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経済に関する話題なんでも。ニュースの分析・批評・解説など。大胆な予想や提言も。ご意見、ご批判は大歓迎です。
経済なんでも研究会
輸出の神通力が 消えた
2008-10-01-Wed  CATEGORY: 政治・経済
財務省が発表した8月分の貿易統計によると、輸出額から輸入額を差し引いた貿易収支は3240億円の赤字となった。貿易収支の赤字は、季節的に赤字となりやすい1月を除けば、ほぼ26年ぶり。輸出が前年比0.3%しか伸びなかった半面、輸入は資源価格の高騰で17.3%増大した。

輸出を地域別にみると、やはりアメリカ向けが前年比21.8%と激減している。ヨーロッパ向けも3.6%の減少。中国を含むアジア向けは6.7%の増加。中東向けは16.8%、ロシア向けは40.9%の増加だった。また商品別にみると、コンピューター、繊維機械、テレビ受像機、通信機、自動車部品などの輸出が大幅に減っている。

輸出が減退した原因は、言うまでもなく相手国側の景気低迷にある。したがってアメリカはもちろんだが、ヨーロッパ向け輸出にもその影響がはっきり出始めた。アジア向けも伸び率が縮小している。これら諸国の経済動向をみると、こうした傾向がここ当分は続くと覚悟しなければならないだろう。

日本の景気はここ数年、輸出の景気浮揚効果に依存してきた。その輸出の神通力が消滅してしまったいま、今後の景気を代わりに支える要素は見当たらない。麻生首相は景気対策の必要性を力説しているが、中途半端な対策ではとても追いつかない可能性が出てきている。この際は、日本経済が落ち込みつつある危険な状況をしっかり認識してほしいものだ。

    ≪30日の日経平均 = 下げ -483.75円≫

    ≪1日の日経平均は? 予想 = 上げ

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加速し始めた 悪い流れ (上)
2008-10-02-Thu  CATEGORY: 政治・経済
景気の下降スピードが速くなってきた。今週は重要な経済指標が集中的に発表されたが、いずれも予想以上に悪い。そのうえアメリカでは金融安定化法案の取り扱いがこじれて、ダウ平均株価は史上最大の値下がりを演じた。その波紋も、これから追い討ちとなって到達する。

8月の鉱工業生産は、前月比3.5%の大幅な減少となった。バブルが崩壊した01年1月以来の減少幅である。きのう1日のこの欄でも紹介したように、輸出の増勢ストップが主たる原因。アメリカ向けの自動車輸出は前年比が台数で22.5%、金額で30.1%も落ち込んだ。このため輸送用機械の生産も前月比で9.1%減っている。

失業率も8月は4.2%と、前月より0.2ポイント上昇した。厚生労働省では「雇用情勢は下降局面に入った」と分析している。有効求人倍率も悪化。求職者が前月より1%増えたのに対して、求人数は1.7%減った。また家計調査でも、平均世帯の消費支出が実質で前年比4.0%も減少した。総務省では「消費は減少傾向に転じた」と解説している。

さらに日銀が集計した9月の企業短期経済観測調査。大企業・製造業のDI (業況判断指数)は、6月調査の結果より8ポイント低下してマイナス3にまで落ち込んだ。このDI がマイナスになるのは、5年3か月ぶりのこと。最も業況の悪い中小企業・非製造業のDI はマイナス24に達している。

                                   (続きは明日)

    ≪1日の日経平均 = 上げ +108.40円≫

    ≪2日の日経平均は? 予想 = 下げ

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加速し始めた 悪い流れ (下)
2008-10-03-Fri  CATEGORY: 政治・経済
輸出が伸び悩み、生産、雇用、消費の水準が目立って落ち込んだ。だが、これらはいずれも8月の実績である。また日銀の業況判断調査は、9月中を通して実施された。したがって9月末に発生したニューヨーク株式の大暴落は、まだこれらの調査結果には反映されていない。その影響は、これから押し寄せてくるだろう。

大暴落を惹き起こしたのは、アメリカ下院による金融安定化法案の否決。政府と与野党幹部の懸命な努力によって、修正法案がやっと上院を通過した。だが下院の採決はまだ不明。また仮に成立しても、これでアメリカの金融不安が解決したわけでは決してない。根本原因である住宅価格の下落には、まだ歯止めがかからない。こうした状況からみると、アメリカ発の大きな余震はまだ続くと覚悟しておいた方がいい。

この余震はアメリカ経済をさらに揺さぶり、日本経済にもさらなる悪影響を及ぼす。すでに日本のGDPは4-6月期にマイナスを記録。7-9月期もマイナスになる公算が大きい。そのうえに余震が続けば、10-12月期の景気はもっと下振れする危険がある。このところの悪い流れが、年末に向けて加速する状況になってきた。

具合の悪いことに、日本は政治の季節に入る。景気が予想外のスピードで悪化したとき、政治家は選挙で手一杯。だれが対策を考えるのだろう。補正予算さえ通せば、あとは解散・総選挙――などと軽く考えていると、大変なことになる。

    ≪2日の日経平均 = 下げ -213.50円≫

    ≪3日の日経平均は? 予想 = 下げ

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サタデー自習室 -- GDP と 経済成長 ⑩
2008-10-04-Sat  CATEGORY: 政治・経済
10)発展段階と成長のスピード = アメリカやイギリス、ドイツ、フランス、それに日本といった主要先進国。ここ10年ほどの経済成長率は、平均して1-3%程度しかない。これに対して中国やインドなど、いわゆる新興国の成長率は平均10%以上の高さだ。

この差は、どこから生じているのだろう。まず主要先進国の経済は成熟段階に達しており、物質的にも飽和状態にある。個人の資産は新興国のそれよりケタ違いに多いが、どうしても買いたいと思う品物はあまり多くはない。もちろん先進国にも貧困者はいるが、一般的にみるとこうなる。

一方、新興国の人びとは生活水準の向上に懸命であり、自動車や家電製品などに対する欲求もきわめて旺盛だ。このことは1960-70年代の日本を振り返ってみれば、よく理解できるにちがいない。また先進国の製品や技術を受け入れる余地も大きい。先進国と新興国の差は、ほかにも人口の増加率や賃金水準、あるいは高齢化の度合いなど、いろいろ考えられる。しかし最大の原因は、やはり物質に対する欲求度の相違に求められるだろう。

ところで世界には、まだ発展途上国と呼ばれる国々がたくさんある。だが、これらの国々の成長率はきわめて低い。経済成長は、一国の経済水準がある程度の段階に達しないと始まらない。経済学者ロストウは、この段階を「離陸期」と名付けた。日本の離陸期は19世紀末といわれる。アフリカなどの多くの国々は、まだ離陸期に到達していないわけだ。

                              (続きは来週サタデー)

    ≪3日の日経平均 = 下げ -216.62円≫

    【今週の日経平均予想 = 4勝1敗】

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サンデー実験室 = 孫に聞かせる経済の話
2008-10-05-Sun  CATEGORY: 政治・経済
第12章 景気って、なんだろう? ①

みなさんも「景気(けいき)」という言葉は、よく耳にするでしょう。たとえば――近所のお母さんたちが、立ち話をしています⇒「あの家は、とっても景気がいいらしいわ。だって、また新しい車を買ったじゃない」なんて。
駅前通りでは、お店の主人がブツブツ言ってます⇒「近ごろは、どうも景気が悪くってかなわないよ」

このとき景気という言葉は、どんな意味で使われているのでしょうか。どちらも家やお店の「経済状態」という意味のようですが、状態がどのくらいいいのか悪いのか。その程度については、あまりはっきりはしません。このように、ふつうの会話で使われるときの「景気」は、かなりあいまいです。

ところが「日本の景気は回復中」とか「世界の景気は下降している」と言う場合には、意味があいまいでは困りますね。ですから世界や国全体や地域の景気を表現するときには、きちんとした物差しが必要になってくるのです。この物差しを見ることによって、景気の状態をはっきり知ることができるわけです。

景気を測るこの物差しを、景気指標(しひょう)あるいは経済指標と言います。この景気指標はとてもたくさんあって、何を見たらいいのか迷ってしまうほど。でも、この章では大事な指標をいくつか説明しますから、みなさんも新聞を読んで景気の物差しについて勉強してみてください。

                                 (続きは来週日曜日)

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今週のポイント
2008-10-06-Mon  CATEGORY: 政治・経済
先週の株式市場は、大荒れだった。ダウ平均は818ドルの値下がり。日経平均も955円下げて、株価は3年4か月ぶりの低水準に落ち込んだ。特にアメリカ議会が3日、やっとのことで金融安定化法案を成立させたのに、ダウ平均は157ドルも続落。地合いの悪さが浮き彫りになった。

その直接の原因は、同じ日に雇用情勢の悪化が伝えられたこと。9月の雇用者数は大方の予想をはるかに上回って、15万9000人も減少。市場は金融安定化法の成立よりも、実体経済の急速な悪化に鋭く反応したと言えるだろう。

今週、アメリカの指標発表は少ない。8日の8月・中古住宅販売、10日の8月・貿易収支ぐらい。ただ企業の決算発表が始まる。7日に予定されるアルコア、10日のGEの内容しだいでは、株価がさらに売り込まれるかもしれない。

国内では7日に8月・景気動向指数、8日に9月・景気ウォッチャー調査。9日には8月・機械受注が発表になる。いずれも景気の後退が、予想以上に進んでいることを示す結果となりそうだ。株価にとってのプラス材料にはなりそうもない。

    ≪6日の日経平均は? 予想 = 下げ

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素早く行動した 英仏独伊
2008-10-07-Tue  CATEGORY: 政治・経済
イギリス、フランス、ドイツ、イタリアの4か国首脳がパリに集まり、金融不安対策を検討した。終了後の共同声明では「金融システムの安定確保に必要なあらゆる措置を講じる」と宣言している。具体的には、金融機関や格付け会社に対する監督の強化、預金保険の拡充、中小企業向け融資の拡大、時価会計制度の見直しなどを決めている。

特に注目されるのは、財政協定の一時停止を容認したこと。この協定は、ユーロ圏各国が財政赤字をGDPの3%以内に収めることを義務づけたもの。つまり金融危機に対処するためには、財政の一時的な悪化もやむをえないという大胆な決断である。また4か国首脳は、日米を含む緊急のサミット(主要国首脳会議)の年内開催を提案した。

金融機関を救済するための基金設立は合意できなかったと、新聞各紙はややケチを付けている。だが、これは最初からムリな話。税金を使って、他国の金融機関を救済するわけにはいかないだろう。それよりも4か国首脳が素早く行動したことは、賞賛されていい。会議終了後、ドイツは個人預金の全額保護と大手不動産金融会社への救済策を発表した。

日本はどうだろう。サブプライムの影響が比較的小さかったので、安心してはいないだろうか。問題は金融危機から世界不況へと発展している。まだ11年に基礎的財政収支を均衡できると考えているのだろうか。時価会計はどうするのか。本格的な景気対策は。緊急サミットに出席したら、日本の首相は何を主張するのか。ヨーロッパの4か国に比べるまでもなく、行動が遅すぎる。

    ≪6日の日経平均 = 下げ -465.05円≫

    ≪7日の日経平均は? 予想 = 下げ

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異常事態には、 非常対応を! (上)
2008-10-08-Wed  CATEGORY: 政治・経済
☆世界経済は異常事態 = ダウ平均株価が6日、あっさり1万ドルを割り込んだ。日経平均も7日、4年10か月ぶりに一時1万円の大台を割り込んだ。ヨーロッパやロシア、中国、アジア諸国の株価も一斉に急落している。アメリカ発の金融不安に収束のメドが立たないうちに、各国の実体経済そのものが確実に変調してきたことを嫌気したものだ。

アメリカでは、金融不安の引き金となった住宅バブルの崩壊がまだ止まらない。金融機関はみな破綻を免れようと必死。ビッグスリーも息絶えだえの状況だ。アメリカ経済を象徴する金融と自動車がこの有様だから、企業の収益は減り、設備投資は伸びない。工業生産の低下で、雇用情勢も目に見えて悪くなってきた。

日本は頼みの綱だった輸出が増えない。企業収益も下方修正が続出。設備投資には期待できない。雇用情勢もきびしくなっており、物価高の影響もあって個人消費にも勢いがない。円高がさらに進行する可能性も大きい。日銀の短観では、大企業・製造業でさえも業況判断がマイナスに。7日発表になった8月の景気動向指数では、一致指数が過去最大の低下となった。

アメリカの住宅価格が下げ止まるのには、あと1年半かかると専門家は予想している。その間、各国の実体経済は悪影響を受け続ける。世界経済の悪循環は、今後も継続すると覚悟する必要があるだろう。大恐慌の再来を心配する人もいるが、世界経済の基礎的な強さを考えれば、それは杞憂だろう。しかし戦後最悪の異常事態に突入しつつあることは、間違いない。このとき、日本はどう対処すればいいのか。

                                   (続きは明日)

    ≪7日の日経平均 = 下げ -317.19円≫

    ≪8日の日経平均は? 予想 = 下げ

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異常事態には、 非常対応を! (中)
2008-10-09-Thu  CATEGORY: 政治・経済
☆財政再建の中断を = 国会はまだ総合経済対策の審議を続けている。このなかで麻生首相は、定額減税の実施を明言した。しかし資源高に苦しむ業界を救済するための総合対策や定額減税は、選挙対策としては有効かもしれないが、景気対策としての効力はほとんどない。政府もこのことは判っているとみえて、麻生首相も「必要なら、さらに手を打つ」と答弁した。

だが、この本格的な景気対策の規模と時期については、いっさい明言を避けた。そのネックは、11年度に財政の基礎的収支を均衡させるという、いわゆるプライマリー・バランスの公約だろう。これがある限り、年度内に大型の第2次補正を組むことは不可能である。

しかし経済の異常事態に対応するには、非常手段が必要だ。いまの状況からみて、財政再建の中断はいずれ不可避になる。それならば早く決断して、第2次補正予算の規模と内容の検討に入った方がいい。英仏独伊のヨーロッパ4か国は、すでに財政赤字をGDPの3%以内にとどめるという財政協定の一時棚上げを決めた。麻生首相は1日も早く、勇気を出して決断すべきである。

日本の金融機関は、サブプライム問題での損失が比較的少なかった。だから大丈夫、だからもう少し様子を見ようという考え方は甘い。世界経済が落ち込んだ異常な実態を正確に理解すれば、決断はできるはずである。大地震に見舞われたとき、なお財政再建に固執するものはいないだろう。

                                   (続きは明日)

    ≪8日の日経平均 = 下げ -952.58円≫

    ≪9日の日経平均は? 予想 = 上げ

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異常事態には、 非常対応を! (下)
2008-10-10-Fri  CATEGORY: 政治・経済
☆将来に役立つ大胆な対策を = 現在の深刻な状況を考えると、本格的な景気対策としての第2次補正予算は、大規模なものにならざるをえないだろう。数兆円の規模では、ほとんど意味がない。赤字国債の発行も、覚悟しなければならない。

ただ内容については、従来の発想を大転換する必要がある。無意味な公共事業の拡大はもちろんだが、所得税の減税などもあまり効果はない。なにしろ、いまの日本では乗数効果が1を超えるような施策は見当たらないからだ。従来型の対策では、橋本内閣当時の二の舞。財政赤字だけが増えて、景気はよくならない。

たとえば近い将来に必ず必要になる対策を、いま先取りして実施してしまうという考え方に徹してはどうだろう。道路関係で言えば、老朽化している首都圏などの高速道路を改修してしまう。また自転車と歩行者の道路を整備する。これらは建設国債の発行で対応できるはずだ。

赤字国債では、国公立病院の立て直し、診療ネットの整備。保育所や託児所、介護施設の拡充。若者への職業訓練。さらには近海での資源探査、脱石油技術の開発、企業の省エネ投資や家庭のソーラー発電に対する支援など--とにかく近い将来のニーズをこの際に充たしてしまう発想で、10数兆円を重点投資する。これなら国民の理解も得られるし、あとの財政も楽になる。災いを転じて福としよう。

    ≪9日の日経平均 =下げ -45.83円≫

    ≪10日の日経平均は? 予想 = 下げ

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サタデー自習室 -- GDP と 経済成長 ⑪
2008-10-11-Sat  CATEGORY: 政治・経済
11)潜在成長率 = 経済成長は、何によって規定されるのだろうか。その要素は労働力と資本、それに技術水準の3つだと言われる。この3要素がどれだけ速く増加するかで、成長率の大きさも決まってくるわけだ。とりわけ先進国の場合は、この3要素の結合による生産性の向上が重視される。

量的な労働力が増えなくても、教育や熟練によって労働者1人当たりの生産性は向上する。また豊富な資本力を背景に最新鋭の生産設備を導入すれば、生産性を高めることができる。さらに革新的な技術開発を伴えば、生産性は飛躍的に向上するだろう。

これらの実現可能性は、国によって、また時点によって変わってくる。たとえば現在のアメリカは、この3要素の力を十分に引き出せれば、成長率は平均3%前後を維持できると計算されている。80年代の日本は9%程度だったが、いまは少子化や高齢化の進展もあって平均2%程度の成長がやっと。このようにして計算される成長率を潜在成長率と呼んでいる。

ところが実際の成長率は、なかなか潜在成長率まで届かないことも多い。実際の成長率と潜在成長率の差を成長率ギャップと言うが、ある意味ではこのギャップをなくすことが政府の経済政策に課せられた責任とも言えるだろう。さらに政策的には、潜在成長力を高める中長期的な方策も求められている。

                                 (続きは来週サタデー)

    ≪10日の日経平均 = 下げ -881.06円≫

    【今週の日経平均予想 = 4勝1敗】

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サンデー実験室 = 孫に聞かせる経済の話
2008-10-12-Sun  CATEGORY: 政治・経済
第12章 景気って、なんだろう? ②

景気がいいか悪いかは、すべておカネと関係しています。おカネが予想よりたくさん入ってくる状態だと、景気はいい。予想より入り方が少ないと、景気は悪くなります。みなさんも、いつもは3000円のお小遣いが6000円になったら、嬉しいでしょう。それが景気のいい状態です。

でも、お小遣いが9000円になったとしたら、もっと嬉しくなりますね。3000円が6000円になったのか、それとも9000円になったのか。景気指標は、会社やお店、個人の家庭など、経済のいろいろな部門について、おカネの出し入れを調べて景気がいいか悪いかを示す数字だと言えるでしょう。

ですから、まず各部門の収入を調べます。たとえば、お小遣いの金額は6000円でした。この金額は、先月のお小遣いよりも3000円多くなっています。その増加率は100%、つまり2倍ですね。また、お小遣いが9000円になったとすると、増加額は6000円。増加率は200%、3倍ということになります。

景気がいいか悪いかは、収入の大きさで決まるのではありません。3000円が6000円になればいいのですが、9000円が8000円に減れば困りますね。収入の大小ではなく、その増え方によって景気がどのくらい良くなっているのかが判るのです。だから多くの景気指標は、収入の金額だけではなく、その増え方や減り方をきちんと計算して表示しています。

                                (続きは来週日曜日)

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体 育 の 日
2008-10-13-Mon  CATEGORY: 政治・経済
      Economy33 on holiday.

1964年(昭和39年)に開催された東京オリンピック。その開会式が行なわれた10月10日を記念して、66年に制定された祝日。2000年からは、10月の第2月曜日に改められた。趣旨は「スポーツに親しみ、健康な心身をつちかう」こと。

10月10日は特異日と言われ、比較的に晴れの日が多かった。しかし10月13日の天気は、けっこう雨も多い。ただ、ことしは全国的に晴れそうだ。ところで「体育の日」は英語で、なんと言うのか。子どもたちに聞かれて、ちと困った。調べてみると「Health and Sports Day」らしい。

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今週のポイント
2008-10-14-Tue  CATEGORY: 政治・経済
先週の株価は、日米ともに底なし沼に引きずり込まれた。ニューヨーク、東京ともに5営業日のすべてで下げ。ダウ平均は1874ドル、日経平均は2662円の大暴落となった。アメリカとヨーロッパ主要国の協調利下げも、まったく効果なし。週末になって、G7(7か国の財務相・中央銀行総裁会議)が大手銀行への公的資金注入という最後の切り札を行動計画として発表したが・・・。

今週のポイントは、もちろん株価が下げ止まる気配を見せるかどうか。アメリカ政府は今週中に、金融安定化法による不良債権の買取りについて、なんらかの具体的な方針を明らかにするだろう。ただ銀行に対する資本注入の具体案がまとまるかどうか。まとまれば株価にとっては、かなりの安心材料になる。

アメリカでは14日にインテルやペプシコ。15日にはJPモルガンチェースとウェルスファーゴ。16日にはIBM、シティグループ、メリルリンチなどの決算発表が予定されている。内容はみな芳しくないだろうが、市場がこれらを織り込み済みと考えるかどうかが焦点。資本注入策の具体化と決算への反応しだいでは、ダウ平均がいったんは底入れの形を見せる可能性もある。

国内では、14日に9月・企業物価と消費者動向調査。17日に8月・第3次産業活動指数。いずれも株価にとってプラス材料にはならないが、いまさらマイナス材料にもならないだろう。東京が休みの13日にダウが落ち着けば、日経平均も一応は底入れするかもしれない。

    ≪14日の日経平均は? 予想 = 上げ

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金融不安 + 同時不況 の 二重構造 (上)
2008-10-15-Wed  CATEGORY: 政治・経済
週明け13日の株価は、世界中の市場で記録的な反発を演じた。まず英仏独伊などのヨーロッパ市場では、そろって10%以上の値上がり。続いて本命のニューヨークでは、ダウ平均が936ドルと過去最大の上げ幅を記録した。アジア株もそろって反発。値下がりしたのは、カナダのトロント市場だけだった。

この勢いを受けて、休み明け14日の東京市場でも日経平均が大幅に反発。終り値は前週末比1171円、率にして実に14.15%の記録的な上昇となった。アジア各国の株価も、中国を除いて軒並み反発している。こうした株価の急反発は、基本的に前週までの下げすぎ訂正だと見ていい。

もちろん、ヨーロッパ諸国が早めに銀行に対する公的資金の注入や預金保護の拡大措置をとったこと。金融不安の火元となったアメリカも、遅ればせながら銀行への資本注入を決意したこと。これらの対策が、市場に安心感を与えたことは言うまでもない。

しかし株価がこのまま順調に回復して行くかどうかには、大きな疑問符が付く。金融不安に対する応急措置はほぼ整ったけれども、世界同時不況については各国ともにまだほとんど対策がとられていない。しかも同時不況はいまなお進行中である。いま世界経済が陥っているのは「金融不安 + 同時不況」という二重構造。市場がこの点に気付いたとき、株価は二番底に落ち込む危険性があることも否定はできないだろう。

                                (続きは明日)

    ≪14日の日経平均 = 上げ +1171.14円≫

    ≪15日の日経平均は? 予想 = 下げ

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金融不安 + 同時不況 の 二重構造 (中)
2008-10-16-Thu  CATEGORY: 政治・経済
15日の欧米市場は、再び大幅に下げた。特にニューヨークは733ドルと史上2番目の下げ幅。アメリカ政府は前日、25兆円の公的資金を9つの大銀行に注入すると発表したが、株価はまったく反応しなかった。ウォール街の関心は、早くも金融不安から実体経済の悪化へと移行したように思われる。

株価は前々日に記録的な反発をみせただけに、その反動という面もあっただろう。だがウォール街は、間近かに迫った大銀行の決算発表を気にしていたと、現地の報道は伝えている。15日はJPモルガンチェースとウェルスファーゴ。16日にはシティグループとメリルリンチの7-9月期決算が発表になる。

これら大銀行の業績は、かなり悪化しているに違いない。市場もその辺はすでに織り込んでいるが、予想以上に悪いと株価はさらに大きく売られる危険性がある。その背景には、実体経済の落ち込みという事実があって、それが再認識されることになるからだ。

たとえば住宅の大不況には、まだ底が見えない。住宅価格の値下がりが止まらないと、金融機関の不良債権は増え続ける。消費者信用の担保価値も下がり続ける。経営危機に陥っているビッグスリーも、アメリカ経済にとっては大変な問題だ。雇用情勢も悪化が止まらない。大銀行に対する公的資金の注入で、当面の金融危機には大きな包帯が巻かれた。しかし実体経済の落ち込みに対する手当ては、まだこれから。株価の将来は、楽観できる状態にはない。

                                   (続きは明日)

    ≪15日の日経平均 = 上げ +99.90円≫

    ≪16日の日経平均は? 予想 = 下げ

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金融不安 + 同時不況 の 二重構造 (下)
2008-10-17-Fri  CATEGORY: 政治・経済
日本の場合も、実体経済の状態は決してよくない。8月の景気指標をみても、生産は前月比3.5%の大幅な減少。家計の消費支出は前年比4.0%の減少、失業率は前月より0.2ポイント上がって4.2%となった。景気動向を示す一致指数は、前月比で2.8ポイントと最大の低下をみせている。

アメリカ発の金融不安に振り回されて、こうした実体経済の状態から目が離れてしまった感じが強い。また日本はサブプライムの被害が少なかったために、日本経済の実情は比較的いいという感触も生まれたようだ。だが金融不安が小康状態に移ったいま、経済の状況をしっかりと点検する必要があるのではないだろうか。

特に輸出の伸び悩みは大問題だ。貿易統計によると、8月の輸出額は前年比0.3%増とほとんど伸びが止まっている。これまで日本の景気拡大は、輸出の増加に依存してきた。それがアメリカをはじめとする輸出相手国の景気後退で、当分は増加を期待できない。と言って輸出に代わる景気拡大要因も見当たらない。

国会では、こんどの補正予算に続く本格的な景気対策の必要性も議論されてはいる。しかし、その中身は金融不安が景気に悪影響を及ぼす可能性があるから考える、という程度のものにすぎない。だから対策の規模にしても、3兆円とか5兆円どまりの話しか出てこない。ほんとうに、そういう認識でいいのか。16日の日経平均は1089円の大暴落となった。その値下がりは、何を代弁しているのだろうか。

    ≪16日の日経平均 = 下げ -1089.02円≫

    ≪17日の日経平均は? 予想 = 上げ

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サタデー自習室 -- GDP と 経済成長 ⑫
2008-10-18-Sat  CATEGORY: 政治・経済
12)成長力を高める = 潜在成長率いっぱいまで現実の成長率を引き上げることと、潜在成長率そのものを高めることは違う問題だ。たとえば5%の潜在成長力があると計算されているのに、実際の成長率は2%しかない場合。その成長率ギャップを埋めるのには、どうしたらいいのか。

まず労働力の遊びをなくすこと。つまり失業率を引き下げる政策が必要だ。それには政府が公共事業などを増やして仕事を造る。また民間企業の設備稼働率を引き上げるために、内需の拡大や輸出の増大を促進するような政策を実施する。言い換えると、これらは総合的な景気対策だとも言えるだろう。

潜在成長率そのものの引き上げは、もう少し中長期的な視点が必要になってくる。労働力自体の増加を図るためには、女性や高齢者の就業を助ける。また外国人労働者の活用も、重要な課題だろう。同時に設備の生産性を上げるため、企業が設備投資を増やせるような減税などの支援策。さらには新しい技術や製品の開発を生むような、政策面からの後押しも肝要だ。

ただ、いまの日本の場合、現実問題としては財政面からの制約がきわめて大きい。そうしたなかで不要な財政支出をできるだけ切り詰め、経済成長に役立つ政策に資金を投入することが、なによりも求められている。その計画をきちんと作り、実行することが政治の責任となっている。

                                (続きは来週サタデー)

    ≪17日の日経平均 = 上げ +235.37円≫

    【今週の日経平均予想 = 3勝1敗】

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サンデー実験室 = 孫に聞かせる経済の話
2008-10-19-Sun  CATEGORY: 政治・経済
第12章 景気って、なんだろう? ③

駅前のパン屋さん。近ごろはお客さんが、いつもいっぱいです。このパン屋さんは、売れ行きも伸びて景気がよさそう。国全体の景気も、このパン屋さんと同じと考えたらいいのです。みんなが前よりも、おカネをたくさん使うようになると、国全体の景気もよくなります。

国全体でみた場合、だれがおカネを使うのでしょうか。第1は、みなさんのような個人。お父さんもお母さんも、お兄さんもお姉さんも、あなたも毎日おカネを使いますね。食べ物や着る物、電気代や交通費。ときには冷蔵庫を買ったり、住宅を建てたりもします。

第2は会社。原料や材料を買ったり、機械を新しくしたり、工場やお店を作ったりします。働いている社員には、給料も払いますね。第3は外国人。そのほとんどは、日本が輸出した製品を買う代金の形で、おカネを使っています。

第4は政府。道路を造ったり、学校や病院の建設。年金を払ったり、警察や消防にも、おカネをかけています。この4つのルートを通って、おカネは毎日どこかに支払われているのです。ですから、この4つのルートを通って支払われるおカネの合計が増えているときには、国全体の景気はいいと言えるでしょう。

                                (続きは来週日曜日)

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今週のポイント
2008-10-20-Mon  CATEGORY: 政治・経済
日米の株価は、先週も大波乱を繰り返した。ダウ平均は13日に936ドルも上げたあと、15日には733ドルの下げ。日経平均も14日に1171円の急騰、16日には1089円の急落となった。相変わらずのジェットコースター相場だったが、いいことが1つ。日米ともに、週間ベースでは値上がりしたことである。

結果として、先週のダウ平均は400ドルの上げ。日経平均も417円の上昇だった。週間ベースでの値上がりは、ともに5週間ぶりのこと。今週も値上がりすれば、株式市場はある程度の安心感を取り戻すことになるだろう。その阻害要因は、注目企業の決算と重要な経済指標の発表である。

アメリカ企業の決算で注目されるのは、20日のバンクオブアメリカ。21日のヤフー、アップル、キャタピラー。22日のワコビア、AT&Tなど。経済統計では23日に8月の住宅価格指数、24日に9月・中古住宅販売件数。決算や住宅の数字が予想より悪いと、株価はまた頭を叩かれることになる。

国内では23日に発表される9月の貿易収支。前月には前年比でわずか0.3%増にまで落ち込んだ輸出の伸びがどうなるか。季節的には好転してもおかしくないが、逆にマイナスになれば今後の景気見通しはいっそう暗くならざるをえない。

    ≪20日の日経平均は? 予想 = 下げ

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緊急サミット : 世界史を変えられるか(上)
2008-10-21-Tue  CATEGORY: 政治・経済
ブッシュ米大統領とEU(ヨーロッパ連合)首脳は18日、金融危機打開のための緊急サミットを開くことで合意した。会議は11月前半にも、ニューヨークで開催の予定。G8(主要8か国)のほかに中国やサウジアラビアにも参加を呼びかけ、10数か国首脳によるサミットになる見通し。

会議の具体的な内容はまだ不明だが、未曾有の危機をもたらした現在の金融システムの改革が主たるテーマになることは間違いない。麻生首相も出席する意向を伝えており、解散・総選挙の日程がさらに先送りされる公算も強まっている。

このサミットでは、具体的にどんな問題が議論されるのだろうか。考えられる分野は、大きく分けて次の4つになるだろう。第1はこれまでに各国が決定し、実施してきた対策の点検と評価。第2は中長期的な観点からの金融システム改革。第3は世界同時不況への対策。そして第4は原油や食料など資源価格の急騰を防ぐための方策。

第1のテーマは、各国がすでに実施した銀行に対する公的資金の注入などについて、情報を交換する程度で済むかもしれない。だが、あとの3つのテーマは、いずれも戦後の世界経済史を塗り替えるほどの大作業である。1度や2度のサミットで結論が出るとは思えないが、日本経済の行くえにも重大な影響を及ぼす問題だ。麻生首相はじめ随行員は、事前に徹底的な勉強をしておく必要がある。

                                    (続きは明日)

    ≪20日の日経平均 = 上げ +311.77円≫

    ≪21日の日経平均は? 予想 = 上げ

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緊急サミット : 世界史を変えられるか(中)
2008-10-22-Wed  CATEGORY: 政治・経済
緊急サミットの開催で合意したフランスのサルコジ大統領は、ブッシュ大統領に対して「なんでも市場の自由に任せるルールが危機を招いた」と延べ、アメリカ流の“市場万能主義”を批判したと伝えられる。ブッシュ大統領がどう答えたかは不明だが、こうした問題意識がサミット招集の原動力になっていることは確かだろう。

アメリカは戦後、貿易や資本の面で自由化を強力に推進してきた。その結果、世界経済が大きく発展したことは間違いない。だが金融面での自由化は明らかに行き過ぎ、2つの重大な問題を生み出してしまった。1つはコントロール不能となった証券化商品。もう1つは原油や食品市場に対する巨大な投機資金の殺到である。

ヨーロッパ主要国は、これまでにもアメリカの市場万能主義に異論を唱えてきた。今回の深刻な金融危機に直面して、アメリカも率直に反省したのかどうかはよく判らない。しかし仮にアメリカも反省して、市場や金融機関に対する強い規制を導入しようというのであれば、これは戦後の世界経済史に新たな一章を設けることを意味する。

ただ市場万能主義の修正ということになれば、金融機関の監督強化とかヘッジファンドや投資銀行の規制だけでは収まらない。金融市場や商品市場そのもののあり方、空売りや投機的な取り引き、あるいは国際的な企業会計の基準などにも再検討が必要になってくるだろう。その方向にゴー・サインが出せるのか。緊急サミットの真価が問われることになる。

                                  (続きは明日)

    ≪21日の日経平均 = 上げ +300.66円≫

    ≪22日の日経平均は? 予想 = 下げ≫  

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緊急サミット : 世界史を変えられるか(下)
2008-10-23-Thu  CATEGORY: 政治・経済
サミットでは、世界同時不況についても検討されるだろう。その対策に関しては、主要国による協調利下げや財政出動の必要性について議論されるかもしれない。また新興国や途上国を支援するためIMF(国際通貨基金)の増資、あるいは全く新しいスキームの構築なども提案される可能性がある。

アメリカは、基軸通貨としてのドルの重荷を軽減しようと考えるかもしれない。ヨーロッパ主要国はその方向に賛成だから、各国の協調介入でドルのゆるやかな切り下げを容認する公算もある。そこまで踏み込めば、このサミットは戦後のドル一極体制が、たとえばドル・ユーロの二極体制に転換する歴史的な出発点になるだろう。

国際商品市場へ流入する投機資金の規制は、技術的に難しい面が多い。また反対論も強い。そうしたなかで、規制強化に向けた流れを設定できるかどうか。この問題はサミットの参加国が増えることで、かえって議論が紛糾するかもしれない。

繁栄を誇った金融資本主義の行き過ぎが是正され、世界の経済観は再び実物経済の重視に傾く。ドルを中核としたアメリカの基軸通貨体制が修正される。世界経済の構造と価値観を変える転機になりうるのが、こんどの緊急サミットだ。もちろん、アメリカ自身がどこまでハラをくくるかによって、結果は大きく変わってくる。もし銀行に対する資金供給の点検ぐらいで終われば、ブッシュ最後のスタンドプレー。サミットには失敗の評価が下ることになる。

    ≪22日の日経平均 = 下げ -631.56円≫

    ≪23日の日経平均は? 予想 = 下げ

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水面すれすれ : 輸出の伸び率
2008-10-24-Fri  CATEGORY: 政治・経済
財務省が23日発表した9月の貿易統計によると、輸出の前年同月に比べた伸び率はわずか1.5%にとどまった。その半面、輸入が28.8%増加したため、貿易黒字は951億円にまで縮小した。前年同月比では94.1%の大幅な減少である。輸出が伸び悩んだ原因は、輸出相手先の大半が不況に陥ったためだ。

輸出の増減を国別にみると、アメリカは前年比10.9%の減少。EU(ヨーロッパ連合)も9.0%の減少だった。アジア向けも全体としては急減しており、増加率は2.9%にまで落ち込んできた。うち中国向けは1.7%の増加。相変わらず好調を維持しているのは、ロシア、中東諸国、それに中南米向け。品目では、一般機械、電気機器、輸送用機器の減少が大きい。

輸出の伸び率は06年度が13.4%、07年度も9.9%と高く、これが日本の景気回復を支えてきた。ところが08年度に入ってからは急速に減少。4-9月は2.5%にまで落ちてきている。8月と9月の輸出は、ほとんど水面すれすれ。現在の景気低迷は、この輸出減速が主な原因だと言っていい。

問題は、この輸出の回復が当分は見込めないことである。世界的な金融不安の影響を受けて、アメリカはもちろん、ヨーロッパもアジアも不況の色が濃くなってきた。しかも状態はさらに悪化し、長引きそうな気配を見せている。とすれば、日本の輸出停滞も長期化するだろう。そんな状況のなかで、政府・与党が考えている景気対策。あまりにもスケールが小さすぎるのではないだろうか。

    ≪23日の日経平均 = 下げ -213.71円≫

    ≪24日の日経平均は? 予想 = 上げ

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サタデー自習室 -- GDP と 経済成長 ⑬
2008-10-25-Sat  CATEGORY: 政治・経済
13)いま必要な政策 = 日本経済はいま、きわめて困難な状況に陥っている。政府も10月の月例経済報告では、景気が急速に厳しさを増していることを公式に認めた。輸出や生産、雇用や個人消費が、そろって悪化している。7-9月期のGDP成長率がマイナスに落ち込むことは、避けられそうにない。

政府はこの臨時国会で、まず総額1兆8000億円の総合経済対策を成立させた。原油の急騰で苦しむ中小企業向けの応急措置である。また総額2兆円規模の定額減税を含む追加的な景気対策も、間もなく実現しそうだ。ただ、そのための財政支出は、どうやら数兆円どまり。この程度の対策で、今回の世界同時不況を乗り切れるのだろうか。はなはだ心許ない。

いま政府・与党が考えている対策がGDPを押し上げる効果は、合計しても0.5ポイントがせいぜい。1ポイントの押し上げ効果もない。だが、それ以上の対策は赤字国債の発行につながるから、政府・与党も腰が引けている。しかし異常な経済情勢に直面したのだから、この際は早く基礎的財政収支の均衡目標を延期して、赤字国債による本格的な対策を打ち出すべきだろう。

規模は15-20兆円。ただし、その内容は従来型の公共事業や減税ではダメだ。近い将来に必ず必要となる事業の先取り。たとえば公共事業でも、首都高速道路の全面改修をやってしまう。減税は脱石油に役立つ、たとえばソーラー発電の普及にしぼる。こういうことにカネを使っておけば、いずれ数年後には回収できるはず。景気対策に関しての発想転換が求められている。

                         (GDPと経済成長 は終わり)

    ≪24日の日経平均 = 下げ -811.90円≫

    【今週の日経平均予想 = 3勝2敗】 

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サンデー実験室 = 孫に聞かせる経済の話
2008-10-26-Sun  CATEGORY: 政治・経済
第12章 景気って、なんだろう? ④

個人が使うおカネは、どうやって調べるのでしょう。いちばん早く調べられるのは、全国のデパートやスーパーの売上げ金額です。すべての支店が毎日の売上高を本部に報告していますから、毎月の初めには前の月の売上高がわかります。早いので便利ですが、デパートやスーパーの売上げだけで個人の支出を正確にとらえることはできません。

みなさんは、もっといろいろなお店で買い物をしますね。パン屋さん、洋服屋さん、電気屋さん。そんな日本中の小売店の販売額を計算しているのが、商業動態統計という経済指標です。たとえば08年8月の販売額は10兆9650億円、前年の8月に比べると0.7%の増加でした。1年間で1%も増加しなかったわけですから、あまり景気がいいとは言えないことになります。

お店が受け取ったおカネではなく、個人が支出する金額を集めた統計もあります。日本中の家庭が1か月にいくら使ったのか。この経済統計は、家計調査と呼ばれています。たとえば08年8月に、2人以上がいる世帯の支出は平均で29万1154円、前年の同じ月より4.0%減っていました。この統計からみると、景気はよくないことがわかるでしょう。

全国に数え切れないほどある小売店や家庭を、一軒一軒すべて調べるわけにはいきません。そこで、こうした統計はサンプル調査と言って、8000から2万ぐらいのお店や家庭を選んで調べています。みなさんの学校に生徒が600人いるとします。そのなかから30人を選んで身長を計り平均すると、その数字は全校生徒の身長にほぼ一致するのです。

                               (続きは来週日曜日)

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今週のポイント
2008-10-27-Mon  CATEGORY: 政治・経済
東京の株式市場と外国為替市場には、先週も大嵐が吹きまくった。ニューヨーク市場ではダウ平均株価が週間473ドルの下げ。終り値の8378ドルは、03年4月以来の安値となった。昨年10月の高値からみると、約40%の値下がりということになる。

ニューヨークの下げに加えて、東京ではソニーの悲観的な業績見通しと円相場の急騰とが、株価の足を強く引っ張った。日経平均は週間1044円の下げ。03年4月のバブル崩壊後の安値まで、あと42円というところにまで下落した。円の対ドル相場は週間7円の上昇。24日には13年ぶりに、一時は90円台にまで突入している。

今週も国内企業の決算発表が続く。27日のキヤノン、28日のパナソニック、ホンダ、野村HD。29日にはソニー、東芝、富士通、新日鉄。30日は日立、シャープ、NEC、TDKなどなど。業績見通しを下方修正する企業も多そうだが、先週までの株価がそれをどのくらいまで織り込んでいるのか。

円相場については、28-29日のFOMC(米公開市場委員会)で追加利下げが決まれば、さらに上昇圧力が加わる。また30日にはアメリカの7-9月期GDPが発表され、景気後退入りが確認される公算が大きい。これも円高の材料になる。日経平均にとっては今週も苦難の週になりそうだが、最悪の時点は近く通過しそうな予感もする。

    ≪27日の日経平均は? 予想 = 上げ≫ 

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異常な株安には、異常な対策を!
2008-10-28-Tue  CATEGORY: 政治・経済
週明け27日の東京株式市場は、異常としか言いようのない大幅続落となった。日経平均がバブル崩壊後の最安値を下回るかどうかに注目が集まっていたのに、終り値はそれどころではない。はるかに突っ込んで、1982年10月7日以来なんと26年ぶりの安値である7162円90銭にまで沈み込んでしまった。

この結果、東証1部のPBR(株価純資産倍率)は0.83倍にまで低下している。PBRというのは、会社が所有する純資産額に対して、株式の時価総額が何倍かを見る指標。これが1倍を割り込んだことは、理論的に言うと、いますぐ会社を解散して資産を分けた方が事業を続けるより、株主にとっては有利ということになる。こんな異常な状況でも、まだ株を売る理由はなんなのだろうか。

しかも10月に入ってからの株価下落は、日本が先進国中で最大。その理由をよく考えてみる必要がある。根本的な売り材料は、やはり日本経済の先行き不安だ。輸出に頼れなくなったために、景気の将来にはプラス要因が全くない。そこに内外の投資家は、日本経済の未来に大きな不安と失望を感じ取っているのではないか。

麻生内閣は、ただちに株価対策と景気対策を総動員すべきである。まず2011年に財政の基礎的収支を均衡させるという公約を凍結する。次いで赤字国債の発行も含めて20兆円規模の景気対策を断行する。こんな対策はきわめて異常ではあるが、異常な事態には異常な対応をしなければ苦境を乗り切ることはできない。

    ≪27日の日経平均 = 下げ -486.18円≫

    ≪28日の日経平均は? 予想 = 上げ

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ドタバタ劇の 時価会計 (上)
2008-10-29-Wed  CATEGORY: 政治・経済
企業会計基準委員会は28日、臨時の会合を開いて、時価会計制度の一部緩和を正式に決めた。この制度はアメリカやヨーロッパ諸国が厳格に適用するよう日本に強く要求、日本もやむなく受け入れた。ところが今回の金融危機で、アメリカとヨーロッパ諸国はいち早く緩和を決定。そのため日本も追随して緩和することになった。

時価会計制度というのは、企業が保有する株式、債券、金融商品などを時価で評価し、決算書に反映させる会計ルール。もともと日本は原価主義を採用、取得したままの価格を決算書に載せていた。したがって保有証券の価格が上がれば含み益となったし、価格が下がっても損失としては計上されなかった。

これでは経営内容が不透明だという理由で、欧米からの批判が相次いだ。このため日本でも銀行・証券には97年度から、また一般企業には2000年度から時価会計が導入された。この結果、たとえば08年3月決算で上場企業の特別損失は3兆9870億円。うち株安による評価損は3643億円にのぼっている。

ところが金融危機で、欧米の金融機関が保有する証券の値下がりは膨大な金額に。そこで欧米の政府は、時価会計の一部適用緩和をさっさと決めてしまった。日本は追随しなければ、相対的に不利益が生じる。そこで日本も一部緩和を決めたわけだが、その細目をめぐっては問題点もいろいろ。この9月中間決算に間に合わせるというのだが・・・。

                                 (続きは明日)

    ≪28日の日経平均 = 上げ +459.02円≫

    ≪29日の日経平均は? 予想 = 上げ

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ドタバタ劇の 時価会計 (下)
2008-10-30-Thu  CATEGORY: 政治・経済
金融機関や一般企業が保有する証券について、緩和される前の時価会計制度は、売買目的の場合は時価評価が必要。満期保有の場合は不要と規定していた。欧米各国はこんどの緩和で、価格が極端に下がっている保有証券の区分変更を認めることにしている。つまり、これら証券を満期保有に区分変更すれば、時価評価しなくてもいいことになるわけだ。

日本の場合も、この欧米流の緩和方式になる。ところが、こういう緩和方式をとると、満期という概念がない株式については時価評価を続けなければならない。日本の金融機関は証券化商品などによる損失よりも、株式の値下がりによる損失の方が圧倒的に大きい。そこで銀行協会などは、株式についても緩和するよう政府・与党に働きかけている。

逆に公認会計士協会などは、時価会計制度の緩和自体に大反対だ。保有証券の評価額が曖昧になると、投資家にとってのリスクは増大する。特に株式の場合は、リスクが増大すれば買える株価の水準は下がらざるをえない。したがって株式の時価会計緩和は、株価の大幅な下落を惹き起こす。市場関係者の間でも、こうした反対論は強い。

外圧で導入された時価会計制度が、また外圧で緩和される。しかも、この9月中間決算から実施というのが、政府の方針だ。しかし株式を除いたとしても、証券の値下がりをだれが、どういう方法で評価するのか。一般企業も巻き込んで、大きな混乱は生じないのか。とにかく先月には時価会計の厳格化を決めたばかりの会計基準委員会が、今月は緩和を決める。異常な世界経済に対応するためとはいえ、ドタバタ劇には違いない。

    ≪29日の日経平均 = 上げ +589.98円≫

    ≪30日の日経平均は? 予想 = 上げ

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