が大きいのは貿易収支です。貿易は、輸出と輸入の両面から成り立っています。日本の国内で生産した商品を外国に売るのが輸出。外国で作られた商品を、日本が買い入れるのが輸入でしたね。
さっそく実際の統計を見てみましょう。国際収支の数字は月ごとに集計されていますが、ここでは08年(平成20年)4-6月期の統計で説明します。なにしろ世界各国とのおカネのやりとりですから、集計には時間がかかります。また訂正されることも多いので、1年前のもう訂正されない数字を使うことにしました。
08年4-6月期の輸出は、合計19兆9400億円でした。この輸出額は07年4-6月期に比べると2.3%増えています。一方、輸入は18兆6000億円でした。前年比では12.0%の増加です。この輸出額から輸入額を引いたものが貿易収支になります。つまり08年4-6月期の貿易収支は1兆3400億円の黒字でした。
ここで注意しなければいけないのは、貿易収支には2通りの統計があることです。もう1つは貿易統計と言って、全国の港や空港にある税関というお役所が輸出品と輸入品を調べて作っているもの。国際収支のなかの貿易収支は、計算方法が少し違うのです。この計算方法はIMF(国際通貨基金)という国際機関が決めたもので、世界中の国がこの方法を使って国際収支を集計しています。
(続きは来週日曜日)
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日米の株価は先週で、ともに5週連続の上昇を記録した。ダウ平均は週間66ドル高。3月上旬の安値から1500ドル以上も値上がりした。先々週はほとんど強気一点張りだったウォール街にも、さすがに急速な上げに対する警戒感が流れ始めている。
日経平均は週間214円の上昇。こちらも1か月で1900円を超える値上がりとなった。一部業種で在庫調整が進んだこと、追加の景気対策などが買いの材料になった。先週あたりから外国人の買い越しが目立つ一方で、個人は利益確定を急いで売り越す展開となっている。
国内では13日に3月の企業物価。17日に3月の消費動向調査が発表になる。そのほか今週は決算発表が本格化するが、株価に大きな影響を与えることはなさそう。それより今週はアメリカと中国の実体経済に注目が集まりそうだ。
アメリカでは14日に3月の卸売物価と小売り売上高。15日に3月の消費者物価と鉱工業生産。16日には3月の住宅着工件数。決算発表はインテル、ゴールドマンサックス、グーグル、JPモルガンチェース、シティグループ、GEなど。また16日には中国の1-3月期GDP、3月の消費者物価、鉱工業生産が発表される予定。
≪13日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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日経平均は週間214円の上昇。こちらも1か月で1900円を超える値上がりとなった。一部業種で在庫調整が進んだこと、追加の景気対策などが買いの材料になった。先週あたりから外国人の買い越しが目立つ一方で、個人は利益確定を急いで売り越す展開となっている。
国内では13日に3月の企業物価。17日に3月の消費動向調査が発表になる。そのほか今週は決算発表が本格化するが、株価に大きな影響を与えることはなさそう。それより今週はアメリカと中国の実体経済に注目が集まりそうだ。
アメリカでは14日に3月の卸売物価と小売り売上高。15日に3月の消費者物価と鉱工業生産。16日には3月の住宅着工件数。決算発表はインテル、ゴールドマンサックス、グーグル、JPモルガンチェース、シティグループ、GEなど。また16日には中国の1-3月期GDP、3月の消費者物価、鉱工業生産が発表される予定。
≪13日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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政府・与党は10日、冷え込んだ景気を下支えするための「経済危機対策」を決定した。財政支出は15兆4000億円、事業規模は56兆8000億円。いずれも過去の景気対策を大幅に上回る超大型の施策である。政府は財源を裏付ける09年度補正予算と関連法案を、今月中に国会へ提出する予定。
対策の内容は、大きく4つに分かれている。第1は「景気底割れの回避」で、雇用対策と金融対策が中心。このための財政支出は4兆9000億円。第2は「未来への投資」で、低炭素革命と健康長寿・子育て、21世紀型インフラ整備など。支出は6兆2000億円にのぼる。
第3は「安心と活力の実現」で、内容は地域の活性化、安全・安心の確保、地方公共団体への配慮など。これに要する支出は4兆3000億円ほど。そして第4は税制改革、支出は1000億円程度となっている。まことに多岐、多方面にわたる政策のオンパレードだ。
ところが、これだけ巨大な財政支出を行なった結果はどうなるのだろう。政府は「09年度の実質GDP成長率を2%程度押し上げる効果が期待される」と説明している。具体的には、いまマイナス6%前後と予測されている成長率が、この対策でマイナス4%程度になるという見通しだ。なんとまあ、効果の小さい政策なのだろう。というのが偽らざる実感である。
(続きは明日)
≪13日の日経平均 = 下げ -39.68円≫
≪14日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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対策の内容は、大きく4つに分かれている。第1は「景気底割れの回避」で、雇用対策と金融対策が中心。このための財政支出は4兆9000億円。第2は「未来への投資」で、低炭素革命と健康長寿・子育て、21世紀型インフラ整備など。支出は6兆2000億円にのぼる。
第3は「安心と活力の実現」で、内容は地域の活性化、安全・安心の確保、地方公共団体への配慮など。これに要する支出は4兆3000億円ほど。そして第4は税制改革、支出は1000億円程度となっている。まことに多岐、多方面にわたる政策のオンパレードだ。
ところが、これだけ巨大な財政支出を行なった結果はどうなるのだろう。政府は「09年度の実質GDP成長率を2%程度押し上げる効果が期待される」と説明している。具体的には、いまマイナス6%前後と予測されている成長率が、この対策でマイナス4%程度になるという見通しだ。なんとまあ、効果の小さい政策なのだろう。というのが偽らざる実感である。
(続きは明日)
≪13日の日経平均 = 下げ -39.68円≫
≪14日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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今回の世界同時不況に直面してから、政府は3回にわたって対策を講じてきた。08年度の第1次と第2次の補正予算、それに09年度本予算に織り込んだ緊急対策。この3回にわたる経済対策で、政府が決めた財政支出の合計は約12兆円。それに今回の「危機対策」を加えると、支出総額は27兆4000億円に達する。
この金額は、日本のGDPのほぼ5%に相当する。国民1人当たり22万円。政府はこれだけの財政支出を、税金と借金で賄うわけだ。にもかかわらず、GDPは2ポイント程度しか押し上げられず、09年度の成長率はマイナス4%という悲惨な状態になると考えられている。
つまり27兆4000億円の現ナマを注ぎ込んでも、GDPは11兆円ぐらいしか増加しない。まことに効率の悪い施策である。その理由は2つ。まずは対策が遅れて、後手に回ったことだ。もっと早く手を打っていれば、景気はこんなに悪化せず、対策の効率も上がったはずだ。
もう1つは、対策の目的意識がぼやけていること。景気対策なら、不況によって生活が苦しくなった弱者の救済と効率のいい景気浮揚策に、大事な支出を集中すべきだった。それが有力な政治家や役所の要求をほとんど受け入れる形となり、いわゆる財政支出の乗数効果などは意識しない予算編成。要するに“バラマキ”になってしまった。
≪14日の日経平均 = 下げ -81.75円≫
≪15日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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この金額は、日本のGDPのほぼ5%に相当する。国民1人当たり22万円。政府はこれだけの財政支出を、税金と借金で賄うわけだ。にもかかわらず、GDPは2ポイント程度しか押し上げられず、09年度の成長率はマイナス4%という悲惨な状態になると考えられている。
つまり27兆4000億円の現ナマを注ぎ込んでも、GDPは11兆円ぐらいしか増加しない。まことに効率の悪い施策である。その理由は2つ。まずは対策が遅れて、後手に回ったことだ。もっと早く手を打っていれば、景気はこんなに悪化せず、対策の効率も上がったはずだ。
もう1つは、対策の目的意識がぼやけていること。景気対策なら、不況によって生活が苦しくなった弱者の救済と効率のいい景気浮揚策に、大事な支出を集中すべきだった。それが有力な政治家や役所の要求をほとんど受け入れる形となり、いわゆる財政支出の乗数効果などは意識しない予算編成。要するに“バラマキ”になってしまった。
≪14日の日経平均 = 下げ -81.75円≫
≪15日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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日銀の集計によると、3月の国内企業物価は前年比で2.2%下落した。この下げ幅は6年10か月ぶりの大きさである。不況による需要の減退が原因。品目別にみると、鉄鋼や鉄くずなどの下落が大きい。その半面、非鉄金属や化学製品は上昇。また原材料価格は、前月よりも下げ幅を縮小した。
企業物価というのは、企業同士が出荷や卸売りの段階でやりとりするモノの価格。むかし風に言えば、卸売り物価である。したがって、この企業物価の下落は消費者物価に波及しやすい。物価の下落は、消費者にとっては朗報だ。しかし企業にとっては利ざやの縮小につながり、歓迎されない。だから今回の企業物価の大幅下落についても、デフレ警戒論が頭を持ち上げている。
だが逆の考え方もできる。たとえば、いま仮に物価が急上昇したらどうだろう。それこそ大不況と物価急騰のはざまで、日本経済は身動きが取れなくなってしまうだろう。物価の下落は、消費の刺激にもなる。また企業にとっても、仕入れコストの引き下げにつながるし、輸出競争力も強まるにちがいない。
現在の物価下落は、不況による需要不足の結果であることに間違いはない。だから不況を克服して物価の下落を防ごうという考え方は正しいが、物価下落は悪だと決め付けるのはどんなものか。むしろ物価の下落には、景気を回復させる効用もある。デフレは不況の結果であり、それ自体を敵視するのはおかしい。
≪15日の日経平均 = 下げ -99.72円≫
≪16日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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企業物価というのは、企業同士が出荷や卸売りの段階でやりとりするモノの価格。むかし風に言えば、卸売り物価である。したがって、この企業物価の下落は消費者物価に波及しやすい。物価の下落は、消費者にとっては朗報だ。しかし企業にとっては利ざやの縮小につながり、歓迎されない。だから今回の企業物価の大幅下落についても、デフレ警戒論が頭を持ち上げている。
だが逆の考え方もできる。たとえば、いま仮に物価が急上昇したらどうだろう。それこそ大不況と物価急騰のはざまで、日本経済は身動きが取れなくなってしまうだろう。物価の下落は、消費の刺激にもなる。また企業にとっても、仕入れコストの引き下げにつながるし、輸出競争力も強まるにちがいない。
現在の物価下落は、不況による需要不足の結果であることに間違いはない。だから不況を克服して物価の下落を防ごうという考え方は正しいが、物価下落は悪だと決め付けるのはどんなものか。むしろ物価の下落には、景気を回復させる効用もある。デフレは不況の結果であり、それ自体を敵視するのはおかしい。
≪15日の日経平均 = 下げ -99.72円≫
≪16日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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政府・与党が決めた経済危機対策のなかで、ちょっと面白いのはエコポイント制度。消費者が省エネ型の家電製品を買うと、政府が購入価格の一定割合をエコポイントの形で還元するという新しい試みだ。具体的にはエアコン、冷蔵庫、地上デジタル対応テレビで4つ星以上の省エネラベルが付いた家電製品を買った場合に適用される。
エアコンと冷蔵庫は価格の5%分、テレビは10%分がポイントに。また古い家電をリサイクルに出すと、そのリサイクル料金もポイントに上乗せされる。たとえば20万円のテレビを買った場合、リサイクル料も含めて2万6000ポイント程度が還元されるという。ここで取得したポイントは、次回に省エネ家電を購入するときに使える。
ただ実際の運用方法については、環境省が中心となってこれから詰める。この制度をいつまで続けるのか。ポイントの有効期限をどうするか。製品価格に最高限度を設けるのか。あるいは1人の消費者が、いくつでも製品を買えるのか。政府はこうした点を販売業者とも調整したうえ、夏のボーナスセールに間に合うよう実施したいと言っている。
政府は、この制度の導入で「グリーン家電の爆発的な普及を図る」と自信満々の様子。家電業界の期待も大きい。だが問題はただ1つ。実施前の買い控えと実施後の反動減が、どのくらい表面化するかだ。政府が何千億円も使った結果、トータルでみれば変わり映えしないのでは意味がない。実験としては、とても面白いのだが・・・。
≪16日の日経平均 = 上げ +12.30円≫
≪17日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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エアコンと冷蔵庫は価格の5%分、テレビは10%分がポイントに。また古い家電をリサイクルに出すと、そのリサイクル料金もポイントに上乗せされる。たとえば20万円のテレビを買った場合、リサイクル料も含めて2万6000ポイント程度が還元されるという。ここで取得したポイントは、次回に省エネ家電を購入するときに使える。
ただ実際の運用方法については、環境省が中心となってこれから詰める。この制度をいつまで続けるのか。ポイントの有効期限をどうするか。製品価格に最高限度を設けるのか。あるいは1人の消費者が、いくつでも製品を買えるのか。政府はこうした点を販売業者とも調整したうえ、夏のボーナスセールに間に合うよう実施したいと言っている。
政府は、この制度の導入で「グリーン家電の爆発的な普及を図る」と自信満々の様子。家電業界の期待も大きい。だが問題はただ1つ。実施前の買い控えと実施後の反動減が、どのくらい表面化するかだ。政府が何千億円も使った結果、トータルでみれば変わり映えしないのでは意味がない。実験としては、とても面白いのだが・・・。
≪16日の日経平均 = 上げ +12.30円≫
≪17日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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11) 前方は視界不良 = 自動車の生産・販売に関する今後の見通しは、あまり芳しくない。まず09年の世界の新車販売について、ゴーン日産社長は5500万台。前年比で14%の減少になると予想。同社長は「ピークだった07年の6900万台の水準を回復するには、7年以上かかるだろう」とも述べている。フォルクスワーゲン社の09年の予測は5100万台で、より慎重だ。
アメリカ国内の09年の新車販売は、1100万ー1200万台に集中している。シティグループは1090万台、GMは1050万台と予測。07年の1600万台強、08年の1350万台に比べると、大幅な落ち込みになる。ほかにロシアは前年比35%減の130万台に。中国は前年比4-5%の増加、ブラジルも4%の増加を見込んでいる。
日本自動車工業会の見通しによると、09年度の軽自動車を含む国内販売台数は429万7000台で、前年度に比べ8%減少する。ただ政府の景気対策で減税が行なわれれば、31万台の増加が見込めるという。しかし、この分を加算しても08年度の実績470万台には届かない。ピークだった90年度の780万台に比べると、半分強の水準に落ち込む。
トヨタの計画では、09年度の生産台数は日野とダイハツを含めて700万台強。前年度比7%の減少となり、07年度に比べると20%以上の減産になる。またホンダは乗用車の国内生産を90万台の後半とみているようだ。ホンダの生産が100万台を割るのは、14年ぶりのことである。
(続きは来週サタデー)
≪17日の日経平均 = 上げ +152.32円≫
【今週の日経平均予想 = 5勝0敗】
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アメリカ国内の09年の新車販売は、1100万ー1200万台に集中している。シティグループは1090万台、GMは1050万台と予測。07年の1600万台強、08年の1350万台に比べると、大幅な落ち込みになる。ほかにロシアは前年比35%減の130万台に。中国は前年比4-5%の増加、ブラジルも4%の増加を見込んでいる。
日本自動車工業会の見通しによると、09年度の軽自動車を含む国内販売台数は429万7000台で、前年度に比べ8%減少する。ただ政府の景気対策で減税が行なわれれば、31万台の増加が見込めるという。しかし、この分を加算しても08年度の実績470万台には届かない。ピークだった90年度の780万台に比べると、半分強の水準に落ち込む。
トヨタの計画では、09年度の生産台数は日野とダイハツを含めて700万台強。前年度比7%の減少となり、07年度に比べると20%以上の減産になる。またホンダは乗用車の国内生産を90万台の後半とみているようだ。ホンダの生産が100万台を割るのは、14年ぶりのことである。
(続きは来週サタデー)
≪17日の日経平均 = 上げ +152.32円≫
【今週の日経平均予想 = 5勝0敗】
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第14章 国際収支って、なんだろう? ③
貿易は輸出と輸入から成り立っていますね。つまり自動車とか原油とか小麦とか。いろいろな品物が輸出されたり、輸入されたりした結果が、貿易収支です。ところが国と国との間では、品物のない取り引きもたくさん行われています。
たとえば、あなたがアメリカに行ってホテルに泊まったり、食事をしたり、タクシーに乗ったりしたとき。なにも品物は買いませんが、おカネを払うでしょう。このように品物のやりとりはないのに、おカネのやりとりが発生する。これをサービス収支と呼んでいます。
サービス収支には、品物や人を輸送する代金。通信や情報の料金、大事な品物の輸送にかける保険料、特許の使用料など、いろいろな種類の取り引きが含まれます。昨年4-6月期のサービス収支は、6500億円の赤字でした。
貿易収支とサービス収支を一緒にして、貿易・サービス収支と呼ぶことがあります。昨年4-6月期の貿易収支は、1兆3400億円の黒字でしたね。したがって、この期間の貿易・サービス収支は6900億円の黒字だったという計算になります。
(続きは来週日曜日)
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貿易は輸出と輸入から成り立っていますね。つまり自動車とか原油とか小麦とか。いろいろな品物が輸出されたり、輸入されたりした結果が、貿易収支です。ところが国と国との間では、品物のない取り引きもたくさん行われています。
たとえば、あなたがアメリカに行ってホテルに泊まったり、食事をしたり、タクシーに乗ったりしたとき。なにも品物は買いませんが、おカネを払うでしょう。このように品物のやりとりはないのに、おカネのやりとりが発生する。これをサービス収支と呼んでいます。
サービス収支には、品物や人を輸送する代金。通信や情報の料金、大事な品物の輸送にかける保険料、特許の使用料など、いろいろな種類の取り引きが含まれます。昨年4-6月期のサービス収支は、6500億円の赤字でした。
貿易収支とサービス収支を一緒にして、貿易・サービス収支と呼ぶことがあります。昨年4-6月期の貿易収支は、1兆3400億円の黒字でしたね。したがって、この期間の貿易・サービス収支は6900億円の黒字だったという計算になります。
(続きは来週日曜日)
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先週のダウ平均は48ドルの値上がり。これで6週連騰、その間の上昇率は22.7%に達した。6週間の上昇率としては、なんと1938年7月以来の記録だという。S&P500種も3月9日の安値から28.5%上昇した。景気の底入れ感が強まっていることと、GEやシティグループの決算が予想より良かったことが材料。ただ、さすがに買い疲れ感も出ており、今週はどうなるか。
日経平均は週間57円の値下がり。6週連騰はならなかった。株価が9000円に接近したため、信託銀行などの利益確定売りに押された形。今週から本格化する企業の決算内容が、アメリカのように予想を上回るものになるか。また円相場の動向も材料になりそうだ。
国内では、22日に3月の貿易収支。やはり輸出に下げ止まり感が出るかどうかが注目点だろう。24日には3月の企業向けサービス価格と2月の全産業活動指数が発表になる。決算発表はキヤノン電子、花王、野村ホールディングスなど。
アメリカでは、22日に2月の住宅価格。23日に3月の中古住宅販売。24日に3月の新築住宅販売など。全体として住宅関連に底入れ感が出るかどうか。決算はIBM、バンク・オブ・アメリカ、ヤフー、アップル、ウェルズファーゴ、マイクロソフトなど、大物が続々。ほかには24日にワシントンでG7財務相・中央銀行総裁会議、25日からIMF・世界銀行の年次総会が予定されている。
≪20日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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日経平均は週間57円の値下がり。6週連騰はならなかった。株価が9000円に接近したため、信託銀行などの利益確定売りに押された形。今週から本格化する企業の決算内容が、アメリカのように予想を上回るものになるか。また円相場の動向も材料になりそうだ。
国内では、22日に3月の貿易収支。やはり輸出に下げ止まり感が出るかどうかが注目点だろう。24日には3月の企業向けサービス価格と2月の全産業活動指数が発表になる。決算発表はキヤノン電子、花王、野村ホールディングスなど。
アメリカでは、22日に2月の住宅価格。23日に3月の中古住宅販売。24日に3月の新築住宅販売など。全体として住宅関連に底入れ感が出るかどうか。決算はIBM、バンク・オブ・アメリカ、ヤフー、アップル、ウェルズファーゴ、マイクロソフトなど、大物が続々。ほかには24日にワシントンでG7財務相・中央銀行総裁会議、25日からIMF・世界銀行の年次総会が予定されている。
≪20日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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日本の人口構造に、やはり大きな変化が現れてきた。総務省が発表した08年10月1日現在の推計人口を見ると、その変化がよく判る。
☆総人口がはっきり減り始めた = 総人口は1億2769万2000人。前年より7万9000人減少した。日本の総人口はピークだった04年の1億2778万7000人から減少傾向にあるが、年間8万人近くも減ったのは初めて。
男女別にみると、男性は5万9000人減り、4年連続の減少だった。また女性も2万人減ったが、女性人口の減少は初めての記録。日本の総人口減少は、これから次第に本格的になって行くと考えられる。
☆40道府県で減少した = 前年に比べて人口が増加したのは、東京都と愛知、滋賀、神奈川、千葉、埼玉、沖縄県の7都県だけ。あとの40道府県では減少した。前年は増加したのに今回は減少になったのは、静岡、三重、福岡の3県だった。
増加率が最も大きいのは東京都で、0.63%の増加。次いで愛知、滋賀県の順。減少率が最も大きかったのは秋田県で、1.14%の減少。次いで青森、高知、長崎、岩手県の順となっている。なお女性より男性の人口が多いのは、埼玉、神奈川、愛知の3県にとどまった。
(続きは明日)
≪20日の日経平均 = 上げ +17.17円≫
≪21日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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☆総人口がはっきり減り始めた = 総人口は1億2769万2000人。前年より7万9000人減少した。日本の総人口はピークだった04年の1億2778万7000人から減少傾向にあるが、年間8万人近くも減ったのは初めて。
男女別にみると、男性は5万9000人減り、4年連続の減少だった。また女性も2万人減ったが、女性人口の減少は初めての記録。日本の総人口減少は、これから次第に本格的になって行くと考えられる。
☆40道府県で減少した = 前年に比べて人口が増加したのは、東京都と愛知、滋賀、神奈川、千葉、埼玉、沖縄県の7都県だけ。あとの40道府県では減少した。前年は増加したのに今回は減少になったのは、静岡、三重、福岡の3県だった。
増加率が最も大きいのは東京都で、0.63%の増加。次いで愛知、滋賀県の順。減少率が最も大きかったのは秋田県で、1.14%の減少。次いで青森、高知、長崎、岩手県の順となっている。なお女性より男性の人口が多いのは、埼玉、神奈川、愛知の3県にとどまった。
(続きは明日)
≪20日の日経平均 = 上げ +17.17円≫
≪21日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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☆少子・高齢化が進んだ = 年少人口(0-14歳)は1717万6000人で、前年より11万6000人減った。総人口に対する年少人口の比率が最も高かったのは沖縄県で17.9%、低かったのは秋田県で11.5%となっている。
老齢人口(65歳以上)は2821万6000人で、前年比75万3000人の増加。比率が最も高かったのは島根県で28.6%、低かったのは沖縄県で17.2%だった。この老齢人口比率はすべての都道府県で上昇。全国平均は22.1%で、前年より0.6ポイント上昇した。老齢人口のうち75歳以上の人は1321万8000人で、はじめて総人口の1割を超えた。
☆4人に3人が戦後生まれ = 明治生まれの人は21万6000人、総人口の0.2%しかいなくなってしまった。大正生まれは566万3000人で4.4%。昭和生まれは9883万3000人で、77.4%を占めている。また平成生まれは2298万人で、全体の18%を占めるようになった。
一方、終戦の日で分けてみると、戦後生まれの人は9645万6000人で、総人口の75.5%に達した。ところが平均年齢が上昇したため、生産年齢人口(15-64歳)は8230万人。前年より71万5000人減ってしまった。今後も減少の見通しであり、経済的にはこの影響がいちばん大きいと思われる。
≪21日の日経平均 = 下げ -213.42円≫
≪22日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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老齢人口(65歳以上)は2821万6000人で、前年比75万3000人の増加。比率が最も高かったのは島根県で28.6%、低かったのは沖縄県で17.2%だった。この老齢人口比率はすべての都道府県で上昇。全国平均は22.1%で、前年より0.6ポイント上昇した。老齢人口のうち75歳以上の人は1321万8000人で、はじめて総人口の1割を超えた。
☆4人に3人が戦後生まれ = 明治生まれの人は21万6000人、総人口の0.2%しかいなくなってしまった。大正生まれは566万3000人で4.4%。昭和生まれは9883万3000人で、77.4%を占めている。また平成生まれは2298万人で、全体の18%を占めるようになった。
一方、終戦の日で分けてみると、戦後生まれの人は9645万6000人で、総人口の75.5%に達した。ところが平均年齢が上昇したため、生産年齢人口(15-64歳)は8230万人。前年より71万5000人減ってしまった。今後も減少の見通しであり、経済的にはこの影響がいちばん大きいと思われる。
≪21日の日経平均 = 下げ -213.42円≫
≪22日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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財務省は22日、1-3月期の地域経済状態を「悪化し、厳しさを増している」と判断、5期連続で下方修正した。これは全国財務局長会議での報告をまとめたもの。地域別にみると、全国11地域のうち北陸を除く10地域で、状況判断が下方修正されている。
項目別にみると、まず生産は8地域で下方修正。特に東海地方は「きわめて大幅に減少している」という表現になった。生産指数でみると、全国平均が前年比38.4%の減少だったのに対して、東海地方は45.3%の減少になっている。消費も8地域で下方修正。関東、東海、九州、福岡の財務局管内では「一段と弱い動き」となった。
最近発表になった経済産業省や日銀の景況判断を見ても、1-3月期の状況は同様の傾向を示している。政府の対策が大幅に遅れたこともあって、とにかく1-3月期の景気は最悪だった。ただ1-3月期の冷え込んだ数字は、5月20日に予定されているGDP速報で一応は終了する。
いわば1-3月期は、真っ暗なトンネルだった。抜け出るとすぐに青空というわけには行かないが、4-6月期の数字は多少よくなるだろう。少なくとも、11地域のうち10地域までが下方修正されるようなことはない。どのくらい改善されるのかはまだ不明だが、そろそろ出始める4月分の景気指標に期待しよう。
≪22日の日経平均 = 上げ +15.97円≫
≪23日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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項目別にみると、まず生産は8地域で下方修正。特に東海地方は「きわめて大幅に減少している」という表現になった。生産指数でみると、全国平均が前年比38.4%の減少だったのに対して、東海地方は45.3%の減少になっている。消費も8地域で下方修正。関東、東海、九州、福岡の財務局管内では「一段と弱い動き」となった。
最近発表になった経済産業省や日銀の景況判断を見ても、1-3月期の状況は同様の傾向を示している。政府の対策が大幅に遅れたこともあって、とにかく1-3月期の景気は最悪だった。ただ1-3月期の冷え込んだ数字は、5月20日に予定されているGDP速報で一応は終了する。
いわば1-3月期は、真っ暗なトンネルだった。抜け出るとすぐに青空というわけには行かないが、4-6月期の数字は多少よくなるだろう。少なくとも、11地域のうち10地域までが下方修正されるようなことはない。どのくらい改善されるのかはまだ不明だが、そろそろ出始める4月分の景気指標に期待しよう。
≪22日の日経平均 = 上げ +15.97円≫
≪23日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)は、日本近海での本格的なメタンハイドレート産出実験に乗り出すことになった。メタンハイドレートは石炭や石油を上回る有望なエネルギー資源。実験に成功し、さらに商業化への道が開ければ、日本は一転して有力なエネルギー産出国へ変身する可能性を秘めている。
メタンハイドレートというのは、水の分子がメタンガスを囲い込んだ形の結晶体。低温高圧の状態で生成され、水深1000メートルといった深海に埋蔵されている。見かけが氷状のため「燃える氷」とも呼ばれる。ハイドレート1立方メートルに160立方メートルほどのメタンガスが含まれており、効率はきわめて高い。
ただ圧力や温度が変わると、すぐにメタンガスが発生してしまう。これを深海で作業することの難しさが、開発への大きなネックとなっていた。JOGMECは減圧法という独自の技術を使って、実験を進める。すでに東海沖から宮崎沖にかけての南海トラフには、天然ガス換算で7兆立方メートルを超える埋蔵量も確認されている。
この埋蔵量は、日本の天然ガス国内消費量の約100年分。このように期待は大きいが、ちょっと気になる専門家の意見も。というのは深海で氷状になっているハイドレートを採掘すると、周囲の地盤が崩落して大地震が起きる危険性があるという一部の指摘。その辺の研究も、しっかりやっているのでしょうね。
≪23日の日経平均 = 上げ +119.71円≫
≪24日の日経平均は? = 下げ≫
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メタンハイドレートというのは、水の分子がメタンガスを囲い込んだ形の結晶体。低温高圧の状態で生成され、水深1000メートルといった深海に埋蔵されている。見かけが氷状のため「燃える氷」とも呼ばれる。ハイドレート1立方メートルに160立方メートルほどのメタンガスが含まれており、効率はきわめて高い。
ただ圧力や温度が変わると、すぐにメタンガスが発生してしまう。これを深海で作業することの難しさが、開発への大きなネックとなっていた。JOGMECは減圧法という独自の技術を使って、実験を進める。すでに東海沖から宮崎沖にかけての南海トラフには、天然ガス換算で7兆立方メートルを超える埋蔵量も確認されている。
この埋蔵量は、日本の天然ガス国内消費量の約100年分。このように期待は大きいが、ちょっと気になる専門家の意見も。というのは深海で氷状になっているハイドレートを採掘すると、周囲の地盤が崩落して大地震が起きる危険性があるという一部の指摘。その辺の研究も、しっかりやっているのでしょうね。
≪23日の日経平均 = 上げ +119.71円≫
≪24日の日経平均は? = 下げ≫
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12)勝敗のカギは電池 = いま世界の自動車産業を振動させている大嵐は、単に不況による需要の減退だけから発生したものではない。同時に100年の歴史を持つ自動車業界を根底から揺さぶり、質的な大転換を促す破壊力をも持ち合わせている。やがて景気は回復しても、この転換に乗り遅れたメーカーは生き残れないだろう。
すでに国際モーターショーの主役はスピードや豪華さを誇る車ではなく、燃費のいいハイブリッド車などに代わっている。各国政府も環境対応車の普及に力を入れ始め、アメリカも11年までに燃費規制を8%強化することを決定した。JPモルガン社の予測によると、ハイブリッド車の世界市場規模は18年に962万台。現在の20倍近くに成長する。
電気自動車であれハイブリッド車であれ、カギを握るのは電池。その高性能化とコストダウンに成功したメーカーが世界の主導権を握ることになるだろう。ただ質的な大転換には、大きな痛みも伴う。たとえば電気自動車の生産に転換すると、3万点の部品のうち1万点は全く新しい部品に変わる。部品メーカーにも、大波が押し寄せるわけだ。
自動車業界にとって、もう1つ気がかりなのは若者の自動車離れ現象。日本では、この傾向が04年ごろから顕著になった。この問題に関するいくつかの調査結果をみても、20歳代の若者の約3割が「自動車に興味を持たない」と回答している。原因は収入の伸び悩み、負担の大きい税金や燃料代や駐車場料金、飲酒運転などに対する取締りの強化など。しかし、もっと本質的な価値観の変化が密かに進行しているのかもしれない。
(悪夢の自動車産業 は終わり)
≪24日の日経平均 = 下げ -139.02円≫
【今週の日経平均予想 = 3勝2敗】
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すでに国際モーターショーの主役はスピードや豪華さを誇る車ではなく、燃費のいいハイブリッド車などに代わっている。各国政府も環境対応車の普及に力を入れ始め、アメリカも11年までに燃費規制を8%強化することを決定した。JPモルガン社の予測によると、ハイブリッド車の世界市場規模は18年に962万台。現在の20倍近くに成長する。
電気自動車であれハイブリッド車であれ、カギを握るのは電池。その高性能化とコストダウンに成功したメーカーが世界の主導権を握ることになるだろう。ただ質的な大転換には、大きな痛みも伴う。たとえば電気自動車の生産に転換すると、3万点の部品のうち1万点は全く新しい部品に変わる。部品メーカーにも、大波が押し寄せるわけだ。
自動車業界にとって、もう1つ気がかりなのは若者の自動車離れ現象。日本では、この傾向が04年ごろから顕著になった。この問題に関するいくつかの調査結果をみても、20歳代の若者の約3割が「自動車に興味を持たない」と回答している。原因は収入の伸び悩み、負担の大きい税金や燃料代や駐車場料金、飲酒運転などに対する取締りの強化など。しかし、もっと本質的な価値観の変化が密かに進行しているのかもしれない。
(悪夢の自動車産業 は終わり)
≪24日の日経平均 = 下げ -139.02円≫
【今週の日経平均予想 = 3勝2敗】
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第14章 国際収支って、なんだろう? ④
国際収支というのは、外国とのおカネのやりとりを集計した“家計簿”でしたね。この国際収支は大きく分けると、経常収支(けいじょうしゅうし)と資本収支(しほんしゅうし)の2つから成り立っています。すでに勉強した貿易収支とサービス収支は、経常収支のなかに含まれます。
経常収支には、ほかに所得収支(しょとくしゅうし)と移転収支(いてんしゅうし)という項目もあります。所得収支というのは、日本人が外国で働いてもらったおカネや外国の債券や株式から受け取る利子や配当など。また移転収支は、日本の政府が外国に資金を出して援助したり、世界銀行などの国際機関におカネを出す場合など。
ちょっと難しくなってしまいましたが、国際収支は経常収支と資本収支の2つから成り立っていること。また、そのうちの経常収支は貿易収支、サービス収支、それに所得収支と移転収支を加えた4つの項目から成り立っていることを覚えておきましょう。
例によって08年4-6月期の数字を調べてみました。経常収支の合計は3兆8380億円の黒字でした。このうち所得収支の黒字は貿易収支の黒字よりもずっと大きく、3兆4352億円にも達しています。これは外国から受け取る利子や配当の金額が、とても大きいことを示しています。
(続きは来週日曜日)
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国際収支というのは、外国とのおカネのやりとりを集計した“家計簿”でしたね。この国際収支は大きく分けると、経常収支(けいじょうしゅうし)と資本収支(しほんしゅうし)の2つから成り立っています。すでに勉強した貿易収支とサービス収支は、経常収支のなかに含まれます。
経常収支には、ほかに所得収支(しょとくしゅうし)と移転収支(いてんしゅうし)という項目もあります。所得収支というのは、日本人が外国で働いてもらったおカネや外国の債券や株式から受け取る利子や配当など。また移転収支は、日本の政府が外国に資金を出して援助したり、世界銀行などの国際機関におカネを出す場合など。
ちょっと難しくなってしまいましたが、国際収支は経常収支と資本収支の2つから成り立っていること。また、そのうちの経常収支は貿易収支、サービス収支、それに所得収支と移転収支を加えた4つの項目から成り立っていることを覚えておきましょう。
例によって08年4-6月期の数字を調べてみました。経常収支の合計は3兆8380億円の黒字でした。このうち所得収支の黒字は貿易収支の黒字よりもずっと大きく、3兆4352億円にも達しています。これは外国から受け取る利子や配当の金額が、とても大きいことを示しています。
(続きは来週日曜日)
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先週のダウ平均は、フォード自動車など企業の決算内容が予想よりも良かったこともあって、週末には大きく値上がりした。だが6週連騰のあとだけに、週間では55ドルの値下がり。7週連騰はならなかった。市場では、将来に対する期待感と警戒感が交錯しているように見受けられる。
特に関心が高まっているのは、来週5月4日に公表予定の19銀行に対するストレステスト(健全性審査)結果。ガイトナー財務長官が「大半の銀行は十分な資本を持っている」と発言したことで、一応は安心感も広がっている。しかし一部の銀行でも不合格となった場合、どんな影響が生じるのか。市場にとっても、かなりのストレスになっているようだ。
日経平均も先週は200円の下げ。大型連休を控えて、今週は動きにくいかもしれない。27日には補正予算案が国会に提出される。月末30日には、3月の鉱工業生産、住宅着工、建設工事受注。5月1日には、4月の新車販売台数が発表になる。
アメリカでは29日に1-3月期のGDP速報値。1日に4月の新車販売台数が発表になる。また30日は、クライスラーが政府の追加支援を受けるための条件になっているフィアットとの連携合意期限。そのほか日米ともに、決算発表が続く。
≪27日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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特に関心が高まっているのは、来週5月4日に公表予定の19銀行に対するストレステスト(健全性審査)結果。ガイトナー財務長官が「大半の銀行は十分な資本を持っている」と発言したことで、一応は安心感も広がっている。しかし一部の銀行でも不合格となった場合、どんな影響が生じるのか。市場にとっても、かなりのストレスになっているようだ。
日経平均も先週は200円の下げ。大型連休を控えて、今週は動きにくいかもしれない。27日には補正予算案が国会に提出される。月末30日には、3月の鉱工業生産、住宅着工、建設工事受注。5月1日には、4月の新車販売台数が発表になる。
アメリカでは29日に1-3月期のGDP速報値。1日に4月の新車販売台数が発表になる。また30日は、クライスラーが政府の追加支援を受けるための条件になっているフィアットとの連携合意期限。そのほか日米ともに、決算発表が続く。
≪27日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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アメリカの住宅関連指標に、底入れの気配が強まった。いちばん注目されるのは、価格が下げ止まりの様相を見せていること。連邦住宅金融庁(FHFA)の発表によると、2月の全国平均価格は前月比で0.7%上昇した。1月も1.0%上昇(改定値)しており、これで2か月連続の上昇となった。
発表によると、昨年大きく値下がりしたカリフォルニア州など太平洋岸は3.8%の上昇。その半面、フロリダ州など大西洋岸ではまだ下落が続いており、地域差は大きい。また2月の全国平均価格は、前年比でみると6.5%の下落だった。
販売面でも、改善の動きが見られる。3月の新築住宅販売件数は年率換算で35万6000戸。前月比では0.6%の減少となった。しかし2月は前月比8.2%の増加(改定値)だったので、反動減としてはきわめて小幅。中古住宅販売も3月は前月比3.0%減となったが、これも2月は5.1%増だったので2-3月をならせばプラスを維持している。
ただ3月の住宅着工件数は、前月比で10.8%と大幅な減少。また差し押さえ物件も3月は34万件で前年比46%の増加といった、悪い指標も共存している。しかし価格の下げ止まり傾向は、販売や着工にもいい影響を与えるだろう。これから一気にV字型回復というわけには行かないが、住宅関連の落ち着きはアメリカ経済全般にとっても明るい材料になる。
≪27日の日経平均 = 上げ +18.35円≫
≪28日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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発表によると、昨年大きく値下がりしたカリフォルニア州など太平洋岸は3.8%の上昇。その半面、フロリダ州など大西洋岸ではまだ下落が続いており、地域差は大きい。また2月の全国平均価格は、前年比でみると6.5%の下落だった。
販売面でも、改善の動きが見られる。3月の新築住宅販売件数は年率換算で35万6000戸。前月比では0.6%の減少となった。しかし2月は前月比8.2%の増加(改定値)だったので、反動減としてはきわめて小幅。中古住宅販売も3月は前月比3.0%減となったが、これも2月は5.1%増だったので2-3月をならせばプラスを維持している。
ただ3月の住宅着工件数は、前月比で10.8%と大幅な減少。また差し押さえ物件も3月は34万件で前年比46%の増加といった、悪い指標も共存している。しかし価格の下げ止まり傾向は、販売や着工にもいい影響を与えるだろう。これから一気にV字型回復というわけには行かないが、住宅関連の落ち着きはアメリカ経済全般にとっても明るい材料になる。
≪27日の日経平均 = 上げ +18.35円≫
≪28日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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財務省の発表によると、08年度の貿易収支は7253億円の赤字だった。日本の貿易収支が赤字になったのは、石油ショック時の1980年度以来28年ぶり。年度の前半は原油の異常な高騰で輸入額が増大、後半は世界不況で輸出額が激減した結果である。
輸出額は71兆1435億円。前年度に比べ16.4%減少した。一方、輸入額は71兆8688億円で4.1%の減少だった。輸出の減少率は過去最大だった1986年度の15.1%を超えている。地域別に輸出額をみても、アメリカ向けは27.2%減、EU(ヨーロッパ連合)向けは23.0%減、アジア向けは13.4%減、中国向けは9.8%減、中東向けも1.2%減と軒並み減少した。
商品別でみると、自動車は24.2%の減少。半導体など電子部品が19.7%減、有機化合物も21.4%減となった。特に自動車はアメリカ向けが36.6%減、EU向けが32.6%減、中国向けも5.6%減と輸出額は大きく減少した。
輸出総額の減少は08年10月から始まった。減少率は月を追うごとに急速に拡大。ことし1月には45.7%減、2月には49.4%と前年のほぼ半分にまで落ち込んでいる。この急激な輸出の減少が各メーカーの生産調整を惹き起こし、それが失業や倒産の増大にもつながっている。現在の不況の最大の原因は、輸出の減退にあると言っていい。その輸出の減少に、ようやく歯止めがかかってきた。
(続きは明日)
≪28日の日経平均 = 下げ -232.57円≫
≪30日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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輸出額は71兆1435億円。前年度に比べ16.4%減少した。一方、輸入額は71兆8688億円で4.1%の減少だった。輸出の減少率は過去最大だった1986年度の15.1%を超えている。地域別に輸出額をみても、アメリカ向けは27.2%減、EU(ヨーロッパ連合)向けは23.0%減、アジア向けは13.4%減、中国向けは9.8%減、中東向けも1.2%減と軒並み減少した。
商品別でみると、自動車は24.2%の減少。半導体など電子部品が19.7%減、有機化合物も21.4%減となった。特に自動車はアメリカ向けが36.6%減、EU向けが32.6%減、中国向けも5.6%減と輸出額は大きく減少した。
輸出総額の減少は08年10月から始まった。減少率は月を追うごとに急速に拡大。ことし1月には45.7%減、2月には49.4%と前年のほぼ半分にまで落ち込んでいる。この急激な輸出の減少が各メーカーの生産調整を惹き起こし、それが失業や倒産の増大にもつながっている。現在の不況の最大の原因は、輸出の減退にあると言っていい。その輸出の減少に、ようやく歯止めがかかってきた。
(続きは明日)
≪28日の日経平均 = 下げ -232.57円≫
≪30日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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